(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
耐衝撃性コポリマーが40質量%から95質量%までのプロピレンホモポリマー成分及び5質量%から60質量%までのコポリマー成分を含む、請求項1から2のいずれか1項記載の繊維。
弾性層及び少なくとも一つの表層を含む不織ラミネートであって、表層が請求項8から9のいずれか1項記載の不織組成物を含み、かつ、表層がスリップ添加剤を含む1質量%から5質量%までのマスターバッチを更に含む、前記不織ラミネート。
【発明を実施するための形態】
【0006】
少なくとも一種のプロピレンをベースとするエラストマー及び広い分子量のポリプロピレン又は広い分子量の耐衝撃性コポリマーのブレンドを含む繊維、不織布、及びその他の不織物品だけでなく、これらの製造方法が本明細書に提供される。
本明細書に使用される“コポリマー”という用語は必要により、その他のモノマーとともに、2種以上のモノマーを有するポリマーを含むことを意味され、インターポリマー、ターポリマー等を表し得る。本明細書に使用される“ポリマー”という用語はホモポリマー、コポリマー、ターポリマー等、並びにこれらのアロイ及びブレンドを含むが、これらに限定されない。本明細書に使用される“ポリマー”という用語はまた耐衝撃性コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー、及び交互コポリマーを含む。“ポリマー”という用語は特に明記されない限り、全ての可能な幾何配置を更に含むべきである。このような配置はアイソタクチック、シンジオタクチック及びランダムシンメトリーを含んでもよい。本明細書に使用される“ブレンド”という用語は2種以上のポリマーの混合物を表す。“エラストマー”という用語は或る程度の弾性を示すあらゆるポリマーを意味すべきであり、この場合、弾性は力により(例えば、延伸により)変形された材料が、力が一旦除去されると、その初期の寸法に少なくとも一部戻る能力である。
【0007】
本明細書に使用される“モノマー”又は“コモノマー”という用語は、ポリマーを生成するのに使用されるモノマー、即ち、重合前の形態の未反応の化学化合物を表すことができ、またそれがポリマーに組み込まれた後のモノマー(また、本明細書中“[モノマー]誘導単位”と称される)を表すことができる。プロピレンモノマー、エチレンモノマー、及びジエンモノマーを含む、異なるモノマーが本明細書に説明される。
本明細書に使用される“ポリプロピレン”は、プロピレンのホモポリマー及びコポリマー又はこれらの混合物を含む。一種以上の付加的なモノマーと重合された1個以上のプロピレンモノマーを含む生成物がランダムコポリマー(RCP)又は耐衝撃性コポリマー(ICP)として普通に知られているかもしれない。耐衝撃性コポリマーはまたヘテロ相コポリマーとして当業界で知られているかもしれない。本明細書に使用される“プロピレンをベースとする”は、プロピレンを単独で、又は一種以上のコモノマーと組み合わせて含むあらゆるポリマーを含むことを意味され、この場合、プロピレンが主成分(すなわち、50質量%より大きいプロピレン)である。
【0008】
本明細書に使用される“反応器等級”は、ポリマーの平均分子量、分子量分布、又は粘度を変えるために重合後に化学的又は機械的に処理又はブレンドされなかったポリマーを意味する。ビスブレーキングされ、又はそれ以外に過酸化物又はその他の分解促進剤で処理もしくは被覆されたものは反応器等級と記載されるこれらのポリマーから特別に除かれる。しかしながら、この開示の目的のために、反応器等級ポリマーは反応器ブレンドであるこれらのポリマーを含む。
本明細書に使用される“反応器ブレンド”は、現場で生成された2種以上のポリマーの高度に分散され、かつ機械で分離できないブレンドを意味する。例えば、反応器ブレンドポリマーは第一のポリマー成分が第一の反応器中で生成され、かつ第二のポリマー成分が第一のポリマー成分の存在下で第二の反応器中で生成される逐次(又は直列の)重合方法の結果であってもよい。また、反応器ブレンドポリマーは別々の平行反応器中でつくられたポリマー成分を含む重合流出物が最終ポリマー生成物を生成するためにブレンドされた溶液である平行重合方法の結果であってもよい。反応器ブレンドは単一反応器、一連の反応器、又は平行反応器中で生成されてもよく、反応器等級のブレンドである。反応器ブレンドはバッチシステム、半連続システム、又は連続システムを含む、あらゆる重合方法により生成されてもよい。ポリマーが製造施設内で、例えば、ミキサー、押出機、又はその他の同様の装置中の物理的ブレンド又は機械的ブレンドによりブレンドされる2種以上のポリマーのブレンドを含むポリマーが“反応器ブレンド”から特別に除かれる。
【0009】
本明細書に使用される“ビスブレーキング”は、ポリマーを鎖分断にかけることによりポリマーの分子量を低下するための方法である。ビスブレーキング方法はまたポリマーのMFRを増大し、その分子量分布を狭め得る。いくつかの異なる型の化学反応がプロピレンをベースとするポリマーをビスブレーキングするのに使用し得る。例は熱分解であり、これはポリマーを、例えば、押出機中で高温、例えば、270 ℃以上に暴露することにより達成される。その他のアプローチは強力な酸化剤への暴露及びイオン化放射線への暴露である。商業上の慣例におけるビスブレーキングの最も普通に使用される方法はポリマーへの分解促進剤の添加である。分解促進剤はポリマーと混合される時に鎖分断を促進する物質であり、次いでこれが押出条件下で加熱される。商業上の慣例で使用される分解促進剤の例はアルキルヒドロペルオキシド及びジアルキルペルオキシドである。これらの物質は、上昇された温度で、遊離基連鎖反応を開始し、ポリプロピレン分子の分断をもたらす。“分解促進剤”及び“ビスブレーキング剤”という用語は本明細書中で互換可能に使用される。ビスブレーキング方法により鎖分断を受けたポリマーが本明細書中で“ビスブレーキングされた”と言われる。このようなビスブレーキングされたポリマー等級、特にポリプロピレン等級が、その工業で“制御レオロジー”等級又は“CR”等級としばしば称される。
本明細書に使用される“触媒系”は、一種以上の触媒と一種以上の活性剤及び、必要により、一種以上の担体組成物の組み合わせを意味する。“活性剤”はモノマーをポリマーに重合する一種以上の触媒の能力を高めることができるあらゆる化合物もしくは成分、又は化合物もしくは成分の組み合わせである。
本明細書に使用される“不織布”はインターレイされるが、メリヤス生地中のように同定できる様式ではない個々の繊維又はフィラメントのウェブ構造を意味する。
【0010】
広い分子量のポリプロピレン
或る実施態様において、ポリマーブレンドが広い分子量分布のポリプロピレン(“BMWDPP”)を含んでもよい。BMWDPPがプロピレンホモポリマー、好ましくはアイソタクチックプロピレンホモポリマーであることが好ましいが、或る実施態様において、少量のコモノマーが特別な性質を得るために使用されてもよい。典型的には、このようなコポリマーが10質量%未満、又は6質量%未満、又は4質量%未満、又は2質量%未満、又は1質量%未満のコモノマー、例えば、エチレン、ブテン、ヘキセン又はオクテンを含む。或る実施態様において、BMWDPPが実質的にプロピレン誘導単位からなり、プロピレン供給原料流中の不純物のために存在し得る以外はコモノマーを含まない。或る実施態様において、BMWDPPがプロピレン誘導単位のみからなる。
【0011】
BMWDPPは4.5 より大きく、又は5.0 より大きく、又は5.5 より大きく、又は6.0 より大きい広い分子量分布、Mw/Mn(“MWD”)を有する。BMWDPPが15.0未満、又は14.0未満、又は13.0未満、又は12.0未満、又は11.0未満、又は10.0未満、又は9.5 未満、又は9.0 未満のMWDを有することが好ましい。或る実施態様において、BMWDPPが4.5 から15.0までの範囲、又は4.5 から12.0までの範囲、又は5.0 から10.0までの範囲、又は6.0 から9.0 までの範囲のMWDを有する。或る実施態様において、これらの分子量分布がビスブレーキングの不在下で過酸化物又は分離量を低下するのに設計されるその他の反応器後の処理を使用して得られる。
或る実施態様において、BMWDPPが2.5 以上、又は2.6 以上、又は2.7 以上、又は2.8 以上、又は2.9 以上、又は3.0 以上、又は3.1 以上、又は3.2 以上のMz/Mw比を有してもよい。BMWDPPが7.0 以下、又は6.5 以下、又は6.0 以下、又は5.5 以下、又は5.0 以下のMz/Mw比を有してもよい。
本明細書に使用されるMWDは当業界で公知の方法に従って、例えば、示差屈折率(DRI)検出器及び光散乱フォトメーターの上のクロマチクスKMX-6 を備えたウォーターズ150 ゲル透過クロマトグラフィーによるGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)により測定される。そのシステムはショーデックス(昭和電工米国社)ポリスチレンゲルカラム802 、803 、804 、及び805 を使用して1,2,4-トリクロロベンゼンを移動相として用いて135 ℃で使用される。この技術が“ポリマー及び関連材料の液体クロマトグラフィー III”J.Cazes編集、Marcel Dekker, 1981, 207頁(これが参考として本明細書に含まれる)に説明されている。カラム広がりについての修正が使用されないが、一般に認められている標準物質に関するデータ、例えば、National Bureau of Standards Polyethylene 1484 及びアニオン生成された水素化ポリイソプレン(交互エチレン−プロピレンコポリマー)はMWDについてのこのような修正が0.05単位未満であることを実証している。Mw、Mn、及びMzは溶離時間から計算される。数的分析は標準ゲル透過パッケージと連係して市販のベックマン/CISカスタマイズド低角レーザー光散乱(“LALLS ”)ソフトウェアを使用して行なわれる。Mw/Mn への言及はMwがLALLS 検出器を使用して報告された値であり、かつMnが上記DRI検出器を使用して報告された値であることを示す。
【0012】
BMWDPPが400,000 未満、又は350,000 未満、又は300,000 未満、又は275,000 未満、又は250,000 未満の重量平均分子量(GPCにより測定された、Mw)を有してもよい。
BMWDPPが少なくとも135 ℃、又は少なくとも150 ℃、又は少なくとも155 ℃、又は少なくとも160 ℃の融点(Tm)を有してもよい。融点は以下に更に詳しく記載される示差走査熱量計により測定されてもよい。
BMWDPPの溶融流量(“MFR”)が約10g/10分から約500g/10分まで、又は約12g/10分から約200g/10分まで、又は約15g/10分から約175g/10分まで、又は約20g/10分から約160g/10分まで、又は約25g/10分から約150g/10分まで、又は約30g/10分から約100g/10分までの範囲であってもよい。MFRはASTM-1238 により測定されてもよい(2.16kgの負荷及び230 ℃で測定して)。
種々の添加剤が種々の目的のためにBMWDPPに混入されてもよい。例えば、このような添加剤として、安定剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、成核剤、及び離型剤が挙げられるが、これらに限定されない。一次及び二次の酸化防止剤として、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、及びホスフェートが挙げられる。成核剤として、例えば、安息香酸ナトリウム及びタルクが挙げられる。分散剤、例えば、アクロワックスCがまた含まれてもよい。スリップ剤として、例えば、オレアミド及びエルカミドが挙げられる。触媒失活剤、例えば、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト、及び酸化カルシウムがまた普通に使用される。
【0013】
本発明における使用に適したBMWDPPは通常の重合技術により調製されてもよい。例えば、BMWDPPが液体スラリー重合方法又は溶液重合方法を使用して生成されてもよい。一つ以上の実施態様において、水素がBMWDPPの分子量及び/又はMFRを調節するために反応器に添加されてもよい。この目的のための水素の使用は当業者に公知である。
或る実施態様において、BMWDPPが電子ドナーのブレンドとともにチーグラー−ナッタ触媒系を使用して調製される。例えば、BMWDPPがスクシネートチーグラー−ナッタ型触媒系を使用して調製されてもよい。
