(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6142092
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】炎管終端領域を有する管状燃焼チャンバ及びガスタービン
(51)【国際特許分類】
F23R 3/42 20060101AFI20170529BHJP
F23R 3/28 20060101ALI20170529BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
F23R3/42 A
F23R3/28 D
F02C7/18 C
F02C7/18 Z
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-539471(P2016-539471)
(86)(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公表番号】特表2016-530478(P2016-530478A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】EP2014068060
(87)【国際公開番号】WO2015032650
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2016年5月27日
(31)【優先権主張番号】13183555.5
(32)【優先日】2013年9月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・ハーゼ
【審査官】
筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−79484(JP,A)
【文献】
特開2008−274774(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0247111(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第2532836(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00−9/58
F23R 3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 少なくとも1つの第1バーナー設備(11,26)が配置された燃焼チャンバヘッド端部(24)と、
− 第1燃焼ゾーン(30)を包囲し、且つシリンダ状の炎管終端領域(32,46,52,72)を備える、略シリンダ状の炎管(28)と、
− 搬送ダクト(36)であって、前記シリンダ状の炎管終端領域(28)が、前記搬送ダクト内に突出し、且つ前記搬送ダクトが、前記炎管を、タービン入口領域に配置されている燃焼チャンバ出口(34)と流体的に接続させる、搬送ダクト(36)と、
を有する、ガスタービン(1)のための管状燃焼チャンバ(22)であって、
前記シリンダ状の炎管終端領域が、前記炎管終端領域の内部において前記炎管終端領域の周面と略平行に延びる複数の冷却ダクト(44,48,54,66,70)を備え、
前記第1バーナー設備(11,26)が、前記燃焼チャンバヘッド端部において、複数のバーナーを備え、前記複数のバーナーが、前記燃焼チャンバ(22)の周囲の周りで環状に配置されており、このため、稼働中に、より高い熱負荷にさらされ且つ流れの方向において広くなる前記炎管(28)の領域(42)が、各バーナーの下流に形成され、前記領域が、前記炎管の前記炎管終端領域(32,46,52,72)内の範囲まで延在し、より高い熱負荷にさらされる前記領域の間の領域(50)が、より低い熱負荷にさらされ、
前記冷却ダクトの形態及び/又は配置は、平均すると、より低い熱負荷にさらされる領域(50)を通って流れる冷却空気が、より高い熱負荷にさらされる前記炎管終端領域(32,46,52,72)の領域(42)を通って流れる冷却空気よりも少ないようになされており、
前記シリンダ状の炎管終端領域(52,72)が、シリンダ軸(62)に対して垂直に延在する切断面(64)でともにそれぞれ接合された少なくとも2つのシリンダ状のサブ領域(58,60)から構成され、より低い熱負荷にさらされる領域(50)内で延在する少なくとも1つの冷却ダクト(66)が、前記切断面(64)を通って一直線に継続され、且つ、より高い熱負荷にさらされる領域(42)内で延在する少なくとも1つのダクト(54,70)が、上流に配置された前記サブ領域で冷却ダクトから構築され、前記サブ領域が、下流に配置された前記サブ領域で延在する少なくとも1つの冷却ダクトと、前記切断面に沿って延在する冷却ダクト部分(68)を介して流体的に接続されていることを特徴とする管状燃焼チャンバ(22)。
