(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る表示装置の一態様は、制御部とマトリクス状に配置された複数の表示画素とを有する表示装置であって、前記複数の表示画素の各々は、発光素子と、電圧を保持するための容量素子と、前記容量素子に保持された電圧に応じた電流を前記発光素子に供給することにより前記発光素子を発光させる駆動トランジスタと、前記表示画素を初期化する初期化期間において、前記駆動トランジスタに、前記駆動トランジスタの閾値電圧よりも大きな電圧であって前記駆動トランジスタのゲート電極およびソース電極間が順バイアスとなる参照電圧を印加し、前記初期化期間の前の前記発光素子を発光させない期間のうちの所定期間において、前記駆動トランジスタに、前記駆動トランジスタの前記ゲート電極およびソース電極間が逆バイアスとなる電圧である逆バイアス電圧を印加する電圧印加部と、前記所定期間および前記初期化期間において、前記容量素子の第2電極と第1電源線とを導通させる第1スイッチと、データ信号電圧を供給するための信号線と前記容量素子の前記第1電極との導通および非導通を切り換える第2スイッチと、前記容量素子の前記第1電極と前記駆動トランジスタの前記ゲート電極の導通および非導通を切り換える第3スイッチとを備え、前記電圧印加部は、前記参照電圧を供給する第2電源線または前記逆バイアス電圧を供給する第3電源線に切り換えて前記参照電圧または前記逆バイアス電圧を供給する電源切換スイッチと、前記電源切換スイッチと前記駆動トランジスタの前記ゲート電極との導通および非導通を切り換える第4スイッチとを有し、前記駆動トランジスタのソース電極は、前記容量素子の第2電極および前記発光素子のアノードと導通されており、前記制御部は、前記所定期間において、前記第2スイッチを非導通にさせ、前記第3スイッチを導通にさせ、かつ、第1スイッチを導通させた状態において、前記第4スイッチを導通させ、かつ、前記電源切換スイッチを制御して前記第3電源線に切り換えて前記逆バイアス電圧を供給させ、前記初期化期間において、前記第2スイッチを非導通、かつ、前記第3スイッチを導通、かつ、第1スイッチを導通させた状態において、前記第4スイッチを導通させ、かつ、前記電源切換スイッチを制御して前記第2電源線に切り換えて前記参照電圧を供給させる。
【0012】
ここで、例えば、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、前記第4スイッチおよび前記駆動トランジスタは、Nチャンネル薄膜トランジスタである。
【0013】
また、例えば、前記所定期間は、前記初期化期間の後の期間であって前記駆動トランジスタの閾値電圧を補償する閾値補償期間よりも長い。
【0014】
また、例えば、前記駆動トランジスタのチャネル層は、酸化物半導体からなる。
【0015】
また、本発明に係る駆動方法の一態様は、マトリクス状に配置された複数の表示画素を有する表示装置の駆動方法であって、前記複数の表示画素の各々は、発光素子と、電圧を保持するための容量素子と、前記容量素子に保持された電圧に応じた電流を前記発光素子に供給することにより前記発光素子を発光させる駆動トランジスタと、前記容量素子の第2電極と第1電源線とを導通させるための第1スイッチと、データ信号電圧を供給するための信号線と前記容量素子の前記第1電極との導通および非導通を切り換える第2スイッチと、前記容量素子の前記第1電極と前記駆動トランジスタの前記ゲート電極の導通および非導通を切り換える第3スイッチとを備え、前記駆動トランジスタのソース電極は、前記容量素子の第2電極および前記発光素子のアノードと導通されており、前記駆動方法は、前記表示画素を初期化する初期化期間において、前記駆動トランジスタに、前記駆動トランジスタの閾値電圧よりも大きな電圧であって前記駆動トランジスタのゲート電極およびソース電極間が順バイアスとなる参照電圧を印加するステップと、前記初期化期間の前の前記発光素子を発光させない期間のうちの所定期間において、前記駆動トランジスタに、前記駆動トランジスタの前記ゲート電極およびソース電極間が逆バイアスとなる電圧である逆バイアス電圧を印加するステップとを含み、前記逆バイアス電圧を印加するステップでは、前記第2スイッチを非導通、前記第3スイッチを導通、かつ、第1スイッチを導通にさせた状態において、前記参照電圧を供給する第2電源線または前記逆バイアス電圧を供給する第3電源線に切り換えて前記参照電圧または前記逆バイアス電圧を供給すると前記駆動トランジスタの前記ゲート電極との導通および非導通を切り換える前記第4スイッチを導通させ、かつ、前記電源切換スイッチを制御して前記第3電源線に切り換えて前記逆バイアス電圧を供給させ、前記参照電圧を印加するステップでは、前記第2スイッチを非導通、かつ、前記第3スイッチを導通、かつ、第1スイッチを導通にさせた状態において、前記第4スイッチを導通させ、かつ、前記電源切換スイッチを制御して前記第2電源線に切り換えて前記参照電圧を供給させる。
【0016】
以下、本発明の一態様に係る表示装置およびその駆動方法について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、以下の各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0018】
(実施の形態)
本実施の形態において、本開示の一態様に係る表示装置の発光素子として有機EL素子を用いる場合について説明する。
【0019】
図1は、実施の形態に係る表示装置の機能ブロック図の一例である。
【0020】
図1に示す表示装置1は、表示パネル制御回路2と、走査線駆動回路3と、データ線駆動回路5と、表示パネル6とを備える。
【0021】
表示パネル6は、例えば有機ELパネルである。また、表示パネル6は、少なくとも、互いに平行に配置されたN(例えばN=1080)本の走査線と、N本の点灯制御線、直交して配置されたM本のソース信号線を有する(図示せず)。さらに、表示パネル6は、ソース信号線と走査線との各交点に、薄膜トランジスタおよびEL素子から構成される画素回路(図示せず)を有する。
【0022】
表示パネル制御回路2は、後述する所定期間および初期化期間における動作を制御する制御部の一例である。表示パネル制御回路2は、表示データ信号S1に基づいてデータ線駆動回路5を制御するための制御信号S2を生成し、生成した制御信号S2をデータ線駆動回路5へ出力する。また、表示パネル制御回路2は、入力される同期信号に基づいて走査線駆動回路3を制御するための制御信号S3を生成する。そして、表示パネル制御回路2は、生成した制御信号S3を走査線駆動回路3へ出力する。
【0023】
