特許第6141873号(P6141873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6141873周辺シーリング手段を備えるグレージングユニットおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141873
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】周辺シーリング手段を備えるグレージングユニットおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/62 20060101AFI20170529BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   E06B3/62 Z
   B60J1/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-550748(P2014-550748)
(86)(22)【出願日】2013年1月4日
(65)【公表番号】特表2015-511280(P2015-511280A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(86)【国際出願番号】FR2013050013
(87)【国際公開番号】WO2013102737
(87)【国際公開日】20130711
【審査請求日】2015年11月30日
(31)【優先権主張番号】1250165
(32)【優先日】2012年1月6日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141081
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 庸良
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン デュフール
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−195779(JP,U)
【文献】 特開平8−109773(JP,A)
【文献】 特開平11−166372(JP,A)
【文献】 特開2011−168998(JP,A)
【文献】 米国特許第3455080(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54− 3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの対向する外部面(20、21)と、前記2つの面を連結する周辺エッジ面(22)と、を有する基板(2)を備えるグレージングユニット(1)であって、同時に、前記基板の境界において、前記基板のエッジ面と2つの外部面とに対して付加された、周辺シーリング手段を備え、
前記シーリング手段が、少なくとも2つのシール(3A、3B)を備え、前記少なくとも2つのシールが、それぞれ、前記基板の前記2つの外部面(20、21)、及び前記基板の前記エッジ面(22)に対応しており、前記2つのシールが、前記グレージングユニットの前記エッジ面(22)の上で互いに重なる、重なりゾーン(4)を形成すること、及び
各シールが、第1の直線翼部(30)と、第2の直線翼部(31)と、前記2つの翼部を連結する曲線部(32)と、が設けられた輪郭を有し、前記2つの翼部が、2つの翼部の間に、前記シールの弛緩状態においては、鋭角を形成すること、
を特徴とする、グレージングユニット。
【請求項2】
前記シール(3A、3B)の各々が、単一部品であり、各々が、前記基板の周囲に対応する連続した周囲を有することを特徴とする、請求項1に記載のグレージングユニット。
【請求項3】
前記基板の上に取り付けられた状態における各シールが、弾性取り付けにより前記基板に固定され、前記グレージングユニットの前記外部面の1つに押し付けられている第1の直線翼部(30)と、前記グレージングユニットの前記エッジ面に対して密着する第2の直線翼部(31)と、を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のグレージングユニット。
【請求項4】
前記基板の前記エッジ面に面している前記シールの部分が、所与の閾値と前記基板の厚さの全寸法との間で変化する長さだけ重なることを特徴とする、請求項1からの何れか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項5】
各シールが、他のシールの部分と共に対応する部分の上に、連続する突出部またはリブ(34c、35)を有することを特徴とする、請求項1からの何れか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項6】
