(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重点施療部位が決定された場合、該重点施療部位が決定されない場合に比して全施療時間における前記重点施療部位に対する施療時間比率を高めた施療プログラムが実行される、
ことを特徴とする請求項6に記載の液圧マッサージ装置。
前記重点施療部位が決定された場合、該重点施療部位が決定されない場合に比して前記重点施療部位に対するマッサージパターンが追加された前記施療プログラムが実行される、
ことを特徴とする請求項6に記載の液圧マッサージ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、操作部を見ただけでは、施療プログラムとマッサージ部位との対応関係は、分かり難いため、マッサージ施療介添者は、マッサージ受療者に対して1〜2種類程度の特定施療プログラムを用いて施療を繰り返し行っているのが大半であり、各マッサージ受療者が施療を本当に所望する部位に液体を噴射して施療を施すことができていないという問題点を有していた。
【0006】
また、マッサージ受療者の症状によっては、肩の凝りを解すため、肩を集中的に施療したり、あるいは、腰や脚のだるさを解消するため腰や脚を集中的に施療してほしいという場合があるが、従来の液圧マッサージ装置では、このような個々のマッサージ受療者の施療の要望に十分に応えることはできず、満足感が得られ難いものであった。
【0007】
また、マッサージ受療者によっては、身体の一部位に痛みを有している等の理由でその部位を除いてマッサージを受けたいという要求があるが、従来の施療部位の選択方法では、マッサージ対象から除きたい部位を考慮した上でマッサージを受けたい部位だけを部分的に選択し施療することは不可能であったため、マッサージ自体を断念しなければならないこともあった。
【0008】
また、マッサージ施療介添者が液圧マッサージ装置内に用意された施療プログラムを適宜組み合わせてオリジナルな施療プログラムを作成することも可能とされていたが、作成手順が非常に複雑であり、しかも、マッサージ施療介添者は総じて多忙であることが多く、マッサージ受療者ごとにオリジナルな施療プログラムを作成して施療を施しているマッサージ施療介添者は極く少数であるのが現状であった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、マッサージ受療者が本当に所望する施療部位に適切にかつ確実に液体を噴射して、手技動作に似た施療を与えることができ、しかも、煩雑なプログラムの作成手順をマッサージ施療介添者に強いることがない液圧マッサージ装置を提供することを目的している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る本発明は、液槽内にマッサージ受療者の身長方向および肩幅方向に移動可能な噴射口を設け、前記噴射口から液体を噴射させて施療を行う液圧マッサージ装置であって、前記噴射口を有する4個の噴射部が共に移動するように構成され、前記液体を噴射させる前記噴射口の数を切り替える
1個の噴射口数切替手段を備え、
前記噴射口数切替手段は、前記液体を噴射させる前記噴射口を有する前記噴射部の数を2個または4個のいずれかに切り替える手段であり、複数個の施療部位を設定したうえで、前記マッサージ受療者またはマッサージ施療介添者による前記施療部位の選択入力に基づいて当該選択入力された施療部位を組み合わせて前記マッサージ受療者に対応した施療部位を決定することができる施療部位決定部と、前記施療部位決定部により決定された施療部位に前記噴射口を移動させて該施療部位に対して予め記憶されている施療プログラムを実行させる制御部と、を具備したことを特徴とする液圧マッサージ装置である。
【0011】
本発明によれば、マッサージ受療者またはマッサージ施療介添者による施療部位の選択入力を受けて、当該選択入力された施療部位を自在に組み合わせて独自の施療部位を決定することができるので、マッサージ受療者が所望する部位に適切かつ確実に噴射し、手技動作に似たマッサージを受けることができ、マッサージ受療者ごとに満足感が得られるマッサージを施すことが可能となる。また、マッサージ施療介添者等がマッサージ受療者からマッサージを受けたい施療部位を個別に聞き出し、その施療部位を任意選択するだけで、独自の施療部位を決定することができるので、マッサージ受療者ごとの症状に合致したマッサージを付与することができ、マッサージ効果を向上させることが可能となる。例えば、マッサージ受療者によっては、身体の一部位に痛みを有している等の理由でその部位を除いてマッサージを受けたいという要求があるが、このようなマッサージ受療者の施療要望にも応えることが可能となる。
