(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
他の無線通信装置へ向けて第1フレームを複数回送信した場合の、前記第1フレームの送信後予め設定された第1基準時間内に前記他の無線通信装置から確認応答フレームを受信する確率である送信成功確率を算出する送信成功確率算出部と、
第2基準時間内における前記第1フレームの送信試行可能回数を算出する送信試行可能回数算出部と、
前記送信成功確率と前記送信試行可能回数とから、前記第2基準時間内で前記第1フレームを前記送信試行可能回数だけ繰り返し送信しても前記他の無線通信装置から前記確認応答フレームを受信しない確率であるタイムアウト発生率を算出するタイムアウト発生率算出部と、
前記タイムアウト発生率が予め設定された発生率閾値以下であるか否かに応じて前記他の無線通信装置との通信に用いる符号化・変調方式を選定する選定部と、を備える、
無線通信装置。
前記送信試行可能回数算出部は、前記第1フレームの送信に用いる符号化・変調方式に対応する送信レートと、前記第1フレームに含まれるデータのサイズと、に基づいて、前記第1フレームの送信の際の帯域占有時間を算出し、前記帯域占有時間に対する前記第2基準時間の比率に基づいて、前記送信試行可能回数を算出する、
請求項1に記載の無線通信装置。
前記他の無線通信装置へ向けて第2フレームを複数回送信した場合、前記第2フレームの送信後予め設定された第3基準時間内に前記他の無線通信装置から確認応答フレームを受信したか否かに基づいて、前記他の無線通信装置が通信可能な状態であるか否かを判定する判定部を更に備える、
請求項1または2に記載の無線通信装置。
他の無線通信装置へ向けて第1フレームを複数回送信した場合の、前記第1フレームの送信後予め設定された第1基準時間内に前記他の無線通信装置から確認応答フレームを受信する確率である送信成功確率を算出するステップと、
第2基準時間内における前記第1フレームの送信試行可能回数を算出するステップと、
前記送信成功確率と前記送信試行可能回数とから、前記第2基準時間内で前記第1フレームを前記送信試行可能回数だけ繰り返し送信しても前記他の無線通信装置から前記確認応答フレームを受信しない確率であるタイムアウト発生率を算出するステップと、
前記タイムアウト発生率が予め設定された発生率閾値以下であるか否かに応じて前記他の無線通信装置との通信に用いる符号化・変調方式を選定するステップと、を含む、
無線通信方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る通信システムについて図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
本実施の形態に係る無線通信装置は、特定の無線通信装置と半永続的に無線通信を行うものである。この無線通信装置は、通信相手となる特定の無線通信装置との間での通信に適した符号化・変調方式(以下、「MCS(Modulation and Coding Scheme)」と称する。)を選定する機能を有する。そして、無線通信装置は、その設置時において特定の無線通信装置との間での通信に適したMCSを選定し、以後、選定したMCSで特定の無線通信装置と通信を行う。これにより、この無線通信装置と特定の無線通信装置との間での通信におけるフレームロスが低減される。無線通信装置は、複数のMCSで通信相手となる特定の無線通信装置へ複数回検査用フレームの送信を試行したときの送信成功確率と、検査用フレームのサイズと、に基づいて、検査用フレームのタイムアウト発生率を算出する。そして、無線通信装置は、算出したタイムアウト発生率に基づいて、特定の無線通信装置との通信に適したMCSを選定する。
【0013】
本実施の形態に係る無線通信システムの一例としては、
図1に示すように、無線通信装置1、2と、PC(Personal Computer)3と、モニタ4と、を備える。無線通信装置1は、PC3と信号線L1を介して接続されている。無線通信装置2は、モニタ4と信号線L2を介して接続されている。PC3は、映像データを生成し、生成した映像データを、信号線L1を通じて無線通信装置1へ出力する。無線通信装置1は、PC3から入力される映像データを無線信号に変換して無線通信装置2へ送信する。無線通信装置2は、無線通信装置1から受信した無線信号を、映像データに変換してモニタ4へ出力する。モニタ4は、無線通信装置2から入力される映像データに基づいて映像を表示する。なお、本実施の形態に係る無線通信システムは
図1に示した映像データの転送への応用に限らない。たとえば、工場内のネットワークにおいて、2つの無線通信装置の位置関係は変化しないが、その双方を有線ネットワークで接続することが場内レイアウトの関係上困難な場合などにも適用される。また、本実施の形態に係る無線通信システムは、無線通信装置1と無線通信装置2の1対1の通信を示しているが、1対Nの通信においても適用が可能である。
【0014】
次に、本実施の形態に係る無線通信装置1のハードウェア構成について説明する。無線通信装置1は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、インタフェース104と、無線モジュール105と、を備える。主記憶部102は、揮発性メモリから構成され、CPU101の作業領域として使用される。補助記憶部103は、不揮発性のメモリから構成され、制御プログラムやコンテンツ等を記憶する。CPU101は、補助記憶部103が記憶する制御プログラムを主記憶部102に読み込んで実行する。インタフェース104は、PC3に接続され、PC3との間で送受信されるデータのプロトコル変換を実行する。
