【実施例】
【0119】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0120】
本発明の荷電制御剤(荷電制御樹脂)について、その有効成分である共重合体の合成と共に実施例に示し、本発明の適用外である重合体を用いた荷電制御剤について比較例に示す。
【0121】
(実施例1)
1−(1) 単量体の合成(式(A1)に示すビニルベンジルオキシ基含有化合物)
p−ヒドロキシ安息香酸100.0gをメタノール710mLに溶解させ、炭酸カリウム147.8gを加えて67℃に加熱した。この反応液に4−(クロロメチル)スチレン113.8gを21分間で滴下し、67℃にて12時間反応させた。この反応液を冷却後、減圧下メタノールを留去し、ヘキサンにて洗浄した。濾過後、残渣をpH=2の水1.5Lに分散させ、酢酸エチルを加えて抽出した。その後、水洗し、酢酸エチル層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下、酢酸エチルを留去して析出物を得た。その後、メタノールに溶解させ水に滴下し、再沈殿させ析出物を濾過した。この再沈殿操作を2回繰り返し、残渣を80℃にて48時間乾燥させ、スチレン誘導体(A1)63.5gを得た(収率=35.2%)。
【0122】
【化27】
【0123】
得られたスチレン誘導体(A1)の純度を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC 株式会社島津製作所製 検出器:SPD−M20A、カラムオーブン:CTO−20A、ポンプ:LC−20AT、デガッサー:DGU−20A
3)により、以下の測定条件にて測定を行い、純度94.6%を確認した。
HPLC測定条件:サンプル3mgをテトラヒドロフラン(THF)10mLに溶解させ、30分超音波し、ポア径が0.5μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定した。
カラム:L−Column ODS (4.6×250mm)、カラムオーブン温度:40℃、流速:1.0mL/分、試料注入量:3μL、検出波長:254nm、
溶離液−(1):THF:0.05M−CH
3COONH
4水溶液=4:6
溶離液−(2):THF:0.05M−CH
3COONH
4水溶液=6:4
溶離液−(1):溶離液−(2)=100:0→(20分)→0:100
【0124】
得られたスチレン誘導体(A1)について、
1H−核磁気共鳴装置(NMR 日本電子株式会社製 FT−NMR JNM−AL300)を用い、共鳴周波数:300MHz、測定核種:
1H、使用溶媒:重DMSO、測定温度:室温の条件で測定した。
1H−NMRスペクトルデータは、下記の通りであり、前記化学式(A1)で示す構造を支持する。
1H−NMRの測定結果を
図1に示す。
δ(ppm)=5.17(2H、s、−CH
2−)、5.26(1H、d、C−H)、5.83(1H、d、C−H)、6.73(1H、d−d、−CH=)、7.08(2H、d、Ar−H)、7.45(4H、d−d、Ar−H)、7.87(2H、d、Ar−H)。
前記
1H−NMRにおいて、5.17ppm(2H、s、−CH
2−)のプロトンに照射したところ、7.08(2H、d、Ar−H)の芳香族プロトンに13.5%の核オーバーハウザー効果(NOE)が観測された。NOEの測定結果を
図2に示す。
【0125】
得られたスチレン誘導体(A1)を、元素分析測定器(パーキンエルマー社製 2400II 全自動元素分析装置 CHNS/O分析)にて炭素(C)、水素(H)、窒素(N)の重量比率を測定した。以下に元素分析の理論値及び実測値を示す。
実測値C:75.55 H:5.52 N:0.00
理論値C:75.57 H:5.55 N:0.00
【0126】
得られたスチレン誘導体(A1)を、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR 日本電子株式会社製 JIR−SPX60S)を使用し、KBr法にて測定したところ、
ν(cm
−1)=3435、2981、2677、2557、1678、1628、1606、1581、1514、1431、1381、1321、1306、1246、1173、1132、1119、1045、1016、991、947、904、872、849、827、771、748、731、694、648、557、509を観測した。FT−IRの測定結果を
図3に示す。
【0127】
得られたスチレン誘導体(A1)を、示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 TG−DTA6200 EXSTAR6000)を用い、昇温条件:30−550℃、昇温速度:10℃/分で測定した。熱重量分析−示差熱分析(TG−DTA)の測定結果を
図4に示す。その測定の結果、発熱温度:190℃、536℃、重量減少温度:273℃、516℃を観測した。
【0128】
得られたスチレン誘導体(A1)を、液体クロマトグラフ質量分析装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 LC/3DQMSシステム M−8000)にて、以下の条件で測定した。
LC/MS測定条件:
イオン化源:ESIイオン化源(FI法により測定)
キャリア:電子工業用メタノール
試料の調整方法:
試料各1mgを電子工業用メタノールにて溶解した。完全に溶解しなかった試料に関してはTHFを溶解するまで加えた。
第一細孔温度:120℃、第二細孔温度:100℃、脱溶媒温度:150℃、補助ガス温度:150℃、フォーカス電圧:20V、ドリフト電圧:20V
液体クロマトグラフ質量分析の測定結果を、質量分析の理論値及び実測値を以下に示す。
実測値:LC/MS m/z=253.1 [M−H]
−
理論値:m/z=254.09
【0129】
1−(2) 共重合体の合成(共重合体(B1)の合成(化学式(A1):スチレン=5.0:95.0のmol比の仕込み))
スチレン誘導体(A1)3.99g、スチレン31.02gをトルエン21mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱した。この溶液に、トルエン21mLとtert−ブチルパーオキシイソプピルモノカルボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI)2.31gの混合液を13分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却し、THF150mLに溶解させた。この溶液をメタノール2Lに滴下し反応物を沈殿させ、濾過し、減圧下90℃で20時間乾燥させ、共重合体(B1)を33.4g得た。
【0130】
得られた共重合体(B1)について、
1H−NMR(核磁気共鳴装置:日本電子株式会社製 FT−NMR JNM−AL300)を用い、共鳴周波数:300MHz 測定核種:
1H、使用溶媒:重CDCl
3、測定温度:室温の条件で測定した。その
1H−NMRの測定結果を
図5に示す。
【0131】
共重合反応前のスチレン及び前記化学式(A1)で示されるスチレン誘導体(A1)の原料としてのビニル基由来のピークは観測されず、ブロードな芳香族プロトン及びアルキル鎖が観測され、更にスチレン誘導体(A1)由来のブロードな水酸基及びδ(ppm)=5.0(−CH
2−O−)のブロードなプロトンが観測された。得られた共重合体(B1)中に、スチレン誘導体(A1)は、ピークの積分値から4.00%含有されていることを確認した。
【0132】
得られた共重合体(B1)を、FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計(日本電子株式会社製、JIR−SPX60S))を使用し、KBr法にて測定したところ、
ν(cm
−1)=3439、3082、3059、3026、3001、2922、2848、1732、1686、1603、1581、1510、1493、1452、1423、1373、1304、1255、1180、1167、1088、1070、1028、964、945、906、847、822、756、698、669、633、619、540、459、440を観測した。そのFT−IRの測定結果を
図6に示す。
【0133】
得られた共重合体(B1)は、前記化学式(1)で示されるユニットAに対応するユニット(A−1)と、前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)とから構成されたものである。
【0134】
【化28】
【0135】
得られた共重合体(B1)を、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、TG−DTA6200))を用い、昇温条件:30−550℃、昇温速度:10℃/分で測定した。TG−DTAの測定結果を
図7に示す。その測定の結果、発熱温度:376℃、533℃、重量減少温度:308℃、515℃を観測した。
【0136】
得られた共重合体(B1)の分子量分布を、GPC(株式会社島津製作所製 検出器:RID−10A、カラムオーブン:CTO−20A、ポンプ:LC−20AT、デガッサー:DGU−20A
5)により、以下の測定条件にて測定を行い、分子量分布、数平均分子量、重量平均分子量を確認した。
GPC測定条件としては、測定対象サンプル25mgをTHF5mLに溶解させ30分超音波し、ポア径が0.5μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定した。
カラム:超高速SEC(サイズ排除)セミミクロGPCカラム
排除限界分子量:ポリスチレン 4×10
6(東ソー株式会社製 TSKgel SuperHM−M) 2本
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準スチレン系樹脂(昭和電工株式会社製 Shodex STANDARD SM−105 (S−3730、S−2480、S−1230、S−579、S−197、S−551、S−31.4、S−12.8、S−3.95、S−1.20))により作成した分子量校正曲線を使用した。
【0137】
前記条件により測定された共重合体(B1)の分子量分布の測定結果を
図8に示す。その測定の結果、共重合体(B1)の数平均分子量(Mn)は8957、重量平均分子量(Mw)は39065、更に分子量分布(Mw/Mn)=4.4であることを確認した。
【0138】
元素分析に於いては、原料モノマーの元素分析の測定結果と共重合体の元素分析の測定結果から、共重合体中の特定モノマーの存在比率を推定することができる。得られた共重合体(B1)について、元素分析を、スチレン誘導体(A1)を測定したときと同じ条件で測定した。以下に、元素分析の実測値を示す。
実測値C:90.03 H:7.76 N:0.00 O:2.15
理論値C:90.34 H:7.51 N:0.00 O:2.15
ここで、酸素(O)は、炭素(C)と水素(H)及び窒素(N)の値の合計値100%より除算して算出した。前記測定結果は、スチレン誘導体(A1)が共重合体中に5%含まれている場合の推定理論値と一致した。
【0139】
得られた共重合体(B1)のガラス転移温度を、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、DSC6200 EXSTAR6000)を用いて、以下の測定条件にて測定を行い、ガラス転移温度を確認した。
ガラス転位測定条件としては、測定対象サンプルを170℃まで加熱後、急冷した後、昇温条件:30−170℃、昇温速度:10℃/分で測定した。ガラス転移温度の測定結果を
図9に示す。その測定の結果、共重合体(B1)のガラス転位温度は108.4℃だった。
【0140】
得られた共重合体(B1)の体積固有抵抗率をアドバンテスト社製、デジタル超高抵抗:微少電流計R8340A型により、以下の測定条件にて測定を行い、体積固有抵抗率を確認した。
体積固有抵抗率の測定条件としては、JIS規格(K6911)に基づいて以下の条件で測定した。
印加電圧と時間:500V、1分間、電極:主電極38mmφ、荷重:2000kg、試験雰囲気:温度23±2℃、湿度50±5RH。測定の結果、共重合体(B1)の体積固有抵抗率が、1.25×10
16Ωcmであることを確認した。
【0141】
得られた共重合体(B1)の軟化温度(Ts)と流出温度(Tfb)とを、株式会社島津製作所社製「島津フローテスタ CFT−500D」により、以下の条件にて測定を行い、軟化温度(Ts)と流出温度(Tfb)とを確認した。