ここで、表示データ信号S1は、映像信号、垂直同期信号、および水平同期信号を含む表示データを示す信号である。映像信号は、フレームごとに階調情報である各画素値を指定する信号である。垂直同期信号は、画面に対する垂直方向の処理のタイミングについて同期を取るための信号であり、ここでは、フレームごとの処理タイミングの基準となる信号である。水平同期信号は、画面に対する水平方向の処理のタイミングについて同期を取るための信号である。
【0024】
また、制御信号S2は、映像信号および水平同期信号を含む。制御信号S3は、垂直同期信号および水平同期信号をそれぞれ含む。
【0025】
データ線駆動回路5は、表示パネル制御回路2で生成された制御信号S2に基づいて、表示パネル6のソース信号線を駆動する。より具体的には、データ線駆動回路5は、映像信号および水平同期信号に基づいて、各画素回路にソース信号を出力する。
【0026】
走査線駆動回路3は、表示パネル制御回路2で生成された制御信号S3に基づいて、表示パネル6の走査線を駆動する。より具体的には、走査線駆動回路3は、垂直同期信号および水平同期信号に基づいて、各画素回路に走査信号、Ref信号、Merge信号、init信号を出力する。
【0027】
以上のように、表示装置1は構成される。
【0028】
なお、表示装置1は、例えば、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)などの記憶媒体、RAM(Random Access Memory)などの作業用メモリ、および通信回路を有するとしてもよい。表示データ信号S1は、例えば、CPUが制御プログラムを実行することにより生成される。
【0029】
図2Aおよび
図2Bは、実施の形態に係る表示装置の有する表示画素の回路構成の一例を示す図である。
【0030】
図2Aおよび
図2Bに示す画素回路60は、表示パネル6が有する一画素であり、Data線76(データ線)を介して供給されたデータ信号(データ信号電圧)により発光する機能を有する。
【0031】
画素回路60は、表示画素(発光画素)の一例であり、行列状に配置されている。画素回路60は、例えば
図2Aに示すように、駆動トランジスタ61と、スイッチ62と、スイッチ63を有する電圧印加部31と、スイッチ64と、スイッチ65と、EL素子66と、容量素子67と、を備えている。また、画素回路60には、Data線76(データ線)と、RFV線68(V
REFまたはV
REV)と、ELアノード電源線69(V
TFT)と、ELカソード電源線70(V
EL)と、初期化電源線71(V
INI)と、Merge線75(マージ線)とを備える。
【0032】
ここで、Data線76は、データ信号電圧を供給するための信号線(ソース信号線)の一例である。
【0033】
RFV線68は、例えば
図2Aに示すように参照電圧V
REFまたは逆バイアス電圧V
REVを供給する。ELアノード電源線69(V
TFT)は、駆動トランジスタ61のドレイン電極の電位を決定するための高電圧側電源線であり、例えば20Vである。ELカソード電源線70(V
EL)は、EL素子66の第2電極(カソード)に接続された低電圧側電源線である。初期化電源線71(V
INI)は、駆動トランジスタ61のソースゲート間の電圧すなわち容量素子67の電圧を初期化するための電圧V
INI(初期化電圧V
INIとも称す)を供給する第1電源線の一例である。
【0034】
ここで、RFV線68が供給する参照電圧V
REFと初期化電源線71の電圧V
INIとの電位差は駆動トランジスタ61の閾値電圧(Vth)よりも大きな電圧、すなわち、閾値電圧Vth<(参照電圧V
REF−電圧V
INI)に設定される。
【0035】
また、RFV線68が供給する参照電圧V
REFおよび初期化電源線71の電圧V
INIは、EL素子66に電流が流れないように、次のように設定されている。
【0036】
電圧V
INI<電圧V
EL+(EL素子66の順方向電流閾値電圧)、参照電圧V
REF<電圧V
EL+(EL素子66の順方向電流閾値電圧)+(駆動トランジスタ61の閾値電圧Vth)
【0037】
なお、RFV線68は、例えば
図2Bに示すように、電源線68A(V
REF)と電源線68B(V
REV)とで構成され、電源切換スイッチ310で切り換えられて、参照電圧V
REFまたは逆バイアス電圧V
REVを供給するとしてもよい。
【0038】
EL素子66は、駆動トランジスタ61により供給された電流に応じて発光する発光素子の一例であり、行列状に配置される。EL素子66は、例えば有機EL素子である。EL素子66は、カソード(第2電極)が、ELカソード電源線70に接続され、アノード(第1電極)が、駆動トランジスタ61のソース(ソース電極)に接続されている。ここで、ELカソード電源線70に供給されている電圧はV
ELであり、例えば0(v)である。
【0039】
駆動トランジスタ61は、EL素子66への電流の供給を制御する電圧駆動の駆動素子であり、容量素子67に保持された電圧に応じた電流をEL素子66に供給することでEL素子66を発光させる。
【0040】
例えば、発光期間(後述の期間T11)において、駆動トランジスタ61は、容量素子67に保持された電圧(データ信号電圧)に応じた電流をEL素子66に流すことにより、EL素子66を発光させる。より具体的には、駆動トランジスタ61は、ゲート電極に供給されたデータ信号電圧を、そのデータ信号電圧に対応した電流に変換し、変換された電流をEL素子66に供給することにより、EL素子66を発光させる。
【0041】
また、例えば、発光期間に続く非発光期間(後述の期間T12)において、駆動トランジスタ61は電流をEL素子66に流さないことでEL素子66を発光させない。
【0042】
また、例えば、初期化期間の前の所定期間(逆バイアス期間、後述の期間T2)において、駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間に逆バイアスが印加される。それにより、閾値電圧Vthの変動量を抑制することができる。そして、その後、初期化期間(後述の期間T5)において、駆動トランジスタ61の閾値電圧補償を行うためにドレイン電流を流すのに必要な電圧が駆動トランジスタ61のソース電極−ゲート電極間に印加され、閾値補償期間(後述の期間T6)において、駆動トランジスタ61の閾値電圧が補償される。なお、詳細については後述するためここでの説明は省略するが、このようにして、閾値電圧Vthの変動を補正する閾値補償機能に加えて、閾値電圧Vthの変動量を抑える逆バイアス印加機能を設けることで、より長期間、動作補償範囲に閾値電圧Vthが含まれる駆動トランジスタ61(画素回路60)を実現することができる。
