特許第6141990号(P6141990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6141990-コアシェルゴム修飾固体エポキシ樹脂 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141990
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】コアシェルゴム修飾固体エポキシ樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/14 20060101AFI20170529BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20170529BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20170529BHJP
   C08G 59/22 20060101ALI20170529BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   C08G59/14
   C09D163/00
   C09D7/12
   C08G59/22
   C08L63/00 C
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-536975(P2015-536975)
(86)(22)【出願日】2013年10月13日
(65)【公表番号】特表2016-500724(P2016-500724A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】US2013064745
(87)【国際公開番号】WO2014062531
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2015年4月13日
(31)【優先権主張番号】61/714,965
(32)【優先日】2012年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ・アギーレ・ヴァルガス
【審査官】 柴田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−171974(JP,A)
【文献】 特開昭59−135265(JP,A)
【文献】 特表平04−506678(JP,A)
【文献】 特開昭55−094917(JP,A)
【文献】 特開平04−283216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00− 59/72
C08L 1/00− 101/16
C09D 1/00− 10/00
C09D 101/00− 201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
b)50μm〜130μmの粒子径を有するコアシェルゴム粒子によって修飾された
a)熱硬化性エポキシ末端オキサゾリジノン環含有ポリマーを含む、融着エポキシコーティングまたはプライマー用ポリマーを作製する方法であって、
前記コアシェルゴム粒子の少なくとも50%が、
I)水性分散媒中で単量体の乳化重合を実行して熱可塑性コアシェルゴム粒子を形成することと、
II)前記熱可塑性コアシェルゴム粒子を凝固させてスラリーを形成することと、
III)前記スラリーを脱水して脱水粒子を形成することと、
IV)前記脱水粒子を乾燥させて乾燥粒子を形成することと、を含むプロセスによって調製され
前記ポリマーが、
(i)前記コアシェルゴム粒子を含む少なくとも1つの液状エポキシ樹脂の分散液を、
(ii)少なくとも1つのポリイソシアネート化合物と、
(iii)少なくとも1つの触媒の存在下で反応させることによって得られる、方法。
【請求項2】
分散液中に前記コアシェルゴム粒子を含有する前記少なくとも1つのエポキシ樹脂がジグリシジルエーテルである、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記分散液(i)が、少なくとも10重量パーセントであるコアシェルゴム含有量を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記分散液(i)が、少なくとも1つのエポキシ樹脂と、エポキシ基間に架橋を形成することができる少なくとも1つの二官能性または多官能性求核性化合物との組み合わせと混合される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのポリイソシアネート化合物が、ポリマー4,4'−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(ポリマーMDI)および4,4'−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)からなる群から選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
分散液(i)中の前記少なくとも1つの液状エポキシ樹脂の、前記少なくとも1つのポリイソシアネート化合物に対する重量比が75:25〜85:15である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー中のオキサゾリジノン環のイソシアヌレート環に対する比が、95:5〜100:0である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーが少なくとも350のエポキシ当量を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
融着エポキシコーティングまたはプライマー用エポキシ末端オキサゾリジノン環含有ポリマーを作製する方法であって、
少なくとも1つのポリイソシアネート化合物を、
(i)50μm〜130μmの粒子径を有するコアシェルゴム粒子を含む少なくとも1つの液状エポキシ樹脂の分散液と、
(ii)エポキシ基とイソシアネート基との間の反応を触媒することができる触媒と、
の混合物と、イソシアヌレート環の形成よりもオキサゾリジノン環の形成に有利である条件下、前記コアシェルゴム粒子の存在下で接触させることを含む、方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのポリイソシアネート化合物が、ポリマー4,4'−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(ポリマーMDI)および4,4'−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)からなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのポリイソシアネート化合物の前記接触が、2つ以上のステップにおいて実行される、請求項または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記条件が、少なくとも150℃の温度を含む、請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
