(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無線通信可能エリアに存在する通信端末との無線通信に必要な制御情報を、機器認証と接続確立とにより生成することで、前記通信端末との第一通信リンクを確立する第一確立ステップと、
前記第一確立ステップで生成した前記制御情報を共有する共有ステップと、
前記第一通信リンクにおける通信品質を取得し、取得した前記通信品質が所定品質より低い場合に、通信制御信号を送信する第一制御ステップと、
前記第一通信リンクを通じて前記通信端末との間で送受信する通信フレームを当該通信フレームの最終宛先へ転送する転送モード、又は、当該通信フレームを転送しない停止モードに遷移し得る第一転送ステップと、
前記共有ステップで共有した前記制御情報を、前記通信端末との通信に必要な制御情報として保持することで、前記通信端末との第二通信リンクを確立する第二確立ステップと、
前記第一制御ステップで送信された前記通信制御信号を受信した場合に、前記第二確立ステップによる第二通信リンクの確立を制御する第二制御ステップと、
前記第二通信リンクを通じて前記通信端末との間で送受信する通信フレームを当該通信フレームの最終宛先へ転送する転送モード、又は、当該通信フレームを転送しない停止モードに遷移し得る第二転送ステップとを含み、
前記第一転送ステップでは、前記第一制御ステップで前記通信制御信号を送信した場合に、前記停止モードへ遷移し、
前記第二転送ステップでは、前記第二制御ステップで前記通信制御信号を受信した場合に、前記転送モードへ遷移する
制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(本発明の基礎となった知見)
「背景技術」欄に記載したとおり、何らかの要因により通信リンクを介した通信ができなくなり、かつ、無線通信端末が他の無線基地局装置との通信リンクを確立することが可能である場合、無線通信端末は、当該他の無線基地局装置との間で通信リンクを確立することで通信を継続する(AP切り替えをする)ことができる。AP切り替えは、例えば、無線通信端末が移動することで通信リンクを確立していた無線基地局装置から離れ、他の無線基地局装置に近づく場合のハンドオーバの際に行われる。また、2つの無線基地局装置の通信可能エリアに存在する無線通信端末が一方の無線基地局装置と通信リンクを確立している状態において、当該通信リンクの通信品質が悪化した場合にもAP切り替えが行われる。この場合、AP切り替えにより、他方の無線基地局装置と通信リンクを確立することができる。さらに、無線通信端末が通信リンクを確立していた無線基地局装置が故障により停止した場合、又は、当該無線基地局装置が保守者により電源を落とされた場合にもAP切り替えが行われる。
【0038】
特許文献1に記載された発明によれば、無線通信端末は、ハンドオーバにより新たな無線基地局装置との間で通信リンクを確立するまでに、新たな無線基地局装置との間で再度認証を行う。認証を受けた新たな無線基地局装置は、システム内の無線制御装置から事前に保持されている無線通信端末との間の接続の確立に必要な情報をリアソシエーション要求する。無線制御装置は、リアソシエーション応答に共通鍵などの制御情報を含めて送信する。以上により、無線基地局装置は、当該制御情報を用いて無線通信端末との間で通信を確立することにより、無線通信端末が通信できない期間(無通信期間)を短くすることを実現している。
【0039】
しかし、特許文献1に記載された発明では、新たな無線基地局装置と無線制御装置との間でリアソシエーション処理を行っているので、無線通信端末側から見ると接続が完全に切れている状況を生じさせる。
【0040】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、AP切り替えにより発生する無通信期間をより短くする無線通信システムを提供することを目的とする。より具体的には、本発明は、無線通信端末が無線基地局装置との通信において、無線通信端末の移動、無線基地局装置の故障停止、あるいは無線通信端末と無線基地局装置の電波障害などが生じた場合に必要となる新たな無線基地局装置との通信リンクを確立するまでの無通信期間を短くする無線通信システムを提供することを目的とする。
【0041】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0042】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項
に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0043】
なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0044】
(実施の形態1)
本実施の形態において、ハンドオーバにより発生するAP切り替えの際に、新たな無線基地局との間で通信リンクを確立する無線基地局装置、及び、当該無線基地局装置を含む無線通信システムについて説明する。
【0045】
図1は、本実施の形態に係る無線通信システム40のネットワーク構成図である。
【0046】
図1に示されるように、本実施の形態に係る無線通信システム40は、無線基地局装置11と、無線基地局装置12と、LAN(Local Area Network)31と、通信端末21とを備える。
【0047】
無線基地局装置11は、無線通信インタフェースを有する無線基地局装置(無線基地局ともよぶ)であり、無線通信可能エリアに存在する通信端末21との間で通信リンク25を確立し、無線通信を行う。また、無線基地局装置11は、LAN31と接続されており、無線通信に用いられる通信フレーム(通信パケット)の宛先に応じて、当該通信フレームを当該宛先に向けて転送する。具体的には、無線基地局装置11は、通信端末21から、LAN31側の端末(LAN31に接続された端末、又はLAN31に接続されたネットワークに接続された端末)を宛先とする通信フレームを受信したら、当該通信フレームをLAN31へ転送する。また、無線基地局装置11は、LAN31側の端末から、通信端末21を宛先とする通信フレームを受信したら、当該通信フレームを通信端末21に転送する。また、無線基地局装置11は、通信端末21との通信に必要な制御情報を無線基地局装置12と共有する。なお、無線通信は、例えば、IEEE802.11a、b、g、n規格などに適合する無線LANにより実現される。
【0048】
無線基地局装置12は、無線通信インタフェースを有する無線基地局装置であり、通信端末21との間で通信リンク26を確立し、無線通信を行う。また、無線基地局装置12は、通信端末21との通信に必要な制御情報を無線基地局装置11と共有する。
【0049】
LAN31は、無線基地局装置11と無線基地局装置12との通信に用いられる通信ネットワーク(ローカルエリアネットワーク)である。なお、LAN31は、例えば、IEEE802.3規格などに適合する有線LANにより実現される。
【0050】
通信端末21は、無線通信インタフェースを有する無線通信端末である。通信端末21は、無線基地局装置11との間で通信リンク25を確立し、又は、無線基地局装置12との間で通信リンク26を確立し、無線通信を行う。通信端末21は、通信リンク25及び無線基地局装置11、又は、通信リンク25及び無線基地局装置12を介して、LAN31側の端末と通信することができる。
【0051】