開始温度:60.0℃、昇温速度:5.0℃/分、シリンダ圧力:1.471×10
6Pa、予熱時間:5分間、ダイ口径:1mm、ダイ長さ:1mm、試験量:0.60g。
測定の結果、共重合体(B1)の軟化温度(Ts)が131℃であり、流出温度(Tfb)が145℃であることを確認した。
【0142】
(実施例2)
2−(1) 単量体の合成(式(A2)に示すビニルベンジルオキシ基含有化合物)
3−ジヒドロキシ安息香酸281.88g(2.00mol)をメタノール2000mLに溶解した。これに炭酸カリウム414.44g(3.00mol)を加え、60℃まで加熱した。これに4−(クロロメチル)スチレン353.44g(2.20mol)を67分間で滴下した。還流下、3時間反応後、室温まで放冷した。得られた反応液を減圧下、溶媒を除去し、得られた茶色半固体を水と酢酸エチルへ分散し、塩酸でpH3に調整した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、減圧下溶媒を除去後、酢酸エチル中で再結晶を行い、60℃にて24時間乾燥させ、スチレン誘導体(A2)261.13gを得た(収率51.35%)
【0143】
【化29】
【0144】
得られたスチレン誘導体(A2)について、HPLC純度を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ97.9%だった。
【0145】
得られたスチレン誘導体(A2)について、実施例1−(1)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定した。
1H−NMRスペクトルデータは、下記の通りであり、前記化学式(A2)で示す構造を支持する結果だった。
δ(ppm)=5.15(2H、s、−OCH
2−)、5.26(1H、d、−C=C−H)、5.83(1H、d、−C=C−H)、6.73(1H、d−d、−CH=)、7.24(1H、d−d、Ar−H)、7.38−7.54(7H、m、Ar−H)
前記
1H−NMRにおいて、5.15(2H、s、−OCH
2−)のプロトンに照射したところ、7.24(1H、d−d、Ar−H)、7.44(1H、d−d、Ar−H)、7.51(1H、d−d、Ar−H)の芳香族プロトンにそれぞれ7.08%、5.99%、11.83%の核オーバーハウザー効果が観測された。
【0146】
得られたスチレン誘導体(A2)について、FT−IRを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3006、2894、2856、2823、2674、2561、1697、1629、1604、1587、1513、1488、1454、1407、1380、1321、1295、1247、1203、1184、1157、1118、1078、1039、1014、991、931、912、875、829、815、781、759、678、665、651、603、563、464を観測した。
【0147】
得られたスチレン誘導体(A2)について、TG−DTAを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。その結果、融点:148.0℃、発熱温度:160℃、452℃、574℃、重量減少温度:251℃、443℃、546℃を観測した。
【0148】
得られたスチレン誘導体(A2)について、元素分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。以下に元素分析の理論値及び実測値を示す。
実測値C:75.44 H:5.59 N:0.00
理論値C:75.57 H:5.55 N:0.00
【0149】
得られたスチレン誘導体(A2)について、液体クロマトグラフ質量分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。質量分析の理論値及び実測値を示す。
実測値:LC/MS m/z=253.07[M−H]
−
理論値:m/z=254.28
【0150】
2−(2) 共重合体の合成(共重合体(B2)の合成(化学式(A2):スチレン=5.0:95.0のmol比の仕込み))
スチレン誘導体(A2)3.99g、スチレン31.02gをトルエン42mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱した。この溶液に、トルエン42mLとtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI)2.31gの混合液を10分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却した。得られた反応液をメタノール1Lに滴下し、上澄み液を除去した。残渣をTHF200mLに溶解させ、この溶液をメタノール:2Lに滴下した。析出物を濾過後、メタノール200mLで洗浄し、残渣を減圧下60℃で10時間乾燥させ、共重合体(B2)を27.4g得た。
【0151】
得られた共重合体(B2)は、前記化学式(1)で示されるユニットAに対応するユニット(A−2)と、前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)とから構成されたものである。
【0152】
【化30】
【0153】
得られた共重合体(B2)について、実施例1−(2)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定したところ、共重合反応前のスチレン及び前記化学式(A2)で示されるスチレン誘導体(A2)の原料としてのビニル基由来のピークは観測されず、ブロードな芳香族プロトン及びアルキル鎖が観測され、更にスチレン誘導体(A2)由来のブロードな水酸基及びδ(ppm)=5.0(−CH
2−O−)のブロードなプロトンが観測された。得られた共重合体中にスチレン誘導体(A2)から得られる構成単位は、ピークの積分値から4.22%含有されていることを確認した。
【0154】
得られた共重合体(B2)について、FT−IRを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3440、3084、3061、3025、3009、2924、2850、1944、1876、1805、1735、1689、1604、1585、1511、1495、1455、1426、1371、1251、1164、1082、1030、905、845、820、751、699、538を観測した。
【0155】
得られた共重合体(B2)について、TG−DTAを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、発熱温度:366℃、525℃、重量減少温度:300℃、523℃を観測した。
【0156】
得られた共重合体(B2)について、GPCを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B2)の数平均分子量(Mn)は10264、重量平均分子量(Mw)は46397、更に分子量分布(Mw/Mn)=4.5であることを確認した。
【0157】
得られた共重合体(B2)について、元素分析を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。以下に、元素分析の実測値を示す。
実測値C:90.16 H:7.64 N:0.00 O:2.20
理論値C:90.34 H:7.51 N:0.00 O:2.15
ここで、酸素(O)は、炭素(C)と水素(H)及び窒素(N)の値の合計値100%より除算して算出した。前記測定結果は、スチレン誘導体(A2)が共重合体中に5%含まれている場合の推定理論値と一致した。
【0158】
得られた共重合体(B2)について、体積固有抵抗率を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。測定の結果、共重合体(B2)の体積固有抵抗率が、1.17×10
16Ωcmであることを確認した。
【0159】
得られた共重合体(B2)について、ガラス転移温度を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B2)のガラス転移温度が、103.7℃であることを確認した。
【0160】
得られた共重合体(B2)について、軟化温度(Ts)と流出開始温度(Tfb)とを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B2)の軟化温度(Ts)が126℃であり、流出開始温度(Tfb)が140℃であることを確認した。
【0161】
(実施例3)
3−(1) 単量体の合成(式(A3)に示すビニルベンジルオキシ基含有化合物)
4−ジヒドロキシ安息香酸50.0gをメタノール1000mLに撹拌しながら溶解させ、これに炭酸カリウム67.1gを加え、60℃で30分間撹拌した。これに、メタノール50mLに溶解したp−クロロメチルスチレンとm−クロロメチルスチレンとの混合クロロメチルスチレン(AGCセイケミカル株式会社製、商品名:CMS−P)60.2gを1時間で滴下した。還流下、5時間反応後、室温まで放冷し、析出物を濾過後、メタノールで洗浄した。得られた残渣を水1Lに加え、塩酸にてpH=1にして、30分間撹拌後、濾過、水洗した。80℃で48時間乾燥し、白色固体で下記化学式(A3)に示すスチレン誘導体の混合物23.9gを得た。
【0162】
【化31】
【0163】
得られたスチレン誘導体(A3)について、HPLC純度を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ、混合物として96.3%だった。
【0164】
得られたスチレン誘導体(A3)について、
1H−NMRを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。
1H−NMRスペクトルデータは、下記の通りであり、前記化学式(A3)で示す構造を支持する。
δ(ppm)=5.13(2H、s、−CH
2−)5.24−5.33(1H、d×2、C−H)、5.80−5.90(1H、d×2、C−H)、6.54−6.60(2H、m、Ar−H)、6.65−6.77(1H、d×2、C−H)、7.29−7.57(4H、m、Ar−H)、7.67−7.74(1H、d×2、Ar−H)
前記
1H−NMRにおいて、5.13(2H、s、−OCH
2−)のプロトンに照射したところ、6.54−6.60の芳香族プロトンに17.2%の核オーバーハウザー効果が観測された。
【0165】
得られたスチレン誘導体(A3)についてFT−IRを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=2870、2549、2357、1656、1622、1512、1460、1435、1385、1348、1252、1190、1154、1099、1034、1018、997、979、914、855、833、827、795、774、686、645、604、534、496を観測した。
【0166】
得られたスチレン誘導体(A3)について、TG−DTAを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、吸熱温度157℃、発熱温度:435℃、550℃、重量減少温度:209℃、416℃、531℃を観測した。
【0167】
得られたスチレン誘導体(A3)について、元素分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。以下に元素分析の理論値及び実測値を示す。
実測値C:74.73 H:5.26 N:0.00
理論値C:75.57 H:5.55 N:0.00
【0168】
得られた化学式(A3)について、液体クロマトグラフ質量分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。以下に質量分析の理論値及び実測値を示す。
実測値:LC/MS m/z=253.0[M−H]
−
理論値:m/z=254.09
【0169】
3−(2) 共重合体の合成(共重合体(B3)の合成(化学式(A3):スチレン=5.0:95.0のmol比の仕込み))
