特許第6141878号(P6141878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141878
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】生体分子の単離
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/48 20060101AFI20170529BHJP
   C12N 1/02 20060101ALI20170529BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20170529BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20170529BHJP
   C12Q 1/24 20060101ALN20170529BHJP
   C12Q 1/68 20060101ALN20170529BHJP
【FI】
   G01N33/48 Z
   C12N1/02
   G01N37/00 101
   G01N35/08 B
   !C12Q1/24
   !C12Q1/68 A
【請求項の数】23
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-553825(P2014-553825)
(86)(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公表番号】特表2015-508154(P2015-508154A)
(43)【公表日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】IB2013000478
(87)【国際公開番号】WO2013111016
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2015年12月3日
(31)【優先権主張番号】61/590,499
(32)【優先日】2012年1月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513014477
【氏名又は名称】ジェンセル バイオシステムズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】カラン, キーラン
(72)【発明者】
【氏名】マグワイヤ, デイビッド
【審査官】 大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−122374(JP,A)
【文献】 特開2006−010332(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0124726(US,A1)
【文献】 特開2011−232260(JP,A)
【文献】 国際公開第89/007880(WO,A2)
【文献】 特表2009−534653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 − 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子を含有する試料液体および封入液体を取り扱うための方法であって、前記試料液体と前記封入液体とは非混和性であり、前記方法は、以下:
前記封入液体を管路に流す工程;
前記試料液体が(a)前記封入液体に包まれ、かつ(b)前記管路内の所定の捕捉部位に位置するように、前記試料液体を前記管路に流す工程;
前記捕捉部位に磁場を適用することによって前記捕捉部位で前記磁性粒子を固定する工程;ならびに
(a)溶出液体が前記封入液体に包まれ、(b)前記試料液体が前記捕捉部位から離れるように流され、かつ(c)前記溶出液体が前記捕捉部位へ流され、かつ固定された前記磁性粒子を包むように、前記管路に前記溶出液体を流す工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、前記管路に前記試料液体を流す前に、前記磁性粒子に標的生体分子を結合させる工程をさらに含み、そして
前記溶出液体を流す工程が、前記溶出液体で前記磁性粒子を包むことにより前記標的生体分子を前記磁性粒子から遊離させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶出液体を流した後に前記磁場を取り除くことにより、前記溶出液体中の前記磁性粒子を可動化する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
可動化された前記磁性粒子を含有する前記溶出液体を前記捕捉部位から離れるように流す工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
遊離された前記標的生体分子を含有する前記溶出液体を前記捕捉部位から離れるように流す一方、適用した前記磁場によって磁性粒子は固定されたままにする工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
(a)第1の清浄化流体が前記封入液体に包まれ、かつ(b)前記第1の清浄化流体が固定された前記磁性粒子を包むように、前記捕捉部位へ前記第1の清浄化流体を前記管路に流す工程;
前記磁場を取り除くことにより前記第1の清浄化流体中の前記磁性粒子を可動化する工程;ならびに
可動化された前記磁性粒子を含有する前記第1の清浄化流体を前記捕捉部位から離れるように前記管路に流す工程
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第2の清浄化流体を前記管路に流す工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(a)第1の清浄化流体が前記封入液体に包まれ、かつ(b)前記第1の清浄化流体が固定された前記磁性粒子を包むように、前記捕捉部位へ前記第1の清浄化流体を前記管路に流す工程;
前記磁場を取り除くことにより前記第1の清浄化流体中の前記磁性粒子を可動化する工程;
前記磁場を再適用することにより、可動化された前記磁性粒子を固定する工程;ならびに
前記第1の清浄化流体を、前記捕捉部位および固定された前記磁性粒子から離れるように前記管路に流す工程
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
第2の清浄化流体を前記管路に流す工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
磁性粒子を含有する第1の試料液体、第2の試料液体および封入液体を取り扱うための方法であって、試料液体の両方が前記封入液体と非混和性であり、前記方法は、以下:
前記封入液体を管路に流す工程;
前記第1の試料液体が(a)前記封入液体に包まれ、かつ(b)前記管路内の所定の捕捉部位に位置するように、前記第1の試料液体を前記管路に流す工程;
前記捕捉部位に磁場を適用することによって前記捕捉部位で前記磁性粒子を固定する工程;
前記第1の試料液体を前記捕捉部位から離れるように流す一方、前記磁性粒子は前記捕捉部位に固定されたままであるように、前記第1の試料液体を前記管路に流す工程;ならびに
前記第2の試料液体が(a)前記封入液体に包まれ、かつ(b)固定された前記磁性粒子を包むように、前記第2の試料液体を前記管路に流す工程
を含む、方法。
【請求項11】
前記第2の試料液体が固定された前記磁性粒子を包む場合、前記第2の試料液体が前記磁性粒子と結合する標的生体分子を含有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の試料液体を流した後、(a)溶出液体が前記封入液体に包まれ、(b)前記第2の試料液体が前記捕捉部位から離れるように流れ、かつ(c)前記溶出液体が前記捕捉部位へ流れ、かつ固定された前記磁性粒子を包むように、前記溶出液体を前記管路に流す工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記溶出液体を流す工程が、前記溶出液体で前記磁性粒子を包むことにより前記標的生体分子を前記磁性粒子から遊離させることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶出液体を流した後に前記磁場を取り除くことにより、前記溶出液体中の前記磁性粒子を可動化する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、以下:
前記第2の試料液体を流した後、(a)第1の清浄化液体が前記封入液体に包まれ、(b)前記第2の試料液体が前記捕捉部位から離れるように流され、かつ(c)前記第1の清浄化液体が前記捕捉部位へ流され、かつ固定された前記磁性粒子を包むように前記第1の清浄化液体を前記管路に流す工程;ならびに
前記第1の清浄化液体を流した後、(a)溶出液体が前記封入液体に包まれ、(b)前記第1の清浄化液体が前記捕捉部位から離れるように流され、かつ(c)前記溶出液体が前記捕捉部位へ流され、かつ固定された前記磁性粒子を包むように前記溶出液体を前記管路に流す工程
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の試料液体を流した後に、前記磁場を取り除くことにより前記第2の試料液体中の前記磁性粒子を可動化する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の試料液体および前記封入液体が複合液体セルを構成する、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記捕捉部位の光学的な問い合わせまたは蛍光性の問い合わせによってマーカーが存在するか否かを検出する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記管路がキャピラリーチューブである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