その他の実施態様において、メタロセンをベースとする触媒系がまたBMWDPPを生成するのに使用されてもよい。好適なメタロセンは橋かけされた、置換されたビス(シクロペンタジエニル)メタロセン、特に高分子量、高融点、高度にアイソタクチックのプロピレンポリマーを生成することが知られている橋かけされた、置換されたビス(インデニル)メタロセンの一般クラス中のものを含んでもよい。一般に言えば、米国特許第5,770,753 号に開示された一般クラスのものが好適である。
上記されたBMWDPPは以下に記載されるように一種以上のプロピレンをベースとするエラストマー(PBE)とブレンドされる場合に繊維、不織布、及び多層ラミネートを製造するのに特に有益であることがわかった。
【0014】
耐衝撃性コポリマー
本明細書に記載された繊維及び布をつくるのに有益な耐衝撃性コポリマー(“ICP”)は少なくとも2種の主成分、成分A及び成分Bを含む。成分Aはプロピレンホモポリマーであることが好ましく、また成分Bはプロピレンとコモノマーを含むコポリマーであることが好ましい。
好ましい実施態様において、成分Aがプロピレンホモポリマー、好ましくはアイソタクチックプロピレンホモポリマーであるが、少量のコモノマーが特別な性質を得るために使用されてもよい。典型的には、このようなコポリマーが10質量%未満、又は6質量%未満、又は4質量%未満、又は2質量%未満、又は1質量%未満のコモノマー、例えば、エチレン、ブテン、ヘキセン、又はオクテンを含む。好ましくは、成分Aのポリマー成分が実質的にプロピレン誘導単位からなり、プロピレン供給原料流中の不純物のために存在し得る以外はコモノマーを含まない。或る実施態様において、成分Aがプロピレン誘導単位のみからなる。
成分Aは4.5 より大きく、又は5.0 より大きく、又は5.5 より大きく、又は6.0 より大きい広い分子量分布、Mw/Mn (“MWD”)を有する。好ましくは、成分Aが15.0未満、又は14.0未満、又は13.0未満、又は12.0未満、又は11.0未満、又は10.0未満、又は9.5 未満、又は9.9 未満のMWDを有する。或る実施態様において、成分Aが4.5 から15.0までの範囲、又は4.5 から12.0までの範囲、又は5.0 から10.0までの範囲、又は6.0 から9.0 までの範囲のMWDを有する。或る実施態様において、これらの分子量分布がビスブレーキング剤の不在下で過酸化物又は分子量を低下するために設計されたその他の後反応器処理を使用して得られる。
或る実施態様において、成分Aが2.5 以上、又は2.6 以上、又は2.7 以上、又は2.8 以上、又は2.9 以上、又は3.0 以上、又は3.1 以上、又は3.2 以上のMz/Mw 比を有してもよい。成分Aが7.0 以下、又は6.5 以下、又は6.0 以下、又は5.5 以下、又は5.0 以下のMz/Mw 比を有してもよい。
成分Aが400,000 未満、又は350,000 未満、又は300,000 未満、又は275,000 未満、又は250,000 未満の重量平均分子量(GPCにより測定される、Mw)を有してもよい。
成分Aが少なくとも150 ℃、好ましくは少なくとも155 ℃、最も好ましくは少なくとも160 ℃の融点(Tm)を有してもよい。融点はポリマー5-7 mgのサンプル質量を取り、ポリマーを200 ℃で1分間にわたって完全に融解し、次いで10℃/分で冷却し、結晶化温度を記録し、続いて第二の加熱サイクル下で吸熱融解することにより示差走査熱量計(DSC)により測定されてもよい。
【0015】
成分Aの溶融流量(“MFR”)は約10g/10分から約500g/10分まで、又は約12g/10分から約200g/10分まで、又は約15g/10分から約175g/10分まで、又は約20g/10分から約160g/10分まで、又は約14g/10分から約150g/10分まで、又は約30g/10分から約100g/10分までの範囲であってもよい。MFRはASTM-1238 により測定されてもよい(2.16kgの負荷及び230 ℃で測定して)。
好ましい実施態様において、成分Bがプロピレン誘導単位及びコモノマー誘導単位を含むコポリマーである。コモノマーがエチレンであることが好ましいが、その他のプロピレンコポリマー又はターポリマーが所望される特別な製品の性質に応じて適しているかもしれない。例えば、プロピレン/ブテン、ヘキセン、又はオクテンコポリマーが使用されてもよい。
成分Bが少なくとも30質量%のプロピレン、又は少なくとも35質量%のプロピレン、又は少なくとも40質量%のプロピレン、又は少なくとも45質量%のプロピレン、又は少なくとも50質量%のプロピレン、又は少なくとも60質量%のプロピレンを含むことが好ましい。成分Bが90質量%未満のプロピレン、又は85質量%のプロピレン、又は80質量%未満のプロピレン、又は75質量%未満のプロピレン、又は70質量%未満のプロピレン、又は65質量%未満のプロピレンを含んでもよい。或る実施態様において、成分Bが約30質量%から約80質量%までのプロピレン、又は約35質量%から約70質量%までのプロピレン、又は約40質量%から約65質量%までのプロピレンを含む。
【0016】
成分Bが少なくとも20質量%のコモノマー、又は少なくとも25質量%のコモノマー、又は少なくとも30質量%のコモノマー、又は少なくとも35質量%のコモノマー、又は少なくとも40質量%のコモノマー、又は少なくとも45質量%のコモノマーを含むことが好ましい。成分Bが85質量%未満のコモノマー、又は80質量%未満のコモノマー、又は75質量%未満のコモノマー、又は70質量%未満のコモノマー、又は65質量%未満のコモノマー、又は60質量%未満のコモノマー、又は55質量%未満のコモノマーを含んでもよい。或る実施態様において、成分Bが約20質量%から約80質量%までのコモノマー、又は約25質量%から約75質量%までのコモノマー、又は約30質量%から約70質量%までのコモノマー、又は約35質量%から約65質量%までのコモノマー、又は40質量%から60質量%までのコモノマー、又は45質量%から55質量%までのコモノマーを含む。或る実施態様において、成分Bが実質的に上記された量のプロピレン誘導単位及びエチレン誘導単位からなってもよく、又はこれらのみからなってもよい。
一つ以上の実施態様において、成分Bが1.00dl/gより大きく、又は1.50dl/gより大きく、又は1.75dl/gより大きい固有粘度を有してもよい。成分Bが5.00dl/g未満、又は4.00dl/g未満、又は3.50dl/g未満の固有粘度を有してもよい。“固有粘度”又は“IV”という用語はポリマー組成物が無限希釈にある時に、所定の温度で所定の溶媒中の成分Bの如きポリマーの溶液の粘度を意味するために本明細書で使用される。ASTM D1601 規格によれば、IV測定が通常のキャピラリー粘度測定装置を利用し、その中で所定温度で溶媒中のポリマーの一連の濃度の粘度が測定される。成分Bにつき、デカリンが好適な溶媒であり、典型的な温度が135 ℃である。変化する濃度の溶液の粘度の値から、無限希釈での粘度が外挿により測定し得る。
ICPは約40質量%から約95質量%までの成分A及び約5質量%から約60質量%までの成分B、又は約50質量%から約90質量%までの成分A及び約10質量%から約50質量%までの成分B、又は約60質量%から約90質量%までの成分A及び約10質量%から約40質量%までの成分B、又は約70質量%から約85質量%までの成分A及び約15質量%から約30質量%までの成分Bを含んでもよく、この場合、望ましい範囲は上記下限のいずれかからいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。或る実施態様において、ICPが実質的に成分A及びBからなってもよい。
ICPの全コモノマー(例えば、エチレン)含量が約3質量%から約40質量%まで、又は約5質量%から約25質量%まで、又は約6質量%から約20質量%まで、又は約7質量%から約15質量%までの範囲であってもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。
【0017】
本明細書の使用に適したICPの溶融流量(“MFR”)は約5g/10分から約1000g/10分まで、又は約10g/10分から約750g/10分まで、又は約15g/10分から約500g/10分まで、又は約20g/10分から約250g/10分まで、又は約25g/10分から約100g/10分まで、又は約30g/10分から60g/10分までの範囲であってもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。MFRがASTM-1238 により2.16kgの負荷及び230 ℃で測定されてもよい。
本発明のポリマーブレンド中の使用に適したICPは、或る実施態様において、反応器ブレンドであってもよく、成分A及びBが重合後に一緒に物理的又は機械的にブレンドされないが、少なくとも一つの反応器、しばしば直列の二つ以上の反応器中で共重合されることを意味する。しかしながら、一つ以上の反応器から得られる最終ICPはその他のポリマー又は添加剤を含む種々のその他の成分とブレンドし得る。しかしながら、その他の実施態様において、本明細書に記載されたICPは成分A及びBを別々の反応器中で生成し、それらがそれらのそれぞれの反応器から一旦出ると、成分を物理的にブレンドすることにより生成されてもよい。
本明細書中の一つ以上の実施態様において、ICPが“ヘテロ相”と記載されてもよい。本明細書に使用されるヘテロ相はポリマーが二つ以上の相を有することを意味する。普通、ヘテロ相ICPは一つの相中のマトリックス成分及びそのマトリックス内に分散された第二のゴム成分相を含む。本明細書中の一つ以上の実施態様において、ICPがプロピレンホモポリマー(成分A)を含むマトリックス相及びプロピレン−エチレンコポリマー(成分B)を含む分散相を含む。コポリマー成分(成分B)はゴムの特性を有し、耐衝撃性を与え、一方マトリックス成分(成分A)は全剛性を与える。
種々の添加剤が種々の目的のためにICPに混入されてもよい。例えば、このような添加剤として、安定剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、成核剤、及び離型剤が挙げられるが、これらに限定されない。一次及び二次の酸化防止剤として、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、及びホスフェートが挙げられる。成核剤として、例えば、安息香酸ナトリウム及びタルクが挙げられる。分散剤、例えば、アクロワックスCがまた含まれてもよい。スリップ剤として、例えば、オレアミド及びエルカミドが挙げられる。触媒失活剤、例えば、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト、及び酸化カルシウムがまた普通に使用される。
【0018】
本発明における使用に適したICP組成物は通常の重合技術により調製されてもよい。例えば、ICPがチーグラー−ナッタ触媒作用を使用する2工程気相方法を使用して生成されてもよく、その例が米国特許第4,379,759 号に記載されている。本発明における使用のためのICPはまた直列に運転される反応器中で生成されてもよい。このような直列の運転において、最初の重合(成分Aの重合)が液体スラリー又は溶液重合方法であってもよく、また第二の重合(成分Bの重合)が気相中で行なわれてもよい。一つ以上の実施態様において、水素が分子量、IV、及び/又はMFRを調節するために一つ又は両方の反応器に添加されてもよい。このような目的のための水素の使用は当業者に公知である。
或る実施態様において、ICPが米国特許第6,087,459 号又は米国特許出願公開第2010/0105848 号に記載されたように電子ドナーのブレンドとともにチーグラー−ナッタ触媒系を使用して調製される。或る実施態様において、ICPがスクシネートチーグラー−ナッタ型触媒系を使用して調製されてもよい。
メタロセンをベースとする触媒系がまた本明細書に記載されたICP組成物を生成するのに使用されてもよい。現在の特に好適なメタロセンは橋かけされた、置換されたビス(シクロペンタジエニル)メタロセン、特に高分子量、高融点、高度にアイソタクチックのプロピレンポリマーを生成することが知られている橋かけされた、置換されたビス(インデニル)メタロセンの一般クラス中のものである。一般に言えば、米国特許第5,770,753 号に開示された一般クラスのものが好適である。
上記されたICPは以下に記載されるように一種以上のプロピレンをベースとするエラストマー(PBE)とブレンドされる場合に繊維、不織布、及び多層ラミネートを製造するのに特に有益であることがわかった。