【0015】
無線モジュール105は、無線通信装置2との間で通信リンクを確立し、無線通信を行う。無線モジュール105は、無線信号を生成する信号生成回路とアンテナとを有する。無線モジュール105は、例えばIEEE802.11a,b,g,n等の無線LAN規格に適合する通信方式で通信する。
【0016】
次に、本実施の形態に係る無線通信装置1の機能構成について説明する。無線通信装置1では、補助記憶部103が記憶する制御プログラムをCPU101が主記憶部102に読み込んで実行することにより、
図3に示す、各部として機能する。具体的には、CPU101は、判定部111、モジュール制御部112、フレーム生成部113、送信成功確率算出部114、送信試行可能回数算出部115、タイムアウト発生率算出部116、選定部117、情報出力部118として機能する。また、補助記憶部103は、設定情報記憶部131と、DBPS情報記憶部132と、検査結果記憶部133と、を有する。更に、主記憶部102には、成功/失敗回数記憶領域121と宛先確認用判定結果記憶領域122と判定結果履歴記憶領域123とが設けられている。成功/失敗回数記憶領域121は、検査用フレームの送信成功回数、送信失敗回数を記憶する。宛先確認用判定結果記憶領域122は、後述の宛先確認処理で使用される。判定結果履歴記憶領域123は、検査用フレームの送信成功または送信失敗の判定結果の履歴を記憶する。また、主記憶部102は、後述の成功/失敗回数集計処理の繰り返し回数をカウントするための集計処理カウンタと、無線通信装置1、2間での通信状態を示すステータスフラグと、を記憶する。更に、主記憶部102は、検査用フレームの送信が成功したか失敗したかの判定を繰り返す回数をカウントするための判定カウンタを記憶する。
【0017】
設定情報記憶部131は、無線通信装置1の通信相手である無線通信装置2のMACアドレスと、通信に使用するチャネルと、を記憶する。また、設定情報記憶部131は、無線通信装置1への検査用フレーム、確認用フレームの送信の成否を判定するために用いられる第1基準時間、第2基準時間および第3基準時間と、後述のMCS設定処理で用いられるタイムアウト発生率に対する発生率閾値と、を記憶する。更に、設定情報記憶部131は、検査用フレームのサイズと、後述の成功/失敗回数集計処理の繰り返し回数である集計処理繰り返し回数と、後述の宛先確認処理において確認用フレームを繰り返し送信する回数を規定する宛先確認用送信回数と、を記憶する。集計処理繰り返し回数および宛先確認用送信回数は、いずれも予め設定されており、例えば1000回に設定されている。また、設定情報記憶部131は、検査用フレームの送信が成功したか失敗したかの判定の繰り返し回数を定める判定繰り返し回数を記憶する。この判定繰り返し回数は、予め設定されており、例えば100回に設定されている。
【0018】
DBPS情報記憶部132は、例えば
図4に示すように、1シンボル当たりのビット数(Data Bit Per Symbol:DBPS)を、各MCSを識別するMCS値に対応づけて記憶している。
【0019】
結果記憶部133は、複数のMCSで無線通信装置2へ検査用フレームを複数回送信した場合の送信成功確率と、タイムアウト発生率と、を、MCS値に対応づけて記憶している。また、結果記憶部133は、検査用フレームのサイズと、検査用フレーム送信失敗の判定に用いられる判定時間と、各MCS値に対応するDBPSと、から定まる送信試行可能回数を、MCS値に対応づけて記憶している。
【0020】
フレーム生成部113は、無線通信装置1の通信相手である無線通信装置2が通信可能な状態であるか否かを確認するために用いられる確認用フレームと、無線通信装置2との通信に適したMCSを選定するために用いられる検査用フレームと、を生成する。
【0021】
モジュール制御部112は、無線モジュール105の起動および停止を実行する。また、モジュール制御部112は、フレーム生成部113により生成される確認用フレーム、検査用フレームを、無線モジュール105を介して無線通信装置2に向けて送信する。
【0022】
判定部111は、設定情報記憶部131が記憶する使用チャネルが使用可能であるか否かを判定する。具体的には、判定部111は、例えば使用チャネルが日本国内で使用可能であるか否かを判定する。この場合、例えば補助記憶部103が予め日本国内で使用可能なチャネルを示すチャネル情報を記憶し、判定部111は、このチャネル情報を参照して、使用チャネルが使用可能であるか否かを判定する。また、判定部111は、無線通信装置1の通信相手となる無線通信装置2が通信可能な状態であるか否かを判定する。ここにおいて、判定部111は、無線通信装置2へ向けて確認用フレーム(第2フレーム)を複数回送信した場合、確認用フレームの送信後第3基準時間内に無線通信装置2からACK(ACKnowledge)フレーム(確認応答フレーム)を受信する場合があるか否かを判定する。この第3基準時間は、予め設定されており、例えば4msecに設定されている。判定部111は、無線通信装置2が存在しないと判定されると、インタフェース104を介してPC3へアラーム情報を出力する。
【0023】
