特許第6141909号(P6141909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141909
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】生物液体用の機械的セパレータ
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20170529BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20170529BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   G01N1/00 101H
   G01N1/10 H
   G01N33/48 H
【請求項の数】29
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-104995(P2015-104995)
(22)【出願日】2015年5月22日
(65)【公開番号】特開2016-95293(P2016-95293A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2015年5月22日
(31)【優先権主張番号】62/079,216
(32)【優先日】2014年11月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/629,643
(32)【優先日】2015年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェイ.ロサダ
(72)【発明者】
【氏名】アルン ユー.ナイア
【審査官】 高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−526994(JP,A)
【文献】 特開2009−222720(JP,A)
【文献】 特表2005−525126(JP,A)
【文献】 特表2011−528802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48
G01N 1/00−1/10
A61B 5/154
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を第1の部分および第2の部分に分離することを可能にする分離アセンブリであって、
第1の端部、第2の端部、およびこれらの間に延び、内面を有し、容器内部を画定する側壁を有する容器であって、前記第1の端部と前記第2の端部の間に縦軸を画定する容器と、
前記容器内部に配置されたセパレータ本体であって、セパレータ本体を通って画定された直線状の貫通孔を有し、
第1の部分、および
前記第1の部分と境界を接した第2の部分
を備えるセパレータ本体とを備え、
前記セパレータ本体は、前記貫通孔が前記容器の前記第1の端部に対し液体受入れ配置で規定される第1の位置から、前記貫通孔が前記容器の前記縦軸に対し実質的に垂直で規定される第2の位置まで移行可能であり、
前記第1の位置において、前記セパレータ本体の前記貫通孔の貫通軸は、前記容器の前記縦軸を含む平面と平行ではない平面にあることを特徴とする分離アセンブリ。
【請求項2】
前記セパレータ本体の前記第1の部分はフロートであり、前記フロートは前記セパレータ本体の上面を画定し、また前記セパレータ本体の前記第2の部分はバラストであり、前記バラストは前記セパレータ本体の下面を画定することを特徴とする請求項1に記載の分離アセンブリ。
【請求項3】
前記セパレータ本体が第1の位置にあるとき、前記セパレータ本体は、前記フロートの前記上面の中心からずれている場所で前記容器の前記側壁と接触することを特徴とする請求項2に記載の分離アセンブリ。
【請求項4】
前記セパレータ本体が前記第1の位置にあるとき、前記セパレータ本体は、前記バラストの前記下面の中心からずれている場所で前記容器の前記側壁と接触することを特徴とする請求項2に記載の分離アセンブリ。
【請求項5】
前記第2の位置にあるとき、前記セパレータ本体は、前記フロートの前記上面の周辺部の少なくとも一部で、前記容器の前記側壁と接触することを特徴とする請求項2に記載の分離アセンブリ。
【請求項6】
前記第2の位置にあるとき、前記セパレータ本体は、前記フロートの前記上面の周辺部全体で、前記容器の前記側壁と接触することを特徴とする請求項2に記載の分離アセンブリ。
【請求項7】
前記セパレータ本体の前記第1の部分の一部分と、前記セパレータ本体の前記第2の部分の一部分とは、前記貫通孔を画定することを特徴とする請求項1に記載の分離アセンブリ。
【請求項8】
前記セパレータ本体の前記第1の部分は、前記貫通孔を画定することを特徴とする請求項1に記載の分離アセンブリ。
【請求項9】
液体を第1の部分および第2の部分に分離することを可能にする分離アセンブリであって、
第1の端部、第2の端部、およびこれらの間に延び、内面を有し、容器内部を画定する側壁を有する容器であって、前記第1の端部と前記第2の端部の間に縦軸を画定する容器と、
前記容器内部に配置されたセパレータ本体であって、セパレータ本体を通って画定された直線状の貫通孔を有し、
第1の部分、および
前記第1の部分と境界を接した第2の部分
を備えるセパレータ本体とを備え、
前記セパレータ本体は、前記貫通孔が前記容器の前記第1の端部に対し液体受入れ配置で規定される第1の位置から、前記貫通孔が前記容器の前記縦軸に対し実質的に垂直で規定される第2の位置まで移行可能であり、