【0019】
プロピレンをベースとするエラストマー
本明細書に記載された繊維及び布を形成するのに使用されるポリマーブレンドは一種以上のプロピレンをベースとするエラストマー(“PBE”)を含む。PBEはプロピレン及び約5質量%から約25質量%までのエチレン及び/又はC
4-C
12α−オレフィンから選ばれた一種以上のコモノマーを含む。α−オレフィンコモノマー単位はエチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、オクテン、又はデセンから誘導されてもよい。好ましい実施態様において、α−オレフィンがエチレンである。或る実施態様において、プロピレンをベースとするポリマー組成物が実質的にプロピレン及びエチレンからなり、又はプロピレン及びエチレンのみからなる。以下に記載される実施態様はα−オレフィンコモノマーとしてのエチレンに言及して説明されるが、実施態様はその他のα−オレフィンコモノマーとのその他のコポリマーに同等に適用し得る。これに関して、コポリマーがα−オレフィンとしてのエチレンに言及してプロピレンをベースとするポリマーと単に称されてもよい。
PBEは少なくとも約5質量%、少なくとも約6質量%、少なくとも約7質量%、又は少なくとも約8質量%、又は少なくとも約9質量%、又は少なくとも約10質量%、又は少なくとも約12質量%のエチレン誘導単位を含んでもよく、この場合、質量%はプロピレン誘導単位及びエチレン誘導単位の合計質量を基準とする。PBEは約30質量%まで、又は約25質量%まで、又は約22質量%まで、又は約20質量%まで、又は約19質量%まで、又は約18質量%まで、又は約17質量%までのエチレン誘導単位を含んでもよく、この場合、質量%がプロピレン誘導単位及びエチレン誘導単位の合計質量を基準とする。或る実施態様において、PBEが約5質量%から約25質量%までのエチレン誘導単位、又は約7質量%から約20質量%までのエチレン、又は約9質量%から約18質量%までのエチレン誘導単位を含んでもよく、この場合、質量%がプロピレン誘導単位及びエチレン誘導単位の合計質量を基準とする。
PBEが少なくとも約70質量%、又は少なくとも約75質量%、又は少なくとも約80質量%、又は少なくとも約81質量%のプロピレン誘導単位、又は少なくとも約82質量%、又は少なくとも約83質量%のプロピレン誘導単位含んでもよく、この場合、質量%がプロピレン誘導単位及びα−オレフィン誘導単位の合計質量を基準とする。PBEが約95質量%まで、又は約94質量%まで、又は約93質量%まで、又は約92質量%まで、又は約90質量%まで、又は約88質量%までのプロピレン誘導単位を含んでもよく、この場合、質量%がプロピレン誘導単位及びα−オレフィン誘導単位の合計質量を基準とする。
【0020】
一つ以上の実施態様のPBEは融点(Tm)により特徴づけられ、これは示差走査熱量計(DSC)により測定し得る。本明細書の目的のために、最高温度ピークの最大がポリマーの融点であると考えられる。この文脈における“ピーク”は基準線中にシフトを生じないで最大を形成する、正から負へのDSC曲線(熱流対温度)の一般傾斜の変化と定義され、この場合、吸熱反応が正のピークで示されるようにDSC曲線がプロットされる。PBEのTm(DSCにより測定される)は約115 ℃未満、又は約110 ℃未満、又は約100 ℃未満、又は約95℃未満、又は約90℃未満であってもよい。或る実施態様において、PBEがDSCにより測定して二つの融解ピークを有してもよい。その他の実施態様において、PBEがDSCにより測定して単一融解ピークを有してもよい。
PBEはDSCにより測定されるようなその融解熱(Hf)により特徴づけられてもよい。PBEは少なくとも約0.5J/g、又は少なくとも約1.0J/g、又は少なくとも約1.5J/g、又は少なくとも約3.0J/g、又は少なくとも約4.0J/g、又は少なくとも約5.0J/g、又は少なくとも約6.0J/g、又は少なくとも約7.0J/gであるHfを有してもよい。PBEが約75J/g未満、又は約70J/g未満、又は約60J/g未満、又は約50J/g未満、又は約45J/g未満、又は約40J/g未満、又は約35J/g未満、又は約30J/g未満、又は25J/g未満のHfにより特徴づけられてもよい。
【0021】
この明細書中に使用される、Tm及びHfを測定するためのDSC操作は下記のことを含む。ポリマーが加熱プレス中で約200 ℃から約230 ℃までの温度でプレスされ、得られるポリマーシートが空気中で、周囲条件下で、吊るされて冷却する。ポリマーシート約6〜10mgがパンチダイで除去される。このサンプル6〜10mgが約80〜100 時間にわたって室温でアニールされる。この期間の終了時に、サンプルがDSC(パーキン・エルマー・ピリス・ワン・サーマル・アナリシス・システム)に入れられ、約-30 ℃〜約-50 ℃に冷却され、その温度で10分間保持される。サンプルが10℃/分で加熱されて約200 ℃の最終温度に達する。サンプルが5分間にわたって200 ℃に保たれる。次いで第二の冷却−加熱サイクルが行なわれる。両方のサイクルからのイベントが記録される。熱アウトプットがサンプルの融解ピークの下の面積として記録され、これが典型的には約0℃〜約200 ℃で起こる。それがジュールで測定され、ポリマーのHfの目安である。
PBEは13C NMR により測定して75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、92%以上、95%以上、又は97%以上の、3プロピレン単位のトリアドタクシチティ(mmmタクシチティ)を有し得る。一つ以上の実施態様において、トリアドタクシチティが約75%から約99%まで、又は約80%から約99%まで、又は約85%から約99%まで、又は約90%から約99%まで、又は約90%から約97%まで、又は約80%から約97%までの範囲であってもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。トリアドタクシチティは米国特許第7,232,871 号に記載された方法により測定される。
PBEが4又は6の下限から8又は10又は12の上限までの範囲のタクシチティインデックスm/rを有してもよい。本明細書で“m/r”として表される、タクシチティインデックスは
13C核磁気共鳴(“NMR”)により測定される。タクシチティインデックス、m/rは、本明細書に参考として含まれる、H.N.cheng著MACROMOLECULES、17巻、1950-1955 頁(1984年)に定義されたように計算される。表示“m”又は“r”は連続プロピレン基の対の立体化学を記載し、“m”はメソを表し、また“r”はラセミを表す。1.0 のm/r比は一般にシンジオタクチックポリマーを記載し、また2.0 のm/r比はアタクチック物質を記載する。アイソタクチック物質は理論的には無限に近づく比を有してもよく、多くの副生物のアタクチックポリマーは50より大きい比をもたらすのに充分なアイソタクチック含量を有する。
【0022】
PBEはDSC操作に従って測定して、約0.5 %から約40%まで、又は約1%から約30%まで、又は約5%から約25%までの結晶度(%)を有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。結晶度はサンプルのHfを100 %の結晶性のポリマーのHf(これはアイソタクチックポリプロピレンについて189J/gであり、又はポリエチレンについて350J/gであると推定される)により割ることにより求められてもよい。
PBEはASTM D-792 試験方法により測定して、室温で約0.85g/cm
3から約0.92g/cm
3まで、又は約0.86g/cm
3から約0.90g/cm
3まで、又は約0.86g/cm
3から約0.89g/cm
3までの密度を有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。
PBEは約100g/10分以下、又は約50g/10分以下、又は約25g/10分以下、又は約10g/10分以下、又は約0.9g/10分以下、又は約8.0g/10分以下、又は約7.0g/10分以下のメルトインデックス(MI)(ASTM D1238、190℃で2.16kg)を有し得る。
PBEはASTM D1238(230℃で2.16kgの荷重)に従って測定して、約1g/10分より大きく、又は約2g/10分より大きく、又は約5g/10分より大きく、又は約8g/10分より大きく、又は約10g/10分より大きい溶融流量(MFR)を有してもよい。PBEは約500g/10分未満、又は約400g/10分未満、又は約300g/10分未満、又は約200g/10分未満、又は約100g/10分未満、又は約75g/10分未満、又は約50g/10分未満のMFRを有してもよい。或る実施態様において、PBEは約1g/10分から約100g/10分まで、又は約2g/10分から約75g/10分まで、又は約5g/10分から約50g/10分までのMFRを有してもよい。
或る実施態様において、PBEが先に定義された反応器等級のポリマーであってもよい。その他の実施態様において、PBEが反応器を出た後にビスブレーキングされてMFRを増大したポリマーであってもよい。本明細書に使用される“ビスブレーキング”はポリマーを鎖分断にかけることによりポリマーの分子量を低下するための方法である。ビスブレーキング方法はまたポリマーのMFRを増大し、その分子量分布を狭め得る。
PBEは0.95以上、又は少なくとも0.97、又は少なくとも0.99のg’インデックス値を有してもよく、この場合、g’はアイソタクチックポリプロピレンの固有粘度を基準線として使用してポリマーのMwで測定される。本明細書中の使用につき、g’は以下のように定義される。
【0023】
【数1】
式中、ηbはポリマーの固有粘度であり、かつηlはそのポリマーと同じ粘度平均分子量(Mv)の線状ポリマーの固有粘度である。ηl=KMvα。K及びαは線状ポリマーについて測定された値であり、g’インデックス測定について使用されたのと同じ装置で得られるべきである。
【0024】
PBEは約50,000g/モルから約5,000,000g/モルまで、又は約75,000g/モルから約1,000,000g/モルまで、又は約100,000g/モルから約500,000g/モルまで、又は約125,000g/モルから約300,000g/モルまでの重量平均分子量(Mw)を有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。
PBEは約2,500g/モルから約2,500,000g/モルまで、又は約5,000g/モルから約500,000g/モルまで、又は約10,000g/モルから約250,000g/モルまで、又は約25,000g/モルから約200,000g/モルまでの数平均分子量(Mn)を有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。
PBEは約10,000g/モルから約7,000,000g/モルまで、又は約50,000g/モルから約1,000,000g/モルまで、又は約80,000g/モルから約700,000g/モルまで、又は約100,000g/モルから約500,000g/モルまでのZ平均分子量(Mz)を有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。
PBEの分子量分布(Mw/Mn に等しい、MWD)は約1から約40まで、又は約1から約15まで、又は約1.8 から約5まで、又は約1.8 から約3までであってもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。
【0025】