【0043】
また、駆動トランジスタ61を構成する薄膜トランジスタ(TFT)はn型であってもp型であってもよい。また、薄膜トランジスタのチャネル層は、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、ポリシリコン、酸化物半導体および有機半導体などのうちのいずれかで形成されていてもよい。例えば、酸化物半導体は、インジウム(in)、ガリウム(Ga)および亜鉛(Zn)のうち、少なくとも1種を含む酸化物半導体材料を用いることができる。酸化物半導体は、オフ電流が少なく、アモルファス状態でも高い電子移動度を持ち、低温プロセスで形成可能であり、例えば、アモルファス酸化インジウムガリウム亜鉛(InGaZnO)を用いて形成できる。
【0044】
容量素子67は、電圧を保持するための蓄積容量であり、駆動トランジスタ61の流す電流量を決める電圧を保持する。具体的には、容量素子67の第2電極(節点B側の電極)は、駆動トランジスタ61のソース電極(ELカソード電源線70側)とEL素子66のアノード(第1電極)との間に接続されている。容量素子67の第1電極(節点A側の電極)は、駆動トランジスタ61のゲート電極にスイッチ65を介して接続されている。また、容量素子67の第1電極は、参照電圧V
REFまたは逆バイアス電圧V
REVを供給するRFV線68とスイッチ63およびスイッチ65を介して接続されている。
【0045】
スイッチ62は、データ信号電圧を供給するためのData線76(信号線)と容量素子67の第1電極との導通および非導通を切り換える第2スイッチの一例である。具体的には、スイッチ62は、ドレインおよびソースの一方の端子がData線76に接続され、ドレインおよびソースの他方の端子が容量素子67の第1電極に接続され、ゲートが走査線であるScan線72に接続されているスイッチングトランジスタである。換言すると、スイッチ62は、Data線76を介して供給された映像信号電圧(映像信号)に応じたデータ信号電圧(データ信号)を容量素子67に書き込むための機能を有する。
【0046】
電圧印加部31は、駆動トランジスタ61を初期化する初期化期間(期間T5)において、駆動トランジスタ61に、駆動トランジスタ61の閾値電圧Vthよりも大きな電圧であって駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間が順バイアスとなる参照電圧V
REFを印加する。電圧印加部31は、初期化期間(期間T5)の前の所定期間(期間T2)において、駆動トランジスタ61に、駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間が逆バイアスとなる電圧である逆バイアス電圧を印加する。より具体的には、電圧印加部31は、上記所定期間(期間T2)において、駆動トランジスタ61のゲート電極に初期化電源線71(第1電源線)を基準に逆バイアス電圧を印加する。また、電圧印加部31は、上記初期化期間(期間T5)において駆動トランジスタ61のゲート電極に初期化電源線71(第1電源線)を基準に参照電圧V
REFを印加する。
【0047】
ここで、例えば、電圧印加部31は、
図2Aに示すように、スイッチ63を有している。
【0048】
スイッチ63は、参照電圧V
REFまたは逆バイアス電圧V
REVを供給するRFV線68と駆動トランジスタ61のゲート電極並びにスイッチ65のドレインおよびソースの一方の端子との導通および非導通を切り換える第4スイッチの一例である。具体的には、
図2Aに示すように、スイッチ63は、ドレインおよびソースの一方の端子がRFV線68に接続され、ドレインおよびソースの他方の端子が駆動トランジスタ61のゲート電極とスイッチ65のドレインおよびソースの一方の端子とに接続され、ゲートがRef線73に接続されているスイッチングトランジスタである。換言すると、スイッチ63は、駆動トランジスタ61のゲート電極に対して参照電圧(V
REF)または逆バイアス電圧V
REVを与える機能を有する。
【0049】
なお、電圧印加部31は、
図2Aに示す構成に限らない。
図2Bに示すように、RFV線68が、電源線68A(V
REF)と電源線68B(V
REV)とで構成される場合、電圧印加部31Aは、スイッチ63Aと電源切換スイッチ310とを備えるとしてもよい。
【0050】
ここで、電源切換スイッチ310は、
図2Bに示すように、電圧印加部31Aは、参照電圧V
REFを供給する電源線68A(第2電源線)または逆バイアス電圧V
REVを供給する電源線68B(第3電源線)に切り換えて参照電圧V
REFまたは逆バイアス電圧V
REVを供給する。スイッチ63Aは、例えば第4スイッチの一例であり、電源切換スイッチ310と駆動トランジスタ61のゲート電極との導通及び非導通を切り換える。スイッチ63Aは、電源線68A(V
REF)と電源線68B(V
REV)との接続関係を除くと、スイッチ63と同様であるためその他の説明は省略する。
【0051】
スイッチ64は、容量素子67の第2電極および駆動トランジスタ61のソース電極と初期化電源線71(第1電源線)との導通および非導通を切り換える第1スイッチの一例である。具体的には、スイッチ64は、ドレインおよびソースの一方の端子が初期化電源線71(V
INI)に接続され、ドレインおよびソースの他方の端子が容量素子67の第2電極および駆動トランジスタ61のソース電極に接続され、ゲートがInit線74に接続されているスイッチングトランジスタである。換言すると、スイッチ64は、容量素子67の第2電極および駆動トランジスタ61のソース電極に対して初期化電圧V
INIを与える機能を有する。
【0052】
スイッチ65は、容量素子67の第1電極と駆動トランジスタ61のゲート電極との導通および非導通を切り換える第3スイッチの一例である。具体的には、スイッチ65は、ドレインおよびソースの一方の端子がスイッチ63のドレインおよびソースの他方の端子と駆動トランジスタ61のゲート電極とに接続され、ドレインおよびソースの他方の端子が容量素子67の第1電極に接続され、ゲートがMerge線75に接続されているスイッチングトランジスタである。換言すると、スイッチ65は、駆動トランジスタ61のゲート電極に、容量素子67の第1電極の電位を与える機能を有する。
【0053】
以上のように画素回路60は構成されている。
【0054】
なお、画素回路60を構成するスイッチ62〜スイッチ65はn型TFTとして、以下では説明を行うが、それに限られない。スイッチ62〜スイッチ65は、p型TFTであってもよく、両方の組み合わせでもよい。つまり、例えば、駆動トランジスタ61のみp型TFTであり、スイッチ62〜スイッチ65はn型TFTであるともよいし、スイッチ63のみp型TFTであり、駆動トランジスタ61およびスイッチ62、64、65はn型TFTであるとしてもよい。
