(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141947
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】トルマリン素材含有ウィッグ
(51)【国際特許分類】
A41G 3/00 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
A41G3/00 G
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-232549(P2015-232549)
(22)【出願日】2015年11月29日
(62)【分割の表示】特願2015-98417(P2015-98417)の分割
【原出願日】2015年5月13日
(65)【公開番号】特開2016-211132(P2016-211132A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2017年1月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512184951
【氏名又は名称】株式会社スマートリンク
(73)【特許権者】
【識別番号】513033353
【氏名又は名称】株式会社東京トルマリン
(74)【代理人】
【識別番号】100120226
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 知浩
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 隆之
(72)【発明者】
【氏名】林 栄治
【審査官】
横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−219509(JP,A)
【文献】
特開2005−015988(JP,A)
【文献】
特開2008−274451(JP,A)
【文献】
特開2006−183215(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第104305615(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪体と、前記毛髪体が植毛されたベース部と、から構成され、頭皮を覆うように前記ベース部を装着し固定するようにしたウィッグであって、
前記ベース部は、
頭皮に接触する網目状の繊維シートからなる第一の層と、
前記第一の層の上面にトルマリン素材を均一に含有する第二の層と、
前記第二の層の上面に植毛される網目状の繊維シートからなる第三の層と、
前記第三の層の上面に植毛部分を隠し擬似表皮を形成する第四の層と、
から形成された4層からなる積層構造を有し、
4層全体が縫製により一体に形成されたことを特徴とする、トルマリン素材含有ウィッグ。
【請求項2】
前記第二の層を形成するトルマリン素材は、トルマリン鉱石を混在させた繊維状または薄幕状の素材からなることを特徴とする、請求項1に記載のトルマリン素材含有ウィッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪体と、毛髪体が植毛されたベース部から構成され、頭皮を覆うようにベース部を装着し固定するようにしたウィッグに関し、特に装着することで頭皮部分の血行増進、生育増進などの効果を発揮するトルマリン素材含有ウィッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄くなった毛髪を覆うため、あるいは装飾性のある髪型を装うため、各種のカツラ、ウィッグが開発されている。
【0003】
たとえば、特開平9−228129「カツラ」においては、着用者の頭部に被冠するネット状シートに頭髪を植毛して成り、頭髪の分目領域に位置して設けた地肌シート部に分目構成用頭髪を植毛して成るカツラにおいて、前記ネット状シートを粗い網目を有する粗目構成体により形成する一方、前記地肌シート部を細かい網目を有する密目構成体により形成し、分目構成用頭髪を密目構成体の網目に植毛して成ることを特徴とするカツラが開示されている。
【0004】
また、カツラ、ウィッグを人間の頭部に取り付ける方法も、各種開発されている。
【0005】
たとえば、特開2004−277903「カツラの取付方法」においては、編み込みによって作成した編み込み土台を設け、該土台にネットベースの帯状の基布を有するカツラを開平タイプの固定具を用いて取り付けるカツラの取付方法が開示されている。
【0006】
このように、従来知られている各種のカツラ、ウィッグの形状、取り付け方法は、本発明においても、色々な方式、構造のものを採用することができるものである。
【0007】
しかし、従来知られている各種のカツラは、装着感や通気性、ファッション性、自毛の毛髪との一体感や自然さなどが追求されているものの、頭皮の血行促進や、育毛などの効果に関しては、特に考慮したものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−219509号
【特許文献2】特開2008−121174
【特許文献3】特開2011−336016
【0009】
このため、たとえば特開平10−219509号「血行増進機能を備えるかつら」においては、かつらを構成する人工毛、合成樹脂製繊維ネット及び合成樹脂製繊維シートなどのかつら構成体の少なくとも一部が、合成樹脂素材と細かく砕いた微粉末の人工混合セラミック鉱石とを混合して成形した繊維材で構成されていることを特徴とする血行増進機能を備えるかつらが開示されている。
【0010】