本実施の形態において、まず、通信端末21が無線基地局装置11との間で通信リンク25を確立し、その後、ハンドオーバにより、無線基地局装置12との間で通信リンク26を確立した状態になる場合の処理について説明する。本実施の形態に係る無線通信システムによれば、このハンドオーバにより発生する無通信期間をより短くすることができる。なお、通信端末21がハンドオーバする前に通信リンクを確立した無線基地局装置をハンドオーバ元基地局と、通信端末21がハンドオーバした後に通信リンクを確立した無線基地局装置をハンドオーバ先基地局と、それぞれ記述することがある。
【0052】
図2は、本実施の形態に係る無線基地局装置11のハードウェア構成図である。
【0053】
図2に示されるように、無線基地局装置11は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、記憶装置104と、WNIC(Wireless Network Interface Card)105と、NIC(Network Interface Card)106とを備える。なお、本実施の形態に係る無線基地局装置12は、無線基地局装置11と同様のハードウェア構成を有する。
【0054】
CPU101は、ROM102に格納された制御プログラムを実行するプロセッサである。
【0055】
ROM102は、制御プログラム等を保持する読み出し専用記憶領域である。
【0056】
RAM103は、CPU101が制御プログラムを実行するときに使用するワークエリアとして用いられる揮発性の記憶領域である。
【0057】
記憶装置104は、制御プログラム、又は、画像データなどを保持する不揮発性の記憶領域である。
【0058】
WNIC105は、通信端末21との間で無線通信を行う無線通信インタフェースである。なお、WNIC105は、例えば、IEEE802.11a、b、g、n規格等に適合する無線LANの通信インタフェースである。
【0059】
NIC106は、LAN31へ通信データを送信する、又は、LAN31から通信データを受信する通信インタフェースである。なお、NIC106は、IEEE802.3規格等に適合する有線LANインタフェースであってもよいし、IEEE802.11a、b、g、n規格等に適合する無線LANインタフェースであってもよい。なお、NIC106は、WNIC105を用いて実現されてもよい。
【0060】
なお、上記の通り、本実施の形態に係る無線基地局装置12は、無線基地局装置11と同様のハードウェア構成を有するので、無線基地局装置12についての詳細な説明は省略する。
【0061】
図3は、本実施の形態に係る無線基地局装置11及び12の機能ブロック図である。
【0062】
図3に示されるように、無線基地局装置11は、確立部111と、共有部112と、制御部113と、転送部114とを備える。また、無線基地局装置12は、確立部121と、共有部122と、制御部123と、転送部124とを備える。なお、ここでは、通信端末21が最初に無線基地局装置11との間で通信リンク25を確立し、その後、ハンドオーバにより、無線基地局装置12との間で通信リンク26を確立した状態になるときの処理について説明する。つまり、無線基地局装置11をハンドオーバ元基地局として説明し、無線基地局装置12をハンドオーバ先基地局として説明する。無線基地局装置11及び無線基地局装置12の両方の機能を備えた無線基地局装置を実現することももちろん可能である。
【0063】
確立部111は、無線基地局装置11の無線通信可能エリアに存在する通信端末21との無線通信に必要な制御情報を、機器認証と接続確立とにより生成することで、通信端末21との通信リンク25(第一通信リンク)を確立する。ここで、通信端末21との通信に必要な制御情報は、例えば、無線基地局装置11と通信端末21との通信に必要な共通鍵であり、上記の機器認証によって動的に生成される共通鍵を含む。具体的には、まず、確立部111は、通信端末21との間で所定の信号のやりとりを行い、上記の共通鍵を含む制御情報を生成する。生成した制御情報は、通信端末21との間で行われる暗号通信に用いられるものである。なお、制御情報は、上記の共通鍵の他に、例えば、無線基地局装置11のMACアドレス、IEEE802.11認証情報と暗号化のために利用されるWPAで必要なキー情報、およびアソシエーション時に作成され順次割り振られるアソシエーションIDなどを含んでもよい。なお、通信端末21は、上記の制御情報を保持したことにより暗号通信が可能となるので、上記の制御情報を保持したことを、通信端末21との通信リンク25が確立したと表現することもできる。なお、制御情報を生成するまでに通信端末21との間で行う信号のやりとりなどについては、後で詳述する。なお、確立部111は、CPU101、ROM102、RAM103、及びWNIC105などにより実現される。なお、確立部111は、第一確立部に相当する。
【0064】
共有部112は、確立部111が生成した制御情報を、無線基地局装置12と共有する。具体的には、共有部112は、確立部111が生成した、共通鍵を含む制御情報をLAN31を通じて無線基地局装置12に送信することにより、当該制御情報を無線基地局装置12と共有する。なお、共有部112は、CPU101、ROM102、RAM103及びNIC106などにより実現される。なお、共有部112は、第一共有部に相当する。
【0065】
制御部113は、通信リンク25における通信品質を取得し、取得した通信品質が所定品質より低い場合に、無線基地局装置12に通信制御信号を送信する。通信品質は、例えば、通信リンク25を通じて受信する通信フレームの受信電波強度により得られる。具体的には、制御部113は、通信リンク25における通信の受信電波強度を取得し、取得した受信電波強度が所定の閾値より小さい場合に、当該通信品質を示す情報を含む通信制御信号を無線基地局装置12に送信する。所定の閾値は、例えば、用いられる無線通信規格において定められている最小受信感度(無線通信規格IEEE802.11aであれば、ARIB STD−T71標準規格におけるMinimum sensitivity等)を用いることができる。伝送レート又は変調方式などに応じて最小受信感度が異なる場合には、通信リンク25における伝送レート又は変調方式に応じた値を所定の閾値として用いればよい。なお、通信品質は、例えば、通信リンク25を通じて受信する通信フレームのフレームロス率、ビットエラー率などにより得られてもよい。なお、制御部113は、CPU101、ROM102、RAM103及びNIC106などにより実現される。なお、制御部113は、第一制御部に相当する。
【0066】
転送部114は、通信リンク25を通じて通信端末21との間で送受信する通信フレームを当該通信フレームの最終宛先へ転送する。また、転送部114は、上記のように通信フレームを転送する転送モードと、通信フレームを転送しない停止モードとを有し、それらを制御部113による制御により切り替えることができる。なお、転送部114は、第一転送部に相当する。
【0067】
共有部122は、無線基地局装置11の確立部111が生成した制御情報を、無線基地局装置11と共有する。具体的には、共有部122は、無線基地局装置11から送信される制御情報を受信することにより、当該制御情報を無線基地局装置11と共有する。なお、共有部122は、CPU、ROM、RAM及びNICなどにより実現される。なお、共有部122は、第二共有部に相当する。
【0068】