前記第1の位置において、前記貫通孔の貫通軸は、前記容器の前記縦軸および前記容器の前記側壁の少なくとも一方に対して角度が付けられていることを特徴とする分離アセンブリ。
【請求項10】
前記第1の位置において、前記貫通孔の前記貫通軸は、前記容器の前記側壁に対して30°から60°の角度が付けられていることを特徴とする請求項9に記載の分離アセンブリ。
【請求項11】
前記セパレータ本体の前記第1の部分はフロートであり、前記フロートは前記セパレータ本体の上面を画定し、また前記セパレータ本体の前記第2の部分はバラストであり、前記バラストは前記セパレータ本体の下面を画定することを特徴とする請求項9に記載の分離アセンブリ。
【請求項12】
前記第1の位置にあるとき、前記セパレータ本体は、前記フロートの前記上面の中心からずれている場所で前記容器の前記側壁と接触することを特徴とする請求項11に記載の分離アセンブリ。
【請求項13】
前記第1の位置にあるとき、前記セパレータ本体は、前記バラストの前記下面の中心からずれている場所で前記容器の前記側壁と接触することを特徴とする請求項11に記載の分離アセンブリ。
【請求項14】
前記第2の位置にあるとき、前記セパレータ本体は、前記フロートの前記上面の周辺部の少なくとも一部で、前記容器の前記側壁と接触することを特徴とする請求項11に記載の分離アセンブリ。
【請求項15】
前記第2の位置にあるとき、前記セパレータ本体は、前記フロートの前記上面の周辺部全体で、前記容器の前記側壁と接触することを特徴とする請求項11に記載の分離アセンブリ。
【請求項16】
前記セパレータ本体の前記第1の部分の一部分と、前記セパレータ本体の前記第2の部分の一部分とは、前記貫通孔を画定することを特徴とする請求項9に記載の分離アセンブリ。
【請求項17】
前記セパレータ本体の前記第1の部分は、前記貫通孔を画定することを特徴とする請求項9に記載の分離アセンブリ。
【請求項18】
液体を第1の部分および第2の部分に分離することを可能にする分離アセンブリであって、
第1の端部、第2の端部、およびこれらの間に延び、内面を有し、容器内部を画定する側壁を有する容器であって、前記第1の端部と前記第2の端部の間に縦軸を画定する容器と、
前記容器内部に配置されたセパレータ本体であって、セパレータ本体を液体が通過するための直線状の貫通孔を有し、
第1の部分、および
前記第1の部分と境界を接した第2の部分
を備えるセパレータ本体とを備え、
前記セパレータ本体は、前記貫通孔が前記容器の前記第1の端部に対し液体受入れ配置で規定される第1の位置から、前記貫通孔が前記容器の前記縦軸に対し実質的に垂直で規定される第2の位置まで移行可能であり、
前記第1の位置において、前記セパレータ本体の前記貫通孔の貫通軸は、前記容器の前記縦軸からずれていることを特徴とする分離アセンブリ。
【請求項19】
前記セパレータ本体の前記第1の部分はフロートであり、前記フロートは前記セパレータ本体の上面を画定し、また前記セパレータ本体の前記第2の部分はバラストであり、前記バラストは前記セパレータ本体の下面を画定することを特徴とする請求項18に記載の分離アセンブリ。
【請求項20】
前記第1の位置にあるとき、前記セパレータ本体は、前記フロートの前記上面の中心からずれている場所で前記容器の前記側壁と接触することを特徴とする請求項19に記載の分離アセンブリ。
【請求項21】
前記第1の位置にあるとき、前記セパレータ本体は、前記バラストの前記下面の中心からずれている場所で前記容器の前記側壁と接触することを特徴とする請求項19に記載の分離アセンブリ。
【請求項22】
前記第2の位置にあるとき、前記セパレータ本体は、前記フロートの前記上面の周辺部の少なくとも一部で、前記容器の前記側壁と接触することを特徴とする請求項19に記載の分離アセンブリ。
【請求項23】
前記第2の位置にあるとき、前記セパレータ本体は、前記フロートの前記上面の周辺部全体で、前記容器の前記側壁と接触することを特徴とする請求項19に記載の分離アセンブリ。
【請求項24】
前記セパレータ本体の前記第1の部分の一部分と、前記セパレータ本体の前記第2の部分の一部分とは、前記貫通孔を画定することを特徴とする請求項18に記載の分離アセンブリ。
【請求項25】
前記セパレータ本体の前記第1の部分は、前記貫通孔を画定することを特徴とする請求項18に記載の分離アセンブリ。
【請求項26】
液体を第1の部分および第2の部分に分離することを可能にする分離アセンブリであって、
第1の端部、第2の端部、およびこれらの間に延び、内面を有し、容器内部を画定する側壁を有する容器であって、前記第1の端部と前記第2の端部の間に縦軸を画定する容器と、
前記容器内部に配置されたセパレータ本体であって、セパレータ本体を通って画定された貫通孔を有し、
フロート、および
バラストを備え、前記フロートと前記バラストは連結され、前記バラストは先頭バラスト部分および追従バラスト部分を画定する、セパレータ本体とを備え、
前記セパレータ本体は、前記貫通孔が前記容器の前記第1の端部に対し液体受入れ配置で規定される第1の位置から、前記貫通孔が前記容器の前記縦軸に対し実質的に垂直で規定される第2の位置まで移行可能であり、
前記第1の位置において、前記セパレータ本体の前記先頭バラスト部分は、前記容器の前記側壁に接触し、前記追従バラスト部分は、前記容器の前記側壁から離して間隔があけられることを特徴とする分離アセンブリ。
【請求項27】
前記フロートは先頭フロート部分および追従フロート部分を画定し、前記第1の位置において、前記セパレータ本体の前記追従フロート部分および前記先頭バラスト部分は、前記容器の前記側壁に隣接して提供され、前記先頭フロート部分および前記追従バラスト部分は、前記容器の前記側壁から離して間隔があけられることを特徴とする請求項26に記載の分離アセンブリ。
