【実施例1】
【0018】
以下に、図を参照しながら本発明のビジョンインタフェースにおける好適な実施例について説明する。このうち同じ構成要素は同じ符号を付して説明する。
【0019】
図1は、本発明の第一実施例におけるビジョンインタフェースシステム1のブロック図である。ビジョンインタフェースシステム1は、操作デバイス11及びマトリックス表示装置12を備える。操作デバイス11とマトリックス表示装置12は相互にカップリングされる。例えば、コンデンサカップリングによってカップリングされることで信号が転送される。そのため、非接触による信号転送である。
【0020】
本実施形態において、操作デバイス11は、例えば、タッチペン、ICカード、近距離無線リーダ、またはユーザ自身(一般にはユーザの手を指す)である。操作デバイス11が電子機器である場合、その内部には処理制御回路、保存回路または転送回路等の機能回路を有する。ここでは、「回路」は、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、またはその組合せである。操作デバイス11がユーザである場合、ユーザ自身(操作デバイス)が導体となって信号を転送する。
【0021】
図2は、マトリックス表示装置12の側面図である。
図2に示したとおり、マトリックス表示装置12は、表示面121及びマトリックス基板122を備える。マトリックス基板122は、基板123及びマトリックス124を有する。マトリックス124は、基板123の一側に設置され、表示面121は基板12の他側に設置される。本実施例において、表示面121は、ユーザがマトリックス表示装置12の表示画像を見る時、マトリックス表示装置12の最もユーザに近い表面を指す。ここで、マトリックス表示装置12はさらに保護ガラス125を備える。保護ガラス125は、基板123におけるマトリックス124と反対の一側に設置され、表示面121は保護ガラス125におけるユーザから最も近い表面である。また、基板123において、保護ガラス125の側に近い位置には偏光板またはスチールフレーム等、その他の構成素子を備える。
【0022】
本実施例において、マトリックス基板122は画素マトリックスを有し、画像を表示する基板として用いられる。マトリックス基板は、例えば、液晶表示パネル中の薄膜トランジスタ基板、有機発光ダイオードパネル、発光ダイオードパネル、電気泳動表示パネルまたはMEMS表示パネル等である。マトリックス124は、複数の
列電極、複数の
行電極、及び複数の画素電極を備える。
列電極と
行電極は交差して設置される。また、マトリックス124は、アクティブマトリックスまたはパッシブマトリックスである。ここで、マトリックス124は、アクティブマトリックスの場合を例とする。マトリックス124は、さらに複数のトランジスタを備え、前記トランジスタは、それぞれ
列電極、
行電極及び画素電極に電気的に接続される。
【0023】
以下に、タッチコントロールの用途を例にして本実施例の実施方式について説明する。
図1及び
図2に示したように、操作デバイス11を表示面121において操作する時、エンコーダ信号ESがマトリックス基板122から操作デバイス11にカップリングされて、操作デバイス11がエンコーダ信号ESを受信して転送信号TSを得る。ここでは、エンコーダ信号ESは、マトリックス表示装置12の表示スクリーンに関する座標情報を含むため、転送信号TSも必然的に座標情報を含む。マトリックス基板122がエンコーダ信号ESを操作デバイス11に転送する時、そのカップリング方式は、多くの場合、無線による方式で近距離(Near Field)の信号を形成して転送する。当然、その他の応用がなされる場合、エンコーダ信号は任意の転送すべき情報から構成される。例えば、タッチコントロール情報、指令情報、識別情報、取引情報またはファイル情報(例えば、音楽、写真、文字等)等の情報から構成されて、転送信号TSにもその対応する情報を含ませることが可能である。
【0024】
エンコーダ信号ESは、マトリックス基板122上に印加され、マトリックス基板122上には、当然、表示用のデータ信号も別に印加されて画像を表示する。エンコーダ信号ESは、例えば、データ表示信号を印加する時の帰線期間(blanking time)で印加される。帰線期間は、例えば、二つのフレーム(frame)の間の帰線期間、または、二つの列電極走査の間の帰線期間、または、表示信号の印加時間を短縮する際に発生した帰線期間であり、あるいはまた、表示信号に表示信号より周波数の高い信号を直接に重ね合わせることでエンコーダ信号ESを印加する。
【0025】
以下に、液晶表示装置の薄膜トランジスタ基板(TFT substrate)をマトリックス基板122とした場合におけるエンコーダ信号ESと転送信号TSについて説明する。
【0026】