分散液(i)中の前記少なくとも1つの液状エポキシ樹脂が、ビスフェノールAジグリシジルエーテルを含む、請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
熱硬化性粉末コーティング組成物を作製する方法であって、
(a)請求項1に記載の方法で得られたポリマーと、
(b)1つ以上の硬化触媒と、を混合することを含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法で得られた熱硬化性粉末コーティング組成物で基板をコーティングすることを含む、融着エポキシコーティングをその上に有する基板を作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融着エポキシコーティング適用のためのイソシアネート修飾エポキシ樹脂含有コアシェルゴム粒子と、これらの樹脂を含む粉末コーティング組成物とに関する。組成物は、炭化水素が生産設備から高温(>110℃)処理設備に輸送されるパイプラインのための腐食防止融着エポキシ樹脂(FBE)コーティングまたはプライマーを作製するためにとりわけ適切であり得る。
【背景技術】
【0002】
石油およびガスパイプラインの使用温度は、超深度貯水池およびタールサンドの搾取により増加するため、パイプコーティング業界は、産業界のニーズを満たすために高性能腐食防止コーティングおよび絶縁多層システムを開発してきた。現在、パイプコーティング業界は、最大約140℃の温度で動作するパイプラインの腐食防止のための要件を満たすために、費用対効果の高いFBEコーティングシステムを提供することができる。しかし、次世代の高温使用のパイプラインは、更により高い温度で動作するであろうことが予測されてきた。この要件を満たすために、パイプコーティング業界は、より高い使用温度で動作する腐食パイプラインから保護することができるFBEコーティングまたはプライマーシステムを必要とする。更に、コスト競争力を持つために、FBEコーティングまたはプライマーシステムは、最先端のFBE粉末コーティング技術を使用して適用可能でなければならない。
【0003】
FBEコーティング組成物中の主要原料は、かなりの程度でのコーティングの特性を決定する固形エポキシ樹脂(SER)である。FBEコーティング適用に使用するためのSERの1つの強く所望される特性は、パイプ直径当たりの温度(°/PD)で、例えば、NACE RP0394−2002 H4.3によって測定される、零下の温度でのコーティングに良好な柔軟性を提供することである。
【0004】
一旦粉末コーティング組成物に処方されると、SERはまた、FBEコーティングの物理的特性の良好なバランスを付与する必要がある。完成したFBEコーティングの1つの重要な特性は、そのガラス転移開始温度であり、それは、ISO 21809−2 表2「コーティング認定試験のための最低要件」に従って、最も高いパイプライン設計温度よりも少なくとも5℃高くあるべきである。
【0005】
しかし、より高いガラス転移温度(Tg)は一般的に、良好な柔軟性をもたらさない(即ち、典型的には、Tgが高くなるほどコーティングの柔軟性は低くなる)。高いTgは、通常、熱硬化性ポリマーの架橋密度を増加させることによって達成されるが、このアプローチは、コーティングの柔軟性を低下させる。結果として、課題は、貯蔵安定性、加工性、接着力、および耐腐食性などの他の主要なコーティングの要件を損なわずに、Tg柔軟性パラダイムを破壊することである。また、硬化したFBEコーティングは、パイプラインの寿命のために、その整合性を維持するのに十分な熱老化を有さなければならない。
【0006】
コアシェルゴム粒子の使用は、エポキシ系を強靭化することが知られているが、現在、イソシアネート修飾エポキシ樹脂を作製するための、1つ以上のポリイソシアネート化合物から作製される固体エポキシ樹脂中で分散された特定の種類のコアシェルゴムを使用することによって、粉末コーティング組成物に組み込まれるとき、少なくとも約160℃のガラス転移開始温度および少なくとも3°/PDの柔軟性、ならびに金属基板に対して改良された接着力を有する、より強靭なFBEコーティングを提供することが可能であるSERを生成することが可能であることが予期せず見出された。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一実施形態において、b)コアシェルゴム粒子によって修飾されたa)熱硬化性エポキシ末端オキサゾリジノン環含有ポリマーを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなるポリマーであって、コアシェルゴム粒子の少なくとも50%が、I)水性分散媒中で単量体の乳化重合を実行して熱可塑性のコアシェルゴム粒子を形成することと、II)前記熱可塑性コアシェルゴム粒子を凝固させてスラリーを形成することと、III)前記スラリーを脱水して脱水粒子を形成することと、IV)前記脱水粒子を乾燥させて乾燥粒子を形成することと、を含むプロセスによって調製されるポリマーが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1、2、および3における樹脂の合成中に記録された時間対温度曲線を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態において、b)コアシェルゴム粒子によって修飾されたa)熱硬化性エポキシ末端オキサゾリジノン環含有ポリマーを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなるポリマーであって、コアシェルゴム粒子の少なくとも50%が、I)水性分散媒中で単量体の乳化重合を実行して熱可塑性のコアシェルゴム粒子を形成することと、II)熱可塑性コアシェルゴム粒子を凝固させてスラリーを形成することと、III)スラリーを脱水して脱水粒子を形成することと、IV)脱水粒子を乾燥させて乾燥粒子を形成することと、を含むプロセスによって調製されるポリマーが開示される。
【0010】
液状エポキシ樹脂(LER)
