(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
載置部は、昇降部によって所定の位置まで上昇させた搬送部の搬送面よりも低位置に配されており、物品を物品姿勢変更装置に搬入する際においては、搬送部を当該所定の位置まで上昇させた状態にすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の物品姿勢変更装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、組み立てラインや配送場等(以下、単に配送場等という)においては、一時的に多くの物品を、搬送ライン上に保管しておく場合がある。そのため、限られた長さの搬送ライン上に出来る限り多くの物品を保管できるように、各物品の姿勢に配慮する必要がある。すなわち、配送場等で物品を保管する場合においては、各物品同士間隔を狭くし、さらにそれらの物品の搬送方向に占める長さが短くなる姿勢で並べることが望ましい。
【0005】
一方、前記同様の配送場等では、搬送ライン上の物品に何らかの作業を施す場合がある。例えば、検品作業や梱包作業等である。そのため、この種の作業の際には、各物品の配置や姿勢を、作業者が作業し得るように配慮する必要がある。すなわち、配送場等で物品に作業を施す場合においては、隣接する物品間の距離を一定以上離したり、物品の姿勢を所望の体勢に変更することが望ましい。
【0006】
このように、配送場等では、物品の「保管効率」を向上させるという観点からは、搬送ライン上に並べられた各物品を所定の姿勢にしつつ、物品同士の間隔を詰めて配する方が望ましく、「作業効率」を向上させるという観点からは、搬送ライン上に並べられた各物品の間隔を一定以上離したり、前記姿勢から所望の姿勢に変更する方が望ましい。しかしながら、現在の配送場等では、「保管効率」と「作業効率」の双方を共に向上させる方策が十分に図られていない。すなわち、現在では、「保管効率」を向上する方策を優先的に実施されており、「作業効率」を向上させる方策はとられていない。つまり、検品作業や梱包作業等を行う際においては、作業者自身が作業を施す対象たる物品の姿勢を所望の体勢に変更している。
【0007】
そこで、前記したターンテーブルを用いて、作業前の物品の姿勢を所望の体勢に変更する方策が勘案される。すなわち、前記したターンテーブルを、本来の使用目的とは異なる方法、つまり搬送する物品の姿勢を変更するためだけに用いる方法である。
【0008】
しかしながら、従来のターンテーブルは、前記したように、物品の搬送方向を変更するための装置であるため、単純に物品の姿勢変更手段として採用した場合、製造コストが嵩張る不満がある。すなわち、ターンテーブルによって、物品の搬送方向を変更する場合、可動部に加えて、物品を搬送する搬送部までも回転させる必要があるが、物品の搬送方向を変更することなく姿勢変更のみを行う場合、可動部のみを回転させることで足りるため、回転動力たる駆動手段の容量が無駄に大きいものとなってしまい、コスト削減が困難となる。また、駆動手段の容量が大きいと、それ自身の大きさも大きくなるため、ターンテーブルの小型化の阻害要因となってしまう場合があった。
【0009】
そこで、本発明では、従来技術の問題点に鑑み、従来よりも回転動力の容量を小さくしつつも、搬送ライン上の物品を所望の姿勢に変更することが可能な物品姿勢変更装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するべく提供される請求項1に記載の発明は、物品が搬送されるコンベアラインの一部を構成する物品姿勢変更装置であって、物品を搬送する搬送部と、搬送部に対して水平方向に相対回転する旋回部と、搬送部又は旋回部を昇降させる昇降部を備え、旋回部は、物品を載置可能な載置部と、載置部を旋回させる旋回機構と、旋回機構を駆動する駆動源を有し、前記載置部は厚み方向に貫通した開口を有し、当該開口の内側に搬送部の一部又は全部が配され、前記旋回機構は、円弧状又は円状に延びたラックと、当該ラックに係合するピニオンを有し、前記ラックは各歯が下向きに突出するものであり、前記ラックは載置部側に装着されており、前記ピニオンは駆動源側に装着され、昇降部を駆動すると、搬送部と旋回部のいずれかが所定の位置まで昇降し、載置部の天面が、搬送部の搬送面よりも高位置に至ることを特徴の
一つとする物品姿勢変更装置である。
【0011】
本発明の物品姿勢変更装置は、旋回部を搬送部に対して、水平方向に相対的に回転することができる構成とされている。すなわち、本発明では、搬送部を回転させることなく、旋回部のみを水平方向に回転させる構成とされている。これにより、駆動源に要する容量を、従来よりも、大幅に小さくすることができるため、製造コストの大幅な削減が可能となる。また、これに伴って、駆動源の外観の大きさも小さくできるため、装置全体の小型化(主に高さ方向)も可能となる。
また、本発明の物品姿勢変更装置は、搬送部あるいは旋回部の高さ位置を変更できる昇降部を備え、その昇降部によって、搬送部の搬送面の高さ位置を、旋回部の天面の高さ位置よりも低位置に変更できるため、物品の姿勢変更を行う際に、搬送部が当該物品の回転の障害となることがない。すなわち、本発明では、旋回部に駆動源からの動力を入力したにも関わらず、物品が搬送部の搬送面に引っ掛かり、物品の姿勢が変更されないという状況が発生し得ないため、物品を確実に所望の姿勢まで回転させることができる。さらに付言すると、旋回部は、駆動源から入力された動力によって、確実に回転するため、旋回部が回転しないことに起因して、駆動源に過剰な負荷が発生するおそれがない。
【0012】
請求項
1に記載の発明は、前記搬送部は、搬送ローラを有するローラコンベアであり、前記開口の内側に配された搬送ローラは、前記旋回機構のラックと高さ方向に重なる位置にあり、駆動源側は前記搬送ローラの下にあること
も特徴の一つとする。
【0013】
請求項
2に記載の発明は、前記駆動源は、モータであり、回転軸を水平方向に配した姿勢で配置されており、前記旋回機構は、前記モータから入力される動力を、水平方向に回転する回転運動に変換することを特徴とする請求項
1に記載の物品姿勢変更装置である。
【0014】