図3は、本実施例において使用される薄膜トランジスタ基板を示した図である。
図2と
図3を同時に参照しながら説明する。マトリックス124は、複数の
列電極S
1〜S
M、複数の
行電極D
1〜D
N、及び複数の画素電極E
11〜E
MNを備える。前記
列電極と前記
行電極は交差して設置され、実質上は、相互に垂直または角度を挟んで設置される。また、マトリックス124は、さらに複数のトランジスタT
11〜T
MNを備え、トランジスタT
11〜T
MNはそれぞれ
列電極S
1〜S
M、
行電極D
1〜D
N、及び画素電極E
11〜E
MNに電気的に接続される。ここでは、
列電極S
1〜S
Mはすなわち走査線であり、
行電極D
1〜D
Nはすなわちデータ線である。また、基板123上にはさらに駆動モジュールが設置され、この駆動モジュールは、データ駆動回路、スキャン駆動回路、タイミング制御回路(図示はされない)及びガンマ補正回路(図示はされない)を含み、駆動モジュールの駆動を介して、液晶表示パネルに画像を表示させる。駆動モジュールの画像の駆動に関する技術は周知の技術であるため、ここでは説明しない。また、この態様のマトリックス基板は一例として挙げたものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。本実施例の特徴は、
列電極S
1〜S
Mと
行電極D
1〜D
Nの両方またはいずれかを利用し、マトリックス基板からエンコーダ信号を操作デバイスに転送して、転送信号を生成する点にある。特に注目すべきは、エンコーダ信号が異なるメッセージを含み、それぞれ異なる応用に対応して、表示スクリーンの参考座標から個人データ、音楽、写真等の各種形式のファイルデータまで、全てエンコーダ信号に含まれて転送される点である。
【0027】
本実施例において、
行電極D
1〜D
Nは、表示画面のデータ信号を転送する外、エンコーダ信号をも転送する。例えば、表示信号に直接に表示信号より周波数の高いエンコーダ信号を重ね合わせるか、または、データ表示信号を転送する際に発生した帰線期間において転送する。帰線期間は、例えば、全ての
列電極S
1〜S
Mがスキャンを終了した後、次のスキャンの前の期間(フレームとフレームの間の帰線期間)であり、または、一本の
列電極がスキャンを完了し、且つ、次の
列電極がスキャンを開始する前の期間であり、または、全ての
列電極のスキャン期間内に、表示信号の印加時間を短縮して、データ表示信号を転送する前に発生した期間等である。ここでは、エンコーダ信号は、タイミングコントロール(T-con)の回路機能を拡大して、さらに、データ駆動回路またはスキャン駆動回路を拡大して提供することにより、回路設計を簡潔にする。
【0028】
図4は、隣接し合う二つの
列電極と隣接し合う二つの
行電極の信号を示した図である。
列電極S
1〜S
Mは、それぞれスキャン信号SSを転送して、順に各列のトランジスタ回路を開き、各列のトランジスタが開かれる時間において、各
行電極D
1〜D
Nはそれぞれエンコーダ信号ESとデータ表示信号DSを転送する。以下に、
行電極方向に垂直な方向への一次元タッチコントロールの場合のみを例として、同時に、タイミングコードの方式によってエンコーダ信号ESを説明する。同様の方法は、
列電極に垂直な方向上でも実行することが可能である。このようにして、完全な二次元平面タッチコントロールが構成される。本実施例において、
図4に示したように、ある一つの
列電極がそのスキャン信号を転送する時、一つの
行電極のみがエンコーダ信号ESを転送する。
図4において、このエンコーダ信号ESは、レベルがデータ表示信号DSと異なる方式で表示されるが、実施時には同一レベルで進行させることもできる。
【0029】
各
行電極が転送するエンコーダ信号のシーケンス図は
図5に示したとおりである(表示用のデータ信号は省略する)。
行電極D
1〜D
Nは、
列電極がスキャン信号を転送するのに伴って、それぞれエンコーダ信号ES1〜ESNを転送する。さらに説明すると、上述のエンコーダ信号は、それぞれ異なる
行電極において転送されることができ、複数の
行電極において同一のエンコーダ信号を転送することも可能である。例えば、
行電極D
1〜D
3は全てエンコーダ信号ES1を転送することが可能である。同じことは、
列電極が転送するエンコーダ信号にも適用される。また、
列電極と
行電極が転送するエンコーダ信号は、それぞれ一つのシステムとして独立させることが可能である。
行電極は、順にエンコーダ信号ESを転送するため、時間の基準点を必要とし、その時間の基準点を比較することで、
行電極の位置を知り得る。この基準点は、同じ方式で転送される特殊コードであり、例えば、全ての