送信成功確率算出部114は、無線通信装置2へ向けて検査用フレーム(第1フレーム)を複数回送信した場合の、検査用フレームの送信後第1基準時間内に無線通信装置2からACKフレームを受信する確率である送信成功確率を算出する。第1基準時間は、予め設定されており、例えば4msecに設定される。送信成功確率算出部114は、無線通信装置2へ向けて検査用フレームを複数回送信した場合の送信成功回数と送信失敗回数とを集計する後述の成功/失敗回数集計処理の繰り返し実行することにより送信成功確率を算出する。送信成功確率算出部114は、算出した各MCS値に対応する送信成功確率を、結果記憶部133に記憶させる。
【0024】
送信試行可能回数算出部115は、第2基準時間内における検査用フレームの送信試行可能回数を算出する。送信試行可能回数算出部115は、検査用フレームの送信に用いるMCSに対応するDBPS(Data Bit Per Symbol:送信レート)と、検査用フレームに含まれるデータのサイズと、に基づいて、検査用フレームの送信の際の帯域占有時間を算出する。そして、送信試行可能回数算出部115は、算出した帯域占有時間に対する第2基準時間の比率に基づいて、送信試行可能回数を算出する。具体的には、送信試行可能回数算出部115は、まず、設定情報記憶部131から検査用フレームのサイズを取得し、DBPS情報記憶部132から送信試行可能回数を算出する対象のMCSに対応するDBPSを取得する。そして、送信試行可能回数算出部115は、下記式(1)の関係式を用いて、送信試行可能回数を算出する対象のMCSで検査用フレームを送信する場合の帯域占有時間を算出する。
【数1】
・・・式(1)
ここで、jはMCS値を示し、TX(j)は、MCS値「j」に対応するMCSで検査用フレームを送信する場合の帯域占有時間を示し、Lは検査用フレームサイズ、DBPS(j)は、MCS値「j」に対応するDBPSを示す。また、TX
PREは検査用フレームのプリアンブルの帯域占有時間を示し、TX
symは1シンボル当たりの帯域占有時間を示し、TX
ACKは無線通信装置2から送信されるACKフレームの待ち時間を示す。なお、Roundup(*)は、数値*の小数点以下の切り上げを行う関数を示している。例えば、検査用フレームのサイズLが、1000バイト(8000ビット)、送信試行可能回数を算出する対象のMCSのMCS値が「13」、検査用フレームのプリアンブルの帯域占有時間TX
PREおよびACKフレームの待ち時間TX
ACKがそれぞれ40μsec、1シンボル当たりの帯域占有時間TX
symが3.6μsecであるとする。この場合、検査用フレームを送信する場合の帯域占有時間TX(j)は、152μsecになる。
【0025】
そして、送信試行可能回数算出部115は、前述の式(1)を用いて算出した帯域占有時間と、第2基準時間と、から、送信試行可能回数を算出する。具体的には、送信試行可能回数算出部115は、下記式(2)の関係式を用いて送信試行可能回数を算出する。
【数2】
・・・式(2)
ここで、jはMCS値を示し、R(j)はMCS値「j」に対応するMCSで検査用フレームを送信する場合の送信試行可能回数を示す。また、TX(j)はMCS値「j」に対応するMCSで検査用フレームを送信する場合の帯域占有時間を示し、Sは第2基準時間を示す。なお、Rounddown(*)は、数値*の小数点以下の切り捨てを行う関数を示している。例えば、検査用フレームを送信する場合の帯域占有時間TX(j)が、152μsecであり、第2基準時間が4msecであるとする。この場合、検査用フレームの送信試行可能回数は、26回となる。また、送信試行可能回数算出部115は、算出した各MCS値に対応する送信試行可能回数を、結果記憶部133に記憶させる。
【0026】
タイムアウト発生率算出部116は、送信成功確率と送信試行可能回数とから、第2基準時間内で検査用フレームを送信試行可能回数だけ繰り返し送信しても無線通信装置2からACKフレームを受信しない確率であるタイムアウト発生率を算出する。タイムアウト発生率算出部116は、下記式(3)の関係式を用いてタイムアウト発生率を算出する。
【数3】
・・・式(3)
ここで、jはMCS値を示し、B(j)はMCS値「j」に対応するMCSで検査用フレームを送信する場合のタイムアウト発生率を示す。また、P(j)は、検査用フレームの送信成功確率を示し、R(j)はMCS値「j」に対応するMCSで検査用フレームを送信する場合の送信試行可能回数を示す。タイムアウト発生率算出部116は、算出した各MCS値に対応するタイムアウト発生率を、結果記憶部133に記憶させる。
【0027】
選定部117は、設定情報記憶部131から発生率閾値を取得する。そして、選定部117は、結果記憶部133が記憶する各MCS値に対応するタイムアウト発生率を参照して、複数のMCS値の中から、検査用フレームを送信する場合のタイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCSを選定する。発生率閾値は、予め設定されており、例えば1×10
−16に設定される。選定部117は、選定したMCS値を設定情報記憶部131に記憶させる。
【0028】
情報出力部118は、結果記憶部133が記憶する各MCS値に対応する送信成功確率、送信試行可能回数およびタイムアウト発生率を示す情報を、インタフェース104を介してPC3へ出力する。
【0029】
次に、本実施の形態に係る無線通信装置1が実行するMCS設定処理について
図5乃至
