(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作レバーには、前記カム状突起の反対側に設けられ、前記凸部と当接し前記第2位置にある前記操作レバーを前記第1位置へ切り替える第2突起が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の三脚。
前記付勢機構は、前記連結具の前記基端面に設けられる前記カム状突起と当接するボールと、前記ボールを前記操作レバーへ向かって押圧するスプリングとを備えることを特徴とする請求項4に記載の三脚。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。まず、三脚1の全体の構成について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、三脚1の斜視図である。
図2は、
図1に示す三脚1の一部を拡大し、分解して示した分解斜視図である。
【0010】
三脚1は、
図1に示すように、雲台(図示せず)を取り付ける基体10と、基体10に取り付けられる3本の脚部20と、1本の支持体30とを有する。基体10は、円柱状の筒体100と、3つの脚部取付け部110とを備えている。3つの脚部取付け部110は、
図2に示すように、筒体100の外周面101に周方向に沿って等間隔で放射状に配置されている。なお、脚部取付け部110は、3つとも全て同じ形状を有しているため、ここでは1つの脚部取付け部110について説明し、他の脚部取付け部110は同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0011】
脚部取付け部110は、ブロック状の部材である。脚部取付け部110は、その側面112を貫通する方向に連結孔111を備えている。さらに、脚部取付け部110は、
図3中での肩部115の下面側(外周面113の下面側)に脚部20の開脚角度を規定する複数(本実施形態では3つ)の爪状の凸部120(第1凸部121、第2凸部122、第3凸部123)と、段部130と、円弧状の第1ガイド面131と、円弧状の第2ガイド面133とを備える。第1ガイド面131は、脚部取付け部110の下面の内面側(筒体100の外周面101との連結部側)から段部130までの領域に形成されている。この第1ガイド面131の外側に段部130と、第2ガイド面133と、第1凸部121と、第2凸部122と、第3凸部123とが順に並設されている。
【0012】
なお、凸部120の数については、特に限定されていないが、本実施形態においては、脚部20の開脚角度をハイポジション、ローポジションとその間のミドルポジションの3段階に調整できるようにするため、3つの凸部120(第1凸部121、第2凸部122、第3凸部123)を設けた。
【0013】
次に、3本の脚部20について説明する。なお、3本の脚部20は、同一構造であるため、ここでは、1つの脚部20の構造を説明する。脚部20は、
図1及び
図2に示すように、伸縮棒250と、クランプ260と、連結具200と、操作レバー210とを備える。なお、以下における脚部20の説明において、脚部取付け部110と連結する側を基端と表現し、その反対側の端部を先端と表現する。
【0014】
伸縮棒250は、太さが異なる4つの筒状部材を組み合わせて各筒状部材が軸方向に伸縮可能に構成される。
図1に示すように、最も太い伸縮棒250の筒状部材の基端に連結具200が取り付けられる。また、伸縮棒の各筒状部材の先端側にクランプ260が取り付けられる。伸縮棒250の断面形状は円形に限られず、方形やその他の多角形でもよい。
【0015】
クランプ260は、連結される伸縮棒250を任意の位置で固定するための係止具である。本実施形態においては、クランプ260の詳細な構造について記載しないが、例えば、クランプ260は、レバー261を持ち上げると内径が拡がり、レバーを下げると内径が縮径し、伸縮棒250の内側の筒状部材を固定可能とする構造を有するものがよく知られている。このようなクランプ260を用いることにより、伸縮棒250の長さを任意の長さに調整した状態で固定することができる。
【0016】
連結具200は、
図1に示すように、伸縮棒250の最も太い筒状部材の基端に設けられ、脚部20と基体10の脚部取付け部110とを連結する部材である。
連結具200は、
図2に示すように、伸縮棒250の最も太い筒状部材と略同じ内径を有する円筒状の固定部201と、固定部201の上面側に設けられる閉塞面202と、閉塞面202の上側に延設される挟持部203とを有する。
【0017】