かかる構成によれば、駆動源を、その回転軸を水平方向に配した姿勢で配置して、旋回機構によって水平方向に回転する回転運動に変換することができるため、装置をより小型にすることが可能である。すなわち、本発明によれば、駆動源の回転軸が、装置の高さ方向に占める割合を小さくできるため、駆動源による高さ方向の大型化傾向は軽減できる。
【0015】
請求項
3に記載の発明は、前記旋回機構は、軸受け構造を有した相対回転部材と、当該相対回転部材に動力を伝達する動力伝達手段と、当該相対回転部材を支持する固定部とで構成されており、前記載置部は、相対回転部材の回転動作に追従して旋回することを特徴とする請求項
1又は2に記載の物品姿勢変更装置である。
【0016】
かかる構成によれば、旋回機構が、軸受け構造を有した相対回転部材を備えており、載置部は、その相対回転可能部材の回転動作に追従して旋回するため、円滑に載置部を旋回させることが可能である。
【0017】
本発明の物品姿勢変更装置は、前記相対回転部材は、内輪と外輪を有し、その両者が相対的に回転するものであり、前記動力伝達手段と前記載置部の双方は、内輪と外輪のいずれか一方に接続されていることがより望ましい。(請求項
4)
【0018】
前記動力伝達手段は、円弧状又は円状に延びたラックと、当該ラックに係合するピニオンを有し、ピニオンを駆動源側に装着し、さらにラックを相対回転部材側に固定していることが望ましい。
【0019】
本発明の物品姿勢変更装置は、ラックアンドピニオンの機構を利用しており、駆動源にピニオンを装着し、相対回転部材にそのピニオンと係合するラックを円弧状又は円状に固定している。すなわち、本発明では、駆動源を駆動して、ピニオンを回転させると、ラックに対するピニオンの係合位置が変化する。具体的には、駆動源の回転によって、ラックが固定された相対回転部材が、円弧に沿ってあるいは円に沿って回転する。これにより、旋回機構の動作に連動して旋回する載置部を、ラックの形状に沿って円滑に回転させることができる。
【0020】
前記載置部は、板状部材であり、厚み方向に貫通した開口を有し、当該開口の内側に搬送部の一部又は全部が配されている。
【0021】
かかる構成によれば、搬送部と載置部の配置バランスを良くできるため、物品が搬送部と載置部のいずれか一方に載置された状態であっても、物品が無理な体勢を強いられることがない。すなわち、搬送部と載置部のいずれに載っている場合であっても、物品を傾かせることがないため、物品を姿勢変更する際に、物品が傾き、搬送ラインから逸脱してしまうようなおそれがない。
【0022】
請求項
5に記載の発明は、土台形成部を有し、当該土台形成部には、直線状の摺動部材が設けられ、摺動部材は、土台形成部に立設するように配置されており、搬送部が昇降する際に鉛直方向にガイドすることを特徴とする請求項
1乃至4のいずれかに記載の物品姿勢変更装置である。
【0023】
かかる構成によれば、搬送部が摺動部材によってガイドされているため、搬送部の昇降動作をよりスムーズにすることができる。
【0024】
請求項
6の記載の発明は、載置部は、昇降部によって所定の位置まで上昇させた搬送部の搬送面よりも低位置に配されており、物品を物品姿勢変更装置に搬入する際においては、搬送部を当該所定の位置まで上昇させた状態にすることを特徴とする請求項
1乃至5のいずれかに記載の物品姿勢変更装置である。
【0025】
かかる構成によれば、物品を物品姿勢変更装置に搬入する際においては、搬送部の搬送面の高さ位置を、載置部の天面の高さ位置よりも上昇させた状態にするため、物品の搬入をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の物品姿勢変更装置は、物品の姿勢を変更する載置部が、搬送部と相対的に旋回する構成とされているため、従来の駆動源が有していた容量よりも、小さい容量の駆動源を採用することができ、大幅なコストカットに繋げることができる。また、本発明では、搬送部が載置部に対して相対的に昇降する構成とされているため、載置部の旋回動作によって、物品が搬送部に引っ掛かることはなく、当該物品を確実に所望の姿勢に変更することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施形態に係る物品姿勢変更装置1について説明する。
図1に示す物品姿勢変更装置1は、コンベアラインの一部を形成するものとして使用され、当該装置1に搬入された物品の姿勢を変更する姿勢変更機能を有するものである。すなわち、物品姿勢変更装置1は、
図2、3に示すように、高さ方向下から順番に、土台形成部6と、昇降部5と、搬送部3と、旋回部2を備えている。以下、各部材について順に説明する。
【0029】
まず、土台形成部6について説明する。
土台形成部6は、物品姿勢変更装置1の下部側に配されて土台を形成するもので、後述する昇降部5が固定され、さらにその他の荷重を支持する部分である。そして、土台形成部6は、
図3に示すように、基台50と、4つの摺動部材51a〜51dと、1対の昇降用ローラ支持部材52a、52bにより構成されている。
なお、本実施形態においては、土台形成部6を、コンベアラインの1対のサイドフレーム155、156(
図1)に固定している。
【0030】
基台50は、外観が方形状の平板体である。そして、その基台50の一方(上方)の平面側には、摺動部材51と昇降用ローラ支持部材52が配されて固定されている。すなわち、基台50は、4つの摺動部材51をそれぞれ固定する取付孔53a〜53dと、1対の昇降用ローラ支持部材52a、52bをそれぞれ固定する複数の固定孔55が設けられている。
なお、本実施形態では、便宜上、基台50に方形状の平板体を用いた構成を採用したが、実際は
図25に示す複数の金属部材151を格子状に組んだ基台150が用いられている。
【0031】
取付孔53a〜53dは、基台50における対向する1対の辺の近傍に2つずつ設けられている。そして、各辺近傍における取付孔53a〜53dは、各辺の延伸方向に沿って一定の間隔を空けて配されている。さらに付言すると、取付孔53a〜53dは、それぞれを1つの直線で結ぶと、ほぼ長方形の頂点を形成する配置である。
【0032】
固定孔55は、ネジ等の締結要素が挿通される孔であり、1つの昇降用ローラ支持部材52に対して、2つずつ用意されている。そして、これらの固定孔55は、前記取付孔53が設けられた対向する1対の辺と異なる別の1対の辺近傍に配されている。さらに、固定孔55は、対向する辺に配された固定孔55同士の間隔が、後述する昇降用ローラ40におけるローラ本体61の軸線方向の長さ以上離されている。そして、この固定孔55を介して固定された昇降用ローラ支持部材52同士は、昇降用ローラ40を支持するべく、当該ローラ40のローラ本体61の軸線方向長さ以上離反した関係を維持する。