【0012】
請求項2の態様は、前記マッサージ受療者の首から脚までの範囲を4個ないし6個に分けて前記施療部位が設定される。この態様では、施療部位が人体の首から脚までの範囲内で4個ないし6個の部位に分けられるので、これら部位からマッサージ受療者の症状に応じて部位を適宜組み合わせ、きめ細かに施療部位を決定することができる。
【0013】
請求項3の態様は、操作パネル部を有し、前記施療部位決定部は、前記操作パネル部に設けられる。この態様では、施療部位決定部が操作パネル部に設けられるので、マッサージ施療介添者は操作パネル部を操作しながら施療部位を決定することができる。なお、この操作パネル部は、液圧マッサージ装置に設置したタイプも、リモコンのタイプも含む。
【0014】
請求項4の態様は、前記施療部位が、前記操作パネル部に図柄および/または文字で視覚的に表示される。この態様では、施療部位が操作パネル部に図柄および/または文字で視覚的に表示されるので、液圧マッサージ装置の操作に不慣れなマッサージ施療介添者等であっても、施療部位の選択がし易いものとなり、マッサージ施療介添者等にとって使用し易いユーザインタフェースを提供することが可能となる。
【0015】
請求項5の態様は、前記操作パネル部において、前記施療中の施療部位を視覚的に認識可能とする。この態様では、マッサージ施療介添者等は現在、どの施療部位を施療しているのかが一目で視認することができる。
【0016】
請求項6の態様は、前記施療部位決定部において、前記選択された施療部位の中からさらに重点的に施療する少なくとも1つ以上の重点施療部位を任意に決定できる。この態様では、選択された施療部位の中で重点的に施療を受けたい重点施療部位を有するマッサージ受療者に対し、当該部位を重点的にマッサージすることができるので、より満足感が得られるマッサージを付与することができる。
【0017】
請求項7の態様は、前記重点施療部位が決定された場合、該重点施療部位が決定されない場合に比して全施療時間における前記重点施療部位に対する施療時間比率を高めた施療プログラムが実行される。この態様では、重点施療部位に対して、全施療時間における前記重点施療部位に対する施療時間比率を高めた施療プログラムを実行するので、重点施療部位を集中的に施療することができる。
【0018】
請求項8の態様は、前記重点施療部位が決定された場合、該重点施療部位が決定されない場合に比して前記重点施療部位に対する施療パターンが追加された前記施療プログラムが実行される。この態様では、重点施療部位に対するマッサージパターンが追加された施療プログラムを実行することにより、マッサージ慣れやマンネリ化を防止し、重点施療部位に対してより効果的な施療を施すことができる。
【0019】
請求項9の態様は、1つの選択入力で、非選択状態の複数の施療部位を同時に選択状態にできるようにする。この態様では、非選択状態の施療部位を1つずつ選択状態にしなくてよいので、施療部位の選択操作が煩わしくなく簡便で操作性に優れたものとなる。
【0020】
請求項10の態様は、1つの選択入力で、選択済みの前記施療部位の全てを同時に非選択状態にできるようにする。この態様では、選択状態の施療部位を1つずつ非選択状態にしなくてよいので、施療部位を非選択状態にする操作が煩わしくなく簡便で操作性に優れたものとなる。
【0021】
請求項11の態様は、前記噴射口が、移動通過して描かれる軌跡の前記肩幅方向における幅を前記操作パネル部で調整可能にする。この態様では、マッサージ受療者の体格(横幅)に応じて噴射口が移動通過して描かれる軌跡の幅を調整できるので、マッサージ受療者が本当に所望する部位に適切かつ確実に液体を噴射することができ、マッサージ受療者ごとに満足感の得られるマッサージを施すことが可能となる。
【0022】
請求項12の態様は、各種設定画面を表示するパネル面の向きが任意に調整可能なように当該装置に設置された操作パネル部である。この態様では、マッサージ施療介添者、マッサージ受療者のいずれもが操作し易いように操作パネル部の向きや位置を設定できて便利である。
【0023】