挟持部203は、閉塞面202に脚部取付け部110を挟持可能な幅を設けて対向して配置される板状の一対の突起部を有する。挟持部203は、脚部取付け部110に設けられた連結孔111と同じ方向に貫通する連結孔204を有している。
【0018】
連結具200は、挟持部203の一対の突起部の間に脚部取付け部110を配置する。そして、挟持部203の連結孔204と、脚部取付け部110の連結孔111を同軸に配置する。この状態で、連結具200の連結孔204と脚部取付け部110の連結孔111にボルト300を貫通させてナット301で螺合される。これにより、脚部20がボルト300を軸として回動可能に連結される。
【0019】
また、連結具200の挟持部203には、連結孔204の下方に後述する操作レバー210を回動可能に保持するピン310を配置するための貫通孔205が設けられている。ピン310の両端は、両側の挟持部203の貫通孔205にそれぞれ挿入され、保持される。
【0020】
脚部取付け部110と連結具200の閉塞面202との間には、
図2及び
図3に示すように、三脚1の開脚動作を行うための操作レバー210が設けられている。この操作レバー210は、板状の部材である。操作レバー210は、ピン孔214と、第1突起211と、第2突起213と、カム状突起212とを有する。
【0021】
ピン孔214は、操作レバー210の基端部215において、短手方向に沿って設けられる筒状の孔である。ピン孔214は、ピン310よりも少し大きな径を有する。また、ピン孔214は、軸方向に沿ってスリット216を有する。
【0022】
操作レバー210のピン孔214内には、ピン310が挿入される。そして、ピン310は、挟持部203の2つの突起部の間に架設される状態で装着される。
【0023】
これにより、操作レバー210は、ピン310によって
図3、
図4、
図7に示す非操作位置である第1位置(定位置)と、
図5、
図6に示す操作位置である第2位置との間で回動可能に支持される。
【0024】
操作レバー210の上面側には、第1突起211と第2突起213とを有し、下面側には、カム状突起212を有している。第1突起211は、操作レバー210の表面217の中央部に上向きに突設され、短手方向に亘って設けられる爪状の突起部である。第1突起211は、脚部取付け部110の3つの凸部120(第1凸部121、第2凸部122、第3凸部123)のいずれかと係脱可能に係止し、脚部20の開脚角度を規定する。
【0025】
ここで、
図4に示すように第1突起211が第1凸部121と係止している状態が脚部20の開脚角度が最も狭いハイポジションである。また、
図7に示すように第1突起211が第3凸部123と係止している状態が脚部20の開脚角度が最も広いローポジションである。さらに、第1突起211が第2凸部122と係止している状態が脚部20の開脚角度が中間状態のミドルポジションである。
【0026】
第2突起213は、操作レバー210の表面217の基端部215側に上向きに突設され、ピン孔214の軸方向に沿って設けられる突起部である。第2突起213は、操作レバー210が第2位置に回動操作された状態で、脚部20が開方向に移動する動作(ローポジションへ移動する動作)の途中で
図6に示すように脚部取付け部110の下面側の段部130と接離可能に当接する位置に設けられている。
【0027】
図3に示すようにカム状突起212は、操作レバー210の第2突起213とは反対側の面に設けられる。カム状突起212は、ほぼ山形の頂点212cの両側に2つの傾斜面(第1面212aと第2面212b)を有している。また、カム状突起212には、後述する付勢機構400のボール410が当接されている。
【0028】
連結具200の閉塞面202には、
図3に示すように、操作レバー210の付勢機構400が設けられている。付勢機構400は、スプリング400aとボール410とを有する。さらに、連結具200の閉塞面202には、操作レバー210のピン310と対応する位置にスプリング400aの収容穴208aを有する凸部208が形成されている。
【0029】
凸部208は、閉塞面202に上向きに突設される円筒状の突起であり、操作レバー210と対向する端部に開口が形成されている。凸部208の収容穴208a内は、付勢機構400が設けられている。
【0030】
すなわち、収容穴208aには、スプリング400aが収容され、その開口部側の外端部にはボール410が配置されている。そして、付勢機構400は、スプリング400aのばね力により、ボール410を介して操作レバー210のカム状突起212を押圧する方向に付勢する。
【0031】
付勢機構400は、
図3および