本発明の熱硬化性イソシアネート修飾エポキシ−末端ポリマーの生成のためのコアシェルゴム粒子を分散するために使用され得る液状エポキシ樹脂の非限定的な例としては、ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールK(4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン)、ビスフェノールS(4,4’−ジヒドロキシフェニル・スルホン)、ヒドロキノン、レゾルシノール、1,1−サイクロヘキサンビスフェノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチルエングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、および1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンまたはサイクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルなどのジオールのジグリシジルエーテル;(CHDM−DGE);ヘキサヒドロフタル酸などのジカルボキシル酸のジグリシジルエステル;シクロオクテンジエポキシド、ジビニルベンゼンジエポキシド、1,7−オクタジエンのジエポキシド、1,3−ブタジエンジエポキシド、1,5−ヘキサジエンジエポキシド、および4−シクロヘキセンカルボシラテ(cyclohexenecarbocylate)4−ヘキセニルメチルエステルのジエポキシドなどのジエポキシ化合物;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールA、ノボラックなどのノボラックのグリシジルエーテル誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。2つ以上のこれらのエポキシ樹脂の混合物がまた使用され得る。エポキシ化合物はまた、例えば、D.E.R.331(登録商標)、D.E.R.332、D.E.R.383、D.E.R.354、D.E.R.580、D.E.N.425、D.E.N.431、D.E.N.438、D.E.R.736、またはD.E.R.732(これらは全てDow Chemical Companyから入手可能である)などの商業的に入手可能なエポキシ樹脂生成物から選択され得る。
【0011】
一実施形態において、ビスフェノールAなどのビスフェノールのジグリシジルエーテルが使用される。本発明の実施形態において、分散液に使用される全てのLERのうちの少なくとも20重量%、少なくとも50重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%は、ビスフェノールAなどの1つ以上のビスフェノールのジグリシジルエーテルを含む。一実施形態において、ビスフェノール(A)ジグリシジルエーテルは、全てのジグリシジルエーテル分子の一実施形態において少なくとも10%、別の実施形態において少なくとも20%が1つ以上のヒドロキシ基を含むような割合で、オリゴマー(例えば、アルカリの存在下でビスフェノールAおよびエピクロロヒドリンの反応中に生成されるオリゴマー)を含む。ビスフェノールAのジグリシジルエーテルのエポキシ当量(EEW、分子当たりのエポキシ基の数で割った平均分子量として定義される)は、例えば、少なくとも180であり得るが、通常、一実施形態において250以下、別の実施形態において230以下、更に別の実施形態において210以下であるだろう。所望のEEWまたは他の特性に到達するために、(分散液中のコアシェルゴム粒子を伴うまたは伴わない)液状エポキシ樹脂はまた、エポキシ基間に架橋を形成することができる1つ以上の単官能性、二官能性、または多官能性求核性化合物と組み合わされ得る。これらの化合物は、コアシェルゴム粒子の添加前もしくは添加中、またはポリイソシアネートの添加前もしくは添加中、および/またはポリイソシアネート添加が完了した後、液状エポキシ樹脂(複数可)に添加することができる。これらの求核性化合物の非限定的な例としては、脂肪酸、二量体脂肪酸、カルダノール、カルドールが挙げられる。
【0012】
コアシェルゴム粒子
分散液はまた、コアシェルゴム粒子を含み、このコアシェルゴム粒子の少なくとも50%が、I)水性分散媒中で単量体の乳化重合を実行して熱可塑性のコアシェルゴム粒子を形成することと、II)熱可塑性コアシェルゴム粒子を凝固させてスラリーを形成することと、III)スラリーを脱水して脱水粒子を形成することと、IV)脱水粒子を乾燥させて乾燥粒子を形成することと、を含むプロセスによって調製される。このプロセスは、国際特許第WO03/016404号に更に詳細に記載されている。
【0013】
コアシェルゴム粒子は一般的に乳化重合によって生成される。乳化重合は、既知の乳化剤の存在下または不在下で実施され得る。一実施形態において、粒子は、凝固を介して、乳化重合プロセスにより形成されたポリマーラテックスから単離される。ラテックスを構成するポリマー微粒子にその凝集体を形成させるように、これは、凝固によってポリマーラテックスをスラリーに変換することにより行われる。次に、スラリーは、当該技術分野で既知の任意の好適な方法により脱水、その後、当該技術分野で既知の任意の方法によって乾燥される。
【0014】
コアシェルゴムは、任意に他の共重合性単量体と共に、ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、およびニトリル単量体から選択される少なくとも一種の単量体のポリマーであり得るポリマーを含む。ポリマーの例としては、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、MBS樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂)、AAS樹脂(アクリレート−アクリロニトリル−スチレン樹脂)、アクリルポリマー衝撃改良剤、ポリマー加工性改良剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0015】
コアシェルゴム粒子は一般に、少なくとも50μmの粒子サイズを有する。別の実施形態において、コアシェルゴム粒子は、70μm〜130μmの範囲の粒子サイズを有する。
【0016】