【請求項28】
前記貫通孔の開口の外周部分の少なくとも一部は、前記容器の側壁の近傍に隣接することを特徴とする請求項1、9、18及び26いずれか一項に記載の分離アセンブリ。
【請求項29】
前記貫通孔は第1の開口部と第2の開口部を備え、前記貫通軸は、前記第1の開口部の中心と前記第2の開口部の中心を通り、そして貫通孔を二分する平面にあることを特徴とする請求項1、9、18及び26のいずれか一項に記載の分離アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
主題の発明は、液体サンプルの高密度画分と低密度画分を分離するデバイスに関する。より詳細には、本発明は、液体サンプルを採血し輸送するデバイスに関し、それによってデバイスおよび液体サンプルは、液体サンプルの低密度画分から高密度画分を分離させるために遠心分離にかけられる。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により開示全体が本明細書に組み込まれている、2014年11月13日に出願した米国仮出願第62/079,216号、名称「Mechanical Separator for a Biological Fluid」の優先権を主張するものである。
【0003】
診断検査では、患者の全血サンプルを血清または血漿(低密度相成分)および赤血球(高密度相成分)などの成分に分離することを必要とする場合がある。全血のサンプルは通常、静脈穿刺によって、シリンジまたは減圧採血管に取り付けられたカニューレまたは針を通して採血される。採血の後、血清または血漿および赤血球への血液の分離が、遠心セパレータでのシリンジまたは管の回転によって達成される。分離を維持するために、高密度相成分と低密度相成分の間にバリアが配置されなければならない。これは、分離された成分がその後に検査されることを可能にする。
【0004】
様々な分離バリアが、液体サンプルの高密度相と低密度相の間の領域を分けるために、採血デバイスで使用されてきた。最も広く使用されるデバイスは、ポリエステルゲルなどの揺変性(チキソトロピー)ゲル材料を含む。しかし、現在のポリエステルゲル血清分離管は、ゲルを調製するにも管を充填するにも特別な製造機器を必要とする。さらに、ゲルベースのセパレータ製品の貯蔵寿命は限られている。時間が経つにつれて、ゲル塊から小球が放出され、分離された相成分の片方または両方に入る可能性がある。さらに、市販のゲルバリアは、分析物と化学的に反応する可能性がある。したがって、血液サンプルが採取されたときにその中に特定の薬物が存在する場合、ゲル境界面との不都合な化学反応が起こり得る。さらに、計測器プローブが採血容器の中にあまりに深く挿入された場合には、計測器プローブは、それがゲルと接触した場合に詰まる可能性がある。
【0005】
機械的バリアが液体サンプルの高密度相と低密度相の間に使用されることができる、いくつかの機械的セパレータもまた提案されてきた。従来の機械的バリアは、遠心分離時に加えられる高い重力を利用して高密度相成分と低密度相成分の間に配置される。血漿試料および血清試料に対して適切な向きにするために、従来の機械的セパレータは通常、遠心分離の前に、採血された全血試料の上に配置される。これは通常、機械的セパレータが、血液採取セットまたは静脈切開針と係合されたときのデバイスを通って、またはその周りに血液充満が生じるようにして、管閉鎖部の下側に付けられることを必要とする。この取付けは、輸送、取扱い、および血液引抜き中のセパレータの時期尚早の動きを防止するために必要とされる。従来の機械的セパレータは通常、ベローズ構成要素と閉鎖部の間の機械的インターロックによって、管閉鎖部に付けられる。
【0006】
従来の機械的セパレータは、いくつかの重大な欠点を有する。図1に示されるように、従来のセパレータは、管壁またはシリンジ壁4との封止を提供するためのベローズ2を含む。通常、ベローズ2の少なくとも一部分は、閉鎖部6の中に含まれるか、または閉鎖部6と接触している。図1に示されるように、針8が閉鎖部6から入ると、ベローズ2は押し下げられる。これは、針の挿入または除去時に血液が貯留し得る空隙9を作り出す。これは結果として、閉鎖部の下のサンプルの貯留、採血時に機械的セパレータが時期尚早に解放するデバイスの早期発射、血清および血漿などの液体相のかなりの量の閉じ込め、低いサンプル品質、および/または特定の状況のもとでのバリア障害、をもたらす可能性がある。さらに、以前の機械的セパレータは高価であり、また複雑な複数部分製作技法の故に、製造するには複雑である。
【0007】
加えて、液体または液体の一部分がセパレータと採血管の間に閉じ込められ、結果としてせん断力が液体に置かれることになる場合に生じ得る、液体の細胞構造の損傷を低減することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、標準的なサンプリング機器と適合し、かつ従来のセパレータの前述の問題を低減または解消するセパレータデバイスの必要性が存在する。また、血液サンプルを分離するのに簡単に使用され、遠心分離時にサンプルの高密度相と低密度相の相互汚染を最小限にし、貯蔵および輸送中の温度に依存せず、かつ放射線滅菌に対し安定している、セパレータデバイスの必要性もまた存在する。