(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画素の周囲にフッ素含有材料からなる隔壁を有すると共に、前記第1撥液領域は前記隔壁の上面であり、前記第1親液領域は前記隔壁の側面である、請求項1に記載の表示装置。
前記画素は発光層に所定の電圧を印加するための第1電極および第2電極と、前記第2電極の配線抵抗を低減する第3電極とを備え、前記第2電極と第3電極との接続部は前記第1撥液領域内に設けられている、請求項1に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
(表示領域に第1親液領域および第1撥液領域を有し、周辺領域に第2親液領域を有する表示装置)
1−1.パターニング方法
1−2.表示装置の全体構成
2.第2の実施の形態
(周辺領域に第2撥液領域を有する表示装置)
3.第3の実施の形態
(第1親液領域および第2親液領域が連続した表示装置)
4.第4の実施の形態
(第1親液領域および第2親液領域が連続すると共に、第1撥液領域の一端に狭隘領域を有する表示装置)
5.第5の実施の形態
(長手方向に沿って領域幅が変化した第1撥液領域を有する表示装置)
6.第6の実施の形態
(長手方向に沿って凹凸が形成された第1撥液領域を有する表示装置)
7.第7の実施の形態
(各画素ごとに間隔の異なる第1親液領域が形成された表示装置)
8.第8の実施の形態
(第1撥液領域および第1親液領域が同一材料によって形成された表示装置)
9.変形例
(カソード電極と補助配線との接続部を第1撥液領域に有する表示装置)
10.適用例
【0015】
1.第1の実施の形態
(1−1.パターニング方法)
図1は本開示の第1の実施の形態に係る表示装置1Aの表示領域2および周辺領域3の平面構成を表したものである。この表示装置1Aは、例えば、基板11の上に、表示領域2として、複数の画素5がマトリクス状(格子状)に配置されている。複数の画素5は、例えば赤色画素5R,緑色画素5G,青色画素5Bであり、それぞれ色ごとにライン状に配置されている。これら各画素5(5R,5G,5B)にはそれぞれ対応する色の有機EL素子10(10R,10G,10B)が設けられている。なお、ここでは赤色画素5R,緑色画素5Gおよび青色画素5Bの組み合わせが一つの表示画素(ピクセル)を構成している。
【0016】
本実施の形態の表示装置1Aの表示領域2には、複数の画素5R,5G,5Bを色ごとに分割すると共に、マトリクス状に配置された複数の画素の周囲に設けられた第1撥液領域2Bおよび第1撥液領域2Bを除く領域に形成された第1親液領域2Aが設けられている。具体的には、表示領域2に設けられた複数の画素5R,5G,5Bを囲うように第1親液領域2Aが形成され、この第1親液領域2A上の、各画素5R,5G,5Bを色ごとに分割するように第1撥液領域2Bが形成されている。第1親液領域2Aおよび第1撥液領域2Bは、共に有機EL素子10を塗布によって形成する際に吐出されるインクのバンクとしての機能を有するものである。このように、撥液領域によって色ごとに分割された親液領域を設けることで、所望の画素パターンが形成される。
【0017】
第1親液領域2Aは、インクの濡れ性を向上するためのものであり、上述したように、画素5R,5G,5Bを囲うように、表示領域2内を連続して設けられている。第1親液領域2Aの材料としては、無機材料、例えば二酸化ケイ素(SiO
2),炭化ケイ素(SiC),窒化ケイ素(Si
3N
4),インジウム錫酸化物(ITO),インジウム亜鉛酸化物(IZO),アルミニウム(Al),チタン(Ti)またはモリブデン(Mo)等が用いられ、真空蒸着法,CVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法またはPVD(Physical Vapor Deposition;物理気相成長)法等によって形成される。
【0018】
第1撥液領域2Bは、各画素5R,5G,5Bライン上に吐出されたインクの過剰な濡れ広がり、具体的には、隣接する画素ラインへの浸入を防止するためのものであり、上述したように、各画素5R,5G,5Bを色ごとに分割すると共に、画素全体を囲うように設けられている。第1撥液領域2Bの材料としては、有機材料、例えばポリイミドまたはノボラック等が挙げられ、これらを所定の形状に形成したのち、プラズマ処理を行うことで撥液性が付加される。
【0019】
また、本実施の形態の表示装置1Aの周辺領域3には、少なくとも一部、ここでは周辺領域全体に第2親液領域3Aが設けられている。第2親液領域3Aを設け、周辺領域の濡れ性を向上することによって、各画素ラインにインクを吐出する際の液溜まり(ビード)を形成しやすくなる。これにより、画素ライン上への連続したインクの吐出が可能となる。なお、第2親液領域3Aはこれに限らず、後述する理由により、少なくとも色ごとにライン状に配置された各画素5R,5G,5Bの一端側、具体的には、インク塗布開始時におけるビード形成領域4を第2親液領域とすればよい。但し、両端に第2親液領域3Aを設け対称的パターンとすることにより、有機層15以降の製造工程において有利となる場合もある。なお、この第2親液領域3Aは、上記第1親液領域2Aと同じ材料および方法によって形成される。
【0020】
表示領域2の各画素5R,5G,5B上には、上述したように各画素5R,5G,5Bに対応する色の有機EL素子10(10R,10G,10B)が設けられている。この有機EL素子10は、詳細は後述するが、アノード電極12(第1電極),隔壁14,有機層15およびカソード電極16(第2電極)がこの順に積層された構成を有している(
図5参照)。このうち、有機層15の一部が液滴吐出法等の塗布法により形成されている。具体的には、有機層15を構成する有機材料を有機溶媒に溶解させたインクを、スリットコーター(またはストライプコーター)のヘッドに設けられた複数の吐出口から吐出し、各画素5R,5G,5B上に配する。この後、加熱することにより溶媒を除去して各層を形成する。本実施の形態において用いられる有機材料を溶解したインクは、前述したように粘度が低く、低接触角であるため濡れ性が高い。このため、吐出後のインクは表示領域2あるいは周辺領域3上で広がり、基板の信頼性を著しく低下させる、また、パターニングが難しく、更に各色画素5R,5G,5Bごとの膜厚の制御も難しかった。
【0021】
有機層15は以下のように形成する。まず、
図2(A)に示したように、第1撥液領域2Bの外部、特に、色ごとに配置された画素5の一端側の周辺領域3にスリットコーターのヘッドの吐出口からインクを吐出し、ヘッドがインクを介して基板11と接するようにビードを形成する。これにより、ヘッド表面の濡れ性を均一にすることができる。次に、
図2(B)に示したように、画素ライン上に沿ってスキャンし、画素5上にインクを吐出していく。この際、ヘッドは
図2(C)に示したように、インクを介して基板11と接した状態を維持したままスキャン方向に移動する。
【0022】
このような塗布法による有機層15の形成では、上記ビードの形成が重要である。このため、表示領域2を囲む周辺領域3には、上述したように少なくともビード形成領域4に第2親液領域3Aを設けることが望ましく、本実施の形態では、周辺領域3全体に第2親液領域3Aが設けられている。これにより、インクの表面張力あるいは基板11の撥液性等によるインクと基板11との切断が抑制され、インクと基板11との接続を維持しやすくなる。即ち、各色画素5R,5G,5Bにおける有機層15の正確な塗布形成が可能となる。
【0023】
(1−2.表示装置の全体構成)
次に、表示装置1Aの全体構成について説明する。