しかしながら、上記発明においては、かつらの内周面に人工混合セラミック鉱石の微粉末と接着剤とを混合して成形した粉末体が複数、線状に不規則的に突出させて固着してあるもので、均一に、また頭皮に満遍なく効果を与えるようには構成されていない。
【0011】
ところで、空気中のマイナスイオンを増加させる作用等を奏し、産業上の様々な分野で利用されているものとしてトルマリン鉱石の粉末を含有する素材が注目されている。トルマリンは、プラスとマイナスに分極して静電圧を生じるという電気的性質を有する。そして、その静電圧の発生に起因して、このような効果を発揮するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特開2008−121174「ウィッグ」においては、頭部をその両側から挟み付けることで頭部に固定される固定部材と、この固定部材から所要の方向に伸びる基部と、この基部から生える毛髪部とから成ることを特徴とするウィッグが開示されており、その一形態として、前記固定部材にトルマリンが取り付けられている発明が開示されている。
【0013】
この発明は、ほぼ頭部の形状に湾曲して作られた弾力性や捲き付き性のある固定部材によって、頭部を挟み付けるようにして装着するウィッグである。
【0014】
しかしながら、上記発明において、トルマリンは頭頂部から複数方向に伸びる固定部材に取り付けられるものであり、頭皮全体にまんべんなく効果を与えるようにしたものではない。
【0015】
また、特開2011−336016「カツラ」においては、トルマリンによりリラックス効果を生むカツラとして、使用者の頭部の一部または全体を覆うように装着される装着部と、装着部に取り付けられ使用者の自毛と合わせて頭髪を構成する疑似毛髪とを備えるカツラとして、装着部には、トルマリンの微粒子を混存させた繊維状のトルマリン含有体を保持させるようにした発明が開示されている。
【0016】
上記発明の請求項2においては、装着部が弾性を有して伸縮自在なネット、トルマリン含有体がトルマリンの微粒子を混存させた繊維であり、前記トルマリン含有体は前記ネットを構成する弾性体の周囲を被覆する布地の一部に織り込まれている発明が開示されている。
【0017】
この発明によれば、トルマリンを目立たないようにカツラに保持させつつ、頭部に近い位置にトルマリンを配置することができるが、トルマリンを含有する繊維が織り込まれたネットからなる装着部は、人間の頭皮に接するとともに、擬似毛髪が取り付けられるため、カツラのベースとなる装着部は一層からなるものである。このため、毛髪が取り付けられた側からは、ネット上の装着部は皮膚のようには見えないし、人間の頭皮の側からは、汚れやすく衛生的に保つことが難しい、トルマリンを含有する繊維自体が汚れてしまうといった問題がある。
【0018】
また、単一の層からなる装着部はネット状になっており、
図2に見られるように、ネットはゴムなどで編まれるとともに、ゴム等をトルマリン含有繊維が覆うというものであり、トルマリン含有繊維がネットの網目の状態となって直接頭皮に触れるものであり、頭皮に直接触れる部分と触れない部分とが明確に分かれるため、頭皮全体にまんべんなく効果を与えるようにしたものではない。
【0019】
そこで本発明においては、上記の様々な課題を解決し、頭皮の必要箇所全体にまんべんなく効果を与えるとともに、衛生的に保つことが可能な、トルマリン素材含有ウィッグを提供することを目的とする。
【0020】
上記課題を解決するため、本発明は、毛髪体と、前記毛髪体が植毛されたベース部と、から構成され、頭皮を覆うように前記ベース部を装着し固定するようにしたウィッグであって、前記ベース部は、頭皮に接触する網目状の繊維シートからなる第一の層と、前記第一の層の上面にトルマリン素材を均一に含有する第二の層と、前記第二の層の上面に植毛される網目状の繊維シートからなる第三の層と、前記第三の層の上面に植毛部分を隠し擬似表皮を形成する第四の層と、から形成された4層からなる積層構造を有し、4層全体が縫製により一体に形成されたことを特徴とする。
【0022】
また、第二の層を形成するトルマリン素材は、トルママリン鉱石を混在させた繊維状または薄幕状の素材からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、4層からなる積層構造の中の一つの層に、トルマリン素材を含有した層を薄く、また必要箇所全体にまんべんなく配されるようにし、効果を一様に得られるようにした、トルマリン素材含有ウィッグを提供することができる。
【0024】
これにより、頭重感、ストレス軽減を期待することができ、頭皮の末梢血管で血行促進され、育毛効果や、毛根活性を促し育毛効果と白髪防止、脳内活性を促すことによる認知症防止などの効果が期待できる。
【0025】
また、上記の4層構造を採用したことにより、頭皮の汚れを吸着することでウィッグを衛生的に保つことができ、またウィッグのスタイルが崩れないように保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】
図2は、トルマリン素材を均一に含有する第二の層を敷き詰めた状態を示す図面代用写真である。
【
図3】
図3は、植毛された網目状の繊維シートからなる第三の層の上面に、植毛部分を隠し擬似表皮を形成する第四の層を被せる状態を示す図面代用写真である。
【
図4】
図4は、頭皮に接触する網目状の繊維シートからなる第一の層で菱型の形状で縫製した状態を示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0028】
本発明のトルマリン素材含有ウィッグは、毛髪体と、毛髪体が植毛されたベース部から構成され、頭皮を覆うようにベース部を装着し固定するようにしたウィッグである。