スチレン誘導体(A3)3.99g、スチレン31.02gをトルエン42mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱した。この溶液に、トルエン42mLとtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI)2.31gの混合液を12分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却した。得られた反応液をメタノール1Lに滴下し、上澄み液を除去した。残渣をTHF200mLに溶解させ、この溶液をメタノール2Lに滴下した。析出物を濾過後、メタノール200mLで洗浄し、残渣を減圧下60℃で10時間乾燥させ、共重合体(B3)を16.8g得た。
【0170】
得られた共重合体(B3)は、前記化学式(1)で示されるユニットAに対応するユニット(A−1)及び(A−3)と、前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)とから構成されたものである。
【0171】
【化32】
【0172】
得られた共重合体(B3)について、実施例1−(2)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定したところ、共重合反応前のスチレン及び前記化学式(A3)で示されるスチレン誘導体(A3)の原料としてのビニル基由来のピークは観測されず、ブロードな芳香族プロトン及びアルキル鎖が観測され、更にスチレン誘導体(A3)由来のブロードな水酸基及びδ(ppm)=5.0(−CH
2−O−)のブロードなプロトンが観測された。得られた共重合体中にスチレン誘導体(A3)から得られる構成単位は、ピークの積分値から4.44%含有されていることを確認した。
【0173】
得られた共重合体(B3)について、FT−IRを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3439、3082、3060、3023、3005、2922、2847、1940、1875、1806、1737、1688、1603、1585、1515、1499、1453、1422、1370、1250、1161、1085、1028、908、845、820、752、700、538を観測した。
【0174】
得られた共重合体(B3)について、TG−DTAを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、発熱温度:374℃、536℃、重量減少温度:312℃、533℃を観測した。
【0175】
得られた共重合体(B3)について、GPCを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B3)の数平均分子量(Mn)は11973、重量平均分子量(Mw)は49390、更に分子量分布(Mw/Mn)=4.1であることを確認した。
【0176】
得られた共重合体(B3)について、元素分析を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。以下に、元素分析の実測値を示す。
実測値C:90.19 H:7.49 N:0.00 O:2.32
理論値C:90.34 H:7.51 N:0.00 O:2.15
ここで、酸素(O)は、炭素(C)と水素(H)及び窒素(N)の値の合計値100%より除算して算出した。前記測定結果は、スチレン誘導体(A3)が共重合体中に5%含まれている場合の推定理論値と一致した。
【0177】
得られた共重合体(B3)について、体積固有抵抗率を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。測定の結果、共重合体(B3)の体積固有抵抗率が、1.23×10
16Ωcmであることを確認した。
【0178】
得られた共重合体(B3)について、ガラス転移温度を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B3)のガラス転移温度が、99.5℃であることを確認した。
【0179】
得られた共重合体(B3)について、軟化温度(Ts)と流出開始温度(Tfb)とを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B2)の軟化温度(Ts)が110℃であり、流出開始温度(Tfb)が144℃であることを確認した。
【0180】
(実施例4)
4−(1) 単量体の合成(式(A4)に示すビニルベンジルオキシ基含有化合物)
4−ジヒドロキシ安息香酸50.0gをメタノール1000mLに撹拌しながら溶解させ、これに炭酸カリウム67.1gを加え、65℃で1時間撹拌した。これに、メタノール100mLに溶解したp−クロロメチルスチレンとo−クロロメチルスチレンの混合クロロメチルスチレン(CHANGZHOU WUJIN LINCHUAN CHEMICAL社製、商品名:4−Chloromethyl styrene)60.2gとメタノール100mLに混合溶解させた溶解液を滴下し、65℃にて5時間反応させた。得られた反応液を室温まで放冷し、析出物を濾過後、メタノールで洗浄した。濾過残渣を水1Lに加え、塩酸にてpH=1にして、30分間撹拌後、濾過、水洗した。80℃で48時間乾燥し、白色固体で下記化学式(A4)に示すスチレン誘導体の混合物を27.3g得た。
【0181】
【化33】
【0182】
得られたスチレン誘導体(A4)について、HPLC純度を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ、96.2%だった。
【0183】
得られたスチレン誘導体(A4)について、実施例1−(1)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定した。
1H−NMRスペクトルデータは、下記の通りであり、前記化学式(A4)で示す構造を支持する。
δ(ppm)=5.18−5.34(1H、d×2、C−H)、5.18(2H、s、−OCH
2−)、5.70−5.87(1H、d×2、C−H)、6.95−7.61(8H、m、Ar−H)、6.71−6.90(1H、d×2、C−H)
【0184】
得られたスチレン誘導体(A4)について、FT−IRを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=2957、2699、2624、1900、1827、1688、1778、1758、1657、1634、1622、1513、1489、1468、1425、1421、1400、1379、1364、1324、1298、1281、1199、1190、1117、968、960、908、897、835、805、781、681、657、602、523、467を観測した。
【0185】
得られたスチレン誘導体(A4)について、TG−DTAを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した結果、吸熱温度147℃、発熱温度:441℃、552℃、重量減少温度:211℃、439℃、553℃を観測した。
【0186】
得られたスチレン誘導体(A4)について、元素分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。以下に、元素分析の理論値及び実測値を示す。
実測値C:74.63 H:5.49 N:0.00
理論値C:75.57 H:5.55 N:0.00
【0187】
得られたスチレン誘導体(A4)について、液体クロマトグラフ質量分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。質量分析の理論値及び実測値を示す。
実測値:LC/MS m/z=253.86[M−H]
−
理論値:m/z=254.28
【0188】
4−(2) 共重合体の合成(共重合体(B4)の合成(化学式(A4):スチレン=5.0:95.0のmol比の仕込み))
スチレン誘導体(A4)3.99g、スチレン31.02gをトルエン42mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱した。この溶液に、トルエン42mLとtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI)2.31gの混合液を11分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却した。得られた反応液をメタノール1.5Lに滴下し、上澄み液を除去した。残渣をTHF200mLに溶解させ、この溶液をメタノール2Lに滴下した。析出物を濾過後、メタノール200mLで洗浄し、残渣を減圧下60℃で10時間乾燥させ、共重合体(B4)を22.6g得た。
【0189】
得られた共重合体(B4)は、前記化学式(1)で示されるユニットAに対応するユニット(A−1)及び(A−4)と、前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)とから構成されたものである。
【0190】
【化34】
【0191】
得られた共重合体(B4)について、実施例1−(2)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定したところ、共重合反応前のスチレン及び前記化学式(A4)で示されるスチレン誘導体(A4)の原料としてのビニル基由来のピークは観測されず、ブロードな芳香族プロトン及びアルキル鎖が観測され、更にスチレン誘導体(A4)由来のブロードな水酸基及びδ(ppm)=5.0(−CH
2−O−)のブロードなプロトンが観測された。得られた共重合体中にスチレン誘導体(A4)から得られる構成単位は、ピークの積分値から4.37%含有されていることを確認した。
【0192】
得られた共重合体(B4)について、FT−IRを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3438、3082、3067、3023、2999、2927、2847、1941、1879、1808、1729、1691、1605、1580、1514、1491、1459、1421、1369、1247、1162、1080、1028、901、842、818、748、700、541を観測した。
【0193】
得られた共重合体(B4)について、TG−DTAを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、発熱温度:374℃、551℃、重量減少温度:289℃、547℃を観測した。
【0194】
得られた共重合体(B4)について、GPCを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B4)の数平均分子量(Mn)は11960、重量平均分子量(Mw)は47381、更に分子量分布(Mw/Mn)=3.9であることを確認した。
【0195】
得られた共重合体(B4)について、元素分析を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。以下に、元素分析の実測値を示す。
実測値C:90.28 H:7.31 N:0.00 O:2.41
理論値C:90.34 H:7.51 N:0.00 O:2.15
ここで、酸素(O)は、炭素(C)と水素(H)及び窒素(N)の値の合計値100%より除算して算出した。前記測定結果は、スチレン誘導体(A4)が共重合体中に5%含まれている場合の推定理論値と一致した。
【0196】
得られた共重合体(B4)について、体積固有抵抗率を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。測定の結果、共重合体(B4)の体積固有抵抗率が、1.22×10
16Ωcmであることを確認した。
【0197】
得られた共重合体(B4)について、ガラス転移温度を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B4)のガラス転移温度が、101.7℃であることを確認した。
【0198】
(実施例5)
5−(1) 単量体の合成(式(A5)に示すビニルベンジルオキシ基含有化合物)
4−ヒドロキシ安息香酸エチル124.63g(0.75mol)をメタノール750mLに溶解した。これに炭酸カリウム103.66g(0.75mol)を加え、60℃まで加熱した。これに4−(クロロメチル)スチレン132.54g(0.83mol)を30分間で滴下した。還流下、4.5時間反応後、室温まで放冷した。得られた析出物をろ過、メタノールで洗浄した。反応液残渣を水と酢酸エチルへ分散し、塩酸でpH3に調整した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、減圧下溶媒を除去後、酢酸エチル中で再結晶を行い、60℃にて24時間乾燥させ、スチレン誘導体(A5)145.37gを得た(収率68.65%)。