図3は、本実施の形態の表示装置1Aの概略構成を表したものである。この表示装置1Aは、有機ELテレビジョン装置などとして用いられるものであり、上述したように、基板11の上に、複数の有機EL素子10R,10G,10Bがマトリクス状に配置された表示領域2が形成されており、表示領域2を囲うように周辺領域3が配置されている。周辺領域3には、映像表示用のドライバである信号線駆動回路120および走査線駆動回路130が設けられている。
【0024】
表示領域2内には画素駆動回路140が設けられている。
図4は、画素駆動回路140の一例を表したものである。画素駆動回路140は、後述する
アノード電極12の下層に形成されたアクティブ型の駆動回路である。すなわち、この画素駆動回路140は、駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2と、これらトランジスタTr1,Tr2の間のキャパシタ(保持容量)Csと、第1の電源ライン(Vcc)および第2の電源ライン(GND)の間において駆動トランジスタTr1に直列に接続された赤色有機EL素子10R(または緑色有機EL素子10G,青色有機EL素子10B)とを有する。駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2は、一般的な薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)により構成され、その構成は、例えば逆スタガ構造(いわゆるボトムゲート型)でもよいしスタガ構造(トップゲート型)でもよく特に限定されない。
【0025】
画素駆動回路140において、列方向には信号線120Aが複数配置され、行方向には走査線130Aが複数配置されている。各信号線120Aと各走査線130Aとの交差点が、赤色有機EL素子10R,緑色有機EL素子10G,青色有機EL素子10Bのいずれか一つに対応している。各信号線120Aは、信号線駆動回路120に接続され、この信号線駆動回路120から信号線120Aを介して書き込みトランジスタTr2のソース電極に画像信号が供給されるようになっている。各走査線130Aは走査線駆動回路130に接続され、この走査線駆動回路130から走査線130Aを介して書き込みトランジスタTr2のゲート電極に走査信号が順次供給されるようになっている。
【0026】
また、表示領域2には、上述したように赤色の光を発生する赤色有機EL素子10Rと、緑色の光を発生する緑色有機EL素子10Gと、青色の光を発生する青色有機EL素子10Bとが、順に全体としてマトリクス状に配置されている。
【0027】
図5は、表示領域2における表示装置1Aの断面構成の一例を表したものである。表示装置1Aは、基板11上に画素5を、例えばアクティブマトリックス方式により駆動するTFT20が設けられ、このTFT20上には、画素5(5R,5G,5B)を構成する有機EL素子10(10R,10G,10B)が設けられている。
【0028】
(TFT)
TFT20は、いわゆるボトムゲート型のTFTであり、チャネル(活性層)に、例えば酸化物半導体を用いたものである。このTFT20では、ガラス等よりなる基板11上に、ゲート電極21、ゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜22,第2ゲート絶縁膜23)、酸化物半導体層24、チャネル保護膜25および
ソース・ドレイン電極26がこの順に形成されている。
ソース・ドレイン電極26上には、基板11の全面に渡ってTFT20の凹凸を平坦化させるための平坦化層27が形成されている。
【0029】
ゲート電極21は、TFT20に印加されるゲート電圧によって酸化物半導体層24中のキャリア密度(ここでは、電子密度)を制御する役割を果たすものである。このゲート電極21は、例えばMo,Alおよびアルミニウム合金等のうちの1種よりなる単層膜、または2種以上よりなる積層膜により構成されている。なお、アルミニウム合金としては、例えばアルミニウム−ネオジム合金が挙げられる。
【0030】
第1ゲート絶縁膜22,第2ゲート絶縁膜23は、SiO
2、Si
3N
4、シリコン窒化酸化物(SiON)および酸化アルミニウム(Al
2O
3)等のうちの1種よりなる単層膜、またはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜である。ここでは、第1ゲート絶縁膜22,第2ゲート絶縁膜23は2層構造を有し、絶縁膜22が例えばSiO
2膜、絶縁膜23は例えばSi
3N
4膜によりそれぞれ構成されている。ゲート絶縁膜22,23の総膜厚は、例えば200nm〜300nmである。
【0031】
酸化物半導体層24は、例えばインジウム(In),ガリウム(Ga),亜鉛(Zn),スズ(Sn),Al,Tiのうちの少なくとも1種の酸化物を主成分として含んでいる。この酸化物半導体層24は、ゲート電圧の印加により
ソース・ドレイン電極26間にチャネルを形成するものである。この酸化物半導体層24の膜厚は後述の負の電荷の影響がチャネルへ及ぶように、薄膜トランジスタのオン電流の悪化を引き起こさない程度であることが望ましく、具体的には5nm〜100nmであることが望ましい。
【0032】
チャネル保護膜25は、酸化物半導体層24上に形成され、
ソース・ドレイン電極26形成時におけるチャネルの損傷を防止するものである。チャネル保護膜25の厚みは、例えば10〜300nmである。
【0033】
ソース・ドレイン電極26は、例えばMo,Al,銅(Cu),Ti,ITOおよびTiO等のうち1種よりなる単層膜またはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜である。例えば、Mo,Al,Moの順に、50nm,500nm,50nmの膜厚で積層した3層膜や、ITOおよび酸化チタン等の酸素を含む金属化合物のような酸素との結びつきの弱い金属または金属化合物を用いることが望ましい。これにより、酸化物半導体の電気特性を安定して保持することができる。
【0034】
平坦化層27は、例えばポリイミド、ノボラック等の有機材料が用いられる。この平坦化層27の厚みは、例えば10nm〜100nmであり、好ましくは50nm以下である。平坦化層27上には、有機EL素子10のアノード電極12が形成されている。
【0035】
(有機EL素子)
有機EL素子10は、アノード電極12から注入された正孔とカソード電極16から注入された電子が発光層15C内で再結合する際に生じた発光光を基板11と反対側(カソード電極15側)から光を取り出す上面発光型(トップエミッション型)の表示素子である。上面発光型の有機EL素子10を用いることにより表示装置の発光部の開口率が向上する。なお、本開示の有機EL素子10は、このような構成に限定されることはなく、例えば基板11側から光を取り出す透過型、即ち下面発光型(ボトムエミッション型)の表示素子としてもよい。
【0036】
有機EL素子10では、平坦化層27上に、例えば表示装置1Aが上面発光型である場合には、高反射性材料、例えば、Al,Ti,Cr等からなるアノード電極12が形成されている。また、表示装置1Aが透過型である場合には、透明材料、例えばITO,IZO,IGZO等が用いられる。
【0037】
ここで、上方に有機層15を除くアノード電極12上および平坦化層27上には、例えば、SiO
2,Si
3N