さらに、必要とする相対的可動部分が少なく、かつ採血容器の中への試料の導入の、向上された容易さを与える単一の分離デバイスの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様によれば、液体を第1の部分および第2の部分に分離することを可能にする分離アセンブリは、第1の端部、第2の端部、およびこれらの間に延び、内面を有し、容器内部を画定する側壁を有する容器を含む。容器は、第1の端部と第2の端部の間に縦軸を画定する。分離アセンブリはまた、容器内部に配置されたセパレータ本体であって、それを通って画定された貫通孔を有するセパレータ本体を含む。セパレータ本体は、第1の部分、および第1の部分と境界を接した第2の部分を含む。セパレータ本体は、貫通孔が容器の第1の端部に対し液体受入れ配置で規定される第1の位置から、貫通孔が容器の縦軸に対し実質的に垂直で規定される第2の位置まで移行可能である。第1の位置において、セパレータ本体の貫通孔の貫通軸は、容器の縦軸を含む平面と平行ではない平面にある。
【0010】
いくつかの構成では、セパレータ本体の第1の部分はフロートであり、フロートはセパレータ本体の上面を画定し、またセパレータ本体の第2の部分はバラストであり、バラストはセパレータ本体の下面を画定する。
【0011】
セパレータ本体が第1の位置にあるとき、セパレータ本体は、フロートの上面の中心からずれている場所で容器の側壁と接触することができる。セパレータ本体が第1の位置にあるとき、セパレータ本体は、バラストの下面の中心からずれている場所で容器の側壁と接触することができる。第2の位置にあるとき、セパレータ本体は、遠心分離時などに、フロートの上面の周辺部の少なくとも一部で容器の側壁と接触することができる。第2の位置にあるとき、セパレータ本体は、遠心分離の中断後などに、フロートの上面の周辺部全体で容器の側壁と接触することができる。
【0012】
いくつかの構成では、セパレータ本体の第1の部分、またはセパレータ本体の第1の部分の一部分と、セパレータ本体の第2の部分の一部分とは、貫通孔を画定することができる。
【0013】
本発明の態様によれば、液体を第1の部分および第2の部分に分離することを可能にする分離アセンブリは、第1の端部、第2の端部、およびこれらの間に延び、内面を有し、容器内部を画定する側壁を有する、容器を含む。容器は、第1の端部と第2の端部の間に縦軸を画定する。アセンブリはまた、容器内部に配置されたセパレータ本体であって、それを通って画定された貫通孔を有するセパレータ本体を含む。セパレータ本体は、第1の部分、および第1の部分と境界を接した第2の部分を含む。セパレータ本体は、貫通孔が容器の第1の端部に対し液体受入れ配置で規定される第1の位置から、貫通孔が容器の縦軸に対し実質的に垂直で規定される第2の位置まで移行可能である。第1の位置において、貫通孔の貫通軸は、容器の縦軸および容器の側壁の少なくとも一方に対して角度が付けられている。
【0014】
いくつかの構成では、第1の位置において、貫通孔の貫通軸は、容器の側壁に対して約30°から約60°の角度が付けられている。セパレータ本体の第1の部分はフロートとすることができ、フロートはセパレータ本体の上面を画定することができ、またセパレータ本体の第2の部分はバラストとすることができ、バラストはセパレータ本体の下面を画定することができる。
【0015】
いくつかの構成では、第1の位置にあるとき、セパレータ本体は、フロートの上面の中心からずれている場所で容器の側壁と接触することができる。第1の位置にあるとき、セパレータ本体は、バラストの下面の中心からずれている場所で容器の側壁と接触することができる。
【0016】
さらに別の構成では、セパレータ本体の第1の部分、またはセパレータ本体の第1の部分の一部分と、セパレータ本体の第2の部分の一部分とは、貫通孔を画定することができる。第2の位置にあるとき、セパレータ本体は、遠心分離時などに、フロートの上面の周辺部の少なくとも一部で容器の側壁と接触することができる。第2の位置にあるとき、セパレータ本体は、遠心分離の中断後などに、フロートの上面の周辺部全体で容器の側壁と接触することができる。
【0017】
本発明の態様によれば、液体を第1の部分および第2の部分に分離することを可能にする分離アセンブリは、第1の端部、第2の端部、およびこれらの間に延び、内面を有し、容器内部を画定する側壁を有する、容器を含む。容器は、第1の端部と第2の端部の間に縦軸を画定する。アセンブリはまた、容器内部に配置されたセパレータ本体であって、そこを液体が通過するための貫通孔を有するセパレータ本体を含む。セパレータ本体は、第1の部分、および第1の部分と境界を接した第2の部分を含む。セパレータ本体は、貫通孔が容器の第1の端部に対し液体受入れ配置で規定される第1の位置から、貫通孔が容器の縦軸に対し実質的に垂直で規定される第2の位置まで移行可能である。第1の位置において、セパレータの貫通孔の貫通軸は、容器の縦軸からずれている。
【0018】
いくつかの構成では、セパレータ本体の第1の部分はフロートであり、フロートはセパレータ本体の上面を画定し、またセパレータ本体の第2の部分はバラストであり、バラストはセパレータ本体の下面を画定する。第1の位置にあるとき、セパレータ本体は、フロートの上面の中心からずれている場所で容器の側壁と接触することができる。第1の位置にあるとき、セパレータ本体は、バラストの下面の中心からずれている場所で容器の側壁と接触することができる。
【0019】
別の構成では、セパレータ本体の第1の部分、またはセパレータ本体の第1の部分の一部分と、セパレータ本体の第2の部分の一部分とは、貫通孔を画定することができる。第2の位置にあるとき、セパレータ本体は、遠心分離時などに、フロートの上面の周辺部の少なくとも一部で容器の側壁と接触することができる。第2の位置にあるとき、セパレータ本体は、遠心分離の中断後などに、フロートの上面の周辺部全体で容器の側壁と接触することができる。