必要により、プロピレンをベースとするポリマー組成物はまた一種以上のジエンを含んでもよい。“ジエン”という用語は二つの不飽和部位を有する炭化水素化合物、即ち、炭素原子を連結する二つの二重結合を有する化合物と定義される。状況に応じて、本明細書に使用される“ジエン”という用語は、例えば、重合媒体の一部を形成する、重合前のジエンモノマー、又は重合が始まった後のジエンモノマー(また、ジエンモノマー単位又はジエン誘導単位と称される)を広く表す。例示のジエンとして、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば、1,4-ヘキサジエン)、ヘプタジエン(例えば、1,6-ヘプタジエン)、オクタジエン[例えば、1,6-オクタジエン、又は1,7-オクタジエン]、ノナジエン(例えば、1,8-ノナジエン)、デカジエン(例えば、1,9-デカジエン)、ウンデカジエン(例えば、1,10-ウンデカジエン)、ドデカジエン(例えば、1,11-ドデカジエン)、トリデカジエン(例えば、1,12-トリデカジエン)、テトラデカジエン(例えば、1,13-テトラデカジエン)、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘネイコサジエン、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリアコンタジエン、及び1000g/モル未満の分子量(Mw)を有するポリブタジエンが挙げられるが、これらに限定されない。分枝鎖非環式ジエンの例として、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、及び3,7-ジメチル-1,7-オクタジエンが挙げられるが、これらに限定されない。単環脂環式ジエンの例として、1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、及び1,7-シクロドデカジエンが挙げられるが、これらに限定されない。多環脂環式融合環ジエン及び橋かけ環ジエンの例として、テトラヒドロインデン、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ(2.2.1)ヘプタ-2,5-ジエン、並びにアルケニル−、アルキリデン−、シクロアルケニル−、及びシクロアルキリデンノルボルネン[例えば、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネン、及び5-ビニル-2-ノルボルネンを含む]が挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルケニル置換アルケンの例として、ビニルシクロヘキセン、アリルシクロヘキセン、ビニルシクロオクテン、4-ビニルシクロヘキセン、アリルシクロデセン、ビニルシクロドデセン、及びテトラシクロドデカジエンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の或る実施態様において、ジエンが5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、1,4-ヘキサジエン、5-メチレン-2-ノルボルネン(MNB)、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、1,3-シクロペンタジエン、1,4-シクロヘキサジエン、ビニルノルボルネン(VNB)、ジシクロペンタジエン(DCPD)、及びこれらの組み合わせから選ばれる。プロピレンをベースとするポリマー組成物がジエンを含む実施態様において、ジエンが0.05質量%から約6質量%までのジエン誘導単位、又は約0.1質量%から約5.0 質量%までのジエン誘導単位、又は約0.25質量%から約3.0 質量%までのジエン誘導単位、又は約0.5 質量%から約1.5 質量%までのジエン誘導単位で存在してもよく、この場合、質量%はプロピレン誘導単位、アルファ−オレフィン誘導単位、及びジエン誘導単位の合計質量を基準とする。
【0026】
一つ以上の実施態様において、PBEは必要により一種以上のグラフトモノマーを使用してグラフト(即ち、“官能化”)し得る。本明細書に使用される“グラフト”という用語はPBEのポリマー鎖へのグラフトモノマーの共有結合を表す。グラフトモノマーは少なくとも一種のエチレン性不飽和カルボン酸又は酸誘導体、例えば、酸無水物、エステル、塩、アミド、イミド、アクリレート等であってもよく、又はこれらを含む。例示のモノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、無水マレイン酸、4-メチルシクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、ビシクロ(2.2.2)オクテン-2,3-ジカルボン酸無水物、1,2,3,4,5,8,9,10-オクタヒドロナフタレン-2,3-ジカルボン酸無水物、2-オキサ-1,3-ジケトスピロ(4.4)ノネン、ビシクロ(2.2.1)ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、マレオピマル酸、無水テトラヒドロフタル酸、ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水ナド酸、無水メチルナド酸、無水ヒム酸、無水メチルヒム酸、及び5-メチルビシクロ(2.2.1)ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。その他の好適なグラフトモノマーとして、メチルアクリレート及び高級アルキルアクリレート、メチルメタクリレート及び高級アルキルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシ−メチルメタクリレート、ヒドロキシル−エチルメタクリレート及び高級ヒドロキシ−アルキルメタクリレート並びにグリシジルメタノールが挙げられる。無水マレイン酸が好ましいグラフトモノマーである。一つ以上の実施態様において、グラフトされたPBEは約0.5 質量%から約10質量%まで、更に好ましくは約0.5 質量%から約6質量%まで、更に好ましくは約0.5 質量%から約3質量%まで、その他の実施態様において、約1質量%から約6質量%まで、更に好ましくは約1質量%から約3質量%までのエチレン性不飽和カルボン酸又は酸誘導体を含む。グラフトモノマーが無水マレイン酸である好ましい実施態様において、グラフトされたポリマー中の無水マレイン酸濃度が約1質量%から約6質量%までの範囲、好ましくは少なくとも約0.5 質量%、高度に好ましくは約1.5 質量%である。
【0027】
或る実施態様において、PBEが第一ポリマー成分と第二ポリマー成分の反応器ブレンドである。こうして、PBEのコモノマー含量が第一ポリマー成分のコモノマー含量を調節し、第二ポリマー成分のコモノマー含量を調節し、かつ/又はプロピレンをベースとするポリマー組成物中に存在する第一ポリマー成分対第二ポリマー成分の比を調節することにより調節し得る。このような実施態様において、第一ポリマー成分がプロピレン及びエチレンを含んでもよく、10質量%より多いエチレン、又は12質量%より多いエチレン、又は13質量%より多いエチレン、又は14質量%より多いエチレン、又は15質量%より多いエチレンのエチレン含量、かつ20質量%未満のエチレン、又は19質量%未満のエチレン、又は18質量%未満のエチレン、又は17質量%未満のエチレン、又は16質量%未満のエチレンであるエチレン含量を有してもよく、この場合、質量%は第一ポリマー成分のプロピレン誘導単位及びエチレン誘導単位の合計質量を基準とする。このような実施態様において、第二ポリマー成分がプロピレン及びエチレンを含んでもよく、2質量%より多いエチレン、又は3質量%より多いエチレン、又は4質量%より多いエチレン、又は5質量%より多いエチレン、又は6質量%より多いエチレンのエチレン含量、かつ10質量%未満のエチレン、又は9.0 質量%未満のエチレン、又は8質量%未満のエチレン、又は7質量%未満のエチレン、又は6質量%未満のエチレン、又は5質量%未満のエチレンであるエチレン含量を有してもよく、この場合、質量%は第二ポリマー成分のプロピレン誘導単位及びエチレン誘導単位の合計質量を基準とする。このような実施態様において、PBEがPBEの質量を基準として、3-25質量%の第二ポリマー成分、又は5-20質量%の第二ポリマー成分、又は7-18質量%の第二ポリマー成分、又は10-15 質量%の第二ポリマー成分、及び75質量%から97質量%までの第一ポリマー成分、又は80質量%から95質量%までの第一ポリマー成分、又は82質量%から93質量%までの第一ポリマー成分、又は85質量%から90質量%までの第一ポリマー成分を含んでもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。
【0028】
プロピレンをベースとするエラストマーの調製
PBEの重合はモノマーを本明細書に記載された触媒系の存在下で0℃から200 ℃までの温度で1秒から10時間までの時間にわたって反応させることにより行なわれる。均一条件、例えば、連続溶液方法又は希釈剤として使用される過剰のモノマーによる塊状重合方法が使用されることが好ましい。連続方法は或る形態の撹拌を使用して反応器中の濃度差を減少し、定常状態の重合条件を維持してもよい。重合反応の熱が重合供給原料を冷却し、重合が重合まで加熱することにより除去されることが好ましいが、内部冷却システムが使用されてもよい。本明細書に記載されたPBEの調製に適した例示の方法の更なる記載が米国特許第6,881,800 号、同第7,803,876 号、同第8,013,069 号、及び同第8,026,323 号に見られるかもしれない。
PBEのトリアドタクシチティ及びタクシチティインデックスは触媒により調節されてもよく、それはプロピレン配置の立体規則性、重合温度に影響し、それに従って立体規則性が温度を上昇することにより、またコモノマーの型及び量により低下することができ、それが一層長いプロピレン誘導シーケンスのレベルを減少する傾向がある。
あまりにも多いコモノマーは立体規則性プロピレン誘導シーケンスの結晶化により得られる結晶度を材料が強度を欠く点まで低下することがあり、あまりにも少なすぎると材料があまりにも結晶性であり得る。ポリマーのコモノマー含量及びシーケンス分布は当業者に公知の方法により
13C核磁気共鳴(NMR)を使用して測定し得る。不連続の分子量範囲のコモノマー含量はWheeler及びWillis著Applied Spectroscopy, 1993, 47巻, 1128-1130ページに記載されたように、GPCによるサンプルと連係してフーリエ変換赤外分光法(FTIR)を含む、当業者に公知の方法を使用して測定し得る。75質量%より多いプロピレンを含むプロピレンエチレンコポリマーについて、このようなポリマーのコモノマー含量(エチレン含量)は以下のように測定し得る。薄い均一のフィルムが約150 ℃以上の温度でプレスされ、パーキン・エルマーPE1760赤外スペクトロフォトメーターに取り付けられる。600cm-1から4000cm-1までのサンプルの全スペクトルが記録され、エチレンのモノマー質量%が下記の式に従って計算し得る。エチレン質量%=82.585−111.98X+30.045X2 。式中、Xは1155cm-1におけるピーク高さと722cm-1又は732cm-1におけるピーク高さ(いずれか高い方)の比である。75質量%以下のプロピレン含量を有するプロピレンエチレンコポリマーについて、コモノマー(エチレン)含量はWheeler及びWillisに記載された操作に従って測定し得る。米国特許第6,525,157 号が参考にされ、その試験方法がまたこの明細書及び特許請求の範囲に言及される種々の測定に充分に適用可能であり、これはGPC測定、NMRによるエチレン含量の測定及びDSC測定についての多くの詳細を含む。
【0029】
触媒はまたコモノマーと組み合わせての立体規則性及び重合温度を調節し得る。本明細書に記載されたPBEは一種以上の触媒系を使用して調製される。本明細書に記載される“触媒系”は少なくとも遷移金属化合物(また触媒前駆体と称される)、及び活性剤を含む。遷移金属化合物(触媒前駆体)及び活性剤を開示された方法の重合反応器の上流で、又は重合反応器中で溶液中で接触させて触媒系の触媒活性成分(触媒)を生じる。このような触媒系は必要により不純物脱除剤を含んでもよい。
PBEを生成するのに使用される触媒系はメタロセン化合物を含んでもよい。或る実施態様において、メタロセン化合物が一般式(In
1)Y(In
2)MX
2を有する橋かけビスインデニルメタロセンであり、式中、In
1及びIn
2はMに結合され、かつYにより橋かけされた(好ましくは同じ)置換又は未置換インデニル基であり、YはIn
1 をIn
2 と連結する直接の鎖中の原子の数が1から8である橋かけ基であり、その直接の鎖はC又はSiを含み、かつMは3族、4族、5族、又は6族の遷移金属である。In
1 及びIn
2 は置換されていてもよく、又は置換されていなくてもよい。In
1 及びIn
2 が1個以上の置換基により置換されている場合、置換基がハロゲン原子、C
1-C
10アルキル、C
5-C
15アリール、C
6-C