図4に示すように操作レバー210が第1位置で保持されている場合には、操作レバー210のカム状突起212の第1面212aをボール410が押圧することで保持されている。
【0032】
また、付勢機構400は、
図5および
図6に示すように操作レバー210が第2位置に切替えられている場合には、操作レバー210のカム状突起212の第2面212bをボール410が押圧することで保持されている。
【0033】
すなわち、操作レバー210が第1位置から第2位置に回動する動作に伴いボール410が操作レバー210のカム状突起212の頂点212cを乗り越えて第1面212aから第2面212bに当接する位置が切り替わるようになっている。
【0034】
また、連結具200には、挟持部203の周壁206の一部にカバー体320を取付けるための凹部207が設けられている。挟持部203のそれぞれの凹部207にカバー体320の両端部が嵌め込まれる状態で取り付けられている。
【0035】
カバー体320は、薄板状の部材の両端を折り曲げてコの字状に形成した部材である。カバー体320の両端部の幅は2つの周壁206の間のよりも若干広く形成される。カバー体320は、2つの凹部207を跨ぎ、覆うように配置され連結具200に固定されている。カバー体320は、例えば、樹脂等により形成されている。カバー体320は、脚部取付け部110の凸部120を覆い隠すことにより、脚部取付け部110の凸部120と連結具200の間に指等が巻き込まれるのを防ぐ。
【0036】
支持体30は、
図1に示すように、基体10の筒体100の図示下方に配置される棒状の部材である。支持体30は、筒体100よりも僅かに小さな径を有し、筒体100の内側で筒体100と同軸に上下方向にスライド可能に配置される。支持体30の上端は、蓋体103と連結される。
【0037】
蓋体103は、筒体100の外径と略同じ外径を有し、中央に連結ねじ102を備える。連結ねじ102が設けられた面と反対側の面において、支持体30と連結される。なお、連結ねじ102には、雲台(図示せず)が取り付けられ、その上にカメラが取り付けられる。
【0038】
このような構造とすることにより、支持体30を上下方向に昇降操作することにより、カメラの高さを調節することができる。なお、本実施形態において、カメラとは、一眼レフカメラ、コンパクトカメラ、その他のデジタルカメラ及びビデオカメラ、カメラ付き携帯電話等を含む撮影機器をいう。
【0039】
次に三脚1の開脚機構の開脚動作について
図3から
図7を用いて説明する。
【0040】
図3は、三脚1の3本の脚部20が折り畳まれている様子を示す断面図である。
図4は、三脚1の脚部20が開かれて、操作レバー210の第1突起211と脚部取付け部110の第1凸部121とが係止している状態(ハイポジション)を示す部分断面図である。なお、操作レバー210は、第1位置で保持されている。
図5は、三脚1の開脚動作の開始時に操作レバー210を第2位置に切替え、開脚動作を開始する状態を示す断面図である。
図6は、脚部20の開脚動作が開始され、操作レバー210の第2突起213が第1ガイド面131に沿って外側に移動して脚部取付け部110の段部130と当接した状態を示す断面図である。
図7は、第1突起211と脚部取付け部110の第3凸部123とが係止した状態(ローポジション)を示す断面図である。
【0041】
始めに、折り畳まれた状態の三脚1は、
図3に示すように、3本の脚部20と基体10の筒体100の軸が略平行になる位置に配置されている。この状態においては、操作レバー210は、通常、第1位置(定位置)に保持されている。
【0042】
ここで、第1位置とは、
図3に示すように、操作レバー210と、連結具200の閉塞面202とが略平行に配置されている状態である。言い換えれば、第1位置とは、操作レバー210のカム状突起212の第1面212aがボール410を介してスプリング400aにより押圧されている状態のことをいう。
【0043】
次に、操作者がハイポジションでの三脚1の固定を望む場合は、この第1位置から、操作レバー210を操作することなく、脚部20を持ち、脚部20を支持体30から離間する方向に拡げればよい。この動作により、第1突起211が移動し、第1凸部121と当接する。脚部20は、
図4に示すハイポジションの開脚角度で係止される。
【0044】
具体的には、操作者により、脚部20が拡げられると、連結具200がボルト300を支軸として回動する。すると、操作レバー210の第1突起211は、脚部取付け部110の第2ガイド面133に沿って移動する。所定の角度に達すると、第1突起211は、脚部取付け部110の第1凸部121と当接し係止される。なお、高さを一定にするため、他の2つの脚部20についても、同様の操作をし、脚部20をハイポジションで係止する。この状態が、三脚1をハイポジションに固定した状態である。