【0055】
次に、
図2Aに示す画素回路の駆動方法について
図3〜
図4Fを用いながら説明を行う。
【0056】
図3は、実施の形態に係る表示装置の駆動時の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
図4A〜
図4Fは、
図3に示すタイミングチャートにおける画素回路の動作の一例を示す図である。
図3において、横軸は時間を表している。また横軸方向には、表示パネル6を構成するn行の画素回路60のうち対応する行の画素回路60に対するScan線72、Ref線73、Init線74、Merge線75およびData線76に発生する電圧の波形図が示されている。なお、RFV線68は、電圧レベルがHIGHのときには参照電圧V
REFを供給し、電圧レベルがLOWのときには逆バイアス電圧V
REVを供給するとして以下説明する。
【0057】
本実施の形態のおける駆動方法(走査方法)は、
図2Aに示す画素回路60の構成により、表示パネル制御回路2の制御に従って期間T1から期間T12を実施することで実現できる。
【0058】
以下、画素回路60の動作を例に挙げて具体的に説明する。
【0059】
(期間T1)
図3に示す時刻t1〜時刻t2の期間T1は、RFV線が供給する電圧を切り換えるための遷移期間である。
【0060】
より具体的には、時刻t1において、走査線駆動回路3は、Scan線72とInit線74との電圧レベルをLOW、かつ、Ref線73とMerge線75との電圧レベルをHIGHに維持しつつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFから逆バイアス電圧V
REVに切り換える。すなわち、時刻t1において、スイッチ62およびスイッチ64を非導通状態(オフ状態)、かつ、スイッチ63およびスイッチ65を導通状態(オン状態)に維持しつつ、RFV線68に供給する電圧を参照電圧V
REFから逆バイアス電圧V
REVに切り換える。
【0061】
このように、RFV線が供給する電圧を切り換えるための遷移期間である期間T1を設けることにより、ELアノード電源線69と初期化電源線71との間に貫通電流が流れてしまうのを防止することができる。
【0062】
表示装置1を構成する表示パネル6のサイズや1画素あたり(画素回路60)のサイズが大きい場合、ゲート信号線(Scan線72〜Merge線75)の配線時定数が増加する。そのため、ゲート信号線の信号電圧の変化速度が表示パネル6の面内で大きく変動し、各ゲート信号線の時定数が異なる場合には、同一画素においても、信号変化タイミングが異なることがある。たとえば、RFV線68が“L”すなわちRFV線68が供給する電圧が逆バイアス電圧V
REVになる前に、Init線74の電圧レベルがHIGHとなる可能性があり、駆動トランジスタ61に大きなVgsがかかることで、ELアノード電源線69から初期化電源線71に貫通電流が流れることがある。貫通電流は表示パネル6の消費電力に影響し、消費電力が増加する欠点がある。
【0063】
また、たとえば、初期化電源線71に電流が流れると、給電端から遠い初期化電源線71は電圧が上昇し、初期化期間で印加される電圧が所定電圧よりも高くなり、閾値補償期間の開始時のVgs電圧が十分取れず、動作可能なVth範囲が狭くなってしまう問題がある。
【0064】
そのため、スイッチ64を非導通のままでRFV線68に供給する電圧を参照電圧V
REFから逆バイアス電圧V
REVに切り換える遷移期間である期間T1を設けることにより、ELアノード電源線69と初期化電源線71との間に貫通電流が流れてしまうのを防止する。この方法の利点としては、さらに期間T2を考えると、節点Cの電位が期間T1で設定済みであるため、期間T2では節点Bのみ充電を行えばよく、節点Bの電位を初期化電源線71の電圧V
INIにより短期間で設定(初期化電圧V
INIを書き込み)することができる。
【0065】
(期間T2:逆バイアス期間)
図3に示す時刻t2〜時刻t3の期間T2は、逆バイアス電圧V
REVを駆動トランジスタ61に印加する逆バイアス期間である。ここで、逆バイアス電圧V
REVとは、駆動トランジスタ61のソース電極に初期化電源線71の電圧V
INI印加されている場合に、駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間が逆バイアスとなる電圧である。ここで、上述したように、逆バイアス電圧V
REV−初期化電圧V
INI<閾値電圧Vthと設定され、駆動トランジスタ61のVgsに閾値電圧Vth以下の電圧が印加される。
【0066】
具体的には、
図4Aの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t2において、走査線駆動回路3は、Scan線72の電圧レベルをLOWに、Ref線73とMerge線75との電圧レベルをHIGHに、かつ、RFV線68が供給する電圧を逆バイアス電圧V
REVに維持しつつ、Init線74の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させる。すなわち、時刻t2において、スイッチ62を非導通状態(オフ状態)、スイッチ63およびスイッチ65を導通状態(オン状態)、かつ、RFV線68の供給する電圧を逆バイアス電圧V
REVに維持しつつ、スイッチ64を導通状態(オン状態)にする。
【0067】
このように、駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間が逆バイアスにされる逆バイアス期間である期間T2を設けることにより、駆動トランジスタ61の閾値電圧Vthの変動量を抑制することができる。また、発光期間(期間T11)においてシフトした閾値電圧を、逆方向にシフトさせ、1フレームの前後では閾値電圧の変動が少なくなるといったことが可能になる。
【0068】
なお、期間T2は、印加する逆バイアス電圧の大きさや、発光期間(期間T11)での閾値電圧シフト量によって、1フレームの前後で閾値電圧の変動が小さくなるように設定する。たとえば、順バイアス電圧が4Vで1フレームの70%期間印加された場合に、逆バイアス電圧を−10Vで逆バイアス期間を1フレームの20%程度挿入する。
【0069】