請求項13の態様は、前記操作パネル部をタッチパネル方式としている。この態様では、操作パネル部の画面に直接触れて施療部位の選択入力などの操作ができるので、液圧マッサージ装置に不慣れなマッサージ施療介添者であっても直感的で簡単に操作が行えるようになる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の液圧マッサージ装置によれば、マッサージ受療者が本当に所望する施療部位に適切かつ確実に液体を噴射して、手技動作に似た施療を与えることができ、しかも、煩雑なプログラムの作成手順をマッサージ施療介添者に強いることがない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る液圧マッサージ装置を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る液圧マッサージ装置の一部を切欠いて示す概略平面図である。
図2は、
図1のA−A線断面図である。
図3は、同液圧マッサージ装置の回路ブロック図である。
【0027】
図1および
図2を参照して、液圧マッサージ装置100には、第1〜第4の噴射部3A〜3Dを有する。第1〜第4の噴射部3A〜3Dは、噴射口22A〜22Dをそれぞれ有する。これら各噴射口22A〜22Dを備えた第1〜第4の噴射部3A〜3Dは、移動台車2に搭載されている。移動台車2は、台車移動機構7により液槽1の長辺方向に移動することができる。移動台車2の移動と共に第1〜第4の噴射部3A〜3Dそれぞれの各噴射口22A〜22Dは移動することができる。各噴射口22A〜22Dは、移動台車2の移動と共にマッサージ受療者の身長方向に移動できると共に、後述する機構(回転駆動機構)によりマッサージ受療者の肩幅方向に回転移動できるようになっている。
【0028】
液槽1は、その上面に開口1aを有して水等の液体Qが貯留される。ケーシング8は、液槽1の側面を覆っている。
【0029】
移動台車2は、液槽1の長辺方向1bに沿って水平移動可能となっている(
図1参照)。
【0030】
第1〜第4の噴射部3A〜3Dは、液体Qを噴射液Bとして液槽底部側から開口1aに向かって噴射する。噴射液供給部4は、第1〜第4の噴射部3A〜3Dに噴射液Bを供給している。
【0031】
可撓性シート5は、開口1aを覆って取り付けられ、マッサージ受療者が座臥状態で乗込可能となっている。
【0032】
噴射液供給部4は、噴射液発生部12と、台車内流路26とを備えている。噴射液発生部12は、吸液ポンプ部13と曲折配管14(14a,14b)とを備えている。吸液ポンプ部13は、液槽1から液体Qを吸液して噴射液Bにして圧送する。曲折配管14a,14bは、吸液ポンプ部13によって吸液された噴射液Bを、移動台車2まで圧送する。
【0033】
台車内流路26は、移動台車2の底部2bに設けられる。台車内流路26は、移動台車2の底部2bを液密に封止することで形成される。台車内流路26は、曲折配管14a,14bに連通接続される。
【0034】
第1〜第4の噴射部3A〜3Dは、移動台車2に装着される。第1の噴射部3Aと第2の噴射部3Bとは互いに連動する。第3の噴射部3Cと第4の噴射部3Dとは互いに連動する。第1〜第4の噴射部3A〜3Dは、それぞれ、第1〜第4の噴射軸部20A〜20Dと、第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dと、噴射ノズル22A〜22Dとを、それぞれ、備える。
【0035】
第1〜第4の噴射軸部20A〜20Dは、軸心を垂直にして移動台車2上に据え付け配置される。具体的には、第1〜第4の噴射軸部20A〜20Dは、台車内流路26の天井面26aに立設配置されている。ここで、第1、第2の噴射軸部20A、20Bはその対向方向αを液槽1の長辺方向1bと直交する向きにして配列されている。同様に第3、第4の噴射軸部20C、20Dはその対向方向αを液槽1の長辺方向1bと直交する向きにして配列されている。
【0036】
第1の噴射軸部20Aの外周側には第1の回転筒18Aが第1の噴射軸部20Aと同軸に外嵌配置されている。第1の回転筒18Aは、両端にある軸受19を介して第1の噴射軸部20Aに対して同軸でかつ相対回転可能に装着されている。同様に、第2〜第4の噴射軸部20B〜20Dの外周側には第2〜第4の回転筒18B〜18Dが、軸受19を介して第2〜第4の噴射軸部20B〜20Dと同軸にかつ相対回転可能に外嵌配置されている。第1の回転筒18Aの上端には第1の連結ギア23Aが回転一体に取り付けられる。同様に第2〜第4の回転筒18B〜18Dの上端には第2〜第4の連結ギア23B〜23Dが回転一体に取り付けられる。