【請求項2】
前記冷却ダクト(44,48,54,66,70)が、前記燃焼チャンバの長手軸に対して略平行に延在していることを特徴とする請求項1に記載の管状燃焼チャンバ(22)。
【請求項3】
より高い熱負荷にさらされる領域(42)内に配置された少なくとも1つの冷却ダクトが、より低い熱負荷にさらされる前記炎管終端領域(32,46,52,72)の領域(50)内の前記冷却ダクトの1つよりも大きい直径を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の管状燃焼チャンバ(22)。
【請求項4】
より高い熱負荷にさらされる少なくとも1つの領域(42)において前記冷却ダクト(48)における直接隣り合う冷却ダクトからの距離が、平均すると、より低い熱負荷にさらされる少なくとも1つの領域(50)において前記冷却ダクト(48)における直接隣り合う冷却ダクトからの距離よりも小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の管状燃焼チャンバ(22)。
【請求項5】
複数の冷却ダクトが、少なくとも1つの構築された前記冷却ダクト(54,70)により、流れの主方向において広くなるより高い熱負荷にさらされる領域(42)の外形に従うことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の管状燃焼チャンバ(22)。
【請求項6】
構築された前記冷却ダクト(54,70)が、前記切断面の下流で少なくとも2つの冷却ダクトに広がることを特徴とする請求項5に記載の管状燃焼チャンバ(22)。
【請求項7】
前記切断面に沿って延在する前記冷却ダクト部分の断面積が、下流で前記冷却ダクト部分に隣接する前記少なくとも2つの冷却ダクトのそれぞれの断面積の少なくとも2倍であることを特徴とする請求項6に記載の管状燃焼チャンバ(22)。
【請求項8】
少なくとも1つの管状燃焼チャンバを有するガスタービンであって、
少なくとも1つの管状燃焼チャンバが、請求項1から7のいずれか一項に記載のものとして構成されていることを特徴とするガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンの管状燃焼チャンバと、管状燃焼チャンバのハウジング部品と、に関する。ハウジング部品は、炎管終端領域の形態をとる。
【背景技術】
【0002】
最もシンプルなケースでは、ガスタービンは、圧縮空気を提供するためのコンプレッサ、少なくとも1つの燃焼チャンバ及びタービンを備えている。
【0003】
燃焼チャンバの内部に燃料を導入するために、燃焼チャンバは、少なくとも1つのバーナーを備えている。燃焼チャンバ内に導入された燃料は、燃焼チャンバの少なくとも1つの燃焼ゾーン内でコンプレッサによって提供された燃焼空気と反応させられ、これにより、高温の動作ガスを生成する。
【0004】
高温の動作ガスは、シャフトが駆動されるようにタービンを回転させる。シャフトに伝達される回転エネルギーのいくらかは、コンプレッサを駆動する働きをする。回転エネルギーの残りは、被駆動/駆動機械、特にジェネレータを駆動するために使用される。
【0005】
燃焼チャンバの内部を直接取り囲む燃焼チャンバの内側ハウジングは、特に少なくとも1つの燃焼ゾーンの領域において、高温の熱入力にさらされる。
【0006】
本発明は、バーナー装置が配置される燃焼チャンバヘッド端部を有する管状燃焼チャンバに関する。管状燃焼チャンバは、シリンダ状の終端領域を有する炎管を備え、前記炎管は、移行領域の範囲まで延在し、且つ略シリンダ形状である。シリンダ状の終端領域は、“冷却リング”とも称される。炎管は、バーナー装置の燃焼ゾーンを実質的に包囲する。管状燃焼チャンバは、下流の燃焼ゾーン内に燃料を導入させるさらなるバーナー設備を備えてもよい。シリンダ状の炎管終端領域は、管状燃焼チャンバハウジングの部品パーツ内に突出し、このハウジングは、炎管から流出する高温のガスをタービンに搬送する働きをし、且つ上流の入口領域及び下流の出口領域を備えており、搬送ピースの入口領域は、通常、円形断面を有し、搬送ピースの出口領域は、リングセグメントの外形に一致させられている。本発明のために、搬送ピースは、“移行部”と呼ばれてもよい。炎管は、“バスケット”と称されてもよい。炎管がバーナー炎から特に高温の熱入力にさらされるので、冷却空気ダクトを有する炎管のシリンダ状終端領域を提供することが従来技術から公知である。冷却空気ダクトは、シリンダ状の終端領域の周面と略平行に、すなわち炎管終端領域の内部で延在している。