【0030】
ベース部は、ポリビニル、ポリアミド、ポリエステルなどの素材、あるいはそれらの混合素材等、既知の合成樹脂素材や天然素材を使用することができる。好ましい形態については後述する。
【0031】
また、毛髪体は、本物の毛髪であってもよく、擬似毛髪であってもよい。また、毛髪の取り付け方法や、ウィッグの頭部への取り付け・固定方法などは、公知の各種の方式を採用することができ、これらには限定されない。ウィッグの形状や、男性用・女性用その他の用途などにも限定されず、特に本発明の特徴となるベース部の4層構造は、様々なウィッグ、カツラに採用することが可能である。
【0032】
毛髪体が植毛されたベース部は、下記の4層からなる積層構造を採用している。ウィッグの四重構造は既知のものでは前例が無く、そのために後述する効果を有する。
【0033】
本発明のウィッグのベース部は、頭皮に接触する網目状の繊維シートからなる第一の層を有している。
【0034】
第一の層は、ウィッグを装着した時に、人間の頭皮に接触する面を構成し、トルマリン素材を敷き詰めた箇所をネット状の生地で覆うことにより、トルマリンの効果をまんべんなく与えるとともに、衛生的に保つことができ、さらに蒸れなどを防ぐものである。
【0035】
次に、本発明のウィッグのベース部は、前記の第一の層の上面に、トルマリン素材を均一に含有する第二の層を有している。
【0036】
すなわち、第一の層の上にトルマリン素材を敷き詰めた層である。
【0037】
図2は、トルマリン素材を均一に含有する第二の層を敷き詰めた状態を示す図面代用写真である。
【0038】
第二の層を形成するトルマリン素材は、各種の素材を採用することができるが、好ましい一例としては、トルマリン鉱石を混在させた繊維状または薄幕状の素材からなるものである。
【0039】
第二の層を形成するトルマリン素材は、ベース部の必要箇所全体に、単一の繊維状または薄幕状の素材として頭皮を覆うように配置され形成されている。
【0040】
次に、本発明のウィッグのベース部は、前記の第二の層の上面に、植毛される網目状の繊維シートからなる第三の層を有している。
【0041】
毛髪体は、本物の毛髪であってもよく、擬似毛髪であってもよい。また、毛髪の取り付け方法などは、公知の各種の方式を採用することができる。
【0042】
次に、本発明のウィッグのベース部は、前記の第三の層の上面に、植毛部分を隠し擬似表皮を形成する第四の層を有している。
【0043】
図3は頭皮に接触する網目状の繊維シートからなる第一の層を被せる状態を示す図面代用写真である。
【0044】
第三の層は植毛するネット状の層であり、その上の第四の層は一番外側の層であり、植毛箇所が自然に見えるように、好ましくはシルクネット生地を被せて、その層を毛髪体が通されるように植えられた構造である。第四の層は、ウィッグを装着した際に、外観上、擬似的な頭皮を構成する。
【0045】
以上に説明した4層からなる積層構造の、好ましい効果をあげるための一例としては、トルマリン素材を含有した第二の層が薄さ1mm以下になるように、4層全体が縫製により一体に形成されたものである。
【0046】
トルマリン素材を含有する第二の層を含む積層構造の縫製方法として、菱型の形状で縫製し、トルマリン素材は寸断されずに縫製して圧着させているため、トルマリン素材がウィッグと一体化されて均一に広がり、熱、水分、摩擦の影響を受けてトルマリン効果により頭部ツボを刺激することができる。
【0047】
図4は、植毛部分を隠し擬似表皮を形成する第四の層を、菱型の形状で縫製した状態を示す図面代用写真である。
【0048】
好ましくは、トルマリン素材を第二の層に内包する際に、厚さ1mm以下にまで素材を圧縮して寸断なく敷き詰めることにより、ツボへ広範囲で最良な刺激を与えることができる。
【0049】
トルマリンは、摩擦、熱、汗に反応して0.06mAの微弱電流、マイナスイオンを発生する。その反応を高めるためには、摩擦、熱、汗、脂の影響を受けやすくする、素材との距離が短い環境が求められ、4層構造をできるだけ圧縮することにより、頭皮との物理的な距離が短くなり、トルマリンの効果がより高まる。
【0050】
また、本発明のウィッグは、健康面だけではなく、美観も重要であるため、素材を1mm以上の厚さにすると,素材が膨らんでウィッグの形が崩れてしまうため、これを避けることができる。
【0051】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、4層からなる積層構造の中の一つの層に、トルマリン素材を含有した層を薄く、また必要箇所全体にまんべんなく配されるようにし、効果を一様に得られるようにした、トルマリン素材含有ウィッグを提供することができる。
【0052】
トルマリン素材を内包したウィッグを被ることにより、頭部とトルマリンを内包したウイッグの間で生じる摩擦や圧力により、また、頭皮からの汗や脂に反応して生体電流と同じ0.06mAの天然の微弱電流が流れ、遠赤外線とマイナスイオンが発生することにより、神庭(しんてい)、花粉症、いびき、頭痛や頭重感などに効果がある上星(ジョウセイ)、頭痛、めまい、不眠、高血圧などに効果があるしん会(シンエ)、髪にハリとツヤを与える道天(ツウテン)、頭痛、ストレスに効果がある百会(ヒャクエ)などの、頭部の各ツボを刺激することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 頭皮に接触する網目状の繊維シートからなる第一の層
2 トルマリン素材を均一に含有する第二の層
3 植毛される網目状の繊維シートからなる第三の層
4 植毛部分を隠し擬似表皮を形成する第四の層
5 ベース部
6 毛髪体