図7を参照しながら詳細に説明する。このMCS設定処理は、無線通信装置1、2間での通常の無線通信を開始する前に、無線通信装置1,2間での通信に用いる適切なMCSを無線通信装置1に設定する処理である。このMCS設定処理は、例えば無線通信装置1がユーザにより定められた場所に設置された後、無線通信装置1へ電源が投入されたことを契機として開始される。なお、無線通信装置1は、このMCS設定処理の開始時において、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)の通信手順を実行せず、フレームアグリゲーションも実行しない設定となっている。まず、判定部111は、ユーザにより設定され設定情報記憶部131が記憶する各種情報を取得する(ステップS1)。この各種情報には、前述の無線通信装置2のMACアドレス、使用チャネル、第1基準時間、第2基準時間、第3基準時間、発生率閾値、検査用フレームのサイズ、集計処理繰り返し回数、を示す情報が含まれる。
【0030】
次に、判定部111は、使用チャネルが使用可能であるか否かを判定する(ステップS2)。判定部111は、使用チャネルが使用不可能と判定すると(ステップS2:No)、インタフェース104を介してPC3へアラーム情報を出力する(ステップS3)。そして、MCS設定処理が終了する。
【0031】
一方、判定部111が、使用チャネルが使用可能であると判定すると(ステップS2:Yes)、モジュール制御部112が、無線モジュール105を起動する(ステップS4)。続いて、判定部111は、設定情報記憶部131が記憶するフレームの再送回数を「0」回に設定する(ステップS5)。これにより、無線通信装置1は、フレームの送信を失敗してもフレームの再送を行わなくなる。
【0032】
その後、取得したMACアドレスが付与された無線通信装置2が通信可能な状態であるか否かを判定する宛先確認処理が実行される(ステップS6)。この宛先確認処理が実行されることにより、無線通信装置2との通信状態を示すステータスフラグの内容が設定される。ステータスフラグは、無線通信装置2との通信が可能な場合「0」に設定され、無線通信装置2との通信が不可能な場合「−1」に設定される。この宛先確認処理の詳細は後述する。
【0033】
続いて、判定部111は、ステータスフラグが「−1」に設定されていると判定すると(ステップS7:No)、インタフェース104を介してPC3へアラーム情報を出力する(ステップS3)。そして、MCS設定処理が終了する。
【0034】
一方、判定部111によりステータスフラグが「0」に設定されていると判定されたとする(ステップS7:Yes)。この場合、送信成功確率算出部114が、設定情報記憶部131から検査用フレームのサイズを示すサイズ情報を取得する(ステップS8)。その後、フレーム生成部113は、送信成功確率算出部114が取得したサイズ情報が示すフレームサイズの検査用フレームを生成する(ステップS9)。
【0035】
次に、送信成功確率算出部114は、成功/失敗回数集計処理の繰り返し回数をカウントするための集計処理カウンタiを「0」に設定する(ステップS10)。次に、無線通信装置1から無線通信装置2へ予め設定された数のフレームを送信したときの送信成功回数と送信失敗回数とを集計する成功/失敗回数集計処理が実行される(ステップS11)。この成功/失敗回数集計処理の詳細は後述する。
【0036】
続いて、送信成功確率算出部114は、成功/失敗回数集計処理により算出されたMCS値毎の送信成功回数と送信失敗回数を、成功/失敗回数記憶領域121に記憶されているMCS値毎の送信成功回数、送信失敗回数それぞれに加算する(ステップS12)。成功/失敗回数記憶領域121が記憶するMCS値毎の送信成功回数と送信失敗回数の初期値は「0」に設定されている。そして、成功/失敗回数集計処理が実行される毎にMCS値毎の送信成功回数と送信失敗回数とが更新されていく。
【0037】
その後、送信成功確率算出部114は、集計処理カウンタiを「1」だけインクリメントする(ステップS13)。次に、送信成功確率算出部114は、集計処理カウンタiの値が、設定情報記憶部131から取得した集計処理繰り返し回数imax未満であるか否かを判定する(ステップS14)。送信成功確率算出部114により集計処理カウンタiの値が集計処理繰り返し回数imax未満であると判定されると(ステップS14:Yes)、再びステップS11の処理が実行される。
【0038】
一方、送信成功確率算出部114は、集計処理カウンタiの値が集計処理繰り返し回数imax以上であると判定すると(ステップS14:No)、
図6に示すように、成功/失敗回数記憶領域121に記憶されているMCS値毎の送信成功回数、送信失敗回数から、MCS値毎の送信成功確率を算出する(ステップS15)。送信成功確率算出部114は、算出したMCS値毎の送信成功確率を結果記憶部133に記憶させる。
【0039】
続いて、送信試行可能回数算出部115は、第2基準時間内における検査用フレームの送信試行可能回数を算出する(ステップS16)。ここにおいて、送信試行可能回数算出部115は、前述のように、検査用フレームの送信に用いるMCSに対応するDBPSと、検査用フレームに含まれるデータのサイズと、に基づき、式(1)を用いて、検査用フレームの送信の際の帯域占有時間を算出する。そして、送信試行可能回数算出部115は、算出した帯域占有時間に対する第2基準時間の比率に基づき、式(2)を用いて、送信試行可能回数を算出する。送信試行可能回数算出部115は、算出したMCS値毎の送信試行可能回数を結果記憶部133に記憶させる。
【0040】