【0199】
【化35】
【0200】
得られたスチレン誘導体(A5)について、HPLC純度を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ97.00%だった。
【0201】
得られたスチレン誘導体(A5)について、実施例1−(1)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定した。
1H−NMRスペクトルデータは、下記の通りであり、前記化学式(A5)で示す構造を支持する。
δ(ppm)=1.30(3H、s、−CH
3)、4.27(2H、d−d、−CH
2−)、5.18(2H、s、−OCH
2−)、5.28(1H、d、−C=C−H)、5.85(1H、d、−C=C−H)、6.75(1H、d−d、−CH=)、7.12(2H、d、Ar−H)、7.43(2H、d、Ar−H)、7.50(2H、d、Ar−H)、7.91(2H、d、Ar−H)を観測した。
前記
1H−NMRにおいて、5.18(2H、s、−OCH
2−)のプロトンに照射したところ、7.12(2H、d、Ar−H)、7.43(2H、d、Ar−H)の芳香族プロトンにそれぞれ14.8%、7.47%の核オーバーハウザー効果が観測された。
【0202】
得られたスチレン誘導体(A5)について、FT−IRを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3407、2985、2931、2877、1922、1835、1712、1627、1606、1581、1508、1465、1450、1436、1417、1405、1386、1367、1324、1313、1280、1247、1170、1105、1008、995、968、952、916、879、844、833、817、771、732、694、653、632、512、493を観測した。
【0203】
得られたスチレン誘導体(A5)について、TG−DTAを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した結果、融点:81.7℃、発熱温度:392℃、568℃、重量減少温度:186℃、351℃、555℃を観測した。
【0204】
得られたスチレン誘導体(A5)について、元素分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。以下に元素分析の理論値及び実測値を示す。
実測値C:76.62 H:6.45 N:0.00
理論値C:76.57 H:6.43 N:0.00
【0205】
得られたスチレン誘導体(A5)について、液体クロマトグラフ質量分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。質量分析の理論値及び実測値を示す。
実測値:LC/MS m/z=253.13[M−CH
2CH
3−H]
−
理論値:m/z=282.33
【0206】
5−(2) 共重合体の合成(共重合体(B5)の合成(化学式(A5):スチレン=5.0:95.0のmol比の仕込み))
スチレン誘導体(A5)4.28g、スチレン30.00gをトルエン42mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱した。この溶液に、トルエン42mLとtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI)2.31gの混合液を11分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却した。得られた反応液をメタノール1.5Lに滴下し、上澄み液を除去した。残渣をTHF200mLに溶解させ、この溶液をメタノール2Lに滴下した。析出物を濾過後、メタノール200mLで洗浄し、残渣を減圧下60℃で10時間乾燥させ、共重合体(B5)を24.9g得た。
【0207】
得られた共重合体(B5)は、前記化学式(1)で示されるユニットAに対応するユニット(A−5)と、前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)とから構成されたものである。
【0208】
【化36】
【0209】
得られた共重合体(B5)について、実施例1−(2)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定したところ、共重合反応前のスチレン及び前記化学式(A5)で示されるスチレン誘導体(A5)の原料としてのビニル基由来のピークは観測されず、ブロードな芳香族プロトン及びアルキル鎖が観測され、更にスチレン誘導体(A5)由来のブロードな水酸基及びδ(ppm)=5.0(−CH
2−O−)のブロードなプロトンが観測された。得られた共重合体中にスチレン誘導体(A5)から得られる構成単位は、ピークの積分値から4.61%含有されていることを確認した。
【0210】
得られた共重合体(B5)について、FT−IRを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3078、3062、3019、3001、2925、2844、1942、1880、1802、1722、1689、1609、1579、1510、1488、1461、1418、1371、1247、1161、1077、1026、899、844、819、747、699、546を観測した。
【0211】
得られた共重合体(B5)について、TG−DTAを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、発熱温度:382℃、542℃、重量減少温度:299℃、554℃を観測した。
【0212】
得られた共重合体(B5)について、GPCを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B5)の数平均分子量(Mn)は14389、重量平均分子量(Mw)は53781、更に分子量分布(Mw/Mn)=3.7であることを確認した。
【0213】
得られた共重合体(B5)について、元素分析を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。以下に、元素分析の実測値を示す。
実測値C:90.40 H:7.63 N:0.00 O:1.97
理論値C:90.28 H:7.59 N:0.00 O:2.13
ここで、酸素(O)は、炭素(C)と水素(H)及び窒素(N)の値の合計値100%より除算して算出した。前記測定結果は、スチレン誘導体(A5)が共重合体中に5%含まれている場合の推定理論値と一致した。
【0214】
得られた共重合体(B5)について、体積固有抵抗率を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。測定の結果、共重合体(B5)の体積固有抵抗率が、1.74×10
16Ωcmであることを確認した。
【0215】
得られた共重合体(B5)について、ガラス転移温度を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B5)のガラス転移温度が、106.6℃であることを確認した。
【0216】
得られた共重合体(B5)について、軟化温度(Ts)と流出開始温度(Tfb)とを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B2)の軟化温度(Ts)が133℃であり、流出開始温度(Tfb)が153℃であることを確認した。
【0217】
(実施例6)
6−(1) 単量体の合成(式(A6)に示すビニルベンジルオキシ基含有化合物)
3−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸168.15g(1.00mol)をメタノール1000mLに溶解した。これに炭酸カリウム207.32g(1.50mol)を加え、60℃まで加熱した。これに4−(クロロメチル)スチレン176.72g(1.10mol)を32分間で滴下した。還流下、4時間反応後、室温まで放冷した。得られた反応液を減圧下、溶媒を除去し、得られた茶色半固体を水と酢酸エチルへ分散し、塩酸でpH3に調整した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、減圧下溶媒を除去後、酢酸エチル中で再結晶を行い、60℃にて24時間乾燥させ、スチレン誘導体(A6)114.98gを得た(収率40.44%)。
【0218】
【化37】
【0219】
得られたスチレン誘導体(A6)について、HPLC純度を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ、97.68%だった。
【0220】
得られたスチレン誘導体(A6)について、実施例1−(1)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定した。
1H−NMRスペクトルデータは、下記の通りであり、前記化学式(A6)で示す構造を支持する。
δ(ppm)=3.18(3H、s、−CH
3)、5.16(2H、s、−OCH
2−)、5.28(1H、d、−C=C−H)、5.85(1H、d、−C=C−H)、6.75(1H、d−d、−CH=)、7.13(1H、d、Ar−H)、7.41−7.56(6H、m、Ar−H)、
前記
1H−NMRにおいて、5.16(2H、s、−OCH
2−)のプロトンに照射したところ、7.13(1H、d、Ar−H)、7.43(2H、d、Ar−H)の芳香族プロトンにそれぞれ7.92%、10.33%の核オーバーハウザー効果が観測された。
【0221】
得られたスチレン誘導体(A6)について、FT−IRを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3430、2964、2939、2877、2832、2640、2597、2553、1851、1681、1629、1594、1585、1517、1465、1427、1409、1382、1346、1303、1274、1222、1180、1135、1114、1027、989、948、923、873、854、835、804、769、759、728、636、615561、536、516、487、447を観測した。
【0222】
得られたスチレン誘導体(A6)について、TG−DTAを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。その結果、発熱温度:198.4℃、547.2℃、重量減少温度:262.9℃、537.0℃を観測した。
【0223】
得られたスチレン誘導体(A6)について、元素分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。以下に元素分析の理論値及び実測値を示す。
実測値C:70.94 H:5.68 N:0.00
理論値C:71.82 H:5.67 N:0.00
【0224】
得られたスチレン誘導体(A6)について、液体クロマトグラフ質量分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。質量分析の理論値及び実測値を示す。
実測値:LC/MS m/z=283.13[M−H]
−
理論値:m/z=284.31
【0225】
6−(2) 共重合体の合成(共重合体(B6)の合成(化学式(A6):スチレン=5.0:95.0のmol比の仕込み))
スチレン誘導体(A6)4.31g、スチレン30.00gをトルエン42mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱した。この溶液に、トルエン42mLとtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI)2.31gの混合液を11分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却した。得られた反応液をメタノール1.5Lに滴下し、上澄み液を除去した。残渣をTHF200mLに溶解させ、この溶液をメタノール2Lに滴下した。析出物を濾過後、メタノール200mLで洗浄し、残渣を減圧下60℃で10時間乾燥させ、共重合体(B6)を26.9g得た。
【0226】