前記シールが、前記重なりゾーン(4)において互いに接着されることを特徴とする、請求項1からの何れか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項7】
前記シールが、前記基板の前記外部面に押し付けられているリップ部(34)を有し、反対側の面に配置された他のリップ部(34a)を有することが好ましく、前記他のリップ部(34a)が、フレームタイプの前記グレージングユニットを取り付ける構造体の内部表面に対応するように意図されている、ことを特徴とする、請求項1からの何れか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項8】
前記シールが、柔軟材料から作製され、押し出し成形および射出成形が可能で、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)またはシリコーンタイプから作製されることを特徴とする、請求項1からの何れか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項9】
請求項1からの何れか1項に記載のグレージングユニットを製造する方法であって、前記シール(3A、3B)が、別々に製造され、その後、前記基板に付加されることを特徴とする、グレージングユニットの製造方法。
【請求項10】
シールの前記製造が、直線部(70)の押し出し成形のステップと、コーナー部(71)を製造する工程と、前記コーナー部を前記直線部に成形、特に射出成形、により固定する工程と、からなる少なくとも1つのステップと、を備えることを特徴とする、請求項に記載のグレージングユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周辺シールが設けられたグレージングユニットおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明のグレージングユニットは、対象とする用途のために相当な厚さを有しており、特に30から200mmの厚さである。
【0003】
用途は、特に、しかしそれに制限されないが、輸送車両用のグレージングユニット、防弾グレージングユニット、軍用車両用のグレージングユニット、鉄道車両用のグレージングユニットなどである。
【0004】
このタイプのグレージングユニットは、一般的に積層されており、ガラス、水晶、セラミック、有機透明材料、ポリビニルブチラール(PVB)またはその類似物の挿入シート、などの、種々の性質の少なくとも2枚またはそれ以上の基板を備え、また、周辺シールを備え、周辺シールは、積層構造内への水分の侵入を防止し、グレージングユニットを取り付けている車両の外部の水分の車両内部への如何なる侵入をも回避する。
【0005】
更に、グレージングユニットは、フレーム内に配置されることが意図されており、このフレームは、グレージングユニットを対象とした用途のための取り付け構造を構成する。従って、シールの別の目的は、フレームとグレージングユニットの間のシール密封性を確実にすることである。
【0006】
現在、周辺シールのグレージングユニットへの取り付けは、グレージングユニットを鋳型に配置し、シーリングプラスチック材料を鋳型の壁とグレージングユニットとの間に注入することによって、行われている。シールは、グレージングユニットの全周囲で連続しており、グレージングユニットの外部表面上で、グレージングユニットの厚さ(エッジ面)、そのエッジ、およびエッジに隣接する周辺ゾーンの上を、延伸している。
【0007】
この製造方法は、各グレージングユニットのサイズ、表面積、および厚さに対する、特別な鋳型の設計を必要とする。
【0008】
このようなグレージングユニットは、連続して製造され、1つの同じ鋳型が多数回使用されることは、明らかである。
【0009】
しかし、グレージングユニットの寸法が変更されると、新しい鋳型を設計しなければならない。
【0010】
そこで、一連のグレージングユニットのために設けられる鋳型の数と、必要なときの新しい鋳型の設計とは、相当な製造コストとなり、その削減が所望されている。
【0011】
更に、この製造法により基板に取り付けられるシールは、接着されており、シーリング材料は、時間が経つにつれて損傷を受けることがよくあるので、グレージングユニットの寿命期間にシールを交換しなければならないと、問題なしでは済まない。すなわち、接着による固定は、取り外し作業を複雑にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、グレージングユニットのどんな厚さに対しても容易に適合できることによって簡単に取り付けられ、取り外しが容易で、所望のシーリング品質に影響を与えないシーリング手段を備える、グレージングユニットを提案することである。
【0013】