【0045】
次に、脚部20の開脚角度をローポジションに調整する場合について
図5、
図6及び
図7を用いて説明する。
【0046】
脚部20の開脚角度の調整時には、操作レバー210をピン310を支点として、第1位置から第2位置へ切り替える操作が行われる。なお、
図5においては、三脚1が折り畳まれた状態で、操作レバー210が第1位置から第2位置へ切替えられた様子を示しているが、操作レバー210の操作タイミングはこれに限られない。すなわち、上述の
図4に示すハイポジションの状態においても操作者は、第1突起211が第1凸部121に引っ掛からないように、脚部20を閉脚方向へ戻すことにより、操作レバー210を第1位置から第2位置への切り替えることができる。
【0047】
ここで、操作レバー210の第2位置について説明する。第2位置とは、
図5に示すように、操作レバー210がピン310を支点として、図示下方向へ回動し、操作レバー210の先端部218が連結具200の閉塞面202と当接した状態をいう。このとき、操作レバー210の第1突起211が脚部取付け部110の凸部120の第1凸部121と、第2凸部122と、第3凸部123のいずれかからも離間し、脚部20が回動しても凸部120(第1凸部121、第2凸部122、第3凸部123)のいずれとも係止しない位置に移動した状態である。言い換えれば、第2位置とは、操作レバー210のカム状突起212の第2面212bがボール410を介してスプリング400aにより押圧されている状態のことをいう。具体的には、第1位置から第2位置へ操作レバー210が操作されると、カム状突起212の山形の頂点212cは、付勢機構400のボール410に係るスプリング400aの付勢力に抗してボール410を押圧する。すると、ボール410は、カム状突起212の第1面212aと当接している状態から頂点212cを乗り越えて、第2面212bと当接する。このようにして、操作レバー210は、第1位置から第2位置へ切り替わる。
【0048】
脚部20のハイポジションからローポジションへの開脚角度の調整は、操作レバー210を第2位置へ切り替えた状態で行われる。すなわち、操作者は、脚部20を持ち、脚部20が支持体30から離間する方向に脚部20を回動する。このとき、連結具200は、ボルト300を軸として脚部取付け部110の周りを回動する。そして、脚部取付け部110の外周を一定の距離、連結具200が移動した時点において、
図6に示すように連結具200と連動して回動する操作レバー210の第2突起213と脚部取付け部110の段部130とが当接する。
【0049】
さらに、脚部20とともに連結具200が回動すると、
図7に示すように、カム状突起212の山形の頂点212cによって付勢機構400のボール410がスプリング400aの付勢力に抗して押し込み操作される。そして、ボール410がカム状突起212の第2面212bと当接している状態からボール410がカム状突起212の第1面212aと当接している状態に切り替わる。これにより、カム状突起212の第1面212aをスプリング400aがボール410を介して押圧する。言い換えれば、操作レバー210が第1位置に戻る。
【0050】
そして、操作レバー210が第1位置へ戻ると、第1突起211が脚部取付け部110の第3凸部123と係止され、脚部20がローポジションで固定される。なお、この時点が三脚1の最大開脚角度(ローポジション)となる。
【0051】
ここで、上記の一定の距離とは、操作レバー210の第2突起213が
図5の位置から
図6に示す位置まで移動する距離のことである。すなわち、一定の距離とは、例えば、脚部20が折り畳まれている状態の操作レバー210の第2突起213の位置から、第2突起213が脚部取付け部110の段部130と当接するまでの距離をいう。言い換えれば、一定の距離とは、第2突起213と段部130とが当接し、第2突起213が段部130に押圧され、操作レバー210が第1位置に切替わったときに、第1突起211と脚部取付け部110の第3凸部123とが互いに係止可能な地点までの距離のことである。
【0052】
続いて、脚部20をミドルポジションの位置に調整する場合の動作について説明する。
【0053】
まず、操作者は、
図7に示すように、上述の開脚角度の調整動作によりローポジションまで脚部20を開脚する。次に、ローポジションにある脚部20を把持し、支持体30へ向かって脚部20を近接させる方向にボルト300を回動軸として脚部20を閉じる方向に回動させる。すなわち、連結具200を脚部取付け部110の外周に沿って、ボルト300を回動軸として、支持体30へ向かって回動させる。