得られた共重合体(B6)は、前記化学式(1)で示されるユニットAに対応するユニット(A−6)と、前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)から構成されている。
【0227】
【化38】
【0228】
得られた共重合体(B6)について、実施例1−(2)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定したところ、共重合反応前のスチレン及び前記化学式(A6)で示されるスチレン誘導体(A6)の原料としてのビニル基由来のピークは観測されず、ブロードな芳香族プロトン及びアルキル鎖が観測され、更にスチレン誘導体(A6)由来のブロードな水酸基及びδ(ppm)=4.9(−CH
2−O−)のブロードなプロトンが観測された。得られた共重合体中にスチレン誘導体(A6)から得られる構成単位は、ピークの積分値から4.55%含有されていることを確認した。
【0229】
得られた共重合体(B6)について、FT−IRを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3439、3082、3065、3021、3011、2926、2844、1948、1889、1810、1731、1684、1603、1591、1510、1501、1457、1429、1369、1255、1162、1081、1028、905、846、822、749、700、535を観測した。
【0230】
得られた共重合体(B6)について、TG−DTAを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、発熱温度:368℃、531℃、重量減少温度:297℃、528℃を観測した。
【0231】
得られた共重合体(B6)について、GPCを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B6)の数平均分子量(Mn)は11699、重量平均分子量(Mw)は47439、更に分子量分布(Mw/Mn)=4.0であることを確認した。
【0232】
得られた共重合体(B6)について、元素分析を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。以下に、元素分析の実測値を示す。
実測値C:89.81 H:7.44 N:0.00 O:2.75
理論値C:89.68 H:7.50 N:0.00 O:2.83
ここで、酸素(O)は、炭素(C)と水素(H)及び窒素(N)の値の合計値100%より除算して算出した。前記測定結果は、スチレン誘導体(A6)が共重合体中に5%含まれている場合の推定理論値と一致した。
【0233】
得られた共重合体(B6)について、体積固有抵抗率を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。測定の結果、共重合体(B6)の体積固有抵抗率が、1.45×10
16Ωcmであることを確認した。
【0234】
得られた共重合体(B6)について、ガラス転移温度を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B6)のガラス転移温度が、111.3℃であることを確認した。
【0235】
(実施例7)
7−(1) 単量体の合成(式(A7)に示すビニルベンジルオキシ基含有化合物)
3,4−ジヒドロキシ安息香酸157.27g(1.00mol)をメタノール1500mLに溶解した。これに炭酸カリウム276.42g(2.00mol)を加え、60℃まで加熱した。これに4−(クロロメチル)スチレン176.72g(1.10mol)を50分間で滴下した。還流下、2時間反応後、室温まで放冷した。得られた析出物をろ過、メタノールで洗浄した。反応液残渣を水と酢酸エチルへ分散し、塩酸でpH3に調整した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、減圧下溶媒を除去後、酢酸エチル中で再結晶を行い、60℃にて24時間乾燥させ、スチレン誘導体(A7)95.5gを得た(収率44.9%)。
【0236】
【化39】
【0237】
得られたスチレン誘導体(A7)について、HPLC純度を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ96.6%だった。
【0238】
得られたスチレン誘導体(A7)について、実施例1−(1)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定した。
1H−NMRスペクトルデータは、下記の通りであり、前記化学式(A7)で示す構造を支持する。
δ(ppm)=5.16(2H、s、−OCH
2−)、5.20(2H、s、−OCH
2−)、5.26(1H、d、−C=C−H)、5.83(1H、d、−C=C−H)、6.75(1H、d−d、−CH=)、7.13(1H、d、Ar−H)、7.39−7.53(10H、m、Ar−H)
前記
1H−NMRにおいて、5.16ppm(2H、s、−OCH
2−)のプロトンに照射したところ、7.40(2H、d、Ar−H)、7.53(2H、d、Ar−H)の芳香族プロトンにそれぞれ3.97%、11.63%の核オーバーハウザー効果が観測された。また、5.20ppm(2H、s、−OCH
2−)のプロトンに照射したところ、7.14(2H、d、Ar−H)、7.42(2H、d、Ar−H)の芳香族プロトンにそれぞれ7.33%、6.36%の核オーバーハウザー効果が観測された。
【0239】
得られたスチレン誘導体(A7)について、FT−IRを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3448、3085、3006、2981、2904、2861、2624、2553、1687、1629、1598、1585、1519、1434、1407、1378、1348、1305、1276、1228、1178、1133、1108、1033、1014、987、943、902、875、856、829、775、761、646、609、541、509を観測した。
【0240】
得られたスチレン誘導体(A7)について、TG−DTAを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。その結果、融点:182.8℃、発熱温度:225.5℃、567.9℃、重量減少温度:281.2℃、414.4℃、℃、531.8℃を観測した。
【0241】
得られたスチレン誘導体(A7)について、元素分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。以下に元素分析の理論値及び実測値を示す。
実測値C:76.11 H:5.52 N:0.00
理論値C:77.70 H:5.74 N:0.00
【0242】
得られたスチレン誘導体(A7)について、液体クロマトグラフ質量分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。質量分析の理論値及び実測値を示す。
実測値:LC/MS m/z=385.13[M−H]
−
理論値:m/z=386.15
【0243】
7−(2) 共重合体の合成(共重合体(B7)の合成(化学式(A7):スチレン=5.0:95.0のmol比の仕込み))
(化学式(A7):スチレン=5.0:95.0のmol比の仕込み)
スチレン誘導体(A7)5.83g、スチレン30.00gをトルエン42mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱しDMFを60mL加えた。この溶液に、トルエン42mLとtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI)2.31gの混合液を12分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却した。得られた反応液を減圧下、溶媒を留去し、更に130℃にて48時間乾燥し、共重合体(B7)を32.1g得た。
【0244】
得られた共重合体(B7)は、前記化学式(1)で示されるユニットAに対応するユニット(A−7)と、前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)から構成されている。
【0245】
【化40】
【0246】
得られた共重合体(B7)は、DMF、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、THFのどの溶媒にも溶解しなかった。
【0247】
得られた共重合体(B7)について、FT−IRを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3447、3074、3059、3023、3011、2922、2849、1946、1877、1801、1729、1692、1609、1581、1509、1492、1456、1426、1369、1252、1166、1085、1028、904、848、828、745、700、532を観測した。
【0248】
得られた共重合体(B7)について、TG−DTAを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、発熱温度:436℃、585℃、重量減少温度:418℃、574℃を観測した。
【0249】
得られた共重合体(B7)について、元素分析を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。以下に、元素分析の実測値を示す。
実測値C:89.93 H:7.39 N:0.00 O:2.68
理論値C:89.87 H:7.43 N:0.00 O:2.71
ここで、酸素(O)は、炭素(C)と水素(H)及び窒素(N)の値の合計値100%より除算して算出した。前記測定結果は、スチレン誘導体(A7)が共重合体中に5%含まれている場合の推定理論値と一致した。
【0250】
得られた共重合体(B7)について、体積固有抵抗率を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。測定の結果、共重合体(B7)の体積固有抵抗率が、0.95×10
16Ωcmであることを確認した。
【0251】
得られた共重合体(B7)について、ガラス転移温度を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B7)のガラス転移温度が、131.7℃であることを確認した。
【0252】
(実施例8)
8−(1) 単量体の合成(式(A8)に示すビニルベンジルオキシ基含有化合物)
3,5−ジヒドロキシ安息香酸157.27g(1.00mol)をメタノール1500mLに溶解した。これに炭酸カリウム304.06g(2.20mol)を加え、60℃まで加熱した。これに4−(クロロメチル)スチレン353.44g(2.20mol)を5分間で滴下した。還流下、2時間反応後、室温まで放冷した。得られた析出物をろ過、メタノールで洗浄した。反応液残渣を水と酢酸エチルへ分散し、塩酸でpH3に調整した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、減圧下溶媒を除去後、酢酸エチル中で再結晶を行い、60℃にて24時間乾燥させ、スチレン誘導体(A8)35.89gを得た(収率9.29%)。
【0253】
【化41】
【0254】
得られたスチレン誘導体(A8)について、HPLC純度を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ98.3%だった。
【0255】
得られたスチレン誘導体(A8)について、実施例1−(1)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定した。
1H−NMRスペクトルデータは、下記の通りであり、前記化学式(A8)で示す構造を支持する。
δ(ppm)=5.13(4H、s、−OCH
2−)、5.26(2H、d、−C=C−H)、5.83(2H、d、−C=C−H)、6.73(2H、d−d、−CH=)、6.90(1H、t、Ar−H)、7.13(2H、t、Ar−H)、7.40(4H、d、Ar−H)、7.48(4H、d、Ar−H)、
前記
1H−NMRにおいて、5.13(4H、s、−OCH
2−)のプロトンに照射したところ、6.90(1H、t、Ar−H)、7.13(2H、d、Ar−H)、7.40(4H、d、Ar−H)の芳香族プロトンにそれぞれ5.90%、9.40%、7.90%の核オーバーハウザー効果が観測された。
