(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示に係る表示装置の一態様は、複数の画素回路が配置される表示部を有する表示装置であって、前記画素回路の各々は、第1のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子のゲート電極に接続され、前記第1のスイッチング素子のオン及びオフを制御する第1の制御信号を伝達する制御線と、を備え、前記表示装置は、前記制御線の一部である第1の容量電極と、前記第1の容量電極と対向して配置され、前記第2のスイッチング素子のゲート電極に接続された第2の容量電極と、を備え、前記第1の容量電極と、前記第2の容量電極との間で第1の容量が形成されている。
【0016】
また、本開示に係る表示装置の一態様において、前記第1の容量電極と、前記第2の容量電極とは、前記画素回路の各々に設けられていてもよい。
【0017】
本態様によると、前記第1の制御信号から、前記第1の容量によるカップリングによって、前記第1の制御信号が生成されるので、1つのドライバ出力から、前記第1及び第2のスイッチング素子のオン及びオフの制御に適した電圧を設定できる。その結果、制御信号を供給するためのドライバを簡素化した表示装置が得られる。
【0018】
また、本開示に係る表示装置の一態様において、前記第2のスイッチング素子は、前記制御線から前記第1の容量を介して与えられる第2の制御信号によりオン及びオフが制御されてもよい。
【0019】
本態様によると、前記第2のスイッチング素子のオン及びオフを、前記制御線から前記第1の容量を介して与えられる第2の制御信号により制御できる。
【0020】
また、本開示に係る表示装置の一態様において、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とは、同一極性のトランジスタであってもよい。
【0021】
本態様は、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とが、同一極性のトランジスタである場合に適する。
【0022】
また、本開示に係る表示装置の一態様において、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とは、異なる極性のトランジスタであってもよい。
【0023】
本態様は、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とが、異なる極性のトランジスタである場合に適する。
【0024】
また、本開示に係る表示装置の一態様において、さらに、前記第2の制御信号を伝達するカップリング線を備え、前記第2の容量電極は、前記カップリング線の一部であり、さらに、前記カップリング線の他の一部である第3の容量電極と、前記第3の容量電極と対向して配置され、固定電圧を伝達する固定電圧線に接続された第4の容量電極と、を備え、前記第3の容量電極と、前記第4の容量電極との間で第2の容量が形成されていてもよい。
【0025】
本態様によると、前記第2制御信号の振幅を、前記第1制御信号の振幅に基づき、前記第1及び第2の容量の容量比に応じて調整できる。
【0026】
また、本開示に係る表示装置の一態様において、前記第1のスイッチング素子のゲート電極の電圧振幅は、前記第2のスイッチング素子のゲート電極の電圧振幅と同じもしくはより大きくてもよい。
【0027】
本態様によると、前記第2のスイッチング素子のゲート電圧の振幅と比べて、同じもしくはより大きい振幅のゲート電圧で、前記第1のスイッチング素子を制御できる。
【0028】
また、本開示に係る表示装置の一態様において、さらに、前記第2の容量電極と、初期化電圧を伝達する初期化電圧線との導通及び非導通を切り換える第3のスイッチング素子を備え、前記初期化電圧が前記第2のスイッチング素子のオン電圧もしくはオフ電圧に設定されている期間において、前記第3のスイッチング素子をオンすることにより、前記第2のスイッチング素子のオン電圧もしくはオフ電圧が前記第2の容量電極に設定されてもよい。
【0029】
本態様によると、前記第1制御信号の電圧を、前記第3のスイッチング素子を介して設定される前記初期化電圧を基準として、前記第1の制御信号の振幅に応じて、スイングさせることができる。
【0030】