【0037】
第1の連結ギア23Aと第2の連結ギア23Bとは互いに噛合して連動連結する。同様に、第3の連結ギア23Cと第4の連結ギア23Dとは互いに噛合して連動連結する。
【0038】
第1の噴射部本体21Aは、第1の連結ギア23Aと回転一体に取り付けられる。同様に、第2〜第4の噴射部本体21B〜21Dは第2〜第4の連結ギア23B〜23Dと回転一体に取り付けられる。
【0039】
噴射ノズル22A〜22Dは、第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dの上面に装着される。噴射ノズル22A〜22Dは、液体Qを噴射液Bとして液槽1の底部から開口1aに向かって噴射する機能を有する。
【0040】
第1〜第4の噴射軸部20A〜20Dの内部には、その軸方向両端にわたって軸内流路20Aa〜20Daが形成される。第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dの内部には、噴射部内流路21Aa〜21Daが形成される。
【0041】
軸内流路20Aa〜20Daの下端は台車内流路26に連通する。軸内流路20Aa〜20Daの上端は噴射部内流路21Aa〜21Daに連通する。噴射部内流路21Aa〜21Daは、噴射ノズル22A〜22Dに連通接続される。これにより、噴射ノズル22A〜22Dは、噴射部内流路21Aa〜21Daと軸内流路20Aa〜20Daとを介して台車内流路26に流路連通する。
【0042】
第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dの下面には、第1〜第4の連結ギア23A〜23Dが形成される。第1の連結ギア23Aと第2の連結ギア23Bとは互いに噛合して連動連結する。第3の連結ギア23Cと第4の連結ギア23Dとは互いに噛合して連動連結する。
【0043】
第1の回転筒18Aの周面には、ねじ歯車からなる第1の受動ギア24Aが形成されている。第1の受動ギア24Aには、第1のねじギア25Aが噛合して連動連結している。第1のねじギア25Aは、第1のナット30Aの外周面に形成されている。第1のナット30Aは、軸9にスライド移動可能に挿通されている。
【0044】
第3の回転筒18Cの周面には、ねじギアからなる第2の受動ギア24Bが形成されている。第2の受動ギア24Bには、第2のねじギア25Bが噛合して連動連結している。第2のねじギア25Bは、第2のナット30Bの外周面に形成されている。第2のナット30Bは、第1のナット30Aと同様、軸9にスライド移動可能に挿通されている。
【0045】
移動台車2を移動させる台車移動機構7は、軸9と、チェーン駆動部10と、回転駆動部11と、を備えている。軸9は、液槽1の底部上を長辺方向1bに沿って水平配置されている。回転駆動部11は、液槽1外に配備されている。
【0046】
軸9は、移動台車2を長辺方向1bに沿って直線反復移動可能に案内する。移動台車2の上部には、第1、第2の受動ギア24A、24Bと、第1、第2のナット30A,30Bそれぞれの第1、第2のねじギア25A、25Bとが設けられている。第1、第2の受動ギア24A、24Cを有する第1、第3の回転筒18A、18Cは、軸心を垂直にして相対回転可能に移動台車2上に据え付け配置されている。
【0047】
第1、第2のナット30A,30Bは、軸9に沿って直線移動可能である。チェーン駆動部10は、駆動モータ10aと、駆動ギア10bと、従動ギア10cと、チェーン10dと、を備えている。駆動ギア10bは、駆動モータ10aにより回転駆動される。チェーン10dは、駆動ギア10bと従動ギア10cとの間に架け渡されており、チェーン10dの両端は、移動台車2に連結されている。駆動モータ10aにより駆動ギア10bが回転すると、チェーン10dが移動して、移動台車2が移動する。
【0048】
次に以上の構成を備えたマッサージ装置100の動作を説明する。マッサージ装置100の動作を開始するスイッチをオンにすると、吸液ポンプ部13が駆動して液槽1から液体Qを吸液し、吸液した液体Qを加圧して噴射液Bにし、さらにこのようにして発生させた噴射液Bを曲折配管14a,14bを介して移動台車2の台車内流路26に圧送する。
【0049】
台車内流路26に圧送された噴射液Bは、軸内流路20Aa〜20Daと噴射部内流路21Aa〜21Daを経て、第1〜第4の噴射部3A〜3Dの噴射ノズル22A〜22Dまでさらに圧送される。