一実施形態において、本発明での使用のために脱水および乾燥に続き乳化重合によって調製され、凝固を介して単離されるコアシェルゴムの例としては、PARALOID(商標)EXL−3600ER、PARALOID(商標)EXL−2602、PARALOID(商標)EXL−2603、PARALOID(商標)EXL−2678、PARALOID(商標)EXL−2600ER、PARALOID(商標)EXL−2655、PARALOID EXL 2650a、PARALOID(商標)EXL−2620、PARALOID(商標)EXL−2691A、およびPARALOID(商標)EXL−3691Aが挙げられる。好ましいものと組み合わせて使用することができる他のコアシェルゴムは、PARALOID(商標)EXL−3808、PARALOID EXL(商標)2300G、PARALOID(商標)EXL−2388、PARALOID(商標)EXL−2314、PARALOID(商標)EXL−3361、PARALOID(商標)EXL−2330、PARALOID(商標)EXL−3330、PARALOID(商標)EXL−2335、GRC−310、Metablen W5500、Kaneka MX−210、Kumho HR181、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせである。
【0017】
LER中で分散されるCSRの量は、最終の熱硬化性エポキシ末端オキサゾリジノン環含有ポリマーの特性および/または行われたコーティングのバランスをとるために、熱硬化性エポキシ末端オキサゾリジノン環含有ポリマー中のCSRの目標量と、CSR粒子を運ぶLERと組み合わせて使用される他のLERへの必要性とによって決定されるであろう。この目的のために、推奨されるLER:CSR重量比は、一実施形態において50:50、別の実施形態において67:33、更に別の実施形態において75:25である。CSRが50重量パーセントを超えて存在するとき、CSRによって、分散液粘度が実用的な適用のためには高すぎるようになる。5重量パーセント未満の水準では、コーティング中の所望の強靭化効果を生成するために、最終の熱硬化性エポキシ末端オキサゾリジノン環含有ポリマー中に存在するCSRは十分ではない。
【0018】
一実施形態において、CSR粒子の少なくとも50%は、上に説明されるように、脱水および乾燥に続き乳化重合によって調製され、凝固を介して単離される。理論に拘束されるものではないが、CSRの50%超が、(脱水および乾燥による代わりに)噴霧乾燥プロセスによって調製される場合、CSR上の残留分散剤または乳化剤剤は、エポキシ樹脂とイソシアネートとの間の反応を妨害する可能性があると考えられている。
【0019】
コアシェルゴム粒子は一般的に乳化重合によって生成される。乳化重合は、既知の乳化剤の存在下または不在下で実施され得る。一実施形態において、スラリーは分散剤または乳化剤で調製される。具体的には、それらは、例えば、アルカリ金属塩などの非イオン性乳化剤もしくは分散剤、または、例えば、アルキルもしくはアリールスルホン酸(典型的には、スルホコハク酸ジオクチルもしくはドデシルベンゼンスルホン酸によって代表される)、アルキルもしくはアリールスルホン酸(典型的には、ドデシルスルホン酸によって代表される)、アルキルもしくはアリールエーテルスルホン酸、アルキルもしくはアリール置換リン酸、アルキルもしくはアリールエーテル置換リン酸、またはN−アルキルもしくはアリールサルコシン酸(典型的には、ドデシルスルホン酸によって代表される)、アルキルもしくはアリールカルボン酸(典型的には、オレイン酸もしくはステアリン酸によって代表される)、アルキルもしくはアリールエーテルカルボン酸といった種々の酸のアンモニウム塩、およびアルキルもしくはアリール置換ポリエチレングリコール、およびポリビニルアルコール、アルキル置換セルロース、ポリビニルピロリドンもしくはポリアクリル酸誘導体などの分散剤を含む。これらは、単独でまたは2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0020】
ポリマーは、(iii)少なくとも1つの触媒の存在下で、(i)コアシェルゴム粒子を伴う少なくとも1つの液状エポキシ樹脂の分散液と(ii)少なくとも1つのポリイソシアネート化合物とを反応させることによって取得される。
【0021】
ポリイソシアネート
一実施形態において、本発明の熱硬化性樹脂の生成のためのポリイソシアネート出発物質は、少なくとも2つの成分(即ち、MDIおよびポリマーMDI)を含む。ポリマーMDIおよびMDIの重量比は一般的に、少なくとも約05:95(例えば、少なくとも約55:45または少なくとも約60:40)であるが、通常、約95:05より高いであろう。
【0022】
一実施形態において、ポリマーMDIは、約3.5以下(例えば、約3以下、約2.8以下、または約2.7以下)、しかし通常、約2.1以上(例えば、約2.2以上または約2.3以上)の平均イソシアネート機能性(即ち、分子当たりのイソシアネート基の平均数)を有する。
【0023】
本発明の熱硬化性ポリマーを作製する際に使用するためのMDIは、3つの異性体、2,2’−MDI、2,4’−MDI、および4,4’−MDIの混合物であり得るが、しかしながら、4,4’異性体は最も広く使用されるが、異性体の任意の他の組み合わせも好適である。
【0024】
MDIおよびポリマーMDI成分に加えて、本発明のポリマーを作製するためのイソシアネート出発物質は、1つ以上の追加のイソシアネート化合物を含み得る。このようなイソシアネート化合物の非限定的な具体的な例としては、トルエンジイソシアネートTDI、メタンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート(例えば、ブタン−1,1−ジイソシアネート)、エチレン−1,2−ジイソシアネート、トランス−ビニレンジイソシアネート、プロパン−1,3−ジイソシアネート、2−ブテン−1,4−ジイソシアネート、2−メチルブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、オクタン−1,8−ジイソシアネート、ジフェニルシランジイソシアネート、ベンゼン−1,3−ビス(メチレンイソシアネート)、ベンゼン−1,4−ビス(メチレンイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ビス(メチレンイソシアネート)、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、1,3−および1,4−ビス(イソシアネート)メチルシクロヘキサン(ADI)、キシレンジイソシアネートの異性体、ビス(4−ベンゼンイソシアネート)エーテル、ビス(4−ベンゼンイソシアネート)硫化物、およびビス(4−ベンゼンイソシアネート)スルホンが挙げられる。
【0025】
一実施形態において、本発明の熱硬化性ポリマーの調製のためのイソシアネート出発物質の少なくとも約20重量%(例えば、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%(例えば、約100重量%))は、ポリマーMDIまたはMDIおよびポリマーMDIの混合物から構成される。
【0026】