確立部121は、共有部122が共有した制御情報を、通信端末21との通信に必要な制御情報として保持することで、通信端末21との通信リンク26(第二通信リンク)を確立する。すなわち、確立部121は、通信端末21との間で所定の信号のやりとりを行うことなく、通信端末21との通信に必要な制御情報を保持する。そして、制御部123が無線基地局装置11から通信制御信号を受信した場合に、保持している制御情報を用いて通信端末21との通信リンク26を確立する。なお、確立部121は、CPU、ROM、RAM、及びWNICなどにより実現される。なお、確立部121は、第二確立部に相当する。
【0069】
制御部123は、無線基地局装置11から通信制御信号を受信する。そして、制御部123は、当該通知を受け付けた場合に、確立部121が通信端末21との通信リンク26を確立するように制御する。なお、制御部123は、CPU、ROM、RAM及びNICなどにより実現される。なお、制御部123は、第二制御部に相当する。
【0070】
転送部124は、通信リンク26を通じて通信端末21との間で送受信する通信フレームを当該通信フレームの最終宛先へ転送する。また、転送部124は、上記のように通信フレームを転送する転送モードと、通信フレームを転送しない停止モードとを有し、それらを制御部123による制御により切り替えることができる。なお、転送部124は、第一転送部に相当する。
【0071】
図4は、本実施の形態に係る無線通信システム40のフローチャートである。
図5Aは、本実施の形態に係る無線通信システム40のシーケンス図である。
図5Bは、本実施の形態に係る無線通信システムの詳細シーケンス図である。
図4、
図5A、及び
図5Bを参照しながら、本実施の形態に係る無線通信システム40におけるハンドオーバ処理について説明する。なお、
図4、
図5A、及び
図5Bにおいて、通信端末のことを「STA」と、無線基地局装置のことを「AP」と記述する。以降の図においても、同様の記述を用いることがある。
【0072】
まず、通信端末21は、無線基地局装置11に接続要求を送信する(ステップS401)。具体的には、
図5Aに示されるように、通信端末21は、通信可能な無線基地局装置を探索するためのメッセージであるプローブ要求メッセージ(Probe−REQ)(以降では、単に「プローブ要求」ともよぶ)を送信する。ここで、通信端末21と無線基地局装置11とが、互いに通信可能な位置に存在しているとすると、無線基地局装置11の確立部111は、通信端末21が送信したプローブ要求メッセージを受信し、その応答としてプローブ応答メッセージ(Probe−RES)(以降では、単に「プローブ応答」ともよぶ)を通信端末21に送信する。通信端末21は、無線基地局装置11からプローブ応答を受信することで、無線通信可能エリアに無線基地局装置11が存在していることを知る。
【0073】
図4に戻り、次に、無線基地局装置11の確立部111は、通信端末21との無線通信に必要な制御情報を、機器認証と接続確立とにより生成することで、通信端末21との通信リンク25を確立する(ステップS402)。制御情報は、少なくとも、無線基地局装置11と通信端末21との通信に用いられる共通鍵(PMK(Pairwise Master Key))を含む。具体的には、
図5Aに示されるように、無線基地局装置11は、通信端末21との間で機器認証及び接続確立のための通信(Authentication等)を行う。この通信の詳細を
図5Bに示す。
図5Bに示されるように、まず、通信端末21が無線基地局装置11に認証要求(Authentication−REQ)を送信し、認証要求を受信した無線基地局装置11が通信端末21に認証応答(Authentication−RES)を送信する(ステップS4021)。ステップS4021により、無線基地局装置11と通信端末21との間で機器認証が行われ、PMKが共有される。次に、通信端末21が無線基地局装置11に接続要求(Association−REQ)を送信し、接続要求を受信した無線基地局装置11が通信端末21に接続応答(Association−RES)を送信する(ステップS4022)。ステップS4022により、無線基地局装置11と通信端末21との間で接続確立が行われる。なお、この後、通信端末21と無線基地局装置11との間で、IEEE802.1X認証の通信(ステップS4023)、及び、無線通信に用いられる一時共有鍵(PTK(Pairwise Transient Key))を生成するための4ウェイハンドシェイクの通信(ステップS4024)が行われてもよい。これらの通信により、無線基地局装置11は、通信端末21との間で、当該PMKを用いて行われる通信の通信リンク25を確立する。
【0074】
図4に戻り、次に、無線基地局装置11の共有部112は、無線基地局装置12の共有部122に制御情報を送信する(ステップS403)。無線基地局装置12の共有部122は、無線基地局装置11から制御情報を受信し、保持する(ステップS404)。これにより、無線基地局装置11と無線基地局装置12との間で制御情報を共有する。なお、ステップS403及びS404は、必ずしもステップS402の完了後に行われなくてもよい。ステップS403及びS404は、ステップS402において制御情報が生成された後であれば実行可能である。
【0075】
ステップS402を完了した時点で、無線基地局装置11は、通信端末21との間で通信リンク25上での通信ができる状態となる(ステップS405)。
【0076】
ここで、通信端末21が、無線基地局装置11から遠ざかり、無線基地局装置12に近づくように移動した場合を想定して説明を続ける。
【0077】
通信端末21が無線基地局装置12に近づくように移動する(ステップS406)と、無線基地局装置11は、通信リンク25の通信品質が所定品質より低いことを検知し、無線基地局装置12に通信制御信号を送信する(ステップS407)。具体的には、無線基地局装置11は、ステップS402で通信リンク25を確立した後、通信リンク25における通信品質を取得する。通信品質は、例えば、通信リンク25を通じて受信する通信フレームの受信電波強度により得られる。また、通信品質は、通信リンク25を通じて受信する全ての通信フレームから取得してもよいし、所定の周期ごとに取得してもよい。なお、通信品質は、例えば、通信リンク25を通じて受信する通信フレームのフレームロス率、又はビットエラー率などにより得られてもよい。
【0078】
無線基地局装置11は、取得した受信電波強度が所定の閾値より小さい場合に、無線基地局装置12に通信制御信号を送信する。
【0079】
無線基地局装置12は、無線基地局装置11から通信制御信号を受信すると、共有部122が共有した制御情報を、通信端末21との通信に必要な制御情報として保持することで、通信端末21との通信リンク26を確立する(ステップS408)。具体的には、無線基地局装置12は、ステップS404で確立部121が受信し、保持した制御情報を用いて、通信端末21との通信リンク26を確立する。その際、無線基地局装置12は、通信端末21との間での機器認証及び接続確立のための通信、又は、制御情報の生成などを行うことなく、通信リンク26を確立することができる。つまり、無線基地局装置12は、
図4、
図5A及び
図5BにおけるステップS402(より詳細には、ステップS4021〜ステップS4024の各ステップ)の通信を行うことなく、通信端末21との間で通信リンク26を確立することができる。通信端末21から見れば、無線基地局装置11との通信リンク25を用いるのと同様に、無線基地局装置12との通信リンク26を用いて無線通信を行うことができる。
【0080】