25アルキルアリール、及びN又はP含有アルキルもしくはアリールからなる群から選ばれる。例示のメタロセン化合物として、μ−ジメチル−シリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル及びμ−ジメチル−シリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、そして特に(μ−ジメチル−シリル)ビス(2−メチル−4(3‘,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジメチル、(μ−ジメチル−シリル)ビス(2−メチル−4(3‘,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)インデニル)ハフニウムジメチル、(μ−ジメチル−シリル)ビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジメチル、(μ−ジメチル−シリル)ビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ハフニウムジメチル、(μ−ジメチル−シリル)ビス(2−メチル−4−(N−カルバジル)インデニル)ジルコニウムジメチル、及び(μ−ジメチルシリル)ビス(2−メチル−4−(N−カルバジル)インデニル)ハフニウムジメチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
また、メタロセン化合物が米国特許第7,601,666 号に開示された式の一つ以上に相当してもよい。このようなメタロセン化合物として、ジメチルシリルビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンズ(f)インデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンズ(f)インデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンズ(f)インデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンズ(f)インデニル)ジルコニウムジクロリド、及びシクロ−プロピルシリルビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンズ(f)インデニル)ハフニウムジメチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
PBEを生成するのに使用される触媒系の活性剤はカチオン成分を含んでもよい。或る実施態様において、カチオン成分が式[R
1R
2R
3AH]
+ を有し、式中、Aは窒素であり、R
1及びR
2は一緒になって-(CH
2)
a -基(式中、aは3、4、5、又は6である)であり、窒素原子と一緒になって4員、5員、6員又は7員非芳香族環(これに、隣接炭素原子を介して、必要により、1個以上の芳香族又はヘテロ芳香族環が融合されてもよい)を形成し、かつR
3はC
1、C
2、C
3、C
4、又はC
5アルキル、又はN-メチルピロリジニウムもしくはN-メチルピペリジニウムである。その他の実施態様において、カチオン成分が式[R
nAH]
+ を有し、式中、Aは窒素であり、nは2又は3であり、かつ全てのRは同じであり、C
1-C
3 アルキル基であり、例えば、トリメチルアンモニウム、トリメチルアニリニウム、トリエチルアンモニウム、ジメチルアニリニウム、又はジメチルアンモニウムである。
一つ以上の実施態様において、プロピレンをベースとするポリマー組成物を生成するのに使用される触媒系の活性剤がアニオン成分、[Y]
- を含む。或る実施態様において、アニオン成分が式[B(R
4)
4]
- を有する非配位アニオン(NCA)であり、式中、R
4はアリール基又は置換アリール基(その1個以上の置換基が同じであり、又は異なり、アルキル、アリール、ハロゲン原子、ハロゲン化アリール、及びハロアルキルアリール基からなる群から選ばれる)である。一つ以上の実施態様において、置換基がペルハロゲン化アリール基、又はペルフッ素化アリール基であり、ペルフルオロフェニル、ペルフルオロナフチル及びペルフルオロビフェニルを含むが、これらに限定されない。
一緒になって、本明細書に記載された触媒系のカチオン成分及びアニオン成分が活性剤化合物を生成する。本発明の一つ以上の実施態様において、活性剤がN,N−ジメチルアニリニウム−テトラ(ペルフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウム−テトラ(ペルフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウム−テトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウム−テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウム−テトラ(ペルフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウム−テトラ(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウム−テトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、又はトリフェニルカルベニウム−テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートであってもよい。
【0032】
先のパラグラフに挙げられたメタロセン化合物、カチオン活性剤成分、及びアニオン活性剤成分のあらゆる組み合わせから得られるあらゆる触媒系が本明細書に明らかに開示されると考えられるべきであり、本発明に従って一種以上のオレフィンモノマーの重合に使用されてもよい。また、2種の異なる活性剤の組み合わせが同じ又は異なるメタロセンとともに使用し得る。
更に、触媒系が、上記された遷移金属化合物及び活性剤に加えて、付加的な活性剤(補助活性剤)及び/又は脱除剤を含んでもよい。補助活性剤は遷移金属錯体と反応し得る化合物であり、その結果、活性剤と組み合わせて使用される場合に、活性触媒が生成される。補助活性剤として、アルモキサン及びアルミニウムアルキルが挙げられる。
或る実施態様において、脱除剤がそうしないと触媒と反応し、それを失活するあらゆる毒の反応を“クリーン”にするのに使用されてもよい。脱除剤として有益な典型的なアルミニウム又はホウ素アルキル成分は一般式R
xJZ
2 により表され、式中、Jはアルミニウム又はホウ素であり、R
xはC
1-C
20アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びこれらの異性体であり、かつそれぞれのZは独立にR
x又は異なる一価のアニオンリガンド、例えば、ハロゲン(Cl、Br、I)、アルコキシド(OR
x )等である。例示のアルミニウムアルキルとして、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、トリ−イソ−ブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。例示のホウ素アルキルとして、トリエチルホウ素が挙げられる。脱除化合物はまたアルモキサン及びメチルアルモキサンを含む変性アルモキサン並びに変性メチルアルモキサンであってもよい。
【0033】
ポリマーブレンド
本発明のポリマーブレンドは少なくとも一種のICP、又は少なくとも一種のBMWDPP、及び少なくとも一種のPBEを含んでもよい。
ブレンドがICP及びPBEを含む実施態様において、ブレンドが約30質量%から約85質量%までのICP、又は約40質量%から約80質量%までのICP、又は約45質量%から約80質量%までのICP、又は約45質量%から約75質量%までのICP、又は約45質量%から約70質量%までのICP、又は約50質量%から約65質量%までのICPを含んでもよく、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。ブレンドが約15質量%から約70質量%までのPBE、又は約20質量%から約60質量%までのPBE、又は約20質量%から約55質量%までのPBE、又は約25質量%から約55質量%までのPBE、又は約30質量%から約55質量%までのPBE、又は約35質量%から約50質量%までのPBEを含んでもよく、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。換言すれば、ブレンドが約10質量%より多いPBE、又は約15質量%より多いPBE、又は約20質量%より多いPBE、又は約25質量%より多いPBE、又は約30質量%より多いPBE、又は約35質量%より多いPBEを含んでもよい。
ブレンドがBMWDPP及びPBEを含む実施態様において、ブレンドが約40質量%から約85質量%までのBMWDPP、又は約40質量%から約80質量%までのBMWDPP、又は約45質量%から約80質量%までのBMWDPP、又は約45質量%から約75質量%までのBMWDPP、又は約45質量%から約70質量%までのBMWDPP、又は約50質量%から約65質量%までのBMWDPPを含んでもよく、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。ブレンドが約15質量%から約60質量%までのPBE、約20質量%から約60質量%までのPBE、又は約20質量%から約55質量%までのPBE、又は約25質量%から約55質量%までのPBE、又は約30質量%から約55質量%までのPBE、又は約35質量%から約50質量%までのPBEを含んでもよく、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。換言すれば、ブレンドが約10質量%より多いPBE、又は約15質量%より多いPBE、又は約20質量%より多いPBE、又は約25質量%より多いPBE、又は約30質量%より多いPBE、又は約35質量%より多いPBEを含んでもよい。
【0034】
種々の添加剤が、意図される目的に応じて、本明細書に記載されたポリマーブレンドに混入されてもよい。例えば、ブレンドが繊維及び不織布を形成するのに使用される場合、このような添加剤として、安定剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、成核剤、分散剤、離型剤、スリップ剤、難燃剤、可塑剤、顔料、加硫剤又は硬化剤、加硫促進剤又は硬化促進剤、硬化遅延剤、加工助剤、粘着性付与剤等が挙げられるかもしれないが、これらに限定されない。その他の添加剤として、充填剤及び/又は強化材、例えば、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、ケイ酸塩、これらの組み合わせ等が挙げられるかもしれない。一次及び二次の酸化防止剤として、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、及びホスフェートが挙げられる。成核剤として、例えば、安息香酸ナトリウム及びタルクが挙げられる。また、結晶化速度を改良するために、その他の成核剤、例えば、チーグラー−ナッタオレフィン生成物又はその他の高結晶性ポリマーがまた使用されてもよい。その他の添加剤、例えば、分散剤、例えば、アクロワックスCがまた含まれてもよい。スリップ剤として、例えば、オレアミド及びエルカミドが挙げられる。触媒失活剤、例えば、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト、及び酸化カルシウム、及び/又は当業界で知られているその他の酸中和剤がまた普通に使用される。
更に、或る例示の実施態様において、添加剤がポリマーブレンドに直接に、又はマスターバッチの一部として混入されてもよく、即ち、幾つかの添加剤を含む添加剤パッケージが前もって決められた比率で一度に添加されてもよい。本明細書の中の一つ以上の実施態様において、本発明の繊維がスリップ剤を含むマスターバッチを更に含む。マスターバッチは所望の結果を達成するのに適した量で添加されてもよい。例えば、スリップ添加剤を含むマスターバッチがポリマーブレンド及びマスターバッチの合計質量を基準として、約0.1 質量%から約10質量%まで、又は約0.25質量%から約7.5 質量%まで、又は約0.5 質量%から約5質量%まで、又は約1質量%から約5質量%まで、又は約2質量%から約4質量%までの範囲の量で使用されてもよい。実施態様において、マスターバッチがスリップ添加剤としてエルカミドを含む。
【0035】
ポリマーブレンドから調製された繊維、不織組成物、及びラミネート