【0050】
各噴射ノズル22A〜22Dは、圧送されてきた噴射液Bを開口1aに向かって液槽1内の液体Qに噴射する。噴射された噴射液Bは、可撓性シート5の裏面に突き当たったうえで液槽1内の液体Q中に拡散する。
【0051】
以上の噴射液Bの噴射を行いながら、チェーン駆動部10の駆動モータ10aが任意に正逆回転することで、移動台車2が長辺方向1bに沿って反復直線移動する。
【0052】
これにより、移動台車2に装着されている第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dの噴射ノズル22A〜22Dが反復直線移動する。
【0053】
この状態で、回転駆動部11が、軸9を正逆回転駆動することで、軸9によって第1、第2のナット30A,30B(第1、第2のねじギア25A,25B)が正逆回転される。
【0054】
すると、第1、第2のねじギア25A、25Bに連結された第1、第2の受動ギア24A、24Bが回転駆動され、第1、第3の回転筒18A,18Cが回転する。これに伴い、第1、第3の連結ギア23A,23Cおよび第1、第3の噴射部本体21A,21Cが回転し、さらに第1、第3の連結ギア23A、23Cに連結している第2、第4の連結ギア23B、23Dおよび第2、第4の噴射部本体21B,21Dが回転する。そして、第1、第3の噴射部本体21A,21Cと第2、第4の噴射部本体21B,21Dは、互いに逆方向に回転し、これに伴い、第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dの噴射ノズル22A〜22Dは、噴射液Bを噴射しつつ長辺方向1bに沿って複雑な移動軌跡を描きながら、液槽1内を移動する。
【0055】
このとき、第1、第3の回転筒18A、18Cと第2、第4の回転筒18B、18Dとは互いに逆方向に回転し、これにより第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dが回転し、さらに第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dに装着されている噴射ノズル22A〜22Dが第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dの軸心を中心にして回動する。以上の回転駆動機構により噴射ノズル22A〜22Dが回転駆動される。
【0056】
図1に示すように、操作パネル部30は、液圧マッサージ装置100の長辺方向一方側にマッサージ施療介添者あるいはマッサージ受療者が操作可能な位置に配置される。
【0057】
操作パネル部30は、マッサージ部位の選択や噴射口の移動パターンなどのマッサージ条件の設定を行うなど、後述する設定画面で各種設定を行うことができるようになっている。
【0058】
操作パネル30はまた、後述する各種設定画面を表示するパネル面を備え、そのパネル面の向きが任意に調整可能なように当該装置に設置される。
【0059】
さらに、操作パネル30の配置位置は、液圧マッサージ装置100上面の四隅のいずれかの位置に変更可能であり、ボルト等で液圧マッサージ装置100に対して固定できるようになっている。操作パネル30の画面表示方式は、液晶表示方式でもよいし、Electro Luminescence(エレクトロ・ルミネセンス)など、その他の表示方式でもよい。
【0060】
また、操作パネル30は、液圧マッサージ装置100に設置するタイプとしたが、操作パネル30を設置すると共に、リモコン方式の操作パネル部を配備し、マッサージ施療介添者が液圧マッサージ装置100から離れた位置からでも操作できるようにしてもよい。
【0061】
図3を参照して、液圧マッサージ装置100は、各種設定画面での設定など、各種の施療プログラム(マッサージプログラム)が格納されている施療プログラムメモリ31と、操作パネル30のタッチ操作に対応した制御を行うための操作制御部32と、前記操作パネル30の各種画面の表示を制御する表示制御部33と、台車移動機構7やその他の各部機構部37の動作を制御する機構制御部34と、液圧マッサージ装置100のシステム制御のためのシステム制御プログラムが格納されているシステムメモリ35と、制御プログラムに従い装置全体を制御する、CPUからなる主制御部36を備える。
【0062】