以上の一連の処理によって、通信端末21は、無線基地局装置11と通信を行う状態から、無線基地局装置12と通信を行う状態へ移ることができる。上記の処理を行う無線通信システムは、ハンドオーバにより発生する無通信期間をより短くすることができる。従来であれば、通信端末は、ハンドオーバに際して新たな(移動先の)無線基地局装置との機器認証及び接続確立のための通信、又は、通信リンクの確立のための処理が必要であるところ、本発明に係る無線基地局装置では、上記の処理を行う必要がないので無通信期間をより短くすることができる。なお、無通信期間を全く生じさせない(ゼロとする)ことも可能である。
【0081】
なお、上記では通信端末21が無線基地局装置12と通信を行う状態へ移った場合に、無線基地局装置11との通信を継続するか否かについては限定しない。
【0082】
次に、通信端末21が無線基地局装置12と通信を行う状態へ移った場合に、通信端末21と無線基地局装置11との通信を停止させる無線通信システムについて説明する。
【0083】
図6は、本実施の形態に係る無線基地局装置11及び12のモード切り替えの説明図である。
図6には、無線基地局装置11及び無線基地局装置12のモードを、時間経過に伴い紙面の下方向へ進むようにして示している。
【0084】
まず、無線基地局装置11(転送部114)が転送モードであり、無線基地局装置12(転送部124)が停止モードである状態から考える。この状態は、ステップS402で通信リンク25が確立した後の状態に相当する。
【0085】
ここで、ステップS407により無線基地局装置11が無線基地局装置12に対して通信制御信号を送信した場合に、無線基地局装置11が停止モードに遷移する。また、無線基地局装置12が通信制御信号を受信した場合に、無線基地局装置12が転送モードに遷移する。このようにして、通信制御信号の送受信を境にして、無線基地局装置11と無線基地局装置12とで、転送モードと停止モードとを入れ替えることができる。なお、上記のことを「転送権」という概念を用いて表現することもできる。つまり、転送モードである無線基地局装置が転送権を有する、というように表現する。上記の処理によって、転送権が、無線基地局装置11から無線基地局装置12へ移ったと表現される。
【0086】
以上の処理によって、通信端末21は、無線基地局装置11だけと通信を行う状態から、無線基地局装置12だけと通信を行う状態へ移ることができ、その際に発生する無通信期間は従来の無線通信システムにおけるものより短くすることができる。なお、その際に発生する無通信期間を全く生じさせない(ゼロとする)ことも可能である。
【0087】
以上のように、本実施の形態に係る無線通信システムによれば、第二無線基地局は、第一無線基地局が生成した制御情報を用いて確立される第二通信リンクを用いて、通信端末との暗号通信を行うことができる。その際、第二無線基地局と通信端末との間で新たな機器認証、又は、新たな通信リンクの確立のための処理を行う必要がないので、無通信期間の発生を抑えることができる。よって、無線通信システムは、ハンドオーバにより発生する無通信期間をより短くすることができる。
【0088】
また、第一無線基地局は、第一無線基地局と通信端末との通信における通信品質が低下した場合に、第二無線基地局に通信端末との通信を行わせるように制御することができる。当初、第一無線基地局の近くに存在していた通信端末が、その後に第二無線基地局の近くに移動する場合に、通信品質の変化に応じてハンドオーバの制御を行うことができる。
【0089】
また、ハンドオーバに際して通信端末との間で送受信する通信フレームを転送する無線基地局を、第一無線基地局から第二無線基地局へ変更することができる。つまり、第一無線基地局は、第二無線基地局に通信を行わせることにした通信端末との間での通信フレームの送受信を停止するとともに、第二無線基地局は、当該通信端末との間での通信フレームの送受信を開始することができる。
【0090】
また、無線通信システムは、無線基地局における、通信端末が送信した通信フレームの受信電波強度に基づいて、通信端末のハンドオーバを制御することができる。
【0091】
また、第一無線基地局と第二無線基地局とは、第一無線基地局から第二無線基地局へ直接に制御情報を送信することにより制御情報を共有することで、新たな機器認証、又は、新たな通信リンクの確立のための処理を行うことなく、無通信期間の発生を抑えることができる。
【0092】
また、無線通信システムは、第一無線基地局と第二無線基地局との間で共有鍵を共有することで、通信端末のハンドオーバ時の無通信期間をより短くすることができる。
【0093】
(実施の形態2)
本実施の形態において、3以上の無線基地局装置を備える無線通信システムにおけるハンドオーバについて説明する。この無線通信システムでは、通信端末のハンドオーバ先基地局として複数の候補がある。なお、実施の形態1におけるものと同一の構成要素には、同一の符号を付し、詳細な説明を省略することがある。
【0094】
図7は、本実施の形態に係る無線通信システム41のネットワーク構成図である。
図7に示されるように、本実施の形態に係る無線通信システム41は、無線基地局装置11〜19と、LAN(Local Area Network)31と、通信端末21とを備える。
【0095】
無線基地局装置11〜19のそれぞれは、実施の形態1における無線基地局装置11又は無線基地局装置12と同等の機能を有する。
【0096】
本実施の形態において、まず、通信端末21が無線基地局装置11との間で通信リンク25を確立し、その後、ハンドオーバにより、無線基地局装置12との間で通信リンク26を確立した状態になる場合の処理について説明する。実施の形態1と異なる点は、無線基地局装置が3以上存在する点である。そのため、通信端末21のハンドオーバ先基地局に複数の候補があり、無線通信システム41は、複数の候補の中から適切なハンドオーバ先基地局を決定する処理を行うことが必要である。決定する処理には、(1)受信電波強度による方法と、(2)転送優先度による方法とがある。
【0097】
まず、(1)受信電波強度による方法について説明する。
【0098】
図8Aは、本実施の形態に係る無線通信システム41のフローチャートの第一例である。
【0099】
本実施の形態に係る無線通信システムでは、
図4におけるステップS401〜S406と同様に、無線基地局装置11が制御情報を無線基地局装置12〜19にブロードキャストし、無線基地局装置12〜19が制御情報を受信し保持する。一方、通信端末21は、無線基地局装置11との通信リンク25を確立した後、無線基地局装置12に近づくように移動する。
【0100】
次に、無線基地局装置11〜19のそれぞれは、対象フレームの自局における受信電波強度を含めた通信制御信号を、自局以外の無線基地局装置(他局)に送信する(ステップS801)。ここで、無線基地局装置11〜19のそれぞれは、ブロードキャスト送信で、又は、他局のそれぞれに対するユニキャスト送信を順次実行することで、通信制御信号を送信する。
【0101】
上記により、無線基地局装置11〜19のそれぞれは、他局から受信電波強度を含めた通信制御信号を受信する(ステップS802)。
【0102】
次に、無線基地局装置11〜19のそれぞれは、受信した通信制御信号に含まれる受信電波強度を取得し(ステップS803)、取得した受信電波強度のいずれよりも自局における当該対象フレームの受信電波強度が大きい場合(ステップS804でYes)に、通信端末21との通信リンクを確立する(ステップS805)。また、無線基地局装置11〜19のそれぞれは、上記の場合に、転送部を転送モードに切り替えるとしてもよい。
【0103】
図8Bは、本実施の形態に係る無線基地局装置11、12、13及び19の受信電波強度の説明図である。