また、本実施の形態では、容量素子67が半導体容量で、駆動トランジスタ61と、容量素子67との劣化特性を合わせるために、期間T2(逆バイアス期間)において、Merge線75の電圧レベルをHIGH(スイッチ65をオン状態)に維持したものとして説明しているが、それに限らない。容量素子67がMIM構成(Metal‐Insulator‐Metal Structure)の場合には、期間T2(逆バイアス期間)において、Merge線75の電圧レベルはLOW(スイッチ65をオフ状態)であってもよい。
【0070】
(期間T3)
図3に示す時刻t3〜時刻t4の期間T3は、RFV線が供給する電圧を切り換えるためにスイッチ63を非導通にするための所定期間である。
【0071】
表示パネル制御回路2は、スイッチ62を非導通(オフ)、スイッチ65を導通(オン)、かつスイッチ64を導通(オン)にさせた状態で、スイッチ63を非導通(オフ)にさせ、かつ、RFV線68に逆バイアス電圧V
REVを駆動トランジスタ61のゲート電極に供給させることで期間T3(所定期間)を実行する。
【0072】
より具体的には、時刻t3において、走査線駆動回路3は、Scan線72の電圧レベルをLOW、Init線74とMerge線75との電圧レベルをHIGH、かつ、RFV線68が供給する電圧を逆バイアス電圧V
REVに維持しつつ、Ref線73の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させる。すなわち、時刻t3において、スイッチ62を非導通状態(オフ状態)、スイッチ64およびスイッチ65を導通状態(オン状態)、かつ、RFV線68の供給する電圧を逆バイアス電圧V
REVに維持しつつ、スイッチ63を非導通状態(オフ状態)にさせる。
【0073】
このように、スイッチ63を非導通にするための期間である期間T3を設けることにより、RFV線が供給する電圧を切り換えた際に駆動トランジスタ61のゲート電極に参照電圧V
REFが印加されELアノード電源線69と初期化電源線71との間に貫通電流が流れてしまうのを防止することができる。なお、この期間T3がないと、RFV線68の立ち上がりが早い画素では、早期から貫通電流がELアノード電源線69と初期化電源線71と間に流れる。一方で、初期化するためには、前画素が参照電圧V
REFにまで立ち上がる必要があり、前画素が初期化期間(期間T5)に入るまでの期間T3および期間T4相当のところが長くなる。それにより、貫通電流が画素数と時間を考慮して発光電流に対して割合が大きくなり、発光とは無関係にパネルの消費電力が大きくなってしまう。
【0074】
(期間T4)
図3に示す時刻t4〜時刻t5の期間T4は、RFV線が供給する電圧を切り換えるための遷移期間である。
【0075】
より具体的には、時刻t4において、走査線駆動回路3は、Scan線72とRef線73との電圧レベルをLOW、かつ、Init線74とMerge線75との電圧レベルをHIGHに維持しつつ、RFV線68が供給する電圧を逆バイアス電圧V
REVから参照電圧V
REFに切り換える。すなわち、時刻t4において、スイッチ62およびスイッチ63を非導通状態(オフ状態)、かつ、スイッチ64およびスイッチ65を導通状態(オン状態)に維持しつつ、RFV線68に供給する電圧を逆バイアス電圧V
REVから参照電圧V
REFに切り換える。
【0076】
ここで、RFV線68の供給する電圧の切り換えよりもRef線73の電圧レベルの変化(立ち上がり)の方が早いので、RFV線68の供給する電圧の切り換えとRef線73の電圧レベルの変化を同時に行わず、RFV線68の供給する電圧の切り換えを先に行う。
【0077】
このように、RFV線が供給する電圧を先に切り換えるため遷移期間である期間T4を設けることにより、RFV線が供給する電圧を切り換えた際に駆動トランジスタ61のゲート電極に不定電圧が印加されてしまうのを防止することができる。
【0078】
(期間T5:初期化期間)
図3に示す時刻t5〜時刻t6の期間T5は、駆動トランジスタを初期化する初期化期間である。ここで、初期化期間とは、駆動トランジスタ61の閾値電圧補償を行うためにドレイン電流を流すのに必要な電圧を駆動トランジスタ61のソース電極−ゲート電極間に印加する期間である。本実施の形態では、初期化期間において、駆動トランジスタ61のゲート電極に、駆動トランジスタ61の閾値電圧Vthよりも大きな電圧であって駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間が順バイアスとなる参照電圧V
REFを印加する。
【0079】
表示パネル制御回路2は、スイッチ62を非導通(オフ)、スイッチ65を導通(オン)、かつスイッチ64を導通(オン)にさせた状態で、スイッチ63を導通(オン)させ、かつ、RFV線68に参照電圧V
REFを駆動トランジスタ61のゲート電極に供給させることで期間T5(初期化期間)を実行する。
【0080】
具体的には、
図4Bの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t5において、走査線駆動回路3は、Scan線72の電圧レベルをLOW、Init線74とMerge線75との電圧レベルをHIGH、かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、Ref線73の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させる。すなわち、時刻t5において、スイッチ62を非導通状態(オフ状態)、スイッチ64およびスイッチ65を導通状態(オン状態)、かつ、RFV線68の供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、スイッチ63を導通状態(オン状態)にする。
【0081】
このように、Ref線73の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させること(立ち上がり)により初期化期間を開始する。
【0082】
これにより、節点A(節点C)の電位がRFV線68の供給する参照電圧V
REFに設定される。また、スイッチ64が導通状態(オン状態)であるから、節点Bの電位は初期化電源線71の電圧V
INIに設定される。すなわち、駆動トランジスタ61は、ゲート電極にRFV線68の供給する参照電圧V
REFが印加され、ソース電極に初期化電源線71の電圧V
INIが印加されることで、駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間に順バイアスの所定電圧が印加される初期化期間が行われる。
【0083】
なお、期間T5は、節点A(節点C)および節点Bの電位が、所定電位になるまでの長さ(時間)に設定される。
【0084】