台車移動機構7及び上記回転駆動機構による第1〜第4の噴射部3A〜3Dの移動及び回動を適宜制御することにより、
図4〜5に例示するように、噴射口22A〜22Dが、移動通過して描かれる軌跡において、肩幅方向(横幅方向)の幅を変化させることが可能となっている。
図4は、施療タイプが回転系の場合であり、施療プログラムメモリ31から読み込んだ施療パターンのタイプが、回転系の場合、
図4のように噴射口22A〜22Dの移動軌跡の幅は、拡張、縮小する。
図4は、移動軌跡の幅の拡張、縮小が10mmの場合であり、例えば、「狭め」が指示された場合は移動軌跡の幅を内側へ縮小し、「広め」が指示された場合は移動軌跡の幅を外側へ拡張する。上記回動駆動機構で噴射口22A〜22Dを適宜回転させながら台車移動機構7により噴射口22A〜22Dを長辺方向1bに移動させることで
図4のような噴射口22A〜22Dの移動軌跡を実現できる。
【0063】
図5は、施療タイプが非回転系の場合であり、施療プログラムメモリ31から読み込んだ施療パターンのタイプが、非回転系の場合、
図5のように噴射口22A〜22Dの移動軌跡の幅は、拡張、縮小する。
図5は、移動軌跡の幅の拡張、縮小が10mmの場合であり、例えば、「狭め」が指示された場合はピッチを内側へ縮小し、「広め」が指示された場合はピッチを外側へ拡張する。噴射口22A〜22Dの回動を所定位置で停止した状態で台車移動機構7により噴射口22A〜22Dを長辺方向1bに移動させることで
図5のような移動軌跡を実現できる。
【0064】
図6以降を参照して、マッサージ受療者を施療するため、操作パネル30における各種の設定画面を説明する。
図6は、「メイン設定画面」、
図7は、「部位設定画面」、
図8は、「強さ設定画面」、
図9は、「体格設定画面」、
図10は、「時間設定画面」である。これら設定画面は、操作パネル30のパネル面に表示されるものであり、その設定画面による設定操作(選択入力)は、マッサージ施療介添者やマッサージ受療者等の手指等によるタッチ操作により行われる。なお、これら操作パネル30の各タッチ操作のための画面はカラー表示であり、マッサージ施療介添者やマッサージ受療者等は、スイッチの選択や非選択等のタッチ操作を、そのカラーを変化させることで視覚的に認識して行うことができるようになっている。
【0065】
図6の「メイン設定画面」は、本画面として最も利用される画面であり、特に変更が無ければ開始スイッチS1のタッチ操作で施療開始となる。
図6の「メイン設定画面」は、画面中の左上部に「部位」という文字と画面の左半分に描かれた人体背部の図柄とが表示された、
図7の「部位設定画面」に切り替えるためのタッチ操作領域(部位設定画面切り替え用スイッチ)S2と、画面中の右上部の「強さ」という文字とそれに対応する図柄とが表示された
図8の「強さ設定画面」に切り替えるためのタッチ操作領域(強さ設定画面切り替え用スイッチ)S3と、画面中の右中央の「体格」という文字とそれに対応する図柄とが表示された
図9の「体格設定画面」に切り替えるためのタッチ操作領域(体格設定画面切り替え用スイッチ)S4と、画面中右下方の「時間」という文字とそれに対応する図柄とが表示された
図10の「時間設定画面」に切り替えるためのタッチ操作領域(時間設定画面切り替え用スイッチ)S5と、「設定」という文字が表示され、タッチ操作で「設定」が行えるタッチ操作領域S6と、を有する。
【0066】
図7の「部位設定画面」は、
図6の「メイン設定画面」から「部位」の文字の表示領域がタッチ操作されることにより、「メイン設定画面」から切り替わって表示される画面である。この「部位設定画面」には、首、肩、背中、腰、脚の各部を個別に施療部位として選択入力できるタッチ操作領域S2a〜S2eと、全5部位(全身)を施療部位として一度に選択入力できるタッチ操作領域S7と、前記タッチ操作領域S1、および「戻る」という文字が表示され、タッチ操作されると、前画面に戻るタッチ操作領域S8と、がある。
【0067】
タッチ操作領域S2a〜S2eはタッチ操作されることで、「非選択」−「選択」−「重視」というループとなる。「全身」の文字のタッチ操作領域S7はタッチ操作されることで、全身を施療部位として選択入力する状態となり、もう一度タッチ操作されることで、「非選択」の状態となる。こうした各操作領域S2a〜S2e,S7の選択入力に基づいて施療部位を任意に決定することができる。また、施療時間は、
図6の「メイン設定画面」からか、あるいは