【0054】
すると、スプリング400aにより脚部取付け部110の方向へ付勢されている操作レバー210の第1突起211は、脚部取付け部110の第2凸部122のなだらかに形成された傾斜面121aに沿って、スプリング400aを押圧しながら移動するとともに、第2凸部122の頂点を乗り越える。
【0055】
第1突起211が第2凸部122を乗り越えた時点で操作者は、脚部20の回動動作を停止させる。これにより、ローポジションからミドルポジションへの脚部20の位置の調整が終了する。ここで、操作レバー210の第1突起211と脚部取付け部110の凸部120の第2凸部122とは、いわゆる一方向ラチェット構造を有している。このため、操作レバー210の第1突起211が、第3凸部123へ向かって第2凸部122を乗り超えて回動することはない。すなわち、脚部20が、開脚方向へ移動することがない。
【0056】
次に、操作者が、ミドルポジションからハイポジションへの開脚角度の変更をする場合を説明する。
この場合、操作者は、上述と同様の操作をすることにより、もう一段階、脚部20を支持体30へ向かって閉脚する方向に移動する。これにより、操作レバー210の第1突起211が第1凸部121を乗り越え、第1凸部121と係止される。なお、この場合にも第1突起211と第1凸部121はラチェット構造を備えている。このため第1突起211が第1凸部121を乗り越えて逆回転することなく、脚部20は、ハイポジションで係止される。
【0057】
最後に、操作者が、三脚1の使用を終了し、折り畳む場合を説明する。
この場合、操作者は、さらに、もう一段階、脚部20を支持体30へ向かって閉脚する方向に移動させる。これにより、
図3の位置に脚部20が移動し、三脚1は折り畳まれた状態となる。
【0058】
このような構成を有する本実施形態に記載の三脚1は、開脚角度の調整時において、操作レバー210を押しながら脚部20の開脚動作をする必要がない。すなわち、操作者は、操作レバー210を第1位置から第2位置へ切り替え、脚部20の先端側を把持して操作することにより、ハイポジション、ミドルポジション、ローポジションのどの位置にも脚部20の開脚角度を調節することができる。
【0059】
また、操作レバー210を第2位置にした後、操作者は、脚部20の先端側を把持した状態で開脚角度を調整できるため、テコの原理により、小さい力で開脚角度の調整をすることができる。
【0060】
また、開脚動作の後に、三脚1は、脚部20がローポジションに到達すると、上述の操作レバー210のカム状突起212及び第2突起213の作用により、自動的に操作レバー210が第1位置に戻る。
【0061】
これにより、三脚1は、ローポジションにおける係止位置において、脚部取付け部110の第3凸部123と、操作レバー210の第1突起211とが係止され、脚部20が固定される。
【0062】
言い換えれば、第2位置へ移動した操作レバー210は、開脚角度が最大になる直前において、第2突起213と段部130とが当接することにより、自動的に第1位置へ操作レバー210を移動させる。このため、操作者は、操作レバー210に触れることなく、操作レバー210の第1突起211と脚部取付け部110の第3凸部123とを係止をすることができる。これにより、操作者が脚部20を開脚しているときに、操作レバー210や連結具200に触れることにより、指を挟むことがない。
【0063】
また、操作レバー210の第1突起211と脚部取付け部110の凸部120は、いわゆるラチェット構造を備えている。このため、脚部20を最大角まで開脚しローポジションで係止した後は、操作レバー210に触れることなく、開脚角度をミドルポジション、及び、ハイポジションに順次調節することができる。
【0064】
また、操作レバー210を脚部取付け部110と連結具200の閉塞面202との間に配置していることにより、操作レバー210が基体10の肩部115や連結具200から大きく突出することがない。このため、三脚1の操作時において、操作レバー210に指や服が引っ掛かる虞を低減することができる。
【0065】
さらに、本実施形態に係る三脚1の脚部取付け部110の凸部120は、
図2に示すように、脚部取付け部110の外周面の図示下側に配置されている。そして、凸部120は、外側から見えないようにカバー体320で覆われている。このため、凸部120と第1突起211との間に物等が挟まることがない。また、脚部取付け部110の外周面の図示下側に配置され、カバー体320で覆われているため埃が溜まりにくく、長期間に亘って良好な開脚動作を行うことができる。