本発明はまた、簡素化された製造方法、特に、グレージングユニットの厚さや寸法に従った特定の鋳型を必要せず、シーリング手段の迅速な取り付け/取り外しを与える製造方法も、目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、グレージングユニットは、2つの対向する外部面と、この2つの面を連結する周辺エッジ面と、を有する基板と、エッジ面とその2つの外部面に対して、基板の境界において付加された、周辺シーリング手段と、を備え、シーリング手段が、少なくとも2つのシールを備え、少なくとも2つのシールが、それぞれ、基板の2つの外部面、及び基板のエッジ面に対応し、2つのシールが、グレージングユニットのエッジ面の上で互いに重なり合うゾーンを形成していること、及び、各シールが、第1の直線翼部と、第2の直線翼部と、前記2つの翼部を連結する曲線部と、が設けられた輪郭を有し、2つの翼部が、2つの翼部の間に、シールの弛緩状態においては、鋭角を形成することを特徴とする。
【0015】
本発明においては、「基板」とは、ガラスまたは他の透明材料の複数のシートを備えることができる基板を意味し、他の透明材料のシートとは、従来技術に関して上記に列挙した、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)または類似のタイプの熱可塑性材料のような、ガラス以外の材料の、互いに組み合わされ、挿入される、透明材料のシートを意味すると理解されたい。
【0016】
「外部」という修飾語句は、これ以降の記述ではそれぞれ、この修飾語句が付けられる要素に対して外側の環境に面していることを意味すると理解されたい。
【0017】
「内部」という修飾語句は、この修飾語句が付けられる要素の内側に面している部分に関する。
【0018】
基板を挟むように取り付けられた2つの別々のシールの使用が、グレージングユニットの厚さを、重要でないものにする。
【0019】
従って、グレージングユニットの厚さ如何に関わらず、適用の厚さが変更されても、また重なりゾーンを確保する2つのシールの最大広がりに対応する容認可能な厚さの範囲内で、本発明は、追加の設備を要求したり、既存の設備を修正したりすることなく、変更のコストと時間とを制限することができる。
【0020】
グレージングユニットの厚さが修正されることは、適用の際によくあることであるということを思い起こされたい。厚さの修正には、グレージングユニットの新しい設計、機械的強度特性の増加、追加された機能、などの種々の理由がある。
【0021】
更に、2つの同一部品のシーリング手段を連続的に取り付ける(第1のシールが取り付けられ、その後第2のシールが付加される)設計は、最終的に、従来技術に比べて、シーリング手段を取り付ける時間の削減、また交換時間の削減にもなり、保守を容易にするという結果になる。
【0022】
このため、第1のシールは、グレージングユニットの1つの面に押し付けられ、グレージングユニットのエッジ面には屈曲部によって押し付けられ、一方、第2のシールは、グレージングユニットの、反対側の第2の面に押し付けられることによって、第1のシールとは反対側に配置され、屈曲部によって、一方ではグレージングユニットのエッジ面の上に押し付けられ、他方では、その末端ゾーンによって、第1のシールの屈曲部に押し付けられて重なりゾーンを形成する。
【0023】
1つの特徴によれば、シールは、取り外し可能であり、特に、基板に留め具で留められることにより基板に取り付けられる。
【0024】
シールの各々は、基板の周囲に対応する連続する周囲を有する一体の部品であり、有利である。
【0025】
シールのこの設計は、従来技術とは異なり、基板への取り付けとは独立してシールを製造することを可能にする。
【0026】
各シールは、第1の直線翼部と、第2の直線翼部と、2つの翼部を連結する曲線部と、が設けられた輪郭を有し、2つの翼部は、2つの翼部の間に、シールの弛緩状態において鋭角を形成する。「弛緩状態」とは、シールが基板の上に取り付けられていない、または完全には取り付けられていない、シールの状態を意味すると理解されたい。
【0027】
基板の上に取り付けられた状態の各シールは、弾性取り付けにより基板に固定され、グレージングユニットの外部面の1つに押し付けられている第1の直線翼部と、グレージングユニットのエッジ面に対して密着する第2の直線翼部と、を有する。
【0028】
別の特徴によれば、基板のエッジ面に面しているシールの部分は、所与の閾値と、基板の厚さの全寸法の間で変化する長さだけ重なる。閾値は特には10mmである。
【0029】
各シールは、他のシールの部分に対応する部分の上に、連続する突出部(厚さ過剰部:overthickness)またはリブを有し、有利である。これらのリブは、重なりゾーンにおけるシール間のシール密封性を確実にする。リブはまた、把持部として貢献でき、基板のエッジ面の上に位置するシール部分の剛性化にも貢献できる。リブは、上述した接着剤を導くこともできる。
【0030】
好ましくは、シールは重なりゾーンにおいて互いに接着される。接着は連続した糸状の接着剤、または間隔を置いた点における接着剤により行われる。
