(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ヒトに生じる疾病は、器質的な疾病と機能的な疾病とに大別される。現代医学では、機能的な疾病に対しては内科療法が主に用いられ、器質的な疾病に対しては外科療法と内科療法の両方が用いられる。しかしながら、内科療法はその多くが対症的なものであるため、疾病を根治できることは少ない。また、外科療法はそれ以上に侵害的治療方法であり、損傷臓器の全部或いは一部を摘出するため、臓器の機能が部分的或いは完全に喪失するものである。一方、臓器移植及び人工臓器は、外科治療に対する重要な代替療法とされている。しかしながら、臓器移植には、拒絶反応を抑制するために用いられる免疫抑制剤による副作用などの技術的問題や、深刻なドナー不足、医療費高騰などの様々な普遍的問題が存在する。また、人工臓器を用いた治療についても、生体機能不代替性及び生体適合性などの技術的問題や、医療費高騰などの社会的問題が存在する。
【0003】
再生医療は、これらの問題を解決する新しい治療方法として、現在、注目を集めている。再生医療とは、病気や事故によって機能障害や機能不全に陥った組織及び臓器の再生や機能回復に対して、幹細胞を積極的に利用する治療方法である。幹細胞の使用方式によって、再生医療は下記の3つの類型に大別される。
【0004】
(1)ドナーから胚性幹細胞、臍帯血由来単核細胞、血液由来単核細胞或いは骨髄由来単核細胞を採取し、インビトロ培養で細胞の増殖、或いは増殖と分化を誘導し、選択された未分化幹細胞、或いは未分化幹細胞と分化幹細胞を移植によって患者の体内へ導入する方法。
(2)患者から体性幹細胞、血液由来単核細胞、或いは骨髄由来単核細胞を採取し、インビトロ培養で細胞の増殖、或いは増殖と分化を誘導し、洗濯された未分化幹細胞、或いは未分化幹細胞と分化幹細胞を移植によって患者の体内へ導入する方法。
(3)患者の生体を刺激(例えば、薬剤投与、運動、理学療法など)することによって患者の損傷臓器或いは細胞に存在する幹細胞(損傷のない幹細胞)或いは、患者の血液由来もしくは骨髄由来の幹細胞を賦活化(initiate)する方法。インビトロ培養による幹細胞の増殖、或いは増殖と分化の誘導は行わない。以下、この方法を「自発的再生」という。
【0005】
現在の再生医療の研究方向の主流は、細胞移植によって外部から患者の体内に導入する方法(すなわち、前述の(1)及び(2)の方法)であるが、まだ実用化には至っておらず、(1)に関しては医学倫理の問題に関わる可能性がある。
【0006】
分化細胞を外部から患者の体内へ導入する方法は、皮膚科、眼科及び整形外科の分野において用いられており、対象とされる臓器及び組織は、単一の、或いは非常に限られた種類の細胞から構築される組織又は器官(例えば、皮膚、骨、軟骨、角膜及び筋肉組織)である。しかしながら、多種類の細胞から構築される実質臓器(例えば、心臓、肝臓、肺、腎臓及び脳)に対しては、これら多種類の分化細胞の挙動を適切に制御する技術は実用化の水準には至っていない。
【0007】
一方、未分化細胞を患者の体外から導入する方法としては、以下の方法が知られている
。
1)重症虚血性疾患及び循環器系疾患に対して、患者の体外から幹細胞を導入して血管新生を促進し、新しい血管を形成させる血管新生療法(angiogenesis)(Weissman IL: Translating stem and progenitor cell bilology to the clinic: Barriers and opportunities. Science. 287:1442-1446,2000)。
2)患者の体外からの胚性幹細胞(ES細胞)導入を利用した血管形成法(vasculogenesis))(McCloskey KEほか:Use of embryonic stem cell-derived endothelial cells as a cell source to generate vessel structures in vitro. Tissue Eng. 11:497-505,2005)。この方法は、ES細胞の培養方法、細胞分化の誘導方法及び分化細胞の採取方法などが十分に確立されていないため、実用化には至っておらず、また、医学倫理の問題にも関わっている。
3)患者の骨髄から分離した骨髄由来単核細胞を用いて、この細胞を病変部位へ直接導入することによって新しい血管を形成する自己骨髄細胞移植法(Sato Yほか,Can a bone marrow cell contribute to organ regeneration? In vivo analysis using transgenic rats with reporter genes. Transplantation Proceedings. 37:273-275,2005)。この方法には、採取できる幹細胞が少ないという問題や、患者に全身麻酔を施した上で大量の脊髄を採取するため患者への身体的負担及び危険が生じるなどの問題がある。更に、移植した細胞の分化過程を制御することが著しく困難であるという問題もある。
【0008】
また、患者の体外から幹細胞を導入する方法を用いた再生医療においては、合併症の発症という共通の問題がある。合併症の発症は、移植細胞の過剰再生、或いは過剰再生と過剰修復に起因するものであり、当然、免疫拒絶反応も主要な要因の1つである。
【0009】
これに対して、「自発的再生」を用いる方法は、患者(ここでの患者とは、例えば美容目的などの目標に達するために医学的手段を必要とするものであり、医学上の病人を意味するものではない)の体内に元々存在する幹細胞(すなわち、内在性の幹細胞及び患者の血液由来或いは骨髄由来の幹細胞)を刺激して、増殖、遊走、分化させることにより、損傷臓器及び損傷組織を再生し、機能回復を図るものである。
【0010】
再生能力を有する幹細胞は、肝臓、神経系(特に、脳などの中枢神経系)、皮膚、脂肪組織、網膜、角膜、骨格筋のみならず、心臓にさえも存在することが報告されており(Garry DJほか: Ponce de Leon’s fountain: stem cells and the regenerating heart. Am J Med Sci. 329(4): 190-201, 2005)、現在では、全ての臓器と組織に内在性の幹細胞が存在すると考えられている(Weissman IL: Translating stem and progenitor cell bilolgy to the clinic: Barriers and opportunities. Science. 287:1442-1446,2000;Garry DJほか: Ponce de Leon’s fountain: stem cells and the regenerating heart. Am J Med Sci. 329(4): 190-201, 2005)。本領域の技術者は、人体のほぼ全ての臓器及び組織の微小な傷は癒合することを観察し、この点からも体内の広範囲に幹細胞が均等に分布しており、これらの幹細胞が随時、周囲の傷を修復していると基本的に判断した。もちろん、大きな傷(例えば、最も短い傷口が1cmを超えるもの)に対しては、幹細胞は一度で完全に修復することは不可能で、傷口の癒合は部分的な傷跡となる(幹細胞療法を何度も行うことにより、傷跡は修復可能)。
【0011】
以下の文献から、内在性幹細胞或いは血液由来幹細胞及び骨髄由来幹細胞は異なる類型の組織細胞に分化することができ、細胞が分化する類型は細胞が存在する微小環境(niche)条件(異なる類型の接触細胞、誘導微小環境条件に含まれる細胞外基質、サイトカイン及び成長因子の内容など)によって決まるということが知られている。
【0012】
(i)神経幹細胞を、神経栄養因子或いは成長因子の存在下で培養すると、neurosphere(球状の細胞塊)と呼ばれる単一細胞由来のコロニーを形成する(すなわち、自己複製能力
(self-replication))。更に、このneurosphereは、異なる誘導微小環境条件に基づいて神経細胞、アストロサイト、オリゴデンドロサイトへ分化する(すなわち、多分化能力(multipotency))。また、neurosphereをインビトロで継代培養すると、単一のneurosphere由来細胞から別のneurosphereが形成される(Reynolds BA和,Weiss S: Generation of
neurons and astrocytes from isolated cells of the adult mammalian central nervous system. Science. 255:1707-1710,1992)。
【0013】
(ii)成体ラットの脊髄から採取した神経幹細胞を、他のラットの脊髄に移植するとグリア細胞のみに分化するが、海馬歯状回に移植すると神経細胞へ分化する(Shihabuddin LSほか:Adult spinal cord stem cells generate neurons after transplantation in the
adult dentate gyrus. The J Neuroscience. 20: 8727-8735, 2000)。
【0014】
(iii)神経幹細胞を血管内皮細胞と共に培養すると、神経幹細胞の増殖及び神経細胞への分化が促進される(Shen Qほか:Endothelial cells stimulate self-renewal and expand neurogenesis of neural stem cells. Science. 304: 1338-1440, 2004)。
【0015】
(iv)骨髄間葉系幹細胞(BM-MSCS)を糖尿病のラットの傷口周辺に注射すると、骨髄間葉系幹細胞(BM-MSCS)は、表皮細胞、細胞ケラチン、腺細胞に分化すると同時に、血管の形成と毛細血管の密度増強を促進する(Yaojiong Wuほか:Mesenchymal Stem Cells Enhance Wound Healing Through Differentiation and Angiogenesis. STEM CELLS.
Volume 25, Issue 10, 2648-2659, October 2007)。
【0016】
一方、自己組織内在性幹細胞の再生を用いる再生医療を目的とする、内在性幹細胞或いは血液由来及び骨髄由来幹細胞の増加を促進する方法は以下の通りである。
【0017】
1.脳虚血モデル動物に対してEGFを投与すると、神経幹細胞の増殖が促進され、梗塞区域において損失した細胞の20%が再生する(Teramoto Tほか:EGF amplifies the replacement of parvalbumin-expressing striatal interneurons after ischemia. The J Clinical Investigation. 111:1125-1132, 2003)。
【0018】
2.動脈硬化患者に対して高脂血症治療剤であるスタチン(Statin, 3-ヒドロキシ-3-メチル-ペンタンアシルコエンザイムA(HMG-CoA)還元酵素抑制剤)を投与すると、骨髄由来の血管血液幹細胞(hemangioblast)或いは内皮前駆細胞が血中で増加する(Walter DHほか:Statin therapy accelerates reendothelialization: A novel effect involving mobilization and incorporation of bone marrow- derived endothelial progenitor cells. Circulation. 105:3017-3024,2002)。
【0019】
3.上記のEGF以外に、多数の成長因子(VEGF、FGF(b-FGF)、PDGF、NGF、HGFなど)或いはサイトカイン(G-CSF、GM-CSF、エリスロポチエン(EPO))、その他の生理活性物質(エストロゲン、脂質)などが、幹細胞の増加に有用である(Takeyama K, Ohto H: PBSC mobilization. TransfuseApher SCI 31: 233-243,2004; Aicher A, Zeiher AM, Dimmeler S: Mobilizing endothelial progenitor cells. Hypertension 45:321-325, 2005)。しかしながら、上記の物質のうち、薬剤として開発されたのは2、3種類の物質(例えば、G-CSF、b-FGF)。また、G-CSFについては癌促進作用が危惧されており、b-FGFについては静脈内注射時の血管閉塞などの副作用が懸念されている。また、成長因子に起因する多種類の細胞を標的とした副作用の多様性を考慮して、標的細胞の種類が少ない成長因子として開発されたVEGFとb-FGFは、臨床試験において十分な治療効果が得られていない。更に、EPOには血圧上昇の副作用がある。中国特許第CN101405021A号の《神経幹細胞増殖試薬と神経幹細胞分化試薬の連続投与法案》には、神経幹細胞増殖試薬としてhCG(ヒト絨毛性ゴナド
トロピン)、プロラクチンやEPOなど、数日内に連続して低用量を哺乳類被験者に投与する方法が記載されている。
【0020】
4.早期の研究では、骨髄抽出物の中には可溶性蛋白因子が存在しており、幹細胞の増殖を抑制或いは刺激することが示されている(総括:Lord and Wright, Blood Cells. 6:581-593,1980; Wright and Lorimore, Cell Tissue Kinet. 20:191-203, 1987; Marshall
and Lord, Int Rev. Cyt. 167:185-261,1996)しかしながら、現在に至るまで、Lord等が述べた骨髄抽出物を純化して取り出した幹細胞刺激剤は調製されていない。
【0021】
5.中国特許第CN101278045A号の《幹細胞及び祖細胞の賦活剤》では、類トロンビン(バトロキソビンが好ましい)を内在組織幹細胞或いは祖細胞賦活剤として、バトロキソビンが内在組織幹細胞に対して賦活作用があることが実施例の記述から見出せると述べてある。しかし、この発明は細胞レベルでの賦活作用の公開に限られており、理論的根拠に乏しく、幅広い疾病治療の臨床データも見受けられない。
【0022】
明らかに、臨床上必要とされているのは、「自発的再生」方法で用いることができ、体内の広範囲に分布している臓器組織の幹細胞を合理的かつ容易に利用でき、具体的にはこれらの幹細胞の増殖、遊走、分化に作用し、副作用の少ない或いは副作用がなく、再生医療が適用される損傷臓器或いは損傷組織の進行段階や損傷の程度に応じて迅速かつ適度に作用することができるものである。
幹細胞が組織の再生過程において、主導的な作用を発揮することは、本領域の技術者に容易に認められることであり、それ以外にも、幹細胞が主導する組織再生には免疫調節機能もあるため、幹細胞をアレルギー反応(Hypersensitivity)性疾病(アレルギー性疾病(Allergic diseases)と自己免疫性疾病を含む)の治療に用いることができるのではと推論されているのは自然なことである。
【0023】
アレルギー反応性疾病の発生メカニズムは複雑で、臨床実験では混合型が往々にして見られる。例えば、I型とIII型が同時に発症したり、II型とIII型が同時に発症したり、II型、III型、IV型が同時に発症することさえある。
【0024】
アレルギー性疾病は、外部からの抗原を有害物質(例えば、最近、ウイルス、花粉、埃など)だと解読し、変体反応を起こすことにより、免疫細胞中の食細胞が活性化し、ヒスタミンとプロスタグランジンを放出し、ヒスタミンとプロスタグランジンによって微血管が拡張し、血管の通透性が増加し、痒みが起き、平滑筋の収縮と反射作用などの一連の作用が起き、軽いものでは皮膚に麻疹紅斑が現れ、重いものでは腫れや発熱などの炎症を引き起こす。アレルギーとは、これらの不正常反応を意味し、I型アレルギー反応(すなわちAllergy)とも呼ばれる。I型アレルギー反応が組織或いは臓器の損傷を引き起こすことは少ないが、ある種類のI型アレルギー反応は慢性的症状へと変化し(すなわち、アレルギー防止治療を行っても症状が変わらない)、或いは他の類型のアレルギー反応を伴って組織或いは臓器の損傷を引き起こし、癒合は難しくなる。現在、臨床上では糖皮質ホルモンや免疫抑制剤などの薬剤を主に用いて治療が行われており、もしアレルギー反応が慢性的なものに変化した場合は、一般的な治療の効果は少なく、より有効な組織再生療法が必要になる。
【0025】
自己免疫性疾病による組織の損傷は、主にII型、III型、IV型アレルギー反応によって引き起こされる(自己抗体作用、免疫複合物作用、T細胞作用、マクロファージ、NK細胞作用)。
自己免疫性疾病に共通する特徴は、自己抗体と自己反応性T細胞の量が深刻な程度に平行で、疲労範囲は主に自己抗体とアレルギーリンパ細胞が作用する自己抗原の分布部位であり、受動的に転移し、多くの自己免疫性疾病は病因が不明である。病気は長引き、発作
と緩和を繰り返す。患者は女性に多く見られ、年齢と共に発病率も増加する。遺伝傾向があり、疾病を繰り返す現象が見られる。免疫抑制剤を用いた治療に一定の治療効果がある。
【0026】
自己免疫性疾病は、機体健康細胞及び組織に対する免疫細胞の誤りによって引き起こされる疾病である。自己免疫性疾病の特徴は、異常によって自己蛋白、自己ポリペプチド、自己ペプチド及び自己分子のTリンパ細胞及びBリンパ細胞を標的とし、体内臓器や組織、或いは組織類型(例えば、皮膚、膵臓、脳、甲状腺や胃腸)に損傷や機能不全を引き起こすものであり、臨床的症状を引き起こす(Marrackほか, Nat Med 7, 899-905,2001)。自己免疫性疾病は、特異組織或いは特異臓器の疾病(臓器特異性)への影響と、多くの組織と臓器の疾病(非臓器特異性疾病)への影響を含む。ある疾病については、この自己免疫反応を決める部分は、特定臓器の抗原の局限を指すか或いは広範囲に分布する機体の抗原を指すかによる。組織特異性自己免疫の表徴は、単一の組織或いは単一の細胞を標的として選択する。しかしながら、普遍的に存在する自己蛋白を標的とするある種の自己免疫性疾病は特異臓器にも影響する。例えば、多くの筋炎において、自己免疫反応は広範囲に存在する蛋白組アミノアシル-tRNA合成酵素を標的とする。しかし、主な臨床的症状は筋肉の自己免疫性破壊である。