4等が用いられた上述した第1親液領域2A、ここでは親液層13が形成されている。この親液層13上の一部の領域には、有機層15をパターニングするための第1撥液領域2B、ここでは撥液層14が形成されている。なお、この撥液層14は、アノード電極12と、後述するカソード電極16との絶縁性を確保する役割も有し、一般的に隔壁として機能するものである。この撥液層14は、画素5の開口、即ち、発光領域を挟むように設けられると共に、TFT20のソース・ドレイン電極26とアノード電極12との接続部上に設けられている。撥液層14は、上述したようにポリイミドまたはノボラック等の有機材料により形成されており、プラズマ酸化を行うことにより、撥液性が付加される。
【0038】
有機層15は、例えば、
図6に示したように、アノード電極12側から順に、正孔注入層15A,正孔輸送層15B,発光層15C,電子輸送層15Dおよび電子注入層15Eを積層した構成を有する。有機層15は例えば真空蒸着法やスピンコート法等によって形成される。この有機層15の上面は
カソード電極16によって被覆されている。有機層15を構成する各層の膜厚および構成材料等は特に限定されないが、一例を以下に示す。
【0039】
正孔注入層15Aは、発光層15Cへの正孔注入効率を高めると共に、リークを防止するためのバッファ層である。正孔注入層15Aの厚みは例えば5nm〜200nmであることが好ましく、さらに好ましくは8nm〜150nmである。正孔注入層15Aの構成材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、例えばポリアニリン,ポリチオフェン,ポリピロール,ポリフェニレンビニレン,ポリチエニレンビニレン,ポリキノリン,ポリキノキサリンおよびそれらの誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体などの導電性高分子,金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等),カーボンなどが挙げられる。導電性高分子の具体例としてはオリゴアニリンおよびポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)などのポリジオキシチオフェンが挙げられる。
【0040】
正孔輸送層15Bは、発光層15Cへの正孔輸送効率を高めるためのものである。正孔輸送層15Bの厚みは、素子の全体構成にもよるが、例えば5nm〜200nmであることが好ましく、さらに好ましくは8nm〜150nmである。正孔輸送層15Bを構成する材料としては、有機溶媒に可溶な発光材料、例えば、ポリビニルカルバゾール,ポリフルオレン,ポリアニリン,ポリシランまたはそれらの誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体,ポリチオフェンおよびその誘導体,ポリピロールまたはAlq3などを用いることができる。
【0041】
発光層15Cでは、電界がかかると電子と正孔との再結合が起こり発光する。発光層15Cの厚みは、素子の全体構成にもよるが、例えば10nm〜200nmであることが好ましく、さらに好ましくは20nm〜150nmである。発光層15Cは、それぞれ単層あるいは積層構造であってもよい。具体的には、本実施の形態の有機EL素子10のように、正孔輸送層15B上に赤色,緑色,青色の発光層15CR,15CG,15CBが単層設けられている以外に、例えば、青色発光層を各有機EL素子10R,10G,10Bの共通層としてもよい。この場合、赤色有機EL素子10Rには赤色発光層15CR上に青色発光層15CBが積層され、緑色有機EL素子10Gには緑色発光層15CG上に青色発光層15CBが積層されている。また、ここには示していないが、赤色発光層15CR,緑色発光層15CGおよび青色発光層15CBを積層してもよく、これらを積層することにより白色有機EL素子が形成される。
【0042】
発光層15Cを構成する材料は、それぞれの発光色に応じた材料を用いればよく、例えばポリフルオレン系高分子誘導体や、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体,ポリフェニレン誘導体,ポリビニルカルバゾール誘導体,ポリチオフェン誘導体,ペリレン系色素,クマリン系色素,ローダミン系色素,あるいは上記高分子に有機EL材料をドープしたものが挙げられる。ドープ材料としては、例えばルブレン,ペリレン,9,10−ジフェニルアントラセン,テトラフェニルブタジエン,ナイルレッド,クマリン6等を用いることができる。なお、発光層15Cを構成する材料は、上記材料を2種類以上混合して用いてもよい。また、上記高分子量の材料に限らず、低分子量の材料を組み合わせて用いてもよい。低分子材料の例としては、ベンジン,スチリルアミン,トリフェニルアミン,ポルフィリン,トリフェニレン,アザトリフェニレン,テトラシアノキノジメタン,トリアゾール,イミダゾール,オキサジアゾール,ポリアリールアルカン,フェニレンジアミン,アリールアミン,オキザゾール,アントラセン,フルオレノン,ヒドラゾン,スチルベンあるいはこれらの誘導体、または、ポリシラン系化合物,ビニルカルバゾール系化合物,チオフェン系化合物あるいはアニリン系化合物等の複素環式共役系のモノマーあるいはオリゴマーが挙げられる。
【0043】
発光層15Cを構成する材料としては、上記材料の他に発光性ゲスト材料として、発光効率が高い材料、例えば、低分子蛍光材料、りん光色素あるいは金属錯体等の有機発光材料を用いることができる。
【0044】
なお、発光層15Cは、例えば上述した正孔輸送層15Bを兼ねた正孔輸送性の発光層としてもよく、また、後述する電子輸送層15Dを兼ねた電子輸送性の発光層としてもよい。
【0045】
電子輸送層15Dおよび電子注入層15Eは、発光層15Cへの電子輸送効率を高めるためのものである。電子輸送層15Dおよび電子注入層15Eの総膜厚は素子の全体構成にもよるが、例えば5nm〜200nmであることが好ましく、より好ましくは10nm〜180nmである。
【0046】
電子輸送層15Dの材料としては、優れた電子輸送能を有する有機材料を用いることが好ましい。発光層15Cの輸送効率を高めることにより、後述する電界強度による発光色の変化が抑制される。具体的には、例えばアリールピリジン誘導体およびベンゾイミダゾール誘導体などを用いることが好ましい。これにより、低い駆動電圧でも高い電子の供給効率が維持されるからである。電子注入層15Eの材料としては、アルカリ金属,アルカリ土類金属,希土類金属およびその酸化物,複合酸化物,フッ化物,炭酸塩等が挙げられる。
【0047】
カソード電極16は、例えば、厚みが10nm程度であり、光透過性が良好で仕事関数が小さい材料により構成されている。また、酸化物を用いて透明導電膜を形成することによっても光取り出しを担保することができる。この場合には、ZnO,ITO,IZnO,InSnZnO等を用いる事が可能である。更に、カソード電極16は単層でもよいが、ここでは例えばアノード電極12側から順に第1層16A、第2層16B、第3層16Cと積層した構造となっている。
【0048】
第1層16Aは、仕事関数が小さく、且つ、光透過性の良好な材料により形成されることが好ましい。具体的には、例えばカルシウム(Ca),バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属、リチウム(Li),セシウム(Cs)等のアルカリ金属、インジウム(In),マグネシウム(Mg),銀(Ag)が挙げられる。更に、Li
2O,Cs
2Co
3,Cs
2SO
4,MgF,LiFやCaF
2等のアルカリ金属酸化物,アルカリ金属フッ化物,アルカリ土類金属酸化物,アルカリ土類フッ化物が挙げられる。
【0049】
第2層16Bは、薄膜のMgAg電極やCa電極などの光透過性を有し、且つ、導電性が良好な材料で構成されている。第3層16Cは、電極の劣化を抑制するために透明なランタノイド系酸化物を用いることが好ましい。これにより、上面から光を取り出すことが可能な封止電極として用いることが可能となる。また、ボトムエミッション型の場合には、第3層