【0031】
更に別の特徴によれば、シールは、基板の外部面に押し付けられるリップ部を有し、好ましくは、反対側の面に配置され、フレームタイプのグレージングユニットを取り付けている構造体の内部表面に対応するように意図されている他のリップ部を有する。
【0032】
一般的に、各シールは最大の厚さを有し、リップ部の最高点から反対側のリップ部の最高点までの距離は、5mmのオーダーである。
【0033】
別の特徴によれば、各シールは、ポリマープラスチック材料のような柔軟材料から作製されて押し出し成形や成形に適し、またはゴムタイプから作製される。材料の非制限的な例としてはシリコーンやエチレンプロピレンヂエンモノマー(EPDM)がある。
【0034】
好ましくは、材料は、50から65のショアA硬度を有する。
【0035】
このため、材料の弾性により、シールの翼部の間に配置される格納空間を拡張することが可能になり、シールを基板の境界の後ろに取り付けることが容易になり、シールは基板に堅く締め付けられ、押し付けられて、強固に保持されることを確実にする。
【0036】
シールの硬度と、シールにより基板に加えられる張力は、特に基板のサイズに対して適合されるように基板の周囲の上で異なってもよく、特に基板の一部または辺ごとに異なってもよい。これにより、隅およびその近傍でのシールに保持されたトルクによる辺の中央部における「ヨーイング(偏揺れ)」現象を回避するために、その硬度は、シールが強固に保持されるために、辺の中央部を含む辺全体の上での適切な張力を確実にするための適切なものとなる。従って、適切な別個の張力を与えて、異なる硬度を有する押出し成形された直線部を取り付けることができる。
【0037】
本発明のグレージングユニットの製造方法は、シールを別々に製造して、基板に付加することを含む。
【0038】
シールの製造は、直線部の押し出し成形のステップと、コーナー部を製造することと、コーナー部を直線部に、成形、特には射出成形により固定することと、からなる少なくとも1つのステップと、を備える。グレージングユニットのコーナー部を形成するために、多数の鋳型が、1つの段階で使用され、連続するシールの全部が設けられることが好ましい。
【0039】
従って、本発明は、如何なるグレージングユニットの形状と厚さにも適合することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明はここで、純粋に例示のためであり、本発明の範囲を決して制限しない例により、および付随する図に基づいて記述される。
図1】本発明のグレージングユニットの分解斜視図を示している。
図2グレージングユニットの斜視部分図である。
図3】収納フレームに組み込まれたグレージングユニットの側面からの部分断面図である。
図4グレージングユニットに取り付けられていない弛緩状態における、本発明に係るシールの例として実施の形態の側面からの断面図である。
図5a】シールの3つの輪郭変形例それぞれの断面図を例示している。
図5b】シールの3つの輪郭変形例それぞれの断面図を例示している。
図5c】シールの3つの輪郭変形例それぞれの断面図を例示している。
図6a】他のグレージングユニットの厚さによる図3の変形例を例示している。
図6b】他のグレージングユニットの厚さによる図3の変形例を例示している。
図6c】他のグレージングユニットの厚さによる図3の変形例を例示している。
図7】一度に製造されるシールの部分平面図である。
図8】製造ステップにおけるシールの平面図である。
図9a】同じシールを有する2つのグレージングユニットの変形例の部分平面図である。
図9b】同じシールを有する2つのグレージングユニットの変形例の部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1の分解図に例示されている本発明のグレージングユニット1は、基板2と、少なくとも2つの周辺シーリング手段3Aおよび3Bと、を備える。
【0042】
グレージングユニットは、多数のガラスシートまたは、従来技術に関して上記に一覧で示した、例えば、プラスチック材料の挿入シートのような他の多数の透明材料シートを組み込んでいる、厚くおよび/または複雑な基板を必要とする適用のために意図されている。その用途には、例えば、シールド用グレージングユニット、軍用車両および鉄道車両用のグレージングユニット、航空機のグレージングユニットがある。
【0043】
本発明のグレージングユニットの厚さは、特には、30から200mmである。
【0044】
基板2は、2つの全体的に対向している外部面20および21と、この2つの面を連結している周辺エッジ面22を有する。
【0045】
本発明によれば、図2に例示されているように、シーリング手段3Aおよび3Bはグレージングユニットの境界で、それぞれ、基板の対向する外部面20および21のそれぞれと、エッジ面22に対して取り付けられている。