また、駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間電圧(所定電圧)は、閾値電圧補償動作を行うのに必要なドレイン電流を確保できる電圧に設定されることが必要である。そのため、RFV線68の参照電圧V
REFと初期化電源線71の電圧V
INIの電位差は、上述したように、駆動トランジスタ61の閾値電圧Vthよりも大きな電圧すなわち閾値電圧Vth<(参照電圧V
REF−初期化電圧V
INI)に設定される。また、参照電圧V
REFおよび初期化電圧V
INIは、EL素子66に電流が流れないように、初期化電圧V
INI<電圧V
EL+(EL素子66の順方向電流閾値電圧)、および、参照電圧V
REF<電圧V
EL+(EL素子66の順方向電流閾値電圧)+閾値電圧Vth、となるように設定される。
【0085】
(期間T6:閾値補償期間)
次に、
図3の時刻t6〜時刻t7の期間T6は、駆動トランジスタ61の閾値電圧Vthを補償する閾値補償期間である。
【0086】
具体的には、
図4Cの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t6において、走査線駆動回路3は、Scan線72の電圧レベルをLOW、Ref線73およびMerge線75の電圧レベルをHIGH、かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、Init線74の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させる。すなわち、時刻t6において、スイッチ62を非導通状態(オフ状態)、スイッチ63およびスイッチ65を導通状態(オン状態)、かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、スイッチ64が非導通状態(オフ状態)にされる。
【0087】
ここで、駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間電圧(所定電圧)は、初期化期間(期間T5)において、上述したように設定されているので、EL素子66には電流が流れない。駆動トランジスタ61は、ELアノード電源線69の電圧V
TFTによりドレイン電流が供給されるが、それとともに駆動トランジスタ61のソース電位が変化する。言い換えると、駆動トランジスタ61は、ELアノード電源線69の電圧V
TFTにより供給されるドレイン電流が0となる点まで駆動トランジスタ61のソース電位が変化する。
【0088】
このように、駆動トランジスタ61のゲート電極にRFV線68が供給する参照電圧V
REFを印加した状態で、Init線74の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させる(スイッチ65を導通状態(オン状態)にする)と、駆動トランジスタ61の閾値補償動作を開始する。
【0089】
そして、期間T6の終了時(時刻t7)には、駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間電圧(節点A(節点C)と節点Bとの電位差)は駆動トランジスタ61の閾値電圧に相当する電位差となる。この電位差(電圧)は容量素子67に保持(記憶)される。
【0090】
(期間T7)
図3に示す時刻t7〜時刻t8の期間T7は、閾値補償動作を終了させるための期間である。
【0091】
より具体的には、時刻t7において、走査線駆動回路3は、Scan線72およびInit線74の電圧レベルをLOW、Ref線73の電圧レベルをHIGH、かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、Merge線75の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させる。すなわち、時刻t7において、スイッチ62およびスイッチ64を非導通状態(オフ状態)、スイッチ63を導通状態(オン状態)、かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、スイッチ65を非導通状態(オフ状態)にする。
【0092】
このようにして、Ref線73とMerge線75との電圧レベルを同時に変化させず、Merge線75の電圧レベルを先に変化させてスイッチ65を非導通とする期間T7を設ける。それにより、スイッチ63およびスイッチ65の寄生容量を介してゲート信号線(Scan線72〜Merge線75)の電圧の変化が節点Aの電位に影響する突き抜けを減らすことができ、突き抜け量のばらつきに起因する表示ムラを低減することが可能である。
【0093】
なお、Ref線73とMerge線75との電圧レベルを同時もしくはRef線73の電圧レベルを先にLOWにする場合、まず、スイッチ63による突き抜けが節点Aに伝搬する。スイッチ65がオン状態になると、次にスイッチ65による突き抜けが節点Aに伝搬する。
【0094】
一方、期間T7を設ける場合、スイッチ65による突き抜けは節点Aに伝搬するが、スイッチ63による突き抜けはすでにスイッチ65がオフ状態のため節点Aに伝搬しない。そして、この分が突き抜け量の低減効果となる。
【0095】
(期間T8)
図3に示す時刻t8〜時刻t9の期間T8は、スイッチ63を非導通状態(オフ状態)にすることで、Data線76を介して供給されたデータ信号電圧とRFV線68の参照電圧V
REFとが同時に節点Aに印加されるのを防止する期間である。
【0096】
具体的には、時刻t8において、走査線駆動回路3は、Scan線72とInit線74とMerge線75との電圧レベルをLOW、かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、Ref線73の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させる。すなわち、時刻t8において、スイッチ62、スイッチ64およびスイッチ65を非導通状態(オフ状態)、かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、スイッチ63を非導通状態(オフ状態)にする。
【0097】
このように、Ref線73の動作によりスイッチ63をさらに非導通状態(オフ状態)とし、スイッチ62およびスイッチ63が非導通状態(オフ状態)となる期間T8を設けることで、Data線76を介してスイッチ62から供給されるデータ信号電圧と、RFV線68の参照電圧V
REFとが節点A(容量素子67の第1電極)に同時に印加されるのを防止することができる。
【0098】
なお、スイッチ63とスイッチ65とを同時に非導通状態(オフ状態)にし、期間T7および期間T8は一つにまとめてもよい。