【0020】
本発明の別の態様によれば、液体を第1の部分および第2の部分に分離することを可能にする分離アセンブリは、第1の端部、第2の端部、およびこれらの間に延び、内面を有し、容器内部を画定する側壁を有する、容器を含む。容器は、第1の端部と第2の端部の間に縦軸を画定する。セパレータ本体は、容器内部に配置されることができ、セパレータ本体を通って画定された貫通孔を有することができる。セパレータ本体はフロートおよびブラストを有し、フロートとブラストが連結されており、フロートおよびブラストの両方が、フロートと、セパレータ貫通孔の第2の開口に隣接するバラスト端部とによってそれぞれ画定された先頭部分を有し、またフロートおよびバラストがそれぞれ、フロートと、セパレータ貫通孔の第1の開口に隣接するバラスト端部とによってそれぞれ画定された追従部分を有する。セパレータ本体は、貫通孔が容器の第1の端部に液体受入れ配置で規定される第1の位置から、貫通孔が容器の縦軸に対し実質的に垂直で規定される第2の位置まで移行可能である。第1の位置において、セパレータの追従フロート部分および先頭バラスト部分は、容器の側壁に隣接して提供され、また先頭フロート部分および追従バラスト部分は、容器の側壁から離して間隔があけられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来の機械的セパレータの部分断面側面図である。
図2】本発明の実施形態による容器の断面図である。
図3】本発明の実施形態による機械的セパレータの斜視図である。
図4図3の機械的セパレータの上面図である。
図5図3の機械的セパレータの前面図である。
図6図5に示された機械的セパレータの縦軸X−Xに沿った図3の機械的セパレータの断面図である。
図7図3の機械的セパレータの側面図である。
図8】本発明の実施形態による、容器内に配置された機械的セパレータが、貫通孔を液体が通過できるようにする第1の位置にある分離アセンブリの部分断面前面図である。
図9】本発明の実施形態による、容器内に配置された機械的セパレータが、機械的セパレータの周りを液体が通過できるようにする中間の位置にある分離アセンブリの部分断面前面図である。
図10】本発明の実施形態による、機械的セパレータが容器内で第2の位置に配置されている分離アセンブリの部分断面前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の記述のために、単語「上方の」「下方の」「右」「左」「垂直の」「水平の」「上部」「下部」「横方向の」「縦方向の」などの空間に関する用語は、使用される場合、図面の向きで記述される実施形態と関連するものである。しかし、それとは反対に指定されている場合を除き、多くの代替の変形形態および実施形態が想定され得ることを理解されたい。また、添付の図面に示され、本明細書で記述される特定のデバイスおよび実施形態は、本発明の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。
【0023】
本明細書で論じられるように、本発明の分離アセンブリは、高密度相成分および低密度相成分へのサンプルの分離を提供するものである。例えば、本分離アセンブリは、加えられた回転力または遠心分離によって高い重力の作用を受ける試料内に沈められたときに封止領域を収縮させることで生じる浮力差の働きによって、全血から血清または血漿の分離を提供するために使用されることができる。一実施形態では、高い重力は、少なくとも3400回転/分などの、少なくとも2000回転/分の速度で提供されることができる。
【0024】
図2および図8〜10に示されるように、分離アセンブリ10は、閉鎖部14を有する容器12を含む。具体的には、容器12は、プロテオミクス、分子診断法、化学サンプル管、血液または他の体液採血管、凝固サンプル管、血液学サンプル管などのサンプル採血管とすることができる。望ましくは、容器12は排気血液採血管である。容器12は、第1の端部18、第2の端部20、およびこれらの間に延びる円筒形側壁16を含む。第1の端部18は開放上端部とすることができ、第2の端部20は閉鎖下端部とすることができる。円筒形側壁16は内面22を含み、容器内部23を画定する。容器12はまた、第1の端部18と第2の端部20の間に縦軸Lを画定し、内径が、容器12の縦軸Lに沿って第1の端部18から、第2の端部20に実質的に隣接する場所まで実質的に均一に延びている。
【0025】
一実施形態では、容器12は、プロテアーゼ阻害剤、凝固剤などの、特定の試験手順で必要とされる追加の添加剤を含むことができる。このような添加剤は、粒子または液体形態とすることができ、容器12の円筒形側壁16の上に噴霧すること、または容器12の閉鎖下部第2の端部20に置くことができる。
【0026】
容器12は、次の代表的な材料、すなわちポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ガラス、またはこれらの組合せのうちの1つ以上から作ることができる。容器12は、単一壁構成または複数壁構成を含むことができる。加えて、容器12は、適切な生物サンプルを得るための任意の実用的なサイズで構築されることができる。例えば、容器12は、当技術分野で知られている、従来の大容積管、小容積管、またはマイクロリットル容積管と同様のサイズとすることができる。1つの特定の実施形態では、容器12は、当技術分野でも知られている、標準13ml排気血液採血管とすることができる。