本明細書に記載されたポリマーブレンドは溶融紡糸(例えば、メルトブローン又はスパンボンド)繊維及び不織組成物(例えば、不織布)に特に有益である。本明細書に使用される“溶融紡糸不織組成物”は少なくとも一つの溶融紡糸層を有する組成物を表し、全組成物が溶融紡糸され、又は不織であることを必要としない。或る実施態様において、不織組成物がポリマーブレンドを含む不織層の一面又は両面に配置された一つ以上の層を更に含む。本明細書に使用される“不織”は織り以外の方法により製造された繊維材料を表す。不織布では、繊維が平面シートのような布構造に直接加工され、次いで化学的、熱的、又は機械的にインターロックされ(又は両方で)結合されて凝集布を得る。
本発明は繊維及び不織組成物だけでなく、本明細書に記載されたポリマーブレンドを含む不織組成物の製造方法に関する。一つ以上の実施態様において、このような方法が上記された少なくとも一種のICP又はBMWDPP及び少なくとも一種のPBEのブレンドを含む溶融ポリマー組成物を生成する工程、及びポリマーブレンドを含む繊維を生成する工程を含む。或る実施態様において、これらの方法が不織組成物を繊維から生成することを更に含む。
或る実施態様において、ICP/PBEブレンド又はBMWDPP/PBEブレンドから生成された不織組成物が表層として使用される。その方法はその後に表層を形成する工程、次いで不織弾性層をその表層の上に形成する工程を更に含む。例えば、不織弾性層が溶融ポリマーの層をその表層の上に溶融紡糸又はメルトブローイングすることにより形成されてもよい。必要により、付加的な表層がその後にその弾性層の反対面に配置されてもよく、その結果、弾性層が表層の間にサンドイッチされる。一つ以上の実施態様において、一つ以上の弾性層が上記された組成及び性質を有するPBEを含んでもよい。
【0036】
或る実施態様において、ICP/PBEブレンド又はBMWDPP/PBEブレンドを含む不織組成物が延伸性と記載し得る。本明細書に使用される“延伸性”は、力の適用後に降伏又は変形(即ち、延伸)するあらゆる繊維又は不織組成物を意味する。多くの延伸性材料がまた弾性であるが、延伸性という用語はまた力の除去後に延長又は変形されて留まるこれらの材料を含む。本明細書に記載されたブレンドを含む布層は弾性コアー層(これはフィルム又は不織層であってもよい)と組み合わせて延伸性表層として有益である。延伸性表層が弾性コアー層と組み合わせて使用される場合、それが取り付けられている弾性層が延伸し、また収縮する場合に、延伸性層が永久に変形するかもしれず、表層が着用者の皮膚と接触する物品に特に適している付加的な軟らかい感触を与えるしわ又は模様付きの外表面を生じる。
本発明の繊維及び不織組成物は当業界で知られているあらゆる方法により形成し得る。例えば、不織組成物が溶融紡糸方法により製造し得る。本明細書中の或る実施態様において、本発明の不織組成物の一つ以上の層がスパンボンド方法により製造される。組成物が一つ以上の弾性層を更に含む場合、弾性層がメルトブロー方法、スパンボンドもしくはスパンレース方法、又はあらゆるその他の好適な不織方法により製造されてもよい。
ICP/PBEブレンド又はBMWDPP/PBEブレンドから製造された繊維は約0.5 デニールから約10デニールまで、又は約0.75デニールから約8デニールまで、又は約1デニールから約6デニールまで、又は約1デニールから約3デニールまでの厚さを有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含む。厚さのインジケーターとして当業界で普通に言及され、また便宜上本明細書に使用されるが、デニールはより正確には繊維の線形の質量密度と記載される。デニールは9,000メートル当りの繊維の質量(グラム)である。実際に、9,000メートルを測ることは時間消費かつ浪費の両方であり得る。通常、一層小さい長さ(即ち、900 メートル、90メートル、又はあらゆるその他の好適な長さ)のサンプルが計量され、その結果に適当な係数が掛けられて繊維のデニールを得る。
ポリプロピレンをベースとする繊維の繊維デニール(g/9000m)は下記の式を使用して直径(ミクロン)に変換し得る。
【0038】
こうして、1.0 デニールのポリプロピレン繊維は約12.5ミクロンの直径を有し、また2.0デニールのポリプロピレン繊維は17.6ミクロンの直径を有するであろう。
或る実施態様において、ICP/PBEブレンド又はBMWDPP/PBEブレンドから製造された繊維は約5μmから50μmまで、又は約15μmから25μmまで、又は約10μmから20μmまでの厚さ/直径を有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。
繊維は単一成分繊維又は2成分繊維であってもよい。繊維が単一成分繊維であることが好ましく、繊維がそれらの断面にわたって一貫した組成を有することを意味する。
本明細書に記載された一つ以上の層は主として既に記載されたICP又はBMWDPPとPBEのブレンドを含んでもよい。或る実施態様において、そのブレンドを含む層が50g/m
2(“gsm”)未満、40gsm未満、又は30gsm未満、又は25gsm未満、又は20gsm未満の基本質量を有してもよい。そのブレンドを含む層が約1g/m
2(“gsm”)から約75g/m
2まで、又は約2gsmから約50gsmまで、又は約5gsmから約35gsmまで、又は約7gsmから約25gsmまで、又は約10gsmから約25gsmまでの基本質量を有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。
ICP又はBMWDPPとPBEのブレンドを含む不織層が約5N/5cm から約65N/5cm まで、又は約7N/5cm から約60N/5cm まで、又は約10N/5cm から約55N/5cm まで、又は約10N/5cm から約50N/5cm まで、又は約15N/5cm から約45N/5cm までの機械方向(MD)の引張強さを有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。換言すれば、不織層が約5N/5cmより大きく、又は約10N/5cmより大きく、又は約15N/5cmより大きく、又は約20N/5cmより大きいMD引張強さを有してもよい。同じ又はその他の実施態様において、不織層が約5N/5cm から約55N/5cm まで、又は約7N/5cm から約50N/5cm まで、又は約10N/5cm から約45N/5cm まで、又は約10N/5cm から約40N/5cm まで、又は約15N/5cm から約35N/5cm までの横方向(CD)の引張強さを有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。換言すれば、不織層が約5N/5cmより大きく、又は約10N/5cmより大きく、又は約15N/5cmより大きく、又は約20N/5cmより大きいMD引張強さを有してもよい。布の引張強さはWSP110.4(05) に従ってEDANA ERT 20.2-89 Option Bを使用して測定される。
ICP又はBMWDPPとPBEのブレンドを含む不織層が約70%より大きく、又は約75%より大きく、又は約80%より大きく、又は約85%より大きく、又は約90%より大きく、又は約95%より大きく、又は約100 %より大きく、又は120 %より大きく、又は150 %より大きい機械方向(MD)のピーク伸びを有してもよい。不織層が約100 %より大きく、又は約110 %より大きく、又は約115 %より大きく、又は約120 %より大きく、又は約150 %より大きく、又は200 %より大きい横方向(CD)のピーク伸びを有してもよい。布の伸びはWSP110.4(05) に従ってEDANA ERT 20.2-89 Option Bを使用して測定される。
【0039】
或る実施態様において、ICP/PBEブレンド又はBMWDPP/PBEブレンドでつくられた繊維が1500m/分で紡糸された場合に、200 %より大きく、又は225 %より大きく、又は250 %より大きく、又は275 %より大きく、又は300 %より大きく、又は325%より大きく、又は350 %より大きいピーク伸びを有してもよい。繊維ピーク伸びはテクステクノ・プログラムFPAM0210Eを装填したテクステクノ・スタチマットMを使用して測定されてもよい。これらのテクステクノ製品はドイツのミュンヘングラドバッハにあるテクステクノ・ヘルベルト・ステイン社から市販されている。繊維を試験するために、繊維がスタチマットMの上のセラミックガイドを通って空気圧クランプにねじ込まれる。試験される繊維のゲージ長さは100 mmである。繊維が破損するまでそれが1270mm/分で引っ張られる。破損が起こるまで、繊維を引っ張る力及び繊維束の歪が記録された。“ピーク伸び”は最大の力が観察される伸びである。5つの繊維サンプルが試験され、平均が報告される。
良好な延伸性及び伸びに加えて、本明細書に記載されたブレンドを含む繊維はまた改良された美観を有する布を製造するのに使用されてもよい。例えば、布が改良された感触及び軟らかさを有し得る。理論により束縛されないが、本明細書に記載されたブレンドを使用して製造された布は、一層低い結晶性のために、一層低い曲げモジュラスを有し、これが布の軟らかさ又は感触を改良すると考えられる。本明細書に記載されたブレンドを含む繊維からつくられた布はハンドル−O−メーターにより測定して、改良された軟らかさを有し得る。
或る実施態様において、本明細書に記載されたブレンドを含む35g/m
2の表層は60g未満、又は50g未満、又は40g未満のハンドル−O−メーター値を有する。不織布の軟らかさはスウィング−アルバート・インストルメント社からのハンドル−O−メーターモデル番号211-5 についての操作マニュアルに明記された“ハンドル−O−メーター”試験に従って測定されてもよい。ハンドル−O−メーター読みはグラムの単位である。変更は(1) サンプル当り二つの標本が使用されたこと、及び(2) 使用されるスロット幅を調節することにより読みが100 グラムより下に保たれ、同じスロット幅が比較されるサンプルの全シリーズに使用されたことであった。使用されたハンドル−O−メーター値は報告された値の±25%の誤差を有する。
【0040】
本明細書に使用される“メルトブローン繊維”及び“メルトブローン組成物”(又は“メルトブロー布”)は溶融された熱可塑性材料を或る加工温度で複数の微細な、通常円形の、ダイキャピラリーを通って溶融された糸又はフィラメントとして高速の、通常熱い、ガス流(これらは溶融された熱可塑性材料のフィラメントを繊細化してそれらの直径を減少する)(これはミクロ繊維直径までであってもよい)に押し出すことにより形成された繊維を表す。その後に、メルトブローン繊維が高速ガス流により運ばれ、収集表面に付着されてランダムに分散されたメルトブローン繊維のウェブ又は不織布を形成する。このような方法が一般に、例えば、米国特許第3,849,241 号及び同第6,268,203 号に記載されている。本明細書に使用されるメルトブローイングという用語は溶融噴霧方法を含むことが意味される。
商用のメルトブロー方法は毎分孔当り0.3 グラム(“ghm”)を超え、又は0.4 ghmを超え、又は0.5 ghmを超え、又は0.6 ghmを超え、又は0.7 ghmを超える、比較的高い処理量を有する押出システムを利用する。本発明の不織組成物は商用メルトブロー方法、好ましくはバイアクス−ファイバーフィルム・コーポレーションから入手し得る高圧メルトブロー方法を使用して、又はテストもしくはパイロット規模の方法で製造されてもよい。本発明の一つ以上の実施態様において、不織組成物を生成するのに使用される繊維は約0.01ghmから約3.0 ghmまで、又は約0.1 ghmから約2.0 ghmまで、又は約0.3 ghmから約1.0 ghmまでの処理速度を有する押出システムを使用して形成される。
【0041】
典型的なスパンボンド方法では、ポリマーが加熱された押出機に供給されてポリマーを溶融し、均質にする。押出機が溶融ポリマーを紡糸口金に供給し、そこでポリマーが紡糸口金中の一つ以上の列で配置された微細な開口部に通されるにつれて繊維化されて、フィラメントのカーテンを形成する。フィラメントが通常低温で空気で冷却され、通常、空気圧で延伸され、移動するマット、ベルト又は“フォーミングワイヤ”に付着されて不織組成物を生成する。例えば、米国特許第4,340,563 号、同第3,692,618 号、同第3,802,817 号、同第3,338,992号、同第3,341,394 号、同第3,502,763 号、及び同第3,542,615 号を参照のこと。本明細書に使用されるスパンボンドという用語はスパンレース方法を含むことが意味され、これらの方法では、フィラメントが水の高速ジェットを使用して絡み合わされてウェブを形成する(“ヒドロエンタングルメント”として知られている)。