図8Bでは、横軸が経過時間を示し、縦軸が受信電波強度を示している。線811は、無線基地局装置11における対象フレームの受信電波強度を示している。同様に、線812、813及び819は、それぞれ、無線基地局装置12、13及び19における対象フレームの受信電波強度を示している。
【0104】
経過時間Tにおいて、無線基地局装置11における対象フレームの受信電波強度811が、Rを下回りはじめた場合、無線基地局装置11は、対象フレームの受信電波強度を含めた通信制御信号を、自局以外の無線基地局装置11〜19に送信する。同様に、無線基地局装置11以外の無線基地局装置は、当該対象フレームの受信電波強度を含めた通信制御信号を、自局以外の無線基地局装置に送信する。これにより、無線基地局装置11〜19のそれぞれは、無線基地局装置11〜19のそれぞれにおける当該対象フレームの受信電波強度を取得し、取得した受信電波強度のいずれよりも自局における当該対象フレームの受信電波強度が大きい場合に、通信端末21との通信リンク26を確立する。つまり、
図8Bの例では、無線基地局装置12は、自局が受信した対象フレームの(経過時間Tにおける)受信電波強度822が、自局以外の無線基地局装置における受信電波強度821、823、及び829のいずれよりも大きいと判定し、通信端末21との通信リンク26を確立する。
【0105】
なお、通信端末が複数存在する場合には、通信端末ごとに通信リンクを確立する無線基地局装置が決定される。
【0106】
次に、(2)転送優先度による方法について説明する。
【0107】
図9Aは、本実施の形態に係る無線通信システム41のフローチャートの第二例である。
【0108】
本実施の形態に係る無線通信システムでは、
図4におけるステップS401〜S406と同様に、通信端末21は、無線基地局装置11との通信リンク25を確立した後、無線基地局装置12に近づくように移動する。
【0109】
次に、無線基地局装置11〜19のそれぞれは、自局の転送優先度を含めた通信制御信号を、自局以外の無線基地局装置(他局)に送信する(ステップS901)。
【0110】
上記により、無線基地局装置11〜19のそれぞれは、他局から転送優先度を含めた通信制御信号を受信する(ステップS902)。
【0111】
次に、無線基地局装置11〜19のそれぞれは、受信した通信制御信号に含まれる転送優先度を取得し(ステップS903)、取得した転送優先度のいずれよりも自局の転送優先度が大きい場合(ステップS904でYes)に、通信端末21との通信リンクを確立する(ステップS905)。また、無線基地局装置11〜19のそれぞれは、上記の場合に、転送部を転送モードに切り替えるとしてもよい。
【0112】
図9Bは、本実施の形態に係る無線基地局装置11、12、13及び19の転送優先度の説明図である。
図9Bでは、各無線基地局装置の転送優先度が示されている。
【0113】
図9Bの例では、無線基地局装置12は、自局の転送優先度(5)が、自局以外の無線基地局装置における転送優先度のいずれよりも大きいと判定し、通信端末21との通信リンク26を確立する。
【0114】
なお、通信端末が複数存在する場合には、通信端末ごとに通信リンクを確立する無線基地局装置が決定される。
【0115】
以上のように、本実施の形態に係る無線通信システムによれば、無線通信システムは、通信端末が移動した際に、通信端末が送信する通信フレームの受信電波強度が最も高い無線基地局を、ハンドオーバ先基地局として選択することができる。よって、通信端末は、ハンドオーバ後に安定した通信を行うことができる。なお、ハンドオーバ先基地局と通信端末との間で新たな機器認証、又は、新たな通信リンクの確立のための処理を行う必要がなく、無通信期間の発生を抑えることができるのは実施の形態1と同様である。
【0116】
また、無線通信システムは、通信端末が移動した際に、定められた転送優先度が最も高い無線基地局を、ハンドオーバ先基地局として選択することができる。よって、通信端末は、ハンドオーバ後に安定した通信を行うことができる。
【0117】
(実施の形態3)
本実施の形態において、無線基地局装置から各種情報を受信し、受信した情報を各無線基地局装置に送信するサーバを備える無線通信システムの例を説明する。なお、実施の形態1又は2におけるものと同一の構成要素には、同一の符号を付し、詳細な説明を省略することがある。
【0118】
図10は、本実施の形態に係る無線通信システム42のネットワーク構成図である。
図10に示されるように、本実施の形態に係る無線通信システム42は、無線基地局装置11Aと、無線基地局装置12Aと、LAN(Local Area Network)31と、サーバ35と、通信端末21とを備える。
【0119】
図11は、本実施の形態に係る無線基地局装置11A及び12Aの構成図である。
図11に示されるように、無線基地局装置11Aは、確立部111と、共有部112Aと、制御部113Aと、転送部114とを備える。また、無線基地局装置12Aは、確立部121と、共有部122Aと、制御部123Aと、転送部124とを備える。
【0120】
共有部112Aは、実施の形態1における共有部112と同様の機能を有する。ただし、共有部112Aは、制御情報をサーバ35に送信することにより、当該制御情報を無線基地局装置12Aと共有する点で、実施の形態1における共有部112と異なる。
【0121】
制御部113Aは、実施の形態1における制御部113と同様の機能を有する。ただし、制御部113Aは、無線基地局装置12に通信制御信号を送信する点で、実施の形態1における制御部113と異なる。
【0122】
共有部122Aは、実施の形態1における共有部122と同様の機能を有する。ただし、共有部122Aは、サーバ35から制御情報を受信することにより、当該制御情報を無線基地局装置11Aと共有する点で、実施の形態1における共有部122と異なる。
【0123】
制御部123Aは、実施の形態1における制御部123と同様の機能を有する。ただし、制御部123Aは、サーバ35から通信制御信号を受信する点で、実施の形態1における制御部123と異なる。
【0124】
図12は、本実施の形態に係る無線通信システム42のフローチャートである。
図13は、本実施の形態に係る無線通信システム42のシーケンス図である。
【0125】
本実施の形態に係る無線通信システム42では、
図4におけるステップS401及びS402と同様に、通信端末21は、無線基地局装置11との通信リンク25を確立する。
【0126】
次に、無線基地局装置11の共有部112Aは、サーバ35へ制御情報を送信する(ステップS1201)。サーバ35は、無線基地局装置11が送信した制御情報を受信し、受信した制御情報を無線基地局装置12へ送信する(ステップS1202)。無線基地局装置12Aの共有部122Aは、サーバ35から制御情報を受信し、保持する(ステップS1203)。なお、上記のステップS1201〜S1203の処理は、実施の形態1におけるステップS403及びS404の処理と同等の処理を、サーバ35を介して行う処理であるともいえる。
【0127】
ステップS1203を完了した時点で、無線基地局装置11Aは、通信端末21との間で通信リンク25上での通信ができる状態となる(ステップS405)。
【0128】
通信端末21が無線基地局装置12Aに近づくように移動する(ステップS406)と、無線基地局装置11Aは、通信リンク25の通信品質が所定品質より低いことを検知し、サーバ35に通信制御信号を送信する(ステップS1211)。サーバ35は、無線基地局装置11Aが送信した通信制御信号を受信したら、受信した通信制御信号を無線基地局装置12Aに送信する。無線基地局装置12は、サーバ35から通信制御信号を受信すると、確立部111が保持している制御情報を用いて通信端末21との通信リンク26を確立する(ステップS1213)。