【0033】
摺動部材51a〜51dは、摺動型のガイド手段で、所定の長さを有した円柱体である。そして、摺動部材51a〜51dは、基台50の前記各取付孔53a〜53dのそれぞれに1つずつ配されて固定されている。すなわち、固定された摺動部材51a〜51dは、基台50の上面から鉛直方向に立設し、後述する搬送部3の移動をガイドする。
【0034】
昇降用ローラ支持部材52a、52bは、断面形状が「L」字型を呈した金具であり、側壁56と底壁57により構成されている。側壁56には、後述する昇降用ローラ40の支持軸66、67を支持する支持孔58が1つ設けられ、底壁57には、ネジ等の締結要素が挿通される固定孔60が2つ設けられている。
【0035】
続いて、昇降部5について説明する。
昇降部5は、後述する搬送部3を上下に昇降するものである。そして、昇降部5は、
図4に示すように、昇降用ローラ40と、同一構造の2つの往復直線運動部材41とにより構成されている。
【0036】
昇降用ローラ40は、筒状のローラ本体61にモータ62が内蔵された、所謂モータ内蔵ローラである。そして、本実施形態では、このモータ内蔵ローラたる昇降用ローラ40として、
図5に示すように、ローラ本体61内に、モータ62及び減速機63が内蔵されたものが採用されている。より詳細に説明すると、この昇降用ローラ40は、減速機63の出力軸65がローラ本体61の内面と係合しており、モータ62の回転力が減速機63で減速されてローラ本体61を回転させる構成である。
【0037】
また、ローラ本体61の両端からは、支持軸66、67が突出している。すなわち、支持軸66、67は、
図5に示すように、ローラ本体61の両端に装着された蓋部材68に、ローラ本体61の内外に渡って挿通されている。そして、2つの支持軸66、67はいずれも、蓋部材68よりもローラ本体61の内側に位置する軸受け70、71を介して、ローラ本体61に取り付けられている。そのため、ローラ本体61は、支持軸66、67に対して回転可能である。
なお、一方の支持軸67は中空構造であり、その中空部内部に給電線72が挿通されている。すなわち、ローラ本体61の内部に配されたモータ62は、この給電線72を介して、外部から電力が供給される。
【0038】
また、
図5に示すように、ローラ本体61の両端に装着された蓋部材68はいずれも、ローラ本体61から一部が突出した露出部73を有している。そして、この露出部73の外周に歯車部材たる昇降用ピニオン64が装着されている。この昇降用ピニオン64は、蓋部材68に一体的に取り付けられて、ローラ本体61の回転に追従して回転する。
【0039】
往復直線運動部材41は、
図4に示すように、直線状に延びた立体カムである。すなわち、往復直線運動部材41は、直道カムとしての機能を果たす本体部42と、前記した昇降用ピニオン64に係合する昇降用ラック69と、荷重を支持する複数の移動用コロ75を有する。
【0040】
本体部42は、一定の長さを有した長尺部材であり、上端(
図4基準)から下方に向けて切り欠かれた切欠き部43が、長手方向に所定の間隔を空けて2箇所設けられている。すなわち、本体部42は、上端側が長手方向に向けて凹凸を呈した形状である。具体的には、本体部42の上端側には、
図6に示すように、本体上面45と、切欠き底面46と、それらを繋ぐ接続面47が形成されている。そして、本実施形態では、本体部42は、
図6の左側から、本体上面45a、接続面47a、切欠き底面46a、接続面47b、本体上面45b、接続面47c、切欠き底面46bの順番で並べられた構成とされている。
【0041】
また、本体部42は、
図6に示すように、本体上面45aと本体上面45bの高さ(本体部42の下端面を基準とした高さ)Hが同一とされ、また切欠き底面46aと切欠き底面46bの高さ(本体部42の下端面を基準とした高さ)hも同一とされている。そして、切欠き底面46aと切欠き底面46bに関しては、本体上面45aと本体上面45bからの降下高さΔhも同一とされている。
【0042】
さらに、本体上面45aと切欠き底面46aを繋ぐ接続面47aと、本体上面45bと切欠き底面46bを繋ぐ接続面47cのそれぞれは、切欠き面46側から本体上面45側に向けて一定の上り勾配を呈した傾斜面を形成している。すなわち、本体上面45と切欠き底面46は、傾斜面で接続されている。換言すれば、本体部42は、コロなどの回転体が、接続面47a、47cを介して、本体上面45と切欠き底面46を往来可能な構成である。
【0043】
また、本体部42には、側面を貫通した軸用孔76が複数(本実施形態では5つ)設けられている。各軸用孔76は、移動用コロ75を取り付ける孔で、本体部42の長手方向に沿って直列状に並べられている。そして、その直列状に並べられた各軸用孔76は、本体部42の長手方向両端側に2つずつ配され、残りの1つが本体部42の長手方向中途の位置に配されている。また、各軸用孔76は、本体部42の高さ方向下端寄りの位置に配され、移動用コロ75を取り付けた際に、当該移動用コロ75の一部が本体部42の下端面よりも下方に突出し得る配置にされている。
【0044】
昇降用ラック69は、直線状の板状体59を有し、その板状体59の長手方向に延びる端面に凹凸状の歯面74が形成された部材である。より詳細には、歯面74は、板状体59の上端面に設けられ、各歯が板状体59の長手方向に沿って並ぶように形成されている。また、昇降用ラック69には、歯面74が形成された端面に隣接する面を貫通する固定孔79が設けられている。そして、昇降用ラック69は、固定孔79を本体部42の側面に向けた姿勢で、ネジ等の締結要素が挿通されて、本体部42に固定されている。すなわち、昇降用ラック69は、歯面74の歯が本体部42の長手方向に沿って並ぶように取り付けられている。
なお、本実施形態では、昇降用ラック69は、本体部42の2つの本体上面45a、45bの間に形成された切欠き底面46aの位置で固定されている。
【0045】
移動用コロ75は、公知の軸受け部材である。そして、本実施形態では、回転軸77を介して、本体部42に移動用コロ75が取り付けられている。すなわち、移動用コロ75は、