【0027】
機体免疫系統は、「自己」抗原物質と「非自己」抗原物質を識別する能力を有しており、正常な状況下では、免疫系統は自己組織抗原に対して免疫反応を起こさない。或いは微弱な免疫応答反応を起こす。この現象は自己耐性と呼ばれる。自己耐性は、免疫系統が多種類のメカニズムを通して自発的に調節することで維持されるものであり、このようにして自己組織細胞の構成物が免疫反応の攻撃を受け損傷しないように保障している。有る状況下では、自己耐性は破壊され、免疫系統は自己組織の構成物に対して明らかな応答反応を示すことがある。すなわち、体内で自己組織の構成物に対して抗体とアレルギーリンパ細胞が発生する。これを自己免疫という。自己耐性が破壊されるシステムは今のところはっきりしていないが、例えばウイルスや細菌、毒素やある種の化学物質や薬物などの外因性物質によって引き起こされる遺伝傾向を有する機体の免疫問題が主要な作用を起こしている。自己免疫は大部分の状況下で生理的なものである。一定の限度内で自己免疫反応は体内の老廃物や自己細胞の歪みを取り除き、免疫応答反応に対して調節作用を有するからである。自己免疫反応が生理的限度を超えるか、持続時間が長すぎる時にのみ、自己組織の損傷と相応する機能の障害、自己免疫性疾病の発症を引き起こすのである。
【0028】
現在、自己免疫疾病の一般的な治療方法は、糖皮質ホルモン或いは免疫抑制薬剤を用いて、免疫系統の組織に対する攻撃による炎症反応を緩和し、免疫系統の作用を抑制することである。しかしながら、これらの方法は全て、深刻な感染や骨髄抑制などの重大な不良反応を引き起こす恐れがあり、病状の進展速度を緩めるだけで、疾病を根治するものではない。
【0029】
1996年、イタリアのMarmontが初めて自家骨髄移植(ABMT)を用いて重症の紅斑狼瘡の治療に成功したと報道され、世界の多くの国で幹細胞を用いた自己免疫疾病治療に関する研究ブームを巻き起こし、各種幹細胞を用いた自己免疫疾病の治療は瞬く間に発展した。例えば、胎盤幹細胞を利用した自己免疫性疾病の治療(中国特許第CN101657206A号)、人体脂肪由来の幹細胞を利用したI型糖尿病の治療(Vikash Chandraほか:Islet-Like Cell Aggregates Generated from Human Adipose Tissue Derived Stem Cells Ameliorate Experimental Diabetes in Mice.PLoS One. 2011;6(6):e20615. Epub 2011 Jun 7.)、神経祖細胞を利用した免疫性疾病の治療(Wei Cao他:Leukemia Inhibitory Factor Inhibits T Helper 17 Cell Differentiation and Confers Treatment Effects of Neural Progenitor Cell Therapy in Autoimmune Disease,Immunity, Volume 35, Issue 2, 273-284, 11 August 2011)、腸内における腸祖細胞により生成されたインスリン分泌細胞を利用したI型糖尿病の治療(
Chutima Talchaiほか:Generation of functional insulin-producing cells in the gut by Foxo1 ablation. Nature Genetics.44,406-412(2012))、さい帯血幹細胞を利用したI型糖尿病の治療(Yong Zhao, Zhaoshun Jiang, Tingbao Zhao, Mingliang Ye, Chengjin Hu, Zhaohui Yinほか: “Reversal of type 1 diabetes via islet beta cell regeneration following immune modulation by cord blood-derived multipotent stem cells.” BMC Medicine 2012, 10:3, 10 January 2012.)、脊髄系幹細胞の静脈注射による自己免疫性重症無力症の治療(Yu, Jほか:Intravenous Administration of Bone Marrow Mesenchymal Stem Cells Benefits Experimental Autoimmune Myasthenia Gravis Mice Through an ImmunomodulatoryAction,Scandinavian Journal of Immunology, 2010; 72 (3): 242 )、血液由来の幹細胞を利用した高齢動物の多発硬化症の治療(Julia M. Ruckhほか:Rejuvenation of Regeneration in the Aging Central Nervous System,Cell Stem Cell, Volume 10, Issue 1, 96-103, 6 January 2012)、脊髄間葉系幹細胞を利用した強皮症の治療及び幹細胞の免疫調節機能の探求(Kentaro Akiyamaほか:Mesenchymal-Stem-Cell-InducedImmunoregulationInvolvesFAS-Ligand-/FAS-MediatedTCellApoptosis,Cell Stem Cell, Volume 10, Issue 5, 544-555, 26 April 2012)が挙げられる。
【0030】
幹細胞による自己免疫性疾病の治療には、幹細胞の主に2つの作用が利用される。免疫調節作用と組織再生作用である。幹細胞の免疫調節作用について言えば、ある研究によると、骨髄間質細胞(Mesenchymal Stromal Cell)はT細胞とB細胞の増殖を抑制し、機体自己免疫反応のコントロールを実現したという臨床効果が指摘され、この種類の免疫調節機能は臨床において一般的に使用される免疫抑制剤の単分子コントロールとは違い、MSCsは多分子の参与によって、多経路コントロールと側分泌作用を実現したものであり、尚且つその免疫調節機能は機体炎症の微環境との相互作用である(Pittenger, M.F.,Martin, B.J.:Mesenchymal stem cells and their potential as cardiac therapeutics. Circ. Res., 2004, 95, 9-20)。また、幹細胞が発動する組織再生は天然の免疫調節能力を有する(機体免疫系統は新しい組織を(自己)と識別するからである)。
当然のことながら、現在、幹細胞による自己免疫性疾病の治療方法は依然として幹細胞を移植する方法であり、内在性幹細胞は利用されていない。
【0031】
二酸化塩素は、現在、薬効が高く、薬効範囲も広く、安全な殺菌剤、保冷剤として、新世代の最も理想的な塩素剤の代替品として国際的に公認されており、成果移住の先進国では既に広く応用されている。アメリカ、西ヨーロッパ、カナダ、日本などの先進国の関係組織では、アメリカ環境保護局や食品薬品保護局、農業部のように、二酸化塩素の食品や食品加工、製薬、病院や公共環境の消毒、防カビや食品の防腐や保鮮などへの使用を承認、推薦している。世界保健機関(WHO)と国際連合食料農業機関(FAO)もまた、二酸化塩素をA1級安全で効率的な消毒剤としている。飲料水中の発癌物質の発生を抑えるために、欧米先進国では既に二酸化塩素を塩素の代替として飲用水の消毒に用いている。しかし、二酸化塩素は薬剤としてはまだ市場に受け入れられていない。しかしながら、一部の特許は二酸化塩素の一部の疾病治療用途としての利用に関わっているが(例えば、CN102137651A、、N101641104A、CN1199633C)、これらの特許は二酸化塩素の強酸化能力と皮膚病原微生物を殺すことによる抗感染能力の利用に関してのみだった。米国特許第US5750108号は、二酸化塩素が毛嚢を刺激して頭髪の発育を促進すると言及している。しかし、濃度が比較的低いため、二酸化塩素の最大能力を発揮しておらず、このため明らかな発毛効果は見られていない。中国特許第CN102441006A号は二酸化塩素を含む外用発毛溶液を提供しており、脱毛部位を刺激して新しい頭髪を発毛させることが短期内に可能であり、治癒事例を提供している。しかし、この特許は二酸化塩素の幹細胞に対する潜在的作用メカニズムに発見には至っていない。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下は、本発明の実施方式に関するより具体的な説明である。
本発明の具体的な実施方式を説明する前に、まず、本発明が提供する方法のメカニズムについて説明する。
【0058】
アメリカの臨床試験報告《Chlorine Dioxide Versus Saline for Wound Irrigation》(報告機関:Rhode Island Hospital、第NCT01341041号)では、生理食塩水に対する二酸化塩素の一般的傷口への作用が提示されている。その作用とは、傷口の癒合を加速させ、傷痕の形成を減少させることである。動物実験においては、二酸化塩素は傷口への迅速な止血効果があり、傷口の癒合を加速させる効能があるとする報道がある(金偉ほか,二酸化塩素除放ゲルによるウサギの傷口癒合効果促進の実験研究《山西医科大学学報 》2011年42卷07期 )。
【0059】
これにより、確かと言えることは、傷口の癒合は幹細胞によって発動するものであり、
もし組織が幹細胞を失ったならば、当該組織は如何なる傷も癒合できないということである。正常な状況下であれば、如何なる薬剤の刺激も必要とせずに、人体組織の傷口は正常に癒合される。根本的な原因は、傷口の周囲には幹細胞が存在しており、幹細胞の増殖、遊走、分化によって完全な新組織が形成されるからである。一旦、幹細胞の数量或いは分化能力が不足すると、傷口の癒合過程において傷痕ができるか或いは比較的長時間癒合ができないことになる。例えば、I度の火傷ならば自然に癒合し傷痕は残らない。II度の火傷ならば傷痕によって癒合し、III度ならば自然に癒合することは不可能である。
【0060】
成体幹細胞(ASCs)は、傷口が癒合する過程の新しい組織に由来すると考えられており、皮膚の傷口の癒合、肝臓の再生、肺の再生腎臓機能の修復、角膜上皮の癒合、神経の再生を含み、心筋症と虚血性脳損傷組織の修復は全て内在性組織の幹細胞の増殖、遊走、分化によるものだと考えられている。骨髄間葉系幹細胞(BM-MSC)は、傷口の癒合の各段階に参与していることが証明されている(Katherine Lauほか,Exploring the role of stem cells in cutaneous wound healing,Experimental Dermatology,Volume 18, Issue 11, pages 921-933, November 2009)。
【0061】
本発明人は、二酸化塩素溶液が皮膚の傷口に対して明らかに癒合を加速させる能力を有しており、傷痕も小さいことを発見した。例えば、比較的大きな炎症性傷口の癒合や糖尿病合併症の傷口の癒合である。
【0062】
人体組織は損傷を受けた後、適応性の痛み(Adaptive pain)を起こすことがあり、傷害性の痛みや炎症性の痛み( Inflammatory pain)も含まれる。傷害性の痛み(Nociceptive pain)は外部からの更に深刻な傷害を免れるための保護機体を有しており、保護機体作用を果たす(Clifford J. Woolf,What is this thing called pain? J Clin Invest. 2010 November 1; 120(11): 3742-3744)。炎症性の痛みは損傷組織の癒合を促進する役割を演じる(Clifford J. Wool,Pain: Moving from Symptom Control toward Mechanism-SpecificPharmacologic Management,Annals of Internal Medicine(2004),Volume: 140, Issue: 6,Pages: 441-451)。このため、痛みは組織の損傷修復に対して利益があり、各種の刺激因子を通して幹細胞の分化を促進し、再生方式を組織の損傷に対応させる。
【0063】
本発明人は、臓器組織に対する二酸化塩素溶液の施用がミクロな傷口を発生させ、短時間の痛みの感覚を引き起こすことを発見した。また、本発明人は、ミクロな傷口の発生は、一方では清創作用があり、壊死した組織を取り除き、もう一方では、幹細胞が発動する組織再生の作用を誘導し、痛みを伴う刺激はこの作用を促進すると考えている。
【0064】
毛嚢細胞の再生過程を観察する中で、ある一定の程度で、皮膚の傷口の回復が幹細胞の比較的初期の模式分化を伴っており、再生した組織はより若々しいことを発見した(Katherine Lauほか:Exploring the role of stem cells in cutaneous wound healing,Experimental Dermatology,Volume 18, Issue 11, pages 921-933, November 2009)。ラットに対する研究の中では、人為的な傷口の癒合過程で新しい毛嚢幹細胞と表皮幹細胞が傷口の癒合過程中の細胞(毛嚢細胞、皮脂腺細胞などを含む)の形成に参与しており、その幹細胞の増殖、遊走、分化の過程で、wnt信号が主要な作用を果たす(Ito Mほか:Wnt-dependent de novo hair follicle regeneration in adult mouse skin after wounding. Nature. 2007 May 17;447(7142):316-20)。
【0065】
本発明人は、適当な濃度の二酸化塩素溶液を脱毛部位に使用することにより、以下の現象が起きることを発見した。毎日二酸化塩素溶液を塗布すると、3〜5日前後で、薬剤を塗布した部位に傷口のような赤い斑点が現れ、頭髪がある脱毛区域に新しい発毛が見られ、20日前後で、完全に脱毛した区域にも新しい発毛が確認された。幹細胞の再生組織能力だけがこの現象を説明できる。
【0066】
胎児の傷口は迅速に癒合し、且つ傷痕が残らないが、成人の場合は傷口の癒合難度が年齢と共に増加する。これは幹細胞の効能状態の変化を代表しているものと考えられる(Cecilia Rohほか:Cutaneous Stem Cells and Wound Healing,Pediatric Research (2006).
59, 100R-103R)。これは同時に、幹細胞の再生能力が衰える可能性の存在を説明している。幹細胞の“微環境”( niche)は、老化による幹細胞の喪失において重要な役割を果たす。幹細胞はその他の細胞の微環境中に位置を定め、周知のように微環境は幹細胞の効能に重要な作用を果たす。ショウジョウバエの生殖幹細胞が自己更新する分子メカニズムの研究の中で、研究員は幹細胞の微環境の変化に伴って、細胞がRNA翻訳蛋白質の中で負性コントロール作用のmRNA分子let-7を発生させ、let-7の増加が微環境中の活性幹細胞の減少を表していることを発見した( Hila Toledanoほか,The let-7-Imp axis regulates
ageing of the Drosophila testis stem-cell niche,Nature (2012),Published online 23 May 2012)。少なくとも一定の程度で、幹細胞の再生能力は老化することが幹細胞の数量の減少に表れ、微環境が伝達する信号が重要な作用を果たしていることが見られる。
【0067】
本発明人はまた、同じような傷口(面積と深度が同様)に二酸化塩素溶液で処理をし、60歳以上の人の癒合能力が30歳以下の人よりも明らかに低いことを発見した。これは、二酸化塩素の幹細胞に対する作用と上述の理論予測の結果が基本的に一致することを説明している。
【0068】
以上の理論及び実践観察をもとに、傷口の癒合の角度から判断し、本発明人は二酸化塩素溶液が組織の修復に対して明らかに促進作用を有することを発見し、新しく形成された組織は若返っていることを発見した。
【0069】
二酸化塩素が獲得する5つの電子の酸化還元電位は1.5であり、酸素の1.2を上回り、獲得する電子能力が強いため、強酸化剤に属する。本発明人は、二酸化塩素が哺乳類の体内の幹細胞の増殖、遊走、分化を促進するのは2つの経路によると考えている。まず、二酸化塩素は強酸化能力によって普通細胞を破壊し、組織上の傷口の原因となり、或いは壊死組織を取り除き、痛みを発生させ、身体は自動的に傷口を癒合させるために幹細胞を賦活させる。もう1つは、二酸化塩素は水に溶ける気体であり、窒素酸化物(NO)や硫化水素(H2S)と同じように、信号分子として機体組織に進入した後、気体信号分子の特殊能力を発揮し、幹細胞の増殖、遊走、分化を賦活し、組織の再生を完成させる。
【0070】
多くの研究により、窒素酸化物は傷口の癒合を促進することが認められている(MajidaRizkほか,Nitric Oxide and Wound Healing. World Journal of Surgery. Volume 28, Number3 (2004), 301-306,)、特に、糖尿病患者に類似する慢性的な傷口の癒合である(