冷却空気ダクトの延在方向は、例えば、流れの主方向又は炎管の長手軸に対して平行に延びている。冷却空気ダクトの入口開口部は、炎管の外部に位置づけられている。冷却空気ダクトの出口開口部は、冷却空気が燃焼チャンバの内部に導入されるように構成されている。出口開口部は、特に、炎管の内部上、又は終端領域の下流の端面に位置づけられている。シリンダ状の炎管終端領域を通って流れる冷却空気の量の増大は、この部品の冷却を改善する。しかしながら、これは、冷却空気を燃焼空気として使用することができないので、望ましくない窒素酸化物の汚染物質排出と、また、冷却空気ダクトからの低温の空気が燃焼チャンバ内に低温のストランドを作り出し、このため一酸化炭素燃え尽き反応がこれらの領域においてブレーキをかけられるので、望ましくない一酸化炭素の増大と、を引き起こす。これは、従来、一酸化炭素燃え尽き反応の“クエンチング”として公知である。
【0007】
本発明は、問題となるタイプの管状燃焼チャンバであって、燃焼チャンバヘッド端部において少なくとも1つの第1バーナー装置を備え、(第1燃焼ゾーンを包囲し且つシリンダ状の炎管終端領域を備える)略シリンダ状の炎管と、
− 搬送ダクトであって、シリンダ状の炎管終端領域が、搬送ダクト内に突出し、且つ搬送ダクトが、炎管を、タービン入口領域に配置されてもよい燃焼チャンバ出口と流体的に接続させる、搬送ダクトと、を備え、
− シリンダ状の炎管終端領域が、炎管終端領域の内部において炎管終端領域の周面と略平行に延びる複数の冷却ダクトを備える、管状燃焼チャンバに基づいている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、汚染物質排出が減少された、問題となるタイプの管状燃焼チャンバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、炎管終端領域内での冷却ダクトの形態及び/又は配置が、平均すると、より低い熱負荷にさらされる領域を通って流れる冷却流体が、より高い熱負荷にさらされる炎管終端領域の領域を通って流れる冷却流体よりも少ないように構成されている、問題となるタイプの管状燃焼チャンバのために、本発明により達成される。
【0010】
本発明による冷却リングの形態は、冷却空気を節約することをもたらし、従って、冷却空気は、窒素酸化物を減少させるための燃焼空気として利用可能である。同時に、燃焼チャンバの内部のより低温の領域は、冷却リングからの冷却空気により不必要に冷却され続けることがなく、このため、本発明によれば、一酸化炭素汚染物質排出の減少がもたらされる。より低い熱負荷にさらされる冷却リングの領域においてのみ冷却ダクトの数又は冷却空気の量が節約されるので、冷却空気の量が減少するにもかかわらず部品の十分な冷却が保証される。
【0011】
本発明の有利な形態は、以下の説明及び従属請求項に示されており、これらの特徴は、個々に且つ任意の望ましい組み合わせで利用されてもよい。
【0012】
有利には、バーナー設備が燃焼チャンバヘッド端部に複数のバーナーを備えて設けられ、これらバーナーは、燃焼チャンバの周囲の周りで環状に配置され、このため、稼働中に、より高い熱負荷にさらされ且つ流れの方向において広くなる炎管の領域が、各バーナーの下流に形成され、前記領域は、炎管の炎管終端領域内の範囲にまで延在し、より高い熱負荷にさらされる領域の間の領域は、より低い熱負荷にさらされる。
【0013】
バーナー出口の下流でより高い熱負荷にさらされる炎管の領域は、略三角形であってもよい。バーナー設備は、中央に配置されたパイロットバーナーと、複数のメインスワーラと、からなってもよい。メインスワーラは、パイロットバーナー周りでリング状に配置され、各メインスワーラは、(好ましくはシリンダ状の)予混合セクションを備えており、予混合セクションは、ハウジングによって取り囲まれ、且つ流れの方向に延在する、中央に配置されたバーナーランスを有している。予混合セクションを通って流れる流体のスワールを作り出すために、スワールインペラが、予混合セクションに配置されており、スワールインペラは、バーナーランス上で支持されてもよく、且つ予混合セクションを取り囲むハウジングの範囲にまで延在してもよい。予混合セクションの出口開口部が、バーナー出口と呼ばれてもよい。
【0014】
有利には、冷却ダクトが、燃焼チャンバの長手軸に対して略平行に延在することがさらに可能である。
【0015】
冷却ダクトのこの配置は、製造コストがより低くなる。冷却ダクトは、さまざまな製造プロセス(例えばドリルによる穿孔、放電加工又は電気化学的除去)によって作り出された一直線の孔であってもよい。
【0016】