図7に示すように、本体部42の各軸用孔76に挿通された回転軸77の両端側に1つずつ取り付けられている。すなわち、本実施形態の本体部42では、各側面側に5個ずつ、両側面で合計10個の移動用コロ75が設けられている。
【0046】
次に、搬送部3について説明する。
搬送部3は、ローラコンベアであり、物品姿勢変更装置1に搬入された物品を、所定の搬送方向に向けて送り出す部分である。そして、搬送部3は、
図3、8に示すように、複数の搬送ローラ30を有した主ローラユニット32を1ユニット有し、さらに1つの搬送ローラ30を有した副ローラユニット33を2ユニット有し、それらのローラユニット32、33a、33bを1つの搬送ベース部材31によって連結された構成とされている。
【0047】
主ローラユニット32は、
図8に示すように、1対のフレーム35、36間に、複数(本実施形態では4本)の搬送ローラ30a〜30dを取り付けた構成である。そして、フレーム35、36に取り付けられた各搬送ローラ30a〜30dは、それぞれの軸線方向が互いに平行となる配置にされている。そして、本実施形態では、これらの搬送ローラ30のうちの内側2本の搬送ローラ30b、30cに、モータ内蔵ローラが採用され、その他(外側)の2本の搬送ローラ30a、30dにフリーローラが採用されている。
なお、搬送ローラ30b、30cに採用されたモータ内蔵ローラは、
図9に示すように、ピニオンが装着されていないという点で前記した昇降用ローラ40と異なるが、その他の構造に関してはその昇降用ローラ40とほぼ同じ構造であるため、説明を省略する。
【0048】
主ローラユニット32のフリーローラは、搬送ローラ30b、30cよりも軸線方向長さが短いものが採用されており、
図10に示すようなローラ本体回転型の構造とされている。すなわち、このフリーローラは、ローラ本体80を有し、そのローラ本体80の中に、モータ等の駆動源を有さない構成である。また、ローラ本体80の両端には、軸線方向に突出した支持軸81、82が設けられている。そして、2つの支持軸81、82は、いずれも軸受け83、85を介して、ローラ本体80に取り付けられている。そのため、本実施形態におけるフリーローラにおいては、ローラ本体80が支持軸81、82に対して回転可能である。すなわち、フリーローラは、ローラ本体80は両端の支持軸81、82の双方に対して回転可能である。
【0049】
主ローラユニット32の1対のフレーム35、36は、互いに外観形状及び大きさがほぼ同じ部材が採用されている。すなわち、フレーム35、36は、
図11に示すように、側壁部86と底壁部87により構成されている。
【0050】
側壁部86は、帯状の部材を長手方向の複数箇所において屈曲した形状を呈している。具体的には、側壁部86は、
図12に示すように、中央に位置する平面視形状が「コ」字型のフレーム本体90と、そのフレーム本体90の端部、つまり「コ」字の端部から直交方向外側に張り出したフレーム端部91a、91bにより形成されている。そして、フレーム本体90及びフレーム端部91には、側壁部86の上端寄りに部材厚方向に貫通した取付孔93が合計4つ設けられている。具体的には、2つの取付孔93b、93cがフレーム本体90に配され、残り2つの取付孔93a、93dはフレーム端部91a、91bに1つずつ配されている。そして、各取付孔93a〜93dは、互いに開口方向が平行となる関係にされている。また、フレーム本体90には、側壁部86の長手方向ほぼ中央の位置において、下端から上方に向けて「U」字状に切り欠いたローラ配置部92が設けられている。
【0051】
底壁部87は、フレーム35、36の底部を形成する平板であり、
図12に示すように、側壁部86の長手方向に沿って配されている。より詳細には、底壁部87は、概ね側壁部86の長手方向全体に渡って配されているが、側壁部86のローラ配置部92が設けられた位置の底部のみが欠落(欠落部95)している。すなわち、底壁部87は、フレーム35、36における欠落部95以外の底部を形成している。また、底壁部87には、搬送ベース部材31にフレーム35、36を固定するべく、ネジやボルト等の締結要素が挿通される複数の固定孔100が設けられている。
【0052】
そして、主ローラユニット32は、この1対のフレーム35、36を所定の姿勢で向き合わせて、そのフレーム35、36間に4本の搬送ローラ30a〜30dが取り付けられている。具体的には、1対のフレーム35、36は、フレーム本体90の「コ」字の内側同士を向き合わせた姿勢にされ、その姿勢のフレーム35、36に対して搬送ローラ30a〜30dが装着されている。すなわち、モータ内蔵ローラたる搬送ローラ30b、30cは、フレーム本体90の取付孔93b、93cに取り付けられ、フリーローラたる搬送ローラ30a、30dは、フレーム端部91の取付孔93a、93dに取り付けられている。換言すれば、主ローラユニット32は、中央側の位置に、他の搬送ローラより軸線方向に長い搬送ローラ30b、30cが配され、それらの搬送ローラ30b、30cを挟む端側の位置に、他の搬送ローラより軸線方向に短い搬送ローラ30a、30dが配されている。このようにして、各搬送ローラ30a〜30dは、フレーム35、36に対して、ローラ本体61、80が回転可能に取り付けられている。
【0053】
副ローラユニット33a、33bは、
図8に示すように、いずれも1対のフレーム37、38間に、1本の搬送ローラ30eを取り付けた構成である。また、本実施形態では、この搬送ローラ30eにフリーローラが採用されている。
なお、副ローラユニット33a、33bに採用されたフリーローラは、主ローラユニット32のフリーローラの軸線方向長さと異なる(主ローラユニット32のモータ内蔵ローラのローラ本体61を採用)が、その他の構造はほぼ同一の構造であるため説明を省略する。
【0054】
副ローラユニット33の1対のフレーム37、38は、互いに外観形状及び大きさがほぼ同じ部材が採用されている。すなわち、フレーム37、38は、
図13に示すように、側壁部96と底壁部97により構成されている。
側壁部96は、
図13、14に示すように、帯状の部材を屈曲して形成したもので、平面視形状が「コ」字型の部材である。そして、側壁部96の中央に位置する平面には、部材厚方向に貫通した取付孔93eが1つ設けられている。
底壁部97は、
図14に示すように、フレーム37、38の底部を形成する平板である。そして、その底壁部97には、フレーム37、38を搬送ベース部材31に固定するべく、ネジやボルト等の締結要素が挿通される複数の固定孔100が設けられている。