その後、タイムアウト発生率算出部116は、前述のように、送信成功確率と送信試行可能回数とから、式(3)を用いて、第2基準時間内で検査用フレームを送信試行可能回数だけ繰り返し送信しても無線通信装置2からACKフレームを受信しない確率であるタイムアウト発生率を算出する(ステップS17)。ここにおいて、タイムアウト発生率算出部116は、MCS値毎に、送信成功確率と送信試行可能回数とから、送信タイムアウト確率を算出する。タイムアウト発生率算出部116は、算出した各MCS値に対応する送信タイムアウト確率を、結果記憶部133に記憶させる。
【0041】
次に、情報出力部118は、結果記憶部133が記憶する各MCS値に対応する送信成功確率、送信試行可能回数および送信タイムアウト確率を示す情報を、インタフェース104を通じてPC3へ出力する(ステップS18)。ここで、PC3は、無線通信装置1から各MCS値に対応する送信成功確率、送信試行可能回数および送信タイムアウト確率を示す情報が入力されると、例えば
図7に示すように、各情報を表示部に表示する。これにより、ユーザは、PC3に接続された表示部を介して、各MCS値に対する送信成功確率、送信試行可能回数および送信タイムアウト確率を把握することができる。
【0042】
図6に戻って、続いて、選定部117は、結果記憶部133が記憶する各MCS値に対応する送信タイムアウト確率に基づいて、無線通信装置1と無線通信装置2との間での通信に適した1つのMCSを選定する(ステップS19)。その後、選定部117は、選定したMCS値を設定情報記憶部131に記憶させる(ステップS20)。
【0043】
次に、判定部111は、設定情報記憶部131が記憶するフレームの再送回数を予め設定された1以上の回数に設定する(ステップS21)。これにより、無線通信装置1は、予め設定された回数だけフレームの送信を失敗してもフレームの再送を行う。その後、MCS設定処理が終了する。
【0044】
このMCS設定処理の終了後、無線通信装置1はこのMCS設定処理により設定されたMCSで無線通信装置2との間の実際の通信を開始する。
【0045】
次に、本実施の形態に係る無線通信装置1が実行する宛先確認処理について
図8を参照しながら詳細に説明する。まず、判定部111は、設定情報記憶部131が記憶するMCS値を「0」に設定する(ステップS601)。これにより、無線通信装置1は、確認用フレームが最も無線通信装置2へ到達し易いMCSで無線通信装置2との通信を実行することになる。
【0046】
その後、フレーム生成部113は、無線通信装置1の通信相手が通信可能な状態であるか否かを確認するための確認用フレームを生成する(ステップS602)。この確認用フレームは、例えば無線通信装置1の通信相手となる無線通信装置2に付与されたMACアドレスを宛先とするフレームから構成される。
【0047】
次に、モジュール制御部112は、フレーム生成部113により生成された確認用フレームを、無線モジュール105を介して無線通信装置2へ送信する(ステップS603)。ここで、無線通信装置2は、無線通信装置1から確認用フレームを受信すると、ACKフレームを無線通信装置1へ送信する。
【0048】
続いて、判定部111は、確認用フレームの送信が成功したか失敗したかを判定する(ステップS604)。ここにおいて、判定部111は、モジュール制御部112が確認用フレームを送信した後、第3基準時間が経過するまでの間に無線通信装置2からACKフレームを受信した場合、確認用フレームの送信が成功したと判定する。一方、判定部111は、モジュール制御部112が確認用フレームを送信した後、第3基準時間が経過するまでの間にACKフレームを受信しない場合、確認用フレームの送信が失敗したと判定する。第3基準時間は、予め設定されており、例えば4msecに設定される。その後、判定部111は、確認用フレームの送信の成否の判定結果を示す判定結果情報を、宛先確認用判定結果記憶領域122に記憶させる(ステップS605)。
【0049】
その後、判定部111は、確認用フレームの送信回数が、設定情報記憶部131から取得した宛先確認用送信回数Nに到達したか否かを判定する(ステップS606)。判定部111により確認用フレームの送信回数が宛先確認用送信回数Nに到達していないと判定されると(ステップS606:No)、再びステップS603の処理が実行される。
【0050】
一方、判定部111は、確認用フレームの送信回数が宛先確認用送信回数Nに到達したと判定すると(ステップS606:Yes)、宛先確認用判定結果記憶領域122を参照して、確認用フレームの送信が1回以上成功したか否かを判定する(ステップS607)。判定部111は、確認用フレームの送信が1回以上成功したと判定すると(ステップS607:Yes)、無線通信装置2が通信可能な状態であるか否かを示すステータスフラグを「0」に設定する(ステップS608)。一方、判定部111は、確認用フレームの送信が全て失敗したと判定すると(ステップS607:No)、ステータスフラグを「−1」に設定する(ステップS609)。その後、前述の
図5のステップS7の処理が実行される。
【0051】
次に、本実施の形態に係る無線通信装置1が実行する成功/失敗回数集計処理について
図9を参照しながら詳細に説明する。まず、送信成功確率算出部114は、検査用フレームの送信が成功したか失敗したかの判定を繰り返す回数をカウントするための判定カウンタの値xを「1」に設定する(ステップS1101)。次に、送信成功確率算出部114は、検査用フレームの送信が成功したか失敗したかを判定する対象のMCS値を「0」に設定する(ステップS1102)。具体的には、送信成功確率算出部114は、設定情報記憶部131が記憶するMCS値を「0」に設定する。
【0052】