一実施形態において、液状エポキシ樹脂およびポリイソシアネートは、75:25〜85:15の比で分散液中に存在する。
【0027】
触媒の存在下でエポキシ基およびイソシアネート基の反応は、2つの主な種類の環構造、即ち、(イソシアネート基の三量化を通じて)イソシアヌレート環および(イソシアネート基のエポキシ基との反応を通じて)オキサゾリジノン環をもたらし得る。
【0028】
オキサゾリジノン環の比:(例えば、オキサゾリジノンおよびイソシアヌレートそれぞれについて1750および1710cm−1の高さのFT−IRピークによって決定され得る)本発明の熱硬化性ポリマーにおけるイソシアヌレート環は通常、少なくとも約95:5(および最大約100:0)であるだろう。一実施形態において、比は、少なくとも約98:2、例えば、少なくとも約99:1であるだろう。換言すれば、上のスキームにおけるXの平均値は、好ましくは、0に近い。
【0029】
オキサゾリジノン環のイソシアヌレート環に対する比は、例えば、反応温度、触媒(複数可)の量もしくは種類、エポキシもしくはイソシアネート化合物の相対比、およびイソシアネート成分の添加の比などの様々なパラメータによって影響され得る。
【0030】
触媒
使用される触媒は、オキサゾリジノン環の形成およびコアシェルゴムの存在下でポリマーの分岐を促進することが可能である任意の触媒であり得る。
【0031】
一実施形態において、熱硬化性エポキシ末端オキサゾリジノン環含有ポリマーは、触媒と調製される。ポリマー形成、即ち、オキサゾリジノン環(およびイソシアヌレート環)の形成のための好適な触媒の非限定的な例としては、求核性アミンもしくはホスフィン、アンモニウム、およびホスホニウム塩が挙げられる。それらの具体的な例としては、例えば、アルキル化イミダゾール(例えば、2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチル−4−エチルイミダゾール、および4,4’−メチレン−ビス(2−エチル−5−メチルイミダゾール)、他の複素環(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ジアザビシクロオクテン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、ピペリジンなど)、トリアルキルアミン(トリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミンなど)、ホスフィン(トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、およびトリエチルホスフィンなど)、第四級アンモニウムおよびホスホニウム塩(トリエチルアンモニウムクロリド、塩化テトラエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、トリフェニルホスホニウムアセテート、トリフェニルホスホニウムヨウ化物、エチルトリフェニルホスホニウムヨウ化物、およびベンジルトリフェニルホスホブロマイドなど)といった窒素複素環が挙げられる。アルミニウム、鉄、マグネシウム、または亜鉛に基づくルイス酸(例えば、カルボン酸亜鉛、有機亜鉛キレート化合物、オクタン酸スズ、およびトリアルキルアルミニウム化合物)、およびアンチモン含有触媒(例えば、三有機アンチモンジ−および四ヨウ化など)は、本発明のポリマーの生成に使用され得る触媒の更に非限定的な例である(もちろん、複数の触媒が使用され得る)。好ましい触媒はイミダゾール化合物である。特に好ましい触媒は、2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、および4,4’−メチレン−ビス(2−エチル−5−メチルイミダゾール)である。
【0032】
触媒または触媒の混合物は一般的に、エポキシおよびイソシアネート出発物質の組み合わせ重量に基づいて、約0.01重量%〜約2重量%(例えば、約0.02重量%〜約1重量%または約0.02重量%〜約0.1重量%)の量で用いられる。
【0033】
反応条件
ポリマーは、当業者に既知の任意の方法で調製することができる。この点について、例えば、米国特許第5,112,932号および欧州特許第EP0113575A1号を参照することができる。
【0034】
反応は通常、溶媒の不在下で実行される。反応温度は通常、約150℃〜約180℃の範囲である。別の実施形態において、反応は、約155℃〜約175℃の温度で実施される。更に別の実施形態において、反応は、約160℃〜約165℃の温度で実施される。
【0035】
本発明の熱硬化性ポリマーは一般的に、少なくとも約320(例えば、少なくとも約340、少なくとも約360、または少なくとも約380)、しかし通常、約1,000以下(例えば、約500以下)のエポキシ当量(EEW)を有する。一実施形態において、熱硬化性ポリマーは、噴霧乾燥を介して単離されたコアシェルゴムよりもむしろ、脱水および乾燥に続く凝固を介して水性媒体から単離されたコアシェルゴムと調製される。
【0036】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、上昇した温度で、エポキシ樹脂とイソシアネートとの間の前進反応中に、脱水および乾燥に続く凝固を介して水性媒体から単離されたものの中ではなく、噴霧乾燥を介して単離されたコアシェルゴムの存在下にあるいくつかの不純物は、アミン触媒を阻止する、したがって、エポキシ−イソシアネート反応を阻害するルイス酸として作用すると推測される。同様の効果は、ビスフェノールAおよびビスフェノールFなど、エポキシ樹脂とジフェノールとの間の前進反応中に観察することができる。
【0037】
目標エポキシ当量(EEW)に到達することは、使用されるコアシェルゴムの種類に主に依存している。例えば、所望のEEWは、脱水および乾燥に続く凝固を介して水性媒体から単離されたコアシェルゴムを使用することによって到達することができる。好ましい消化温度は、約160℃〜約180℃(例えば、約165℃〜約175℃)の範囲である。
【0038】