【0055】
また、本実施形態の副ローラユニット33a、33bのそれぞれには、
図8、13に示すように、昇降部5からの動力が入力される受動部材110が設けられている。この受動部材110は、公知のボールベアリングである。そして、各副ローラユニット33a、33bに2つずつ、合計4つ取り付けられている。各受動部材110は、各副ローラユニット33a、33bの側壁部96の中央に位置する平面、つまり取付孔93eが設けられた平面に配されている。具体的には、各受動部材110は、
図8に示すように、側壁部96の「コ」の字の外側の位置であり、且つ、取付孔93eのほぼ真下に配されている。
【0056】
そして、副ローラユニット33は、この1対のフレーム37、38を所定の姿勢で向き合わせて、そのフレーム37、38間に1本の搬送ローラ30eが取り付けられている。具体的には、1対のフレーム37、38は、「コ」の字の内側同士を向き合わせた姿勢にされ、その姿勢のフレーム37、38に対して搬送ローラ30eが装着されている。すなわち、フリーローラたる搬送ローラ30eは、フレーム37、38の取付孔93eに取り付けられている。このようにして、搬送ローラ30eは、フレーム37、38に対して、ローラ本体61が回転可能に取り付けられている。
【0057】
搬送ベース部材31は、搬送部3の土台であり、
図8に示すように、ユニット連結部48と張出部49とによって構成されている。
ユニット連結部48は、平面視形状が「H」型に形成された金属部材であり、2つの主板部101を1つの接続板102で繋いで形成した構造とされている。すなわち、ユニット連結部48は、2つの主板部101を平行に並べ、その長手方向中央の位置において、接続板102を介して連結された構造である。また、各主板部101には、フレーム35〜38に設けられた固定孔100と連通し、ネジやボルト等の締結要素が挿通される複数の固定孔103が設けられている。
【0058】
張出部49は、「L」字型の断面形状を呈し、ユニット連結部48の長手方向端部と同程度の長さを有した鋼材である。すなわち、張出部49は、ユニット連結部48における2つの主板部101と接続板102とに跨る程度の長さを有している。そして、張出部49は、1つの平面にガイド孔54が設けられ、別の1つの平面に取付孔(図示しない)が設けられている。ガイド孔54は、開口形状が円形状であり、前記した摺動部材51が挿通される程度の開口径を有する。また、取付孔(図示しない)は、張出部49の長手方向両端部側にそれぞれ設けられている。そして、張出部49は、その取付孔にネジやボルト等の締結要素を挿通して、ユニット連結部48に一体的に固定されている。すなわち、搬送ベース部材31では、ユニット連結部48の長手方向両端部(主板部101の長手方向両端部)から張出部49の一部が張り出しており、その張り出した部分に位置するガイド孔54の開口方向が鉛直方向に向けられている。
【0059】
そして、搬送ベース部材31のユニット連結部48上に、1ユニットの主ローラユニット32と、2ユニットの副ローラユニット33a、33bが載置されて、搬送部3が形成されている。具体的には、
図3に示すように、搬送ベース部材31の長手方向中央に主ローラユニット32を配置し、その主ローラユニット32を挟むようにして、副ローラユニット33a、33bが配置されている。このとき、各ローラユニット32、33a、33bの搬送ローラ30a〜30eは、それぞれの軸線方向が搬送ベース部材31の長手方向に直交する配置である。すなわち、各ローラユニット32、33a、33bは、物品の搬送方向を、搬送ベース部材31の長手方向に一致させるような配置にされている。そして、主ローラユニット32と副ローラユニット33a、33bは、固定孔100を、搬送ベース部材31の固定孔103と連通した状態にして、ネジやボルト等の締結要素を用いて、搬送ベース部材31に一体的に固定されている。
【0060】
続いて、旋回部2について説明する。
旋回部2は、物品姿勢変更装置1に搬入された物品を、所望の姿勢に変更可能な部分である。そして、旋回部2は、
図3、15、16に示すように、物品が載置される載置板(載置部)10を旋回する旋回機構と、その旋回機構を駆動する駆動源たる旋回用ローラ11と、旋回機構や旋回用ローラ11等を支持する固定板(固定部)12と、1対の旋回用ローラ支持部材14a、14bにより構成されている。
なお、旋回用ローラ11は、モータ内蔵ローラであり、軸線方向一方の端部のみに露出部73が設けられている点が、
図5に示す昇降用ローラ40の構造と異なるが、その他の構造は当該昇降用ローラ40とほぼ同一の構造であるため、説明を省略する。
【0061】
載置板10は、中央が打ち抜かれた円形状の板体で、リング状の載置面20と、円形状の開口21を有する。載置面20は、外縁と内縁との距離(幅)が周方向に一定であり、内縁寄りに取付孔112が設けられている。取付孔112は、載置板10の部材厚方向に貫通した孔であり、合計6箇所設けられている。そして、各取付孔112は、載置面20の周方向にほぼ等間隔に配されている。開口21は、一定以上の直径に設定されている。具体的には、本実施形態では、開口21は、搬送部3の主ローラユニット32を配置できる大きさの直径に設定されている。
【0062】
旋回機構は、
図15、16に示すように、軸受け構造を有した相対回転部材13と、駆動源から入力される運動を変換する運動変換手段15とで形成されている。
相対回転部材13は、内輪22と外輪23を有し、その間に設けられたベアリング機構(図示しない)によって相対的に回転するものである。そして、本実施形態では、内輪22の内周が、載置板10の開口縁に沿う大きさに設定されている。すなわち、相対回転部材13の内輪22の内径と、載置板10の開口21の開口径はほぼ等しい。また、内輪22と外輪23には、符番はしないが、ネジやボルト等の締結要素が挿通される取付孔が複数設けられている。
【0063】
運動変換手段15は、公知のラックアンドピニオンの構造が採用されており、旋回用ピニオン25と、旋回用ラック26とにより構成されている。
旋回用ピニオン25は、公知の歯車部材である。そして、この旋回用ピニオン25は、旋回用ローラ11の一方の端部に位置する露出部73(
図5)に装着されている。
【0064】