M. B. Witteほか, Nitric oxide enhances experimental wound healing in diabetes.
British Journal of Surgery. Volume 89, Issue 12, pages 1594-1601, December 2002)。一酸化窒素は、酸性の条件下で獲得する酸化還元電位は1.6で、二酸化塩素に近く、且つ両者共に水に溶ける(前者は微溶)。本発明人は、一酸化窒素のような内因性信号分子と区別して、二酸化塩素は外因性信号分子として身体に作用し、内在性組織の再生における幹細胞賦活剤になれると予想する。
【0071】
本発明人は、本発明中の二酸化塩素を含む製剤は、適当な方法によって人体の内在性組織の再生に用いることができると予想する。その作用メカニズムは以下の通りである。
【0072】
第一に、本発明中の二酸化塩素を含む製剤は損傷した組織中の壊死部分を取り除くことができ幹細胞が組織の修復を発動、完成するために空間を提供する。同時に、豊富な空間と組織特異性の暗示が存在するために、身体損傷組織の自動修復を刺激する。また、中国
特許第CN101641104A号の《皮膚と粘膜の感染性疾病治療薬》で、二酸化塩素が備える広範囲の病原性微生物死滅作用を利用して病原性微生物が引き起こす皮膚病を治療したように、本発明中の二酸化塩素製剤も高能率で病原性微生物を死滅させることが可能で、清創作用、感染防止作用、アレルギー源などの外因性物質の除去作用(免疫システムと見なされる)を有している。
【0073】
第二に、本発明中の二酸化塩素製剤は、損傷組織内においてミクロの傷を均等に分布して発生させることが可能で、痛みによる刺激を引き起こすことにより身体は各種の因子と細胞を発動して傷の修復を行う。また、比較的初期型の模式で修復を行い、修復した組織は新しい組織のように回復し、更に若返る。免疫システムによって「自己」と識別された新組織も含まれ、免疫調節能力を有する。
【0074】
第三に、本発明中の二酸化塩素を含む製剤は、その二酸化塩素を外因性気体信号分子として幹細胞を活性化させ、幹細胞の増殖、遊走、分化に作用し、損傷組織の修復作業を促進する。幹細胞の組織再生を発動するのに作用すること以外に、二酸化塩素は気体信号分子として直接或いは幹細胞を通した間接的な免疫調節作用を有している。その中で二酸化塩素製剤が起こす作用は複雑で総合的なものであるはずだ。
【0075】
本発明は、以上の研究結果に基づき、本発明中の二酸化塩素を含む製剤は幹細胞賦活剤として幹細胞の組織再生能力を発動させる疾病治療に利用できるだけでなく、幹細胞の組織再生過程に伴う免疫調節能力による疾病治療にも利用でき、同時に、二酸化塩素の壊死組織を取り除く清創作用と病原性微生物を死滅させる抗感染作用を利用できる。
【0076】
学術研究もまた二酸化塩素の人体に対する安全性を明確にした。施来順と謝朝仁による(《安定性二酸化塩素の急性毒性と刺激性の試験観察》、《中国消毒額雑誌》、1999 年16卷01期 )で得られた試験結果は、以下の通りである。安定性二酸化塩素を小型マウスにLD50>10000mg/kg経口投与する。これは実質無毒物質である。二酸化塩素を9.7〜11.4mg/L含んでいるが、皮膚と粘膜に対する48時間の刺激積分は0で、無刺激性物質である。黄君礼などの(《水中二酸化塩素と副産物の亜塩素酸塩と塩素酸塩の毒性研究》,《化工標準、計量、質量》 2001年03期)で得られた試験結果は以下の通りである。276.5mg/LのClO
2水溶液、200mg/LのNaClO
2 とNaClO
3水溶液、総濃度が 553mg/LのClO
2混合水溶液を実質無毒水溶液とし、276.5mg/LのClO
2、200mg/LのNa ClO
2とNaClO
3水溶液も蓄積性毒性が明らかでない水溶液で、ClO
2 混合液は大型マウスの体重増加と食物利用率に対して有意の影響を発生しなかった(p<0.05)。大型マウスに対する血液学の指標、例えば、白血球係数(WBC)、ヘモグロビン(Hb)は影響が見られなかった(p<0.05)。アンモニア酵素(ALT)、総蛋白(TP)、アルブミン(ALB)とグロブミン(GLO)の検出は、対象組と高線量組の雌雄の間に有意差は見られず(p<0.05)、各試験組と対照組の大型マウスの肝臓と体の比率(%)と腎臓と体の比率(% )を分散分析した結果、各組の間に明らかな差は見られなかった(p<0.05)。病理組織学の検査結果は、各試験組と対照組の肝臓組織、腎臓組織に病変が見られなかったことを示している。
【0077】
本発明中の目標幹細胞の定義は関連技術領域の中でまだ完全に標準化されていないが、本説明書中ではすでに得られた共通概念に基づいて、幹細胞を以下の形式によって定義した。
【0078】
幹細胞は、自己複製(或いは更新)能力(self-replication)と多種類の細胞に分化できる多能性(multipotency)未分化細胞を有している。幹細胞の具体的な実例は、胚性幹細胞(ES細胞)、生殖細胞(EG細胞)、体幹細胞、血液血管幹細胞(hemangioblast)、神経幹細胞、造血幹細胞、間充幹細胞とその他の細胞の幹細胞(骨細胞、軟骨細胞、筋細胞、心急細胞、ニューロン、腱細胞、脂肪細胞、膵臓細胞(pancreocyte)、肝細胞、腎細
胞、毛嚢細胞などを含む)。
【0079】
本発明中の幹細胞賦活剤は、分化を発動する段階の中には、幹細胞が分化から終末期分化細胞に至るまでの全ての過程と、幹細胞の祖細胞(祖細胞は幹細胞の次世代細胞と定義され、その分化潜在能力と自己複製能力は制限を受ける)への分化、祖細胞のすでに分化した細胞への分化、再び終末期分化細胞へと至る全ての過程或いはその内のある段階を含む。全ての段階は、幹細胞の損傷組織修復の汎用模式を代表する。幹細胞は機体内において、組織の保全(maintenance)と修復(repair)機能を主導し、このような機能を完成するために、その生命周期内の運転模式は増殖(Proliferation)、遊走(migration)と分化(differentiation)に区別される。機体の正常な機能を維持するために、幹細胞の自己更新とクローン行為模式に相応する表現は3つで、対称分裂によって幹細胞は増殖を実現し、隣接する組織中の幹細胞は対称分裂によって遊走し、不対称分裂によって幹細胞は自己更新を行うと共に、次世代細胞に向けて分化する(Allon M. Kleiほか:Universal
patterns of stem cell fate in cycling adult tissues,Development,August 1, 2011,138, 3103-3111)。本発明中の二酸化塩素を含む賦活剤における「作用」は、幹細胞が発動する増殖、遊走、分化などの組織の保全と修復の全ての過程を含んでおり、尚且つ、その中の具体的な一過程には限られない。研究は、既に分化した細胞或いは組織特異性幹細胞(tissue-specific stem cell)はその表現型を変えられると示しており、その他の組織細胞が見せる機能の特徴こそが、転分化である。本発明は、幹細胞の転分化の定義を、組織特異性幹細胞の他の家系への転換とする。もし、ある特異性幹細胞がすでに組織再生能力を喪失しているなら、組織を再生するには周辺の幹細胞の転分化が必要である。機体組織内において、精霊の幹細胞の転分化現象が存在しており、本発明は転分化の定義を幹細胞における分化の定義とする。
【0080】
成人の体内に存在する幹細胞は、その起源と位置によって内在性幹細胞、血液由来幹細胞、骨髄由来幹細胞に分かれる。
内在性幹細胞の定義は、本来特定の臓器や組織に存在し、自己複製能力と多能性を有した細胞であり、臓器や組織が損傷を受けた状況下において、当該臓器と組織の再生を助けるものである。これらの内在性幹細胞の具体例は、角膜幹細胞、心臓幹細胞、神経幹細胞、血管EPCなどであり、これらの説明から、本分野の技術者は、人体内のほぼ全ての臓器と組織の広範囲に幹細胞が均等に分布しており、原位置組織の再生を利用できるということを容易に理解できる。
【0081】
血液由来幹細胞の定義は、循環血液中に存在する自己複製能力と多能性を有する細胞である。臓器や組織が損傷を受けた状況下で、遊走によって臓器や組織中に蓄積し、臓器や組織の再生を補助する。このような状況下における血液は、外周血液、胎盤血液、動脈血液、静脈血液、心臓からの血液、眼底からの血液を含む。血液由来幹細胞の具体的な例は、血管EPC、間葉系幹細胞などである。
【0082】
骨髄由来幹細胞の定義は、元々骨髄中に存在する自己複製能力と多能性を有する細胞で、臓器や組織が損傷した状況下で、血液純化によって遊走し、損傷した臓器や組織に蓄積し、当該臓器や組織の再生を補助するものである。骨髄由来細胞の具体的な例は、血管EPC、間葉系幹細胞などである。
【0083】
本発明中の幹細胞賦活剤は、これらの内在性幹細胞、血液由来幹細胞、骨髄由来幹細胞の増殖、遊走、分化を賦活化することができる。
また、幹細胞は活性化状態細胞(増殖、遊走、分化を行っている状態)と非活性化状態細胞(増殖、遊走、分化を行っていない状態)に分別できる。しかし、本発明中の幹細胞賦活剤は、活性化状態と不活性化状態の両方の幹細胞の増殖、遊走、分化を促進できる。
【0084】
本発明中の幹細胞賦活剤は、幹細胞の損傷組織の修復と再生を促進できる。ここでいう“賦活”の定義は、以下の3つの作用を指す。
(a)幹細胞の増殖活動を開始する(initiate)或いは活性化する(activate)。
(b)幹細胞の遊走活動を開始する(initiate)或いは活性化する(activate)。遊走の定義は、幹細胞が骨髄、臓器、組織から循環血液中に移動し、循環血液から損傷臓器、損傷組織の内部へ移動、蓄積することである。
(c)幹細胞の分化、転分化を開始する(initiate)或いは活性化する(activate)。
【0085】
本発明中の二酸化塩素を含む息細胞賦活剤は、単独で二酸化塩素の単一剤型或いは二酸化塩素の前駆体の組み合わせを含むことができる。その内、単独で二酸化塩素を含む単一剤型の調製方法は以下の通りである。
【0086】
方法1:水にPH調整剤を添加し、PH値が1.5〜6.5の酸性水溶液を調製する。標準に適応し、尚且つ、濃度99.9%以上の二酸化塩素の気体を調製する方式(亜塩素酸塩と酸の反応を優先する)で二酸化塩素の気体を発生させる。この二酸化塩素の気体を上述の酸性水溶液の中で泡立て溶かすことにより500〜29000ppmの二酸化塩素溶液を調製する。この溶液は、本発明の疾病治療に使用する前は、光を避けて密閉保存し、4℃〜15℃の低温で保存する。この二酸化塩素を含む製剤を調整する方法は、必ずしも水溶液であることを要求するものではなく、目標組織に施用する際に、目標組織内で作用を発揮する物質、主に二酸化塩素であることを保証すればよい。
【0087】
方法2:二酸化塩素の前駆体を水に溶かし、1%〜40%の水溶液を調製する。この水溶液中にPH調節剤を含む酸性溶液(2%〜50%のクエン酸溶液を優先する)を加え、調節混合溶液のPH値は1.5〜6.5とする。この溶液を本発明における疾病治療に使用する前は、光を避け密閉し、4℃〜15℃の低温状態で保存する。この二酸化塩素を含む製剤を調製する方法は、必ずしも水溶液であることを要求するものでなく、目標組織に施用する際に、目標組織内で作用を発揮する物質、主に二酸化塩素であることを保証すればよい。
【0088】
二酸化塩素の前駆体を含む組み合わせの調製方法は以下の通りである。二酸化塩素の前駆体を水に溶かして1%〜40%の水溶液を調製し、これを第一溶液とする。PH調整剤を用いて酸性溶液を調製し(2%〜50%のクエン酸溶液を優先する)、これを第二溶液とする。本発明の疾病治療に使用する前に、以上の溶液を現場で混合し、最終混合溶液のPH値を1.5〜6.5に調製する。二酸化塩素の発生反応を待ち、この溶液を目標組織に施用する。この二酸化塩素を含む製剤を調製する方法は、必ずしも水溶液であることを要求するものでなく、目標組織に施用する際に、目標組織内で作用を発揮する物質、主に二酸化塩素であることを保証すればよい。
【0089】
本発明中で使用される二酸化塩素の前駆体として亜塩素アルカリ金属塩、亜塩素酸塩類土類金属塩が挙げられる。亜塩素アルカリ金属塩として、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸リチウムが挙げられる。亜塩素酸塩類土類金属塩として、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸バリウムが挙げられる。
その内、取得が容易だという理由だけでなく、二酸化塩素の活性化の持続性の優位性という観点から出発して、亜塩素酸ナトリウムと亜塩素酸カリウムが好ましく、亜塩素酸ナトリウムは更に好ましい。
【0090】
本発明中で使用できるPH調節剤は、緩衝性の酸でさえあれば使用に適している。
有機酸或いは有機塩として、安息香酸、酢酸、プロピオ酸、酪酸、乳酸、アセトン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、エタノール酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、シュウ酸、コハク酸、アクリル酸、クロトン酸、グルタル酸やそれらの塩が挙げられる。
無機酸として、燐、ホウ酸、メタリン酸、ピロリン酸、アミノ酸などが挙げられる。無機酸塩として、リン酸二水素塩(ナトリウム塩、カリウム塩)、リン酸二水素塩とリン酸水素塩の混合物などが挙げられる。PH調整剤は単独で1種類を使用してもいいし、2種類以上を併用してもよい。
使用時の安全面を考慮して、PH調整剤はクエン酸、酢酸、リン酸二水素ナトリウムが好ましく、クエン酸は更に好ましい。
また、二酸化水素液剤の最終PH値は1.5〜5.5が好ましく、1.5〜3.5は更に好ましい。
【0091】
本発明中の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は液剤が好ましい。
本発明中の幹細胞賦活剤の薬剤量は患者の年齢、体重、疾病の性質や状況によって変化する。しかし、患者が成人である場合は、毎日1mg〜5000mgの二酸化塩素、1mg〜1000mgの二酸化塩素が好ましい。
本発明中の幹細胞賦活剤は多くの種類の方式で投与される。また、静脈内、動脈内腹膜内投与などにより全身に投与可能で、患部に直接投与したり、経皮投与や穿刺投与も可能である。
【0092】
本発明中の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は、組織に到達することが予想される任意の方法で投与できる。例えば、静脈内点滴、静脈内注射、動脈内注射、筋肉注射、皮下注射、皮内注射、心臓内注射、腹腔内注射、鞘内注射、関節内注射、穿刺注射、直腸内投与、舌下投与、鼻腔投与、経皮投与、吸入或いは損傷臓器や組織への局部投与などが可能であり、これらに限定されない。
【0093】
上記の方法で投与する際に、目標組織の大小によって、本発明中の幹細胞賦活剤の有効量範囲は毎日0.1〜500mg/kgの二酸化塩素で、目標組織の面積によってより容易に述べられることもある。従って、賦活剤の有効範囲は毎日0.1〜500mg/100cm
2の二酸化塩素で、上記の薬剤量で投与された場合、少なくとも10日間有効である。
【0094】
いずれにしても、本発明中の賦活剤は、有効薬剤量の二酸化塩素を適当な方式で目標に投与されるならば、幹細胞賦活作用を発揮し、如何なる形式、方法、段階、その他の補助製物質の補助を制限するものではない。
【0095】
《中国薬典製剤通則》中の如何なる製剤も本発明中の幹細胞賦活剤の剤型を適用できる。本発明中の賦活剤の剤型は、直接体内に使用する注射剤(懸濁剤、乳剤を含む)、軟膏剤(油脂性軟膏、乳剤型軟膏(クリーム)、水溶性軟膏を含む)、吸入剤、液剤(点眼剤、点鼻剤などを含む)、坐剤、貼付剤、バップ剤、ローション剤などの外用剤、或いは、錠剤(糖衣、フィルム、ジェルコートを含む)、液剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤(細粒を含む)、丸剤、シロップ剤、トローチ剤などを含む。これらの製剤は、中国薬典製剤通則に記載された方法で製剤化することができる。
【0096】
また、本発明中の幹細胞賦活剤は、医薬的に許容しうる固体状或いは液体状の担体或いは介入治療基材を含んでいてもよい。医薬的に許容しうる固体状或いは液体状の担体或いは介入治療基材としては、溶剤、安定化剤、溶解補助剤、乳化剤、懸濁化剤、緩衝剤、等張化剤、着色剤、基剤、増粘剤、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、矯味剤、調理剤、発泡剤、高吸収性樹脂、表面活性剤、浸透促進剤、PH調整剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
具体例としては、脱イオン水、乳糖、白糖、果糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトールなどの糖、糖アルコール類、結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ハイドロキシプロセルコース、低置換ハイドロキシプロセルコース、ヒドロキシプロメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸ジエチルヘキシル、酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース琥珀酸、ヒドロキシルメチルセルロース、カルポキ