16Cの材料として金(Au),白金(Pt)またはAuGe等が用いられる。
【0050】
なお、第1層16A、第2層16Bおよび第3層16Cは、真空蒸着法、スパッタリング法、あるいはプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法などの手法によって形成される。また、この表示素子を用いて構成される表示装置の駆動方式がアクティブマトリックス方式である場合、カソード電極16は、アノード電極12の一部を覆う撥液層14(隔壁)および有機層15によって、アノード電極12に対して絶縁された状態で基板11上にベタ膜状で形成され、各画素に対して共通な電極として用いてもよい。
【0051】
また、カソード電極16には、アルミキノリン錯体,スチリルアミン誘導体,フタロシアニン誘導体等の有機発光材料を含有した混合層でもよい。この場合には、さらに第3層16C(図示なし)としてMgAgのような光透過性を有する層を別途有していてもよい。また、カソード電極16は上記のような積層構造に限定されることはなく、作製されるデバイスの構造に応じて最適な組み合わせ、積層構造を取ればよいことは言うまでもない。例えば、上記本実施の形態のカソード電極16の構成は、電極各層の機能分離、即ち有機層15への電子注入を促進させる無機層(第1層16A)と、電極を司る無機層(第2層16B)と、電極を保護する無機層(第3層16C)とを分離した積層構造である。しかしながら、有機層15への電子注入を促進させる無機層が、電極を司る無機層を兼ねてもよく、これらの層を単層構造としてもよい。
【0052】
更に、この有機EL素子10が、キャビティ構造となっている場合には、カソード電極16が半透過半反射材料を用いて構成されることが好ましい。これにより、アノード電極12側の光反射面と、カソード電極16側の光反射面との間で多重干渉させた発光光がカソード電極16側から取り出される。この場合、アノード電極12側の光反射面とカソード電極16側の光反射面との間の光学的距離は、取り出したい光の波長によって規定され、この光学的距離を満たすように各層の膜厚が設定されていることとする。このような上面発光型の表示素子においては、このキャビティ構造を積極的に用いることにより、外部への光取り出し効率の改善や発光スペクトルの制御を行うことが可能となる。
【0053】
保護層17は、有機層15への水分の浸入を防止するためのものであり、透過性および透水性の低い材料を用いて、例えば厚さ2〜3μmで形成される。保護層17の材料としては、絶縁性材料または導電性材料のいずれにより構成されていてもよい。絶縁性材料としては、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えばアモルファスシリコン(α−Si),アモルファス炭化シリコン(α−SiC),アモルファス窒化シリコン(α−Si
1-xN
x),アモルファスカーボン(α−C)などが好ましい。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを構成しないため透水性が低く、良好な保護膜となる。
【0054】
封止用基板18は、有機EL素子10の
カソード電極16の側に位置しており、接着層(図示せず)と共に有機EL素子10を封止するものである。封止用基板18は、有機EL素子10で発生した光に対して透明なガラスなどの材料により構成されている。封止用基板18には、例えば、カラーフィルタおよびブラックマトリクスとしての遮光膜(いずれも図示せず)が設けられており、有機EL素子10で発生した光を取り出すと共に、各有機EL素子10間の配線において反射された外光を吸収し、コントラストを改善するようになっている。
【0055】
封止用基板18上には、例えばカラーフィルタおよび遮光膜(いずれも図示せず)が設けられていてもよい。カラーフィルタは、赤色フィルタ,緑色フィルタおよび青色フィルタ(いずれも図示せず)を有しており、順に配置されている。赤色フィルタ,緑色フィルタおよび青色フィルタは、それぞれ例えば矩形形状で隙間なく形成されている。これら赤色フィルタ,緑色フィルタおよび青色フィルタは、顔料を混入した樹脂によりそれぞれ構成されており、顔料を選択することにより、目的とする赤,緑あるいは青の波長域における光透過率が高く、他の波長域における光透過率が低くなるように調整されている。
【0056】
遮光膜は、例えば黒色の着色剤を混入した光学濃度が1以上の黒色の樹脂膜、または薄膜の干渉を利用した薄膜フィルタにより構成されている。このうち黒色の樹脂膜により構成するようにすれば、安価で容易に形成することができるので好ましい。薄膜フィルタは、例えば、金属,金属窒化物あるいは金属酸化物よりなる薄膜を1層以上積層し、薄膜の干渉を利用して光を減衰させるものである。薄膜フィルタとしては、具体的には、Crと酸化クロム(III)(Cr
2O
3)とを交互に積層したものが挙げられる。
【0057】
なお、有機層15は、真空蒸着法やスピンコート法の他にディッピング法,ドクターブレード法,吐出コート法,スプレーコート法などの塗布法、インクジェット法,オフセット印刷法,凸版印刷法,凹版印刷法,スクリーン印刷法,マイクログラビアコート法などの印刷法などによる形成も可能であり、各有機層や各部材の性質に応じて、ドライプロセスとウエットプロセスを併用しても構わない。
【0058】
この表示装置1Aでは、各画素に対して走査線駆動回路130から書き込みトランジスタTr2のゲート電極を介して走査信号が供給されると共に、信号線駆動回路120から画像信号が書き込みトランジスタTr2を介して保持容量Csに保持される。即ち、この保持容量Csに保持された信号に応じて駆動トランジスタTr1がオンオフ制御され、これにより、有機EL素子10に駆動電流Idが注入され、正孔と電子とが再結合して発光が起こる。この光は、下面発光(ボトムエミッション)の場合にはアノード電極12および基板11を透過して、上面発光(トップエミッション)の場合には
カソード電極16,カラーフィルタ(図示せず)および封止用基板18を透過して取り出される。
【0059】
以上のように、本実施の形態の表示装置1Aでは、表示領域2に、複数の画素5R,5G,5Bを色ごとに分割すると共に、マトリクス状に配置された複数の画素の周囲に設けられた第1撥液領域2Bと、第1撥液領域2Bを除く領域に第1親液量域2Aとを設けることにより、所望の画素パターンを得ることができる。また、第1撥液領域2Bの外部、即ち、周辺領域3に第2親液領域3Aを設けることにより、第1親液領域2A上にインクを塗布する際の十分なビードが形成され、第1親液領域2Aへの安定したインクの塗布が可能となる。
【0060】
このように本実施の形態の表示装置1A(および電子機器)では、表示領域2に、各色の画素5R,5G,5Bを色ごとに分割するように第1撥液領域2Bを設け、この第1撥液領域2Bを除く領域に第1親液領域2Aを設けるようにした。これにより、有機層15が所望の画素パターンに形成される。また、周辺領域3に第2親液領域3Aを設けるようにしたので、第1親液領域2Aにインクを塗布して有機層15を形成する際の準備段階としてのビードの形成において、十分な液溜まり(ビード)を形成することが可能となる。これにより、第1親液領域2Aへの安定したインクの塗布が可能となる。即ち、インクの濃度(粘度)に関係なく、簡易な方法で有機層15の正確なパターニングが可能になり、素子特性が向上する。これにより、簡易な方法で、特性の安定したフルカラーの表示装置1Aを提供することが可能となる。