旋回用ラック26は、円弧状(本実施形態では中心角が約90°の円弧)に形成された板状体84を有し、その板状体84の円弧方向に延びる端面に凹凸状の歯面89が形成された部材である。より詳細には、歯面89は、板状体84の下端面に設けられ、各歯が板状体84の円弧方向に並ぶように形成されている。また、旋回用ラック26には、相対回転部材13への取り付けに寄与する、取付部材27が複数(本実施形態では4つ)設けられている。取付部材27は、プレート状の金具で、板状体84における歯面89と反対側(上部側)の端面に固定されている。詳細には、各取付部材27は、板状体84の上部端面から円弧の径方向内側に張り出すような姿勢にされて、ネジ等の締結要素で固定されている。また、各取付部材27には、張出面を貫通した取付孔115が2つずつ設けられている。そして、その2つの取付孔115は、板状体84に取り付けた状態を基準に、円弧方向に沿って並べられている。
【0065】
固定板12は、前記したように、旋回機構や旋回用ローラ11を支持する部材である。そして、本実施形態では、固定板12は、1対のプレート28、29によって構成されている。なお、本実施形態においては、固定板12を、コンベアラインの1対のサイドフレーム155、156(
図1)に固定している。
【0066】
プレート28、29は、互いに外観形状及び大きさがほぼ同じ部材が採用されている。すなわち、プレート28、29は、
図16に示すように、外観形状がほぼ方形状であり、側壁116と天面壁117を有する。側壁116は、天面壁117の縁端から直交方向に垂下した部分で、天面壁117における互いに隣接する3辺に設けられている。すなわち、プレート28、29は、平面視形状が「コ」の字状の側壁116と、その上端側を閉塞する天面壁117で形成されている。また、天面壁117には、半円状の切欠き部118が設けられている。この切欠き部118は、側壁116が欠落した辺の縁端から対向する辺の縁端に向けて切り欠かれている。なお、この切欠き部118の半円の大きさは、前記した載置板10の開口21の半円の大きさあるいは前記した相対回転部材13の内輪22の半円の大きさと同程度の大きさにされている。
【0067】
旋回用ローラ支持部材14a、14bは、断面形状が「L」字型を呈した金具であり、側壁120と天面壁121により構成されている。側壁120には、旋回用ローラ11の支持軸66、67を支持する支持孔122が1つ設けられ、天面壁121には、ネジ等の締結要素が挿通される固定孔123が4つ設けられている。
【0068】
そして、本実施形態では、1対のプレート28、29が、この旋回用ローラ支持部材14a、14bを介して、所定の姿勢を維持するように連結されている。すなわち、1対のプレート28、29の切欠き部118を向き合わせた姿勢にして、1つの円形開口99を形成し、その姿勢のプレート28、29に対して、旋回用ローラ支持部材14a、14bが取り付けられている。
【0069】
より具体的には、各旋回用ローラ支持部材14a、14bは、1対のプレート28、29によって形成された円形開口99を間にして、1対のプレート28、29に跨るような位置に配されている。そして、旋回用ローラ支持部材14a、14bの固定孔123にネジ等を挿通して、1対のプレート28、29を一体的に連結している。なおこのとき、旋回用ローラ支持部材14a、14bは、側壁120同士が互いに向き合った姿勢とされている。そして、この旋回用ローラ支持部材14a、14bに対して、旋回用ローラ11が固定されている。すなわち、旋回用ローラ11は、自身の支持軸66、67を旋回用ローラ支持部材14a、14bの支持孔122に挿通して保持させている。
【0070】
また、旋回部2を構成するその他の部材の位置関係についても詳述すると、載置板10及び相対回転部材13は、
図17に示すように、固定板12の上方に配され、運動変換手段15は、固定板12の下方に配されている。そして、固定板12の上部に位置する載置板10と相対回転部材13の内輪22とが、一体的に接続されている。具体的には、載置板10と相対回転部材13は、開口21の内周縁と内輪22の内周縁とが概ね一致するような姿勢にされ、ネジ等の締結要素を載置板10の取付孔112側から挿通して両者を接続している。
なお、本実施形態では、載置板10の旋回動作を円滑にするべく、載置板10と相対回転部材13の内輪22との間にリング状のスペーサS1が配されている。
【0071】
また、載置板10は、旋回用ローラ11からの動力を入力するべく、運動変換手段15とも接続されている。すなわち、本実施形態では、
図15、17に示すように、載置板10と、相対回転部材13の内輪22と、運動変換手段15の旋回用ラック26とが一体的に接続されている。
【0072】
ここで、一般的に、3以上の部材を一体的に接続する場合、接続作業が繁雑になる可能性があり、製造やメンテナンス作業の効率が低下するおそれがある。そこで、本実施形態では、メンテナンス等の作業効率を向上させるべく、載置板10と相対回転部材13と運動変換手段15の接続を補助する部材(連結補助部材18)が採用されている。この連結補助部材18は、鉛直方向に並べられた各部材の接続を補助するものであり、複数の取付孔(符番せず)が設けられた円弧状のプレート部材である。
なお、この符番しない複数の取付孔には、連結補助部材18を基準に、鉛直上方に配された部材と接続するための取付孔と、鉛直下方に配された部材と接続するための取付孔が用意されているが、以下において、特に明示せずに説明する。
【0073】
そして、本実施形態では、その連結補助部材18を、相対回転部材13と運動変換手段15との間に配して使用している。すなわち、載置板10と内輪22と連結補助部材18とが同一の締結要素で接続され、旋回用ラック26と連結補助部材18とが前記締結要素とは別の締結要素で接続されて一体化されている。そして、この旋回用ラック26は、その歯面89が、旋回用ローラ11に装着された旋回用ピニオン25に係合する配置にされている。なお、本実施形態では、高さ調整を行うべく、連結補助部材18と旋回用ラック26との間にリング状のスペーサS2が配されている。
【0074】
これに対して、相対回転部材13の外輪23は、相対回転部材13を所定の位置に固定するべく、固定板12に一体的に接続されている。
したがって、旋回部2は、相対回転部材13の内輪22が、外輪23に対して相対的に回転する構成である。
【0075】
次に、本実施形態の物品姿勢変更装置1の各部材の位置関係について説明する。