シメチルセルコースカルシウム、カルポキシメチルセルコースナトリウム、カルポキシメチルセルコースナトリウム、ヒドロキシエチルメチルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、ジャガイモ澱粉、シクロデキストリン、アミロペクチン及びその誘導体、寒天、藻酸ナトリウム、アラビアがム、ゼラチン、コラーゲン、セラック、トラガント、キサンタンガムなどの天然高分子(海藻類、植物粘質物、蛋白質など)、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ジメチルポリシロキサンなどの合成高分子、オリーブオイル、カカオオイル、ブラジルパームワックス、バター、硬化油、大豆油、ごま油、ツバキ油、亜朝仁油、パラフィン、液体パラフィン、蜜蝋、白色ワセリン、ヤシ油、マイクロクリスタリンワックスなどの油脂類、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、クエン酸トリエチル、トリアセチン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ステアリン、ミリスチン酸イソプロピルなどの脂肪酸及びその誘導体、アルコール、グリセリン、ステアリルアルコール、セタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール、酸化亜鉛、リン酸水素カルシウム、沈降炭酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、無水ケイ酸、カオリン、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ヒドロタルサイト、酸化チタン、タルク、ペントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、硫酸アルミニウムカリウム、次没食子酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、乳酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど無機塩物質や金属化合物、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンプリオキシプロピレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールなどの表面活性剤、ジメチルフォキシド及びその類似物、ピロリドン誘導体、アルコール類化合物や脂肪酸類化合物などの浸透促進剤、色素、香料などだが、これらの限りではない。
【0097】
介入治療基材としては、注射器、スタンド、人工血管、穿刺注射器、導入管、球嚢などであるが、これらの限りではない。
【0098】
本発明中の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤を投与する前に、投与方式に基づいて麻酔剤を施用することができる。例えば、バルビツール酸塩などの注射型麻酔剤や、一酸化窒素などの吸入型麻酔剤、リドカインなどの表面麻酔剤などであるが、これらの限りではない。
【0099】
本発明の賦活剤は、幹細胞を有する哺乳類へ適用することができる。哺乳類の具体例としては、ヒト、サル、イヌ、ブタ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスが挙げられるが、これらの中では、ヒトが好ましい。
【0100】
身体系統中の大多数の終末期細胞は短命で、生命期間中に必ず連続して交換する必要がある。その中で、幹細胞は最も重要な発動作用を果たし(分化細胞の増殖によれば、幹細胞は必要ないが、このような効果を得ることができる。しかし、長期間持続することはできない)、身体内の正常な細胞交換を除けば、その他の意外性、偶発性の組織損傷は幹細胞が発動する組織再生によって補う必要があるが、この過程によって損傷過程を誘導することができる。しかしながら、成長期の、或いは成体の哺乳類の体内では、かなりの程度で構造或いは損傷した状況下で構造と機能において完全な組織を再生する能力を喪失している。これこそが、疾病発生の最も主要な原因である。
【0101】
再生医療の主要な目標は、幹細胞の増殖、遊走、分化を利用して、組織の再生を損傷臓器や損傷組織の修復に適用することであり、特に、自然再生では有効な修復を行えない臓
器や組織を対象としている。
【0102】
現在の研究は、哺乳類の体内には神経組織や心臓組織を含む内部の全ての組織と臓器に均等に分布して各種の幹細胞が存在していることを発見した。すなわち、内在性幹細胞は全ての臓器と組織中に存在していると考えられていると言うことができる(Weissman IL:
Translating stem and progenitor cell bilolgy to the clinic: Barriers and opportunities. Science. 287:1442-1446,2000;Garry DJほか: Ponce de Leon’s fountain: stem cells and the regenerating heart. Am J Med Sci. 329(4): 190-201, 2005)。幹細胞療法を応用する再生医療の領域では、身体のほぼ全ての組織で再生例がある(Stem Cell Antholgy,Edited by Bruce M. Carlson,2010,Elsevier Inc.)。本領域の技術者は、もし体内の幹細胞の増殖、遊走、分化を開始する(initiate)或いは活性化する(activate)ことができれば、損傷組織を特異性環境に誘導した状況で、ほぼ全ての身体組織を再生することができ(損傷の程度にもよるが)、ほぼ全ての組織の損傷と疾病による機能性障害を治癒できるということを、創造性や労働力を費やすことなく要約できるだろう。
【0103】
本発明の直接の目的は、幹細胞の増殖、遊走、分化を賦活化する方法を提供し、幹細胞の組織再生能力と免疫調節能力を利用して治療が行われる疾病に間接的に用いることである。ここでいう疾病には以下の2つが含まれる。第一には、幹細胞の組織再生能力を単純に用いることで治療できる疾病。第二には、幹細胞の組織再生能力と免疫調節能力を利用して治療を行う疾病である。特に、上述の二つの疾病を治療する過程で、本発明の賦活剤の特性が利用でき(例えば、二酸化塩素の強酸化性が持つ微生物を死滅させる作用と壊死した組織を取り除く作用)、本発明の薬剤としての賦活剤の使用範囲が上述の二つの疾病において重複していることを説明しなければならない。
【0104】
以下は第一類疾病の類型の説明である(幹細胞の組織再生能力で治療可能な疾病)。この種類の疾病に対して、本領域の技術者は、幹細胞療法を応用した再生医療は疾病を治療することができ、治療メカニズムは損傷組織中の正常な幹細胞(内在性幹細胞、血液由来幹細胞、骨髄由来幹細胞を含む)の増殖、遊走、分化を賦活化させ、新しい組織のような再生機能によって、病変組織と臓器の修復を行えると、創造性と労力を費やさずに要約することができる。
【0105】
再生医療を応用する疾病(損傷臓器と組織)の原因、類型、程度には具体的な制限がない。以下は、これらの疾病の具体例である(具体的な分類は重複部分がある)。
皮膚性疾病:
傷、火傷、放射損傷、しもやけ、紫外線損傷、電気ショック、外傷、皮膚潰瘍、にきび、マラセチア毛包炎、床擦れ、接触性皮膚炎、大疱性皮膚炎、乾皮症、糖尿病性皮膚潰瘍、自家感作性皮膚炎、表皮水疱症、光性皮膚病、慢性色素性紫斑病(Schamberg氏病)、口腔粘膜損傷、口内炎、口周辺皮膚炎、皮膚の老化症状、男性ホルモン脱毛、爪周囲カンジダ症、陥入爪(unguis incarnates)、胃腸の粘膜びらん、消化性潰瘍、角膜びらん、角膜潰瘍、虫歯、歯髄炎、境界性歯周炎、各種慢性鼻炎、花粉症、再発性口内炎、内口口内炎、口臭、口腔粘膜咬傷、舌咬傷、口腔粘膜の火傷や潰瘍。これらに限らない。
【0106】
神経系統疾病:
脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、各種中枢神経系統疾病(脊髄炎など)、各種末梢神経疾病(多発性外周神経症)、各種の原因による神経損傷疾患(聴力神経損傷など)、脊髄病、各種の脳炎。これらに限らない。
【0107】
心臓血管疾病:
心筋梗塞、狭心症、不安定狭心症、各種心筋炎(ウイルス性心筋炎など)、
急性心不全、慢性心機能不全、動脈硬化症、高血圧、リウマチ性心臓病、
不整脈、弁膜性心臓病、感染性内膜炎、心嚢炎、経皮環状動脈介入、PTCA後再狭窄、再梗塞など。これらに限らない。
【0108】
胃腸疾患:
食道炎、急性胃炎、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、虫垂炎、各種結腸炎(潰瘍性大腸炎など)、腸結核、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、薬物性肝炎、脂肪肝、肝硬変、膵臓炎や各種胃癌(肝臓癌、結腸癌、胃癌)
の外科手術による臓器病など。これらに限らない。
【0109】
呼吸疾病:
各種の気管支炎(細菌性気管支炎など)、感染性肺炎、吸入性肺炎、肺塞栓症、気胸、肺機能不全など。これらに限らない。
【0110】
泌尿器科疾病:
膀胱炎、各種腎臓炎(慢性腎臓炎症候群、原発性糸球体炎)、副腎疾患、尿道炎、細菌性及び非細菌性前立腺炎、高血圧性腎臓病、糖尿病性腎臓病、腎機能不全など。これらに限らない。
【0111】
運動系統疾病:
各種関節炎(リウマチ性関節炎など)、筋萎縮(筋萎縮性側索硬化症など)、
脳神経外科頭蓋骨切除手術後の骨欠損、整形外科切除手術後の骨欠損、骨折後の骨欠損、歯科学分野での歯周変性による骨欠損、軟骨炎、各種関節軟骨の骨欠損、各種欠損(外傷や歪みなど)による腱損傷など。これらに限らない。
【0112】
血管疾病:
各種動脈病(閉塞性動脈硬化(ASO))、バーグ氏病(閉塞性血栓性動脈炎(TAO))、各種静脈病(血栓性静脈炎など)、血栓形成、循環障害、深部静脈血栓症(DVT)、外周循環障害を伴う疾患(突発性難聴や振動病など)、血管形成手術後の再狭窄や再閉塞。これらに限らない。
【0113】
内分泌疾病:
糖尿病及び合併症(糖尿病周囲神経病変、糖尿病性神経足、糖尿病性潰瘍など)、高脂血症、甲状腺炎、肥満症など。これらに限らない。
【0114】
眼科疾病:
各種角膜炎(アルカリ性或いは酸性化合物による角膜炎、外傷性角膜炎など)、各種網膜症(網膜黄班病変など)、視神経損傷類疾患(緑内障など)、ドライアイ、糖尿病性網膜炎。これらに限らない。
【0115】
その他疾病:
美容整形における組織再生、外科手術や事故による損傷の傷口癒合、各種原因による炎症性の組織再生、各種癌による損傷組織の再生。
【0116】
本発明の薬剤としての賦活剤は、皮膚疾病、運動系統疾病、内分泌疾病、呼吸疾病、泌尿器科疾病、胃腸疾病、眼科疾病、神経系統疾病、心臓血管疾病、血管疾病の治療時の組織再生に応用されるのが好ましい。
【0117】
以下は、第二類疾病(幹細胞の組織再生能力と免疫調整能力を利用して治療する疾病)の説明である。
これらの疾病に対して、本領域の技術者は、幹細胞療法を応用した再生医療はこれらの
疾病を治療でき、尚且つ治療システムは損傷組織中の正常幹細胞(内在性幹細胞、血液由来幹細胞、骨髄由来幹細胞を含む)の増殖、遊走、分化を賦活化し、新しい組織のような再生機能によって免疫系等の耐性を実現し、病変組織と臓器の修復を実現できると、創造性と労力を費やさずに要約できる。
【0118】
本発明人は、本発明の賦活剤がアレルギー反応性疾病に対して、特に自己免疫性疾病に対して有効な効果があることを意外にも発見した。
本発明の具体的な適用範囲において、アレルギー反応疾病は、I型アレルギー反応疾病、II型アレルギー反応疾病、III型アレルギー反応疾病、IV型アレルギー反応疾病を含む。
【0119】
I型アレルギー反応疾病は速発型アレルギー反応とも呼ばれる。I型アレルギー反応は、IgEによって介導される。速発型アレルギー反応は、抗原とIgEが肥大細胞或いは好塩基粒細胞上で結合することにより引き起こされる。
アトピー性疾病は、I型アレルギー反応疾病の定義に含まれる。例えば、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性外因性喘息、風疹、全身性アレルギー症などに限らず、I型アレルギー反応が引き起こすアレルギー症状は深刻なアレルギー反応であり、生命に危険を及ぼす。
【0120】
II型アレルギー反応或いは細胞毒性アレルギー反応は抗体、補体、細胞構造が介導する細胞溶解作用に関わりがある。抗細胞結合抗原の活性化補体或いは促進ファージの作用によって細胞を破壊する。本発明の適用範囲におけるII型アレルギー反応疾病は、ゴム氏陽性溶血性貧血、抗体誘導による血小板減少性紫班病、白血球減少症、天疱疹、類天疱疹、グッドパス切断症候群、悪性貧血を含む。また、冷凝着素症症候群、Graves病、重症無力症、嗜眠状態、視神経脊髄炎、神経性筋硬直症、リウマチ熱、じんかしん性血管炎、パンダ症候群、胎児の赤芽球症も含まれる。
【0121】
III型アレルギー反応疾病は、その抗体と抗原が形成する免疫複合物の反応に関わりがある。循環複合物活性化補体が赤血球細胞上に貼りつき、赤血球は再び脾臓に飲み込まれ、この後、複合物は循環系統から離れ組織間の腺炎症を触発する。この反応はArthus反応と呼ばれる。もう一つの情況は、複合物が抗原提示細胞の貪食細胞に飲み込まれ、細胞因子、活性化B細胞、活性化T細胞を釈放する。IgE、IgA、IgGとIgMは全て抗原と複合物を形成する。III型アレルギー反応は通常、免疫複合物の組織への堆積、特に、皮膚、関節、腎臓への堆積によって起きる。人糸球体腎炎の大部分の秒例は慢性免疫複合物腎炎である。本発明の適用範囲におけるIII型アレルギー反応疾病は、血清、薬剤やウイルス性肝炎抗原による血清病、全身性紅斑性狼瘡、リウマチ関節炎、多発動脈炎、低温性グロブリン血症、過敏性肺炎、気管支の肺アルペルギルス症、急性糸球体腎炎、慢性膜増殖性糸球体腎炎が含まれる。また、接触性皮膚炎、円板状エリテマトーデス、メニエール病、亜急性内膜炎、細菌性血管炎も含まれる。
【0122】
IV型アレルギー反応疾病は、細胞介導の反応に関わりがあり、一般的に12時間かそれ以上の経過してから発症する。IV型アレルギー反応疾病は炎症を含み、結果は慢性炎症疾病である。IV型アレルギー反応疾病は遅発型アレルギー反応或いはDTHとも呼ばれる。一旦、T細胞が初回接触によってアレルギーを発症すると、2回目の攻撃では遅発性アレルギー反応を起こす。この反応は局部炎症反応であり、臨床では2〜3日後に発生する。
【0123】
本発明の適用範囲におけるIV型アレルギー反応疾病は腹腔の疾病、I型糖尿病、グリム-パリー症候群(GBS)、橋本氏脳症、橋本氏甲状腺炎、多発性硬化症、斜視眼間代-ミオクローヌス症候群(OMS)、副腫瘍性小脳変性、乾癬、乾癬病関節炎、結節萎縮、硬皮病、サイトメガロ潰瘍性大腸炎、潰瘍性結腸炎が含まれる。
アレルギー反応性疾病の発生メカニズムは大変複雑である。臨床実践では往々にして混合型が見られる。ある型を主としながら、I型とIII型が同時に出現したり、II型とIII型が同時に出現したり、II、III、IV型が同時に出現することさえある。
【0124】
また、自己免疫性疾病は大部分のアレルギー反応性疾病をカバーしており、臨床上原因不明のアレルギー反応疾病に類似したものも含む。本発明では、分類不可能なアレルギー反応疾病或いは原因不明の類似の臨床疾病は自己免疫性疾病に分類し、本発明の適用範囲内に全て含めた。
【0125】
本発明の適用範囲に含まれるその他の自己免疫性疾病は以下の通りである。脳脊髄炎、アディソン病、先天性無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊柱炎、抗リン脂質抗体症候群、抗合成酵素抗体症候群、自己免疫性再生障害性貧血、自己免疫性心筋病、自己免疫性腸病、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳病、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性周囲神経病、自己免疫性膵炎、自己免疫性多内分泌腺病症候群、自己免疫性黄体皮膚炎、自己免疫性じんましん、BALO同心円硬化、ベーチェット病、血栓閉塞性脈管炎、ビッカースタッフ型脳炎、ブロー症候群、大胞性類天ジャクソン、Castleman病、南米トリパノソーマ症、慢性炎症性脱髄鞘性多発性神経病、慢性多発性多巣性骨髄炎、慢性閉塞性肺疾患、Churg-Strauss症候群、瘢痕性類天ジャクソン、科根症候群、補体成分欠乏症、脳動脈炎、CREST症候群、クッシング症候群、皮膚白血球脈管炎、悪性萎縮性丘疹症、Dercum氏病、ヘルペス性皮膚炎、皮膚筋炎、びまん性皮膚システム硬化症、ドレスラー氏症候群、薬物性狼瘡、湿疹、子宮内膜症、付着点炎関連の関節炎、ドレスラー氏症候群好酸性筋膜炎、好酸球性胃腸炎、後天性表皮水疱、結節性紅斑、低温性グロブリン血症、エヴァン氏症候群、線維症性肺胞炎、胃炎、胃腸類天ジャクソン、サイトメガロ動脈炎、アレルギー性紫斑、妊娠性類天ジャクソン、化膿性汗腺炎、Hughes-Stovin症候群、免疫グロプリンの低下、突発性炎症性脱髄疾患、封入体筋炎、慢性炎症性脱髄性多発性神経症、間質性膀胱炎、幼年リウマチ関節炎、ランバート-イートン筋無力症、川崎症候群、硬化性苔、線状伊賀病、筋萎縮性側索硬化症、マジード症候群、混合性結合組織病、強皮症、ミクロ結節性多発動脈炎、グリム-バリー症候群、パラ苔などの天然痘コムストック、筋炎、Ord氏甲状腺炎、リウマチ、睡眠性血色素尿、バリバーグ症候群、急性アーム神経病変、中間葡萄膜炎、静脈周囲脳脊髄炎、POEMS症候群、結節性多動脈炎、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、進炎症病変、壊疽性膿皮症、純赤血球再生障害、慢性局巣性脳炎、ルノー氏現象、再発性多軟骨、反応性関節炎、後腹膜線維症、むずむず足症候群、自己免疫性多内分泌腺病症候群2型、シュニッツラー症候群、胸膜炎、乾燥症候群、スティッフマン症候群、交感性眼炎、大動脈炎、Susac症候群、シデナム舞踏病、Sweet症候群、Tolosa-Hunt症候群、横貫性脊髄炎、未分化結締組織病、白斑、ウェゲナー肉芽腫症。