また、本開示に係る表示装置の一態様において、前記複数の画素回路の各々は、ソースもしくはドレインの一方の電極が第1の電源電圧を伝達する第1の電源線に接続された駆動トランジスタと、一方の電極が前記駆動トランジスタのゲート電極に接続された容量素子と、一方の電極が前記駆動トランジスタのソースもしくはドレインの他方の電極に接続され、他方の電極が第2の電源電圧を伝達する第2の電源線に接続された発光素子と、前記容量素子の他方の電極と、輝度に対応したデータ電圧を伝達するデータ線との導通及び非導通を切り換える第1のスイッチングトランジスタと、前記容量素子の一方の電極と、参照電圧を伝達する参照電圧線との導通及び非導通を切り換える第2のスイッチングトランジスタと、前記駆動トランジスタのソース電極と、前記容量素子の他方の電極との導通及び非導通を切り換える第3のスイッチングトランジスタとを備えており、前記第1のスイッチング素子は、前記第1のスイッチングトランジスタであり、前記第2のスイッチング素子は、前記第2のスイッチングトランジスタであってもよい。
【0031】
本態様によると、前記駆動トランジスタにて前記発光素子を駆動する画素回路が複数配置された表示部を有する表示装置において、制御信号を供給するためのドライバを簡素化できる。
【0032】
また、本開示に係る表示装置の一態様において、前記表示装置は、複数の導電体層が積層された構造を有しており、前記第1の容量電極及び前記第2の容量電極は、それぞれ、前記複数の導電体層のうち互いに隣接する第1の導電体層及び第2の導電体層の一部であってもよい。また、前記第3の容量電極は、前記第2の導電体層の一部であり、前記第4の容量電極は、前記第1の導電体層の一部であってもよい。
【0033】
また、本開示に係る表示装置の一態様において、前記第1の導電体層は第2配線層であり、前記第2の導電体層は第1配線層であってもよく、また、前記第1の導電体層は第2配線層であり、前記第2の導電体層は第3配線層であってもよい。
【0034】
本態様によると、前記第1の容量及び前記第2の容量を、前記基板上に隣接して積層される導電体層の、対向して配置される一部を容量電極として用いて形成できる。
【0035】
また、本開示に係る表示装置の一態様において、前記制御線は前記第1の導電体層の一部であり、前記カップリング線は前記第2の導電体層の一部であり、前記制御線の幅は、前記カップリング線の幅よりも広くてもよい。
【0036】
本態様によると、前記制御線の幅を、前記カップリング線の幅よりも広く構成することができる。
【0037】
(実施の形態)
以下、本発明の一態様に係る表示装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0038】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、動作ステップ、動作ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0039】
図1は、本発明の実施の形態に係る表示装置の一例である画像表示装置1の機能的な構成の一例を示すブロック図である。画像表示装置1は、制御回路2と、メモリ3と、走査線駆動回路4と、信号線駆動回路5と、表示部6とを備える。表示部6には、複数の画素回路10が配置される。
【0040】
図2は、本発明の実施の形態に係る画素回路10、及び画素回路10と走査線駆動回路4及び信号線駆動回路5との接続の一例を示す回路図である。
【0041】
画素回路10は、スイッチングトランジスタ11及び12と、スイッチングトランジスタ11のゲート電極に接続され、スイッチングトランジスタ11のオン及びオフを制御する制御信号SCANを伝達する制御線17と、制御線17の一部である容量電極241と、容量電極241と対向して配置され、スイッチングトランジスタ12のゲート電極に接続された容量電極242と、を備え、容量電極241と242との間で容量24が形成されており、スイッチングトランジスタ12のオン及びオフは、制御線17から容量24を介して与えられる制御信号RESETにより制御される。
【0042】
ここで、スイッチングトランジスタ11及び12は、第1及び第2のスイッチング素子の一例であり、容量24は、第1の容量の一例であり、容量電極241及び242は、それぞれ第1及び第2の容量電極の一例である。
【0043】
また、スイッチングトランジスタ11のオン及びオフが容量24を介して与えられる制御信号RESETにより制御され、スイッチングトランジスタ12のオン及びオフが制御線17によって与えられる制御信号SCANによって制御されてもよい。
【0044】