本実施形態の物品姿勢変更装置1は、
図2に示すように、最下部に土台形成部6が配され、その上部に昇降部5、搬送部3、旋回部2の順番で配置されている。
【0076】
具体的に説明すると、昇降部5は、
図18に示すように、土台形成部6の基台50に固定されている。すなわち、昇降用ローラ40は、土台形成部6に設けられた昇降用ローラ支持部材52a、52bの間に配され、両端の支持軸66、67を介して固定されている。また、その昇降用ローラ40の両端側にそれぞれ装着された昇降用ピニオン64には、往復直線運動部材41に取り付けられた昇降用ラック69が係合するように配されている。すなわち、2つの往復直線運動部材41は、基台50の底面上に載置され、その長手方向が昇降用ローラ40の軸線方向に直交し、且つ、互いに平行な姿勢にされている。そして、往復直線運動部材41は、その姿勢の状態で、昇降用ラック69を昇降用ピニオン64の下部から係合させている。なお、この状態にの往復直線運動部材41の本体部42は、基台50の底面と当接しておらず、各移動用コロ75が、基台50の底面に当接している。
【0077】
そして、搬送部3は、その昇降部5の往復直線運動部材41に支持されるように配置されている。すなわち、搬送部3は、
図19に示すように、搬送ベース部材31を昇降部5の昇降用ローラ40よりも下方に配した状態で、搬送部3の長手方向両端部側に設けられた受動部材110を、往復直線運動部材41の上部端面に載せている。具体的には、搬送部3の長手方向両端部側には副ローラユニット33a、33bが位置し、その副ローラユニット33a、33bの受動部材110が、往復直線運動部材41の上部端面に配されている。より詳細に言えば、副ローラユニット33a側(昇降用ローラ40に近接する側の副ローラユニット)の受動部材110aは、往復直線運動部材41の本体上面45a、接続面47a、切欠き底面46aが位置する領域に配され、副ローラユニット33b側の受動部材110bは、往復直線運動部材41の本体上面45b、接続面47c、切欠き底面46bが位置する領域に配されている。
【0078】
また、搬送部3は、鉛直方向の昇降を円滑にするべく、ガイドされている。すなわち、搬送部3は、
図19、20に示すように、搬送ベース部材31の張出部49に設けられた各ガイド孔54に、土台形成部6の摺動部材51a〜51dがそれぞれ挿通されている。すなわち、搬送部3は、長手方向両端部側において、鉛直方向への移動を補助するガイド機能が形成されている。
【0079】
そして、搬送部3のさらに上方には、
図2に示すように、旋回部2が配置されている。より具体的に言うと、旋回部2は、ほぼ中央に鉛直方向に開放された開口を有し、その開口の内側に搬送部3の主ローラユニット32が位置するような配置にされている。すなわち、主ローラユニット32は、搬送ローラ30a〜30dと、フレーム35、36の側壁部86及び一部の底壁部87が、固定板12上に配された載置板10の開口21の内側に位置するように配されている。換言すれば、主ローラユニット32は、側壁部86の高さの範囲内であれば、載置板10の開口21の内側で昇降したとしても、旋回部2のいずれにも干渉することがない配置である。
【0080】
また、副ローラユニット33a、33bは、載置板10の外側、且つ、固定板12よりも外側に配されている。換言すれば、主ローラユニット32と副ローラユニット33a、33bとの間に、載置板10や固定板12の一部が配されている。そして、
図21に示すように、その載置板10や固定板12の一部の下方には、所定以上の間隔bを空けて搬送ベース部材31が位置している。すなわち、旋回部2は、開口21の内外に関わらず、高さ方向の間隔bの範囲内であれば、搬送部3に干渉することがない配置である。
【0081】
また、旋回部2の旋回用ローラ11は、搬送部3における1対のフレーム35、36間に跨るように配されている。すなわち、旋回用ローラ11のローラ本体61の両端側が、フレーム35、36に設けられたローラ配置部92に嵌り込むような配置にされている。そしてこのとき、旋回用ローラ11に装着された旋回用ピニオン25は、フレーム35、36の外側に位置している。
なお、上記したように、土台形成部6及び旋回部2は、コンベアラインのサイドフレーム155、156に固定されている。
【0082】
次に、本実施形態の物品姿勢変更装置1の動作について説明する。
本実施形態の物品姿勢変更装置1は、一方向に延びるコンベアラインの一部を形成するもので、特に、作業者が待機する作業領域直前のコンベアとして好適に使用できる装置である。すなわち、物品姿勢変更装置1は、搬入された物品を、作業に好適な所望の姿勢に変更して下流側に送り出すことが可能である。
【0083】
例えば、コンベアラインでは、物品Wの搬送情報を取得するべく、在荷センサ等が使用される。すなわち、本実施形態では、物品姿勢変更装置1よりも搬送方向上流側(以下、搬送方向については、単に上流、下流という)から流れる物品Wを、在荷センサ(図示しない)等によって検知している。例えば、
図22(a)に示すように、物品姿勢変更装置1よりも上流側で物品Wが検知された場合、物品姿勢変更装置1は物品Wの搬入を待機する状態となる(以下、単に待機状態という)。
【0084】
待機姿勢では、物品Wを受け入れるべく搬送部3を旋回部2よりも高位置に上昇させ、さらにその状態で搬送部3を駆動した状態にされる。つまり、
図23(b)に示すように、搬送部3を最頂部に至らせた状態で待機する。
【0085】
このときの動作について、
図23(a)に示す状態から待機姿勢に至らせる場合を例に説明すると、上流で物品Wの搬送が確認されると、昇降部5の昇降用ローラ40が駆動される。そして、その昇降用ローラ40の動力で、
図24に示すように、直道カムたる往復直線運動部材41を直線運動させ、その往復直線運動部材41上の搬送部3の受動部材110の位置を変更する。すなわち、搬送部3の受動部材110の位置を、往復直線運動部材41の本体上面45に配置する(
図24(b))。これにより、搬送部3全体が上昇し、
図23(b)に示すように、搬送部3の搬送面(全ての搬送ローラ30a〜30eの上面)が、旋回部2の載置板10よりも高位置に配される。そして、旋回部2よりも高位置に配された搬送部3は、搬送ローラ30b、30cを駆動して、物品Wの搬入を待機する。
【0086】
そして、その待機状態の物品姿勢変更装置1に物品Wが搬入されると、