図10の「時間設定画面」から決定できるようにしてよい。「戻る」のタッチ操作領域S8がタッチ操作されると、変更内容を有効として
図6の「メイン設定画面」へ戻る。「戻る」のタッチ操作領域S8におけるタッチ操作は、以下の画面でも同様である。
【0068】
本実施形態の液圧マッサージ装置は、マッサージ受療者に対して噴射口2a〜2dから液体を噴射させて施療するにあたり、
図7の「部位設定画面」において、首、肩、背中、腰、脚のタッチ操作領域S2a〜S2eのようにマッサージ受療者の施療部位を複数個に分け、マッサージ受療者やマッサージ施療介添え者が施療部位を任意に選択入力した結果に基づいて、マッサージ受療者に対応させて自在に組み合わせて独自の施療部位を決定することができる。これら各部のタッチ操作領域S2a〜S2eと全身のタッチ操作領域S7は、施療部位決定部を構成する。これら施療部位決定部に対するタッチ操作(選択入力)に基づいて施療部位が決定される。
【0069】
主制御部26は、前記決定された施療部位に噴射口22A〜22Dを移動させると共に、その移動した位置から噴射口22A〜22Dを回動させて該決定された施療部位に対して予め施療プログラムメモリ21に記憶されている施療プログラムに従い、各制御部32,33,34を制御して施療をマッサージ受療者に対応して自在に実行することができるようになっている。
【0070】
なお、施療部位は、本実施形態では、
図7のタッチ操作領域S2a〜S2eに示すように首、肩、背中、腰、脚の5個部位であるが、これに限定されず、例えば人体の首、肩〜背中、腰、脚の4個部位にわけてもよいし、あるいは首、肩、背中、腰、臀部、脚の6個部位に分けてもよい。
【0071】
また、「部位設定画面」では、これら施療部位は、
図6や
図7の画面上で図柄と文字とで視覚的に表示され、マッサージ施療介添者やマッサージ受療者等が視覚的に認識できるようになっている。
【0072】
なお、「部位設定画面」では、各施療部位決定部であるタッチ操作領域S2a〜S2eを個別に操作することで、施療部位を任意に選択して入力することができることに加えて、これら文字が表示されている領域をスイッチとして押し操作すると、非選択−選択−重視というループとなるようにしている。そして、「重視」にしたときは、各施療部位決定部において、選択入力された施療部位の中からさらに重点的に施療する重点施療部位を任意に決定できる操作としている。施療部位の選択箇所が多い場合、例えば4個部位を選択するような場合は、タッチ操作領域S2a〜S2eを個々に操作し4個部位を選択しても勿論構わないが、タッチ操作領域S7をまず操作し、全身の5個部位を選択した後、施療の不要な一個の部位のタッチ操作領域を操作して、当該部位を非選択状態にしてもよい。
【0073】
この重点施療部位が決定された場合には、該重点施療部位が決定されない場合に比して全施療時間における施療時間比率を高めた施療プログラムが実行されるようにしたり、あるいは、該重点施療部位が決定されない場合に比して前記重点施療部位に対するマッサージパターンが追加された施療プログラムが実行されるようになっている。
【0074】
図8の「強さ設定画面」は、タッチ操作領域S9,S10をタッチ操作することによりマッサージ強さを設定することができる画面であり、
図6の「メイン設定画面」の「強さ」の文字のタッチ操作領域S3がタッチ操作されることにより、「メイン設定画面」から切り替わって表示される画面である。この「強さ設定画面」では、4つの噴射口2a〜2dのうち、4つを選択する「4ノズル画面」と、2つを選択する「2ノズル画面」とに切り替えることができる。例えば、「4ノズル画面」で強さ4を設定すると、「2ノズル画面」での強さも4に設定されるようになっている。尚、それぞれの画面で個別に噴射の強さを設定できるようにしてもよい。この場合、この「強さ設定画面」でも視覚的にマッサージ強度の設定が分かり易いユーザーインターフェースとなっている。「戻る」の文字のタッチ操作領域S8が押された場合は、変更内容を有効とし「メイン設定画面」へ戻る。
【0075】
図9の「体格設定画面」は、体格を設定する画面であり、