【0126】
本発明の薬剤としての賦活剤は、臓器損傷を引き起こすI型アレルギー反応疾病と自己免疫性疾病の治療に適している。
上に列挙した2種類の疾病以外に、幹細胞の増殖、遊走、分化によって疾病を治療する再生医療(すなわち、損傷臓器と損傷組織の再生)における幹細胞は、本発明方法の薬剤としての賦活剤の適用対象である。また、再生医療が応用する疾病の進展状態も具体的な制限を受けない。
【0127】
また、本発明の薬剤としての賦活剤は、再生医療が応用する損傷臓器と損傷組織の進展状態に従って迅速かつ適度に作用を発揮する。
また、本発明の薬剤としての賦活剤は、関連する疾病治療時に副作用が少ない或いは副作用が無い。
また、本発明の賦活剤は、原位置組織の組織再生における幹細胞で、持続的に作用を発揮する。
本発明の薬剤としての賦活剤は、関連する疾病を治療する際に、二酸化塩素の壊死組織に対する清創作用と、病原性微生物を死滅させる作用を利用できる。
【0128】
本発明に関連する実施例の描写説明は以下の通りである。
大部分の状況下で、オプション技術を使用できる。これらの実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限られない。
【0129】
実施例1
本実施例は、薬剤としての賦活剤を男性ホルモン脱毛の治療への使用を説明する。
薬剤の調製:
分離イオン水を用いて、濃度が7.47%の亜塩素酸ナトリウムと、1.59%の塩化ナトリウムの混合溶液を調製し、一つ目の溶液を調製する。
分離イオン水を用いて、濃度が16.7%のクエン酸溶液を調製し、二つ目の溶液を調製する。
【0130】
用法と用量:
異なる溶液の容器から取り出した体積が同じ溶液を分別し、事前に準備しておいた適当な大きさのガラス、或いはプラスチックのコップに注ぎ入れる。溶液の混合が静止するまで3〜5分待ち、0.22μmの二層式濾過膜を用いて、綿棒に液体をつけ、脱毛区域に塗布する。1〜2時間後に、水で頭部を洗う。これを、一日一回行う。治療行程に照らして使用し、初めての治療行程は15から25日間、2〜5ヶ月薬剤の治療を停止した後、二回目の治療行程を開始する。二回目からは、10〜15日間薬剤を使用し、再び2〜5ヶ月薬剤の使用を停止した後、再度、次の行程を開始する。
42名の男性脱毛患者と1名の女性脱毛患者(年齢分布は22〜68歳)をボランティアとして薬剤を投与した(以下、投薬と簡略)。情況は表1が表す通りである。
【0132】
投薬5分後から、使用者は指すような痛みを感じると描写を始める。痛みは約15〜30分持続。3日ほど連続して投薬すると、投薬区域に微小な傷が発生。外観は表現は赤い斑点で、傷口の出血が凝固するのに類似。赤い斑点(傷口)が出現した区域は、新規の発毛密度
が高く、毛髪も太い。
頭頂部の中心(旋毛前、区域1)、頭頂部と額の中間(区域2)、額上部(区域3)、額の両側面(区域4)の4つの区域から、直径2.54cmの円形区域を選択し(5.1平方cm)、デジタル写真を利用して、投薬の第一行程後10日(時間1)、1ヶ月(時間2)、2ヶ月(時間3)、投薬第二行程後2ヶ月(時間4)、投薬大三行程後2ヶ月の頭髪(時間5)を分別し、更に、投薬前の頭髪数と対比を行い、比率を計算して、異なる区域の頭髪密度の増加値を得た。結果は表2の通りである。
【0134】
表1、表2の結果からは、本発明の薬剤としての二酸化塩素を含む賦活剤に脱毛治療に対する顕著な効果があることが見られた。フィナステリドやミナキシジルなどの伝統的治療薬物を遥かに越えており、根本的な原因は脱毛の鍵となる問題を解決した。それは、脱毛区域の幹細胞が祖細胞へと転化する過程で出現する問題で、幹細胞は十分な毛嚢細胞に分化できないというものであった(Luis A. Garzaほか、Bald scalp in men with androgenetic alopecia retains hair follicle stem cells but lacks CD200-rich and CD34-positive hair follicle progenitor cells. J Clin Invest. 2011 February 1; 121(2): 613-622.)。本発明では、二酸化塩素を含む賦活剤が正に毛嚢幹細胞が増殖、遊走、分化によってより多くの毛嚢祖細胞や以降の毛嚢細胞を発生させることを促進し、明らかに新規発毛を発生させた。
【0135】
また、酸性条件下で、二酸化塩素溶液は皮膚に対して刺激性を発生し、微小な傷を発生させ、これらの傷は比較的集中した区域に存在し、発毛効果も他の区域に比べて顕著であったことは、溶液の浸透度は十分であり、賦活作用を発揮したと説明できるものであり、或いは、傷の発生、癒合、その中での幹細胞の比較的原始的な分化の順序は、より多くの新しい頭髪(本来あるべきの)を発生させたとも説明できる。一般的な状況下で、毛嚢細胞は表皮細胞に分化することはあり得ず、人体皮膚の自然更新を用いるが、一旦皮膚に傷があると、このときの毛嚢幹細胞は迅速に増殖、遊走、分化を行い、傷口を癒合する。この過程において、毛嚢幹細胞は表皮の再生に参与していることが発見された(Ito M, Liu Y, Yang Z, Nguyen J, Liang F, Morris RJほか:Stem cells in the hair follicle bulge contribute to wound healing,but not to homeostasis of the epidermis. Nat Med.
11:1351-4.2005)。また、毛嚢幹細胞は傷口の癒合を加速させるので、もし毛嚢幹細胞が無ければ、傷の癒合にかかる時間には明らかな遅延が生じる(Abigail K Langtonほか:An Extended Epidermal Response Heals Cutaneous Wounds in the Absence of a Hair
Follicle Stem Cell Contribution. Journal of Investigative Dermatology. 128, 1311-1318,2008)。本実施例においては、傷の癒合に遅延は見られず、逆に癒合速度はとても速く、他の方面を考慮しても、薬剤水は頭皮に対して傷を生じさせ、毛嚢幹細胞にほぼ
全面的に傷の修復に参与させ、新しい頭髪を発生させたと判断できる。マウスに対する研究では、人為的な傷の癒合過程は新しい毛嚢幹細胞の群落を発生させ、新しい毛を発生させると同時に、毛嚢幹細胞と表皮幹細胞は傷の癒合過程に参与する細胞(毛嚢細胞、皮脂腺細胞を含む)を形成し、その中の幹細胞は増殖、遊走、文化を行い、そこから生じたwnt信号は重要な作用を果たした(Ito Mほか、Wnt-dependent de novo hair follicle regeneration in adult mouse skin after wounding. Nature. 2007,May 17;447(7142):316-20)。観察結果から考え、現有文献の理論分析と組み合わせると、本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は、各種幹細胞の増殖、遊走、分化による傷の癒合、頭髪の再生などの組織再生過程を促進でできると認められる。一方で、大部分の使用者は2〜3日で新規の発毛が発生し、幹細胞の分化だけを使用したことから解釈すると、これと一般的な小型の傷の癒合時間は基本的に一致する。
【0136】
本実施例により、本領域の技術者は、本発明の賦活剤或いはそれを主成分として調整した薬剤を各種皮膚疾病の治療に使用でき、且つ、治療のメカニズムは幹細胞の組織再生を促進し、病変組織や臓器を修復するのだと要約することができる。
【0137】
実施例2
本実施例では、薬剤としての二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤が、一種の血管病である下肢深部静脈血栓形成(下肢DVT)を患う患者に投与され、それをもって本発明の賦活剤が外周血液中のCD34陽性細胞、CD34陽性/CD31陽性細胞とVEカドヘリン陽性単核細胞(VE-Cadherin)の賦活作用、及び、賦活剤の血栓を損傷した血管に対する再生作用を評価した。
また、すでに周知の外周血液中に存在する、CD34陽性単核細胞と考えられている細胞は、血管EPCと間葉系幹細胞である(Zhao Yほか:A human peripheral blood monocyte-derived subset acts as pluripotentstem cells. ProcNatlAcadSci USA. 100: 2426-31, 2003)。これにより、本実施例において評価される外周血液中のCD34陽性単核細胞は、血管EPCと間葉系幹細胞である。
【0138】
また、周知の内皮祖細胞はCD34をマーク物質だと表している。CD34(Michejda M: Which stem cells should be used for transplantation? Fetal DiagnTher. 19:2-8,2004; Fadini GPほか:Circulating endothelial progenitor cells are reduced in peripheral
vascular complications of tape 2 diabetes mellitus. J American college of cardiology. 45:1449-1457,2005;Kuwana Mほか:Human circulating CD14
+ monocytes as a source of progenitors that exhibit Mesenchymal cell differentiation. J Leukoc Biol 74:833-845, 2003)及びCD31(Asahara Tほか:Isolation of putative progenitor endothelial cells for angiogenesis. Science 275:964-967,1997; Hristov M, Weber C: Endothelial progenitor cells: characterization, pathophysiology, and possible clinical relevance. J Cell Mol Med 8:498-508,2004)また、血管EPCの中で、分化の進展段階として知られており、血管状態に張付できる血管EPCもVEカドヘリン陽性単核細胞を表している(Hristov M, Weber C: Endothelial progenitor cells: characterization, pathophysiology, and possible clinical relevance. J Cell Mol Med. 8:498-508,2004)。これにより、本実施例で評価される外周血液中のCD34陽性/CD31陽性単核細胞とVEカドヘリン陽性単核細胞は、血管EPCであると言える。
【0139】
試験方法
(1)試験対象者
試験対象は、年齢が59〜76歳(平均67.2歳)の14名の男性と6名の女性下肢DVT患者で構成される。各試験対象者に対しては、臨床試験である旨を説明し、同意を得たうえで試験を行った。
(2)薬剤調整方法
分離イオン水を用いて濃度が7.47%の亜塩化酸ナトリウムと1.59%の塩化ナトリウムの混
合溶液を調製し、第一溶液とする。分離イオン水を用いて濃度が16.7%のクエン酸溶液を調製し、第二溶液とする。異なる容器から取り出した同じ体積の溶液を混合し、3〜5分間、混合が静止するのを待つ。生理食塩水を5倍に希釈したものを用いて、0.22μmの二層式濾過膜を使用し、すぐに注射器に注入する。1回の調製につき1回の使用とする。。
【0140】
(3)投薬方法
上述の方法で調整した二酸化塩素溶液を連続14日間、動脈穿刺注射によって患部側へ投薬した。投薬量は1人1日10mlである。毎回の注射前に、2%のリドカインを2ml〜5ml用いて、穿刺点に沿って浸透麻酔を行った。。
(4)採決
低分子へパリン抗凝固剤を用いて、投薬前(初回投薬前)と投薬後7日目、14日目に患者の前腕の肘正中皮静脈から5ml末梢血を採取した。採取した末梢血は直ちに4℃で保存し、6時間以内に測定した。投薬前及び投薬後7日目には全20例の下肢DVT患者において採血を行い、投薬後14日目には15例について採血を行った。
【0141】
(5)末梢血単核細胞の分離
上記(4)で得た5mlの血液中に2.5mlのリンパ細胞分離液を加えて、懸濁液を調製した。460xgの条件下で懸濁液を分離した後、中間細胞層を末梢血由来の単核細胞として回収した。取得した単核細胞の総数は、それぞれの患者につき5〜6×10
6個であった。取得した全ての単核細胞をリン酸緩衝塩水(PBS)に懸濁させ、濃度が2×10
6/mlの細胞懸液を調製した。
(6)CD34陽性単核細胞の分離
フローサイトメトリーを用いた免疫蛍光染色法により、CD34陽性単核細胞の分離を行った。上記(5)で得た100μlの単核細胞懸液中に20μlのphycoerythrin標識抗CD34抗体を加え、4℃下且つ遮光下で30分間培養を行った。次いで、フローサイトメトリーによりCD34陽性単核細胞を分離し、計数した。単核細胞中のCD34陽性単核細胞の比率(%)を下式に従い計算した。
CD34陽性単核細胞(%)=(CD34陽性単核細胞数/単核細胞総数)×100
【0142】
(7)CD34陽性/CD31陽性単核細胞の分離
フローサイトメトリーを用いた免疫蛍光染色法により、CD34/CD31陽性単核細胞の分離を行った。上記(5)で得た100μlの単核細胞懸液中に20μlのphycoerythrin標識抗CD34抗体と20μlの FITC標識抗CD31抗体を加え、4℃下且つ遮光下で30分間培養を行った。次いで、フローサイトメトリーによりCD34/CD31陽性単核細胞を分離し、計数した。単核細胞中のCD34/CD31陽性単核細胞の比率(%)を下式に従い計算した。
CD34/CD31陽性単核細胞(%)=(CD34/CD31陽性単核細胞数/単核細胞総数)×100
【0143】
(8)VEカドヘリン陽性単核細胞の分離
フローサイトメトリーを用いた免疫蛍光染色法により、VEカドヘリン陽性単核細胞の分離を行った。上記(5)で得た100μlの単核細胞懸液中に20μlのFITC標識抗Eカドヘリン陽性単核細胞抗体を加え、4℃下且つ遮光下で30分間培養を行った。次いで、フローサイトメトリーによりVEカドヘリン陽性単核細胞を分離し、計数した。単核細胞中のVEカドヘリン陽性単核細胞の比率(%)を下式に従い計算した。
VEカドヘリン陽性単核細胞(%)=(VEカドヘリン陽性単核細胞数/単核細胞総数)×100
【0144】
(9)膝上及び膝下周径の測定
下肢DVTの典型的且つ客観的な症状として下肢の浮腫がある。そこで、20例の患者について、二酸化塩素溶液を経股動脈注射で投与する前後に、膝上20cmと膝下15cm周径を測定し、下肢浮腫の程度を評価した。
本実施例の結果分析は以下の通りである:
1)CD34陽性単核細胞の賦活化
表3は下肢DVT患者の末梢血中のCD34陽性単核細胞の変化を表している(平均値±SD%)。
【0146】
二酸化塩素溶液を投与した結果として、投薬前後を比較すると、末梢血中のCD34陽性単核細胞の比率の増加が顕著である(表3)。
この結果が表すのは、二酸化塩素溶液が下肢DVT患者の末梢血のCD34陽性単核細胞(すなわち、血管EPCと間葉系幹細胞)に対して賦活化したということである。そこで、本発明の賦活剤は賦活作用はCD34陽性単核細胞の増殖と遊走を促進したと考えられる。
2)CD34/CD31陽性単核細胞の賦活化作用
表4は下肢DVT患者の末梢血中のCD34/CD31陽性単核細胞の変化を表している(平均値±SD%)。
【0148】
二酸化塩素溶液を投与した結果として、投薬前後を比較すると、末梢血中のCD34/CD31陽性単核細胞の比率の増加が顕著である。(表4)
この結果が表すのは、二酸化塩素溶液が下肢DVT患者の末梢血のCD34/CD31陽性単核細胞(すなわち、内皮祖細胞)に対して賦活化したということである。そこで、本発明の賦活剤は賦活作用はCD34/CD31陽性単核細胞の増殖と遊走を促進したと考えられる。
【0149】
3)VEカドヘリン陽性単核細胞の賦活化作用
表5は下肢DVT患者の末梢血中のVEカドヘリン陽性単核細胞の変化を表している(平均値±SD%)。
【0151】
二酸化塩素溶液を投与した結果として、投薬前後を比較すると、末梢血中のVEカドヘリン陽性単核細胞の比率の増加が顕著である(表5)。
この結果が表すのは、二酸化塩素溶液が下肢DVT患者の末梢血のVEカドヘリン陽性単核細胞(すなわち、血管EPC)に対して賦活化したということである。そこで、本発明の賦活剤は賦活作用はVEカドヘリン陽性単核細胞の増殖と遊走を促進したと考えられる。