図22(b)に示すように、搬送部3によって、物品Wが所定の位置まで搬送される。物品Wが所定の位置に至れば、搬送部3の駆動を停止する。そして、搬送部3を物品Wが姿勢変更し得る位置まで待避させる。すなわち、往復直線運動部材41を直線運動させ、搬送部3の受動部材の位置を、往復直線運動部材41の切欠き底面46に配置する(
図24(a))。
【0087】
これにより、搬送部3全体が下降し、
図23(a)に示すように、搬送部3の搬送面(全ての搬送ローラ30a〜30eの上面)が、旋回部2の載置板10よりも低位置に配される。そして、搬送部3よりも高位置に配された旋回部2は、旋回用ローラ11を駆動して、載置板10を旋回させる。すなわち、旋回用ローラ11が駆動されることで、旋回用ピニオン25に係合した旋回用ラック26が移動し、それに追従するように相対回転部材13の内輪22が回転し、載置板10が水平方向に旋回される。
【0088】
これにより、載置板10に載置された物品Wが、載置板10の旋回に連動して回転し、当該物品の姿勢変更が行われる。なお、本実施形態では、旋回用ラック26が中心角が90°の円弧であるため、載置板10の旋回により、物品Wを最大で90°回転した姿勢に変更可能である。そして、物品Wが所望の姿勢に至れば(
図22(c))、旋回部2の駆動を停止して、作業者が待機する下流側に送り出す(
図22(d))。すなわち、物品姿勢変更装置1は、再び搬送部3を載置板10よりも高位置に上昇し、搬送部3の搬送ローラ30a〜30eによって、物品Wを下流に向けて搬送する。
【0089】
そして、さらに上流側から別の物品Wが搬入されることが確認されれば、旋回部2の載置板10を旋回前の状態まで戻した状態で、前記した待機状態に移行し、同様の動作で物品の姿勢を変更し、下流側に搬送する。
【0090】
以上のように、本実施形態では、旋回部2を搬送部3に対して、水平方向に相対的に回転することができる構成にしたため、従来技術に比べると、旋回動作に要する駆動源の容量を、大幅に小さくすることができる。この結果、製造コストを大幅に削減することが可能となる。また同時に、駆動源の外観の大きさも小さくできるため、装置全体の小型化(主に高さ方向)も可能となる。
【0091】
また、本発明では、昇降部5によって、搬送部3の搬送面の高さ位置を、旋回部2の載置板10の高さ位置よりも低位置に変更できるため、物品の姿勢変更を行う際に、搬送部3が当該物品の回転の障害となることがない。すなわち、本発明では、物品が搬送部3の搬送面に引っ掛かり、物品の姿勢が変更されないという状況が発生し得ないため、物品を確実に所望の姿勢まで回転させることができる。さらに付言すると、旋回部2は、駆動源から入力された動力によって、確実に回転するため、旋回部2が回転しないことに起因して、駆動源に過剰な負荷が発生するおそれがない。
【0092】
上記実施形態では、旋回部2を昇降させることなく、搬送部3の高さ位置を昇降部5の動力によって変更できる構成を示したが、本発明はこれに限定されず、搬送部3を昇降させることなく、旋回部2の高さ位置を昇降部5によって変更できる構成であっても構わない。
【0093】
上記実施形態では、旋回部2の中央に形成された開口(載置板10の開口21と連通した開口)内に、搬送部3の主ローラユニット32を配し、さらにその開口の外側に副ローラユニット33a、33bを配した構成を示したが、本発明はこれに限定される訳ではない。すなわち、旋回部の開口を長孔状にして、搬送部3の全てをその長孔状の開口内に配した構成であっても構わない。
また、搬送部のローラユニットを主ローラユニット32のみとし、その主ローラユニット32を旋回部2の開口内に配した構成であっても構わない。
また、旋回部の開口形状は、円形に限らず、三角形、四角形、その他の曲線形状などいかなる形状であっても構わない。
【0094】
上記実施形態では、旋回部2において、旋回用ピニオン25を装着した旋回用ローラ11の位置を固定し、旋回用ラック26を移動させる構成を採用したが、本発明はこれに限定されず、旋回用ピニオン25を装着した旋回用ローラ11を旋回側(載置板10側)に設け、固定した旋回用ラック26上に、旋回用ピニオン25を移動させる構成を採用しても構わない。
【0095】
上記実施形態では、載置板10と、相対回転部材13と、運動変換手段15との連結を補助する連結補助部材18を用いた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、補助連結部材18を採用することなく、各部材を連結した構成であっても構わない。
【0096】
上記実施形態では、載置板10を相対回転部材13の内輪22に接続して旋回する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、相対回転部材13の内輪22側を固定板12等に固定し、載置板10を相対回転部材13の外輪23に接続して、載置板10を旋回させうる構成を採用しても構わない。
【0097】
上記実施形態では、旋回用ラック26を中心角が90°の円弧状に形成したものを採用した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、中心角が90°未満の円弧状であったり、中心角が90°より大きい円弧状の旋回用ラックを採用した構成であっても構わない。また、円弧状ではなく、円形の旋回用ラックを採用しても構わない。
【0098】
上記実施形態では、物品を姿勢変更して送り出した後、旋回部2の載置板10を旋回前の姿勢まで戻してから待機状態に移行する動作を示したが、本発明はこれに限定されず、待機状態に移行してからあるいは待機状態に移行しつつ、載置板10を旋回前の姿勢まで戻す動作を行う構成を備えたものであっても構わない。
また、いちいち載置板10を旋回前の姿勢に戻す動作を行うことなく、次の物品を受け入れて姿勢変更する(直前に送り出した物品と異なる旋回方向で姿勢変更する)動作を行う構成を備えたものであっても構わない。
【0099】
また、上記実施形態では、物品姿勢変更装置1を一方向に延びるコンベアライン上、つまり単一の搬送ライン上に配した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、複数の搬送ラインが交錯する箇所に設けても構わない。ただし、その場合、物品の搬送方向を変更し得るように、搬送部を旋回する機能を付加したり、プッシャーなどを設けることが望ましい。