【0129】
なお、サーバ35を備え、かつ、3以上の無線通信システムを備える無線通信システムの場合には、以下のようにすることも可能である。すなわち、サーバ35は、1つの無線基地局装置から通信制御信号を受信したら、受信した通信制御信号を他の無線基地局装置のすべてが受信できるように送信する。つまり、サーバ35は、ブロードキャスト送信で、又は、他の無線基地局装置のそれぞれに対するユニキャスト送信を順次実行することで、通信制御信号を送信する。また、この無線通信システムにおいて、受信電波強度(又は転送優先度)を含めた通信制御信号を用いる場合には、サーバ35は、最も大きい受信電波強度(又は転送優先度)が含まれている通信制御信号を送信した無線基地局装置だけに、通信制御信号を送信するようにしてもよい。
【0130】
以上のように、本実施の形態に係る無線通信システムによれば、第一無線基地局と第二無線基地局とは、サーバを介して制御情報を共有することで、新たな機器認証、又は、新たな通信リンクの確立のための処理を行うことなく、無通信期間の発生を抑えることができる。
【0131】
(実施の形態4)
本実施の形態において、AP切り替えに必要な情報をより確実に保有する無線基地局装置について説明する。
【0132】
図14は、本実施の形態に関連する関連技術における通信端末によるハンドオーバ(又は、ローミングともいう)のシーケンス図である。
図14を参照して、関連技術における通信端末によるハンドオーバの方法について説明する。なお、
図14に示されるシーケンス図は、例えば、IEEE802.11rにおけるハンドオーバ(高速ローミングともよばれる)において実現されるものである。以降では、IEEE802.11rにおける高速ローミングにおけるハンドオーバに本実施の形態を適用する場合を例として説明するが、本発明の適用は、高速ローミングだけに限定されない。
【0133】
図14に示されるように、関連技術における通信ネットワークは、無線基地局装置11Bと、無線基地局装置12Bと、通信端末21とを備える。なお、ネットワーク構成(不図示)は、
図1において無線基地局装置11を無線基地局装置11Bに、無線基地局装置12を無線基地局装置12Bに、それぞれ置き換えたものである。
【0134】
通信端末21は、まず、無線基地局装置11Bとの通信を確立する。具体的には、通信端末21と無線基地局装置11Bとは、認証1401(認証要求及び認証応答)(Authentication)、接続確立1402(接続要求と接続応答)(Association)、IEEE802.1X認証1403、及び、4ウェイハンドシェイク1404(4−Way Handshake)のそれぞれのための通信を行う。これらは、
図5Bに示される各通信と同様である。
【0135】
上記の認証1401から4ウェイハンドシェイク1404までの処理が完了した時点で、無線基地局装置11Bは、IEEE802.1X認証1403により生成される共通鍵PMKを保有している状態(1405)である。また、4ウェイハンドシェイクによりPMKからPTKが生成されるので、通信端末21と無線基地局装置11BとがPTKを用いて通信可能な状態である(1406)。
【0136】
次に、無線基地局装置11Bは、通信端末21をネットワーク上で一意に特定することができる情報(例えば、MACアドレス)と、共通鍵PMKとを少なくとも含む情報であるRRB(Remote Request Broker)1407を、他の無線基地局装置である無線基地局装置12Bに送信する。これで、無線基地局装置12BがPMKを保有している状態(1408)となる。なお、RRB1407を送信する宛先となる無線基地局装置は、予め運用者などにより登録されたものであってもよいし、位置情報とともに登録された無線基地局装置の中から、送信元の無線基地局装置と近い位置に存在するとして選択される無線基地局装置としてもよい。
【0137】
その後、通信端末21が、無線基地局装置11Bから無線基地局装置12BへAP切り替え1411を行う場合には、通信端末21と無線基地局装置12Bとは、認証1412(認証要求及び認証応答)(Authentication)、及び、接続確立1413(接続要求と接続応答)(Reassociation)のそれぞれのための通信を行い、それらが完了したら、通信端末21と無線基地局装置12Bとが通信可能1414な状態となる。
【0138】
ここで、無線基地局装置12Bは、既に無線基地局装置11BからRRBを受け取った状態(1408)であるので、IEEE802.1X認証、及び、4ウェイハンドシェイクのそれぞれのための通信は不要である。つまり、IEEE802.11rにおいて、通信端末21と無線基地局装置12Bとの間でIEEE802.1X認証、及び、4ウェイハンドシェイクのそれぞれのための通信を行う必要がないので、比較的短時間でのハンドオーバ、つまり、高速ハンドオーバが実現する。
【0139】
関連技術における問題点を具体的に説明する。関連技術において、無線基地局装置12Bは、常に正常に動作しているとは限らず、さまざまな要因により通信ができない状態となりうる。具体的には、無線基地局装置12Bは、停電、故障又はメンテナンス等のために電源が入っていない状態となりうる。また、無線基地局装置12Bは、無線基地局装置11Bとの間のネットワーク機器の故障、又は、ケーブルの断絶などによって無線基地局装置11Bと通信ができない状態となりうる。そのような場合、無線基地局装置12Bが、無線基地局装置11BからのRRBを正常に取得又は保有することができない。その結果、通信端末21による無線基地局装置11Bから無線基地局装置12BへのAP切り替えが、
図14のようには実現されないという問題が生ずる。
【0140】
つまり、無線基地局装置は常に正常に動作しているとは限らず、さまざまな要因により通信ができない状態となりうるという問題がある。そこで、本実施の形態では、AP切り替えに必要な情報をより確実に保有する無線基地局装置を提供することを目的とする。
【0141】
図15は、本実施の形態に係る無線基地局装置11C及び無線基地局装置12Cの機能ブロック図である。
【0142】
図15に示されるように、無線基地局装置11Cは、確立部111Cと、共有部112Cと、制御部113Cと、転送部114Cとを備える。また、無線基地局装置12Cは、確立部121Cと、共有部122Cと、制御部123Cと、転送部124Cとを備える。なお、ここでは、通信端末21が最初に無線基地局装置11Cとの間で通信リンクを確立し、その後、ハンドオーバにより、無線基地局装置12Cとの間で通信リンクを確立した状態になるときの処理について説明する。つまり、無線基地局装置11Cをハンドオーバ元基地局として説明し、無線基地局装置12Cをハンドオーバ先基地局として説明する。なお、無線基地局装置11C及び無線基地局装置12Cの両方の機能を備えた無線基地局装置を実現することももちろん可能である。
【0143】
確立部111Cは、無線基地局装置11Cの無線通信可能エリアに存在する通信端末21との無線通信に必要な制御情報を、機器認証と接続確立とにより生成することで、通信端末21との通信リンクを確立する。すなわち、
図14における認証1401から4ウェイハンドシェイク1404までのそれぞれの処理、及び、認証1412及び接続確立1413のそれぞれのための通信を行うのが、確立部111Cである。
【0144】