本明細書に記載されたICP又はBMWDPPとPBEのブレンドを含む不織層は単層であってもよく、又は多層ラミネートの一部であってもよい。一つの適用はメルトブローン(“M”)不織組成物及びスパンボンド(“S”)不織組成物からラミネート(又は“複合材料”)をつくることであり、これはスパンボンドされた成分からの強さ及びメルトブローン成分の一層大きいバリヤー特性の利点を併有する。このような適用において、ICP又はBMWDPPとPBEのブレンドを含む不織層はスパンボンド外層として特に有益であるかもしれない。典型的なラミネート又は複合材料は三つ以上の層、二つ以上のスパンボンド層の間にサンドイッチにされたメルトブローン層、又は“SMS”不織複合材料を有する。その他の組み合わせの例はSSMMSS 複合材料、SMMS複合材料、及びSMMSS 複合材料である。複合材料はまたその他の材料(合成又は天然の)とともに本発明のメルトブローン又はスパンボンド不織布からつくられて有益な物品を製造し得る。
或る実施態様において、不織ラミネート組成物がPBEを含む一つ以上の弾性層を含んでもよく、更にその一つ以上の弾性層の一面又は両面に配置された本明細書に記載されたICP/PBEブレンド又はBMWDPP/PBEブレンドを含む一つ以上の表層を含んでもよい。或る実施態様において、弾性層及び表層は単一の統合された方法、好ましくは連続方法で製造されてもよい。例えば、溶融紡糸方法ラインがメルトブローン技術を組み込んでもよく、その結果、一つ以上のその他のスパンボンド層(これは弾性又は非弾性であってもよい)に積層された一つ以上のメルトブローン弾性層を含む多層不織ラミネートが単一の連続の統合方法で製造される。
上記された不織製品はおむつ、女性用ケアー製品、及び成人失禁製品を含むが、これらに限定されない衛生製品の如き多くの物品中に使用し得る。不織製品はおむつ適用に有益であるかもしれず、またおむつの弾性肉寄せに特に有益であるかもしれない。不織製品はまた医療製品、例えば、無菌ラップ、分離ガウン、手術室ガウン、手術ガウン、手術ドレープ、最初の補助包帯、及びその他の使い捨て品目中に使用されてもよい。特に、不織製品は医療用ガウン用の表層として有益であるかもしれず、ガウンのひじ領域の延伸性を可能にする。不織製品はまた使い捨て保護衣類に有益であるかもしれず、このような衣類のひじ及び膝の領域に靭性を与えるかもしれない。不織製品はまた保護ラッピング、パッケージング又は傷ケアーとして有益であるかもしれない。不織製品はまたジオテキスタイル適用に有益であるかもしれない。何とならば、布が破壊に代えて変形することで布が改良された耐破壊性を有し得るからである。
【実施例】
【0042】
以上の説明の良き理解を与えるために、以下の非限定実施例が提供される。実施例は特別な実施態様に関するかもしれないが、それらは本発明を特別な点で限定すると見られるべきではない。全ての部数、比率、及び%は、特に示されない限り、質量基準である。
下記の試験方法を実施例で使用した。
ポリマーサンプルの溶融流量(MFR)を230 ℃で2.16kgの負荷を使用してASTM D-1238、条件Lに従って測定した。MFRを“g/10分”で報告する。
MWD分布を上記されたGPCにより測定した。
固有粘度(IV)を135 ℃でデカリン溶媒を使用して、ASTM D1601規格に従って測定した。IVを“dl/g”で報告する。
繊維伸び及び強力をテクステクノプログラムFPAM0210E を装填したテクステクノ・スタチマットMを使用して測定した。これらのテクステクノ製品はドイツのミュンヘングラドバッハにあるテクステクノ・ヘルベルト・シュタイン社から市販されている。繊維を試験するために、繊維束をスタチマットMの上のセラミックガイドを通って空気圧クランプにねじ込んだ。試験される繊維束についてのゲージ長さは100 mmである。
【0043】
強力及びピーク伸びをテクステクノ・スタチマット機械を使用して測定した。それぞれの繊維束が破損するまでそれを1270mm/分で引っ張った。破損が起こるまで、繊維束を引っ張る力及び繊維束の歪を記録した。“強力”は繊維束(束当り72の繊維)の力/デニールであり、ガラム/デニールで報告される。“ピーク伸び”は最大の力が観察される伸びである。“破断点伸び”は測定される力が最大値の90%に低下する伸び又は繊維束が破断する点のどちらか最初に来るものと定義される。5繊維束サンプルを試験し、平均を報告する。
表1で同定されるICPを実施例で使用した。使用したそれぞれのICPはポリプロピレンホモポリマー成分(成分A)とエチレン−プロピレンコポリマー成分(成分B)の反応器ブレンドであった。“ICP MFR ”はICPのMFRである。“成分A MFR”はICPのポリプロピレンホモポリマー成分(成分A)のMFRである。“成分A MWD ”はICPのポリプロピレンホモポリマー成分(成分A)のMWDである。“成分B IV ”はエチレン−プロピレンコポリマー成分(成分B)の固有粘度である。“成分B質量%”はICP中のエチレン−プロピレンコポリマー成分(成分B)の質量%であり、ICPの合計質量を基準とする。“成分BC
2含量”はエチレン−プロピレンコポリマー成分(成分B)のエチレン含量であり、成分Bの質量を基準とする。“ICPC
2含量”はICPの全エチレン含量であり、ICPの質量を基準とする。“ICP MWD”はICPの分子量分布である。
表1−ICP組成物
【0044】
【表1】
【0045】
また、上記されたICP E、F、G、H、及びIの成分Aをつくるのに使用されたのと同じ触媒を使用してプロピレンホモポリマーサンプルPP1及びPP2をつくった。PP3はPP3155としてエクソンモービル・ケミカル社から市販されているプロピレンホモポリマーである。表2はプロピレンホモポリマーサンプルの性質を同定する。
表2−プロピレンホモポリマー
【0046】
【表2】
【0047】
表3に同定されるPBEを実施例で使用した。使用したそれぞれのPBEは第一のポリマー成分と第二のポリマー成分の反応器ブレンドであった。“第一成分C
2含量”は第一のポリマー成分のプロピレン誘導単位とエチレン誘導単位の合計質量を基準とする、第一のポリマー成分のエチレン含量である。“第二成分C
2含量”は第二のポリマー成分のプロピレン誘導単位とエチレン誘導単位の合計質量を基準とする、第二のポリマー成分のエチレン含量である。“合計C
2含量”はPBEのエチレン含量であり、この場合、質量%はPBEのプロピレン誘導単位とエチレン誘導単位の合計質量を基準とする。“ポリスプリット”はPBEの質量を基準とする、第二ポリマー成分の質量%である。“PBE MWD ”はPBEの分子量分布である。“PBE MFR ”はPBEの溶融流量である。
表3−PBE組成物
【0048】
【表3】
【0049】
実施例1
繊維をICPとPBEのポリマーブレンドからつくり、表4に示されるように調製した。ICP及びPBEを繊維紡糸機でインラインで一緒に溶融ブレンドした。ブレンドサンプル1-11に加えて、繊維をまたC1と同定された、比較材料から形成した。C1はエクソンモービル・ケミカル社からPP3155として市販されている100 質量%のプロピレンホモポリマーを含んでいた。
表4−実施例1のポリマーブレンド
【0050】
【表4】
【0051】
繊維は連続フィラメント紡糸装置で製造された部分延伸糸繊維であった。繊維紡糸機はフロリダ州のウェスト・メルボーンにあるヒルズ社から市販されている。繊維紡糸機は2インチの一軸押出機を備えた実験室規模のサイズである。紡糸口金は72のキャピラリーを有する。それぞれのキャピラリー直径は0.6 mmであった。繊維を450°F(232 ℃)の溶融温度及び0.6 ghm の処理量で紡糸した。繊維を三つの異なる紡糸速度、1500m/分、2000m/分、及び2500m/分でつくった。これらの繊維束をスプールで集め、それぞれの繊維束が72の繊維を含んでいた。
次いで“破断までの速度”を繊維束が破断するまで紡糸速度を25m/分の増分で徐々に増大することにより測定した。これを3回繰り返し、平均値を報告する。その機械についての機械的最大紡糸速度能力は5000 m/分である。
得られる繊維束の性質を下記の表5に示す。“破断までの速度”は繊維が破損/破断する時の最大紡糸速度であり、m/分で報告される。“Pk Elng (1500)”、“Pk Elng (2000)”、及び“Pk Elng (2500)”はそれぞれ1500m/分、2000m/分、及び2500m/分の紡糸速度で製造された繊維のピーク伸びである。ピーク伸びを%で報告する。“Ten (1500) ”、“Ten (2000) ”、及び“Ten (2500) ”はそれぞれ1500m/分、2000m/分、及び2500m/分の紡糸速度で製造された繊維の強力である。強力をg/デニールで報告する。“デニール(1500)”、“デニール(2000)”、及び“デニール(2500)”はそれぞれ1500m/分、2000m/分、及び2500m/分の紡糸速度で製造された繊維のデニールである。
表5−実施例1の繊維性質
【0052】
【表5】
【0053】
サンプル3及び4を使用した場合、繊維が紡糸面で破断し、こうしてこれらのサンプルについての表5中に報告されたデータはない。
表5及び
図1に反映されるように、PBEを広いMWDホモポリプロピレン成分を有するICPとブレンドすることは一層狭いMWDホモポリプロピレン成分を有するICPでつくられた繊維と較べて高いピーク伸びを有する布をもたらした。
【0054】
実施例2
繊維をICP又はBMWDPPとPBEのポリマーブレンドからつくり、表6中に示されるように調製した。ICP又はBMWDPP及びPBEを最初に一緒に乾式ブレンドし、次いで押出機中で溶融混合し、ペレットにした。
使用したBMWDPPホモポリプロピレンは38g/10分のMFR、及び7-9 のMWDを有していた。
表6−実施例2のポリマーブレンド
【0055】
【表6】
【0056】
次いでペレットにされたブレンドを使用して、実施例1に上記されたように、繊維を形成した。ブレンドサンプル12-19 に加えて、繊維をまたC1として同定される、比較材料から形成した。C1はエクソンモービル・ケミカル社からPP3155として市販される100 質量%のプロピレンホモポリマーを含んでいた。得られる繊維束の性質を表7に報告する。
表7−実施例2の繊維性質
【0057】
【表7】
【0058】
表7及び
図2に反映されるように、PBEをBMWDPPとブレンドすることは一層狭いMWDでつくられた布と較べて高いピーク伸びを有する繊維をもたらした。
便宜の目的のために、種々の特別な試験操作を或る性質を測定するために先に同定する。しかしながら、当業者がこの特許を読み、組成物又はポリマーが特許請求の範囲で同定される特別な性質を有するか否かを測定したいと願う場合、あらゆる公表され、又は良く認められた方法又は試験操作がその性質を測定するために追随し得るが、特別に同定された操作が好ましい。それぞれの請求項は異なる操作が異なる結果又は測定を生じる程度まででさえも、このような操作のいずれかの結果をカバーすると見なされるべきである。こうして、当業者は特許請求の範囲に反映される測定された性質の実験上の変化を予想するべきである。
本明細書に組成物の種々の局面を記載したので、本発明の更なる特別な実施態様は以下のパラグラフに示される実施態様を含む。
【0059】
実施態様A:約30質量%から約85質量%までの耐衝撃性コポリマー及び約15質量%から約70質量%までのプロピレンをベースとするエラストマーのブレンドを含む繊維であって、
耐衝撃性コポリマーが反応器ブレンドであり、プロピレンホモポリマー成分及びコポリマー成分を含み、この場合、プロピレンホモポリマー成分が4.5 より大きい分子量分布(MWD)を有し、かつコポリマー成分が約20質量%から約80質量%までのプロピレン誘導単位及び約20質量%から約80質量%までのエチレン誘導単位を含み、かつ
プロピレンをベースとするエラストマーがプロピレン及び約5質量%から約25質量%までの一種以上のC
2又はC
4-C
12アルファ−オレフィンから誘導された単位を含み、かつ約90%より大きいトリアドタクチシティ及び約75 J/g未満の融解熱を有する、前記繊維。
実施態様B:繊維が約20質量%から約60質量%までのプロピレンをベースとするエラストマーを含む、実施態様Aの繊維。
実施態様C:繊維が約35質量%から約50質量%までのプロピレンをベースとするエラストマーを含む、実施態様A又はBの繊維。
【0060】
実施態様D:プロピレンホモポリマー成分が4.5 から15.0までのMWDを有する、実施態様AからCのいずれか一つの繊維。
実施態様E:プロピレンホモポリマー成分が4.5 から12.0までのMWDを有する、実施態様AからDのいずれか一つの繊維。
