【実施例】
【0018】
図1は、本発明によるサンドウィッチパンケーキ製造装置100の斜視図である。サンドウィッチパンケーキ製造装置100は、焼き皮を焼く焼成機80と、焼き皮の上に餡を載せ、上から焼き皮を重ねて耳締めを行なう仕上げ装置90とからなる。焼成機80と仕上げ装置90の間は、傾斜コンベヤ8で連結される。焼成機80は、焼き板20で構成された焼き板コンベア25がバーナー2の上下を周回する。焼き板コンベア25は、例えば、3秒間の停止、1.5秒間の走行からなる間欠送りにできる。これに限らず、焼き板コンベア25を連続送りとしてもよい。焼き板コンベア25の左端の上部には、生地充填機1が設けられる。この実施例では、生地充填機1は、生地を焼き板20上に一列あたり12個を吐出する。生地は、焼き板20で焼成され、ドラ焼きの焼き皮34となる。焼き板20は、バーナー2の180〜200°Cに加熱される。焼き皮34は、
図6の引き出し円内に示すように、焼き板20で焼成された面が焼き面34aで、外側面となる。
図2(B)に示すように、焼き面は黒く、裏面は白で記載した。焼き皮34は、太い矢印で示すように
図1の左側から右側方向に搬送される。
【0019】
上火ヒータ4は、焼き皮34の上面を軽く焼成する。反転装置5は、ヘラ状の部材で焼き皮34を掬い上げて、約180度回転する。これによって焼き皮34は焼き面が上向きとなる。反転装置5を通過した焼き皮34は、吹き落し装置6のノズルから噴射されるエアーによって、焼き板20から剥離され、傾斜コンベヤ8に反転して落とされる。焼き皮34は傾斜コンベヤ8では焼き面が下向きとなる。焼き板20は、生地充填機1の方向に戻る。ワイヤスクレーパー35は、搬送方向と直交する方向に設けられたワイヤからなり、焼き板20の表面に付着した焼き皮を剥離する。油拭き装置3は、焼き板20の長手方向に沿って設けられたレールと、レールの上を走行するバフ(油布)とからなり、拭く動作によって、焼き板20の表面に油を塗布する。バフへの油は、待機時に給油管の複数の小孔からバフに浸み込ませている。
【0020】
焼き皮34は、傾斜コンベヤ8から仕上げ装置90に送り込まれるが、まず正反転切り替え装置9に入る。正反転切り替え装置9は、、焼き皮の焼き面が下向きのまま送り出す正転と、焼き皮の焼き面を上向きにして送り出す反転を、列に対して交互に行なう装置である。餡充填機12は、1列おきに餡の充填を行なう装置である。餡は、焼き面が下向きの焼き皮34に充填される。焼印装置13は、焼き面が上向きの焼き皮34に焼き印を押す装置である。
【0021】
合せ耳締め装置15は、上型と下型からなる。上型にはエアーによる焼き皮の吸引機能が設けられており、前方の焼き面が上向きの焼き皮を吸引して持ち上げ、円弧運動して移動して戻り、餡が充填された焼き皮の上に重ね合わせる。そして上型と下型で2枚の焼き皮挟み込み、押圧して焼き皮の周囲を閉じる。餡充填機12、焼印装置13、合わせ耳締め装置15の手前には、焼き皮34を搬送方向と搬送方向と直交する方向に整列させる整列装置(図示せず)が設けられる。
【0022】
図2は、
図1の改良された要部を示す図で、(A)はワイヤスクレーパー35、(B)は正反転切り替え装置9、(C)は合わせ耳締め装置15である。
図2(A)のワイヤスクレーパー35は、焼き板20が連結された焼き板コンベヤ25が戻る部分に設けられる。そして、焼き板20からエアーによって剥離できなかった焼き皮34を剥離する。
【0023】
図2(B)の正反転切り替え装置9は、傾斜コンベヤ8の送り出し端と、傾斜コンベヤ8より低い位置に設けられた水平な搬送コンベヤ57の間に設けられた3本(複数)のロール59から構成される。ロール59は、モータ58で回転され、焼き皮34を正転させる場合、焼き皮を放り投げるに十分な速度である第1の速度で回転される。焼き皮を反転させる場合、第1の速度より低速で、搬送される焼き皮を前のめりにして反転させる第2の速度で回転される。焼き皮34の焼き面が下向きのままの送り出し(正転)と、焼き皮の焼き面を上向きにした送り出し(反転)を、列に対して交互に行なうので、焼き皮34は、搬送コンベヤ57に焼き面が1列置きに上向きとなるように配列される。
【0024】
図2(C)の合わせ耳締め装置15は、上型45で、搬送方向の前方に位置する焼き面が上向きの焼き皮34を吸引して持ち上げ、円弧運動して移動して戻り、餡30が充填された焼き皮34に重ね合わせる。そして上型45と下型46で挟み込んで押圧し、上下2枚の焼き皮34の周囲を閉じる。下型46は、ロープコンベヤ43の下側にあって、複数に分割されており、挟み込み時は、ロープコンベヤ43の上側に突き出る。
【0025】
図3と
図4は、正反転切り替え装置9の動作説明図(1/2)と(2/2)である。
図3の(A)〜(D)は焼き皮34が反転する場合を示す。焼き皮の前方部分がロールから離れて自重で下方向を向くと、焼き皮の後方を押すことで反転させる。ロール59は、第2速度(低速)で回転されて、焼き皮34は反転して搬送コンベヤ57の上に落ちる。