一実施形態において、(分散液中のコアシェルゴム粒子を伴うまたは伴わない)エポキシ樹脂はまた、エポキシ基間に架橋を形成することができる1つ以上の単官能性、二官能性、または多官能性求核性化合物と組み合わされ、最終の熱硬化性エポキシ末端オキサゾリジノン環含有ポリマーおよび/または行われたコーティングの所望の特性(例えば、樹脂およびコーティングTg、樹脂およびコーティング粘度、コーティング柔軟性、および接着力など)を達成し得る。これらの化合物は、コアシェルゴム粒子の添加前もしくは添加中、またはポリイソシアネートの添加前もしくは添加中、および/またはポリイソシアネート添加が完了した後、エポキシ樹脂に添加することができる。エポキシ基間に架橋を形成することができるこれらの求核性化合物の非限定的な例としては、脂肪酸、二量体脂肪酸、カルダノール、カルドール、アルカノールアミン(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールなど)またはポリヒドロキシジアミン化合物(2,2’−((2−ヒドロキシトリメチレン)−ジイミノ)−ビス(2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールなど)またはアミン硬化剤(例えば、ジシアンジアミドおよびジアミノジフェニルメタンなど)、ポリカルボン酸および無水物(例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHPA)、ナジックメチル無水物(NMA)、無水コハク酸および無水マレイン酸など)、およびフェノール化合物(例えば、トリス(ヒドロキシフェニル)エタンまたは−メタンなど)、ポリオール(例えば、グリセリンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メタンなど)、および同種のものが挙げられる。
【0039】
他の成分
本発明の組成物の更なる成分としては、例えば、エポキシ基および/またはエポキシ基とヒドロキシ基と間の架橋反応のための、硬化剤および硬化促進剤から選択された添加物、色素、流れ制御剤、接着促進剤、および充填剤を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの添加物の具体的な例は当業者に既知である。
【0040】
硬化剤
好適な硬化剤の非限定的な例としては、アミン硬化剤(ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタンおよびジアミノジフェニルスルホン、ポリアミド、ポリアミノアミド、ポリマー性チオールなど)、ポリカルボン酸および無水物(無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHPA)、ナド酸メチル無水物(NMA)、ポリアゼアリック(polyazealic)ポリ無水物、無水コハク酸、無水マレイン酸、およびスチレン−無水マレイン酸コポリマーなど)、およびフェノール硬化剤(フェノールノボラック樹脂など)が挙げられる。
【0041】
好適な硬化促進剤の非限定的な例としては、置換またはエポキシ修飾イミダゾール(2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、および2−エチル−4−メチルイミダゾールなど)、第三級アミン(トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびトリブチルアミンなど)、ホスホニウム塩(エチルトリフェニルホスホニウム塩化物、エチルトリフェニルホスホニウム臭化物、およびエチルトリフェニルホスホニウムアセテートなど)、およびアンモニウム塩(ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドおよびベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなど)が挙げられるが、これらに限定されない。硬化剤および促進剤は一般に、組成物の総重量に基づき、約0.5重量%〜約20%重量の総量で使用される。
【0042】
粉末コーティング特性
本発明の粉末コーティング組成物は一般的に、組成物の総重量に基づき、本発明の熱硬化性ポリマー(複数可)の少なくとも約10重量%(例えば、少なくとも約30重量%、少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%)、しかし通常、約99重量%以下(例えば、約95重量%以下、約90重量%以下、または約85重量%以下)を含む。
【0043】
本発明の粉末コーティング組成物は、実質的に均一に組成物の成分をブレンドする任意の方法によって調製され得る。例えば、乾燥ブレンド、半乾燥ブレンド、または溶融ブレンド手順が用いられ得る。次いで、ブレンドは、粉末コーティング組成物を形成するために粉砕され得る。一実施形態において、粉末コーティング組成物の粒子は、約300ミクロン以下のサイズを有するであろう。
【0044】
本発明の粉末コーティング組成物は、任意の所望の粉末コーティングプロセス(例えば、流動床焼結(FBS)、静電粉末コーティング(EPC)、および静電流動床(EFB)など)によって基板に適用され得る。
【0045】
流動床焼結(FBS)プロセスでは、予備加熱された基板(例えば、金属パイプ)は、空気の流れによって懸濁されたままである粉末コーティング組成物中に浸漬される。コーティングされるべき基板を、例えば、少なくとも約200℃(例えば、少なくとも約240℃)、しかし通常、約350℃以下(例えば、約300℃以下)の温度まで予備加熱し、流動床と接触させる(例えば、その中に浸漬される)。基板の浸漬時間は、とりわけ所望のコーティングの厚さに依存する。
【0046】
静電粉末コーティング(EPC)プロセスでは、粉末コーティング組成物は、アプリケータ内に圧縮された空気によって吹き飛ばされ、アプリケータ内で、それは通常、高電圧直流約30〜100kVの電圧で帯電され、予備加熱された基板(例えば、金属パイプ)上に噴霧され、コーティングされる。次いで、それを、好適な炉内で焼成する。粉末は、その帯電により基板に接着する。あるいは、静電的に帯電された粉末は、パイプなどの加熱された基板上に噴霧することができ、基材の余熱または外部熱の助けを借りて硬化させることができる。
【0047】
静電流動床(EFB)プロセスでは、上の手順が、例えば、50〜100kVの静電荷を生成するために、粉末を含有する流動床上に環状のまたは部分的に環状の電極を載置することにより組み合わされる。基板は、粉末コーティングに特異的な温度で加熱され、完全に硬化する。
【0048】
多くの基材は、本発明の粉末コーティング組成物でコーティングすることができる。好ましい基材は、特定の金属パイプの金属(例えば、鉄、スチール、銅)である。本発明の粉末コーティング組成物でコーティングされ得る他の材料の例としては、セラミック、ガラス繊維、および複合材料が挙げられる。本発明の粉末コーティング組成物から作製されるコーティングは、例えば、高い使用温度(例えば、110℃以上)で動作するパイプライン用のコーティング材料としての用途を見出し得る。
【0049】