有利には、より高い熱負荷にさらされる領域内に配置された少なくとも1つの冷却ダクトが、より低い熱負荷にさらされる炎管終端領域の領域内の冷却ダクトの1つよりも大きい直径を有することも考えられる。
【0017】
これは、本発明を、例えば冷却ダクトを周囲の周りに均一に分配して実施することを可能にする。本発明によれば、冷却ダクトの直径は、より低い熱負荷にさらされる領域よりも、より高い熱負荷にさらされる領域の方が大きいように選択されてもよい。冷却空気ダクトのすべて又はいくつかのみが、例えば、より高い熱負荷にさらされる領域においてより大きい直径を有するように構成されてもよい。
【0018】
有利なことにすでに説明した形態と組み合わせられてもよい本発明のさらに有利な形態によれば、より高い熱負荷にさらされる少なくとも1つの領域において冷却ダクトにおける直接隣り合う冷却ダクトからの距離は、平均すると、より低い熱負荷にさらされる少なくとも1つの領域において冷却ダクトにおける直接隣り合う冷却ダクトからの距離よりも小さい。
【0019】
冷却リング内に冷却ダクトを導入するためのツールが、ダクトの形成が平行して進行するように、適切な間隔を有してリング上に配置されてもよい。そして、冷却ダクトは、バーナーに対して適切な向きで炎管に固定されなければならない。
【0020】
有利には、シリンダ状の炎管終端領域が、少なくとも2つのシリンダ状のサブ領域から構成され、これらサブ領域は、シリンダ軸に対して垂直に延在する切断面でそれぞれともに接合され、より低い熱負荷にさらされる領域で延在する少なくとも1つの冷却ダクトが、切断面を通って一直線に継続させられ、且つ/又は、より高い熱負荷にさらされる領域で延在する少なくとも1つのダクトが、上流に配置されたサブ領域内の冷却ダクトから構築され、このサブ領域は、切断面に沿って延在する冷却ダクト部分を介して、下流に配置されたサブ領域で延在する少なくとも1つの冷却ダクトと流体的に接続されることも考えられる。
【0021】
構築された冷却ダクトは、冷却ダクトが領域の形状をたどるので、より高い熱負荷にさらされ且つ全体として下流で広くなる領域が、よりよく供給を受けるという利点を有する。少なくとも2つのパーツの冷却リングを使用することは、複数のさまざまな冷却ダクトを冷却リングのパーツ内に導入し、切断面の下流では、複数の冷却ダクトが1つの上流の冷却ダクトと隣接することをさらに可能にする。このために、切断面内に導入された溝(溝は、炎管終端領域のサブ領域の双方の端面又は一方の端面のみに導入されていてもよい)が、上流の冷却ダクトを少なくとも1つの下流の冷却ダクトと接続する。
【0022】
少なくとも1つのこのような構築された冷却ダクトにより、複数の冷却ダクトは、好ましくは、流れの主方向で広くなるより高い熱負荷にさらされる領域の外形に従う。
【0023】
これは、より高い熱負荷にさらされる領域の冷却を可能にする。
【0024】
有利には、構築された冷却ダクトは、切断面で少なくとも2つの冷却ダクトに広がるように設けられてもよい。
【0025】
これは、より高い熱負荷にさらされる領域の特に一様な冷却を可能にする。
【0026】
冷却ダクト部分が、広がった冷却ダクトにわたって冷却空気の分配を規定しないように、有利には、切断面に沿って延在する冷却ダクト部分の断面積が、下流で冷却ダクト部分に隣接する少なくとも2つの冷却ダクトのそれぞれの断面積の少なくとも2倍であるように設けられてもよい。断面積は、好ましくは、下流で隣接する冷却ダクトの断面積の実質的に3倍である。
【0027】
本発明のさらなる目的は、汚染物質排出が減少される、上述した管状燃焼チャンバの炎管終端領域を提供することである。
【0028】
この目的は、請求項1から9のいずれか一項に記載の管状燃焼チャンバの部品である上述したタイプの炎管終端領域のために本発明により達成される。
【0029】
本発明のさらなる目的は、汚染物質排出が減少される、少なくとも1つの上述した管状燃焼チャンバを有するガスタービンを提供することである。
【0030】
この目的は、請求項1から9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの管状燃焼チャンバを備える、上述したタイプのガスタービンのために本発明により達成される。
【0031】
本発明のさらに都合のよい形態及び利点は、図面の図を参照する本発明の例示的な実施形態の要旨を構成し、図面では、同じ参照符号は、同じように作用する構成要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】従来技術によるガスタービンを通る長手方向断面の概略図である。
【
図2】従来技術による管状燃焼チャンバを通る長手方向断面の概略図である。
【
図3】従来技術による炎管の展開図の極めて簡略化された概略図である。
【