行電極は、それぞれ二つの1を転送した後に、順にエンコーダ信号を転送する。上述の方式によって、操作デバイスが生成したエンコーダ信号が、例えば、110010000であれば、すなわち、操作デバイスが三本目の
行電極に位置することを知り得るということであり、したがって、操作デバイスの座標値(X座標)を算出することが可能となる。同様の方法を使用して、操作デバイスのY座標は他の
列電極に印加される他のエンコーダ信号によって知り得る。また、
列電極が表示信号を駆動するために印加されたスキャン信号自体が順に生成されたものであるので、スキャン信号を本発明に係る
列電極のエンコーダ信号と見なすことができる。
列電極のエンコーダ信号が必要とする基準点は、
行電極と共用することが可能であり、例えば、全て表示画面用の水平同期信号または垂直同期信号を使用することができる。当然、
行電極D
1〜D
Nと
列電極S
1〜S
Mは、さらなる複雑なエンコーダ信号を転送することも可能であるが、ここでは記述しない。
【0030】
また、本実施例におけるエンコーダ信号のデューティサイクル(duty cycle)をデータ信号のデューティサイクルより小さくすることで、表示クォリティーが維持される。
【0031】
ユーザが操作デバイス11を持って、マトリックス表示装置12の表示面121上で操作すると(例えば、表示面に触れたり、表示面に近づいたりする)、エンコーダ信号がマトリックス基板122からコンデンサカップリングによって操作デバイス11にカップリングされる。本実施例では、
行電極D
1〜D
Nによってエンコーダ信号ESが転送される場合を例としているため、
行電極はコンデンサカップリングのうちの一方の電極となり、操作デバイス11にはコンデンサカップリングのもう一方の電極が設けられることになる。例えば、操作デバイス11がタッチペンである場合、ペン先には導体を設けて、コンデンサカップリングのもう一つの電極とする。
【0032】
操作デバイス11がコンデンサカップリングによってエンコーダ信号ESを受信した後、操作デバイス11は、エンコーダ信号ESに基づき処理を行って転送信号TSを得る。前述の処理は、エンコーダ信号ESに対して増幅とデコードの両方またはいずれかを実行して、どの
行電極がタッチコントロールされたかを読み取るか、タッチコントロールされた位置を読み取るか、タッチコントロール時の手の動作(ジェスチャ)を読み取るか、または、タッチコントロールに対応する機能指令を読み取ることを含む。注意すべき点は、エンコーダ信号ESは、コンデンサカップリングによって操作デバイス11にカップリングされ、このコンデンサの容量は操作デバイス及び表示面の間の距離に関係することである。すなわち、信号の強さによってZ軸のデータ得ることができるため、操作デバイス11は平面の二次元座標を得るのみならず、平面との距離を示すZ座標をも得ることができる。以上により、いわゆる転送信号TSがカバーする範囲は、エンコーダ信号ESを単純に増幅することから、最後に処理して動作指令となるまでを含むことが可能である。
【0033】
次に、操作デバイス11が転送信号TSを生成した後、操作デバイス11は、有線方式、無線方式、または電気的にカップリングする方式(コンデンサカップリングを含む)、または光学的にカップリングする方式によって、転送信号TSをマトリックス表示装置12、その他の中継デバイス、またはこのビジョンインタフェースシステム以外のその他のデバイスに転送する。ここでは、直接にマトリックス表示装置12に転送する場合を例とする。
【0034】
本発明がその他の非接触用途に応用される場合、まず、転送すべきメッセージが特定の原則に従ってエンコーダ信号ESとして符号化され、そして、マトリックス基板122(例えば、携帯電話またはタブレットパソコンに含まれる)からコンデンサカップリングによって操作デバイス11(例えば、壁に固定された近距離無線リーダ)にカップリングされる。同様に、操作デバイス11が、設定された原則に基づきエンコーダ信号ESを処理して(例えば、データのデコードと修正の両方またはいずれか)転送信号TSを得た上、さらに、それぞれの用途に基づき転送信号TSを応用することができる。例えば、アクセス制御システム、ショッピング、金融取引、または、ファイルの転送等への応用を含む。
【0035】
上述の操作デバイス11によって処理されて得られた転送信号TSは、すでにタッチコントロール情報、指令情報、取引情報、ファイル情報またはその他の情報等の情報を有している。また、その他の実施例において、マトリックス表示装置12は、転送信号TSを処理して、情報信号を得ることができ、前記情報信号はタッチコントロール情報、指令情報、識別情報、取引情報、ファイル情報またはその他の情報を含む。すなわち、情報信号は、完全な情報を含んでいるということである。
【0036】
さらに、