【0099】
また、(映像信号電圧−参照電圧V
REF)の電位差を正確に反映させるには、期間T8はなるべく短い方がよい。
【0100】
(期間T9:書込期間)
次に、
図3の時刻t9〜時刻t10の期間T9は、Data線76から表示階調に応じた映像信号電圧(データ信号電圧)を画素回路60にスイッチ62を介して取り込み、容量素子67に書き込む書込期間である。
【0101】
具体的には、
図4Dの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t9において、走査線駆動回路3は、Ref線73、Init線74およびMerge線75の電圧レベルをLOW、かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、Scan線72の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させる。すなわち、時刻t9において、スイッチ63とスイッチ64とスイッチ65を非導通状態(オフ状態)かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、スイッチ62を導通状態(オン状態)にする。
【0102】
これにより、容量素子67には、閾値補償期間(期間T6)で記憶された駆動トランジスタ61の閾値電圧Vthに加えて、映像信号電圧が、記憶(保持)される。
【0103】
なお、大画面化(表示パネル6のサイズが大きくなる)、かつ、画素回路60の数が増加するのに伴い、画素回路60を駆動するためのフレーム周波数が高くなってきている。大画面化に伴いScan線72配線時定数も増加するものの、水平走査期間の短縮により、所定の階調電圧を画素回路60に書き込むことが難しくなる。そのため、本実施の形態では、Scan線72の波形なまりがあっても、所定の映像信号(データ信号電圧)がData線76に入力される前にScan線72が立ち上がりを完了させて、スイッチ62が導通状態(オン状態)となるようにしている。
【0104】
これにより、Scan線72の負荷(配線時定数)が大きく、立ち上がりに時間がかかるような大画面、高画素数の表示パネル6であっても確実に書き込むことができる。
【0105】
(期間T10)
図3に示す時刻t10〜時刻t11の期間T10は、スイッチ62を確実に非導通状態(オフ状態)にさせるための期間である。
【0106】
より具体的には、時刻t10において、走査線駆動回路3は、Ref線73、Init線74およびMerge線75の電圧レベルをLOW、かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、Scan線72の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させる。すなわち、時刻t10において、スイッチ63とスイッチ64とスイッチ65を非導通状態(オフ状態)、かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、スイッチ62を非導通状態(オフ状態)にする。
【0107】
これにより、続く期間T11(発光期間)においてスイッチ65を導通状態(オン状態)にさせるまえにスイッチ62を確実に非導通状態(オフ状態)にすることができる。
【0108】
なお、期間T11を設けず、スイッチ65とスイッチ62とを同時に導通状態(オン状態)にさせる場合、駆動トランジスタ61のドレイン電流により、節点Bの電位が上昇する一方で、節点Aの電位はデータ信号電圧となることから、駆動トランジスタ61のソース電極−ゲート電極間電圧が小さくなってしまう。この場合には、所望の輝度に比べて少ない輝度で発光してしまうので問題となる。これを防止するため、本実施の形態では、期間T10を設けてスイッチ62が非導通状態(オフ状態)であることを確保してから、続く期間T11においてスイッチ65を導通状態(オン状態)にする。
【0109】
(期間T11:発光期間)
次に、
図3に示す時刻t11〜時刻t12の期間T11は、EL素子66を発光させる発光期間である。
【0110】
具体的には、
図4Eの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t11において、走査線駆動回路3は、Scan線72、Ref線73およびInit線74の電圧レベルをLOW、かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、Merge線75の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させる。すなわち、時刻t11において、スイッチ62、スイッチ63およびスイッチ64を非導通状態(オフ状態)かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、スイッチ65を導通状態(オン状態)にする。
【0111】
このように、スイッチ65を導通状態(オン状態)にさせることで、容量素子67に蓄えられた電圧(データ信号電圧)に応じて駆動トランジスタ61にEL素子66に電流を供給させEL素子66を発光させることができる。
【0112】
(期間T12)
図3に示す時刻t12〜時刻t1の期間T12は、黒挿入期間であり、たとえば動画応答性を改善するもので、EL素子66を非発光状態にさせる期間である。
【0113】
より具体的には、
図4Fの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t12において、走査線駆動回路3は、Scan線72とInit線74の電圧レベルをLOW、Merge線75の電圧レベルをHIGH、かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、Ref線73の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させる。すなわち、時刻t12において、スイッチ62およびスイッチ64を非導通状態(オフ状態)、スイッチ65を導通状態(オン状態)、かつ、RFV線68が供給する電圧を参照電圧V
REFに維持しつつ、スイッチ63を導通状態(オン状態)にする。
【0114】
以上のようなシーケンスにより、画素回路60は、階調表示を行う。
【0115】
なお、表示パネル制御回路2は、表示パネル6を構成する他の画素回路60についても、同様の駆動方法を線順次に行う。
【0116】