コアシェルゴム修飾および非コアシェルゴム修飾樹脂ならびに本発明のコーティング組成物はまた、電機子および固定子をコーティングすることによって電気的絶縁コイル、トランス、モータに使用することができる。それはまた、コートマグネットワイヤ、バスバー、および不活発コアに使用することができる。とりわけ、上記は、設備分数馬力モータ、およびUK電気絶縁システムの認識を必要とする他の適用の製造業者によって使用され得る。FBEプロセスは、各粉末粒子が完全な硬化を取得して記載された性能特性を達成するために必要な全ての成分を含むことを確実にする。適切に処方された本発明のポリマーはまた、電気積層および複合適用において使用することができる。
【0050】
実施例
材料
CSR分散液1:乳化重合によって調製され、噴霧乾燥を介して単離され(The Dow Chemical Co.のPARALOID EXL 2300G)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(The Dow Chemical Co.のD.E.R.383(商標))中に分散する、架橋ポリアクリル酸ブチルコアおよびポリメチルメタクリレートシェルからなるコアシェルアクリルポリマー粒子の15%
【0051】
CSR分散液2:乳化重合によって調製され、脱水および乾燥に続く凝固を介して単離され(The Dow Chemical Co.のPARALOID EXL 2650a)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(The Dow Chemical Co.のD.E.R.383(商標))中に分散する、架橋されたポリブタジエン−スチレンコアおよびポリメタクリレート−スチレンシェルからなるコアシェルメタクリレートブタジエンスチレン(MBS)ポリマー粒子の15%
【0052】
測定の方法
これらの実施例では、全ての反応は、窒素の一定の動的パージを伴い、乾燥条件下で実行された。以下に報告される温度は、約±2℃の精度で与えられている。LERとイソシアネートとの間の前進反応は、加熱ジャケット3型で10リットルのBuchiスチール撹拌容器内で実行された。エポキシ当量(EEW)値は、Mettler DL55自動滴定装置を用いてEEW滴定を介して取得された。ガラス転移開始温度の値、Tgは、TAインスツルメントDSC Q2000を使用してISO 21809−2に従って、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。粉末コーティング混合物の成分を、45秒間高強度ミキサーで予備粉砕し、二軸スクリュー押出機中で化合し、約50ミクロンの平均粒子サイズの粉末コーティングに粉砕して冷却した。流動床を用いて粉末を適用し、60〜100ミクロンのアンカーのプロフィールにサンドブラストされた2.5cm×0.95cm×15.24cmの熱間圧延されたスチールバー上に350〜400ミクロンの厚さを与えた。スチールバーは242℃まで予備加熱した。コーティングを、242℃で3分間後硬化し、次いで、バーを、それらが周囲温度に達するまで、即座に水で急冷した。バーは、この業界で通常使用されている四点曲げ装置内で柔軟性についてパイプ直径当たりの温度(°/PD)でNACE RP0394−2002 H4.3に従って試験された。屈曲プロセスは、10秒の期間にわたって零下の温度で行われた。コーティング中に形成された亀裂の数を、バーが周囲温度で平衡化された後に計数した。コーティングがより強靭であり、それ故に、この分野で失敗する可能性が低いことを示す亀裂はなかった。
【0053】
実施例1(制御)
10リットルのスチール反応器を、窒素パッドを用いて50℃で3909.4グラムのDER(商標)383によって帯電した。温度を120℃まで上昇させ、3.0グラムの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(Aldrich、>98%)を振騰しながら添加した。一旦DBUを溶解すると、1200.3グラムのPAPI 94(ポリマーMDI、Dow Chemical Co.、平均分子重量325、平均イソシアネート機能性2.5)を165〜180℃で滴加した。PAPI 94の添加が完了した後15分間で試料が採取された。固体エポキシ樹脂試料のEEWは390であった。その後、反応混合物を180℃で1時間インキュベートした。反応器から生成物を排出する前の15分間、4.85グラムのメチルp−トルエンスルホン酸塩(MPTS)(Aldrich>98%)を反応器内に振騰しながら添加した。最終生成物は、周囲温度で固体であり、実施例4および5における粉末コーティング処方物を調製するために使用された。
【0054】
実施例2(制御)
10リットルのスチール反応器を、窒素パッドを用いて50℃で4.0kgのCSR分散液1によって帯電した。温度を120℃まで上昇させ、3.0グラムのDBUを振騰しながら添加した。1.0kgのPAPI 94を165〜180℃で滴加した。PAPI 94の添加が完了した後15分間で試料が採取された。固体エポキシ樹脂試料のEEWは269であった。その後、反応混合物を180℃で2.5時間インキュベートした。最終生成物は、周囲温度で粘性の液体であり、廃棄された。
【0055】
実施例3
10リットルのスチール反応器を、窒素パッドを用いて50℃で4.8kgのCSR分散液2によって帯電した。温度を120℃まで上昇させ、3.0グラムのDBUを振騰しながら添加した。1.2kgのPAPI 94を165〜180℃で滴加した。PAPI 94の添加が完了した後15分間で試料が採取された。固体エポキシ樹脂試料のEEWは383であった。その後、反応混合物を180℃で1.0時間インキュベートした。反応器から生成物を排出する前の15分間、5.72グラムのMPTSを反応器内に振騰しながら添加した。最終生成物は、周囲温度で固体であり、実施例5における粉末コーティング処方物を調製するために使用された。
【0056】
図1に示されるように、(CSR分散液2中で使用される)脱水および乾燥に続く凝固を介して単離されたコアシェルゴムは、類似の反応器温度プロフィールを有するにも関わらず、(CSR分散液1中で使用される)噴霧乾燥を介して単離されたコアシェルゴムとして、エポキシ−イソシアネートの前進反応に影響を及ぼさなかった。
【0057】
実施例4(制御)
融着エポキシコーティング粉末処方物は、実施例1の741.5グラムの樹脂、23.22グラムのAmicure CG 1200(Air Productsから入手可能なジシアンジアミド粉末)、9.34グラムのEpicure P 101(Momentiveから入手可能なビスフェノールAエポキシ樹脂を伴う2−メチルイミダゾール付加物)、10グラムのModaflow Powder III(流動性改良剤、Cytec Surface Specialtiesによって製造されているシリカ担体中のエチルアクリレート/2−エチルヘキシルアクリレートコポリマー)、215.9グラムのVansil W20(R.T.Vanderbilt Company,Inc.によって提供されるウォラストナイト充填剤)、および6.0gのCab−O−Sil M 5(Cabot Corp.から入手可能なコロイド状シリカ)を化合することによって調製される。スチールバーを242℃で加熱し、結果として得られた粉末コーティング内に浸漬させ、次いで、242℃で3分間硬化させ、水を10分間急冷した。平均FBEコーティングの厚さは約380ミクロン(15ミル)であった。バーは、NACE RP0394−2002 H4.3.によって推奨される手順を使用して−30℃で屈曲された。バーは3.0°/PDで失敗し、いくつかの亀裂および金属からの総層間剥離を示した。結果として得られた融着エポキシコーティングは、ISO 21809−2に従って、DSCによって測定された165℃のガラス転移開始温度(Tg)を示した。