所定の捕捉部位を有する管路と、前記管路のある位置へ陽圧もしくは陰圧を加えるか、または外圧を加えないように構成されているポンプと、作動された場合には前記捕捉部位で磁場を適用し、かつ作動されなかった場合は実質的に磁場を適用しないように構成されている磁場源と、前記ポンプおよび/または前記磁場源を作動できるように、前記ポンプと前記磁場源とに作動可能に取り付けられているコントローラーとを含む、液体取り扱いシステムであって、前記コントローラーは、以下:
封入液体が前記管路を流れるように前記ポンプを作動し;
磁性粒子を含有する試料液体が(a)前記封入液体に包まれ、かつ(b)前記管路内の前記捕捉部位に位置するように、前記試料液体が前記管路を流れるように前記ポンプを作動し;
前記磁性粒子が前記捕捉部位で固定されるように、前記磁場源を作動し;そして
(a)溶出液体が前記封入液体に包まれ、(b)前記試料液体が前記捕捉部位から離れるように流れ、かつ(c)前記溶出液体が前記捕捉部位へ流れ、かつ前記磁性粒子を包むように、前記溶出液体が前記管路を流れるように前記ポンプを作動する
ようにプログラムされている、液体取り扱いシステム。
【請求項21】
前記管路がキャピラリーチューブである、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記封入液体、前記試料液体および前記溶出液体が、前記ポンプによって前記管路に加えられた陰圧によって流れる、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記封入液体、前記試料液体および前記溶出液体が前記ポンプによって前記管路に加えられた陽圧によって流れる、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2012年1月25日に出願された米国仮出願第61/590,499号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
生体分子の単離は、あらゆる試料加工処理システムの重要な部分である。自動化された分子分析システムの開発において、現在、最も大きく制限されているのは、試料の調製および標的試料の精製である。
【0003】
すべての生化学プロセスのために、試料標的の単離および精製は、その成功に欠かせないものである。生化学分析プロセスとしては、これらに限定するものではないが、パイロシーケンシング、核酸ライゲーション、ポリメラーゼ連鎖反応、デジタルPCR、qPCR、核酸シーケンシング、タンパク質検出/タンパク質濃縮、遺伝子ビーズコーティング、希少細胞検出、および細胞濃縮が挙げられ、これらのプロセスにおける制約は、分析で使用する反応試料中に存在する標的の出発濃度および生化学的阻害物質のレベルによるものである。
【0004】
ほとんどの生化学分析において、初期試料から標的を分離し、生化学阻害物質を除去するための一連の事前分析ステップが試料に対して行われる。これらのステップは、通常、労働集約的で、最終的には、標的の出発濃度を低減する。
【0005】
現在の試料精製の好ましい方法はスピンカラムを使用する。しかし、スピンカラムは多数の遠心分離ステップを必要とし、そのため、自動化DNAライブラリー調製プラットフォームと一体化することができない。同様に、アガロースゲルから核酸断片を精製するための精製技法もまた、核酸の単離を達成するために遠心分離ステップを必要とする。
【0006】
試料精製に使用される技法の1つは、常磁性ビーズに基づく精製である。この方法は、DNA回収率を改善することができる手法と、特定のDNA断片サイズを選択的に結合するために使用することができる調整可能なバッファー条件を提供する。
【0007】
常磁性ビーズに基づく精製は、静的ウェルバッチプロセスである。現行法は、初期試料と共に、マイクロタイタープレートのウェルにビーズ混合物である常磁性ビーズおよびバッファーを入れるピペット操作を含んでいる。溶液はピペットで移し、混合し、室温でインキュベートして、DNAをビーズに結合させることができる。その後、マイクロタイタープレートは磁気プレート上に置かれる。結合したDNAを担持しているビーズは、プレートの縁部に移動し、磁石によって保持される。次に、上清(廃棄物含有)は、ピペットを使用して取り除かれ、廃棄される。これに続いて、その後、多数の洗浄ステップが実施され、ビーズペレット上に存在する/ビーズペレットに存在する残存廃棄物を除去する。ビーズペレットを含有するプレートにエタノールをピペットで移し、インキュベートし、次いで、ピペットを使用して除去する。この洗浄ステップは、2回繰り返される。その後、溶出バッファーを添加する。プレートを磁気プレートから取り除き、溶出バッファーをピペット混合によって混合する。マイクロタイタープレートを、磁気プレート上に戻す。次いで、精製DNAを含有する溶離液がピペットを使用して回収される。
【0008】
常磁性ビーズに基づくプロトコールは労働集約的プロセスであり、必要とされる数多くのピペット操作ステップがあるため、自動化は容易ではない。また多数のピペット操作ステップによって、初期試料および最終試料の容量が大きくなり、データポイント当たりの試薬コストが高くなる。
【0009】
ある用途は、限定するものではないがこの用途は、次世代シーケンシングプラットフォームのための試料精製を改善するためのものである。多くの次世代シーケンシングプラットフォームは、塩基対の長さが特定の範囲内のDNA断片からなるDNAライブラリーを必要とする。さらに、これらのDNA断片は、PCRを用いて配列を増幅させることができるように、また、ライブラリー断片がシーケンサフローセルにアニールすることができるように、特定のヌクレオチド配列(アダプター)でタグ付けする必要がある。単一フローセル内に試料を多重化する場合、配列特異的指標もまた、個別の試料を同定するためにDNA断片に付加することができる。DNAのタグメンテーション(DNAが断片化され、アダプターでタグ付けされる)ならびに通常のアダプターおよび指標の付加は、2種類の個別の生物学的反応で達成される。これらの反応に続いて、DNAライブラリーは清浄化され、過剰のヌクレオチド、酵素、プライマー、塩および他の汚染物質が除去される。したがって、DNAをタグメンテーションし、タグメンテーションされたDNAを精製し、通常のアダプターおよび指標を付加し、最終ライブラリー生成物を精製することが必要とされるワークフローは複雑であり、労働集約的である。
【0010】
本願で概説したシステムおよび方法は、無汚染、低容量、高スループット、低コスト、および/または高試料濃度の試料の取り扱いの達成を補助することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
生体分子の単離および加工処理に常磁性ビーズを使用するための装置、システムおよび方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、連続流動キャピラリーに基づく精製システムを示す図である。
図2図2は、双方向流動キャピラリーに基づく精製システムを示す図である。
図3図3は、連続流動キャピラリーに基づく精製システムの磁気清浄化ステップを示す図である。
図4図4は、コントローラーのプログラムとして実行することができる方法を示す。
図5図5は、コントローラーのプログラムとして実行することができる方法を示す。
図6図6は、コントローラーのプログラムとして実行することができる方法を示す。
図7図7は、対照プロトコールとキャピラリー清浄化プロトコールの間で同等の回収率を示す分光測光結果を示す。回収/溶出DNA(アクチン−ベータアンプリコン)の濃度は、対照ビーズに基づく精製とキャピラリービーズに基づく精製の両方についてプロットされている。
図8図8は、対照清浄化とキャピラリー清浄化に関するNextera生成物のスメアを示すゲル画像を示す。
図9図9は、対照プロトコールとキャピラリー清浄化プロトコールから回収されたNextera生成物を示すqPCRの結果を示す。
図10図10は、キャピラリーでのビーズに基づく精製を使用した、285bpアンプリコンの回収を確認したゲルの結果を示す。精製していない生成物(レーン102、103)を精製した生成物(レーン104、105)と比較すると、プライマーダイマーなどの非特異的生成物が成功裏に除去されたことが明らかである(レーン101はラダーである)。
図11図11は、キャピラリーの汚染除去−再利用可能性の実施例のqPCR結果を示す。
図12図12は、コントローラーのプログラムとして実行することができる方法を示す。
図13図13は、コントローラーのプログラムとして実行することができる方法を示す。
図14図14は、コントローラーのプログラムとして実行することができる光学分析による細胞濃縮方法を示す。
図15図15は、コントローラーのプログラムとして実行することができる細胞濃縮方法を示す。
図16図16は、コントローラーのプログラムとして実行することができる常磁性ビーズを機能化する方法を示す。
図17図17は、コントローラーのプログラムとして実行することができる、使用した常磁性ビーズを清浄化し除去する方法を示す。
図18図18は、コントローラーのプログラムとして実行することができる複合液体セル技術との相互作用の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、一部の実施形態では、管路内の生体分子を単離するためのシステムおよび方法を提供する。管路はいずれの方向においての流れも有することが可能で、コントローラーによって制御される。