【0256】
得られたスチレン誘導体(A8)について、FT−IRを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3430、3087、2979、2865、2636、1693、1627,1594、1513、1475、1459、1446、1421、1407、1375、1348、1322、1274、1213、1166、1116、1049、1016、993、919、852、827、769、728、674、534、480を観測した。
【0257】
得られたスチレン誘導体(A8)について、TG−DTAを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した結果、発熱温度:182.4℃、447.3℃、518.4℃、570.7℃、重量減少温度:282.4℃、429.3℃、560.2℃を観測した。
【0258】
得られたスチレン誘導体(A8)について、元素分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。以下に元素分析の理論値及び実測値を示す。
実測値C:77.68 H:5.69 N:0.00
理論値C:77.70 H:5.74 N:0.00
【0259】
得られたスチレン誘導体(A8)について、液体クロマトグラフ質量分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。質量分析の理論値及び実測値を示す。
実測値:LC/MS m/z=385.20[M−H]
−
理論値:m/z=386.44
【0260】
8−(2) 共重合体の合成(共重合体(B8)の合成(化学式(A8):スチレン=5.0:95.0のmol比の仕込み))
スチレン誘導体(A8)5.83g、スチレン30.00gをトルエン42mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱しDMFを60mL加えた。この溶液に、トルエン42mLとtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI)2.31gの混合液を12分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却した。得られた反応液を減圧下、溶媒を留去し、更に130℃にて48時間乾燥し、共重合体(B8)を29.6g得た。
【0261】
得られた共重合体(B8)は、前記化学式(1)で示されるユニットAに対応するユニット(A−8)と、前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)から構成されている。
【0262】
【化42】
【0263】
得られた共重合体(B8)は、DMF、酢酸エチル、DMSO、クロロホルム、THFの溶媒に溶解しなかった。
【0264】
得られた共重合体(B8)について、FT−IRを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3451、3077、3062、3021、3010、2919、2855、1951、1879、1800、1734、1697、1611、1583、1528、1498、1454、1424、1370、1250、1167、1089、1025、902、848、822、749、697、535を観測した。
【0265】
得られた共重合体(B8)について、TG−DTAを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、発熱温度:441℃、587℃、重量減少温度:424℃、581℃を観測した。
【0266】
得られた共重合体(B8)について、元素分析を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。以下に、元素分析の実測値を示す。
実測値C:89.75 H:7.50 N:0.00 O:2.75
理論値C:89.87 H:7.43 N:0.00 O:2.71
ここで、酸素(O)は、炭素(C)と水素(H)及び窒素(N)の値の合計値100%より除算して算出した。前記測定結果は、スチレン誘導体(A8)が共重合体中に5%含まれている場合の推定理論値と一致した。
【0267】
得られた共重合体(B8)について、体積固有抵抗率を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。測定の結果、共重合体(B8)の体積固有抵抗率が、0.89×10
16Ωcmであることを確認した。
【0268】
得られた共重合体(B8)について、ガラス転移温度を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B8)のガラス転移温度が、134.9℃であることを確認した。
【0269】
得られた共重合体(B8)について、軟化温度(Ts)と流出開始温度(Tfb)とを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B2)の軟化温度(Ts)が140℃であり、流出開始温度(Tfb)が164℃であることを確認した。
【0270】
(実施例9)
9−(1) 単量体の合成(式(A9)に示すビニルベンジルオキシ基含有化合物)
3−ヒドロキシ−3−メチル安息香酸15.0g(96.7mmol)をメタノール300mLに加え、これに炭酸カリウム20.1g(145mmol)を加え、60℃まで加熱した。これに4−(クロロメチル)スチレン18.1g(116mmol)を10分間で滴下した。還流下、4時間反応後、室温まで放冷した。得られた反応液を減圧下、溶媒を除去し、得られた茶色半固体を水と酢酸エチルへ分散し、塩酸でpH3に調整した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、減圧下溶媒を除去後、酢酸エチル中で再結晶を行い、60℃にて24時間乾燥させ、スチレン誘導体(A9)15.1gを得た(収率58.3%)。
【0271】
【化43】
【0272】
得られたスチレン誘導体(A9)について、HPLC純度を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ96.3%だった。
【0273】
得られたスチレン誘導体(A9)について、実施例1−(1)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定した。
1H−NMRスペクトルデータは、下記の通りであり、前記化学式(A9)で示す構造を支持する。
δ(ppm)=2.43(3H、s、−CH
3)、5.21(2H、s、−OCH
2−)、5.20(1H、d、−C=C−H)、5.76(1H、d、−C=C−H)、6.69(1H、d−d、−CH=)、7.14(1H、d、Ar−H)、7.35−7.82(6H、m、Ar−H)、
前記
1H−NMRにおいて、5.20(2H、s、−OCH
2−)のプロトンに照射したところ、7.14(1H、d、Ar−H)、7.43(2H、d、Ar−H)の芳香族プロトンにそれぞれ8.35%、14.25%の核オーバーハウザー効果が観測された。
【0274】
得られたスチレン誘導体(A9)について、FT−IRを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3428、2967、2942、2836、2637、2601、2547、1849、1692、1634、1601、1577、1520、1467、1425、1384、1347、1300、1272、1228、1137、1116、1026、990、946、932、878、852、837、770、761、727、635、616、565、534、512、484、445を観測した。
【0275】
得られたスチレン誘導体(A9)について、TG−DTAを実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。その結果、発熱温度:210.3℃、552.3℃、重量減少温度:270.9℃、541.0℃を観測した。
【0276】
得られたスチレン誘導体(A9)について、元素分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。以下に元素分析の理論値及び実測値を示す。
実測値C:75.40 H:5.75 N:0.00
理論値C:76.10 H:6.01 N:0.00
【0277】
得られたスチレン誘導体(A9)について、液体クロマトグラフ質量分析を実施例1−(1)と同様の条件及び方法で測定した。質量分析の理論値及び実測値を示す。
実測値:LC/MS m/z=267.7[M−H]
−
理論値:m/z=268.31
【0278】
9−(2) 共重合体の合成(共重合体(B9)の合成(化学式(A9):スチレン=5.0:95.0のmol比の仕込み))
スチレン誘導体(A9)4.07g、スチレン30.00gをトルエン42mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱した。この溶液に、トルエン42mLとtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI)2.31gの混合液を12分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却した。得られた反応液をメタノール1.5Lに滴下し、上澄み液を除去した。残渣をTHF200mLに溶解させ、この溶液をメタノール2Lに滴下した。析出物を濾過後、メタノール200mLで洗浄し、残渣を減圧下60℃で10時間乾燥させ、共重合体(B9)を27.7g得た。
【0279】
得られた共重合体(B9)は、前記化学式(1)で示されるユニットAに対応するユニット(A−9)と、前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)から構成されている。
【0280】
【化44】
【0281】
得られた共重合体(B9)について、実施例1−(2)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定したところ、共重合反応前のスチレン及び前記化学式(A9)で示されるスチレン誘導体(A9)の原料としてのビニル基由来のピークは観測されず、ブロードな芳香族プロトン及びアルキル鎖が観測され、更にスチレン誘導体(A9)由来のブロードな水酸基及びδ(ppm)=5.0(−CH
2−O−)のブロードなプロトンが観測された。得られた共重合体中にスチレン誘導体(A9)から得られる構成単位は、ピークの積分値から4.25%含有されていることを確認した。
【0282】
得られた共重合体(B9)について、FT−IRを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3437、3092、3066、3026、3009、2927、2846、1950、1890、1812、1730、1685、1601、1594、1508、1504、1459、1423、1370、1257、1171、1088、1024、903、848、819、751、695、534を観測した。
【0283】
得られた共重合体(B9)について、TG−DTAを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、発熱温度:355℃、543℃、重量減少温度:302℃、545℃を観測した。
【0284】
得られた共重合体(B9)について、GPCを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B9)の数平均分子量(Mn)は12186、重量平均分子量(Mw)は51398、更に分子量分布(Mw/Mn)=4.2であることを確認した。
【0285】
得られた共重合体(B9)について、元素分析を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。以下に、元素分析の実測値を示す。
実測値C:90.31 H:7.61 N:0.00 O:2.08
理論値C:90.31 H:7.55 N:0.00 O:2.14
ここで、酸素(O)は、炭素(C)と水素(H)及び窒素(N)の値の合計値100%より除算して算出した。前記測定結果は、スチレン誘導体(A9)が共重合体中に5%含まれている場合の推定理論値と一致した。
【0286】