【0058】
実施例5
融着エポキシコーティング粉末処方物は、実施例3の416.7gの樹脂、実施例1の324.5gの樹脂、22,3gのAmicure CG 1200、8.7gのEpicure P 101、10gのModaflow粉末III、217.8gのVansil W20、および6gのCab−O−Sil M 5を化合することによって調整された。スチールバーを242℃で加熱し、結果として得られた粉末コーティング内に浸漬させ、次いで、242℃で3分間硬化させ、水を10分間急冷した。平均FBEコーティングの厚さは約380ミクロン(15ミル)であった。バーを、NACE RP0394−2002 H4.3.によって推奨される手順を使用して−30℃で屈曲させた。バーは5.0°/PDで成功し、亀裂、応力マーク、または金属からの総層間剥離を示さなかった。結果として得られた融着エポキシコーティングは、ISO 21809−2に従って、DSCによって測定された165℃の開始(Tg)を示した。
【0059】
以下の表Iは、様々な処方物の成分および各試料のEEWを示す。図1は、実施例1、2、および3における樹脂の合成中に記録された時間対温度の直線を示す。観察され得るように、反応物の温度は、実施例1、2、および3における樹脂の合成中と類似であった。しかしながら、実施例2は、大幅な前進反応を示さなかった。
【0060】
【表I】

なお、本発明には以下の実施形態が包含される。
[1]b)コアシェルゴム粒子によって修飾された
a)熱硬化性エポキシ末端オキサゾリジノン環含有ポリマーを含むポリマーであって、
前記コアシェルゴム粒子の少なくとも50%が、
I)水性分散媒中で単量体の乳化重合を実行して熱可塑性コアシェルゴム粒子を形成することと、
II)前記熱可塑性コアシェルゴム粒子を凝固させてスラリーを形成することと、
III)前記スラリーを脱水して脱水粒子を形成することと、
IV)前記脱水粒子を乾燥させて乾燥粒子を形成することと、を含むプロセスによって調製される、ポリマー。
[2]前記ポリマーが、
(i)前記コアシェルゴム粒子を含む少なくとも1つの液状エポキシ樹脂の分散液を、
(ii)少なくとも1つのポリイソシアネート化合物と、
(iii)少なくとも1つの触媒の存在下で反応させることによって得られる、[1]に記載のポリマー。
[3]分散液中に前記コアシェルゴム粒子を含有する前記少なくとも1つのエポキシ樹脂がジグリシジルエーテルである、[1]または[2]に記載のポリマー。
[4]前記分散液(i)が、少なくとも10重量パーセントであるコアシェルゴム含有量を有する、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のポリマー。
[5]前記分散液(i)が、少なくとも1つのエポキシ樹脂と、エポキシ基間に架橋を形成することができる少なくとも1つの二官能性または多官能性求核性化合物との組み合わせと混合される、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のポリマー。
[6]前記少なくとも1つのポリイソシアネート化合物が、ポリマー4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(ポリマーMDI)および4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)からなる群から選択される、[1]〜[5]のいずれか一項に記載のポリマー。
[7]分散液(i)中の前記少なくとも1つの液状エポキシ樹脂の、前記少なくとも1つのポリイソシアネート化合物に対する重量比が75:25〜85:15である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載のポリマー。
[8]前記ポリマー中のオキサゾリジノン環のイソシアヌレート環に対する比が、約95:5〜約100:0である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載のポリマー。
[9]前記ポリマーが少なくとも約350のエポキシ当量を有する、[1]〜[8]のいずれか一項に記載のポリマー。
[10]エポキシ末端オキサゾリジノン環含有ポリマーを作製する方法であって、
少なくとも1つのポリイソシアネート化合物を、
(i)コアシェルゴム粒子を含む少なくとも1つの液状エポキシ樹脂の分散液と、
(ii)エポキシ基とイソシアネート基との間の反応を触媒することができる触媒と、
の混合物と、イソシアヌレート環の形成よりもオキサゾリジノン環の形成に有利である条件下、前記コアシェルゴム粒子の存在下で接触させることを含む、方法。
[11]前記少なくとも1つのポリイソシアネート化合物が、ポリマー4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(ポリマーMDI)および4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)からなる群から選択される、[10]に記載の方法。
[12]前記少なくとも1つのポリイソシアネート化合物の前記接触が、2つ以上のステップにおいて実行される、[10]または[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13]前記条件が、少なくとも約150℃の温度を含む、[10]〜[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14]分散液(i)中の前記少なくとも1つの液状エポキシ樹脂が、ビスフェノールAジグリシジルエーテルを含む、[10]〜[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15]熱硬化性粉末コーティング組成物であって、
(a)請求項1に記載のポリマーと、
(b)1つ以上の硬化触媒と、を含む、組成物。
[16][14]に記載の熱硬化性粉末コーティング組成物から作製される融着エポキシコーティングをその上に有する基板。
図1