【0014】
一実施形態では、図1Aによれば、常磁性ビーズおよび試料2を含有するスラグならびに非混和性流体バッファー3を管路1内に流す。試料は、標的生体分子、生化学プロセス阻害物質および汚染物質を含むことができる。管路は、長さに沿って1カ所に磁場を形成する供給源4を有する。図1Bによれば、常磁性ビーズおよび試料スラグ2ならびに溶出バッファースラグ5は、非混和性流体3によって分離される。常磁性ビーズおよび試料スラグ2は磁場源4に到達し、そこではビーズが磁場内で捕捉される。図1Cによれば、常磁性ビーズおよび試料スラグ2は管路1内を流れ続けるが、標的生体分子6に結合している常磁性ビーズは磁場源により捕捉されたままである。図1Dによれば、溶出バッファー5は磁場源に到達し、捕捉された常磁性ビーズを包む。結合した標的生体分子は、管路1に沿って流れるにつれて溶出バッファーへ放出される。図1Eによれば、溶出バッファーおよび標的生体分子7は、分配またはさらなる分析のために、管路1内に留まる。
【0015】
一実施形態では、図2Aによれば、管路20内の磁場源22で、常磁性ビーズ23から溶出バッファー24中の標的生体分子の解放された後、流れを逆転させる。図2Cによれば、溶出バッファーおよび標的生体分子は、磁場源22によって捕捉された常磁性ビーズ23を越える流れの中に戻り、分配するための元の吸入位置に戻る。
【0016】
一実施形態では、図3Aによれば、管路31の磁場源34によって捕捉されている常磁性ビーズ35からの溶出バッファー36中の標的生体分子が解放された後、非混和性流体33、ビーズ除去および清浄化スラグ32が続く。図3Bによれば、ビーズ除去および清浄化スラグ32が常磁性ビーズ35を包むと、磁場源34は取り除かれる(物理的またはオフ状態への変化による)。図3Cによれば、常磁性ビーズ35は、除去および清浄化スラグ32に応答し、スラグ37として管路31に沿って流れ続ける。このビーズ除去および清浄化プロセスは、管路31を再利用できるようにし、試料のいかなる交差汚染も防止する。
【0017】
一実施形態では、本方法は、キャピラリーチューブと、ポンプと、キャピラリーチューブの長さに沿った位置の局在化磁場の使用を含む。まず、バッファーおよび生化学コーティングされているビーズを含むビーズ混合物のスラグと、標的生体分子をキャピラリーチューブに引き込む。ビーズは、生化学コーティングされている磁性ビーズ、または常磁性コーティングされている非磁性ビーズ(シリカ、セラミック、ポリマーなど)であってもよい。これに、非混和性流体、例えば、空気およびオイルなどのスラグが続き、次いで、エタノール、空気、オイルおよび溶出バッファーの個別の(discreet)スラグが続く。スラグは局在化磁場を通過するチューブ内を流れ、そこでは常磁性ビーズが磁場内で捕えられるが、ビーズ混合物スラグの他の成分はチューブに沿って流れ続け、常磁性ビーズからすべての非結合分子を取り除く。スラグの連続的な流れは、次に、オイルまたは空気スラグをもたらすが、これは、ビーズ混合物スラグとエタノールスラグとの混合を防止するためのバッファーとして使用される。エタノールスラグは、常磁性ビーズ由来の残存しているすべての汚染物質を清浄化する。この清浄化ステップは、初期スラグピックアップシーケンスのプロトコールに応じて繰り返すことができる。エタノールスラグが通過した後、オイルバッファーを溶出バッファーのスラグの前に通過させ、溶出バッファースラグとの混合に由来するチューブに沿ったエタノールのあらゆる微量要素を防止する。次いで、溶出バッファーは常磁性ビーズを越えて流れ、生体分子標的が常磁性ビーズから溶出バッファースラグへ放出される。スラグは、さらなる生物学的加工処理および分析のために、チューブに沿って流れ続ける。
【0018】
一実施形態では、溶出バッファースラグが常磁性ビーズを越えて通過した後に、流れの方向を逆転させ、標的生体分子を有する溶出バッファーはシステムから分配される。
【0019】
一実施形態では、溶出バッファースラグが通過した後に、磁場は取り除かれ、次のエタノールのスラグは、常磁性ビーズをキャピラリーチューブ内の流れに戻す。次いで、このスラグにオイルスラグ、エタノールスラグ、およびオイルスラグが続き、キャピラリーチューブを清浄化し、次のスラグ反応のいかなる汚染も防止する。
【0020】
一実施形態では、エタノールスラグに空気スラグが常に続き;これによって、システム内のすべてのエタノールの除去が確実となる。空気スラグは、空気中にエタノールを蒸発させることができる。
【0021】
生体分子の例としては、細胞、核酸、タンパク質、酵素、血液、唾液、および有機材料が挙げられる(ただし、これらに限定するものではない)。
【0022】
ビーズミックスは、典型的には、ポリエチレングリコール(PEG)および塩を含むバッファー溶液中のビーズから構成されている。
【0023】
ビーズの大きさは、典型的には、0.1から500ミクロンの範囲内にある。
【0024】
ビーズは磁性であるか、または磁気コーティングが施されている。
【0025】
ビーズ材料は、磁気コーティングが施されているポリマー、セラミックまたは金属であり得る。
【0026】
一実施形態では、ビーズは細胞の付着のために機能化されている。
【0027】
一実施形態では、ビーズは核酸の付着のために機能化されている。
【0028】
一実施形態では、ビーズは酵素、試薬、プライマーまたは有機材料の付着のために機能化され、またはそれらの付着に限定されている。
【0029】
非混和性相の形成に使用されるオイルとしては、シリコーンオイル、パーフルオロカーボンオイル、およびパーフルオロポリエーテルオイルが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0030】
溶出バッファーとしては次のものが挙げられるが、これらに限定するものではない;滅菌水;用途に応じて所望の範囲内のpHを維持するために追加したpHバッファーを含む滅菌水。
【0031】
管路はキャピラリーチューブであり得る。
【0032】
管路材料は、ポリマー、セラミックまたは金属であり得る。
【0033】
管路は疎水性表面を有していてもよい。
【0034】
管路は、ポリマーキャピラリーチューブ、例えばPTFE材料のキャピラリーチューブであってもよい。
【0035】
管路の直径は、典型的には、直径10ミクロンから10ミリメートルの範囲内である。
【0036】
一実施形態では、管路の壁厚は少なくとも10ミクロン以上である。
【0037】
管路の内部形状は円形、正方形、楕円形、長方形のプロファイルであってもよく(しかし、必ずしもこれらに限定されない)、波状の表面を有していてもよく、少なくとも1つの平坦な表面を有していてもよく、または表面強化の特徴を有していてもよい。
【0038】
管路内の流量は、典型的には、0.00001μL/時間から1000mL/分の範囲内にある。
【0039】
管路の外部形状は円形、正方形、楕円形、長方形のプロファイルであってもよく(しかし、必ずしもこれらに限定されない)、波状の表面を有していてもよく、少なくとも1つの平坦な表面を有していてもよく、または表面強化の特徴を有していてもよい。
【0040】
一実施形態では、管路は基材にエッチングされたチャネルである。
【0041】
一実施形態では、管路はチップ上に成形されたチャネルである。
【0042】
一実施形態では、管路はチップに基づく分析システムと一体化されている。
【0043】
少なくとも1つまたは複数の磁場は、管路の長さに沿って位置している。磁場は、永久磁石によって、またはいくつかの電磁的方法によって生成することができる。
【0044】
一実施形態では、磁場は制御可能であり、磁場は、磁石の移動/除去、または電磁場の遮断/中和のいずれかによって非作動化することができる。
【0045】
一実施形態では、磁場源は管路の周りに円周方向に配置されており、複数の磁極を発生させる。
【0046】
一実施形態では、磁場源は管路の長さに沿って配置されており、複数の磁極を発生させる。
【0047】
一実施形態では、システムを通る流れは、陽圧によって形成される。
【0048】
一実施形態では、システムを通る流れは、陰圧によって形成される。
【0049】
一実施形態では、本方法は、キャピラリーチューブ、ポンプ、およびキャピラリーチューブの長さに沿った位置での局在化磁場の使用を含む。まず、ビーズ混合物(バッファーおよび生化学コーティングしたビーズ)のスラグをキャピラリーチューブに引き込む。これに、非混和性流体、例えば空気またはオイルのスラグが続き、その後、精製するための試料のスラグが続く。これに続き、さらなる非混和性スラグが引き込まれ、また、エタノール、空気、オイルおよび溶出バッファーのさらなる個別のスラグが引き込まれる。スラグは、チューブ内を流れ局在化磁場を通過し、そこでは常磁性ビーズが磁場内で捕えられるが、ビーズ混合物スラグの他の成分はチューブに沿って流れ続ける。流量および磁場は、生化学的プロセスが行われるのに十分な滞留時間が確保されるように制御される。流動する流体は、管路に沿って、製品のビーズへの結合と、すべての非結合分子の常磁性ビーズからの除去を続ける。スラグの連続する流れは、オイルスラグまたは空気スラグをもたらすが、これらは水系スラグ、例えば、これに限定するものではないが、ビーズ混合物、エタノール、および希釈バッファーのスラグなどの混合を防止するバッファーとして使用される。エタノールスラグは、常磁性ビーズ由来の残存しているすべての汚染物質を清浄化する。この清浄化ステップは、初期スラグピックアップシーケンスのプロトコールに応じて繰り返すことができる。エタノールスラグが通過した後、オイルバッファーを溶出バッファースラグの前に通過させ、溶出バッファースラグとの混合に由来するチューブに沿ったエタノールのあらゆる微量要素を防止する。次いで、溶出バッファーは常磁性ビーズを越えて流れ、生体分子標的が常磁性ビーズから溶出バッファースラグへ放出される。スラグは、さらなる生物学的加工処理および分析のために、チューブに沿って流れ続ける。
