特許第6142152号(P6142152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6142152
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】油分測定装置及び油分測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/88 20060101AFI20170529BHJP
   G01N 30/08 20060101ALI20170529BHJP
   G01N 30/68 20060101ALI20170529BHJP
   G01N 30/54 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   G01N30/88 M
   G01N30/08 G
   G01N30/68 A
   G01N30/54 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-208181(P2012-208181)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-62815(P2014-62815A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年6月22日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000229601
【氏名又は名称】日本パイオニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(72)【発明者】
【氏名】島田 孝
(72)【発明者】
【氏名】武政 登
(72)【発明者】
【氏名】山下 義雄
(72)【発明者】
【氏名】田山 竜規
【審査官】 加々美 一恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−126695(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/101925(WO,A1)
【文献】 特表2009−513947(JP,A)
【文献】 特開2007−263905(JP,A)
【文献】 特表2008−505830(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0005704(US,A1)
【文献】 特開2014−037333(JP,A)
【文献】 米国特許第05181942(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00−30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアガスに含まれる油分の量を測定する油分測定方法であって、アンモニアガスを吸着剤に接触させて該アンモニアガスに含まれる油分を該吸着剤に吸着する段階と、キャリアガスを前記吸着剤に流通させて、前記吸着剤が吸着した油分を加熱手段により加熱して脱着する段階と、前記脱着した油分を分析する段階を含んでなることを特徴とする油分測定方法。
【請求項2】
配管を流通するアンモニアガスに含まれる油分の量を連続的または断続的に測定する請求項に記載の油分測定方法。
【請求項3】
脱着した油分を分析する段階で測定された油分の量と、吸着剤へのアンモニアガスの流通量から、アンモニアガスに含まれる油分の濃度を算出する請求項に記載の油分測定方法。
【請求項4】
工業用アンモニアガスに含まれる油分のを測定する請求項に記載の油分測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアガスに含まれる油分の量を測定する油分測定装置及び油分測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程等に用いられるガスの中に不純物が含まれると半導体の品質等に悪影響を与えるので、これらのガスには高い純度が要求され、不純物は一定濃度以下となるように測定及び管理される必要がある。不純物として測定及び管理される物質は様々であるが、その一つに油分がある。ここで油分とは、分子量200〜400の炭化水素のことを指すのが一般的である。油分は、ガスを容器に加圧充填するとき等に用いられるコンプレッサのオイルに由来することが多く、多くのガス中に不純物として存在している。ガス中の油分を測定する方法としては、例えば、油分を含むガスを、粉末を充填した管内に導入し、該ガス中の油分を前記粉末に吸収させた後、該管内に溶媒を導入して前記粉末に吸収されている油分を抽出し、次いで、該溶媒に溶解した油分を分析することを特徴とするガス中の油分測定方法が開示されている(特許文献1)。
【0003】
一方、アンモニアガスは半導体製造工程に用いられるガスの一つであり、特にIII族窒化物半導体の製造工程における窒素源として多用されている。III族窒化物半導体は、青色若しくは紫外LED又は青色若しくは紫外レーザーダイオードの材料として用いられ、化学的気相成長(CVD)等の方法により、シリコン(Si)、サファイア(Al)又は窒化ガリウム(GaN)等の基板上に成長される。III族窒化物半導体の気相成長において、油分に由来する炭素等が半導体膜中に混入すると、半導体の品質が悪化するので、アンモニアガス中の油分は一定濃度以下となるように測定及び管理される必要がある。