図4】例示的な第1実施形態により、本発明に従って構成された炎管終端領域を有する炎管の展開図の極めて簡略化された概略図である。
【
図5】例示的な第2実施形態により、本発明に従って構成された炎管終端領域を有する炎管の展開図の極めて簡略化された概略図である。
【
図6】例示的な第3実施形態により、本発明に従って構成された炎管終端領域を有する炎管の展開図の極めて簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、従来技術によるガスタービン1の概略断面図を示す。ガスタービン1の内部では、ガスタービン1は、回転軸2周りに回転するように取り付けられ且つシャフト4を有するロータ3を備え、前記ロータは、タービンホイールとしても公知である。以下の要素:インテークハウジング6と、コンプレッサ8と、複数の燃焼チャンバ10を有する燃焼システム9と、タービン14と、排ガスハウジング15と、がロータ3に沿って互いに続いている。燃焼チャンバ10は、バーナー設備11と、高温ガスからの保護を提供するために熱遮蔽部20で裏打ちされたハウジング12と、をそれぞれ備えている。
【0034】
燃焼システム9は、例えば環状の高温ガスダクトと連通している。複数の連続して接続されたタービン段が、高温ガスダクトでタービン14を形成している。各タービン段は、ブレード又はベーンのリングから形成されている。動作媒体の流れ方向に見ると、形成された一列のガイドベーン17が、高温ダクト内において一列のロータブレード18によって続けられている。本実施形態では、ガイドベーン17は、ステータ19の内側ハウジングに固定されている一方で、一列のロータブレード18は、例えばロータ3上のタービンディスクにより取り付けられている。ジェネレータ(図示せず)が、例えばロータ3に結合されている。
【0035】
ガスタービンの稼働中に、空気が、インテークハウジング6を通ってコンプレッサ8によって引き込まれて圧縮される。コンプレッサ8のタービン側端部で提供された圧縮空気は、燃焼システム9にガイドされ、且つバーナー設備11の領域において燃料と混合される。混合物は、その後、バーナー設備11の支援により、燃焼システム9内で燃焼させられ、動作ガス流れを形成する。そこから、動作ガス流れは、ガイドベーン17及びロータブレード18を越えて高温ガスダクトに沿って流れる。ロータブレード18では、動作ガス流れは、パルス伝達方式で膨張し、このため、ロータブレード18は、ロータ3を駆動し、ロータ3は、それに結合されたジェネレータ(図示せず)を駆動する。
【0036】
図2は、ガスタービンの管状燃焼チャンバ22を示している。バーナー設備26が、燃焼チャンバヘッド端部24に配置されている。このバーナー設備は、中央パイロットバーナーと、中央パイロットバーナー周りに配置された複数のメインバーナーと、を備えている。バーナー設備は、シリンダ状の構造の炎管28内に開いており、炎管28は、第1燃焼ゾーン30を包囲し、且つシリンダ状の炎管終端領域32を備えている。炎管終端領域32を燃焼チャンバ出口34と流体的に接続するために、搬送ダクト36(移行部)が、炎管終端領域32と燃焼チャンバ出口34との間で延在している。シリンダ状の炎管終端領域は、搬送ダクト36内に突出している。炎管28と搬送ダクトとの間の移行領域では、スプリングシールによりシールされた環状ダクトが設けられており、この環状ダクトは、2つの部品、炎管と移行部との間の熱応力を防止する。搬送ダクトは、その上流端部において、保持クリップ37によりガスタービンの外側ハウジング(図示せず)に固定されている。メインバーナーが、それらのバーナー出口の下流の第1燃焼ゾーン30において炎をそれぞれ生成するので、バーナー出口の下流の領域での熱負荷は、バーナー出口の間の領域よりも大きくなる。従って、炎管終端領域32は、周囲の周りで一様に熱負荷をかけられない。
【0037】
図3は、従来技術による炎管28の展開図を極めて簡略化した概略図である。燃焼チャンバ内での流れの主方向は、
図3に上流及び下流との用語を適用するために、矢印38によって示してある。領域40は、バーナー設備の2つのバーナーのバーナー出口を示している。バーナーは、予混合セクションをそれぞれ備える“メインスワールジェネレータ”であってもよく、予混合セクションの出口は、バーナー出口と呼ばれてもよい。バーナー出口の下流では、炎管形態の(本実施形態では三角形として示す)広くなる領域42が、より高い熱負荷(明らかにより高い壁温度)にさらされている。錐体は、炎の結果としてバスケット壁温度の上昇を示し、この炎は、流れ方向においてバスケットのさらにより大きい周囲に作用する。図は、燃焼システム内での状況の原理を大まかに示すダイアグラムである。領域42は、炎管終端領域32内の範囲にまで延在している。炎管終端領域32は、それを通過する冷却ダクト44を有しており、これら冷却ダクト44は、流れの主方向38に対して平行に延在し、且つ互いから一様に間隔をあけられている。これは、部品の一様な冷却をもたらす。明らかなように、増大した壁温度を経験しない領域も、冷却ダクトによって冷却される。