続いて、モジュール制御部112は、設定情報記憶部131が記憶するMCS値に対応するDBPSで無線通信装置2へ検査用フレームを送信する(ステップS1103)。ここで、無線通信装置2は、無線通信装置1から検査用フレームを受信すると、ACKフレームを無線通信装置1へ送信する。
【0053】
その後、送信成功確率算出部114は、検査用フレームの送信が成功したか失敗したかを判定する(ステップS1104)。ここにおいて、送信成功確率算出部114は、モジュール制御部112が検査用フレームを送信した後、予め設定された第1基準時間が経過するまでの間にACKフレームを受信した場合、検査用フレームの送信が成功したと判定する。一方、送信成功確率算出部114は、モジュール制御部112が検査用フレームを送信した後、第1基準時間が経過するまでの間にACKフレームを受信しない場合、検査用フレームの送信が失敗したと判定する。第1基準時間は、例えば4msecに設定される。その後、送信成功確率算出部114は、検査用フレームの送信の成否の判定結果を示す判定結果情報を、判定結果履歴記憶領域123に記憶させる(ステップS1105)。
【0054】
次に、送信成功確率算出部114は、検査用フレームの送信が成功したか失敗したかを判定する対象のMCS値を「1」だけインクリメントする(ステップS1106)。続いて、送信成功確率算出部114は、判定対象のMCS値が無線通信装置2との通信に用いる可能性のあるMCS値のうちの最大のMCS値以下であるか否かを判定する(ステップS1107)。送信成功確率算出部114により判定対象のMCS値が最大のMCS値以下であると判定されると(ステップS1107:Yes)、再びステップS1103の処理が実行される。
【0055】
一方、送信成功確率算出部114は、判定対象のMCS値が最大のMCS値よりも大きいと判定すると(ステップS1107:No)、判定カウンタの値xを「1」だけインクリメントする(ステップS1108)。その後、送信成功確率算出部114は、判定カウンタの値xが、設定情報記憶部131から取得した判定繰り返し回数xmax以下であるか否かを判定する(ステップS1109)。送信成功確率算出部114により判定カウンタの値xが判定繰り返し回数xmax以下であると判定されると(ステップS1109:Yes)、再びステップS1102の処理が実行される。
【0056】
一方、送信成功確率算出部114は、判定カウンタの値xが判定繰り返し回数xmaxよりも大きいと判定すると(ステップS1109:No)、判定結果履歴記憶領域123に記憶されている判定結果の履歴を参照して、MCS値毎に検査用データの送信成功回数と送信失敗回数との結果を集計する(ステップS1110)。その後、前述の
図5のステップS12の処理が実行される。
【0057】
次に、本実施の形態に係る無線通信装置1が、MCS値「0」乃至「7」に対応するMCSで無線通信装置2と通信を行った場合における、送信成功確率とそれらに対応するタイムアウト発生率との一例を下記表1に示す。
【0059】
ここで、タイムアウト発生率閾値が1×10
−16に設定されているとすると、選定部117は、MCS値「3」乃至「6」のうちのいずれか1つを選定する。
ところで、無線通信装置には、例えばMCS値を最大値に設定して他の無線通信装置との間で通常の通信(以下、「通常運用」と称する。)を開始し、通常運用開始後のフレームロス発生率に応じてMCS値を段階的に小さく設定していくものがある(以下、この種の無線通信装置を「比較例に係る無線通信装置」と称する。)。この比較例に係る無線通信装置の場合、
図10(A)に示すように、時刻T10に無線モジュールを起動して通常運用を開始する。そうすると、
図10(A)の曲線C1に示すように、時刻T0から無線通信装置が適当なMCSを探索している間、フレームロス発生率が高くなってしまう。
【0060】
これに対して、本実施の形態に係る無線通信装置1によれば、タイムアウト発生率算出部116が、検査用フレームの送信成功確率と送信試行可能回数とから、タイムアウト発生率を算出し、選定部117が、タイムアウト発生率が予め設定された発生率閾値以下であるか否かに応じて無線通信装置2との通信に用いるMCSを選定する。これにより、例えば無線通信装置1は、まず、選定部117がタイムアウト発生率の低いMCS値を選定してから、選定されたMCS値に対応するMCSで無線通信装置2との通常の通信を開始することが可能となる。即ち、本実施の形態に係る無線通信装置1の場合、
図10(B)に示すように、時刻T20に無線モジュール105を起動してから、まず、MCS設定処理を実行することにより適切なMCSを設定する。そして、無線通信装置1は、時刻T21にMCSの設定が完了してから通常運用を開始する。これにより、
図10(B)の曲線C2に示すように、時刻T21以降において、フレームロス発生率が比較的低いレベルで安定した状態で推移する。このように、本実施の形態に係る無線通信装置1は、比較例に係る無線通信装置のように通常運用を開始した後に他の無線通信装置との通信に適したMCSを探索する構成に比べて、フレームロスが低減されるという利点がある。
【0061】
また、本実施の形態に係る送信試行可能回数算出部115は、検査用フレームの送信に用いるMCSに対応するDBPSと、検査用フレームに含まれるデータのサイズと、に基づいて、検査用フレームの送信の際の帯域占有時間を算出する。そして、送信試行可能回数算出部115は、算出した帯域占有時間に対する第2基準時間の比率に基づいて、送信試行可能回数を算出する。これにより、タイムアウト発生率算出部116は、タイムアウト発生率を精度良く算出することができるので、選定部117が、無線通信装置1、2間の通信状況に適したMCSを選定できる。