【特許文献1】特開平5−126695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような従来の油分捕集方法及び油分捕集装置では、粉末に吸収させた油分を溶媒で抽出して該溶媒に溶解した油分を分析することによりガス中の油分が定量されるが、繰り返し測定を行う際には、測定の度に油分捕集管を交換する必要があるため、作業が煩雑になるという問題の他に、油分捕集管交換時の工具の油分等の外部からの不純物の影響から、正確で高感度な測定が困難であるという問題もあった。従って、本発明の課題は、作業が容易で正確かつ高感度な測定が可能な油分測定装置及び油分測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、アンモニアガスに含まれる油分の量を測定する油分測定装置に、前記油分を吸着する吸着剤と、該吸着剤から脱着した油分を分析する分析部を、外部から密閉して備えることにより、繰り返し測定を行う際に、作業が容易になるだけでなく、外部からの不純物の混入が抑制されるので、油分の量の正確で高感度な測定が可能になることを見出し、本発明の油分測定装置及び油分測定方法に到達した。
【0006】
すなわち本発明は、アンモニアガスに含まれる油分の量を測定する油分測定装置であって、前記油分の吸着剤を充填する吸着筒と、該吸着剤から脱着した油分を分析する分析部を備えてなることを特徴とする油分測定装置である。
また、本発明は、アンモニアガスに含まれる油分の量を測定する油分測定方法であって、アンモニアガスを吸着剤に接触させて該アンモニアガスに含まれる油分を該吸着剤に吸着する段階と、前記吸着剤が吸着した油分を脱着する段階と、前記脱着した油分を分析する段階を含んでなることを特徴とする油分測定方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油分測定装置及び油分測定方法においては、繰り返し測定を行う際にも吸着剤を交換する必要がないため、作業が容易になり、外部からの不純物の混入が抑制されて正確で高感度な測定が可能になるだけでなく、配管を流通するアンモニアに含まれる油分を連続的または断続的に測定することもできる。
また、油分は通常、炭素数等が異なる多様な炭化水素の混合物であるため、油分の量を測定するためには、これらを分離してから定量するか、多数の分析信号を解析して定量しなければならない。しかし、本発明における分析手段として水素炎イオン化検出器(FID)を用いることにより、多様な炭化水素の混合物である油分はFIDで分解されてから分析され、前述のような煩雑な作業を必要とせず、アンモニアガスに含まれる油分の量をメタン換算で精度よく容易に定量することができる。
本発明の油分測定装置及び油分測定方法により、例えば0.1volppm(メタン換算)の量でアンモニア中に含まれる油分を測定することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、アンモニアガスに含まれる油分の量を測定する油分測定装置及び油分測定方法に適用される。以下、本発明の油分測定装置及び油分測定方法を、図1図2に基づいて詳細に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。尚、図1は、本発明の油分測定装置の一例を示す構成図であり、図2は、本発明の油分測定装置を用いた気相成長システムの一例を示す構成図である。
【0009】
本発明は、図1に示すように、アンモニアガスに含まれる油分の量を測定する油分測定装置であって、前記油分の吸着剤7を充填する吸着筒6と、該吸着剤7から脱着した油分を分析する分析部10を備えてなる油分測定装置である。
また、本発明は、アンモニアガスを吸着剤に接触させて該アンモニアガスに含まれる油分を該吸着剤に吸着する段階(吸着段階)と、前記吸着剤が吸着した油分を脱着する段階(脱着段階)と、前記脱着した油分を分析する段階(分析段階)を含んでなる油分測定方法である。
【0010】
本発明に用いられる吸着剤は、アンモニアによる腐食等の悪影響を受けず、油分を吸着可能な吸着剤であれば特に限定されることはないが、活性アルミナ、珪藻土、モレキュラーシーブ、活性炭等の無機系吸着剤、TENAX(登録商標)等のポリマー系吸着剤を例示することができる。本発明に用いられる吸着剤には、TENAX(登録商標)を用いることが特に好ましいが、TENAX(登録商標)に限定されることはない。本発明に用いられる吸着剤は、図1に示すように、吸着筒に充填されて用いられることが好ましい。吸着剤が充填される吸着筒は、円筒形を有することが好ましく、ステンレス等の耐熱性及び耐腐食性に優れた材質で構成されることが好ましいが、このような形状及び材質に限定されることはない。
【0011】
本発明における吸着段階では、吸着剤の温度は20〜30℃であることが好ましく、常温であることが特に好ましいが、このような温度に限定されることはない。吸着剤に流通されるアンモニアガスの流量は、25〜500ml/minであることが好ましく、吸着筒に流通されるアンモニアガスの空筒線速度(LV)は、5〜120cm/secであることが好ましいが、このような流量及びLVに限定されることはない。測定1回あたりの流通時間は0.01〜20minであることが好ましいが、このような流通時間に限定されることはない。吸着剤としてTENAX(登録商標)を用いる際に、使用されるTENAX(登録商標)の量は0.3〜0.5gであることが好ましいが、このような量に限定されることはない。
【0012】