【0050】
システムに引き込まれるスラグとしては次のものが挙げられるが、これらに限定するものではない;ビーズミックス;オイル;溶出バッファー;エタノール;水;空気;試料;生化学ミックス(試薬、酵素など)、ビーズ機能化ミックス;グルコース;バッファー;添加剤;光学性マーカー;蛍光性マーカー;およびセル。
【0051】
装置内で使用されるスラグの順序は次のものが挙げられるが、これに限定するものではない。
【0052】
ビーズミックスおよび試料−オイル−溶出バッファー。
【0053】
ビーズミックスおよび試料−オイル−溶出バッファー。
【0054】
ビーズミックスおよび試料−空気−オイル−溶出バッファー。
【0055】
ビーズミックスおよび試料−空気−エタノール−オイル−溶出バッファー。
【0056】
ビーズミックスおよび試料−オイル−エタノール−オイル−溶出バッファー。
【0057】
ビーズミックスおよび試料−空気−エタノール−空気−エタノール−空気−オイル−溶出バッファー。
【0058】
ビーズミックスおよび試料−オイル−エタノール−オイル−エタノール−空気−オイル−溶出バッファー。
【0059】
ビーズミックスおよび試料−オイル−エタノール−オイル−エタノール−空気−オイル−生化学ミックス−オイル−溶出バッファー。
【0060】
ビーズミックス−オイル−試料−オイル−エタノール−空気−オイル−生化学ミックス−オイル−溶出バッファー。
【0061】
ビーズミックス−オイル−ビーズ機能化混合物−オイル−懸濁バッファー。
【0062】
ビーズミックス−オイル−ビーズ機能化混合物−オイル−試料−オイル−エタノール−空気−オイル−生化学ミックス−オイル−溶出バッファー。
【0063】
これらの順序および他の順序は、システムからビーズを除去するために、追加のステップ(すなわちスラグ通過)を含んでいてもよい。このステップは、コントローラーとチューブに沿った磁場の摂動によって行うことができる。
【0064】
一実施形態では、光学的検出は磁場源で使用される。
【0065】
一実施形態では、光学的検出はスラグを分析するため磁場源上流で使用される。
【0066】
一実施形態では、光学的検出は、スラグを分析するため磁場源下流で使用される。
【0067】
一実施形態では、キャピラリーチューブの複数の並列ラインは、単一磁場通過に使用される。
【0068】
一実施形態では、キャピラリーチューブの複数の並列ラインは、多数の局在化磁場の通過に使用される。
【0069】
一実施形態では、管路の少なくとも1つまたは複数のラインは、ポンプおよびコントローラーを備えたシステムへ一体化するためのカセット内で一緒に組み立てられる。
【0070】
一実施形態では、標的分子を含む溶出バッファーは、さらなる生化学加工処理および分析のため、複合液体セルに分配される。
【0071】
一実施形態では、使い捨てのキャピラリーチューブが使用される。これらのチューブは、それぞれの試料プロセスに対して交換される。
【0072】
一実施形態では、管路は再使用可能である。
【0073】
一実施形態では、管路が再使用可能な場合、蒸気がシステムの汚染除去と清浄化にシステム内で使用される。
【0074】
一実施形態では、管路が再使用可能な場合、漂白剤がシステムの汚染除去と清浄化にシステム内で使用される。
【0075】
一実施形態では、管路が再使用可能である場合、市販のDNA消化酵素がシステムの汚染除去と清浄化にシステム内で使用される。
【0076】
一部の実施形態は、常磁性ビーズおよび試料流体投入口、非混和性流体投入口、溶出バッファー投入口、流体管路、磁場源、液体取り扱いシステム、ならびに液体取り扱いシステムおよび磁場源に作動可能に接続されているコントローラーを有する試料取り扱いシステムを含む。一部の実施形態では、コントローラーは、次のようにプログラムすることができる:(1)常磁性ビーズおよび試料のスラグを引き込み、(a)磁場源を通過させ、(b)ここで、常磁性ビーズおよび結合した標的生体分子が捕捉され、(c)残りの試料内容物は磁場源を過ぎてスラグ内で流れ続け;(2)非混和性流体のスラグを引き込み;(3)溶出バッファーのスラグを引き込み、(a)磁場源を通過し、(d)ここで、結合した標的生体分子が磁場において常磁性ビーズから溶出バッファーへ放出され、(e)スラグは、分配またはさらなる分析のために管路内を流れ続ける。例示的なフローチャートは、図4〜6および12〜18に示している。
【0077】
一部の実施形態では、液体取り扱いシステムは、管路と駆動体を含む。一部の実施形態では、コントローラーは、管路にステップ(1)および(2)を実行させ、次いで、一般的にはエタノールスラグである、清浄化プロトコールのためのスラグを引き込み、次いで、ステップ(3)および(4)を実行するよう、駆動体を作動させるようにプログラムすることができる(図5)。一部の実施形態では、コントローラーはまた、ステップ(5)の後およびステップ(3)の前に、(6)管路に生化学試薬のスラグを引き込むよう、駆動体を作動させるようにプログラムすることができる(図6)。
【0078】
一部の実施形態では、磁場源は固定磁石を含む。一部の実施形態では、コントローラーは、管路がステップ(1)、(2)、(3)および(4)を実行し、かつ(a)スラグを引き込み磁場源を通過するように、駆動体を作動させるようにプログラムすることができる(図12)。一部の実施形態では、コントローラーは、操作(a)を実行しながら、管路がステップ(1)、(2)、(5)、(6)、(3)および(4)を実行するよう、駆動体を作動させるようにプログラムすることができる(図13)。
【0079】
一部の実施形態では、コントローラーは、管路が(7)常磁性ビーズのスラグを引き込み、(8)抗体のスラグを引き込み、(9)生体試料のスラグを引き込み、次いで、(a)および(f)磁場源で光学的検出の操作を実行しながらステップ(3)を行い、続いてステップ(4)が行われるよう、駆動体を作動させるようにプログラムすることができる(図14)。一部の実施形態では、コントローラーは操作(f)を実行しなくてもよい(図15)。
【0080】
一部の実施形態では、磁場源は可変状態の磁場源を含む。
【0081】
一部の実施形態では、コントローラーは、管路が(10)常磁性ビーズのスラグを引き込み、次いで操作(a)を実行しながら(11)常磁性ビーズ機能化ミックスのスラグを引き込み、次いで(12)常磁性ビーズバッファーのスラグを引き込むように、駆動体を作動させるようにプログラムすることができ、また、コントローラーに対し、磁場源の状態を変えて、(13)バッファー中に一定容量の機能化常磁性ビーズを分配する前に、(f)スラグを流しオフ状態の磁場源を通過させることを実行するようにプログラムすることができる(図16)。
【0082】
一部の実施形態では、コントローラーは、(a)を実行しながらステップ(4)、(5)および(6)の後に、(12)常磁性ビーズバッファーのスラグを引き込み、かつ磁場源を変更し、(f)をステップ(5)および次いで(6)の後に実行し、続いて(14)バッファー溶液に一定容量の使用した常磁性ビーズを分配するようにさらにプログラムされている(図17)。
【0083】
一部の実施形態では、コントローラーは、ステップ(4)の前に(15)封入液体投入口から封入液体を引き込み、(16)吸入された封入液体を担体液体の自由表面上でかつ安定化特徴部の近くに放出するようにさらにプログラムされている。一部の実施形態では、コントローラーは、ステップ(4)の代わりに、ステップ(13)またはステップ(14)を実行するようにプログラムすることができる。
【0084】
キャピラリービーズに基づく精製は、標準的なプロトコールに比べて多くの利点を提供する。清浄化の自動化様式は手動による時間をはぶき、プロトコールの全時間を大幅に短縮する。この手法はまた、DNAの精製ステップの再現性を改善することもできると考えられる。マイクロ流体キャピラリー手法によってナノリットル容量の清浄化が可能になり、その際、小容量をピペットで移すことに伴った著しい容量の損失はなくなる。これによって非常に小容量の試料を加工処理できるとともに、試薬の消費を低減することができる。標準的な精製プロトコールにおける別の重要な要因は、使用者によってもたらされる変動性である。本システムおよび方法は、精製プロトコールから生じるこの変動性を取り除く。
【0085】
適用
キャピラリー清浄化および複合液体セル加工処理
一実施形態では、標的生体分子を含む溶出バッファーは、互いに非混和性の担体流体の自由表面上に位置する非混和性流体セルに分配される。得られた複合流体セルは、輸送され、かつ/または合体され、かつ/または混合され、かつ/またはその上で生化学的加工処理が実施され得る。
【0086】
一実施形態では、標的生体分子を含む溶出バッファーは、機械的安定化特徴を有する互いに非混和性の担体流体の自由表面上に位置する非混和性流体セルに分配される。
【0087】
一実施形態では、管路へ引き込まれる流体の順序によって、管路からの相互に非混和性の担体流体の自由表面上へ分配する際に、複合液体セルを生成する。
【0088】
一実施形態では、常磁性ビーズは、表面の再機能化のために、複合液体セルへの管路清浄化プロトコールに従って分配される。
【0089】
一実施形態では、加工処理のために管路に引き込まれる流体は複合液体セルである。
【0090】
一実施形態では、システムに引き込まれる複合液体セルは、常磁性ビーズとバッファーを有する。
【0091】