【0046】
シーリング手段3Aおよび3B(図1)はそれぞれ、基板の周辺全体にわたって延伸し、一方では、基板の外部面20および21の1つをそれぞれ部分的に覆い、他方では、エッジ面22のすべてまたは一部の上で延伸し、エッジ面22に面して配置されたシーリング手段の部分または翼部の上には、重なりゾーン4が重ねられている(図2)。
【0047】
各シーリング手段3Aおよび3Bは、グレージングユニットの周囲全体の周りに連続シールを形成する。グレージングユニットのエッジ面22でのシール密閉性の保証は、シーリング手段の重なりにより確実になる。シールの製造は後述する。
【0048】
図1〜3において分かるように、より特別には図3から分かるように、連続シールは、基板2の外部面20または21に押し付けられている第1の翼部30と、基板のエッジ面22に押し付けられている第2の翼部31と、を有しており、翼部は、基板の全面をエッジ面に接続しているエッジ23において、エッジを覆っている曲線リンク32を形成している。
【0049】
シールの取り付け状態において、翼部30および31はその間に、基板の各面がそのエッジ面と形成する角度に対応する角度33を形成し、その角度は一般的に、そしてここにおいては直角である。
【0050】
シールは、弾性シーリング材料から形成されており、グレージングユニットのエッジに取り付けるために引き伸ばすことができ、またグレージングユニットのエッジの輪郭に密接に追従するように弛緩させることができ、エッジの上に、加工および/または追加固定手段なしで、圧力によって保持される。
【0051】
連続シールは、独立して製造され、取外し可能なように基板に付加されるような枠形成部を構成する。
【0052】
図4に例示されているような自由状態、つまり、シール3Aまたは3Bが弛緩状態のときは、翼部30および31は、その間に、鋭角である角度33を形成し、それにより、シールが引き伸ばされた状態で基板に取り付けられているときは、シールが基板のエッジの上に固く保持されることを保証する屈曲部の力が、シール上に加えられる。
【0053】
シールの材料は、下記の特性を満たす。つまり、
・水密性であり、
・押し出しおよび射出成形に適しており、
・押し出し成形を制御するために十分なほど硬く、
・弾性的に変形させるためには十分なほどしなやかで柔軟性がある。
【0054】
材料は、ゴムまたはポリマーの系列の一部を形成し、50と60の間のショアA硬度を示すことが好ましい。材料は、例えば、シリコーンから作製される。
【0055】
翼部30、31のそれぞれは、別個の輪郭を有することができる。
【0056】
実際には、シールが設けられた基板は、用途に関連するグレージングユニットを取り付ける構造を構成するフレーム5(図3)に組み込まれることが意図されている。特に、基板の全面に押し付けられ、フレームに対して密着する翼部30は、グレージングユニットに対して考えられる用途に適合した輪郭を有しており、それにより、要求されるシールの密封性とフレームにおける構造の機械的固定との間に釣り合いを与えている。
【0057】
図4は、翼部30および31は異なる形状のリップ部34を有することを示している。
【0058】
図5a〜5cは、適用対象により決まる翼部30に対する輪郭の変形例の幾つかを例示している。3つの変形例のそれぞれに対する翼部30は、変形例毎に異なる形状と配置のリップ部を備える。
【0059】
図5aに関しては、翼部30のリップ部34および34aは、基板とフレームそれぞれに押し付けられることになるシールの対向する面35および36それぞれの上に配置されている。これらのリップ部は、図1からも分かるように、その最高点が面35および36に平行な面にあり、面の間で完全に対称である突起部を形成している。この輪郭は、基板の平坦性の欠陥を吸収することにおいては劣るが、グレージングユニットのフレームにおける良好な固定を保証する。そのような輪郭は、シールド用グレージングユニットに特に使用される。
【0060】
図5bにおいて、リップ部34および34aは、図5aの例示されたものと同じ突出した輪郭を有する。しかし、シールの面35および36の上のそれぞれの側の上の最高点は入れ子のように組み合わされており、一方の側の上の最高点は、他方の側では凹部を有している。この輪郭は、フレームにおけるグレージングユニットの良好な固定をもたらし、平坦性の欠陥も十分に吸収する。
【0061】
図5cに関しては、リップ部34bおよび34cは、面35および36のそれぞれの側において間隔を置いた枝部を形成し、これらの枝部は、第2の翼部31からの傾斜により実質的に曲がっている。この輪郭は、フレームにおけるグレージングユニットの機械的固定よりも、基板の平坦性の欠陥を吸収することを優先している。
【0062】