画素回路10は、さらに、静電保持容量13と、駆動トランジスタ14と、発光素子の一例である有機EL素子15と、信号線16と、制御線18と、スイッチングトランジスタ19と、参照電源線20と、第1電源線21と、第2電源線22とを備えている。
【0045】
ここで、静電保持容量13は、保持容量の一例であり、有機EL素子15は、発光素子の一例であり、第1電源線21および第2電源線22は、第1及び第2の電源線の一例である。
【0046】
なお、
図2の例では、容量24(第1の容量)が1つの画素回路10の中に示さているが、第1の容量は、画素と一対一に対応して設けられる構成に限定されず、複数の画素に共通して、表示部6の周辺の領域などに設けられてもよい。
【0047】
図1及び
図2に記載された構成要素について、以下、その接続関係および機能を説明する。
【0048】
制御回路2は、走査線駆動回路4、信号線駆動回路5、及びメモリ3の制御を行う機能を有する。メモリ3には、各画素回路の補正データなどが記憶されており、制御回路2は、メモリ3に書き込まれた補正データを読み出し、外部から入力された映像信号を、その補正データに基づいて補正して、信号線駆動回路5へと出力する。
【0049】
走査線駆動回路4は、制御線17及び18に接続されており、制御線17及び18に制御信号SCAN及びMERGEをそれぞれ出力することにより、画素回路10の有するスイッチングトランジスタ11、12、及び19の導通・非導通を制御する機能を有する駆動回路である。
【0050】
信号線駆動回路5は、信号線16に接続されており、映像信号に基づいた信号電圧を画素回路10へ出力する機能を有する駆動回路である。
【0051】
表示部6は、複数の画素回路10を備え、外部から画像表示装置1へ入力された映像信号に基づいて画像を表示する。
【0052】
スイッチングトランジスタ11は、ゲートが制御線17に接続され、ソース及びドレインの一方が信号線16に接続され、ソース及びドレインの他方が静電保持容量13の電極132に接続される。スイッチングトランジスタ11は、信号線16の信号電圧を静電保持容量13の電極132に印加するタイミングを決定する機能を有する。
【0053】
スイッチングトランジスタ12は、ゲートが容量電極242に接続され、ソース及びドレインの一方が参照電源線20に接続され、ソース及びドレインの他方が静電保持容量13の電極131に接続される。スイッチングトランジスタ12は、参照電源線20の参照電圧VREFを静電保持容量13の電極131に印加するタイミングを決定する機能を有する。スイッチングトランジスタ11及び12は、例えば、n型TFTで構成される。一般には、スイッチングトランジスタの極性については、オン及びオフの状態を同じタイミングで同じ状態にする画素回路の場合には、スイッチングトランジスタの極性を同じにしておくべきである。また、オン及びオフの状態を同じタイミングで互いに逆の状態にする画素回路の場合には、スイッチングトランジスタの極性を異なるものにしておくべきである。
【0054】
静電保持容量13は、電極131が駆動トランジスタ14のゲートに接続され、電極132がスイッチングトランジスタ19を介して駆動トランジスタ14のソースに接続される。静電保持容量13は、信号線16から供給された信号電圧に対応した電圧を保持し、例えば、スイッチングトランジスタ11及び12がオフ状態となった後に、駆動トランジスタ14のゲート・ソース電極間電位を安定的に保持し、駆動トランジスタ14から有機EL素子15へ供給する電流を安定化する機能を有する。
【0055】
駆動トランジスタ14は、ドレインが第1電源線21に接続され、ソースが有機EL素子15のアノードに接続される。駆動トランジスタ14は、ゲート−ソース間に印加された信号電圧に対応した電圧を、当該信号電圧に対応したドレイン電流に変換する。そして、このドレイン電流を信号電流として有機EL素子15に供給する。駆動トランジスタ14は、例えば、n型TFTで構成される。
【0056】
有機EL素子15は、カソードが第2電源線22に接続された発光素子であり、駆動トランジスタ14により上記信号電流が流れることにより発光する。
【0057】
スイッチングトランジスタ19は、ゲートが制御線18に接続され、ソース及びドレインの一方が駆動トランジスタ14のソースに接続され、ソース及びドレインの他方が静電保持容量13の電極132に接続される。スイッチングトランジスタ19は、静電保持容量13に保持された電位を駆動トランジスタ14のゲート・ソース電極間に印加するタイミングを決定する機能を有する。スイッチングトランジスタ19は、例えば、n型TFTで構成される。