一実施形態では、システムに引き込まれる複合液体セルは、初期試料を含有する。
【0092】
一実施形態では、システムに引き込まれる複合液体セルは、標的生体分子を放出するための溶出バッファーを含有する。
【0093】
一実施形態では、システムに引き込まれる複合液体セルは、管路の磁場源において常磁性ビーズ上で加工処理するための生化学ミックスを含有する。
【0094】
一実施形態では、複合液体セル技術は、常磁性ビーズと初期試料を合体させるために使用される。複合液体技術は汚染を防止し、また、簡易加工処理および/もしくはインキュベーション;ならびに/または保存;ならびに/または輸送;ならびに/または精製前の試料の混合を可能にする。
【0095】
一実施形態では、複数の複合流体セルは並列で生成される。
【0096】
本システムおよび方法が適合され得る複合液体セルシステムの例は、例えばPCT/IE2011/000040に開示されており、これは、参考として本明細書に援用される。
【0097】
磁性粒子を含有する試料液体および非混和性封入液体を取り扱うための一部の方法は、以下:管路に封入液体を流すこと;試料液体が(a)封入液体に包まれ、かつ(b)管路内の所定の捕捉部位に位置するように、試料液体を管路に流すこと;捕捉部位に磁場を適用することによって捕捉部位で磁性粒子を固定すること;(a)溶出液体が封入液体に包まれ、(b)試料液体が捕捉部位から離れるように流され、かつ(c)溶出液体が捕捉部位へ流され、固定された磁性粒子を包むように、管路に溶出液体を流すことを含む。標的分子は磁性粒子に結合することができる。この結合は、試料液体を流す前に試料液体中で生じてもよく、またはこのプロセスで、もしくは別の液体媒体における他の時点で生じてもよい。標的分子、例えば、生体分子はまた、溶出液体で粒子を包むことにより、磁性粒子から遊離(解放)させることができる。粒子は、プロセス中、可動化させても、可動化させなくてもよい。例えば、粒子は、試料液体が捕捉部位にある場合、溶出液体が捕捉部位にある場合、または、別の流体が捕捉部位にある場合に可動化され得る。本方法はさらに、溶出液体中の磁性粒子を可動化すること、ならびに磁性粒子および/または遊離された標的分子と一緒に捕捉部位から離れるように溶出液体を流すことも含んでもよい。溶出液体もまた、標的分子と一緒に捕捉部位から離れるように流すことができるが、磁性粒子は固定されたままである。
【0098】
方法は、(a)清浄化流体が封入液体に包まれ、かつ(b)清浄化流体が固定された磁性粒子を包むように、捕捉部位へ1つまたは複数の清浄化流体を管路に流すことをさらに含むことができる。磁性粒子は清浄化流体中で可動化し得るが、清浄化流体は捕捉部位にある。清浄化流体はまた、捕捉部位から離れて管路中を流れることができる。もし可動化されていれば、磁性粒子は清浄化流体と共に運ぶことができる。あるいは、磁性粒子は捕捉部位で清浄化流体中にて可動化し、次いで、再び固定させることができる。その後、清浄化流体は、管路で捕捉部位から離れるように流れ得るが、磁性粒子は捕捉部位に残っている。第2の清浄化流体もまた管路を流れ得る。
【0099】
磁性粒子を含有する第1の試料液体、第2の試料液体および封入液体を取り扱うための一部の方法であって、試料液体の両方が封入液体と非混和性である方法は、封入液体を管路に流すこと;第1の試料液体が(a)封入液体に包まれ、かつ(b)管路内の所定の捕捉部位に位置するように、第1の試料液体を管路に流すこと;捕捉部位に磁場を適用することによって捕捉部位で磁性粒子を固定すること;第1の試料液体を捕捉部位から離れるように流す一方、磁性粒子は捕捉部位に固定されたままであるように、第1の試料液体を管路に流すこと;第2の試料液体が(a)封入液体に包まれ、かつ(b)固定された磁性粒子を包むように、第2の試料液体を管路に流すことを含む。
【0100】
第2の試料液体が磁性粒子を包む場合、第2の試料液体は、磁性粒子と結合する標的分子、例えば生体分子を含有し得る。磁性粒子は第2の試料液体中で固定されたままであるか、第2の試料液体中で可動化され得る。また方法は、第2の試料液体を流した後、(a)溶出液体が封入液体に包まれ、(b)第2の試料液体が捕捉部位から離れるように流れ、かつ(c)溶出液体が捕捉部位へ流れ、かつ固定された磁性粒子を包むように、溶出液体を管路に流すことも含む。溶出液体を流すことは、溶出液体で磁性粒子を包むことにより標的生体分子を磁性粒子から遊離させることをさらに含み得る。磁性粒子は溶出液体中で固定されたままであるか、溶出液体中で可動化され得る。
【0101】
方法はさらに、清浄化流体を使用して、例えば、第2の試料液体を流した後、(a)第1の清浄化液体が封入液体に包まれ、(b)第2の試料液体が捕捉部位から離れるように流され、(c)第1の清浄化液体が捕捉部位へ流され、かつ固定された磁性粒子を包むように、第1の清浄化液体を管路に流すこと;ならびに、第1の清浄化液体を流した後、(a)溶出液体が封入液体に包まれ、(b)第1の清浄化液体が捕捉部位から離れるように流され、かつ(c)溶出液体が捕捉部位へ流され、かつ固定された磁性粒子を包むように、溶出液体を管路に流すことをさらに含む。
【0102】
本明細書で開示した方法のいずれかにおいて、試料液体と封入液体は、開示した方法中のいくつかの時点で、または開示した方法の全体にわたって、複合液体セルを構成することもできる。同様に、開示した方法のいずれかにおいて、マーカーを標的分子と共に使用することができる。そのようなマーカーは、捕捉部位の光学的な問い合わせまたは蛍光性の問い合わせによって検出することができる。これらの方法のいずれかにおいて、管路は、例えばキャピラリーチューブであり得る。
【0103】
液体取り扱いシステムは、所定の捕捉部位を有する管路と、管路のある位置へ陽圧もしくは陰圧を加えるか、または外圧を加えないように構成されているポンプと、作動された場合には捕捉部位で磁場を適用し、かつ作動されなかった場合は実質的に磁場を適用しないように構成されている磁場源と、ポンプおよび/または磁場源を作動できるように、ポンプと磁場源に作動可能に取り付けられているコントローラーとを含み得る。コントローラーは、封入液体が管路を流れるようにポンプを作動し;磁性粒子を含有する試料液体が(a)封入液体に包まれ、かつ(b)管路内の捕捉部位に位置するように、試料液体が管路を流れるようにポンプを作動し;磁性粒子が捕捉部位で固定されるように、磁場源を作動し;(a)溶出液体が封入液体に包まれ、(b)試料液体が捕捉部位から離れるように流れ、かつ(c)溶出液体が捕捉部位へ流れ、かつ磁性粒子を包むように、溶出液体が管路を流れるようにポンプを作動するようにプログラムすることができる。より一般的には、コントローラーは、開示した方法のいずれかを実施するように、ポンプを作動し、磁場源を作動し、かつ/または磁場源を非作動化するようにプログラムすることができる。管路は、例えばキャピラリーチューブであり得る。ポンプは、管路に陽圧および/または陰圧を加えるように構成することができる。例えば、ポンプは、陽圧下で一方向に管路内の流体を流し、かつ陰圧下で別方向に管路内の流体を流すように構成することができる。
【0104】
シーケンシング
多くの次世代シーケンシング(NGS)プラットフォームは、塩基対の長さが特定の範囲内のDNA断片からなるDNAライブラリーを必要とする。さらに、これらのDNA断片は、PCRを使用して配列を増幅させることができるように、また、ライブラリー断片がシーケンサフローセルにアニールすることができるように、特定のヌクレオチド配列(アダプター)でタグ付けする必要がある。単一フローセル内に試料を多重化する場合、配列特異的指標もまた、個別の試料を同定するためにDNA断片に付加することができる。DNAのタグメンテーション(DNAが断片化され、アダプターでタグ付けされる)ならびに通常のアダプターおよび指標の付加は、2種類の個別の生物学的反応で達成される。これらの反応に続いて、DNAライブラリーは清浄化され、過剰のヌクレオチド、酵素、プライマー、塩および他の汚染物質が除去される。したがって、DNAをタグメンテーションし、タグメンテーションされたDNAを精製し、通常のアダプターおよび指標を付加し、最終ライブラリー生成物を精製することが必要とされるワークフローは複雑であり、労働集約的である。一実施形態では、キャピラリーに基づく清浄化システムは、遺伝子シーケンシング内で必要とされる試料の精製およびDNA単離ステップを自動化するために使用することができる。このプロセスの完全な例を下記に開示する。
【0105】
遺伝子シーケンシングビーズコーティング
遺伝子シーケンシングビーズ調製は、小ビーズが、適用に特異的な化学的性質でコーティングされるプロセスである。一実施形態では、遺伝子スクリーニングの前のビーズコーティングは、ビーズミックススラグを流し、その後、定常磁場を通過する管路内のビーズをコーティングするために用いられる特異的プライマーの化学的性質により達成される。次いで、溶出バッファーのスラグを通過させるが、ここで、ビーズ濃度はスラグ内で使用される溶出バッファーの容量によって制御することができる。磁場は取り除かれ、機能化ビーズミックスは、さらなる加工処理のために管路に沿って流れる。
【0106】
一実施形態では、管路内の流れは逆転させることが可能であり、機能化ビーズミックスは保存またはさらなる生化学的加工処理のために分配される。
【0107】
これらの方法は、現在従来の技法を使用して達成することが不可能である、流体のマイクロリットル未満の容量を操作し組み合わせる便利な方法を提供するものであり、それによって、初期の試料容量を減らし、反応容量を減らすことによってビーズコーティング効率を改善させる。PCRおよび熱サイクリングおよび遺伝子シーケンシングを使用するさらなる加工処理は、適用に特異的である。
【0108】