本発明において、吸着段階から脱着段階に移行する時に、吸着剤に吸着されたアンモニアの少なくとも一部を脱着させて除去するアンモニア除去と、該アンモニア除去により油分が吸着剤から脱着することなく吸着剤に保持されていることを確認する油分保持確認を行うことが好ましい。
【0013】
このようなアンモニア除去を行うことにより、高濃度のアンモニアによる腐食等の、分析段階における分析手段への悪影響を防止することができる。特に、分析手段としてFIDを用いる際には、高濃度のアンモニアがFIDに導入されると、アンモニアが分解して生じる水素によってFIDのベースラインが不安定になるので、前述のようなアンモニア除去によりベースラインの不安定化を防止することができる。このアンモニア除去は、キャリアガスを吸着剤に流通させ、脱着したアンモニアを同伴したキャリアガスを外部に排出することにより行われることが好ましい。アンモニア除去時の吸着剤の温度は、吸着剤から油分が脱着されることなく、アンモニアが脱着できるように適宜設定され、吸着剤にTENAX(登録商標)を使用した際には、20〜30℃であることが好ましく、常温であることが特に好ましい。また、吸着剤に流通されるキャリアガスの流量は、30〜60ml/minであることが好ましく、吸着筒に流通されるキャリアガスのLVは、7〜15cm/secであることが好ましいが、このような流量及びLVに限定されることはない。
【0014】
また、前述のアンモニア除去の後に、該アンモニア除去により油分が吸着剤から脱着することなく吸着剤に保持されていることを確認することにより、より正確で高感度な油分の測定が可能になる。該油分保持確認は、キャリアガスを吸着剤に流通させた時に、油分の量を測定する分析手段が、キャリアガスに同伴される油分を検出しないことの確認によって行われることが好ましい。油分保持確認時の吸着剤の温度は、前述のアンモニア除去と同じ温度であることが好ましい。また、吸着剤に流通されるキャリアガスの流量は、前述のアンモニア除去と同じ流量及びLVであることが好ましいが、このような流量及びLVに限定されることはない。
【0015】
本発明において、吸着剤が吸着した油分を脱着する手段は、ヒータ等の加熱手段であることが好ましい。例えば図1の油分測定装置においては、吸着筒6の外部に設けられたヒータ8により吸着筒6を介して吸着剤7が加熱され、吸着剤7に吸着された油分が脱着される。また、油分の脱着時には、キャリアガスを吸着剤に流通させることが好ましく、脱着した油分を同伴したキャリアガスを分析部に導入することにより、脱着段階及び分析段階を連続的に行うことが可能になる。キャリアガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス等から適宜選択されてよいが、アルゴンが特に好ましい。
【0016】
本発明における脱着段階では、吸着剤の温度は、吸着剤の耐熱性や油分の脱着温度を考慮して適宜設定され、吸着剤にTENAX(登録商標)を使用した際には、250〜350℃であることが好ましい。また、吸着剤に流通されるキャリアガスの流量は、30〜60ml/minであることが好ましく、吸着筒に流通されるキャリアガスの空筒線速度(LV)は、7〜15cm/secであることが好ましいが、このような流量及びLVに限定されることはない。
【0017】
本発明において、吸着剤から脱着した油分を分析する手段は、油分に対して感度を有し、アンモニアに対して実質的に感度を有しない分析手段であることが好ましく、例えばFIDであることが好ましい。吸着剤からの油分の脱着時には油分の他に微量のアンモニアも脱着するが、このような分析手段を用いることにより、油分のみを分析部で定量することができる。また、脱着した油分が同伴されたキャリアガスを分析部に導入し、分析部で油分が検出されなくなるまで脱着を継続することにより、吸着剤に吸着された油分の量をメタン換算で定量することができる。本発明においては、分析段階で測定された油分の量と、吸着剤へのアンモニアガスの流通量から、アンモニアガスに含まれる油分の量を算出することができ、このようにして算出される油分の量はメタン換算の濃度値である。その際の計算式は、例えば、(アンモニア中の油分の濃度[volppm])={(分析部で検出された油分の量[ml])/(吸着筒へのアンモニア流通量[ml])}×1,000,000[volppm]である。
【0018】
図1の油分測定装置を用いた油分測定は、例えば以下のように行われる。まず、吸着段階では、高濃度のアンモニアによる腐食等の悪影響を防止するために、バルブ(5、9)を操作して、アンモニアガスを吸着剤7に通して吸着段階を行った後、分析部10を通さずにガス出口11から外部へ排気する。この間、バルブ4を操作して、キャリアガスを吸着剤7及び分析部10を通さずにガス出口11から外部へ排気しておいてもよい。その後、バルブ(4、5、9)を操作して、アンモニアガスを、吸着剤7及び分析部10を通さずにガス出口11から外部へ排気すると共に、キャリアガスを吸着剤7に通して分析部10を通さずにガス出口11から外部へ排気することによりアンモニア除去を行った後、バルブ(5、9)を操作して、吸着剤7を通したキャリアガスを分析部に導き、分析部10が油分を検出しないことを確認する。次に、脱着段階及び分析段階においては、バルブ(4、5、9)を操作して、アンモニアガスを、吸着剤7及び分析部10を通さずにガス出口11から外部へ排気すると共に、キャリアガスを、吸着剤7及び分析部10を通して、吸着剤7に吸着された油分の脱着及び分析を行った後、ガス出口11から外部へ排気する。尚、吸着剤7は、吸着段階の他に、前述のアンモニア除去及び油分保持確認において、ヒータ8を作動させずに常温等の所定の吸着温度に維持され、脱着段階及び分析段階において、ヒータ8を作動させて所定の脱着温度に加熱されてよい。また、いずれの段階における圧力も特に制限はないが、通常は常圧下で行なわれる。