【0061】
2.第2の実施の形態
図7は、第2の実施の形態における表示装置1Bの表示領域2および周辺領域3の平面構成を表したものである。本実施の形態の表示装置1Bでは、表示領域2には、上記第1の実施の形態の表示装置1Aと同様の形状の第1親液領域2A
1および
第1撥液領域2B
1が形成されている。これに対して、周辺領域3には、ビード形成領域4と同一形状あるいはビード形成領域4を含むように形成された第2親液領域3A
1と、第2親液領域3A1を囲むように周辺領域3の外周部に設けられた第2撥液領域3B
1が形成されている点が、第1の実施の形態と異なる。
【0062】
本実施の形態の表示装置1Bでは、周辺領域3に設けられた第2親液領域3A
1よりも外側に第2撥液領域3B
1を設けることにより、ビードの形成工程において、インクの過剰な濡れ広がりを防ぎ、材料の利用効率を向上することができる。また、周辺領域3のうち特に外周部に形成されている配線(図示せず)と有機層15との接触が防止されるため、短絡の発生が抑制される。
【0063】
なお、周辺領域3に設けた第2撥液領域3B
1は、ここでは周辺領域3の外周部全体に設けたが、これに限らず、少なくともビード形成領域4よりも外側に、ビード形成領域の長手方向の幅よりも同じかそれ以上の領域を形成すればよい。また、より好ましくは、第2親液領域3A
1をビード形成領域4と同一形状とし、それ以外の周辺領域3を第2撥液領域3B
1とする。これにより、ビードの形成をより確実にすることができ、信頼性が向上する。また、ビード形成領域4以外の周辺領域3を撥液層によって覆うため、異物等による配線間の短絡を防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0064】
ここで、上記第1の実施の形態の表示装置1A,本実施の形態の表示装置1Bおよび比較例として
図8に示したように、周辺領域103全体に撥液領域
103Bを形成した表示装置
101Aにおけるビードの形成、ビード幅およびRGBの塗りわけについて実験結果を説明する。
【0065】
表1は、表示装置1A,表示装置1Bおよび表示装置101におけるビードの形成の可否、ビード幅およびRGBの塗りわけの可否について表したものである。
【0067】
表1からわかるように、周辺領域3
の第2親液領域3A
1の外周部に第2撥液領域3B
1を設けることによって、第2撥液領域3B
1を形成していない表示装置1Aと比較して、ビードの濡れ広がりが抑えられることがわかった。これに対し、周辺領域
103の全面に撥液領域103Bが形成された表示装置101では、ビードが形成されない、あるいは、ビードが形成されたとしても他の表示装置におけるビードよりも濡れ広がるということがわかった。また、第1撥液領域にCF4プラズマ等による撥液処理を行い、撥液性を付加することにより、RGBの塗りわけが可能であることがわかった。
【0068】
以上のことから本実施の形態の表示装置1B(および電子機器)では、周辺領域3に、第2親液領域3A
1の外周部に第2撥液領域3B
1を設けるようにしたので、ビードの濡れ広がりを抑えられ、材料の利用効率を向上する。また、配線と有機層15との接触が防止されるため、短絡の発生が抑制される。即ち、上記第1の実施の形態の効果に加えて、コストを低減すると共に、信頼性が向上するという効果を奏する。
【0069】
以下、第3〜第8の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の構成要素については、第2の実施の形態と同様に同一符号を付してその説明は省略する。
【0070】
3.第3の実施の形態
図9(A)は、第3の実施の形態における表示装置1Cの表示領域2および周辺領域3の平面構成を表したものである。本実施の形態の表示装置1Cでは、表示領域2に形成された第1親液領域2A
2と、周辺領域3に設けられた第2親液領域3A
2とが連続している点が上記第1,第2の実施の形態と異なる。
【0071】
画素ライン、即ち、第1親液領域2A
2へのインクの塗布の前に、周辺領域3のビード形成領域4においてビードを形成することで、ヘッドと基板11がインクを介して十分に接続されるため、第1親液領域2A
2への安定したインクの塗布が可能となる。しかしながら、上記第1,第2の実施の形態のように、ビード形成領域4と画素ライン、即ち、第2親液領域3A
2と第1親液領域2A
2とが第1撥液領域2B
2によって分断されている場合には、ビード形成領域4から画素ライン上への連続した塗布の際に、第1撥液領域2B
2を跨ぐことによって、塗布量の変化あるいはインク切れが発生する虞がある。
【0072】
これに対して本実施の形態の表示装置1Cでは、表示領域2に形成された第1撥液領域2B
2の一端、具体的には、第1撥液領域2B
2の長手方向と直交すると共に、ビード形成領域4側の端面に拡幅部6を設け、第1親液領域2A
2および周辺領域3に設けられた第2親液領域3A
2を連続するようにした。これにより、第2親液領域3A
2内のビード形成領域4から第1親液領域2A
2にインクを塗布する際に第1撥液領域2B
2を跨ぐことによるインク切れの発生、あるいは、塗布量の変化を防ぐことができる。これにより、第1親液領域2A
2へインクを安定に塗布することが可能となる。即ち、上記第1,2の実施の形態の効果に加えて、製造歩留まりが向上するという効果を奏する。
【0073】
なお、本実施の形態における表示装置1Cでは、
図9(B)に示したように、第2の実施の形態と同様に、周辺領域3における第2親液領域3A
2(特にビード形成領域4)の外側に第2撥液領域
3B2を設けてもよい。これによりビードの形成を確実に行うことができ、表示装置の信頼性が向上する。これは、以下に説明する第4〜第7の実施の形態についても同様である。
【0074】
4.第4の実施の形態
図10は、第4の実施の形態に係る表示装置1Dの表示領域2および周辺領域3の平面構成を表したものである。この表示装置1Dでは、上記第3の実施の形態と同様に、第1親液領域
2B3と、第2親液領域3A
3とが連続している。本実施の形態では、第1親液領域2A
3および第2親液領域3A
3が連続する拡幅部6が第1撥液領域2B
3の一端に形成され、更に隣り合う第1撥液領域の拡幅部6の間隔を狭めるために、第1撥液領域2B
3の一端に翼片7を設けられている。これにより、拡幅部6の間隔が狭められた狭隘領域6Aが形成されている点が、第3の実施の形態と異なる。
【0075】
上記第3の実施の形態では、第1親液領域2A
2および第2親液領域3A
2を連続させることで、塗布時におけるインク切れ等の発生が低減される一方、インクの粘度および表面張力によっては第1親液領域2A
2内から第2親液領域3A
2へインクが流出する虞がある。これにより、有機層15の膜厚を調整することが難しく、画素ライン内における膜厚の分布が生じるという問題が生じる。
【0076】
これに対して本実施の形態の表示装置1Dでは、第1親液領域2A
3と、第2親液領域
2B3とが連続するように拡幅部6が設けられた第1撥液領域2A
3の一端に翼片7を設け、狭隘領域6Aを形成するようにした。これにより、
第1親液領域2A
3の一端に設けられた拡幅部6が狭められ、第1親液領域2A
3に塗布されたインクの流出が抑制される。即ち、上記第3の実施の形態の効果に加えて、塗布によって形成される有機層15の面内における膜厚の均一性が保たれると共に、素子特性のばらつきが低減されるという効果を奏する。
【0077】
5.第5の実施の形態
図11は、第5の実施の形態に係る表示装置1Eの表示領域2および
周辺領域3の平面構成を表したものである。この表示装置1Eでは、表示領域2に形成された第1撥液領域2A