【0027】
開放上部第1の端部18は、その中に閉鎖部14を少なくとも部分的に受け入れて液体不浸透性封止を形成するように構成される。閉鎖部14は、容器12の中に少なくとも部分的に受け入れられるように構成された上端部24および下端部26を含む。容器12の開放上部第1の端部18に隣接する閉鎖部14の部分は、容器12の内径を超える最大外径を画定する。一実施形態では、閉鎖部14は、針カニューレ(図示せず)によって貫通できる穿孔可能再封止可能隔壁28を含む。下端部26から下向きに延びる閉鎖部14の部分は、容器12の内径とほぼ等しい、またはわずかに小さい小径から、上端部24で容器12の内径よりも大きい大径まで、テーパが付いていることが可能である。したがって、閉鎖部14の下端部26は、開放上部第1の端部18に隣接する容器12の部分の中へ押し込むことができる。閉鎖部14の固有の弾力性は、容器12の円筒形側壁16の内面22との封止係合を保証することができる。一実施形態では、閉鎖部14は、容器12との封止係合を提供するための適切なサイズおよび寸法を有する、一体に成形されたエラストマー材料で形成されることができる。任意選択で、閉鎖部14は、Becton,Dickinson and Companyから市販されているHemogard登録商標 Shieldなどのシールドによって少なくとも部分的に取り囲まれてよい。
【0028】
図3〜10を参照すると、本発明の機械的セパレータ30は、第1の部分34と、第1の部分34と境界を接した第2の部分36とを含むセパレータ本体32を含む。第1の部分34は第1の密度を有し、第2の部分36は第2の密度を有し、第2の密度は第1の密度と異なっており、好ましくは第1の密度よりも大きい。別法として、または加えて、第1の部分34は第1の浮力を有し、第2の部分36は第2の浮力を有し、第2の浮力は第1の浮力と異なっており、好ましくは第1の浮力よりも小さい。
【0029】
機械的セパレータ30の第1の部分34または第2の部分36の一方は、熱可塑性エラストマー(TPE)などの弾性的に変形可能かつ自己封止可能な材料から押出成形および/または成形されることができる。別法として、機械的セパレータ30の第1の部分34または第2の部分36の一方は、本明細書で論じられるように、容器12との接触が確立された場合に良好な封止特性を示す弾性的に変形可能な材料から押出成形および/または成形されることができる。指定の許容差内の密度の維持が、材料密度を低減するための例えば中空ガラス微小球と混合することを必要としない標準材料を使用して、より簡単に得られる。機械的セパレータ30の第1の部分34または第2の部分36の他方は、鉱物充填ポリプロピレンから形成されることができる。
【0030】
機械的セパレータ30の第1の部分34または第2の部分36の一方は、2つの相に分離されることが意図された液体または試料の小さい方の密度相よりも小さい密度を有する材料から作られる。例えば、ヒトの血液から血清および血漿を分離することが望まれる場合、第1の部分34または第2の部分36の一方は、約1.020g/cc以下の密度を有することが望ましい。
【0031】
機械的セパレータ30の第1の部分34または第2の部分36の他方は、2つの相に分離されることが意図された液体またはサンプルの大きい方の密度相よりも高い密度を有する材料から作られる。例えば、ヒトの血液を血清および血漿に分離することが望まれる場合、第1の部分34または第2の部分36の他方は、少なくとも1.105g/ccの密度を有することが望ましい。本明細書では、第1の部分34も第2の部分36も、十分な生体適合性、密度安定性、添加物適合性、および分析物相互作用、吸着、および溶出性に対する中立性を有する様々な他の材料で形成され得ることが予期されている。
【0032】
機械的セパレータ30はまた、セパレータ本体32の貫通軸Tに沿ってなど、その中に画定された貫通孔38を含む。図3および図5〜7に示されるように、貫通孔38は、セパレータ本体32全体を通って延びることができ、貫通軸Tに沿って位置合わせされた第1の開口40および第2の開口42を含む。貫通孔38は、セパレータ本体32の体積中心と交差または実質的に交差することができる。貫通孔38は、第1の部分34の少なくとも一部分、および第2の部分36の少なくとも一部分によって画定されることができる。
【0033】
第1の部分34は、少なくとも部分的に丸みが付けられている、または実質的に丸みが付けられているなどの、形状が概して弓型である外面44を有する。第2の部分36もまた、少なくとも部分的に丸みが付けられている、または実質的に丸みが付けられているなどの、形状が概して弓型である外面46を含む。一緒にされた場合、第1の部分34の外面44と第2の部分36の外面46は、概して丸い外部を形成する。本明細書では、用語「丸い外部」は、完全な球に加えて、中点を通って取られたわずかに非均一な直径を提供し得る、本発明の態様である構成を含むことを理解されたい。例えば、機械的セパレータ30の中点と交差する、第1の部分34および第2の部分36を通って取られたそれぞれ異なる平面が、可変直径を有すると共に依然として、概して丸みが付けられた、またはボール状の機械的セパレータ30を生じさせることができる。
【0034】
第1の部分34および第2の部分36の密度差により、図5に示されるように、機械的セパレータ30は、セパレータ本体32の体積中心M1からずれている質量中心Mを含む。具体的には、セパレータ32のうちの第1の部分34を占める体積は、セパレータ32のうちの第2の部分36を占める体積よりも著しく大きくすることができる。したがって、セパレータ本体32の質量中心Mは、貫通孔38の中心からずれることができる。任意選択で、体積中心M1もまた、貫通孔38の中心からずれることができる。