【0058】
信号線16は、信号線駆動回路5に接続され、画素回路10を含む画素列に属する各画素回路へ接続され、発光強度を決定する信号電圧DATAを供給する機能を有する。
【0059】
また、画像表示装置1は、少なくとも画素列数分の信号線16を備える。
【0060】
制御線17は、走査線駆動回路4に接続され、画素回路10を含む画素行に属する各画素回路に接続されている。これにより、制御線17は、画素回路10を含む画素行に属する各画素回路へ信号電圧DATAを書き込むタイミングを供給する機能、及び当該画素回路の有する駆動トランジスタ14のゲートに参照電圧VREFを印加するタイミングを供給する機能を有する。
【0061】
制御線18は、走査線駆動回路4に接続されている。これにより、制御線18は、静電保持容量13の電極132の電位を駆動トランジスタ14のソースに印加するタイミングを供給する機能を有する。
【0062】
また、画像表示装置1は、画素行数分の制御線17及び18を備える。
【0063】
なお、
図1、
図2には記載されていないが、参照電圧VREFを供給する参照電源線20、高電圧側電圧VDDを供給する第1電源線21及び低電圧側電圧VEEを供給する第2電源線22は、それぞれ、他の画素回路にも接続されており電圧源に接続されている。
【0064】
画素回路10によれば、制御信号SCANから、容量24を介したカップリング動作によって、制御信号RESETが生成されるので、走査線駆動回路4は制御信号SCANを出力するだけで、制御信号SCANとタイミング及び極性が同一の制御信号RESETを得ることができる。
【0065】
以下では、制御信号RESETの振幅及び基準電圧を調整するための回路について説明する。
【0066】
図3は、制御信号RESETの振幅を調整するための回路の一例を示す回路図である。
図3では、
図2の構成に対して、容量電極242を一部に含み、かつ制御信号RESETを伝達するカップリング線23と、カップリング線23の他の一部である容量電極281と、容量電極281と対向して配置され、固定電圧を伝達する固定電圧線29に接続された容量電極282とが追加され、容量電極281と容量電極282との間で容量28が形成されている。固定電圧線29は安定した固定電圧であればよく、参照電圧VREFもしくは高電圧側電圧VDDもしくは低電圧側電圧VEEでもよいし、別途電圧を用意して接続してもよい。
【0067】
このような構成によれば、制御信号RESETの振幅を、制御信号SCANの振幅に基づき、容量24及び28の容量比に応じて調整できる。具体的には、制御信号SCANの電圧振幅をΔVscn、容量24の容量値をC1、容量28の容量値をC2とすると、制御線23の電圧振幅は、ΔVscn×C1/(C1+C2)となる。
【0068】
図4は、制御信号RESETの基準電圧を調整するための回路の一例を示す回路図である。
図4では、
図2の構成に対して、容量電極242と、初期化電圧VREF2を伝達する初期化電圧線26との導通及び非導通を切り換えるスイッチングトランジスタ25が追加され、初期化電圧VREF2がスイッチングトランジスタ12のオン電圧もしくはオフ電圧に設定されている期間において、スイッチングトランジスタ25をオンすることにより、スイッチングトランジスタ12のオン電圧もしくはオフ電圧が容量電極242に設定される。スイッチングトランジスタ25のオン及びオフは、制御回路2から制御線27を介して供給される制御信号RSTによって制御される。
【0069】
このような構成によれば、制御信号RESETの電圧を、スイッチングトランジスタ25を介して設定される初期化電圧VREF2を基準として、制御信号SCANの振幅に応じて、スイングさせることができる。
【0070】
図5は、実施の形態に係る画素回路10のレイアウトパターンの一例を示す図である。
【0071】
画像表示装置1の画素回路10は複数の導電体層が積層された構造を有している。画像表示装置1は、一例として、基板上に、第1配線層GM、第2配線層SD、及び第3配線層TMの各導電体層が、ゲート絶縁層又は層間絶縁層などの誘電体層を介在して、この順に積層された構造を有しており、第1配線層GM、第2配線層SD、及び第3配線層TMは、それぞれ所望の形状にパターニングされている。
【0072】
容量24を形成している容量電極241は第2配線層SDの一部であり、容量電極242は第1配線層GMの一部であることが望ましい。
【0073】