4の幅が、長手方向に沿って変化している。具体的には、ここでは、塗布の始点側から終点側へ向けて、第1撥液領域2B
4の幅が徐々に狭くなるように形成されている。
【0078】
本実施の形態のように、ヘッドからインクを吐出して塗布形成する場合には、ヘッドの形状および表面性と、インクの粘度および表面張力との兼ね合いによって、塗布工程中にインクがヘッド側に塗れ上がる可能性がある。この塗れ上がりが発生すると、塗布形状がスキャンと共に大きくなり、スキャンが進行するにつれて塗布量に分布が生じる可能性がある。塗布量に分布が生じると、膜厚の制御ができなくなり、画素ライン上における膜厚の分布が生じる。これにより、素子特性のばらつきが発生する。
【0079】
これに対して本実施の形態の表示装置1Eでは、第1親液領域2A
4の幅を、長手方向に沿って徐々に広くするようにした。これにより、インクの塗布量の変化による膜厚の分布が抑えられる。素子特性のばらつきの発生が抑制される。
【0080】
なお、本実施の形態では、第1親液領域2A
4の幅を、長手方向に沿って徐々に広くするようにしたが、これに限らず、ヘッドから吐出されるインクの塗布量の変化に応じて適宜第1撥液領域2A
4の幅を変更すればよい。例えば、塗布開始直後から徐々に塗布量が減少する場合には、本実施の形態における
第1親液領域2A
4の幅の変化とは逆に、第1親液領域2A
4を長手方向い沿って徐々に狭くすることにより、膜厚の分布の発生が抑制される。
【0081】
6.第6の実施の形態
図12は、第6の実施の形態に係る表示装置1Fの表示領域2および周辺領域3の平面構成を表したものである。この表示装置1Fでは、第1撥液領域2B
5を画素の開口に沿った形状、具体的には、画素開口の短手方向を隣り合う第1撥液領域2B
5で断続的に囲うように、画素5との隣接部分が凹状に、非隣接部分が凸状にパターニングされている点が、上記第1〜第5の実施の形態と異なる。
【0082】
図5に示したように撥液層14によって区画された領域にインクを塗布し、溶媒を除去して所望の層(ここでは有機層15)を成膜すると、撥液層14の側壁へインクの液面が濡れ上がり、U字あるいはW字状の膜厚分布が生じる虞がある。このU字あるいはW字状の膜厚分布の中の厚膜部分は発光せず、発光面積が減少する。
【0083】
これに対して本実施の形態の表示装置1Fでは、第1撥液領域2B5の幅を、第1親液領域2A5で区画された画素開口部に対応するように、画素5との隣接部分に凹部8Aを、非隣接部分に凸部8Bを設けるようにした。よって、画素開口部の長辺方向および短辺方向における膜厚が均一に形成され発光面積の減少を低減することが可能となる。なお、画素5の短辺方向に張り出した凸部8Bの形状は、
図12に示したような矩形状に限らず、直角部分に丸みを持たせることでインクの入り込みを向上することができる。
【0084】
7.第7の実施の形態
図13は、第7の実施の形態に係る表示装置1Gの表示領域2および周辺領域3の平面構成の一部を表したものである。この表示装置1Gでは、表示画素を構成する各色の画素5R,5G,5Bごとに第1親液領域2A
6および第1撥液領域2B
6の幅を調整した点が他の実施の形態と異なる。
【0085】
表示装置を構成する有機EL素子の組み合わせとしては、RGBの3色の他に、RGBY(黄色),RGBW(白色),あるいは単色(例えばW)あるいはYYB等の組み合わせが存在する。各色の有機EL素子を構成する正孔注入層15A,正孔輸送層 15B等は各色の最適な光学干渉条件とするべく、各素子ごとに異なる膜厚に形成する必要がある。上記第1〜第6の実施の形態のように、各色の画素5R,5G,5Bラインの区別なく同一幅の第1親液領域および第1撥液領域で各素子ごとに膜厚を調整するためには、インクの濃度を各画素ラインごとに変更する方法がある。この方法では、各画素ラインごとにインクの濃度を調整する設備が新たに必要になると共に、工程中においてインク濃度の変更作業などを要するため、製造効率が大きく低下すると共に、コストも増大するという問題があった。
【0086】
本実施の形態の表示装置1Gでは、各色の画素ラインごとに第1親液領域2A
6および第1撥液領域2B
6の幅を適宜調整するようにしたので、同一濃度のインクおよび条件で塗布を行っても各色に対応した膜厚の層を形成することができる。即ち、製造効率が向上すると共に、コストが低減される。また、各色に対する共通層(例えば正孔注入層15Aおよび正孔輸送層15B)では、ライン上の塗布工程ではなく、スリットコート等の面上塗布構成を用いて一括形成しても所望の膜厚とすることができるため、より製造効率の向上と、コストの低減とを図ることができる。
【0087】
8.第8の実施の形態
図14は、第8の実施の形態に係る表示装置1Hの断面構成を表したものである。この表示装置1Hでは、ライン状に配置された画素5(赤色画素5R,緑色画素5G,青色画素5B)を区分する第1撥液領域
2B7およびインクの塗れ性を向上させるための第1親液領域
2A7を同一材料で形成した点が上記実施の形態と異なる。
【0088】
本実施の形態における第1親液領域2A
7および第1撥液領域2B
7を構成する材料としては、フッ素含有材料が挙げられる。具体的には、例えば、日産化学工業社製NPAR515が挙げられる。上記材料を用いた第1親液領域2A
7および第1撥液領域2B
7の形成方法としては、平坦化層27上にアノード電極12を形成したのち、平坦化層27およびアノード電極12の全面に例えばスリットコート法を用いてフッ素含有材料によるベタ膜を形成する。次いで、
図15(A)に示したようなマトリクス状に配置された各画素5に対応する透過部Pおよび不透過部Iのパターンを有するフォトマスクAを用いて完全露光を行うことによって画素5を個々に区画する隔壁34を形成する。フッ素含有材料によって形成された塗布膜は、撥液性を示すフッ素基が膜表面に並ぶため、塗布膜の表面が撥液性を示し、内部は親水性を示す。即ち、上述した方法によって形成された壁34は、その上面に第1撥液領域2B
7が形成され、露光エッチングによって内部が露出した側面に第1親液領域2A
7が形成される。このように、本実施の形態では同一工程にて第1親液領域2A
7および第1撥液領域2B
7が形成される。なお、第1親液領域2A
7および第1撥液領域2B
7を構成する材料としては、表面が撥液性を有し内部が親液性を有するような膜を形成することが可能な材料であれば、上述したフッ素含有材料以外の材料を用いても構わない。また、上述した隔壁34の形成工程ではベタ膜を形成したのち一度の露光によって隔壁34を形成したが、更に露光工程を追加して隔壁34の形状を加工してもよい。詳細は以下に説明する。
【0089】
図16(A)は表示装置1Iの表示領域の一部を斜視したものであり、
図16(B)は画素5の長辺方向の隔壁34の断面、
図16(C)は画素5の短辺方向の隔壁34の断面をそれぞれ表したものである。この表示装置1Iは、上述した完全露光ののち、再度露光することによって短辺方向に隣接する画素間の隔壁34を加工したものである。具体的には、
図15(A)に示した各画素5に対応するパターンを有するフォトマスクAを用いて完全露光したのち、短辺方向に隣接する画素間に対応する位置に、例えば
図15(B)に示したようなパターンを有するフォトマスクBを用いてハーフ露光を行う。なお、透過部P
1,P
2は数%の透過率を有し、透過部P
1は透過部P
2よりも透過率が低い。このようなフォトマスクBを用いた露光を追加することで、上面に形成された第1撥液領域2Bが除去され、且つ、画素5の長辺方向に形成された隔壁34のテーパ角(θ1,
図16(B))よりも小さいテーパ角(θ2,
図16(C))の隔壁34が形成される。