この技術を使用することによって、これらの比較的小容量の標的に対する回収手順が大幅に簡素化される。本システムは、加工処理における生体試料がいかなるピペット操作による損失も招かないように、100%容量の回復を促進する。これらの特徴は、生化学プロセスの自動化を容易に促進させる。
【0109】
小型RNAのサイズ選択
小型RNA分子のシーケンシングは、逆転写後のバックグラウンドの非特異的生成物の圧倒的な量によって煩雑になっており、非特異的生成物の長さは、小型標的分子の長さよりもわずかに短い。現在、(RNAから逆転写される)小型標的cDNA分子は、所望のゲル電気泳動バンドを切り出すことによって選択されるサイズである。一般的に、ゲルスライスから得たDNAが抽出され、PCR反応に加え、次いで、スピンカラムに基づく手法を使用して清浄化される。このワークフローは労働集約的であり、DNAの収量/回収率は悪い。
【0110】
一実施形態では、精製およびサイズ選択は、キャピラリーに必要な試薬をポンプで送り込むことによって行われる。特定容量のDNAビーズ溶液、エタノール、空気、および溶出バッファーが引き込まれ、管路内を流れる。DNA−ビーズ溶液が磁場を通過して流れるにつれて、ビーズおよび結合DNAは溶液から取り除かれて管路壁でペレットを形成させる。後続のエタノールスラグが固定ペレットを通過して流れるにつれて、ビーズ−DNAペレットを洗浄する。次いで、溶出バッファーがビーズペレットを通過して流れるにつれて、DNAをビーズから、溶液中に溶出させる。ポンプを逆転させ、精製DNAを含有する溶出液を、NGSライブラリー調製ワークフローの次のステップのために回収する。
【0111】
一実施形態では、常磁性ビーズをcDNA生成物と混合する。特定のバッファー条件の選択による磁性ビーズのサイズ選択特性を使用して(異なるサイズのDNAは、異なるバッファー条件を使用して結合させることができる)、小型cDNA分子を排他的にビーズに結合させることができ、一方、残りの分子は溶液に残り、廃棄物へ送られる。次いで、小型標的分子は、溶出バッファーが固定ビーズペレットを通過すると溶出される。
【0112】
一実施形態では、サイズ選択プロセスはエタノールスラグなしに行われる。
【0113】
NGSシーケンシング用のDNAライブラリーのサイズ選択
各々の次世代シーケンサーは最適な読み取り長(塩基対)を有する。ライブラリー構築の際に、DNAは、広範囲の塩基対の長さでDNA分子に断片化される。サイズ選択は、現在、マイクロタイタープレート上で常磁性ビーズを使用して行われ、これは労働集約的であり、ピペット操作エラーやユーザープロトコールの変動から非効率的である。キャピラリーに基づく管路システムは、DNAライブラリーのサイズ選択に使用することができる。
【0114】
核酸精製
キャピラリーに基づく管路システムは、PCRの前および/または後の試料の精製および/または単離に使用することができる。常磁性ビーズは、核酸の精製および/または単離のための部位として使用される。
【0115】
常磁性ビーズは、PCR後の取り込まれていない過剰なデオキシヌクレオチド三リン酸、塩および酵素の除去に使用することができる。これらの汚染物質の効率的な除去は、下流の適用、例えば、遺伝子型決定、サンガー法、および次世代シーケンシングなどにおける確実な成功のために必要とされる。ビーズに基づく精製は、アンプリコンの高い回収率、汚染物質の効率的な除去、および清浄化における融通性を提供する。可能な実施形態の方法の一部の例を以下に示す。
【0116】
タンパク質濃縮
タンパク質濃縮はまた、キャピラリーに基づく管路システムを使用して行うことができる。常磁性ビーズは、標的タンパク質を濃縮する部位として使用される。
【0117】
ビーズは抗体に対して高親和性を有する媒体でコーティングされる。標的タンパク質に特異的な抗体はビーズに添加され、ビーズ表面に位置している結合部位にカップリングする。次いで、標的タンパク質を含有する生体試料が添加され、抗体に付着する。磁場が適用されると、バックグラウンド分子を含有する生体試料からの分離および単離が可能になる。上清を廃棄し、溶出バッファーの添加を行うと、精製標的タンパク質が得られる。ビーズに基づくタンパク質濃縮手法は、キャピラリーに基づくシステムを使用して達成することが可能であり、自動化ハイスループット様式でタンパク質を濃縮することができる。
【0118】
合成核酸構造体の構築:
常磁性ビーズは、核酸構造体(オリゴヌクレオチド)の組立てを補助するために本明細書で概説したシステムと同様のシステムで使用することができる。
【0119】
磁性ビーズは、関連の結合化学の曝露において重要である、大きな表面−容量比を提供する。所望の配列が組み立てられるまで、オリゴヌクレオチド合成は、成長鎖の5’末端へヌクレオチド残基を段階的に付加することにより行われる。ステップは、カップリングの前に、官能基を酸溶液により除去する非ブロック化(脱トリチル化)を含む。カップリングはヌクレオシドホスホルアミダイトを導入し結合させて、次の塩基を構築する。次いで、キャッピングを行い、さらなる鎖の伸長を防止することを確実にする。これは、通常、無水酢酸および1−メチルイミダゾールで固体支持体を処理することによって行われる。次いで、酸化を行って、安定性を高める。
【0120】
細胞濃縮/単離
常磁性ビーズは、生体試料から標的細胞を単離し濃縮するために使用することができる。この手法は、カラムを使用せずに、生体試料から細胞を直接濃縮し、細胞の生存率と収量を確実に高める。標的細胞が極めて稀である場合、これは、最小限の残存疾患の腫瘍細胞解析などの適用において特に重要である。
【0121】
濃縮は、生体試料に特異的な細胞マーカーに対する抗体でコーティングされた常磁性ビーズを添加することによって達成される。標的細胞は、ビーズに結合し、磁石を用いて分離される。次いで、バックグラウンド細胞を含有する上清は廃棄される。その後、標的細胞は分析のために回収することができる。この常磁性ビーズに基づく細胞単離および濃縮手法はキャピラリーに基づくシステムで実施することができ、自動化された細胞濃縮が可能になり、下流分析のため、他のマイクロ流体技術と一体化することができる。
【実施例】
【0122】
以下の実施例は特定の実施形態を説明するが、開示された主題の範囲を限定するものとしてみなされるべきではない。
【0123】
285bpアンプリコンの精製および回収
この実施例では、GenCell Biosystemsのキャピラリーに基づく核酸精製システムから得たデータを示す。この実験は、キャピラリー精製システムによってPCR生成物を精製および回収することができたことを実証するために実施した。
【0124】
アクチン−ベータ遺伝子上の285bp断片を標的とするフォワードプライマーおよびリバースプライマーを使用し、PCRを使用して意図した生成物を増幅した。次いで、この生成物を使用して、キャピラリーに基づく常磁性ビーズ精製機器の性能を評価した。ビーズ−バッファーミックス18μL(AMPure Xp、Agencourt)を、PCRチューブに入れたPCR生成物10μLにピペットで加えた。1.8×ビーズミックス濃度で100bpよりも大きい断片が確実に回収される。ビーズ−DNAミックスは、AMPure Xpプロトコールによって推奨されているように、ピペットで混合し、5分間室温でインキュベートしてDNAをビーズに結合させた。28μLビーズ−DNA溶液をPTFEキャピラリーチューブ(内径400ミクロン)へ吸引し、続いて70%エタノールスラグ5μLを2つ、空気スラグ10μL、ポリジメチルシロキサンオイル2.5μL、および溶出バッファー(ヌクレアーゼを含まない水)10μLを吸引した。DNA−ビーズミックス、エタノール、空気、オイルおよび溶出バッファースラグの順になったものを、シリンジポンプ(PHD2000、Harvard Apparatus)を使用し、10μL/minの一定流量でポンプで送り込んだ。記載した試薬の順序は、AMPure Xpプロトコールにより指定されている精製ステップを模倣した。溶液が磁石を通過するとき、ビーズおよび結合標的DNAは、ビーズ−DNA溶液からキャピラリー壁へ取り除いた。エタノールスラグは、この時点で固定されているDNA−ビーズペレットを越えて通過し、ペレットを洗浄し、残余の汚染物質を取り除いた。次いで、空気スラグとオイルスラグがペレットを過ぎて送達され、残余のエタノールを除去した。精製プロセスの最終ステップにおいて、溶出バッファースラグは、それがビーズペレットを通過するにつれて、ビーズから標的DNAを溶液へ溶出した。ポンプを逆転させ、溶出物は分析用の滅菌済みPCRチューブに回収した。この実験は二連で行った。次いで、溶出物はゲル電気泳動を使用して分析した。
【0125】
2つの溶出物試料を未精製の285bpアクチン−ベータ製品と比較するゲル電気泳動結果を図10で確認することができる。図10によれば、記載したキャピラリー精製技法は成功裏に385bpを回収したことが明らかである。溶出物のバンドを清浄化していないPCR生成物バンドと比較すると、精製手順により、プライマーダイマーなどの非特異的生成物が除去されたことが明らかである。
【0126】
DNA回収率:従来のDNA単離プロトコールとの比較
本実施例は、GenCell Biosystemsキャピラリー核酸精製システムから得られたデータを示し、従来のビーズに基づく精製プロトコールと本キャピラリービーズに基づく精製プロトコールの間の回収率を比較する。これらの実験は、キャピラリービーズに基づく精製手法の性能を評価するために使用した。
【0127】
285bpアクチンベータ−アンプリコンを精製のためのDNA鋳型として使用した。アンプリコンは、実施例285bpアンプリコンの精製および回収において上記概説したキャピラリービーズに基づく精製プロトコールに従って精製し、回収した。この実験は四連で行い、溶出物試料は分析のために保存した。