【0035】
図4に示されるように、セパレータ本体32の上部外形は非円形とすることができる。貫通孔38の貫通軸Tに沿った方向で第1の部分34をわたる、かつセパレータ本体32の外周の、垂直に最も外側の対向する接点48、50の間に延びる特に第1の部分34であるセパレータ本体32(具体的には第1の部分34)の直径D1は、貫通孔38の貫通軸Tに垂直の方向で第1の部分34をわたる、かつセパレータ本体32の外周の、横方向に最も外側の対向する接点52、54の間に延びる特に第1の部分34であるセパレータ本体32(具体的には第1の部分34)の直径D2よりも小さい。加えて、貫通孔38の貫通軸Tに対し実質的に45°の角度で第1の部分34をわたる、かつセパレータ本体32の外周の、斜めに最も外側の終点56、58の間に延びる、セパレータ本体32(具体的には第1の部分34)の直径D3は、貫通孔38の直径よりも大きくすることができ、またセパレータ本体32の直径D1およびD2よりも大きい。図6に示されるように、貫通孔38の貫通軸Tに沿って第2の部分36をわたる、第2の部分36の直径D4は、セパレータ本体32の直径D1、D2またはD3のいずれよりも小さくすることができる。
【0036】
図4を参照すると、セパレータ本体32の第1の部分34の上部外形の平面への二次元投影像は、セパレータ本体32の外周Pの垂直に最も外側の対向する接点48、50の間および、第1の部分34の上部面から第2の部分36の下部面までとに延びる、かつ貫通孔38の貫通軸Tの方向に延びる、方位平面に関して対称とすることができる。セパレータ本体32の第1の部分34の上部外形の平面への二次元投影像はまた、セパレータ本体32の外周Pの横方向に最も外側の対向する接点52、54の間と、第1の部分34の上部面から第2の部分36の下部面までとに延びる、かつ貫通孔38の貫通軸Tに対し垂直である、方位平面に関して対称とすることもできる。セパレータ本体32の第1の部分34の上部外形の平面への二次元投影像は、セパレータ本体32の外周Pの、斜めに最も外側の対向する終点56、58の間と、第1の部分34の上部面から第2の部分36の下部面までとに延びる、かつ貫通孔38の貫通軸Tの少なくとも一部分に対し斜めの方向にある、方位平面に関して非対称とすることができる。したがって、本体32の上部外形の平面への二次元投影像は、セパレータ本体の外周Pの、斜めに最も外側の終点56a、58aの間と、第1の部分34の上部面から第2の部分36の下部面までとに延びる、かつ貫通孔38の貫通軸Tの少なくとも一部分に対し斜めの方向にある、方位平面に関して非対称とすることができる。
【0037】
さらに、セパレータ本体32の上部外形は、セパレータ本体32の外周Pの垂直に最も外側の対向する接点48、50の間に延びる垂直軸と、セパレータ本体32の外周Pの横方向に最も外側の対向する接点52、54の間に延びる横軸との交差によってそれぞれ画定される、4つの四分円A、B、C、Dと境界を接する外周Pを画定する。それぞれの四分円A、B、C、Dは、図4に示されるように、セパレータ本体32の外周Pの、斜めに最も外側の終点56、58または56a、58aの間に延びる方位軸によって実質的に二分され、セパレータ本体32の外周Pと境界を接する。セパレータ本体32の上部外形の平面への二次元投影像は、D1およびD2に関しては対称とすることができるが、D3に関しては非対称とすることができる。
【0038】
したがって、第1の部分34の上部面は、接点48、終点56および終点58aによって画定される貫通孔38の第1の開口40に隣接する第1の拡張部分64と、接点50、終点56aおよび終点58によって画定される貫通孔38の第2の開口42に隣接する第2の拡張部分66とを含み、これらの拡張部分は、第1の部分34の上方部分68と一緒に、第1の部分34の実質的に非円形の凸状上部面を形成する(図7)。
【0039】
図8に示されるように、第1の位置では、本発明の機械的セパレータ30は、機械的セパレータ30の貫通孔38の貫通軸Tが、容器12の縦軸Lを含む平面と平行ではない平面内にある最初の位置で、容器12の中に方向づけられている。この最初の位置では、貫通孔38は、そこを液体が、閉鎖部14の穿孔可能な隔壁28を穿孔している、かつ採血容器12の内部23と液体連通して提供される、針カニューレ(図示せず)などから通過できるように適合されている。さらに、機械的セパレータ30の貫通孔38の貫通軸Tが容器12の縦軸Lに対してずれているので、貫通孔38の第2の開口42は、容器12の縦軸Lの側壁16の近傍に隣接して置かれる。これにより、この領域の液体を貫通孔38に通過させ、機械的セパレータ30の上方および下方の液体の貯留を最小限にする。これは、後で説明されるように、機械的セパレータ30の上方の液体の貯留により生じ得る液体の細胞損傷を低減する助けになる。
【0040】
第1の位置では、貫通孔38の貫通軸Tは、容器12の縦軸Lおよび容器12の側壁16の少なくとも一方に対して角度が付けられている。容器12の側壁16に対する貫通孔38の貫通軸Tの角度θは、約30°から約60°とすることができる。
【0041】
また、第1の位置では、貫通孔38の貫通軸Tは、容器12の縦軸Lからずれることができる。
【0042】