図1に示したように、エンコーダ信号ESが操作デバイス11にカップリングされて転送信号TSを生成し、転送信号TSがマトリックス表示装置12に転送されて、情報信号を得る過程において、信号にはある処理が行われている。この処理は、例えば、増幅とデコードであり、これらの処理の過程は、操作デバイス11またはマトリックス表示装置12に集中または分散させるようにし、その場合、転送信号TSにタッチコントロール情報、指令情報、識別情報、取引情報、ファイル情報またはその他の情報を有させるか、または情報信号にタッチコントロール情報、指令情報、識別情報、取引情報、ファイル情報またはその他の情報を有させるようにする。
【0037】
また、操作デバイス11とマトリックス表示装置12の間では、応答(Response)信号RSを転送させることもできる。応答信号RSはメッセージであり、マトリックス表示装置12に操作デバイス11の受信状態を通知するようにする。また、もう一つのメッセージとしては、操作デバイス11に信号を受信する準備をするよう通知するものである。また、操作デバイス11とマトリックス表示装置12の間の同期用信号とすることもできる。このように、信号の送信と受信の間に相互にハンドシェイクを行なう仕組みを確立するのである。また、応答信号RSは、両者の同期機能をも兼ね備えることで、情報のハンドシェイク(information handshaking)過程を構成する。
【0038】
図6は、本発明の第一実施例に係るビジョンインタフェースシステムにおけるマトリックス表示装置12の外観を示した図である。
図6に示したように、ビジョンインタフェースシステムは、モード触発装置127を備え、ユーザまたは操作デバイスがこのモード触発装置127を触発することで、マトリックス表示装置12を起動してタスクモードにし、エンコーダ信号ESを送信する。タッチコントロールの場合を例にすると、ユーザがタッチコントロール機能を利用する必要がある時、モード触発装置127を触発することで、マトリックス表示装置12を起動して、タッチコントロールモードに切り替える。この時、
列電極または
行電極がエンコーダ信号を転送し、その他の時間においては、ビジョンインタフェースシステムはマトリックス表示装置12のタッチコントロール機能を全部または一部シャットダウンすることにより、スクリーンに触れて誤動作を起こすのを防止すると同時に、電力を節約する効果を有する。ここで注目すべきは、このモード触発装置127のタスクモードは、複数の態様があるということである。例えば、一度触発した後ある一定の時間を経過すると前の状態に戻る、毎回触発する度にステータスが変更される、または触発が継続している時のみステータスが維持される等の方式がある。注目すべき点は、モード触発装置127は、操作デバイス上(例えば、タッチペン上のスイッチ)に設置されるという点である。この状況において、モード触発装置127が触発された後、操作デバイス11は触発信号をマトリックス表示装置12に送信し、タッチコントロールモードに切り替える。注目すべきは、ここで言うところのモード触発装置127の機能は、一度触発することによってタッチコントロールモードに切り替えるものであるが、ユーザが接触を保持する方式によりタッチコントロールモードに切り替えることも可能である。また、アクセス制御システム、入場カード、クレジットカード、またはファイル転送の場合を例とすると、ユーザはこのモード触発装置を触発し、エンコーダ信号によって身分を確認するためのデータ転送機能を実行できる。例えば、データをカードリーダまたは他の受信機を有する装置に転送するものである。モード触発装置127は、例えば、機械式スイッチまたはタッチコントロールスイッチ等である。
【0039】
図7は、本発明の第一実施例におけるビジョンインタフェースシステム1のマトリックス表示装置12及びユーザを操作デバイス11とする場合を示した図である。このうち、ビジョンインタフェースシステム1は、感知装置128を備える。感知装置128はマトリックス表示装置12に電気的に接続され、ユーザである操作デバイス11が同時にマトリックス表示装置12の表示面121及び感知装置128に接触することで、転送信号TSがマトリックス表示装置12に転送される。これはすなわち、ユーザが導体となって、転送信号TSをマトリックス表示装置12に転送させることである。その実際の動作は、例えば、ユーザの右手で表示面121を操作して、左手で感知装置128を押さえることである。このようにして、エンコーダ信号ESがユーザの右手から進入して、転送信号TSが左手から転送されて出て行く。感知装置128は、さらにモード触発装置127の機能を有することも可能である。例えば、左手が感知装置128を押さえていることを検知するとタスクモードを起動し、その他の時間はタスクモードを起動しないようにする。このようにして、大幅にパワーの消耗を低く抑え、誤触等の状況を回避することができる。