このように、表示パネル制御回路2は、画素回路60を初期化する期間T5(初期化期間)において、駆動トランジスタ61のゲート電極に、駆動トランジスタ61の閾値電圧Vthよりも大きな電圧であって駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間が順バイアスとなる参照電圧V
REFを印加するステップと、期間T5(初期化期間)の前の期間T2(所定期間)において、駆動トランジスタ61のゲート電極に、駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間が逆バイアスとなる電圧である逆バイアス電圧を印加するステップとを実行する。ここで、期間T2(所定期間)は、期間T11(発光期間)の後から期間T5(初期化期間)の前の期間に設けられる。
【0117】
それにより、期間T6(閾値補償期間)において駆動トランジスタ61の閾値電圧Vthの変動を補正することに加えて、期間T2(逆バイアス期間)において閾値電圧Vthの変動量を抑えることができる。そのため、閾値補償動作を行う期間を十分に確保できない場合でも駆動トランジスタの閾値電圧の変動量を抑制することができる。その結果、より長期間、駆動トランジスタ61の動作補償範囲に閾値電圧Vthを含めることができる画素回路60を実現できる。
【0118】
なお、本実施の形態では、
図3に示すように期間T3および期間T4を設ける場合について説明したがそれに限らない。例えば
図5に示すように期間T3および期間T4を設けずに、RFV線68が供給する電圧を逆バイアス電圧V
REVから参照電圧V
REFに切り換えるとしてもよい。ここで、
図5は、
図3に示すタイミングチャートの変形例である。
【0119】
また、
図3を用いた説明では、
図2Aの画素回路60に基づき説明したが、
図2Bに示す画素回路60Aでも同様である。具体的には、表示パネル制御回路2は、スイッチ62を非導通(オフ)、スイッチ65を導通(オン)、かつスイッチ64を導通(オン)にさせた状態で、スイッチ63Aを導通(オン)させ、かつ、電源切換スイッチ310を制御して逆バイアス電圧V
REVを供給する電源線68B(第2電源線)に切り換えて逆バイアス電圧V
REVを駆動トランジスタ61のゲート電極に供給させることで期間T3(所定期間)を実行する。また、表示パネル制御回路2は、スイッチ62を非導通(オフ)、スイッチ65を導通(オン)、かつスイッチ64を導通(オン)にさせた状態で、スイッチ63Aを導通(オン)させ、かつ、電源切換スイッチ310を制御して参照電圧V
REFを供給する電源線68A(第3電源線)に切り換えて参照電圧V
REFを駆動トランジスタ61のゲート電極に供給させることで期間T5(初期化期間)を実行する。その他の駆動方法については上述したとおりであるため説明は省略する。
【0120】
以上、実施の形態の表示装置およびその駆動方法によれば、たとえ酸化物半導体を半導体層として用いた薄膜トランジスタを有し閾値電圧補償動作を行う期間を十分に確保できない画素回路60で構成されていても、駆動トランジスタの閾値電圧の変動量を抑制することができる。もちろんシリコン半導体を半導体層として用いた薄膜トランジスタでは、閾値電圧補償動作を行う期間を十分に確保しなくても駆動トランジスタの閾値電圧の変動量を抑制するという効果を奏する。
【0121】
以上、本発明の一つまたは複数の態様に係る表示装置およびその駆動方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0122】
例えば、EL素子66は、典型的には有機発光素子であるが、電流に応じて発光強度が変化するデバイスであればどんな電流−光変換デバイスでもよい。
【0123】
また、例えば、本発明の表示装置を構成する画素回路は、上述した画素回路60および画素回路60Aの場合に限られない。例えば、
図6〜
図8に示す画素回路60B〜画素回路60Dで実現されるとしてもよい。ここで、
図6〜
図8は、
図2Bに示す回路構成の変形例を示す図である。なお、
図2Aおよび
図2Bと同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0124】
例えば、
図6に示すように、
図2Bの電圧印加部31と異なる場所に電圧印加部31Bを構成し、さらに、
図2Bのスイッチ65に代えて駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間にEnable線78がゲートに接続されたスイッチ77を構成する画素回路60Bであってもよい。電圧印加部31Bが有するスイッチ63Aのドレインおよびソースの一方の端子がスイッチ62と節点Aとの間に接続されている。
【0125】
また、例えば、
図7に示すように、
図2Bの電圧印加部31と異なる構成の電圧印加部31Cと、
図2Bのスイッチ65に代えて駆動トランジスタ61のドレイン電極とELアノード電源線69の間にEnable線78Aがゲートに接続されたスイッチ77Aとを有する画素回路60Cであってもよい。この場合、電圧印加部31Cは、電源線68A(VREF)と駆動トランジスタ61のゲート電極との導通及び非導通を切り換えるスイッチBと、電源線68B(VREV)と駆動トランジスタ61のゲート電極との導通及び非導通を切り換えるスイッチCとを備える。スイッチ63Bおよびスイッチ63Cのドレインおよびソースの一方の端子がスイッチ62と節点Aとの間に接続されている。
【0126】
さらに、例えば、
図8に示すように、
図6および
図7に示す回路構成の組み合わせからなる画素回路60Dでもよい。すなわち、
図8に示す画素回路60Dでは、
図6のスイッチ77に代えて、
図7に示すスイッチ77Aを有するとしてもよい。
【0127】
また、本発明では、初期化期間の前の所定期間(逆バイアス期間、後述の期間T2)において、駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間に逆バイアスが印加され、初期化期間で駆動トランジスタ61のゲート電極−ソース電極間に順バイアスが印加される。本実施の形態では、駆動トランジスタ61のゲート電極に印加される場合の例を挙げて説明しているがそれに限らない。逆バイアスが印加するのは駆動トランジスタのゲート電極でなくてもよく、ソース電極でもよい。その場合、ゲート電極側から参照電圧V
REF、ソース電極側から初期化電圧V
INIもしくは逆バイアス電圧V
REVを供給する構成とすればよい。なお、本開示の例では、参照電圧V
REF<逆バイアス電圧V
REVであるため、逆バイアス電圧V
REVとV
EL間の電位差が大きくなり、EL素子が点灯する。そのため、さらに、(V
EL+EL順方向閾値電圧)>(逆バイアス電圧V
REV)となるように、電圧V
ELの調整を行っておく必要がある。