共有部112Cは、確立部111Cが生成した制御情報を、無線基地局装置12Cと共有する。なお、共有部112Cの内部の機能、及び、共有の方法について、後で詳しく説明する。
【0145】
制御部113Cは、通信リンク25における通信品質を取得し、取得した通信品質が所定品質より低い場合に、無線基地局装置12Cに通信制御信号を送信する。
【0146】
転送部114Cは、通信端末21との間で送受信する通信フレームを当該通信フレームの最終宛先へ転送する。
【0147】
なお、確立部111C、制御部113C、及び転送部114Cは、それぞれ、実施の形態1等における確立部111、制御部113、及び転送部114に相当するが、上記に説明した機能を有するのであれば他のものでもよい。
【0148】
共有部122Cは、無線基地局装置11Cの確立部111Cが生成した制御情報を、無線基地局装置11Cと共有する。なお、共有部122Cの内部の機能、及び、共有の方法について、後で詳しく説明する。
【0149】
確立部121Cは、共有部122Cが共有した制御情報を、通信端末21との通信に必要な制御情報として保持することで、通信端末21との通信リンクを確立する。
【0150】
制御部123Cは、無線基地局装置11Cから通信制御信号を受信する。そして、制御部123Cは、当該通知を受け付けた場合に、確立部121Cが通信端末21との通信リンクを確立するように制御する。
【0151】
転送部124Cは、通信端末21との間で送受信する通信フレームを当該通信フレームの最終宛先へ転送する。
【0152】
なお、確立部121C、制御部123C、及び転送部124Cは、それぞれ、実施の形態1等における確立部121、制御部123、及び転送部124に相当するが、上記に説明した機能を有するのであれば他のものでもよい。
【0153】
図16は、本実施の形態に係る共有部112C及び共有部122Cの内部の詳細な機能ブロック図である。
【0154】
図16に示されるように、共有部112Cは、要求受信部1601と、送信部1602とを備える。また、共有部122Cは、判定部1611と、要求送信部1612と、受信部1613とを備える。
【0155】
まず、共有部112C及び共有部122Cで用いられる要求信号について説明する。要求信号とは、共有部122Cが共有部112Cに送信する信号であって、共有部122Cが共有部112CにRRBの送信を要求するための信号である。なお、要求信号のことを、RRB要求ともよぶ。
【0156】
要求受信部1601は、要求送信部1612が送信するRRB要求を受信する。
【0157】
送信部1602は、要求受信部1601が受信するRRB要求に応じて、無線基地局装置11Cが通信端末21との接続確立によって生成した制御情報であって、通信端末21との無線通信に必要な制御情報を送信する。ここで、制御情報は、確立部111Cによる認証1401などの処理により生成されるものに相当し、無線基地局装置11Cと通信端末21との通信に用いられる鍵情報を含む。制御情報の具体例は、IEEE802.11rにおけるRRBである。
【0158】
判定部1611は、無線基地局装置11Cが無線基地局装置12Cと通信できる通信可能状態であるか否かを判定する。無線基地局装置11Cが上記の通信可能状態であるか否かは、例えば、以下のように判定される。判定部1611は、例えば、無線基地局装置12Cが稼動状態であることを検出した場合に、無線基地局装置12Cが通信可能状態であると判定する。また、判定部1611は、例えば、無線基地局装置12Cが電源OFF状態から起動した場合に、ハードウェア及びソフトウェアの起動処理が完了して、無線基地局装置として稼動状態になったことを判定部が検出した場合に、無線基地局装置11Cが通信可能状態であると判定するとしてもよい。また、判定部1611は、無線基地局装置11Cと無線基地局装置12Cとを結ぶ通信回線が遮断された後に、当該通信回線が回復した場合に、無線基地局装置12Cが通信可能状態であると判定するとしてもよい。
【0159】
要求送信部1612は、無線基地局装置12Cが通信可能状態であると判定部1611が判定した場合に、無線基地局装置11CにRRB要求を送信する。なお、RRB要求の送信先は、通信端末21が移動することで接続する可能性のあるすべての無線基地局装置としてもよいし、予め運用者などにより登録された情報に基づいて決定されてもよいし、ネットワーク構築時に無線基地局装置同士が通知しあうことにより作成した情報に基づいて定められてもよい。さらに、RRB要求の送信先の候補として複数の無線基地局装置が存在する場合には、それらの無線基地局装置の位置情報に基づいて、RRBの送信先が決定されてもよい。
【0160】
受信部1613は、無線基地局装置11CがRRB要求に応じて送信した制御情報を受信する。そして、受信部1613は、受信した制御情報を確立部121Cへ渡す。この後、確立部121Cは、無線基地局装置11Cと通信端末21との通信における制御情報として、上記の制御情報を用いて、通信端末21との接続確立を行う。
【0161】
図17Aは、実施の形態4に係る無線基地局装置11Cのフローチャートである。
【0162】
ステップS1701において、無線基地局装置11Cは、通信端末21と通信リンクを確立し、制御情報を生成する。上記の通信リンクを確立する処理は、
図14における認証1401から4ウェイハンドシェイク1404までのそれぞれの処理のことである。
【0163】
ステップS1702において、無線基地局装置11Cは、無線基地局装置11CのMACアドレスと、共通鍵PMKとを少なくとも含む情報であるRRB1407を、無線基地局装置12Cに送信する。
【0164】
図17Bは、実施の形態4に係る無線基地局装置12Cのフローチャートである。
【0165】
ステップS1711において、判定部1611は、無線基地局装置12Cが稼動状態になったか否かを検出する。そして、判定部1611は、無線基地局装置12Cが稼動状態になったことを検出した場合に、要求送信部1612によるRRB要求の送信の制御を行う。
【0166】
ステップS1712において、要求送信部1612は、判定部1611による制御に従って、無線基地局装置11CにRRB要求を送信する。
【0167】
ステップS1713において、無線基地局装置11CがRRB要求に応じて送信した制御情報を受信する。
【0168】
ステップS1714において、受信した制御情報を用いて通信端末21との接続確立を行う。
【0169】
図18は、本実施の形態に係る無線通信システムのシーケンス図である。
図18を参照して本実施の形態における通信端末によるハンドオーバの方法について、
図14における関連技術におけるハンドオーバと対比して説明する。
【0170】
通信端末21は、まず、無線基地局装置11Bとの通信を確立する。具体的な処理については、
図14における認証1401から4ウェイハンドシェイクまでのそれぞれの処理と同様であるので、詳細な説明を省略する。この時点で、無線基地局装置11Cが共通鍵PMKを保有している状態(1405)である。また、この時点で通信端末21と無線基地局装置11Cとが通信可能な状態である(1406)。
【0171】
次に、無線基地局装置11Cは、無線基地局装置12CにRRB1407を送信する。
【0172】
このとき、無線基地局装置12Cが電源OFF状態であった場合、無線基地局装置12Cは、上記のRRB1407を受信することができない。この後、無線基地局装置12Cの電源が投入された後、なんら新たな処理が行われなければ、無線基地局装置12CはRRB1407を受信しえない。これでは、無線基地局装置12Cは、通信端末21との通信リンクを高速ローミングにより確立することができない。