【0066】
続いて、本実施形態に示す三脚1の変形例について、
図8及び
図9を用いて説明する。なお、本実施形態の三脚1と同一の部材には、同一の符号を付すとともに、その詳細な説明は省略する。
図8は、本実施形態に係る三脚1sの脚部20sがローポジションへ向かって開脚する状態を示す断面図である。
図9は、
図8に示す脚部20sの操作レバー210sが第2位置から第1位置へ切り替わる状態を示す断面図である。
【0067】
本変形例として示す三脚1sの脚部20sの構造と、本実施形態の三脚1の脚部20の構造との主な違いは、操作レバー210sの第2突起213sの形状と脚部取付け部110sの外周面113sの形状である。
【0068】
具体的には、操作レバー210sは、上面側に、第1突起211と、第2突起213sとを有し、下面側には、カム状突起212を有している。
【0069】
第2突起213sは、操作レバー210sの表面217(
図2参照)の基端部215側(
図2参照)に上向きに突設され、ピン孔214(
図2参照)の軸方向に沿って設けられる突起部である。
【0070】
第2位置において、第2突起213sは、脚部20sを開脚する動作(ローポジションへ移動する動作)の途中で
図8に示すように脚部取付け部110sの下面側の第1突起121と当接するように設けられている。言い換えれば、
図8及び
図9に示す第2突起213sは、本実施形態の三脚1に示した第2突起213よりも突出量が少なく設計され、段部130と当接することなく回動し、段部130よりも突出量の大きな第1凸部121と当接する突起部である。
【0071】
外周面113sは、操作レバー210sの第2突起213sがその面に沿ってスライド可能に、肩部115sから筒体100に向かって湾曲して形成されている。なお、カバー体320sは、操作レバー210sの回動域を拡げるためカバー体320よりも脚部20sの軸方向に薄く形成されている。
【0072】
それでは、
図8及び
図9を用いて本変形例における開脚動作について説明する。
【0073】
脚部20sのハイポジションからローポジションへの開脚角度の調整は、操作レバー210sを第2位置へ切り替えた状態で行われる。すなわち、操作者は、脚部20sを持ち、脚部20sが支持体30から離間する方向に脚部20sを回動する。このとき、連結具200sは、ボルト300を軸として脚部取付け部110sの周りを回動する。
【0074】
そして、脚部取付け部110sの外周を一定の距離、連結具200sが移動した時点において、
図8に示すように、連結具200sと連動して回動する操作レバー210sの第2突起213sは、脚部取付け部110sの第1凸部121と当接する。さらに、脚部20sとともに連結具200sが回動すると、
図9に示すように、操作レバー210sが第1位置に向かって回動する。
【0075】
そして、操作レバー210sが第1位置へ戻ると、第1突起211は、脚部取付け部110sの第3凸部123を乗り越え、肩部115sと当接する。作業者は、脚部20sをローポジションで固定するため、脚部20sを閉脚方向へ移動させ、第1突起211を第3凸部123へ係止させる。これにより、三脚1sの脚部20sをローポジションに調整することができる。
【0076】
このような構成を有する本変形例に記載の三脚1sは、ハイポジションからローポジションまで上述の三脚1と同様に開脚角度を調整することができる。また、本変形例に記載の三脚1sは、第2突起213sが第1凸部121と当接することにより、第2位置と第1位置とを切替える構成としている。
【0077】
このため、第2位置から第1位置への切り替えポイントが段部130から第1凸部121へ変わり、
図9に示すように、切り替え時に第1突起211が肩部115sと当接する。
【0078】
第1突起211が肩部115sと当接することにより、脚部20sは、さらに開脚することができる。すなわち、脚部20sは、雲台(図示せず)側へ約180度反転することができる。具体的には、第2突起213sが第3凸部123を超え、外周面113sの湾曲面に沿ってスライド可能とすることにより、脚部20sはローポジションを超えて回動し、脚部20sの位置を反転させることができる。
【0079】
このような反転機構を備えたことにより、三脚1sは、雲台(図示せず)を内側に取り込むように脚部20sを折り畳むことができる(図示せず)。これにより、雲台の高さ分三脚1sの全長を短くすることが可能となる。