第2の翼部31は、グレージングユニットのエッジ面22に押し付けられるようになっているが、より簡単な輪郭を有し、目立つような突出したリップ部は有していない。第2の翼部31(図1、3、および5a〜5c)は、対向する面37および38のそれぞれの上に、好ましくは、連続且つ間隔を置いた縦リブ34dを有する平坦な表面を有する。リブ35は、翼部31の末端部において設けられている。
【0063】
図3と6aおよび6bに関しては、シール3Aおよび3Bの重なりは、シール3Aのリブ34dが、他のシール3Bのリブ34dに面しないようにしてもたらされる。リブ34dおよび35は、互いに対するシールの密閉性を与える。
【0064】
これらのリブは、シール3Aおよび3Bの重なりゾーン4においてオプションの接着が計画されるときは別の目的を果たす。リブは、接着剤が広がるチャネルの境界を定める。
【0065】
最後に、図6cに例示されている追加のシール変形例において、シール3Aおよび3Bが設けられた基板2のフレーム5における位置決めのための指示手段6がシールに取り付けられており、有利である。これらの指示手段は、シールの外部面の上と、1つのそして同じシールの2つの翼部の間の接合部32と、に位置するシールの局部的な突出部から構成される。
【0066】
本発明によれば、シールの重なりゾーン4は完全なシール密閉性を保証する。重なりがもたらされる翼部31の長さは、基板の厚さに拘わらず、重なりを確実にするために十分である(図6a〜6c)。
【0067】
大きな厚みに対する重なり(図6b)は、端部リブ35に近接、つまり、対応する端部リブ35に近接しているシール3Bの末端ゾーン36Bに面しているシール3Aの末端ゾーン36Aまで最小限にされている。
【0068】
グレージングユニットの厚さがシールの第2の翼部31の長さ未満のときは、シール3A、3Bのそれぞれの翼部31はシールの周囲の上で切断され(図6c)、重なり4を可能にする長さを保持しながら、最大で基板の厚さの寸法にまで減少される。
【0069】
グレージングユニットの製造方法をここで記述する。
【0070】
本発明の方法の利点は、基板への取り付けとは独立してシーリング手段を製造できることである。
【0071】
基板の周囲が分かれば、シーリング手段は大量生産で製造でき、その後、基板の上に取り付けるために引き渡される。
【0072】
シーリング手段の取り付けは次のようにして行われる。
・第1のシール3Aの一辺を基板の上に取り付け、シールの一方の側の上の翼部30は基板の外部面に押し付けられ、一方、第2の翼部31は引っ張られて、基板のエッジ面22に対して移動され、それにより、基板のエッジ23を第1の辺に沿って「カプセル化」する。
・シールの第2の翼部31を、シールの全周囲の上で少しずつ引っ張り、翼部31を基板のエッジ面に押し付けることにより、グレージングユニットのエッジ全体が最終的に、取り付けられている第1のシールにより覆われる。
・同じ方法を第2のシール3Bに適用し、第2のシールの翼部31が、第1のシールの翼部31に部分的に重なり、重なりゾーン4を形成する。
【0073】
ある適用に対して、2つのシールを重なりゾーンにおいて接着することが所望されるのであれば、第2のシールの取り付けの前に、接着剤を、リブ34dおよび35により境界が定められている第1のシールの翼部31の外部チャネルに設置する。
【0074】
シールの製造方法は下記の通りである。
【0075】
まず最初に、図1と7に関して、本発明の連続シールは、直線部70とコーナー部71から作製されるということが分かるであろう。直線部は、図7において破線で図示した仮想溶接線72に沿ってコーナー部に固定される。最終的には、シールは単体である。
【0076】
直線部70は押し出し成形される。シーリング材は、所望されるシールの輪郭に従って非常に長いシールとして(数メートル)押し出し成形され、押し出し成形製品は、基板の辺に実質的に対応する長さの直線部を設けるために切断される。この長さは、直線部70に接し、そこに固定される屈曲部73を形成するコーナー部71を考慮して基板の辺よりも短い。
【0077】
コーナー部71と2つの直線部70を固定する作業を平面図によって図示している図8に関しては、直線部の自由端74が、コーナー部のキャビティ80を設ける鋳型8の内部に設置され、そして、シーリング材が鋳型内に注入される。鋳型から取り去られた後、コーナー部は直線部に固定される。
【0078】
更に、コーナー部のシールの形状は、基板のコーナー部の形状に適合させるために必要であれば、容易に変更できる。このため、直線部の製造法を修正する必要なしに、1つのコーナー部の鋳型を設計することのみが必要となる。
【0079】
例えば、図9aおよび9bに関しては、コーナー部をアコーディオン状の輪郭で製造でき、それにより、二辺の間の角度10が異なる別の基板の上に同じシールを取り付けることを可能にするための、基板に取り付けられるときの材料の変形を制御することが可能になる。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7
図8
図9a
図9b