【0062】
更に、本実施の形態に係る無線通信装置1は、確認用フレームの送信後予め設定された第3基準時間内に無線通信装置2からACKフレームを受信したか否かに基づいて、無線通信装置2が通信可能な状態であるか否かを判定する判定部111を備える。これにより、例えば無線通信装置2が無線通信装置1と通信不可能な状態で無駄にMCS設定処理が実行されることを防止できる。
【0063】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限
定されるものではない。実施の形態の説明では、第1基準時間、第2基準時間および第3基準時間をいずれも4msecとしている。これらの基準時間は、送信が成功するか否かを判断するための時間として、現実的には似通った数値になると考えられるが、もとよりこれら3種類の基準時間が同一である必要はない。
【0064】
また、例えば、選定部117が、まず、変調方式に基づいて複数のMCSを分類したときの各変調方式について、タイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCSの割合を算出する。そして、選定部117は、算出した割合が最大の変調方式に対応するMCSの中から無線通信装置2との通信に用いるMCSを選定する構成であってもよい。
【0065】
この変形例では、DBPS情報記憶部132が、例えば
図11に示すように各MCS値に対応する変調方式を示す情報を記憶するようにすればよい。そして、選定部117は、DBPS情報記憶部132の変調方式を示す情報を参照して、変調方式に基づいて複数のMCS値を分類するようにすればよい。
【0066】
次に、本変形例に係る無線通信装置1が実行するMCS設定処理について説明する。なお、本変形例に係る無線通信装置1が実行するMCS設定処理および宛先確認処理の内容は、実施の形態に係るMCS設定処理および宛先確認処理の内容と同様である。また、本変形例に係るMCS設定処理は、実施の形態に係るMCS設定処理において
図6のステップS19に示すMCS選定処理の内容のみが相違する処理である。以下、このMCS選定処理の内容について
図12を参照しながら詳細に説明する。まず、選定部117は、タイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合を算出する対象の変調方式を決定する(ステップS1901)。ここにおいて、例えば、選定部117は、変調方式BPSK、QPSK、16QAM、64QAMの中から対象とする変調方式を決定する。
【0067】
次に、選定部117は、決定された変調方式に分類されるMCS値を特定する(ステップS1902)。選定部117は、例えば決定した変調方式がBPSKである場合、MCS値として「0」「1」を特定する。
【0068】
続いて、選定部117は、特定したMCS値についてタイムアウト発生率が予め設定された発生率閾値以下である割合を算出する(ステップS1903)。例えば各MCS閾値についてのタイムアウト発生率が、実施の形態の表1に示す値を示したとする。そして、発生率閾値が10×
−16に設定されているとする。この場合、決定された変調方式がBPSKの場合、MCS値「0」、「1」のいずれについてもタイムアウト発生率が発生率閾値よりも大きいので、タイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合が「0」となる。一方、決定された変調方式が16QAMの場合、MCS値「4」、「5」のいずれについてもタイムアウト発生率が発生率閾値以下なので、タイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合が「1」となる。
【0069】
その後、選定部117は、未だタイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合を算出する対象となっていない変調方式が他に有るか否かを判定する(ステップS1904)。選定部117は、未だタイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合を算出する対象となっていない変調方式が他に有ると判定すると(ステップS1904:Yes)、再びステップS1901の処理を実行する。
【0070】
一方、選定部117は、全ての変調方式についてタイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合を算出したと判定すると(ステップS1904:No)、タイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合が最大の変調方式を特定する(ステップS1905)。例えば前述のように各MCS閾値についてのタイムアウト発生率が、実施の形態の表1に示す値を示したとする。そして、発生率閾値が10×