信号線16は第3配線層TMの一部である。制御線17は第2配線層SDの一部であることが望ましい。制御線18及び参照電源線20は第1配線層GMの一部であることが望ましい。電源線21は第3配線層TMの一部である。カップリング線23は第1配線層GMの一部であることが望ましい。
【0074】
制御線17の幅は、カップリング線23の幅よりも広くしておくことが望ましい。
【0075】
また、図示はされていないが、カップリング線23の延長部分において、容量電極281は第1配線層GM又は第3配線層TMもしくは第1配線層GMと第3配線層TMの両方の一部であってもよく、容量電極282は第2配線層SDの一部であってもよい。
【0076】
次に、本実施の形態に係る画像表示装置1の制御方法について
図6を用いて説明する。
【0077】
図6は、本発明の実施の形態1に係る画像表示装置の制御方法の動作タイミングチャートである。
図6において、横軸は時間を表している。また縦方向には、上から順に、制御信号MERGE、SCAN、RESET及びRSTのそれぞれの信号波形が示されている。
【0078】
制御回路2は、制御信号RSTの電圧レベルをLOWからHIGHに変化させ、スイッチングトランジスタ25をオン状態とする。このとき、初期化電圧VREF2がスイッチングトランジスタ12のオフ電圧に設定されており、スイッチングトランジスタ12のオフ電圧が、スイッチングトランジスタ25を介して、容量電極242に設定される。制御信号RSTの電圧レベルは1フレームに一度HIGHに設定されればよいが、複数回設定してもよいし、数フレームに一度設定してもよい。そのタイミングは、例えば、発光期間やブランキング期間でも良く、制御単位も、1行毎でもよいし、複数の画素行をまとめたブロック毎や、パネル一括でもよい。
【0079】
また、先行するフレームの発光期間が終わると、走査線駆動回路4は、制御信号MERGEの電圧レベルをHIGHからLOWに変化させ、スイッチングトランジスタ19をオフ状態とする。これにより、駆動トランジスタ14のソースと静電保持容量13の電極132とは非導通となる。
【0080】
書込み期間が始まると、走査線駆動回路4は、制御信号SCANの電圧レベルをLOWからHIGHに変化させる。すると、制御信号RESETの電圧レベルも、容量24を介して、LOWからHIGHに変化して、スイッチングトランジスタ11及び12がオン状態となる。これにより、静電保持容量13の電極131には参照電源線20の参照電圧VREFが印加され、電極132には信号線16より信号電圧Vdataが印加される。
【0081】
また、駆動トランジスタ14のソースと静電保持容量13の電極132とは、スイッチングトランジスタ19がオフ状態になることにより非導通となっている。さらに、参照電源線20の参照電圧VREFは、駆動トランジスタ14のゲートに印加されるが、駆動トランジスタ14がオフ状態となる電位に設定されている。よって、このとき、駆動トランジスタ14のソース−ドレイン電流は流れないので、有機EL素子15は発光しない。
【0082】
書込み期間において、制御線17の電圧レベルがHIGHであるので、画素回路10の電極132には信号線16から信号電圧Vdataが印加され、同様に、画素回路10を含む画素行に属する各画素回路に対し信号電圧が供給される。
【0083】
書込み期間において、参照電源線20には容量性負荷となる静電保持容量13のみが接続されているので、定常電流による電圧降下は発生しない。またスイッチングトランジスタ12のドレイン−ソース間に発生する電位差は、静電保持容量13の充電が完了した際は充電電流はもはや流れないので0Vとなる。信号線16とスイッチングトランジスタ11についても同様である。よって、静電保持容量13の電極131及び電極132には、それぞれ、信号電圧に対応した正確な電位VREF及びVdataが書き込まれる。
【0084】
書込み期間が終わると、走査線駆動回路4は、制御信号SCANの電圧レベルをHIGHからLOW(例えばVgL)に変化させる。すると、制御信号RESETの電圧レベルも、容量24を介して、HIGHからにLOW(
図4のVREF2)に変化して、スイッチングトランジスタ11及び12がオフ状態となる。これにより、静電保持容量13の電極131と参照電源線20とは非導通となり、かつ、静電保持容量13の電極132と信号線16とは非導通となる。すなわち制御信号SCANのLOWレベルと、制御信号RESETのLOWレベルとで異なる電圧を設定することが可能となる。
【0085】
図7にスイッチングトランジスタ11及び12の発光時の、それぞれのドレイン−ソース動作電圧(Vds)におけるドレイン−ソース間電流(Ids)とゲート−ソース間電圧(Vgs)の関係を示す。