【0019】
このような操作を繰り返すことにより、配管を流通するアンモニアガスに含まれる油分の量を連続的または断続的に測定することができる。また、本発明の油分測定装置を、例えば、図2のような気相成長システムに組み込み、前述のような操作を繰り返すことにより、気相成長装置に供給されるアンモニアガスに含まれる油分の量を連続的に測定することができる。
【0020】
本発明は、アンモニアを使用するCVD等の気相成長による半導体製造工程での使用に好適であり、III族窒化物半導体の製造工程のように不純物としてアンモニア中の油分濃度を測定及び管理することを要する半導体製造工程に特に好適である。また、本発明は、工業用アンモニアのように、安価であるが半導体製造工程に使用可能な程度には精製処理が行われていないアンモニアガスに含まれる油分の測定に有用である。本発明の油分測定装置は、例えば図2に示すように、半導体を形成する気相成長反応が行われる気相成長装置とその上流に設けられたアンモニア供給源の間、あるいは気相成長装置とその上流に設けられた油分除去手段(図示しない)の間に設けられ、アンモニア供給源と気相成長装置の間の配管を流れるアンモニアガスに含まれる油分の量を連続的または断続的に測定することができる。
【実施例】
【0021】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。
【0022】
[実施例1]
(油分測定装置及び気相成長システムの製作)
図1に示すような油分測定装置を、以下のようにして製作した。まず、内径3mm、長さ200mmの円筒形を有するステンレス製の吸着筒6に、吸着剤7としてTENAX(登録商標)0.4g(充填長150mm)を充填し、吸着筒6にヒータ8を装着した。これらにFIDからなる分析部10を接続し、図1の油分測定装置を製作した。
次に、アンモニアガスの供給源12、排ガス処理装置19等が接続された気相成長装置18を含む、III族窒化物半導体の気相成長システムに、前述のようにして製作した図1の油分測定装置を組み込み、図2のような気相成長システムを完成させた。尚、アンモニアガスの供給源としては、工業用アンモニアが充填されたボンベを用いた。
【0023】
(油分測定実験)
このようにして製作した油分測定装置(図1)及び気相成長システム(図2)を用い、常圧下で油分測定実験を行った。まず、バルブ4を操作して30ml/minのキャリアガス(アルゴン)を吸着剤7及び分析部10を通さずにガス出口11から外部に排気した。そして、バルブ14を操作してアンモニア精製装置13を通っていない未精製の工業用アンモニアガス50ml/min(LV:12cm/sec)を、流量制御器16を用いて1minの間サンプリングし、バルブ(5、9)を操作して、アンモニアガス入口2から常温の吸着剤7に通した後、分析部10を通さずにガス出口11から外部に排気し、排気されたアンモニアガスを排ガス処理装置19により浄化した。
【0024】
その後、バルブ(4、5、9)を操作して、アンモニアガスを、吸着剤7及び分析部10を通さずにガス出口11から外部へ排気すると共に、キャリアガス30ml/min(LV:7cm/sec)を吸着剤7に通して分析部10を通さずにガス出口11から外部へ排気することによりアンモニア除去を行った後、バルブ(5、9)を操作して、吸着剤7を通したキャリアガス30ml/min(LV:7cm/sec)を分析部10に導き、分析部10が油分を検出しないことを確認した。
【0025】
次に、ヒータ8を用いて吸着剤7を300℃に加熱した。その後、バルブ(4、5、9)を操作して、アンモニアガスを吸着剤7及び分析部10を通さずにガス出口11から外部へ排気すると共に、キャリアガス30ml/min(LV:7cm/sec)を300℃に維持された吸着剤7及び分析部10を通して、ガス出口11から外部へ排気した。排気されたアンモニアガスは排ガス処理装置19により浄化した。分析部10のFIDが油分を検出しなくなるまで分析を継続し、分析部10のFIDで定量された油分の量と、アンモニアガスのサンプリング流量にサンプリング時間に基づいて求めたアンモニアガスの流通量から、アンモニアガス中の油分の量を算出したところ、メタン換算値で0.27volppmであった。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、アンモニアを使用するCVD等の気相成長による半導体製造工程での使用に好適であり、III族窒化物半導体の製造工程のように不純物としてアンモニア中の油分濃度を測定及び管理することを要する半導体製造工程に特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の油分測定装置の一例を示す構成図である。
図2】本発明の油分測定装置を用いた気相成長システムの一例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0028】
1 油分測定装置
2 アンモニアガス入口
3 キャリアガス入口
4,5,9,14 バルブ
6 吸着筒
7 吸着剤
8 ヒータ
10 分析部
11 ガス出口
12 アンモニアガスの供給源
13 アンモニア精製装置
15 キャリアガスの供給源
16,17 流量制御器
18 気相成長装置
19 排ガス処理装置
20 排出ライン
図1
図2