図4の(E)〜(H)は、焼き皮34を正転させる場合で、ロール59は焼き皮34を放り投げるに十分な第1の速度(高速)で回転される。焼き皮34は、焼き面を下に向けた姿勢で飛び、搬送コンベヤ57の上に落ちる。第1の速度は焼き皮34を放り投げる程度に高速であり、第2の速度は、第1の速度より低速である。
【0026】
図5は、ワイヤスクレーパー35の斜視図である。上部には、焼き板20の長手方向をカバーするワイヤ16が張られている。ワイヤスクレーパー35の下部には、焼き板20から剥離された焼き皮34が受け止められる受け皿17が設けられる。ワイヤ留め18は、ワイヤ16の張力を調節できる。ワイヤスクレーパー35は、ハンドル19により、搬送ラインから引き出せる。
【0027】
図6は、ワイヤスクレーパー35の動作説明図である。焼き皮34は、引出し円の中に示すように、焼き面34aがドラ焼きの外側面で、内側面34bに餡が充填される。焼き皮34は、焼成された後、反転装置5で反転され、焼き面が上向きとされ、焼き板コンベヤ25の折り返し位置に搬送される。焼き皮34は、吹き落し装置6のノズルから噴射されたエアーによって焼き板20から剥離され、反転して傾斜コンベヤ8に落とされる。吹き落し装置6のエアーで剥離できなかった焼き皮34は、ワイヤスクレーパー35のワイヤ16によって焼き板20から剥離され、受け皿17に排出される。なお、エアーノズルは、例として、1つの焼き皮34に対して2〜3本が設けられる。エアーノズルを複数本にしても、焼き皮34を焼き板20から剥離できない場合がまれにある。
【0028】
図7は、合わせ耳締め装置15の斜視図である。
図7は、上型45を示す図である。下型46の斜視図は省略した。本体部28にはハンドル32が設けられる。側板は、内部が見えるよう外して記載した。上型45は、一列12個の焼き皮に対応して、長手方向に12個が設けられ、各上型45には引き離し棒29が設けられる。エアー吸引チューブ27で各上型45内のエアーを吸引するので、焼き皮34を吸引できる。本体部28は、裏面側に設けられたサーボモータ26により円弧運動を行なう。アーム23、24が設けられ、アーム23、24の一端が本体部28の両端に連結され、アーム23、24の他端が回転軸に連結される。本体部28は、アーム23、24の先端が円弧運動しても常に下向きとなるよう回動される。アーム24の先端には裏面カバー31が設けられる。下型46の斜視図は省略したが、下型46は4つの分割された部品からなる。下型46は、ロープコンベア43の間を上昇して、2枚の焼き皮34を下側から押圧する。上型45の四隅にはガイド部材(図示せず)が設けられており、下型46の4つの部品が隙間なく1つの部材となるようガイドしている。上型45は、2枚の焼き皮34を上から押圧するが、周囲を押圧し中央部分は強く押圧しないようくぼんでいる。
【0029】
図8は、合わせ耳締め装置15の動作説明図である。合わせ耳締め装置15の正面図で示している。アーム23が
図8の左側(A)で示す位置で耳締めを行ない、アーム23が
図8の右側(B)に示す位置で搬送方向前方の焼き皮34を吸引する。このように本体部28は、アームによって円弧運動を行なえる。
【0030】
図9は、合わせ耳締め装置15の動作説明図である。(A)は、本体部28が高さh1の定位置にあって、その下側に餡30を載せた焼き皮34が到着し、搬送方向前方には、焼き面を上に向けた焼き皮34があるとする。(B)は、吸引行程で、本体部28が円弧運動して前方の焼き皮34の上に移動し、焼き皮34を吸引する。(C)は、合わせ行程で、本体部28が円弧運動して戻り、餡30を載せた焼き皮34の上側、高さh2の位置に停止する。(D)は、耳締め行程で、下型46がロープコンベヤ43の間を抜けて上昇し、焼き皮34、34を挟み込んで押圧する。耳締め工程では、エアーによる焼き皮の吸引は停止している。(E)は、解放行程で、下型46がロープコンベヤ43の下側に下降し、焼き菓子(サンウィッチパンケーキ)は、ロープコンベヤ43より高い位置にあるので、上型45から引き離し棒29が下方向に突き出て、ロープコンベヤ43上に落とされる。なお、引き離し棒29の突き出し動作は、本体部28に設けられた4基のエアーシリンダで行なっている。ロープコンベヤ43に載った焼き菓子(サンドウィッチパンケーキ)は、包装のため次のコンベヤに送り出される。このようにして、工程(A)〜(E)を繰り返す。
【0031】
図10は、サンドウィッチパンケーキ製造装置100の焼き皮の流れを示す説明図で、(A)は従来の例、(B)は本発明の例である。正反転切り替え装置9で、焼き皮の正転と反転を列に対して交互に行なうようにしたので、
図10(A)のように列の個数を減じる従来の場合に比較して、大幅な生産能力の向上が期待できる。