−16に設定されているとする。この場合、変調方式BPSKに分類されるMCS値「0」「1」の場合、それらの両方のタイムアウト発生率が発生率閾値よりも大きいので、タイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合が「0」である。また、変調方式QPSKに分類されるMCS値「2」「3」の場合、MCS値「2」ではタイムアウト発生率が発生率閾値よりも大きく、MCS値「3」ではタイムアウト発生率が発生率閾値以下である。従って、タイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合が「0.5」になる。変調方式16QAMに分類されるMCS値「4」「5」の場合、それらの両方のタイムアウト発生率が発生率閾値以下なので、タイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合が「1」になる。また、変調方式64QAMに分類されるMCS値「6」「7」の場合、MCS値「6」ではタイムアウト発生率が発生率閾値以下であり、MCS値「7」ではタイムアウト発生率が発生率閾値よりも大きい。従って、タイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合が「0.5」になる。このような場合、選定部117は、タイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合が最大の変調方式として変調方式16QAMを特定する。
【0071】
次に、選定部117は、タイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合が最大の変調方式の中からMCS値を選定する(ステップS1906)。例えば選定部117は、タイムアウト発生率が発生率閾値以下であるMCS値の割合が最大の変調方式として変調方式16QAMを特定した場合、MCS値「4」「5」のいずれかを選定する。その後、実施の形態で説明した
図6のステップS20の処理が実行される。
【0072】
本構成によれば、選定部117が、各MCS値に対応する変調方式に基づいてMCS値を選定する。これにより、無線通信装置2との通信により適切なMCSが選定され、無線通信装置1、2間の通信におけるフレームロスを確実に低減できるという利点がある。
【0073】
実施の形態では、無線通信装置1が1台の無線通信装置2のみと通信する例について説明したが、これに限らず、例えば無線通信装置1が、特定の複数の無線通信装置と通信する構成であってもよい。この場合、無線通信装置1は、その設置時において、特定の複数の無線通信装置それぞれに対してMCS設定処理を実行するようにすればよい。
【0074】
実施の形態では、選定部117が、選定したMCS値を設定情報記憶部131に記憶させることにより、無線通信装置1が無線通信装置2との間での通信に用いるMCSを設定する例について説明した。但し、これに限らず、例えば選定部117が、選定したMCS値を示す情報を、インタフェース104を介してPC3へ出力する構成であってもよい。この場合、PC3が、無線通信装置1から入力されるMCS値を表示部に表示する構成とし、ユーザが表示部に表示されたMCS値を確認して無線通信装置1が無線通信装置2との間での通信に用いるMCSを設定するようにすればよい。
【0075】
実施の形態において、無線通信装置1が、起動時に、1日24時間のうちの予め設定された複数の時刻にMCS設定処理を実行して各時刻におけるMCS値をその時刻に対応づけて設定情報記憶部131に記憶させる構成であってもよい。そして、無線通信装置1は、以後、予め設定された複数の時刻が到来する毎に、設定情報記憶部131が記憶する対応するMCS値に応じたMCSを用いて無線通信装置2と通信する構成であってもよい。
【0076】
本構成によれば、無線通信装置1、2間の通信状況が1日における複数の時間帯で変化する環境で使用される場合であっても無線通信装置1、2間の通信に適したMCSで無線通信装置1、2間の通信を行うことが可能となる。
【0077】
本発明に係る無線通信装置1の各種機能は、専用のシステムによらず、無線通信モジュールを備えるコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な非一時的な記録媒体(CD−ROM等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する無線通信装置1を構成してもよい。
【0078】
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線のサーバにアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OSの制御の下、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する無線通信装置1として機能する。
【0079】
以上、本発明の実施の形態および変形例(なお書きに記載したものを含む。以下、同様。)について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【解決手段】送信成功確率算出部114は、無線通信装置2へ向けて検査用フレームを複数回送信した場合において、検査用フレームの送信後予め設定された第1基準時間内に無線通信装置2からACKフレームを受信する確率である送信成功確率を算出する。送信試行可能回数算出部115は、第2基準時間内における検査用フレームの送信試行可能回数を算出する。タイムアウト発生率算出部116は、送信成功確率と送信試行可能回数とから、第2基準時間内で検査用フレームを送信試行可能回数だけ繰り返し送信しても無線通信装置2からACKフレームを受信しない確率であるタイムアウト発生率を算出する。選定部117は、タイムアウト発生率が予め設定された発生率閾値以下であるか否かに応じて無線通信装置2との通信に用いるMCSを選定する。