得られた共重合体(B9)について、体積固有抵抗率を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。測定の結果、共重合体(B9)の体積固有抵抗率が、1.67×10
16Ωcmであることを確認した。
【0287】
得られた共重合体(B9)について、ガラス転移温度を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B9)のガラス転移温度が、120.3℃であることを確認した。
【0288】
(実施例10)
10−(1) 単量体の合成(式(A1)に示すビニルベンジルオキシ基含有化合物)
実施例1−(1)と同様に、スチレン誘導体(A1)を合成した。
【0289】
10−(2) 共重合体の合成(共重合体(B10)の合成(化学式(A1):スチレン:アクリル酸=5.0:90:5.0のmol比の仕込み))
スチレン誘導体(A1)4.07g、スチレン30.00g、アクリル酸1,15gをトルエン42mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱した。この溶液に、トルエン42mLとtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI)2.31gの混合液を10分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却した。得られた反応液をメタノール1Lに滴下し、上澄み液を除去した。残渣をTHF200mLに溶解させ、この溶液をメタノール2Lに滴下した。析出物を濾過後、メタノール200mLで洗浄し、残渣を減圧下60℃で10時間乾燥させ、共重合体(B10)を28.8g得た。
【0290】
得られた共重合体(B10)は、前記化学式(1)で示されるユニットAに対応するユニット(A−1)と、前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)と、前記化学式(11)で示されるユニットCに対応するユニット(C−1)とから構成されたものである。
【0291】
【化45】
【0292】
得られた共重合体(B10)について、実施例1−(2)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定したところ、共重合反応前のスチレン及び前記化学式(A1)で示されるスチレン誘導体(A1)の原料としてのビニル基由来のピークは観測されず、ブロードな芳香族プロトン及びアルキル鎖が観測され、更にスチレン誘導体(A1)由来のブロードな水酸基及びδ(ppm)=5.0(−CH
2−O−)のブロードなプロトンが観測された。得られた共重合体中にスチレン誘導体(A1)から得られる構成単位は、ピークの積分値から4.59%含有されていることを確認した。
【0293】
得られた共重合体(B10)について、FT−IRを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3440、3102、3082、3061、3026、3001、2922、2850、1944、1873、1803、1743、1703、1659、1601、1583、1493、1452、1373、329、1263、1182、1155、1128、1070、1028、1003、980、964、943、906、841、756、698、621、540を観測した。
【0294】
得られた共重合体(B10)について、TG−DTAを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、重量減少温度:310.6℃、515.0℃を観測した。
【0295】
得られた共重合体(B10)について、GPCを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B10)の数平均分子量(Mn)は13216、重量平均分子量(Mw)は51573、更に分子量分布(Mw/Mn)=3.9であることを確認した。
【0296】
得られた共重合体(B10)について、元素分析を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。以下に、元素分析の実測値を示す。
実測値C:89.08 H:7.33 N:0.00 O:3.59
理論値C:88.93 H:7.43 N:0.00 O:3.63
ここで、酸素(O)は、炭素(C)と水素(H)及び窒素(N)の値の合計値100%より除算して算出した。前記測定結果は、スチレン誘導体(A1)が共重合体中に5%含まれている場合の推定理論値と一致した。
【0297】
得られた共重合体(B10)について、体積固有抵抗率を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。測定の結果、共重合体(B10)の体積固有抵抗率が、1.63×10
16Ωcmであることを確認した。
【0298】
得られた共重合体(B10)について、ガラス転移温度を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B10)のガラス転移温度が、117.7℃であることを確認した。
【0299】
得られた共重合体(B10)について、軟化温度(Ts)と流出開始温度(Tfb)とを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B2)の軟化温度(Ts)が137℃であり、流出開始温度(Tfb)が156℃であることを確認した。
【0300】
(実施例11)
11−(1) 単量体の合成(式(A2)に示すビニルベンジルオキシ基含有化合物)
実施例2−(1)と同様に、スチレン誘導体(A2)を合成した。
【0301】
11−(2) 共重合体の合成(共重合体(B11)の合成(化学式(A2):スチレン:アクリル酸ブチル=5.0:90:5.0のmol比の仕込み))
スチレン誘導体(A2)4.07g、スチレン30.00g、アクリル酸ブチル2.05gをトルエン42mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱した。この溶液に、トルエン42mLとtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI)2.31gの混合液を11分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却した。得られた反応液をメタノール1Lに滴下し、上澄み液を除去した。残渣をTHF200mLに溶解させ、この溶液をメタノール2Lに滴下した。析出物を濾過後、メタノール200mLで洗浄し、残渣を減圧下60℃で10時間乾燥させ、共重合体(B11)を24.9g得た。
【0302】
得られた共重合体(B11)は、前記化学式(1)で示されるユニットAに対応するユニット(A−2)と、前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)と、前記化学式(11)で示されるユニットCに対応するユニット(C−2)とから構成されたものである。
【0303】
【化46】
【0304】
得られた共重合体(B11)について、実施例1−(2)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定したところ、共重合反応前のスチレン及び前記化学式(A2)で示されるスチレン誘導体(A2)の原料としてのビニル基由来のピークは観測されず、ブロードな芳香族プロトン及びアルキル鎖が観測され、更にスチレン誘導体(A2)由来のブロードな水酸基及びδ(ppm)=5.0(−CH
2−O−)のブロードなプロトンが観測された。得られた共重合体中にスチレン誘導体(A2)から得られる構成単位は、ピークの積分値から4.28%含有されていることを確認した。
【0305】
得られた共重合体(B11)について、FT−IRを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3529,3437、3103、3082、3061、3026、3001、2924、2848、1942、1871、1803、1730、1601、1583、1543、1493、1452、1373、1329、1311、1263、1180、1155、1068、1028、1003、980、964、943、906、841、756、698、665、621、538、457、405を観測した。
【0306】
得られた共重合体(B11)について、TG−DTAを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、重量減少温度:319.0℃、514.0℃を観測した。
【0307】
得られた共重合体(B11)について、GPCを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B11)の数平均分子量(Mn)は11679、重量平均分子量(Mw)は49848、更に分子量分布(Mw/Mn)=4.2であることを確認した。
【0308】
得られた共重合体(B11)について、元素分析を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。以下に、元素分析の実測値を示す。
実測値C:88.96 H:7.55 N:0.00 O:3.49
理論値C:88.85 H:7.61 N:0.00 O:3.54
ここで、酸素(O)は、炭素(C)と水素(H)及び窒素(N)の値の合計値100%より除算して算出した。前記測定結果は、スチレン誘導体(A2)が共重合体中に5%含まれている場合の推定理論値と一致した。
【0309】
得られた共重合体(B11)について、体積固有抵抗率を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。測定の結果、共重合体(B11)の体積固有抵抗率が、1.93×10
16Ωcmであることを確認した。
【0310】
得られた共重合体(B11)について、ガラス転移温度を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B11)のガラス転移温度が、109.7℃であることを確認した。
【0311】
(実施例12)
12−(1) 単量体の合成(式(A1)に示すビニルベンジルオキシ基含有化合物)
実施例1−(1)と同様に、スチレン誘導体(A1)を合成した。
【0312】
12−(2) 共重合体の合成(共重合体(B12)の合成(化学式(A1):スチレン:アクリル酸:アクリル酸ブチル=5.0:85.0:5.0:5.0のmol比の仕込み))
スチレン誘導体(A1)4.31g、スチレン30.00g、アクリル酸1.22g、アクリル酸ブチル2.17をトルエン42mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱した。この溶液に、トルエン42mLとtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI)2.31gの混合液を12分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却した。得られた反応液をメタノール1Lに滴下し、上澄み液を除去した。残渣をTHF200mLに溶解させ、この溶液をメタノール2Lに滴下した。析出物を濾過後、メタノール200mLで洗浄し、残渣を減圧下60℃で10時間乾燥させ、共重合体(B12)を24.2g得た。
【0313】
得られた共重合体(B12)は、前記化学式(1)で示されるユニットAに対応するユニット(A−1)と、前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)と、前記化学式(11)で示されるユニットCに対応するユニット(C−1)及び(C−2)とから構成されたものである。
【0314】
【化47】
【0315】
得られた共重合体(B12)について、実施例1−(2)と同様の条件及び方法で
1H−NMRを測定したところ、共重合反応前のスチレン及び前記化学式(A1)で示されるスチレン誘導体(A1)の原料としてのビニル基由来のピークは観測されず、ブロードな芳香族プロトン及びアルキル鎖が観測され、更にスチレン誘導体(A1)由来のブロードな水酸基及びδ(ppm)=5.0(−CH
2−O−)のブロードなプロトンが観測された。得られた共重合体中にスチレン誘導体(A1)から得られる構成単位は、ピークの積分値から4.31%含有されていることを確認した。
【0316】