【0128】
個別の実験において、285bpアンプリコンを含有する鋳型溶液10μLを、AMPure Xpプロトコールに従って清浄化した。AMPure Xpビーズミックス18μLを、鋳型溶液10μLを含有する96ウェルマイクロタイタープレートのウェルにピペットで移した。DNAビーズ混合物をピペットで混合し、5分間室温でインキュベートした。マイクロタイタープレートを磁気プレートに置き、溶液から結合DNAを含有するビーズを分離した。ピペットを使用して上清を吸引し、廃棄した。70%エタノール200μLをビーズペレットに加え、室温で30秒間インキュベートした。次いで、エタノールはピペットを使用して吸引して取り出し、廃棄した。合計2回の洗浄についてこれを繰り返した。最終の洗浄ステップに続いて、ペレットを乾燥させ、微量のすべてのエタノールを確実に除去した。溶出バッファー(ヌクレアーゼを含まない水)10μLをウェルに加え、磁気プレートから離したビーズペレットにピペットで移し、DNAをビーズから溶液へ溶出させた。マイクロタイタープレートを磁気プレートに置き、溶出物を新しいプレートに移した。この実験は三連で行い、試料は分析のために保存した。
【0129】
従来の清浄化プロトコールと本キャピラリー清浄化手法から回収された溶出物は、UV可視分光測光測定(NanoDrop2000、Thermo Scientific)を使用して定量した。UV可視分光測光の定量結果は図7で確認することができる。図7に示した定量結果は、キャピラリー清浄化回収率が従来のプロトコールを使用して得られた回収率と同一であることを証明している。この結果は、DNA回収率が従来のAMPure Xpプロトコールを使用して得られた回収率と等しいことを確認するものである。本願で概説したキャピラリーDNA精製手法は、性能においてトレードオフのない高度に自動化された精製を提供する。
【0130】
DNAライブラリー調製
本実施例は、次世代シーケンシングのためのDNAライブラリー調製プロトコールへキャピラリービーズに基づく精製をどのように組み入れることができるかを示す。本願に提示したデータは、現在、DNAライブラリー調製プロトコール内の様々な生物学的プロセスの後に行われる精製ステップがキャピラリー清浄化手法を使用して置き換えられ、次世代シーケンサーのためのDNAライブラリーを調製する完全自動化のハイスループット手法が提供できることを証明している。
【0131】
本実施例において、キャピラリー清浄化は、Nextera Sample Prep Kit(Illumina)で現在使用されている清浄化ステップの代わりに実施した。9μLのタグメンテーション反応物を調製した。この反応物は、対照ゲノムDNA、高分子量バッファー、Nextera酵素ミックスおよびヌクレアーゼを含まない水を含有していた。この反応物において、DNAは断片化され、アダプターでタグ付けされる。タグメンテーション反応物を調製し、5分間55℃でインキュベートした。タグメンテーションの後、試料は、推奨されているZymo DNA clean and Concentrator Kit(Zymo Research)の代わりに、本キャピラリービーズに基づく精製システムを使用して精製した。タグメンテーションされた生成物9μLをAMPure Xpビーズ溶液16.2μLに加え、ピペットで混合し、5分間室温でインキュベートした。次いで、DNA−ビーズ溶液をPTFEキャピラリー(内径400ミクロン)へ吸引した。その後、キャピラリーに空気2.5μL、DNA結合バッファーの10μLスラグ、空気の2.5μLスラグ、エタノールの2つの5μLスラグを装填し、空気の2.5μLスラグ、空気の10μLスラグ、オイルの2.5μLスラグ、および溶出バッファースラグ(ヌクレアーゼを含まない水)の15μLスラグによって分離した。一連の試薬スラグは、シリンジポンプ(PHD2000、Harvard)を使用して10μL/minでポンプで送り込んだ。溶液が磁石を通過するとき、ビーズおよび結合標的DNAは、ビーズDNA溶液からキャピラリー壁へ除去された。次いで、DNA−結合バッファー(Zymo Clean and Concentrator Kit、Zymo Research)は固定ビーズペレットを通過し、断片化標的DNAからトランスポサーゼ酵素−公知のPCR阻害物質を解離する。これに続いて、エタノール洗浄ステップをビーズDNAペレットに施し、残余の汚染物質を除去する。その後、空気スラグとオイルスラグがペレットを通過し、残余のエタノールを除去する。最後に、溶出バッファーがペレットを通過するにつれて、タグメンテーションされたDNAがビーズから溶出された。ポンプを逆転させ、溶出バッファーはNexteraライブラリー調製プロトコールの後続ステップで回収された。
【0132】
溶出液11μLをPCR反応物(最終容量25μL)に加えた。次いで、Nexteraプロトコールによって指定された熱サイクリング条件に従い、GeneAmp PCR System9700(Applied Biosystems)を使用して制限されたサイクルのPCRを行った。PCR反応物は、72℃3分間、95℃30秒間加熱し、その後、95℃10秒間、62℃30秒間、72℃3分間の9サイクルが続いた。PCRステップの間、ブリッジPCR法に適合した部位と特定の指標がタグメンテーションされたDNA末端に付加される。制限されたサイクルのPCRステップに続いて、推奨されているZymo DNA Clean and Concentrator Kit(Zymo Research)またはAMPure Xp精製キットの代わりに、本キャピラリービーズに基づく清浄化を用いて、DNAライブラリー生成物を精製した。PCR反応物25μLのうちの15μLをAMPure Xpビーズ溶液25μLに加え、ピペットで混合し、5分間室温でインキュベートした。ビーズDNA溶液をPTFEキャピラリー(内径400ミクロン)へ吸引した。その後、キャピラリーに空気2.5μL、エタノールの2つの5μLスラグを装填し、空気スラグを分離し、続いて、空気の10μLスラグ、オイルの2.5μLスラグ、および溶出バッファー(ヌクレアーゼを含まない水)の15μLスラグを分離した。溶液が磁石を通過するときに、ビーズおよび結合標的DNAは、ビーズDNA溶液からキャピラリー壁に取り除かれた。これに続いて、エタノール洗浄ステップをビーズDNAペレットに施し、残余の汚染物質を除去した。その後、空気スラグとオイルスラグがペレットを通過し、残余のエタノールを除去した。最後に、溶出バッファーがペレットを通過するにつれて、DNAライブラリーの配列がビーズから溶出された。ポンプを逆転させ、溶出バッファーは分析のために回収した。この実験は二連で行った。
【0133】
回収されたDNAライブラリーはゲル電気泳動を使用して分析した。ゲル電気泳動結果は図8で確認することができる。ゲル結果を調べると、Nexteraプロトコールで実施された2つのキャピラリー清浄化ステップがライブラリー配列を成功裏に清浄化し精製したことが明らかである。200bpより大きいDNAライブラリー断片に対応するスメアになったバンドは図8で確認することができ、キャピラリービーズに基づく清浄化は、タグメンテーション後のトランスポサーゼ酵素を除去し、タグメンテーションおよび制限されたサイクルのPCR後の生成物の精製に有効であることが証明されている。これは、キャピラリービーズに基づく清浄化システムが、DNAライブラリー調製プロトコール内の従来の精製ステップを実現可能な代替物であることを確認するものである。
【0134】
DNAライブラリー調製:従来のDNA精製プロトコールとの比較
本実施例は、DNAライブラリー調製プロトコールで使用するためのキャピラリービーズに基づく精製システムの有効性を確認する。DNAライブラリー調製プロトコールはプロトコールにより、本キャピラリー清浄化ステップを用いて実施した。次いで、両実験から得た最終ライブラリー生成物を比較し、本キャピラリー清浄化ステップの効果が従来の清浄化ステップの代わりとなることを確認した。
【0135】
Nexteraライブラリー調製プロトコールは、前の実施例のDNAライブラリー調製で記載のようにして、タグメンテーションの後、および制限されたサイクルのPCRの後に、本キャピラリー清浄化ステップを使用して行った。これは二連で行い、最終ライブラリー生成物は回収し、分析のために保存した。
【0136】
Nexteraライブラリー調製プロトコールは、推奨されたプロトコールにより1つを変更して行った。タグメンテーション後の清浄化をAMPure Xp精製キットを使用して行った。タグメンテーション反応物は、前の実施例のDNAライブラリー調製で述べたようにして調製した。その後、タグメンテーション反応物9μLをAMPure Xp精製キットを使用して精製した。タグメンテーションされた生成物9μLを、マイクロタイタープレートのウェルに入れたAMPure Xpビーズ溶液16.2μLに加え、ピペットで混合し、5分間室温でインキュベートした。マイクロタイタープレートを磁気プレートに置き、溶液から結合DNAを含有するビーズを分離した。上清はピペットを使用して吸引し、廃棄した。DNA結合バッファー200μLをビーズペレットに加え、室温で60秒間インキュベートし、タグメンテーションされたDNAからトランスポーズ酵素を解離した。70%エタノール200μLをビーズペレットに加え、室温で30秒間インキュベートした。次いで、エタノールはピペットを使用して吸引して取り出し、廃棄した。これは、合計2回の洗浄について繰り返した。最終の洗浄ステップに続いて、ペレットを乾燥させ、微量のすべてのエタノールを確実に除去した。溶出バッファー(ヌクレアーゼを含まない水)15μLをウェルに加え、ビーズペレットにピペットで移し、これを磁気プレートから取り除いて溶出バッファー中にビーズを再懸濁させ、DNAをビーズから溶液へ溶出させた。マイクロタイタープレートを磁気プレートに再配置し、ビーズと溶出物を分離し、溶出物はPCR反応物(最終容量25μL)に移した。