実施態様F:プロピレンホモポリマー成分が5.0 より大きいMWDを有する、実施態様AからEのいずれか一つの繊維。
実施態様G:プロピレンホモポリマー成分が5.0 から12.0までのMWDを有する、実施態様AからFのいずれか一つの繊維。
実施態様H:プロピレンホモポリマー成分が6.0 から9.0 までのMWDを有する、実施態様AからGのいずれか一つの繊維。
実施態様I:耐衝撃性コポリマーのコポリマー成分が約25質量%から約75質量%までのプロピレン誘導単位及び約25質量%から約75質量%までのエチレン誘導単位を含む、実施態様AからHのいずれか一つの繊維。
実施態様J:耐衝撃性コポリマーのコポリマー成分が約30質量%から約70質量%までのプロピレン誘導単位及び約30質量%から約70質量%までのエチレン誘導単位を含む、実施態様AからIのいずれか一つの繊維。
実施態様K:耐衝撃性コポリマーが約40質量%から約95質量%までのプロピレンホモポリマー成分及び約5質量%から約60質量%までのコポリマー成分を含む、実施態様AからJのいずれか一つの繊維。
実施態様L:耐衝撃性コポリマーが約50質量%から約90質量%までのプロピレンホモポリマー成分及び約10質量%から約50質量%までのコポリマー成分を含む、実施態様AからKのいずれか一つの繊維。
【0061】
実施態様M:耐衝撃性コポリマーが耐衝撃性コポリマーの質量を基準として、約3質量%から約40質量%までのエチレン含量を有する、実施態様AからLのいずれか一つの繊維。
実施態様N:耐衝撃性コポリマーが耐衝撃性コポリマーの質量を基準として、約5質量%から約25質量%までのエチレン含量を有する、実施態様AからMのいずれか一つの繊維。
実施態様O:プロピレンをベースとするエラストマーが第一ポリマー成分及び第二ポリマー成分の反応器ブレンドである、実施態様AからNのいずれか一つの繊維。
実施態様P:第一ポリマー成分がプロピレン及びエチレンを含み、かつ第一ポリマー成分の質量を基準として、約10質量%より大きいエチレン含量を有する、実施態様Oの繊維。
実施態様Q:第二ポリマー成分がプロピレン及びエチレンを含み、かつ第二ポリマー成分の質量を基準として、約2質量%より大きいエチレン含量を有する、実施態様O又はPの繊維。
実施態様R:プロピレンをベースとするエラストマーがプロピレンをベースとするエラストマーの質量を基準として、約3質量%から約25質量%までの第二ポリマー成分を含む、実施態様OからQのいずれか一つの繊維。
実施態様S:更にスリップ添加剤を含む、実施態様AからRのいずれか一つの繊維。
実施態様T:繊維が単一成分構造を有する、実施態様AからSのいずれか一つの繊維。 実施態様U:繊維が200 %より大きいピーク伸びを有する、実施態様AからTのいずれか一つの繊維。
実施態様V:繊維が250 %より大きいピーク伸びを有する、実施態様AからUのいずれか一つの繊維。
実施態様W:繊維が300 %より大きいピーク伸びを有する、実施態様AからVのいずれか一つの繊維。
【0062】
実施態様AA:約30質量%から約85質量%までの4.5 より大きい分子量分布(MWD)を有するポリプロピレンホモポリマー及び約15質量%から約70質量%までのプロピレンをベースとするエラストマーのブレンドを含む繊維であって、プロピレンをベースとするエラストマーがプロピレン及び約5質量%から約25質量%までの一種以上のC
2又はC
4-C
12アルファ−オレフィンから誘導された単位を含み、かつ約90%より大きいトリアドタクチシティ及び約75J/g 未満の融解熱を有する、前記繊維。
実施態様AB:繊維が約20質量%から約60質量%までのプロピレンをベースとするエラストマーを含む、実施態様AAの繊維。
実施態様AC:繊維が約35質量%から約50質量%までのプロピレンをベースとするエラストマーを含む、実施態様AA又はABの繊維。
実施態様AD:ポリプロピレンホモポリマーが4.5 から15.0までのMWDを有する、実施態様AAからACのいずれか一つの繊維。
実施態様AE:ポリプロピレンホモポリマーが4.5 から12.0までのMWDを有する、実施態様AAからADのいずれか一つの繊維。
実施態様AF:ポリプロピレンホモポリマーが5.0 より大きいMWDを有する、実施態様AAからAEのいずれか一つの繊維。
実施態様AG:ポリプロピレンホモポリマーが5.0 から12.0までのMWDを有する、実施態様AAからAFのいずれか一つの繊維。
実施態様AH:ポリプロピレンホモポリマーが6.0 から9.0 までのMWDを有する、実施態様AAからAGのいずれか一つの繊維。
【0063】
実施態様AI:プロピレンをベースとするエラストマーが第一ポリマー成分及び第二ポリマー成分の反応器ブレンドである、実施態様AAからAHのいずれか一つの繊維。
実施態様AJ:第一ポリマー成分がプロピレン及びエチレンを含み、かつ第一ポリマー成分の質量を基準として、約10質量%より大きいエチレン含量を有する、実施態様AIの繊維。
実施態様AK:第二ポリマー成分がプロピレン及びエチレンを含み、かつ第二ポリマー成分の質量を基準として、約2質量%より大きいエチレン含量を有する、実施態様AI又はAJの繊維。
実施態様AL:プロピレンをベースとするエラストマーがプロピレンをベースとするエラストマーの質量を基準として、約3質量%から約25質量%までの第二ポリマー成分を含む、実施態様AIからAKのいずれか一つの繊維。
実施態様AM:更にスリップ添加剤を含む、実施態様AAからALのいずれか一つの繊維。
実施態様AN:繊維が単一成分構造を有する、実施態様AAからAMのいずれか一つの繊維。
実施態様AO:繊維が200 %より大きいピーク伸びを有する、実施態様AAからANのいずれか一つの繊維。
実施態様AP:繊維が250 %より大きいピーク伸びを有する、実施態様AAからAOのいずれか一つの繊維。
実施態様AQ:繊維が300 %より大きいピーク伸びを有する、実施態様AAからAPのいずれか一つの繊維。
実施態様AZ:実施態様AからW又は実施態様AAからAQのいずれか一つに記載の一つ以上の繊維を含む不織組成物。
実施態様BA:約30質量%から約85質量%までの耐衝撃性コポリマー及び約15質量%から約70質量%までのプロピレンをベースとするエラストマーのブレンドを含む不織組成物であって、耐衝撃性コポリマーが反応器ブレンドであり、プロピレンホモポリマー成分及びコポリマー成分を含み、この場合、プロピレンホモポリマー成分が4.5 より大きい分子量分布(MWD)を有し、かつコポリマー成分が約20質量%から約80質量%までのプロピレン誘導単位及び約20質量%から約80質量%までのエチレン誘導単位を含み、かつプロピレンをベースとするエラストマーがプロピレン及び約5質量%から約25質量%までの一種以上のC
2又はC
4-C
12アルファ−オレフィンから誘導された単位を含み、かつ約90%より大きいトリアドタクチシティ及び約75 J/g未満の融解熱を有する、前記不織組成物。
【0064】
実施態様BB:組成物がスパンボンドである、実施態様AZ又はBAの不織組成物。
実施態様BC:組成物が50 gsm未満の基本質量を有する、実施態様AZからBBのいずれか一つの不織組成物。
実施態様BD:組成物が30 gsm未満の基本質量を有する、実施態様AZからBCのいずれか一つの不織組成物。
実施態様BE:組成物が約100 %より大きい横方向(CD)のピーク伸びを有する、実施態様AZからBDのいずれか一つの不織組成物。
実施態様BF:組成物が約150 %より大きい横方向(CD)のピーク伸びを有する、実施態様AZからBEのいずれか一つの不織組成物。
実施態様CA:弾性層及び少なくとも一つの表層を含む不織ラミネートであって、表層が実施態様AからW又は実施態様AAからAQのいずれか一つに記載の繊維を含む、前記不織ラミネート。
実施態様CB:弾性層及び少なくとも一つの表層を含む不織ラミネートであって、表層が実施態様AZからBFのいずれか一つに記載の不織組成物を含む、前記不織ラミネート。
【0065】
実施態様CC:(i) 弾性層、及び(ii)一つ以上の表層を含む不織ラミネートであって、表層が約30質量%から約85質量%までの耐衝撃性コポリマー及び約15質量%から約70質量%までのプロピレンをベースとするエラストマーを含み、耐衝撃性コポリマーが反応器ブレンドであり、プロピレンホモポリマー成分及びコポリマー成分を含み、この場合、プロピレンホモポリマー成分が4.5 より大きい分子量分布(MWD)を有し、かつコポリマー成分が約20質量%から約80質量%までのプロピレン誘導単位及び約20質量%から約80質量%までのエチレン誘導単位を含み、かつプロピレンをベースとするエラストマーがプロピレン及び約5質量%から約25質量%までの一種以上のC
2又はC
4-C
12アルファ−オレフィンから誘導された単位を含み、かつ約90%より大きいトリアドタクチシティ及び約75 J/g未満の融解熱を有する、前記不織ラミネート。
実施態様CD:表層が約25質量%から約50質量%までのプロピレンをベースとするエラストマーを含む、実施態様CAからCCのいずれか一つの不織ラミネート。
実施態様CE:表層がスリップ添加剤を含む約1質量%から約5質量%までのマスターバッチを更に含む、実施態様CAからCDのいずれか一つの不織ラミネート。
実施態様CF:表層が約0.5 デニールから約10デニールまでの厚さを有する単一成分繊維から形成される、実施態様CAからCEのいずれか一つの不織ラミネート。
実施態様CG:表層が約50 gsm未満の基本質量を有するスパンボンド不織布である、実施態様CAからCFのいずれか一つの不織ラミネート。
実施態様CH:ラミネートが弾性層の反対側に位置された二つの表層を含む、実施態様CAからCGのいずれか一つの不織ラミネート。
実施態様CI:弾性層がメルトブローされ、かつそれぞれの表層がスパンボンドである、実施態様CAからCHのいずれか一つの不織ラミネート。
実施態様DA:(i) 約45質量%から約85質量%までの耐衝撃性コポリマー(その耐衝撃性コポリマーは約40質量%から約85質量%までの耐衝撃性コポリマーを含む)及び約15質量%から約60質量%までのプロピレンをベースとするエラストマーを含むポリマーブレンドを生成し(その耐衝撃性コポリマーは反応器ブレンドであり、プロピレンホモポリマー成分及びコポリマー成分を含み、この場合、プロピレンホモポリマー成分が4.5 より大きい分子量分布(MWD)を有し、かつコポリマー成分が約20質量%から約80質量%までのプロピレン誘導単位及び約20質量%から約80質量%までのエチレン誘導単位を含み、かつプロピレンをベースとするエラストマーがプロピレン及び約5質量%から約25質量%までの一種以上のC
2又はC
4-C
12アルファ−オレフィンから誘導された単位を含み、かつ約90%より大きいトリアドタクチシティ及び約75 J/g未満の融解熱を有する)、そして(ii)そのポリマーブレンドを含む繊維を形成することを含む溶融紡糸繊維、好ましくはメルトブローン繊維又はスパンボンド繊維の製造方法。
実施態様DB:(iii) 繊維から不織層を形成することを更に含む、実施態様DAの方法。
実施態様DC:その方法が弾性不織層を形成し、その弾性不織相を不織表層と合わせて不織ラミネートを形成することを更に含む、実施態様DAからDBのいずれか一つの方法。
実施態様DD:不織表層及び弾性不織層を単一の統合方法で製造する、実施態様DAからDCのいずれか一つの方法。
【0066】
或る実施態様及び特徴が数的上限の組及び数的下限の組を使用して記載された。特に示されない限り、あらゆる下限からあらゆる上限までの範囲が意図されることが認められるべきである。或る下限、上限及び範囲が下記の一つ以上の請求項に現れる。全ての数値は“約”又は“およその”示された値であり、当業者により予想される実験誤差及び変化を考慮する。
本明細書に使用される“実質的にない”及び“実質的に含まない”という表現は対象の品目が意図的に使用されず、又はいずれかの量で添加されないが、環境条件又はプロセス条件から生じる不純物として既存する非常に少量で存在してもよいことを意味すると意図される。
特許請求の範囲に使用される用語が先に定義されない限り、それは当業者がその用語に少なくとも一つの印刷された刊行物又は発行された特許で反映されるように与えた最も広い定義を与えられるべきである。更に、この出願で引用された全ての特許、試験操作、及びその他の書類はこのような開示がこの出願と不一致ではない程度まで、またこのような組み入れが許される全ての司法権について参考として充分に含まれる。
以上は本発明の実施態様に関するが、本発明のその他の実施態様及び更なる実施態様がその基本的範囲から逸脱しないで推考されてもよく、その範囲は以下の特許請求の範囲により決められる。