【0090】
上記表示装置1Hのように、画素5の短辺方向に隣接する隔壁34の上面に撥液領域が形成されている場合にはライン状に塗布したインクの一部が撥液領域2B
7上に溜まり、その後ランダムに前後の画素内に流れ込む。このため、各画素5によって塗布量、即ち有機層15の膜厚にばらつきが生じる虞がある。これに対して、
図16(A)に示した表示装置1Iでは、ハーフ露光によって短辺方向に隣接する画素間の第1撥液領域2B
7が除去され親液性を有するベタ膜内部が露出する。よって、各画素5における膜厚のばらつきを低減することができる。また、
図15(A)のように透過率の異なる透過部P
1,P
2を有するフォトマスクBを用いたハーフ露光を行うことによって先の完全露光によって形成された隔壁34のテーパ面に段差が形成される。この段差を形成することにより露光後のベーク処理によって隔壁34のテーパ角が小さく(θ2)なり、のちに形成する画素間における共通電極であるカソード電極16の段切れが防止される。
【0091】
本実施の形態の表示装置1Hおよび表示装置1Iでは、第1親液領域2A
7および第1撥液領域2B
7を隔壁34として同一材料により形成するようにしたので、同一工程において両領域を形成することが可能となる。よって、上記第1〜第7の実施の形態のように異なる材料を用いて第1親液領域2Aおよび第1撥液領域2Bを形成した場合よりも製造工程が短縮され、製造歩留まりが向上する。
【0092】
9.変形例
図17は、本開示の変形例に係る表示装置1Jの表示領域2および周辺領域3の平面構成を表したものであり、
図18は表示装置1Jの断面構成を表したものである。この表示装置1Jは、ライン状に配置された各画素5(5R,5G,5B)を第1撥液領域2B
8として設けられた隔壁44内に溝44Aを形成し、この溝44Aをカソード電極16と、カソード電極16の接触抵抗を低減する補助配線(第3電極)19とが電気的に接続する接続部Xとしたものである。
【0093】
従来の構成を有する表示装置ではカソード電極は列方向に配設された補助配線と短辺方向に隣接する画素間で接続されている。しかしながら、上記表示装置1(1A〜1I)では、ライン状に配置された各色画素5R,5G,5Bを含む各第1親液領域2Aの全面、即ち、補助配線19上に有機層15となるインクが塗布される。このため、補助配線19とカソード電極16との間には有機層15が介在することとなり、良好な接触は得られないという問題があった。
【0094】
これに対して本変形例では、
図17に示したように下層に補助配線19が形成されている第1撥液領域2B
8である隔壁44に、隔壁44を貫通し補助配線19に達する溝44Aを設けるようにした。これにより、溝44A内においてカソード電極16と補助配線19とが直接接する接続部Xが形成され、良好な接続を確保することが可能となる。この溝44Aは、例えば隔壁44を形成したのちエッチングすることによって形成される。この際に形成される隔壁44のテーパ角(θ)は30°以上40°以下とすることが好ましい。なお、カソード電極16と補助配線19との接続部Xは溝形状に限らない。また、第1撥液領域2B
8の形状は第1の実施の形態のような直線状に限らず、第2〜第7の実施の形態のような形状にも適用できる。以下にその一例を示す。
【0095】
図19は、第6の実施の形態で説明した画素5との隣接部分が凹状に、非隣接部分が凸状にパターニングされた第1撥液領域2B
8の凸部8Bに、カソード電極16と補助配線19との接続部Xを形成した表示装置1Jの平面構成を表したものである。なお、ここでは補助配線は省略している。上述した隔壁44に溝状の接続部Xを設けた場合には、有機層15となるインクが溝44A内に入ることを防ぐため第1撥液領域2B
8、即ち隔壁44の幅を十分に確保する必要がある。しかしながら、
隔壁44の幅を太くすると画素5の開口領域を狭めることになり、開口率が低下すると共にレイアウトが制限される虞がある。
【0096】
これに対して、
図19に示した表示装置1Kでは、第1撥液領域2B
9の凸部
8Bにカソード電極16と補助配線19との接続部Xとして隔壁54を貫通する開口54Aが設けられている。開口54Aの大きさは特に問わない。例えば、
図20に示したように、270μmピッチ、画素5の短辺長を54μm、長辺長を187μm、ライン状の画素5間の間隔(W
1)を82μmとし、第1親液領域2A
9の幅(W
A)を74μm、第1撥液領域2B
9の幅(W
B)を16μmとした場合には、開口54Aの一辺(Lx,Ly)は8μm以上62μm以下に形成することが好ましい。開口54Aが形成されている凸部の間隔(M)は8μm以上62μmとすることが好ましい。なお、開口54Aによって形成される隔壁54のテーパ角(θ3,
図20(B))は、上述した溝44Aにおける隔壁34のテーパ角と同様に30°以上40°以下とすることが好ましい。また、開口54Aの形状はカソード電極16と補助配線19との接触が図れればよく、矩形状に限らず、菱形あるいは楕円を含む円形状としてもよい。このように、カソード電極16と補助配線19との接続部Xを画素5の非隣接部に形成することにより、画素5の開口率を保ちつつカソード電極16と補助配線19との良好な接続を確保することが可能となる。
【0097】
図21は、ライン状に配置された画素5をそれぞれ区分する第1撥液領域2B
10のうち、両端の第1撥液領域2B
10に接続部Xを設けた表示装置
1Lの平面構成を表したものである。上述した表示装置1Jおよび表示装置1Kにおける接続部Xでは、インクの塗れ性、第1撥液領域2Bである
隔壁44の撥液性、インクの塗布量または設計した塗布膜の膜厚等によっては、接続部Xにはみ出すことなく所望のインクを第1親液領域2A内に塗布することが難しい場合がある。
図21に示した表示装置1Lはこの問題を解決するものであり、このように第1撥液領域2B
10である複数の隔壁64のうち、その両端の隔壁64に溝64Aを設け、この溝64Aをカソード電極16と補助配線19との接続部Xとする。これにより、インクの塗布量を制限することなくカソード電極16と補助配線19との良好な接続を確保することが可能となる。
【0098】
以上のように、本変形例では
図17,19,21に示したように第1撥液領域2B
8〜
10内にカソード電極16と補助配線19との接続部Xを設けるようにしたので、有機層15の成膜方法によらずカソード電極16と補助配線19との電気的接続を良好に保つことが可能となる。
【0099】
10.適用例
上記表示装置1A〜1Lは、例えば次の適用例1〜
5に示した電子機器に搭載することができる。
【0100】
(モジュールおよび適用例)
以下、上記第1〜第8実施の形態および変形例で説明した表示装置1A〜1Lの適用例について説明する。上記実施の形態
等の表示装置1A〜1Lは、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
【0101】
(モジュール)
上記実施の形態等の表示装置1A〜1Lは、例えば、
図22に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、基板11の一辺に
、封止用基板30から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、信号線駆動回路120および走査線駆動回路130の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0102】
(適用例1)
図23は、上記実施の形態等の表示装置1A〜1Lが適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300は、上記実施の形態に係る表示装置1A〜1Gにより構成されている。