【0152】
4)下肢DVT患者における浮腫症状の改善
表6は下肢DVT患者の膝上と膝下の周径の変化を表している(平均値±SD%)。
【0154】
下肢の膝上20cmと膝下15cmの周径を測定して、下肢浮腫の程度を評価した。二酸化塩素溶液の投与によって、膝上と膝下の周径は明らかに縮小された(表6)。
この結果が表すのは、二酸化塩素溶液が幹細胞に作用したということであり、本発明の賦活剤は幹細胞の増殖、遊走、分化を促進し、結果として、損傷血管の再生と下肢DVT患者の浮腫症状の改善が得られた。
また、二酸化塩素溶液の投与前と投与後7日目、14日目にAPTT、PT及びTTのパラメータの測定を行ったが、投与前と投与後で有意差は認められなかった。APTT、PT、及びTTのパラメータは、血液凝固、線溶系に作用する薬剤(二酸化塩素溶液を含む)の投与時に副作用(例えば、出血)を観測する指標として使用される。
【0155】
この結果は、二酸化塩素溶液の投与が副作用を生じなかったことを示している。しかし、麻酔を行わなかった状況下(投薬1日目)では、ほぼ全ての患者が強い痛みを感じており、約30分持続した後に消えた。
本実施例によって、本領域の技術者は、本発明の賦活剤及びこれを主要成分として調製された薬剤は、各種の循環器系の疾病治療に使用することができ、その治療メカニズムは幹細胞の組織再生を賦活化し、病変組織や臓器を修復するものだと要約することができる
。
【0156】
実施例3
この実施例の中で、ラットの脳虚血/再灌流損傷の模型は本発明の二酸化塩素を含む肝細胞賦活剤は神経幹細胞に対する賦活、また薬として神経機能の回復への作用があるということが説明できる。
(1)実験対象
12週で体重が250〜280gの雄の鼠を一週間飼い慣らしてから、実験に使う。
【0157】
(2)脳虚血/再灌流損傷模型の作成
まず、Longa EZほか(Longa EZほか:Reversible middle cerebral artery occlustion withoutcraniectomy in rats. Stroke 20:84-91, 1989)の方法を利用して、脳の動脈閉塞模型を作成する。もっと具体的に説明すると、0.36g/kg、10%抱水クロラールを腹の中で鼠に与え、ラットに麻酔をする。ラットは12時間断食だが、水は自由に飲む。その後、頚部に中線切開をし、右の頚動脈を露にする。頚部内動脈と頚部外動脈を分離し、後頚部(頚部動脈の分枝である)と甲状腺動脈を電気凝固法で切断し、頚部外動脈を舌動脈と口蓋動脈の分枝のところで結さつする。また、頚部外動脈で穴を開け、その穴を4-0のナイロンの縫合線によって頚部総動脈に入れ、頚部内動脈まで挿し、通らないまで挿す。ナイロン縫合線の長さは頚部動脈分枝から約18〜20mmである。ナイロン縫合線で脳の中動脈を塞がせ、虚血状態を2時間にし、脳の中動脈閉塞模型をる。
閉塞模型の動脈からナイロン縫合線を抜き、血液を再び通らせ、これで、脳虚血/再灌流損傷模型が作れる。
【0158】
(3)薬の製作方法
脱イオン水を使い、濃度が7.47%亜塩素酸ナトリウムと1.59%塩化ナトリウムを融合した溶液、これが一番目の溶液である。脱イオン水を使い、濃度が16.7%のクエン酸溶液を作る。これが二番目の溶液である。違う容器から同じ体積の溶液を採り、融合し、その後3〜5分間静まるのを待ち、生理食塩水で5倍に薄め、0.22μmの二層膜で濾過し、すぐ注射器に入れる。一回製作した分を一回に使用する。
【0159】
(4)模型鼠に二酸化塩素が含まれた乾細胞賦活剤を与える。
鼠を三つのグループに分け、以下の方法で処理する。
実験組(120匹の鼠):この鼠等はすでに脳虚血/再灌流損傷模型ができた。脳虚血/再灌流損傷模型ができた二日目から、毎日に一回、合わせて10回、毎回2ml/kgの量で頚部動脈に手順(3)で作成できた二酸化塩素溶液を注射する。
仮手術組(120匹の鼠):鼠に上述(2)の手順を行い、頚部内動脈と頚部外動脈を分離するだけで、その後の脳中動脈の閉塞や再灌流を行わない。実験組と同じ時間に薬を与え、この組の鼠に二酸化塩素のかわりに同じ体積の生理食塩水を注射する。
対照組(120匹の鼠):この鼠等はすでに脳虚血/再灌流損傷模型ができた。実験組と同じ時間に、この組の鼠に二酸化塩素のかわりに同じ体積の生理食塩水を注射する。
【0160】
(5)神経機能の評価
脳虚血/再灌流損傷模型ができた後、毎日組ごとに15匹の鼠を神経機能を評価する。以下の標準Longa EZほか(Longa EZほか:Reversible middle cerebral artery occlustion
without craniectomy in rats. Stroke 20:84-91, 1989)の方法によって、神経機能障害を評価する。結果は中央値で表す。
0:正常
1:梗塞部によって、側面の片足が曲がる。
2:尻尾を後ろに引っ張るときに、梗塞部が側面の片足に影響しない
3:尻尾を後ろに引っ張るときに、梗塞部の向こう側に転じる
4:自発的に梗塞部の向こう側に転じる
5:自発性動作を失う
【0161】
(6)ネスチン陽性細胞の分析
模型ができた後の七日目、14日目と21日目に組ごとの10匹の鼠を死体解剖を行う。(毎回鼠の総数は30匹)組織標本を作り、顕微鏡で神経乾細胞を数える。
もっと具体的には、模型ができてから、七日目、14日目、21日目に鼠の脳冷凍断片を制作し、神経幹細胞上にあるネスチン陽性細胞を使い、免疫組織化学染色測定脳室下帯(SVZ)の中のネスチン陽性細胞の存在を確認する。小鼠抗大鼠ネスチン単コロン抗体を使い、ネスチン陽性細胞の存在を分析する。
【0162】
(7)BrdU陽性細胞とBrdU陽性/ネスチン陽性細胞の分析
模型ができてから、5日目、6日目、12日目、13日目、19日目と20日目、50mg/kg 5-ブロモデオキシウリジンを組ごとに30匹の鼠の腹腔に注射する。BrdUはTAM類似物であり、細胞増殖(DNA合成)の時に細胞のDNAに入れられる。細胞の中のBrdUの量を測量すれば、細胞増殖が分析できる。模型ができてから、7日目、14日目と21日目に鼠に対する解剖を行い、冷凍脳断片を作成する。免疫化学染色を通して、BrdU陽性細胞の存在を分析し、SVZ帯のダブル免疫蛍光染色を通して、BrdU陽性/ネスチン白血球の存在を分析する。
小鼠抗大鼠BrdU単コロン抗体を使い、BrdU陽性細胞の存在を分析する。
山羊抗大鼠BrdU多コロン抗体の第一抗体とFITCで記された兎抗山羊抗体の第二抗体の組み合わせと、小鼠抗大鼠ネスチン単コロン抗体の第一抗体とRho記された兎抗小鼠抗体の第二抗体の組み合わせを使い、ダブル免疫蛍光染色を通して、BrdU陽性/ネスチン陽性細胞の存在を分析する。
【0163】
(8)NeuN陽性細胞、GFAP陽性細胞とBrdU陽性/GFAP陽性細胞の分析
模型ができてから、5日目、6日目、12日目、13日目、19日目と20日目,50mg/kg BrdUを組ごとに30匹の鼠の腹腔に注射する。模型ができてから、7日目、14日目と21日目に鼠に対する解剖を行い、冷凍脳断片を作成する。免疫化学染色を使って、NeuN陽性細胞の存在を分析し、免疫化学染色を使って、グリア原線維酸性たんぱく質(GFAP)陽性細胞の存在を分析し、また、SVZ帯のダブル免疫蛍光染色を使って、BrdU陽性/GFAP陽性細胞の存在を分析する。NeuNは神経幹細胞から分化された未成熟神経単位が現れた印である。GFAPも神経幹細胞から分化されたアストログリアが現れた印である。
【0164】
山羊抗NeuN単コロン抗体を使い、NeuN陽性細胞の存在を分析する。山羊抗GFAP多コロン抗体を使い、GFAP陽性細胞の存在を分析する。小鼠抗大鼠BrdU単コロン抗体の第一抗体とRhoで記された兎抗小鼠抗体の第二抗体の組み合わせと、山羊抗GFAP多コロン抗体の第一抗体の組み合わせを使い、ダブル免疫蛍光染色を通して、BrdU陽性/GFAP陽性細胞の存在を分析する。
【0165】
(9)BrdU陽性(遷移)細胞の分析
各組の30匹の鼠模型ができてから、24時間以内、腹腔に50mg/kg BrdUを二回注射する。模型ができてから、7日目、14日目と21日目に鼠を解剖し、冷凍脳断片を作成する。小鼠抗大鼠BrdU単コロン抗体を使い、免疫化学染色によって、SVZ帯の中のBrdU陽性細胞の存在を分析する。
【0166】
本実験結果の分析は以下である:
1)神経機能の評価
虚血/再灌流損傷模型ができてから、毎日観測・採点を21日目実験が終わるまでやり続ける。表7は神経機能採点が時間によって変化するという結果は以下のようである。(n=15,中間値)。
【0168】
仮の手術組では、神経機能障害は観察されない。ほかの二つの組では、手術後の一日目と比べ、21日目に神経機能の明らかな回復が見える。(P<0.05)。
実験組では、神経機能の回復は対照組より早い。対照組と比べ、実験組では特に手術後の7日目、8日目、9日目と16日目に,神経機能が明らかに回復できると観察した。
結果からわかるように、二酸化塩素溶液は神経幹神経を賦活させ、神経機能障害も改善できる。本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤の幹細胞賦活は神経幹細胞の増殖、遷移と分化を促進し、また、幹細胞の賦活作用は損傷された組織の再生も促進した。
【0169】
2)神経幹細胞の存在の証明
表8はSVZ帯の中のネスチン陽性細胞の数を表した(平均値±SD,細胞数/mm
2)。
【0171】
表8のデータは,対照組の値を100%にし、以下の公式で実験組のネスチン陽性細胞数の相対値を計算する。(%):
BRt(%)=(Bt-St)/(Mt-St)×100
BRt(%):時間tの実験組のネスチン陽性細胞の百分率;
Bt:時間t実験組のネスチン陽性細胞の平均数;
St:時間t仮手術組のネスチン陽性細胞の平均数;
Mt:時間t対照組のネスチン陽性細胞の平均数;
t:7日目、14日目、21日目。
【0172】
仮手術組と比べ、対照組のネスチン陽性細胞の数が増加した。(ネスチンは神経幹細胞の標識物)(表8)。理由は脳虚血/再灌流損傷の刺激は動物が誘導した代償反応にあることである。
一方、模型ができてから、7日目、14日目と21日目に対照組と比べ、実験組のネスチン陽性細胞の数が増加した。(表8)。
結果から分かるように、二酸化塩素溶液がネスチン陽性細胞を賦活させ、(即ち、幹神経細胞)本発明は二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤によって幹細胞を賦活させる作用は神経幹細胞の増殖と遷移を促進する。
また、模型ができてから11日後二酸化塩素を与えないとしても、模型ができて21日目に、対照組と比べ、実験組のネスチン陽性細胞数は明らかに増加した。結果から分かるように、本発明の中の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は神経幹細胞を持続的な促進する作用がある。
【0173】
3)増殖神経幹細胞の存在と自己複製能力の証明
a、増殖神経幹細胞の存在の証明
実験組では、ダブル免疫蛍光染色を使い、SVZ帯の中の増殖したネスチン陽性/BrdU陽性細胞(即ち、神経幹細胞)があることが証明できた。これは実験組の中に増殖した神経幹細胞があると証明できる。
b、神経幹細胞の自己複製能力の証明
表9はSVZ帯の中のBrdU陽性細胞の数(平均値SD,細胞数/mm
2)。
【0175】
表9のデータは、対照組の値を100%にし,以下の公式で実験組のBrdU陽性細胞数の相対値を計算する(%):
BRt(%)=(Bt-St)/(Mt-St)×100
BRt(%):時間t実験組のBrdU陽性細胞の百分率;
Bt:時間tの実験組のBrdU陽性細胞の平均数;
St:時間tの仮手術組のBrdU陽性細胞の平均数;
Mt:時間tの対照組のBrdU陽性細胞の平均数;
t:7日目、14日目、21日目。
【0176】
仮手術組と比べ、対照組のBrdU陽性細胞の数が明らかに増加した。(BrdUは増殖細胞の標識物)(表9)。脳虚血/再灌流損傷の刺激は動物が誘導した代償反応にあるという理由である。
【0177】
一方、模型ができてから、7日目、14日目、21日目に、対照組と比べ、実験組のBrdU陽性細胞数が明らかに増加した。(表9)。
脳組織の中にあるBrdU陽性細胞は自己複製能力があり、入れられるBrdU神経幹細胞と神経細胞だけからなるので、二酸化塩素溶液は神経幹細胞を賦活した。本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤の幹細胞賦活は神経幹細胞の増殖、遷移を促進した。
【0178】
また、模型ができてから11日後二酸化塩素を与えないとしても、模型ができて21日目に、対照組と比べ、実験組のネスチン陽性細胞数は明らかに増加した。結果から分かるように、本発明の中の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は神経幹細胞を持続的な促進する作用がある。
【0179】
4)未成熟神経単位と神経幹細胞から分化したアストログリア細胞の存在とアストログリア細胞増加の証明
a、未成熟神経単位の存在の証明
実験組にNeuN陽性細胞があることが証明できた。(データが有意ではない)。NeuNは神経幹細胞から分化した未成熟神経単位に表された標識物である。従って、結果は実験組に神経幹細胞から分化された未成熟神経単位があると表明できた。
【0180】
b、神経幹細胞から分化したアストログリアが存在する証明
ダブル免疫蛍光染色を使い、実験組のSVZ帯の中にBrdU陽性/GFAP陽性細胞が存在すると証明できた。(データが有意ではない)。GFAPは神経幹細胞から分化されたアストログリア細胞が現す標識物である。従って、この結果から実験組には神経幹細胞から分化したアストログリア細胞が存在すると表明した。しかし、アストロゲリアは神経組織から分化した細胞なのに、どうしてBrdUが入っているか。検査したBrdUはアストログリアに分化する前の幹細胞の状態で細胞中に入り、存在のBrdUを保持すると思われる。
【0181】
c、増加したグリア細胞存在の証明
表10はSVZ帯の中のGFAP陽性数を表している(平均値±SD,細胞数/mm
2)。
【0183】
表10のデータは、対照組の値を100%にし,以下の公式で実験組のGFAP陽性細胞数の相対
値を計算する(%):
BRt(%)=(Bt-St)/(Mt-St)×100
BRt(%):時間t実験組のGFAP陽性細胞の百分率;
Bt:時間tの実験組のGFAP陽性細胞の平均数;
St:時間tの仮手術組のGFAP陽性細胞の平均数;
Mt:時間tの対照組のGFAP陽性細胞の平均数;
t:7日目、14日目、21日目。
【0184】
仮手術組と比べ、対照組のGFAP陽性細胞の数が明らかに増加した。(GFAPは増殖細胞の標識物)(表10)。脳虚血/再灌流損傷の刺激は動物が誘導した代償反応にあるという理由である。
一方、模型ができてから、7日目、14日目、21日目に、対照組と比べ、実験組のGFAP陽性細胞数が明らかに増加した。(表10)。
【0185】
結果から分かるように、二酸化塩素がGFAP細胞を賦活させた。(即ち、神経幹細胞と神経細胞)。本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤の幹細胞賦活は神経幹細胞の増殖、遷移と分化を促進した。特に細胞がアストロゲリア細胞に分化することを促進した。
また、模型ができてから11日後二酸化塩素を与えないとしても、模型ができて21日目に、対照組と比べ、実験組のGFAP陽性細胞数は明らかに増加した。結果から分かるように、本発明の中の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は神経幹細胞がアストロゲリア細胞に分化することに促進作用がある。
【0186】
5)遷移細胞存在の証明
表11はSVZ帯の中のBrdU陽性細胞の数を表している。(平均値±SD,細胞数/mm
2)。
【0188】
表11のデータは、対照組の値を100%にし,以下の公式で実験組のBrdU陽性細胞数の相対値を計算する(%):
BRt(%)=(Bt-St)/(Mt-St)×100
BRt(%):時間t実験組のBrdU陽性細胞の百分率;
Bt:時間tの実験組のBrdU陽性細胞の平均数;
St:時間tの仮手術組のBrdU陽性細胞の平均数;
Mt:時間tの対照組のBrdU陽性細胞の平均数;
t:7日目、14日目、21日目。
【0189】
この実験では、模型ができてから、24時間以内、腹腔にBrdUを二回注射し、また、その後、BrdUを注射しないので、模型ができてから7日目、14日目、21日目に分析したBrdU陽性細胞はBrdUを与える時間に存在しているBrdU陽性細胞である。従って、模型ができてから7日目、14日目、21日目に分析したSVZ帯の中のBrdU陽性細胞数の増加が遷移したSVZ帯の中のBrdU陽性細胞の数を反映した。また、SVZ帯の中のBrdU陽性細胞は自己複製能力があり、BrdUに入る神経幹細胞と神経細胞からなる。以上のないように基づいて、表11は神経幹細胞と神経細胞がSVZ帯内の遷移状態が現れた。
仮手術組と比べて、対照組のBrdU陽性細胞数は明らかに増加した。(表11)。脳虚血/再灌流損傷の刺激は動物が誘導した代償反応にあるという理由である。
【0190】
一方、模型ができてから7日目、14日目、21日目に対照組に比べ、実験組のBrdU陽性細胞数が明らかに増加した。(表11)。これは実験組ではSVZ帯に遷移した神経幹細胞と神経細胞の数が対照組より大きいことを明らかにした。