【0137】
制限されたサイクルのPCRは、実施例DNAライブラリー調製で述べたようにして実施した。PCRに続いて、PCR反応物25μLのうちの15μLを、マイクロタイタープレートのウェル中のAMPure Xpビーズ溶液25μLに加えた。DNA−ビーズ混合物はピペットで混合し、5分間室温でインキュベートした。マイクロタイタープレートを磁気プレートに置き、結合DNAを含有するビーズを溶液から分離した。ピペットを使用して上清を吸引し、廃棄した。70%エタノール200μLをビーズペレットに加え、室温で30秒間インキュベートした。次いでエタノールはピペットを使用して吸引して取り出し、廃棄した。これは、合計2回の洗浄について繰り返した。最終の洗浄ステップに続いて、ペレットを乾燥させ、微量のすべてのエタノールを確実に除去した。溶出バッファー(ヌクレアーゼを含まない水)15μLをウェルに加え、ビーズペレットにピペットで移し、ビーズペレットは、磁気プレートから取り除いて溶出バッファー中にビーズを再懸濁させ、DNAをビーズから溶液へ放出させた。マイクロタイタープレートを磁気プレートに再配置し、ビーズを溶液から分離し、最終ライブラリー生成物を含有する溶出物は分析のため新しいプレートに移した。この実験は二連で行った。
【0138】
従来のプロトコールとキャピラリー清浄化ステップを組み入れたプロトコールとを使用して回収された最終ライブラリー生成物は、ゲル電気泳動を使用して分析した。ゲル結果は図8で確認することができる。このゲル結果を調べると、キャピラリー清浄化プロトコールから回収された生成物のスメアおよびサイズは、従来のプロトコールを使用して調製したライブラリーのものとほぼ等しいことが明らかである。これは、キャピラリービーズに基づく精製ステップをプロトコールで実施することによって、従来のプロトコールを使用して得られたのと類似した回収率とライブラリー品質が得られることを証明するものである。キャピラリーに基づく手法は、完全に自動化されたDNAライブラリー調製システムを提供する他のオープンアーキテクチャーテクノロジーと統合することができる、労働のない、高スループットの手法を提供する。
【0139】
低容量DNAライブラリーの調製:従来のDNA精製プロトコールとの比較
本実施例は、低容量DNAライブラリーを調製する際にキャピラリービーズに基づく精製システムの効率を強調する。DNAライブラリー調製プロトコールは、プロトコールにより、低減された反応容量のためのキャピラリー清浄化ステップで実施した。次いで、両実験から得られた最終ライブラリー生成物を比較し、小容量のDNAライブラリーの調製の際に、従来の清浄化ステップの代わりに、キャピラリー清浄化ステップを使用することの利点を確認した。
【0140】
この実験の第1部において、2.5μLタグメンテーション反応物を調製し、5分間55℃でインキュベートした。タグメンテーションに続き、タグメンテーション反応物2.5μLを4.5μLのAMPure Xpビーズ溶液に加え、ピペットで混合し、5分間室温でインキュベートした。前の実施例で述べたようにして、DNA結合バッファーステップを追加したAMPure Xpプロトコールを使用して、その溶液を精製した。タグメンテーションされた生成物をヌクレアーゼを含まない水1.1μL中に溶出させ、PCR反応物に加えた。次いで、PCR反応物2.5μLをAMPure Xpプロトコールにより精製し、最終ライブラリー生成物をヌクレアーゼを含まない水4μL中に溶出させ、分析のために保存した。この実験の第2部において、前の実施例で述べたようにして、キャピラリー清浄化ステップを使用して、同一容量を精製した。両手法は二連で行った。
【0141】
最終DNAライブラリー生成物をPCR反応物20μLに加え、定量PCR(qPCR)を使用して分析した。フォワードプライマーおよびリバースプライマーは、DNAライブラリー断片の末端に付加されたアダプターに特異的であり、シーケンサーにすぐに供することができる断片のみが定量化されることを確実にした。SYBR緑色検出化学を使用した。KAPA Biosystemsによって供給されている標準品も、同一qPCRプレート上で試行し、回収されたライブラリー生成物の絶対的な定量を可能にした。qPCRプレートは、KAPA Biosystems Library Quant Kitにより、40サイクル(ABi StepOne、 LifeTechnologies)に供した。
【0142】
qPCR結果は図9で確認することができる。キャピラリー清浄化を使用して回収された2つのライブラリーは、従来のプロトコールを使用して回収されたライブラリーよりも早い定量サイクル(Cq)値を有する。Cqは、蛍光シグナルがバックグラウンド蛍光レベルを超え、出発生成物の量に関係しているサイクル数として定義される。キャピラリー清浄化した生成物についてのCq値は2.8および2.9であった。従来法を使用して清浄化した生成物についてのCq値は3.6および4.0であり、キャピラリー清浄化生成物よりも顕著に遅いものであった。これは、DNAライブラリーを小容量から調製する際に、キャピラリー清浄化が優れた回収率を提供することを証明している。これは、ピペット操作エラーが顕著である、従来のプロトコールと比較して、キャピラリー手法に関連した試料損失が低下したことによるものであろう。
【0143】
キャピラリー清浄化に関連した、優れたDNAライブラリー回収率は、次の実施例でさらに支持される。
【0144】
キャピラリービーズに基づく単離を使用する低容量試料からのDNA回収
本実施例では、小容量のDNAライブラリーを操作する場合に、キャピラリー清浄化手法の回収率が優れていることを確認する。本実施例では、多数の実験を実施し、キャピラリー清浄化を使用するDNAライブラリー回収を調査した。
【0145】
完全なNexteraプロトコールを、従来のプロトコールに従って行った。最終DNAライブラリー生成物は保存し、鋳型として使用した。DNAライブラリー2.5μLをAMPure Xpビーズ溶液4.5μLに加え、ピペットで混合し、前の実施例で概説したキャピラリー清浄化手順に供した。次いで、回収生成物をPCR反応物に加えた。鋳型2.5μLを含有する陽性対照を三連で試行し、分析した。回収されたライブラリー生成物および陽性対照はqPCRを使用して分析した。陽性対照および溶出物のCq値を表1に示す。陽性対照のCq値は、任意の精製プロセス前のDNAライブラリー生成物の出発量を表す。DNAライブラリー生成物2.5μLを陽性対照で使用し、小容量キャピラリー清浄化プロセスへ投入したので、両者に対するCq値は、100%の回収効率を仮定して、等しいものとなるべきである。陽性対照および溶出物に対するCq値を調べると、ライブラリー生成物のすべてではないがそのほとんどが、キャピラリービーズに基づく清浄化に試料を供した後に回収されることが明らかである。溶出物のCq値は陽性対照とほぼ等しく、DNAライブラリー生成物の効率的な回収を証明している。
【0146】
本実施例では、キャピラリー清浄化手法がDNAライブラリーを小容量から効率的に回収することができることを確認する。
【0147】
【表1】
【0148】
キャピラリーの汚染除去−再利用可能性
前の実施例で概説したキャピラリー清浄化手順は、通常、PCR生成物またはDNAライブラリーなどの高濃度試料を精製する。回避不可能なこととして、ビーズが溶液から分離され、キャピラリー壁に担持されるので、キャピラリーは少量の標的DNAで汚染される。ラインの配置がなく、これが試料間のキャリーオーバー汚染をもたらす。明らかに、これは非常に望ましくない。本実施例では、一連の洗浄ステップが、キャピラリービーズに基づく精製の実施後に、キャピラリーに残っているあらゆる核酸を十分に除去または破壊すること−キャピラリーの再利用を可能にすることを証明する。
【0149】
キャピラリービーズに基づく単離を使用する低容量試料からのDNA回収の実施例で概説した正確なプロトコールに従い、キャピラリー清浄化手法を使用してPCR生成物を精製した。次いで、9μLのキャピラリー陰性スラグ(ヌクレアーゼを含まない水)をキャピラリーに沿って通過させ、回収し、ラインが汚染されたかどうかを調べた。これに続いて、キャピラリーに3分間清浄化試薬(LookOut DNA Erase、SigmaAldrich)を充填した。清浄化試薬をポンプで送り込んで廃棄し、ラインを滅菌水で洗い流した。汚染除去の後、2つの滅菌9μLキャピラリー陰性スラグをキャピラリーに沿って通過させ、洗浄ステップ後の汚染レベルを調べた。回収された溶出物およびキャピラリー陰性物をPCR反応物に加えた。陽性対照および鋳型なしの対照も調製し、qPCR(ABi StepOne、 LifeTechnologies)を使用して分析した。qPCR結果は図11で確認することができる。図11を調べると、キャピラリー清浄化を実施した直後にキャピラリーが有意に汚染されていることは明らかである。汚染除去ステップの後、キャピラリー陰性物のCq値は、鋳型なしの対照のCq値内に入る。鋳型なしの対照とキャピラリー陰性物が示すCq値は、プライマーダイマー生成物に対応する。キャピラリー陰性物は標的生成物に対し陰性のままであり、これはキャピラリー洗浄後の汚染除去が有効であることを示している。
【0150】
記載した洗浄ステップの実施により、各精製/サイズ選択実験の後のラインの再利用が可能になる。
【0151】
定義
本開示において、用語「スラグ」の使用はプラグという用語と相互に交換可能であり、管路内を流れる個別の容量の流体を示す。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18