【0103】
(適用例2)
図24は、上記実施の形態等の表示装置1A〜1Lが適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、その表示部420は、上記実施の形態に係る表示装置1A〜1Gにより構成されている。
【0104】
(適用例3)
図25は、上記実施の形態等の表示装置1A〜1Lが適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、その表示部530は、上記実施の形態に係る表示装置1A〜1Gにより構成されている。
【0105】
(適用例4)
図26は、上記実施の形態等の表示装置1A〜1Lが適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有しており、その表示部640は、上記実施の形態に係る表示装置1A〜1Gにより構成されている。
【0106】
(適用例5)
図27は、上記実施の形態等の表示装置1A〜1Lが適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態に係る表示装置1A〜1Gにより構成されている。
【0107】
以上、第1〜第8の実施の形態および変形例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記第1〜第8の実施の形態および変形例における第1撥液領域2B(2B
1〜2B
10)をそれぞれ組み合わせて用いてもよい。例えば、第5の実施の形態における長手方向に沿って幅の変化する第1撥液領域
2A4に加えて、第4の実施の形態における第1撥液領域
2A3のような拡幅部の一端に狭隘部を形成してもよい。
【0108】
また、上記第1〜第8の実施の形態および変形例では、隔壁を兼ねた第1撥液領域2Bをポリイミドまたはノボラック等の有機材料を用いて形成しているがこれに限らず、上記第8の実施の形態で用いたフッ素含有材料で形成してもよい。
【0109】
また、上記実施の形態等において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件等は限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。例えば、上記第1の実施の形態では、TFT20におけるチャネルとして酸化物半導体を用いたが、これに限らず、シリコンまたは有機半導体等を用いてもよい。
【0110】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)複数の画素と、前記複数の画素の間の少なくとも一部に設けられた複数の第1撥液領域と、隣り合う複数の第1撥液領域の間にそれぞれ設けられた複数の第1親液領域とを有する表示領域と、少なくとも一部に第2親液領域が形成された周辺領域とを備えた、表示装置。
(2)前記複数の画素は格子状に配置されている、前記(1)に記載の表示装置。
(3)前記第1撥液領域は、前記格子状に配置された複数の画素の間を一方向に連続して形成されている、前記(2)に記載の表示装置。
(4)前記第1撥液領域の幅は、長手方向に沿って変化している、前記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の表示装置。
(5)前記第1撥液領域の前記画素に対応した領域に凸部または凹部が形成されている、前記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の表示装置。
(6)前記複数の画素は少なくとも2色に分類され、前記複数の第1撥液領域の間隔は、各色ごとに異なる、前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の表示装置。
(7)前記第1親液領域および前記第2親液領域は連続している、前記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の表示装置。
(8)前記
隣り合う第1撥液領域の一端
に拡幅部を有し、
前記拡幅部に狭隘領域が形成されている、前記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の表示装置。
(9)前記第1親液領域には、少なくとも1以上の有機層が形成されている、前記(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の表示装置。
(10)前記第1親液領域に形成された有機層の表面は親液状態である、前記(9)に記載の表示装置。
(11)前記周辺領域の少なくとも一部に第2撥液領域が形成されている、前記(1)乃至(10)のいずれか1つに記載の表示装置。
(12)前記第2撥液領域は、前記周辺領域に設けられた配線部と前記有機層との間に設けられている、前記(12)に記載の表示装置。
(13)前記第1親液領域および第2親液領域は、それぞれ無機材料よりなる層によって形成され、前記第1撥液領域および第2撥液領域は、プラズマ処理によって撥液化された有機材料よりなる層によって形成されている、前記(12)に記載の表示装置。
(14)前記無機材料は、二酸化ケイ素(SiO
2),炭化ケイ素(SiC),窒化ケイ素(Si
3N
4),インジウム錫酸化物(ITO),インジウム亜鉛酸化物(IZO),アルミニウム(Al),チタン(Ti)またはモリブデン(Mo)である、前記(13)に記載の表示装置。
(15)前記有機材料は、ポリイミドまたはノボラックである、前記(13)に記載の表示装置。
(16)前記画素の周囲にフッ素含有材料からなる隔壁を有すると共に、前記第1撥液領域は前記隔壁の上面であり、前記第1親液領域は前記隔壁の側面である、前記(1)乃至(12)のいずれか1に記載の表示装置。
(17)前記隔壁はテーパ形状を有し、前記画素の長辺方向のテーパ角は前記画素の短辺方向のテーパ角よりも大きい、前記(16)に記載の表示装置。
(18)前記画素は発光層に所定の電圧を印加するための第1電極および第2電極と、前記第2電極の配線抵抗を低減する第3電極とを備え、前記第2電極と第3電極との接続部は前記第1撥液領域内に設けられている、前記(1)〜(17)のいずれか1つに記載の表示装置。
(19)前記接続部は、少なくとも一部の前記第1撥液領域内において一方向に連続して設けられている、前記(18)に記載の表示装置。
(20)前記接続部は、前記第1撥液領域の複数の前記凸部の少なくとも一部に設けられている、前記(18)に記載の表示装置。
(21)表示装置を備え、前記表示装置は、複数の画素と、前記複数の画素の間の少なくとも一部に設けられた複数の第1撥液領域と、隣り合う複数の第1撥液領域の間にそれぞれ設けられた複数の第1親液領域とを有する表示領域と、少なくとも一部に第2親液領域が形成された周辺領域とを有する、電子機器。
【0111】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I,1J,1K,1L…表示装置、2…表示領域、2A…第1親液領域、2B…第1撥液領域、3…周辺領域、3A…第2親液領域、3B…第2撥液領域、4…ビード形成領域、5…画素、6…拡幅部、6A…狭隘領域、7…翼片、10…有機EL素子、12…アノード電極、13…親液層、14…撥液層、15…有機層、16…カソード電極、17…保護層、18…封止基板、19…補助配線、20…TFT、21…ゲート電極、22…第1ゲート絶縁膜、23…第2ゲート絶縁膜、24…酸化物半導体層、25…チャネル保護膜、26…ゲート・ソース電極、27…平坦化層、34,44,54,64…隔壁、44A,64A…溝、54A…開口。