【0086】
スイッチングトランジスタ11に許容されるドレイン−ソース間のリーク電流をIds=Ioff1とすると、スイッチングトランジスタ11に設定されるべきVgsは−5.5〜0.5Vである。ここでドレイン−ソース間のリーク電流の条件としてVs=0Vと5V(ここではデータ線電圧の最小値を0V、最大値を5Vとする)とおくと、設定されるべきスイッチングトランジスタ11のVgの範囲はVs=0Vのときで−5.5〜−0.5V、Vs=5Vのときで−0.5〜4.5Vとなり、両立できるVgとして−0.5Vとなる。すなわち−0.5Vが制御信号SCANのLOWの電圧レベルとして設定すべき電圧値となる。
【0087】
同様にスイッチングトランジスタ12に許容されるドレイン−ソース間のリーク電流をIds=Ioff2とすると、スイッチングトランジスタ12に設定されるべきVgsは−3.0〜−1.0Vである。ここでドレイン−ソース間のリーク電流の条件としてVs=4V(ここでは参照電圧VREFを4Vとする)とおくと、設定されるべきスイッチングトランジスタ12のVgの範囲は1〜3Vとなる。すなわち1〜3Vの範囲内の電圧が制御信号RESETのLOWの電圧レベルとして設定すべき電圧値となるが、この範囲内に制御信号SCANのLOWの電圧レベルとして設定すべき電圧値は存在しない。
【0088】
つまり画素回路やトランジスタの電気的特性により、制御信号SCANのLOWの電圧レベルとして設定すべき電圧値と、制御信号RESETのLOWの電圧レベルとして設定すべき電圧値とを、両立させることができない場合が存在する。このような場合において、本発明を適用することにより、走査線駆動回路4からの出力ピン数を増やすことなく、各制御線に必要な電圧を独立に設定することを可能にする。
【0089】
発光期間が開始すると、走査線駆動回路4は、制御信号MERGEの電圧レベルをLOWからHIGHに変化させ、スイッチングトランジスタ19をオン状態とする。これにより、駆動トランジスタ14のソースと静電保持容量13の電極132とは導通する。また、静電保持容量13の電極131は、参照電源線20と遮断され、電極132は信号線16と遮断されている。よって、駆動トランジスタ14のゲート電位はソース電位の変動と共に変化し、かつ、ゲート−ソース間には、静電保持容量13の両端電圧である(VREF−Vdata)が印加されるので、この(VREF−Vdata)に対応した信号電流が有機EL素子15に流れる。
【0090】
発光期間において、ゲート−ソース間には、静電保持容量13の両端電圧である(VREF−Vdata)が印加され続け、上記信号電流が流れることにより有機EL素子15は発光を持続する。
【0091】
上記の動作を説明した期間は、画像表示装置1の有する全画素回路の発光強度が更新される1フレーム期間に相当し、フレームごとに上述の動作が繰り返される。
【0092】
なお、上記では、制御信号RSTは、初期化電圧VREF2がスイッチングトランジスタ12のオフ電圧に設定されているときに、HIGHに設定されると説明したが、制御信号RSTは、初期化電圧VREF2がスイッチングトランジスタ12のオン電圧に設定されているときに、HIGHに設定されてもよい。
【0093】
以上のように、画像表示装置1およびその制御方法によれば、駆動トランジスタに流れる電流は、常に発光素子経由のみとなるので、電源線及び信号線には定常電流は流れない。よって、駆動トランジスタのゲート−ソース間に印加すべき電圧を保持する機能を有する静電保持容量の両端電極に、正確な電位を記録することができ、映像信号を反映した高精度な画像表示をすることが可能となる。
【0094】
しかも、スイッチングトランジスタ11及び12のそれぞれのオン及びオフを制御するための好適な電圧が互いに異なっていても、走査線駆動回路4が制御信号SCAN及びRESETのうちの制御信号SCANを供給するだけで、上述の動作が実現される。
【0095】
そのため、走査線駆動回路4の出力ピン数を増やす必要がなく、走査線駆動回路4と画素回路10との接続が簡素化される。
【0096】
本発明に係る画像表示装置1は、
図8に記載されたような薄型フラットTVに内蔵される。本発明に係る画像表示装置が内蔵されることにより、映像信号を反映した高精度な画像表示が可能な薄型フラットTVが実現される。
【0097】
以上、本発明の一つまたは複数の態様に係る半導体装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。