【0080】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]筒体の外周面に3つの脚部取付け部を放射状に備える基体と、
前記基体の前記脚部取付け部にそれぞれ連結される脚部と、
を有し、前記脚部の開脚角度を複数段階に調整可能な三脚であって、
前記脚部の一端に設けられ、挟持部が延設された基端面を有する連結具と、
前記脚部取付け部と前記連結具との間に配置され、前記脚部の開脚角度を調整する操作レバーと、を備え、
前記脚部取付け部は、前記操作レバーと対向する外周面の一部に前記脚部の開脚角度を規定し前記操作レバーを係止する複数の凸部を備え、
前記操作レバーは、前記凸部の一つと係止し開脚角度を規定する第1突起と、
前記凸部と前記第1突起とが接触する第1位置と、前記凸部と前記第1突起とが離間する第2位置と、を切り替えるカム状突起と、
を備えることを特徴とする三脚。
[2]前記脚部取付け部には、前記操作レバーの位置を切替える段部が設けられ、
前記操作レバーには、前記カム状突起の反対側に設けられ、前記段部と当接し前記第2位置にある前記操作レバーを前記第1位置へ切り替える第2突起が設けられていることを特徴とする[1]に記載の三脚。
[3]前記操作レバーには、前記カム状突起の反対側に設けられ、前記凸部と当接し前記第2位置にある前記操作レバーを前記第1位置へ切り替える第2突起が設けられていることを特徴とする[1]に記載の三脚。
[4]前記切替手段は、前記第1位置において、前記第1突起を前記凸部と係止する方向に前記操作レバーの前記カム状突起の第1面を付勢するとともに、前記第2位置において、前記第1突起を前記凸部から離間する方向に前記操作レバーの前記カム状突起の第2面を付勢する付勢機構を備えることを特徴とする[1]に記載の三脚。
[5]前記付勢機構は、前記連結具の前記基端面に設けられる前記カム状突起と当接するボールと、前記ボールを前記操作レバーへ向かって押圧するスプリングとを備えることを特徴とする[4]に記載の三脚。
[6]筒体の外周面に3つの脚部取付け部を放射状に備える基体と、
前記基体の前記脚部取付け部にそれぞれ連結される脚部と、
を有する複数段階に前記脚部の開脚角度を調整可能な三脚であって、
前記脚部の一端に設けられ、挟持部が延設された基端面を有する連結具と、
前記脚部取付け部と前記連結具の前記基端面との間に配置され、前記脚部の開脚角度を調整する操作レバーと、を備え、
前記脚部取付け部は、前記操作レバーと対向する外周面の一部に前記脚部の開脚角度を規定し前記操作レバーを係止する複数の凸部と、前記操作レバーの位置を切替える段部とを備え、
前記操作レバーは、前記凸部の一つと係止し開脚角度を規定する第1突起と、
前記凸部と前記第1突起とが接触する第1位置と、前記凸部と前記第1突起とが離間する第2位置と、を切り替えるカム状突起と、
前記第2位置にある前記操作レバーを前記段部と当接させることにより、前記操作レバーを前記第1位置へ切り替える前記カム状突起の反対側に設けられる第2突起と、を有し、
前記脚部は、前記操作レバーを前記第2位置へ操作し、開脚を開始するとともに前記脚部取付け部の外周面に沿って移動する前記第2突起が前記段部と当接することにより、前記操作レバーが前記第1位置へ切り替わるとともに、前記第1突起と前記凸部が係止し、前記脚部を最大開脚位置で係止することを特徴とする三脚。
[7]筒体の外周面に3つの脚部取付け部を放射状に備える基体と、
前記基体の前記脚部取付け部にそれぞれ連結される脚部と、
を有する複数段階に前記脚部の開脚角度を調整可能な三脚であって、
前記脚部の一端に設けられ、挟持部が延設された基端面を有する連結具と、
前記脚部取付け部と前記連結具の前記基端面との間に配置され、前記脚部の開脚角度を調整する操作レバーと、を備え、
前記脚部取付け部は、前記操作レバーと対向する外周面の一部に前記脚部の開脚角度を規定し前記操作レバーを係止する複数の凸部と、前記操作レバーの位置を切替える段部とを備え、
前記操作レバーは、前記凸部の一つと係止し開脚角度を規定する第1突起と、
前記凸部と前記第1突起とが接触する第1位置と、前記凸部と前記第1突起とが離間する第2位置と、を切り替えるカム状突起と、
前記第2位置にある前記操作レバーを前記凸部と当接させることにより、前記操作レバーを前記第1位置へ切り替える前記カム状突起の反対側に設けられる第2突起と、を有し、
前記脚部は、前記操作レバーを前記第2位置へ操作し、開脚を開始するとともに前記脚部取付け部の外周面に沿って移動する前記第2突起が前記段部と当接することにより、前記操作レバーが前記第1位置へ切り替わるとともに、前記第1突起と前記凸部が係止し、前記脚部を最大開脚位置で係止することを特徴とする三脚。