得られた共重合体(B12)について、FT−IRを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定したところ、
ν(cm
−1)=3529,3082、3061、3026、3001、2924、2850、1942、1873、1799、1730、1682、1603、1583、1539、1514、1493、1452、1437、1392、1363、1309、1273、1200、1180、1155、1101、1030、964、906、843、800、758、698、540を観測した。
【0317】
得られた共重合体(B12)について、TG−DTAを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、発熱温度:355.5℃、532.2℃、重量減少温度:245.7℃、341.1℃、512.4℃を観測した。
【0318】
得られた共重合体(B12)について、GPCを実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B12)の数平均分子量(Mn)は10698、重量平均分子量(Mw)は46989、更に分子量分布(Mw/Mn)=4.4であることを確認した。
【0319】
得られた共重合体(B12)について、元素分析を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。以下に、元素分析の実測値を示す。
実測値C:87.41 H:7.63 N:0.00 O:4.96
理論値C:87.43 H:7.53 N:0.00 O:5.03
ここで、酸素(O)は、炭素(C)と水素(H)及び窒素(N)の値の合計値100%より除算して算出した。前記測定結果は、スチレン誘導体(A1)が共重合体中に5%含まれている場合の推定理論値と一致した。
【0320】
得られた共重合体(B12)について、体積固有抵抗率を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B12)の体積固有抵抗率が、1.48×10
16Ωcmであることを確認した。
【0321】
得られた共重合体(B12)について、ガラス転移温度を実施例1−(2)と同様の条件及び方法で測定した。その測定の結果、共重合体(B12)のガラス転移温度が、118.7℃であることを確認した。
【0322】
(比較例1)
(1)下記化学式(X1)に示すスチレン誘導体の合成
2,5−ジヒドロキシ安息香酸90.0gをメタノール1200mLに溶解させ、炭酸カリウム159.0gを加えて50℃に加熱した。この反応液に4−(クロロメチル)スチレン72.6gを90分間で滴下し、60℃にて12時間反応させた。この反応液を冷却後、減圧下メタノールを留去し、ヘキサンにて洗浄した。濾過後、残渣をpH=2の水3Lに分散させ、酢酸エチルを加えて抽出した。その後、水洗し、酢酸エチル層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下、酢酸エチルを留去して析出物を得た。そのメタノールに溶解させ水に滴下し、再沈殿させ析出物を濾過した。この再沈殿操作を2回繰り返し、残渣を80℃にて48時間乾燥させ、下記化学式(X1)に示すスチレン誘導体を26.5g(収率=23.8%)得た。
【0323】
【化48】
【0324】
(2)スチレン誘導体(X1)とスチレンとの2種類の共重合体(Y1)の合成(化学式(X1):スチレン=5.0:95.0のmol比の仕込み)
スチレン誘導体(X1)4.68g、スチレン60.09gをトルエン39mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱した。この溶液に、トルエン39mLとtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日本油脂株式会社製、商品名:パーブチルI)4.27gの混合液を25分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却し、THF150mLに溶解させた。この溶液をメタノール滴下し反応物を沈殿させ、濾過し、減圧下90℃で20時間乾燥させ、共重合体(Y1)を47.3g得た。
【0325】
得られた共重合体(Y1)は、前記スチレン誘導体(X1)から得られ、ユニットAに非対応であるユニット(L)、及び前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)から構成されている。
【0326】
【化49】
【0327】
(比較例2)
(1)下記化学式(X2)に示すスチレン誘導体の合成
p−クレゾール50.0gをアセトン450mLに溶解させ、炭酸カリウム94.5gを加えて、56℃に加熱した。この反応液に4−(クロロメチル)スチレン72.7gを30分間で滴下し、56℃にて12時間反応させた。この反応液を冷却後、濾過し、濾液のアセトンを減圧下留去し、出てきた残渣をヘキサンにて洗浄した。濾過後、残渣をトルエンにて再結晶した。濾過後、残渣を80℃にて48時間乾燥させ、下記化学式(X2)に示すスチレン誘導体を43.2g(収率=42.5%)得た。
【0328】
【化50】
【0329】
(2)スチレン誘導体(X2)とスチレンとの2種類の共重合体(Y2)の合成(化学式(X2):スチレン=5.0:95.0のmol比の仕込み)
スチレン誘導体(X2)3.56g、スチレン31.44gをトルエン21mLに分散させ、窒素気流下(50mL/min)110℃まで加熱した。この溶液に、トルエン21mLとtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI)2.31gの混合液を17分間で滴下した。更に110℃で4時間反応した後、冷却し、THF150mLに溶解させた。この溶液をメタノール滴下し反応物を沈殿させ、濾過し、減圧下90℃で20時間乾燥させ、共重合体(Y2)を27.9g得た。
【0330】
得られた共重合体(Y2)は、前記スチレン誘導体(X2)から得られ、ユニットAに非対応であるユニット(M)、及び前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)から構成されている。
【0331】
【化51】
【0332】
(比較例3)
特開平06−95435号公報記載の化合物例No.1−4である下記化学式で示される市販品のビニルフェノールとスチレンとの共重合体(Y3)(丸善石油化学株式会社製、商品名:マルカリンカーCST、Mw=3000〜5000、Mn=1900〜3300)を用いた。
【0333】
前記市販の共重合体(マルカリンカーCST、Y3)は、下記構成単位であるユニット(N)及び前記化学式(3)で示されるユニットBに対応するユニット(B−1)から構成されている。
【0334】
【化52】
【0335】
前記実施例1〜12及び比較例1〜3で得られた各共重合体を用いた帯電性能評価試験について、実施例A〜Dに示す。
【0336】
(実施例A) 荷電制御剤の帯電性試験Aにおける荷電制御特性の評価
前記実施例1で得られた共重合体(B1)1重量部、スチレン−アクリル共重合樹脂(三井化学株式会社製、商品名:CPR−100)100重量部を予備混合したのち、加熱ロール(株式会社栗本鐵工所製、商品名:S−1、KRCニーダ)で溶融混練した。冷却後、超遠心粉砕機(株式会社Retsch製、商品名:ULTRA
CENTRIFUGAL MILL、スクリーン目開き1.5mm)で粗粉砕し、分級機付きエアージェットミル(株式会社セイシン企業製、商品名:CO−JET)により、平均粒径をレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名:Partica
LA−950)にて測定し、9.5〜10.5μmになるよう微粉砕を行った。この樹脂粒子2.5重量部と、鉄粉キャリア(パウダーテック株式会社製、商品名:TEFV200/300)50.0重量部とを100mLの軟膏瓶にいれ、ボールミル回転架台(株式会社アサヒ理化製作所製、商品名:小型ボールミル回転架台AV−1)で100rpmにて回転させながら、設定した時間毎に得られる混合物を採取し、ブローオフ帯電量測定機(東芝ケミカル株式会社製、商品名:TB−200)を使用して、以下の条件にて帯電量を測定した。得られた負帯電性確認データの結果を表6及び
図10に示した。
測定条件:金属メッシュ目開き34μm 圧力10.0kPa 吸引力10.0kPa 吸引時間10.0秒
【0337】
更に、前記実施例で得られた共重合体B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12と前記比較例で得られた共重合体Y1、Y2、Y3とを、それぞれ前記共重合体B1と同様に帯電性試験Aを行った。その結果を表6〜8及び
図10に示した。
【0338】
【表6】
【0339】
【表7】
【0340】
【表8】
【0341】
(実施例B) 実施例Aで得られた樹脂粒子である荷電制御剤の環境安定性評価
前記共重合体B1〜B12及び比較共重合体Y1〜Y3を用い前記実施例Aで得られた各樹脂粒子について、下記の環境安定性評価を行った。その結果を表9に示した。
鉄粉キャリア(パウダーテック株式会社製、商品名:TEFV200/300)50.0重量部と前記帯電性試験Aの条件にて作成した各樹脂粒子を100mL軟膏瓶にいれ、中央に1cmの穴の空いた蓋をした。これを恒温恒湿器(東京理化機械株式会社製、商品名:エンビロスKCL−2000W)中のボールミル機(株式会社アサヒ理化製作所製、ボールミル回転架台)にセットし、各設定された温度と湿度の環境下で24時間放置した。24時間後、100mL軟膏瓶を100rpmにて回転させながら、15分間撹拌後、混合物を採取し、ブローオフ帯電量測定機(東芝ケミカル株式会社製、商品名:TB−200)を使用して、以下の条件にて帯電量を測定した。
測定条件:金属メッシュ目開き34μm 圧力10.0kPa 吸引力10.0kPa 吸引時間10.0秒
【0342】
【表9】
ここで、LLは低温低湿、HHは高温高湿を示すものとする。
【0343】
(実施例C) 荷電制御剤の帯電性試験Bにおける荷電制御特性の評価
前記実施例1で得られた共重合体(B1)1重量部、ポリエステル樹脂(三菱レーヨン株式会社製 商品名:ER−508)100重量部を予備混合したのち、加熱ロール(株式会社栗本鐵工所製、商品名:S−1、KRCニーダ)で溶融混練した。冷却後、超遠心粉砕機(株式会社Retsch製、商品名:ULTRA
CENTRIFUGAL MILL、スクリーン目開き1.5mm)で粗粉砕し、分級機付きエアージェットミル(株式会社セイシン企業製、商品名:CO−JET)により、平均粒径をレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名:Partica
LA−950)にて測定し、9.5〜10.5μmになるよう微粉砕を行った。この樹脂粒子2.5重量部と、鉄粉キャリア(パウダーテック株式会社製、商品名:TEFV200/300)50.0重量部とを100mLの軟膏瓶にいれ、ボールミル回転架台(株式会社アサヒ理化製作所製、商品名:小型ボールミル回転架台AV−1)で100rpmにて回転させながら、設定した時間毎に得られる混合物を採取し、ブローオフ帯電量測定機(東芝ケミカル株式会社製、商品名:TB−200)を使用して、以下の条件にて帯電量を測定した。得られた負帯電性確認データの結果を表10及び
図11に示した。
測定条件:金属メッシュ目開き34μm 圧力10.0kPa 吸引力10.0kPa 吸引時間10.0秒
【0344】
更に、前記実施例で得られた共重合体B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12と前記比較例で得られた共重合体Y1、Y2、Y3とを、それぞれ前記共重合体B1と同様に帯電性試験Bを行った。その結果を表10〜12と
図11に示した。
【0345】
【表10】
【0346】
【表11】
【0347】
【表12】
【0348】
(実施例D) 実施例Cで得られた樹脂粒子である荷電制御剤の環境安定性評価
前記共重合体B1〜B12及び比較共重合体Y1〜Y3を用い前記実施例Cで得られた各樹脂粒子について、前記実施例Bと同様に環境安定性評価を行った。その結果を表13に示した。
【0349】
【表13】
ここで、LLは低温低湿、HHは高温高湿を示すものとする。
【0350】
図から明らかなとおり、本発明の荷電制御剤は、高速回転であるか低速回転であるかに関わらず、帯電の立ち上がりが速く、更に荷電量が高かった。