【0038】
図4は、本発明の例示的な第1実施形態による炎管28の展開図を示している。本実施形態では、炎管終端領域46は、(燃焼チャンバの長手軸に対して平行に延在する)流れの主方向38に対して平行に延在する冷却ダクト48を備えている。これらダクトは、本発明によれば、平均すると、より低い熱負荷にさらされる領域50を通って流れる冷却空気が、より高い熱負荷にさらされる炎管終端領域46の領域42を通って流れる冷却空気よりも少ないように構成されている。示す例示的な実施形態では、これは、より高い熱負荷にさらされる領域42において冷却ダクト48における直接隣り合う冷却ダクト48からの距離が、より低い熱負荷にさらされる領域50において冷却ダクトにおける直接隣り合う冷却ダクトからの距離よりも小さいことで、もたらされる。例えば、より高い熱負荷にさらされる領域42内に配置された1つ以上の冷却ダクトが、炎管終端領域46のより低い熱負荷にさらされる領域50内の1つ以上の冷却ダクト48よりも大きい直径を有する場合に、同じ効果を達成することができる。冷却ダクトは、一直線の孔である。冷却空気の分配は、本発明によれば、熱負荷の不均一な分配に従っている。
【0039】
図5は、本発明の例示的な第2実施形態による炎管終端領域52を有する炎管28の展開図を示している。本発明による炎管終端領域52は、2つのシリンダ状のサブ領域58及び60から構成され、これらサブ領域は、シリンダ軸62に対して垂直に延在する切断面64においてともにそれぞれ接合されている。より高い熱負荷にさらされる領域42の間では、炎管終端領域52の冷却ダクトは、より低い熱負荷にさらされる領域50内で延在する1つの冷却ダクト66をそれぞれ含み、この冷却ダクト66は、切断面64を通って一直線で継続されている。また、炎管終端領域52は、より高い熱負荷にさらされる領域42内で延在するダクト54を備え、これらダクトは、上流のサブ領域58で冷却ダクトから構築され、この上流の冷却ダクトは、切断面64に沿って延在する冷却ダクト部分68を介して下流のサブ領域60内で延在する冷却ダクトと流体的に接続されている。冷却ダクト54の形態は、より高い熱負荷にさらされ且つ下流において広くなる領域42の外形に従うのに適しており、それにより、サブ領域60でさえ、領域42は、その全幅にわたってそれらを通過する冷却ダクトを有する。冷却ダクト部分68は、切断面を規定する、サブ領域の端面での溝によって形成されてもよい。
【0040】
図6は、炎管終端領域72の例示的な第3実施形態を示している。炎管終端領域72は、構築された冷却ダクト70が、より高い熱負荷にさらされる領域42における端面64で2つの(2つよりも多いものも可能である)冷却ダクトに広がる点で、
図5で示した例示的な実施形態と異なっている。従って、
図6に示す例示的な実施形態では、サブ領域60での冷却ダクトの数は、サブ領域58よりも多い。
【0041】
これは、一方では、より高い熱負荷にさらされる領域42での冷却ダクトが、サブ領域58及びサブ領域60双方において直接隣り合う冷却ダクトから同じ距離にある(一様な冷却)という利点を有する。さらなる利点は、冷却ダクト部分68のダクト内において冷却流体の流れをそらすことによって、冷却流体の熱的及び流体力学的境界層が乱され、これが下流のサブ領域60での冷却ダクトの入口ゾーンでの熱移動の増大につながることである。(このさらなる効果は、すでに説明した図の構築されたダクトでも生じる。)従って、炎管終端領域の領域42を過熱することは確実に回避され、且つより低い負荷にさらされる領域50のより小さい冷却の程度に起因して冷却流体の節約がなされる。示す例では、切断面に沿う冷却ダクト部分の周囲溝がサブ領域60の冷却ダクトにわたって空気の分配を規定することがないことを保証するためにケアがなされるべきである。冷却ダクトの断面積が、下流で隣接するダクトのそれぞれの断面積の約3倍であることは、特に有利である。
【符号の説明】
【0042】
1 ガスタービン、11,26 第1バーナー設備、22 管状燃焼チャンバ、24 燃焼チャンバヘッド端部、28 炎管、30 第1燃焼ゾーン、32,46,52,72 炎管終端領域、34 燃焼チャンバ出口、36 搬送ダクト、42 領域、44,48,54,66,70 冷却ダクト、50 領域、58,60 サブ領域、62 シリンダ軸、64 切断面、68 冷却ダクト部分