【0173】
本実施の形態における無線基地局装置12Cによれば、無線基地局装置12Cの電源が投入された場合、無線基地局装置12Cの判定部1611は、無線基地局装置12Cが稼動状態になったことを検出し、要求送信部1612によるRRB要求1801の送信の制御を行う(ステップS1711)。要求送信部1612は、上記の制御に従い、無線基地局装置11CにRRB要求1801を送信する(ステップS1712)。そして、無線基地局装置12Cは、無線基地局装置11CがRRB要求1801に応じて送信したRRB1802を受信する(ステップS1713)。これで、無線基地局装置12CがPMKを保有している状態(1803)となる。この状態は、
図14における状態(1408)と同等の状態であり、この後に通信端末21が、無線基地局装置11Cから無線基地局装置12CへAP切り替え1411を行うと、
図14と同じ処理によって高速ハンドオーバが実現される。
【0174】
なお、本発明は、通信端末21、無線基地局装置11C、及び、無線基地局装置12Cを含む無線通信システムとして実現されてもよい。
【0175】
以上のように、本実施の形態における無線基地局装置によれば、無線基地局装置は、相手基地局装置と通信できる状態にあるときに、通信端末によるAP切り替えに必要な制御情報を相手基地局装置へ要求し、制御情報を取得することができる。特に、相手基地局装置と通信できる状態にあると判定された場合に制御情報を要求するので、より確実に制御情報を取得することができる。よって、無線基地局装置は、通信端末によるAP切り替えに必要な情報をより確実に保有することができる。
【0176】
従来であれば、上記の制御情報は、相手基地局装置により生成され、無線基地局装置に送信されるものである。ただし、送信されるタイミングについては何ら既定されていないので、送信された制御情報が無線基地局装置に届かないことも当然に起こりうる。これに対し、本発明によれば、無線基地局装置は、相手基地局装置と通信できる状態にあると判定された場合に制御情報を要求するので、より確実に制御情報を取得することができる。
【0177】
また、無線基地局装置は、当該無線基地局装置が稼動状態であることを検出したときに制御情報を要求する。よって、無線基地局装置の電源が落ちていたなどの理由で稼動状態でなかったときに、相手基地局装置が無線基地局装置に制御情報を生成して送信していた場合であっても、無線基地局装置は稼動状態となった後に制御情報を要求し取得することができる。よって、無線基地局装置は、通信端末によるAP切り替えに必要な情報をより確実に保有することができる。
【0178】
また、無線基地局装置は、当該無線基地局装置と相手基地局装置とを結ぶ通信回線が復旧したことを検出したときに制御情報を要求する。よって、当該通信回線が遮断されていたなどの理由で通信できなかったときに、相手基地局装置が制御情報を生成して送信していた場合であっても、当該通信回線が復旧した後に制御情報を要求し取得することができる。よって、無線基地局装置は、通信端末によるAP切り替えに必要な情報をより確実に保有することができる。
【0179】
また、端末装置によるAP切り替えに必要な情報である、相手基地局装置が通信端末との接続確立によって生成した鍵情報を、無線基地局装置と相手基地局装置との間でやりとりすることができる。
【0180】
また、無線基地局装置及び相手基地局装置は、互いに通信可能であるときに制御情報であるRRBをやりとりすることにより、無線通信規格IEEE802.11rによる高速ローミングを実現することができる。
【0181】
なお、上記の各実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下の記載に限定されない。
【0182】
[付記1]
無線基地局装置であって、
前記無線基地局装置が、相手基地局装置と通信できる通信可能状態であるか否かを判定する判定部と、
前記無線基地局装置が前記通信可能状態であると前記判定部が判定した場合に、前記相手基地局装置が通信端末との接続確立によって生成した制御情報であって、当該通信端末との無線通信に必要な情報である制御情報を要求するための要求信号を送信する要求送信部と、
前記相手基地局装置が前記要求信号に応じて送信した前記制御情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記制御情報を用いて前記通信端末との接続確立を行う確立部とを備える
無線基地局装置。
【0183】
[付記2]
前記判定部は、
前記無線基地局装置が稼動状態であることを検出した場合に、前記無線基地局装置が前記通信可能状態であると判定する
付記1に記載の無線基地局装置。
【0184】
[付記3]
前記判定部は、
前記無線基地局装置と前記相手基地局装置とを結ぶ通信回線が遮断された後に、前記通信回線が回復した場合に、前記無線基地局装置が前記通信可能状態であると判定する
付記1に記載の無線基地局装置。
【0185】
[付記4]
前記制御情報は、
前記相手基地局装置が通信端末との接続確立によって生成した鍵情報を含む
付記1〜3のいずれか1項に記載の無線基地局装置。
【0186】
[付記5]
前記無線基地局装置は、IEEE802.11r規格に準拠した通信を行い、
前記制御情報は、RRB(Remote Request Broker)である
付記1〜4のいずれか1項に記載の無線基地局装置。
【0187】
[付記6]
無線基地局装置の制御方法であって、
前記無線基地局装置が相手基地局装置と通信できる通信可能状態であるか否かを判定する判定ステップと、
前記無線基地局装置が前記通信可能状態であると前記判定ステップで判定した場合に、前記相手基地局装置が通信端末との接続確立によって生成した制御情報であって、当該通信端末との無線通信に必要な制御情報を要求するための要求信号を送信する要求送信ステップと、
前記相手基地局装置が前記要求信号に応じて送信した前記制御情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した前記制御情報を、前記無線基地局装置と前記通信端末との通信における制御情報として用いて前記通信端末との接続確立を行う確立ステップとを含む
制御方法。
【0188】
[付記7]
付記6に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0189】
[付記8]
相手基地局装置と通信可能な無線基地局装置であって、
前記相手基地局装置は、
前記相手基地局装置の無線通信可能エリアに存在する通信端末との無線通信に必要な制御情報を、機器認証と接続確立とにより生成することで、前記通信端末との第一通信リンクを確立する第一確立部と、
前記第一確立部が生成した前記制御情報を、前記制御信号を要求するための要求信号に応じて送信する送信部とを備え、
前記無線基地局装置は、
前記無線基地局装置が、相手基地局装置と通信できる通信可能状態であるか否かを判定する判定部と、
前記無線基地局装置が前記通信可能状態であると前記判定部が判定した場合に、前記制御情報を要求するための要求信号を送信する要求送信部と、
前記相手基地局装置が前記要求信号に応じて送信した前記制御情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記制御情報を用いて前記通信端末との接続確立を行う確立部とを備える
無線基地局装置。
【0190】
以上、本発明の無線通信システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。