図6の「メイン設定画面」の「体格」の文字のタッチ操作領域S4が操作されることにより、「メイン設定画面」から切り替わって表示される画面である。「体格設定画面」では、マッサージ受療者の身長設定を140cm〜180cmまでの範囲で5cm単位で設定可能である。それぞれの身長の文字が表示されたタッチ操作領域S11a,S11b,…,S11iまでを個別にタッチ操作するとよい。横幅設定は、「肩幅」と表示されたタッチ操作領域のうち、「S」の文字が表示されたタッチ操作領域S12a、「M」の文字が表示されたタッチ操作領域S12b、「L」の文字が表示されたタッチ操作領域S12cの都合、3種類の設定が可能である。身長と横幅設定は個別に可能である。本画面からも直接施療開始可能である。「戻る」の文字のタッチ操作領域S8がタッチ操作されると、変更内容を有効とし、
図6の「メイン設定画面」へ戻る。
【0076】
このように
図9の「体格設定画面」では、マッサージ受療者の体格に応じて、噴射口からの噴射方向を狭め(S:small)、標準(M:medium)、広め(L:large)の3種類の幅を任意に設定できる。すなわち、噴射口2a〜2dが、移動通過して描かれる軌跡において、肩幅方向(横幅方向)の幅を操作パネル30で調整することができる。
【0077】
図10の「時間設定画面」は、施療時間を設定する画面であり、
図6の「メイン設定画面」の「時間」の文字のタッチ操作領域S5がタッチ操作されることにより、「メイン設定画面」から切り替わって表示される画面である。「時間設定画面」により1〜99分まで、1分単位で各施療部位の施療時間を任意に設定できる。この「1」〜「0」までのタッチ操作領域S13a,S13b,…,S13jのタッチ操作の組み合わせで1〜99分まで、1分単位で施療時間を設定することができる。「C」の文字が表示されたタッチ操作領域S13kは、前記設定をクリアするためのタッチ操作領域である。
【0078】
また、本実施形態では、
図11に示すように、第1〜第4の噴射部3A〜3Dそれぞれは、液槽1の短辺方向の第1、第2の噴射部3A,3Bで二つ一対、第3、第4の噴射部3C,3Dで二つ一対でそれぞれ一組とされ、かつ、液槽1の長辺方向にわたってこれら第1、第2の噴射部3A,3Bの一組、第3、第4の噴射部3C,3Dの一組が長辺方向に二組設けられている。
【0079】
そのため、第1〜第4の噴射ノズル22A〜22Dの数を第1、第2の噴射部3A,3Bの一組または第3、第4の噴射部3C,3Dの一組あるいは、第1、第2の噴射部3A,3Bと第3、第4の噴射部3C,3Dとの二組のいずれかに切り替える噴射部切替手段を備える。この噴射部切替手段は、噴射ノズル(噴射口)の数を2つにするか、4つにするかを切り替える噴射口数切替手段と称することもできる。
【0080】
すなわち、吸液ポンプ部13は、液体Qの吸込口13aから液体Qを吸い込んで噴射液Bとしたうえで、2つの吐出口13b,13cから曲折配管14a,14bを介して噴射部3A〜3Dに噴射液Bを吐出する。その際、例えば一方の曲折配管14bの途中に電磁弁40を前記噴射部切替手段として設ける。尚、噴射部切替手段として、電磁弁でなく、電動弁を用いてもよい。
【0081】
第1〜第4の噴射部3A〜3Dの噴射ノズル22A〜22Dの数を2つとする場合は、電磁弁40を閉じると、第3、第4の噴射部3C,3Dの噴射ノズル22C,22Dの一組から噴射液Bの噴射が行われる。噴射ノズル22A〜22Dの数を4つとする場合は、電磁弁40を開くと、第1〜第4の噴射部3A〜3Dの噴射ノズル22A〜22Dの二組から噴射液Bの噴射が行われる。こうすることにより、例えば、肩や背中の面積が広い部位(筋肉)をマッサージするときは、二組の噴射ノズル22A〜22Dから同時に噴射液Bを噴射することで、施療時間の短縮化になり効率的なマッサージが実現できる。逆に、首などの狭い部位をマッサージするときは一組の噴射ノズル22C,22Dに切り替え絞ることで施療対象の部位に対してピンポイントに噴射液Bを噴射してマッサージをすることができ、不必要な部位にまで噴射液Bを噴射しマッサージ受療者に不快感を与えるという好ましくない状況を防止することができる。
【0082】
本実施形態の液圧マッサージ装置は、マッサージ受療者またはマッサージ施療介添者による施療部位の選択入力に基づいて施療部位を自在に組み合わせて独自の施療部位を決定することができる装置であるので、マッサージ受療者が所望する施療部位に適切かつ確実に噴射し、手技動作に似たマッサージを与えることができ、マッサージ受療者ごとに満足感が得られる施療を施すことが可能となる。また、マッサージ施療介添者等がマッサージ受療者から所望する施療部位を個別に聞き出し、その施療部位を任意選択入力するだけで、独自の施療部位を決定することができるので、マッサージ受療者ごとの症状に合致した施療を施すことができ、施療効果を向上させることができる。