この結果は二酸化塩素溶液によって神経幹細胞が賦活された。本発明の二酸化塩素を含む幹細胞作用は神経幹細胞と神経細胞の遷移を促進したということを明らかにした。
【0191】
そして、模型ができてから11日後二酸化塩素を与えないとしても、模型ができて21日目に、対照組と比べ、実験組のBrdU陽性細胞数は明らかに増加した。結果から分かるように、本発明の中の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は神経幹細胞と神経細胞の遷移に促進作用がある。
また、免疫化学染色によって対照組と実験組のSVZ帯内のBrdU陽性細胞の分布を比較した。対照組では、BrdU陽性細胞はSVZ帯の表面とその内部まで分布している。つまり、二酸化塩素溶液を与えたので、神経幹細胞と神経細胞はSVZ帯の表面から内部まで移動し、即ち、本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤によって、脳組織の神経幹細胞と神経細胞が近くまで遷移した。
【0192】
実施例3の結果によると、二酸化塩素溶液は神経幹細胞に持続的な賦活作用があるということが証明できた。本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤の幹細胞の賦活作用は神経幹砂防と神経細胞の増殖、遷移と分化を促進し、損傷した組織を再生し、実験動物の神経機能を回復させる作用がある。
この実施例によって、この分野の技術者は本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤或いはそれを主要成分として作られた薬物を各種類の神経系統と運動系統の病気に使用し、また、乾細胞の賦活によって組織再生や病変の組織と器官を修復できる。
【0193】
実施例4
本実施例は二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤を薬物として円形脱毛症へ治療効果を説明するものである。
脱イオン水を使い、濃度が7.47%の亜塩素酸ナトリウムと1.59%の塩化ナトリウムの混合溶液で、一つ目の溶液を作る。脱イオン水を使い、濃度が16.7%のクエン酸の溶液を二つ目作る。
【0194】
違う容器から等量の溶液をとり、用意されておいたガラス或いはプラスチックのコップの中に入れ、混合後3〜5分静まる。また0.22μmのダブル膜で濾過し、容量の1:1でジメチルスルホキシドを入れる。綿棒で溶液をつけ、円形脱毛のところを塗り、1〜2時間後、きれいな水で頭部を洗う。毎日一回以上の方法を行い、第一段階は15〜25日間薬を塗り、その後、2-5ヶ月薬を停止し、状況によって、第二段階の薬も15〜25日間である。
11名の男性の円形脱毛患者と1名患者(年齢は22〜40歳)治験ボランティアとして、本発明の幹細胞賦活剤を使用した。状況は表12のとおりである。
【0196】
円形脱毛症は皮膚科のよく見られる病気であり、若者はよくかかる。形は円形、楕円形、数は一定ではない。円形脱毛症は免疫病気で、リンパ免疫細胞が患者自身の毛嚢を攻撃することは原因である。円形脱毛区域の毛嚢幹細胞は破壊されていなく、髪はまた生えてくることができる。大体80%の患者が発病の12ヶ月後また生えてくる。しかし、いつも繰り返して発作する。治療上では局部にステロイドを注射し、発毛に刺激する方法を使う。しかし、また発作する可能性が高い。
【0197】
この実験を通して、本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は円形脱毛の免疫反応ができ、毛嚢を再生し、新しい髪も生える。円形脱毛症が徹底的に治るということが説明できる。
この実施例によって、この分野の技術者は本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤或いはそれを主要成分として作られた薬物を各種類の神経系統と運動系統の病気に使用し、また、乾細胞の賦活によって組織再生、免疫機制を調整し、病変の組織と器官を修復できる。
【0198】
実施例5
本実施例は二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤を薬物として骨関節炎への治療効果を証明するものでである。
本実験の目的は本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は関節内に使用し、股関節炎の患者への治療効果を評価するものである。軟骨厚さ、痛み強度と治療前後患者の生活質量によって行う。脱イオンを使い、濃度が8%亜塩素酸ナトリウムと2%塩化ナトリウムの混合溶液で、一つ目の溶液を作る。脱イオン水を使い、クエン酸の溶液を二つ目として作る。
【0199】
違う溶液の容器から同量の溶液をとり、用意しておいたガラスやプラスチックのコップに入れ、混合後3〜5分静まり、0.22μmのダブル膜で濾過し、容量1:1でジメチルスルホキシドを入れる。すぐに股関節の患部の皮膚に何回も塗り、毎日一回、20日間連続し、3ヵ月停止し、また20日間治療を続ける。治療の前に、治療区域をきれいにし、消毒して操作する30分前麻酔剤クリームで麻酔する。治療区域によって、相応の容量を用意する。大体
の範囲は1〜10ml/100平方センチ。
【0200】
股関節炎の患者11名(5名40〜70歳の男性と6名40〜65歳の女性)治験ボランティアとして治療を受けた。本実験に入ってから3ヶ月と6ヶ月後、個人と人体測量データ(身長、体重、体重指数(BMI)、血圧と心拍数)と病歴を収集し、以下のように評価する。
痛み強度:直観模擬標度尺(VAS)を使い、0(正常)〜100(痛みの最大強度)で表示され、医者と患者で行う。
病気の深刻さ:Womac骨関節炎指標アンケートを使い、股関節炎の自己評価をしレベルをつけ、24項目からなり、病気の進展と治療効果に使う。
股関節軟骨厚み:中心、中間、側室を超音波で測量する。
本実験の結果分析は以下になる:
本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は耐久力があり、局部や全身アレルギー反応はない。薬の使用過程では持続的な痛みや痒みがあるが、1時間後消える。
【0201】
痛み強度評価と病気のレベルの相関のデータは表13のようになる。
(1)痛み強度評価
本実験が始まるときに、患者が評価した痛みの数値(VAS)は58.32(±8.25);3ヵ月後,平均値は18.24(±7.25),百分率は68.7%(p<0.05)に降下した;6ヶ月後、平均値は6.32(±6.53),百分率は89.16%(p<0.05)になった。本実験始まった医者が評価した痛みの数値(VAS)は55.23(±9.66);3ヵ月後、平均値は20.03(±7.32),百分率は63.7%(p<0.05)になった;6ヶ月後、平均値はさらに7.11(±6.93)になり、百分率は87.12%(p<0.05)に下がった。
【0202】
(2)病気の深刻さ
本実験が始まるときの平均WOMAC値は55.03(±26.63)で;3ヵ月後、平均値が20.11(±22.53)になり、百分率が59.06%(p<0.01)になり;6ヶ月後、平均値はさらに6.54(±5.86)になり、百分率は88.12(p<0.01)になった。
表13は実験開始と浸透治療後3ヶ月と6ヶ月患者の臨床評価を表している。表14は浸透治療後3ヶ月と6ヶ月臨床評価の百分率が降下した臨床評価である。
【0205】
(3)関節軟骨の厚さ
軟骨の超音波の評価(表15) 基線の中間軟骨厚さは平均値が0.51(±0.07)mmで;3ヵ月後、0.59(±0.08)mmに増加し、百分率が15.6%(p<0.05)増加し;6ヶ月後、さらに0.66(±0.16)mmに増加し、百分率は11.9%(p<0.05)である。
基線の側軟骨の厚さの平均値は0.61(±0.09)mmで;3ヵ月後、0.67(±0.10)mmになり、百分率は9.8%(p<0.05)になった。6ヶ月後、0.73(±0.11)mmになり、百分率は8.9%(p<0.05)になった。
【0206】
基線の中心軟骨の厚さの平均値は0.73(±0.09)mmで;3ヵ月後、0.79(±0.11)mmになり、百分率は8.2%(p<0.05)になった。6ヶ月後、0.89(±0.09)mmになり、百分率は12.7%(p<0.05)になった。
表15は実験開始と浸透治療後の3ヵ月と6ヶ月の重要な軟骨の厚さを評価するものである。
【0208】
上述の結果からわかるように、本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤を使用後、臨床症状が明らかに改善されたということが証明できた。わずか3ヵ月後の改善は6ヵ月後まで続き、さらに症状改善が見られる。3ヵ月後と6ヶ月後VAS痛みの数値は基線と比べると、
明らかに降下し、つまり、この薬物は関節液の粘弾性を促進でき、痛みの症状も明らかに改善される。従って、患者の生活質量へも改善した。本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は薬物として顕著な炎症組織を再生する能力があると証明できた。
【0209】
この実施例によって、この分野の技術者は本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤或いはそれを主要成分として作られた薬物を各種類の神経系統と運動系統の病気に使用し、また、乾細胞の賦活によって組織再生、病変の組織と器官を修復できる。
【0210】
実施例6
本実施例は二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は薬物として強直性脊髄炎への治療効果を説明する。
強直性脊髄炎(AS)は慢性、進行性、身体無能になる免疫性病気である。周囲の病変の中では、股関節はASで身体無能になる主な原因である。本実験の目的は本発明の中の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤を関節内(部)に使用し、強直性脊髄炎(AS)などの免疫性病気の患者への治療効果を評価する。
【0211】
脱イオン水を使い、濃度が7.47%亜塩素酸ナトリウムと濃度が1.59%塩化ナトリウムの混合溶液を一つ目として作る。脱イオン水を使い、濃度が16.7%クエン酸溶液を二つ目の溶液を作る。違う溶液の容器から同量の溶液をとり、用意しておいたガラスやプラスチックのコップに入れ、混合後3〜5分静まり、0.22μmのダブル膜で濾過し、容量1:1でジメチルスルホキシドを入れる。すぐに何回も股関節患部皮膚に塗る。一日一回、3週間連続し、1週間停止、また3週間連続治療し、また1週間停止する。このように4周期繰り返す。治療の前に、治療区域をきれいにし、消毒して操作する30分前麻酔剤クリームで麻酔する。治療区域によって、相応の容量を用意する。大体の範囲は1〜10ml/100平方センチ。
【0212】
実験対象:12例の患者は1984年のASニューヨーク分類標準に従い、また、人類白血球抗原-B27陽性、病気の活発期であり、片側或いは両側病変を伴う。その中、男性8例、女4例、年齢18〜40歳で、平均26歳。
平均指標:Bath AS股関節レントゲン指数(BASRI),0期:正常,計0点;I期:変化を疑い、局部の関節の間隔が狭くなる。計25点;II期:軽度異常、明らかに関節の間隔が狭くなる、関節間隔>2mm,計50点;III期:中度異常,関節間隔が狭くなる。関節間隔<2mm或いは局部関節間隔が消え、骨性関節面の接触範囲<2cm、計75点;IV期:重度異常、骨変形、骨性関節面の接触範囲>2cm,計100点。I、II期の病変は以下の3つ症状がある。即ち、侵食破壊、骨増殖体の形成、股関節寛骨臼底陥入の中の2種類があれば、相応に一レベルに上がる。違う程度によって、BASRI評価する。Harris股関節採点:満点100点,股関節の痛み程度44点、股関節機能47点、下肢畸形程度4点、股関節活動範囲(角度)5点、違う程度に相応な点数をつける。AS病気活動と機能状況はBath強直性脊髄炎機能指数(BASFI)、Bath強直性脊髄炎活動指数(BASDAI)、血沈(ESR)、C反応性蛋白(CRP)評価方法を使う。
【0213】
本実験の結果は以下のように分析する:
本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は耐久力があり、局部や全身アレルギー反応はない。薬の使用過程では持続的な痛みや痒みがあるが、1時間後消える。
治療前と比べ、BASRIによって、期に分け、治療後3ヵ月の股関節BASRIの期は大体半レベルになり、治療後6ヶ月の股関節のBASRIの期は2レベルになる。
治療前と比べ、治療後の二つの組の患者Harris股関節の採点、BASFI、BASDAI、ESP、CRPは著しく降下し、差異には有意である(P<0.01)。結果は表16のようである。
表16はASの治療前後の各指数の採点を表した。
【0215】
ASは仙腸関節炎と脊髄炎が主な症状であり、原因不明な全身的な病気である。基本的に、自身免疫性病気に属する。24%〜75%の患者は初期や中期に周囲関節病変が出る。特に青少年である。現在の治療方法はホルモンやある生物製剤を使う。理論的に言うと、このような治療手段は症状を抑制或いは緩和するためである。根本的に病気になる要素を消すことができない。本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は根本的にその病気の原因を解決し、仕組みと実験結果からほかの自身免疫性病気まで使用でき、特に各種類の関節炎の治療。
【0216】
この実施例によって、この分野の技術者は本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤或いはそれを主要成分として作られた薬物を各種類の神経系統と運動系統の病気に使用し、また、乾細胞の賦活によって組織再生、免疫機制を調整し、病変の組織と器官を修復できる。
【0217】
実施例7
本実施例は二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は薬物として湿疹に対する治療効果を説明する。
限定性慢性湿疹患者は12例、平均7年病気にかかった。昔から多種の糖質コルチコイド類の外用薬物や抗ヒスタミン類の内服薬物を使用したが、効果があまりでない。本発明の幹細胞賦活剤を使用する。方法は以下である。
【0218】
脱イオン水を使い、濃度が8%の亜塩素酸ナトリウムと濃度が2%の塩化ナトリウムの混合溶液を一つ目として作る。脱イオン水を使い、濃度が12%のクエン酸溶液を二つ目の溶液を作る。違う溶液の容器から同量の溶液をとり(治療区域によって、相応の容量を用意する。大体の範囲は1〜10ml/100平方センチ)、用意しておいたガラスやプラスチックのコップに入れ、混合後3〜5分静まり、0.22μmのダブル膜で濾過する。すぐに何回も湿疹患部皮膚に塗る。一日一回、10〜15日間連続し、停止し、また発作したら、以上方法を繰り返す。
【0219】
治療を通して、12例の患者の症状は似ている。薬物を使用後、痒みの代わり痛みを感じ
、30分後、痒みも痛みも消え、2〜5日後患部に瘡蓋ができ、10〜15日間後消え、湿疹が普通の厚さに回復し、色素沈着が薄くなり、臨床症状と組織病理変化が正常になる。
【0220】
12例の患者を8ヶ月フォローし、その中の6人は再発しない。4人は一回再発し、2回治療後再発しない。2人は二回再発し、3回目の治療を受け、再発しない。本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は湿疹に大体以下の作用である:ズキズキの痛みは痒みに替わる。;溶液の部分の酸化作用は免疫系統に思われる外因性の物質が消せる;溶液の中の有効成分は患部傷の幹細胞分化に賦活し、傷の癒合を加速させ、免疫系統は患部反応が正常化になる:溶液の酸化作用は細菌などの微生物に抵抗でき、感染されにくい。
【0221】
この実施例によって、この分野の技術者は本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤或いはそれを主要成分として作られた薬物を各種類の神経系統と運動系統の病気に使用し、また、乾細胞の賦活によって組織再生、免疫機制を調整し、病変の組織と器官を修復できる。
【0222】
実施例8
本実施例は二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤を薬物として乾癬への治療効果を説明する。
乾癬はT細胞を介する炎症病気である。最も普通の自身免疫性病気の一つである。大体の2%〜3%の成人が感染する。本実験の目的は本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤を乾癬患部に使用し、このような自身免疫性皮膚病気の患者への治療効果を説明する。
【0223】
患者86名を無作為で治療組43例に分け、対照組43例である。患者年齢範囲28〜68歳で、局部乾癬で、持続発作、病気にかかったのは9ヶ月で、同意書のサインを取得した。
治療組:男29例(74.36%)、女10例(25.64%);年齢(49.05±14.57);疾病時間(12±9)年。対照組:男28例(68.29%),女13例(31.71%);年齢(47.05±16.25);疾病時間(12±10)年。
【0224】
方法:
治療組患者:脱イオン水を使い、濃度が10%亜塩素酸ナトリウムと濃度が2.5%塩化ナトリウムの混合溶液を一つ目として作る。脱イオン水を使い、濃度が22%クエン酸溶液を二つ目の溶液を作る。違う溶液の容器から同量の溶液をとり(治療区域によって、相応の容量を用意する。大体の範囲は1〜10ml/100平方センチ)、用意しておいたガラスやプラスチックのコップに入れ、混合後3〜5分静まり、0.22μmのダブル膜で濾過する。すぐに何回も患部皮膚に塗る。一日一回、10〜15日間連続し、停止し、また発作したら、以上の方法を繰り返す。
【0225】
対照組患者:Triamcinolone Acetonide and Econazole Nitrate Creamを使い、一日一回、10〜15日間連続し、停止し、また発作したら、以上方法を繰り返す。期限は6ヶ月。
治療効果の判断基準:「乾癬病面積と深刻さの指数(PASI)」の採点基準を参考する。1)評価面積:体の四つ部位を0〜6点で評価する;面積:0=無し;1<10%;2=10〜29%;3=30〜49%;4=50〜69%;4=50〜69%;5=70〜89%;6=90〜100%;胴体部位:頭部=10%;胴体=30%;上肢=20%;下肢=40%。2)臨床深刻さを評価する:こうはん、浸潤、鱗屑。各特徴は0〜4点で評価し、0=無し;1=軽度;2=中度;3=重度;4極重度。各胴体部位の点数を計算し、累加し合計する。効果判断基準(PASI降下百分率):治った点≧95%;効果がある評価≧61%且つ<95%;好転の評価≧20%且つ<60%;無効評価<20%。
【0226】
本研究の結果分析は以下である:
本試験は計数資料で、カイ二乗検定を使い、二組の治癒率と再発率を比較する。
治療組43例では最高3回治療を受け、41名が治癒でき、治癒率は95.3%である。好転2例(表17),その中の20例は2回以上の治療を受け、9例は3回治療を受けた。対象組43例で
は、最高3回治療を受け、治癒は30例であり、治癒率は69.8%であり、好転10例で、効果があるのは3例。その中の40例は2回以上治療を受け、38例は3回以上治療を受けた。二組の治癒率の比較P<0.01。表17は薬を使用後6ヶ月効果の対照状況を表している。
【0228】
再発状況(6ヶ月後):
治療組43例では35例をフォローでき、対照組43例では32例をフォローできた。二組とも約6ヶ月フォローし、(治療後から計算)治療組みの再発率は5.7%(2/35),対照組の再発率は71.9%(23/32)である。(表18)、二組を比較するP<0.01。表18は再発状況統計結果を表す。
【0230】
本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は乾癬に大体以下の作用である:ズキズキの痛みは痒みに替わる。;溶液の部分の酸化作用は免疫系統に思われる外因性の物質が消せる;溶液の中の有効成分は患部傷の幹細胞分化に賦活し、傷の癒合を加速させ、免疫系統は患部反応が正常化になる;溶液の酸化作用は細菌などの微生物に抵抗でき、感染されにくい。
【0231】
この実施例によって、この分野の技術者は本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤或いはそれを主要成分として作られた薬物を各種類の神経系統と運動系統の病気に使用し、また、乾細胞の賦活によって組織再生、免疫機制を調整し、病変の組織と器官を修復できる。
【0232】
実施例9
本実施例は二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤として鼻炎への治療効果を説明するものである。
鼻炎は発病率が高い病気であり、慢性鼻炎とアレルギー鼻炎に分ける。治療手段が少なく、治癒できない場合が多い。本試験の目的は二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤を慢性鼻炎とアレルギー鼻炎に使用し、その治療効果を評価することである。
【0233】
本試験は慢性鼻炎あるいはアレルギー鼻炎30例、無作為で治療組と対照組各15例分けた。
治療組患者:脱イオン水を使い、濃度が7.47%亜塩素酸ナトリウムと濃度が1.59%塩化ナトリウムの混合溶液を一つ目として作る。脱イオン水を使い、濃度が16.7%クエン酸溶液を二つ目の溶液を作る。二つの溶液を混合し、二酸化塩素を含む溶液を作る。一人に50ml用意し、密閉し冷蔵庫に保存する。使う前、以上の溶液を毎回一人には2〜5mlの量で、コップに入れる。患者の鼻はコップに向け、鼻で1〜2分呼吸する。その後、生理食塩水で5〜100倍薄め、鼻噴霧器に入れ、左右側に3〜5回ずつ押す。一日一回、5〜10日連続し、停止し、再発したらまた以上の方法を繰り返す。3ヶ月治療する。
【0234】
対照組の患者: エフェドリ液を使い、毎回左右3滴ずつで、7日間連続する。再発したら、また以上の方法を繰り返す。3ヶ月治療する。
効果評価:症状によって明らかな効果、有効、無効に分けた。1)明らかな効果:自覚症状が消え、陽性症状は正常になる。2)有効:自覚症状及び陽性症状が明らかによくなる。3)無効:自覚症状と陽性症状は明らかな改善がない。総有効率(%)=((明らかな効果数+有効数)/総合例数×100%)。治療後鼻炎の再発率は治療後6ヶ月の全部例数の再発率を統計した数字である。表19は鼻炎治療状況を表す。
【0236】
本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は薬物として臨床上、慢性鼻炎やアレルギー鼻炎の治療効果が明らかで、顕著に粘膜を収縮し、鼻腔腺体の分泌も少なくなった。また、炎症とアレルギーへの対抗作用が出て、現在よく使われた薬物より優れている。
【0237】
本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は鼻炎に大体以下の作用である:ズキズキの痛みがあり、抗ヒスタミン、くしゃみを減少する。溶液の部分の酸化作用は免疫系統に思われる外因性の物質が消せる;溶液の中の有効成分は患部傷の幹細胞分化に賦活し、傷の癒合を加速させ、免疫系統は患部反応が正常化になる、つまり、炎症とアレルギーに作用がある;溶液の酸化作用は細菌などの微生物に抵抗できる。
【0238】
この実施例によって、この分野の技術者は本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤或いはそれを主要成分として作られた薬物を各種類の神経系統と運動系統の病気に使用し、また、乾細胞の賦活によって組織再生、免疫機制を調整し、病変の組織と器官を修復できる。
【0239】
実施例10
本実施例は二酸化塩素を含む幹細胞を薬物としてII型糖尿病鼠模型の実験効果を説明するものである。
脱イオン水を使い、濃度が4%の亜塩素酸ナトリウムと濃度が1%の塩化ナトリウムの混合溶液を一つ目として作る。脱イオン水を使い、濃度が8%のクエン酸溶液を二つ目の溶液を作る。違う溶液の容器から同じ体積の溶液をとり、混合し、混合後3〜5分静まり、0.22μ
mのダブル膜で濾過し、すぐ注射器に入れる。北京大学医学部から購入したII型糖尿病鼠模型を無作為でAとB二組に分け、一組に10匹である。A組は以上の幹細胞賦活剤治療組にし、B組は同体積の0.9%の塩化ナトリウム溶液の対照組にする。A組は0日目に鼠模型のランゲルハンス島のところに0.5mlの上述した幹細胞賦活剤を注射し、7日目と14日目は同じ量でまた注射する。B組は同じ時間に肝臓動脈に0.5ml生理食塩水を注射し、鼠模型の血糖を計算する。最後の注射後の7日目、14日目、21日目と28日目に鼠模型の空腹血糖を検査し、結果は表20のとおりである。
【0241】
治療組のマウスは、治療を経てから14日目に血糖レベルが正常に回復したことがわかる。対照組の血糖レベルは、ほとんど変化がない。これは、賦活剤がII型糖尿病模型のマウスに有意の治療効果が会ったことを示しており、いかなる副作用も生じなかった。
本実施例によって、本領域の技術者は、本発明の賦活剤或いはこれを腫瘍成分として調製された薬剤が、各種の泌尿器系統と内分泌系統の治療に使用することができ、治療メカニズムは幹細胞の組織再生を促進し、病変組織と臓器を修復するものだと、要約することができる。
【0242】
実施例11
本実施例によって、薬剤としての賦活剤が胃潰瘍の治療に効果があることを説明する。
胃潰瘍は内科でよく見られる多発病で、原因も様々である。その中でもピロリ菌(HP)は、汗腺の一大要因となっており、大量の研究によって、80%前後の胃潰瘍がHPの感染によるものだと示している。胃潰瘍の発生は、粘膜を侵略する要素と、防御をする要素のバランスが失われた結果であり、典型的な胃の組織損傷製疾病である。
【0243】
HPに陽性の胃潰瘍患者を90例選び、その内、男性50例、女性40例、年齢は33-75歳で、平均年齢は41歳である。この90例の患者を無作為に治療組と対照組に分ける。その内、治療組は30例で、二つの対照組はそれぞれ30例である。
分離イオン水を用いて、濃度が20%の亜塩素酸ナトリウムと5%の塩化ナトリウムの混合溶液を調製し、第一溶液とする。分離イオン水を用いて、濃度が30%のクエン酸溶液を調製し、第二溶液とする。異なる溶液から別々に体積が同じ溶液を取り出し、事前に用意した適当な大きさのガラス或いはプラスチックのコップに注ぎ入れる。混合が落ち着くまで3〜5分ほど待ち、注射器を用いて混合液を0号ソフトカプセルに充満させ、本発明の賦活剤を含んだカプセルを作成する。
【0244】
治療組の患者それぞれに、毎日3回上述の方法で現場で作成した賦活剤を含むカプセルを服用させる。毎回一粒、対象組1の患者には食事の30分前にコロイドペクチン15mgとチニダゾール100mgを内服させる。1日に3回/、 オメプラゾール20mgを内服させる。対照組
2の患者には、1日に2回、食前にアモシリン1.0gを服用させ、1日に3回、クリンダマイシン500mg、1日に2回、エソメプラゾール20mgを服用させる。各組連続1週間服用を続ける。3組の病例を観察すると、服用後2週目で腹痛、吐気、溜飲などの臨床症状に改善が見られた。そして、30日後に胃カメラ検査と胃粘膜尿素酵素試験を行い、胃潰瘍の癒合とHP根絶の状況を観察した。
【0245】
効能の判断基準は、治療前と治療後の病状の変化と症状が消えた時間を正確に記録し、以下のように診断した。
1)完全癒合基準:
痛み、胸焼け、吐気、溜飲、膨張の症状が消失。胃カメラ検査で潰瘍の完全癒合、周囲炎症の消失を確認。ピロリ菌検査で陰性。
2)基本癒合基準:
自覚症状が消失。胃カメラ検査で潰瘍の癒合が90%以上。周囲炎症が基本的に消失。
3)有効基準:
潰瘍が50%以上縮小或いは潰瘍数が50%以上減少。
4)無効基準:潰瘍の癒合が50%以下或いは変化なし或いは面積と数量が増加。胃から粘膜標本を採取して尿素酵素試験を行い、結果が陽性の場合、HP感染が確定する。
結果は表21の通り。
【0247】
治療組のHP陰性化率と対照組1のHP陰性化率は基本的に同等である。これは、賦活剤に含まれる二酸化塩素が病原菌を死滅させる作用を発揮したことを示している。HP根絶率に差はないが、賦活剤を使用して調製した薬剤を服用後、胃潰瘍の完全癒合率は更に高くなっている。これは、賦活剤が幹細胞の組織再生を促進し、胃潰瘍の癒合が加速したことを示している。
【0248】
本実施例によって、本領域の技術者は、本発明の賦活剤或いはこれを使用して調製された薬剤は胃腸疾病の治療に使用することができ、皮膚を含まない体内臓器組織に内在する病原性微生物が引き起こす疾病の治療にも使用できると要約できる。尚且つ、治療メカニズムは、幹細胞の組織再生を促進し、病変組織と臓器を修復するもので、二酸化塩素が体内の病原菌を根絶するメカニズムも含まれている。
【0249】
実施例12
本実施例は、薬剤としての賦活剤が、肺がん手術後の合併症を予防する作用を説明するものである。
肺がんの治療はまず手術によって行われるが、手術治療は創傷性が極めて大きく、容易に合併症を引き起こす。よく見られる合併症には、1)気管支吻合口瘻や気管支胸膜瘻、2)肺癌術後胸腔内出血、3)起動合併症、4)心臓血管系合併症がある。
【0250】
肺癌手術を行ったばかりのI、II、III期の肺癌患者30例をスクリーニングして、無作為に二組に分け、治療組15例、対照組15例とした。
クエン酸と分離イオン水を用いてPH値が3の酸性水溶液を15l調製する。分離イオン水と亜塩化産ナトリウムを用いて、30%の水溶液を500ml調製する。分離イオン水とクエン酸を用いて、50%の水溶液を500ml調製する。上記の二つの溶液を2lの三角ビーカー内で混合させ、密閉ビーカーのプラスチック導管を用いて、準備してあった酸性水溶液に注ぎ込む。二酸化塩素の気体が酸性水溶液中で40分間泡立ったら、100mlの容量のプラスチック瓶150本に装填し、冷蔵庫で保存する。
【0251】
治療組の15例の患者は、それぞれ10本ずつ溶液の瓶を受け取り、術後2日目から毎日1本を3回に分けて、口と鼻を交互に瓶に近づけて2-10分間呼吸をし、終わったら蓋をする。対象組には特別な介護手段は採用せず、術後1ヶ月以内の合併症の発生状況を観察する。
肺癌手術後の合併症を、症状の重さによって重大合併症:病院での対処が必要、軽微な合併症:患者が自身で対応可能、合併症なし:臨床上何もない、分類する。
30例の肺癌手術後の合併症発生状況は表22の通り。
【0253】
表22から、賦活剤は肺癌手術後の合併症予防に有意な作用があるとわかる。これは、本発明の賦活剤が、癌による損傷組織の再生を促進し、組織の正常な機能を回復し、癌治療の補助手段になったことを示している。
本実施例に基づいて、本領域の技術者は、本発明の賦活剤或いはこれから調整した薬剤を、癌治療における組織の再生と、各種呼吸器系統の疾病治療に使用でき、薬剤のメカニズムは幹細胞の組織再生を促進し、病変組織と臓器を修復するものだと要約できる。
【0254】
実施例13
本実施例は、薬物としての賦活剤の皮膚の傷痕除去に対する作用を説明するものである。
傷痕とは、物理的、生物的、化学的な要素による人体の皮膚柔組織への損害作用であり、皮膚組織に重大な損傷を引き起こし自己正常修復を不可能なものにし、線維組織が修復の代替となり、外観と機能に影響を与える局部的症状である。傷痕の本質は、皮膚組織の正常な構造と生理的効能を有さないことであり、正常な組織活動力を失った異常で不健全な組織である。理論上、傷痕組織を取り除き、周囲の正常な組織の幹細胞を刺激して再生を行えば、正常な組織が傷痕組織に取って代わり、傷痕を除去して美容的な作用をもたらすはずである。
【0255】
20例の傷痕患者を実験対象者としてスクリーニングし、男性7名、女性13名、平均年齢は33歳で、その内火傷による傷痕が5例、事故による傷痕癒合の遺留が7名、手術痕が5例、皮膚性疾患の遺留が3例であり、傷痕の病歴は平均3年ほどである。
分離イオン水を用いて濃度10%の亜塩素ナトリウムと2.5%の塩化ナトリウムの混合溶液を調製し、第一溶液とする。分離イオン水を用いて濃度20%のクエン酸溶液を調製し、第
二溶液とする。別々に異なる容器から取り出した同じ体積の溶液を(治療区域の大小に応じて、適当な量の溶液を準備する。大体の範囲は1〜10ml/100平方mm)、事前に準備した適当な大きさのガラス或いはプラスチックのコップに入れ、混合が静止するまで3〜5分間待ち、再度0.22μmの二層式濾過膜を用いて、容量1:1でジメチルスルホキシドを入れる。すぐに傷蒼に塗布する。毎日一回、10〜15日間続ける。投薬を停止し、初回の投薬停止から1-2ヶ月後に二回目の投薬を開始する。毎日一回、5〜10日間続ける。
【0256】
初回の投薬から一ヵ月後及び二回目の投薬から1ヶ月後の効果を観察する。傷痕の痛み、傷痕の固さ、周囲の色素沈着から効果を判断する。1)具体的な標準:痛み:(+++)は顕著,(++)は中程度,(+)は軽度,(-)は無。傷痕の硬さ:(+++)は硬くて押しても凹まない;(++)は中程度で押すと凹む;(+)は軽く押すと完全に凹む;(-)は正常の皮膚と同じ質。周囲色素沈着:(+++)は範囲>2cm,(++)は範囲1〜2cm,(+)は範囲<1cm,(-)は周囲に色素沈着が見られない。2)臨床効果の判定:(明らかな効果):傷痕痛みがなく、硬さが正常の皮膚と同じく、周囲に色素沈着が見られない。(有効): 傷痕痛み、硬さ、周囲の色素沈着の為(+)〜(++);(無効): 傷痕痛み、硬さ、周囲の色素沈着の指標は任意の一項目が(+++)。
20例の傷痕患者の治療結果は表23の通り。
【0258】
初回の投薬から1ヵ月後に、本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤を薬剤として傷蒼治療に応用し、明らかな効果率は45%、有効率は30%。二回目の投薬から1ヶ月後には、明らかな効果率が75%まで上昇した。本発明の賦活剤が薬剤として皮膚の傷痕の治療に明らかな効果があることが認められる。本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は病巣清掃作用があり、傷痕組織を清掃し、幹細胞の組織再生を賦活化し、新しい皮膚を形成する。本発明の二酸化塩素を含む幹細胞賦活剤は美容整形における組織再生に利用できることを示している。
本実施例によって本領域の技術者は、本発明の賦活剤或いはこれから調整した薬剤を、美容整形方面の組織再生に使用でき、一般性の皮膚病にも使用でき、薬剤のメカニズムは幹細胞の組織再生を促進し、病変組織と臓器を修復するものだと要約できる。
【0259】
上述の実施例は本発明の例を挙げて説明しただけで、本発明はその他の特定方式或いは特定形式によって、実施しても、本発明の要旨或いは本質から離れるものではない。従って、描写した実施方式は如何なる方面から見ても説明のみで限定性を持つものではない。本発明の範囲は付加の権利要求によって説明され、如何なる権利要求の意図や範囲などの変化も本発明の範囲に含まれる。