一実施形態では、第1の部分34は、フロートとすることができ、第2の部分36はバラストとすることができ、第2の部分36は、第1の部分34の第1の密度よりも大きい第2の密度を有する。フロート34はセパレータ本体32の上面72を画定し、バラスト36はセパレータ本体32の下面74を画定する。この実施形態では、機械的セパレータ30が第1の位置にある場合、セパレータ本体32は、フロート34の上面72の中心からずれている場所で容器12の側壁16と接触し、またセパレータ本体32は、バラスト36の下面74の中心からずれている場所で容器12の側壁16と接触する。
【0043】
この実施形態では、第1の位置では、セパレータ本体32の先頭バラスト部分76は、容器12の側壁16に隣接して提供され、追従バラスト部分78は、容器12の側壁16から離して間隔があけられる。
【0044】
この位置では、図8に示されるように、機械的セパレータ30の外周70が容器12の側壁16との干渉係合を形成する。1つの構成では、干渉係合はまた、容器12の側壁16と封止を形成することもできる。
【0045】
遠心分離時などに回転力が印加し、また図9に示されるように、機械的セパレータ30が移行すると、機械的セパレータ30は回転モーメントを受け、容器12との第1の位置の係合から係合解除するのに十分に変形し、時計回り方向に回転する。第1の部分34がフロートであり、第2の部分36がバラストである図8〜10に示される実施形態では、機械的セパレータ30は、第2の部分36が容器12の下部の閉鎖された第2の端部20に面して方向づけられる。
【0046】
機械的セパレータ30が容器12の中に含まれる液体に接触すると、貫通孔38を占める空気は、デバイスが沈むにつれて液体によって漸次変位される。機械的セパレータ30が液体中に沈められると、第1の部分34と第2の部分36の間の浮力の差が、機械的セパレータ30の両端に差動力を発生させる。遠心分離時、この差動力は、セパレータ本体32を伸張させ、また採血容器12の側壁16から離して収縮させ、それによって、セパレータ本体32の実効直径を低減し、高密度相成分および低密度相成分などの液体の流れがセパレータ本体32のそばを通り過ぎるための連絡経路を開く。第1の部分34は、貫通孔38に対して実質的に垂直の方向に変形するように適合され得ることに留意されたい。
【0047】
第1の位置では、貫通孔38の貫通軸Tが容器12の縦軸Lからずれているので、容器12の中に液体が導入されるときに、機械的セパレータ30の第2の位置36と容器12の側壁16との間の接点に隣接する領域86に、液体の貯留がほとんど、または全くない。これはまた、機械的セパレータ30の第1の部分34と容器12の側壁16との間の接点に隣接する領域86aに生じる液体の貯留についてもいえる。さらに、回転時、機械的セパレータ30は、この領域86内のいかなる貯留液体にも最小限にしか接触しないか、または全く接触しない。したがって、貯留液体には、液体の細胞損傷をもたらし得る機械的セパレータ30からのいかなる力もかからない。
【0048】
同様に、第1の位置では、回転時に、一部の液体が機械的セパレータ30の第1の位置34と容器12の側壁16との間の接点に隣接する領域88に貯留し得るが、機械的セパレータ30はほとんど、この領域88の貯留液体に接触せず、また貯留液体には、液体の細胞損傷をもたらし得る機械的セパレータ30からのいかなる力もかからない。
【0049】
回転力の印加が終わった後、機械的セパレータ30は、第2の封止位置で、分離された高密度相80と分離された低密度相82との間で方向づけられることになる(図10)。同時に、セパレータ本体32の伸張が終わって、セパレータ本体32をその最初の形状に戻し、それによって、セパレータ本体32が容器12の側壁16に、セパレータ本体32の上面72の周辺部84の少なくとも一部で接触する封止を形成する。セパレータ本体32は、セパレータ本体32の上面72の周辺部84全体で、容器12の側壁16と接触することができる。第1の部分34がフロートである実施形態では、上面72の周辺部84はフロートの一部である。この位置では、貫通孔38は、容器12の縦軸Lに対し実質的に垂直である。
【0050】
セパレータ本体32の上面72の周辺部84は、容器12の側壁16の対応する内周よりも少なくともわずかに大きい外周を有する。加えて、第1の部分34の上部面の最小直径D1は、容器12の内面22の対応する直径よりも少なくともわずかに大きい。したがって、機械的セパレータ30は、液体がセパレータ本体32と容器12の間または周りを通過することを防止するように適合され、また液体が貫通孔38を通過することも防止して効果的にバリアを確立し、セパレータ本体32の上面72の周辺部84は、サンプルの中で高密度相80と低密度相82の間にバリアを確立する。
【0051】
上記の議論から決定され得るように、セパレータ本体32は、それが容器12の側壁16の内面22との封止を形成するとき、圧縮されてはいるが実質的に圧力が加えられていない状態にある。セパレータ本体32の上部外形の形状は、この圧縮を提供して容器12の側壁16の内面22との密封止を形成する。容器12の側壁16の内面22は、実質的に円形である第1の形状を有し、セパレータ本体32は、非圧縮状態では非円形である第2の周辺部形状84を画定する上部面を有する。
【0052】
本発明は、機械的セパレータアセンブリおよび使用方法のいくつかの別個の実施形態を参照して記述されているが、当業者は、その範囲および趣旨から逸脱することなく、修正および変更を加えることができよう。したがって、上記の詳細な記述は、限定的ではなく説明的なものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10