特許第6142392号(P6142392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6142392
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】遊技機の基板ケース
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170529BHJP
   A63F 5/04 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
   A63F5/04 512Z
   A63F5/04 512C
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-165783(P2013-165783)
(22)【出願日】2013年8月9日
(65)【公開番号】特開2015-33485(P2015-33485A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148287
【氏名又は名称】株式会社浅間製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南川 直哉
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−170593(JP,A)
【文献】 特開2011−056000(JP,A)
【文献】 特開2012−192045(JP,A)
【文献】 特開2010−167124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス本体と、前記ボックス本体に着脱可能なカバー本体とからなり内部に回路基板が収容される基板ケース本体と、
前記ボックス本体の一方の端部から外側に向かって突出し、前記一方の端部に沿った所定の幅を有するボックス側突出部と、
前記ボックス側突出部に対向するようにして前記カバー本体の一方の端部から外側に向かって突出し、前記一方の端部に沿った所定の幅を有するカバー側突出部と、
前記ボックス側突出部と前記カバー側突出部との幅方向の一方側で、かつ前記ボックス側突出部と前記カバー側突出部との間に位置する支点を中心として回転可能な状態で、前記ボックス側突出部と前記カバー側突出部との間に設置され、回転することにより外側に向かって突出する切断部材と、
前記ボックス側突出部と前記カバー側突出部とに掛け渡され、前記切断部材が前記ボックス側突出部と前記カバー側突出部との間から外側に突出するときに切断される封印シールと、
前記支点が位置する前記ボックス側突出部と前記カバー側突出部とを前記封印シールとともに覆って前記ボックス本体と前記カバー本体とを分離不能にし、外側に向かって移動することにより、前記切断部材を回転させて前記封印シールを切断させるシールカバーと、
前記ボックス側突出部と前記シールカバーおよび前記カバー側突出部と前記シールカバーの少なくとも一方に形成され、前記シールカバーが外側に向かって移動するときに、前記シールカバーの移動方向が前記切断部材の回転方向に沿うように前記シールカバーをガイドするガイド部と
を備えたことを特徴とする遊技機の基板ケース。
【請求項2】
前記切断部材の先端部に弾性を有する係合片を設けるとともに、前記シールカバーに突部を設け、前記シールカバーを外側から前記ボックス側突出部と前記カバー側突出部とに取り付ける際に、前記突部が前記係合片を乗り越えて前記係合片の回転方向の後端部に係合するようにした請求項1に記載の遊技機の基板ケース。
【請求項3】
前記ボックス本体と、前記カバー本体との少なくとも一方に、前記切断部材の先端側で、前記係合片と前記突部とが係合する部分を覆う閉塞部を設けた請求項2に記載の遊技機の基板ケース。
【請求項4】
前記切断部材と前記シールカバーとに、前記切断部材が外側に向かって回転することを防止する回転防止機構を設けた請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載の遊技機の基板ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機を制御するための回路基板を収容する遊技機の基板ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機は、回路基板に備わった記憶部に記憶されたプログラムやデータに基づいてゲームが進行するようになっており、この回路基板は基板ケースの中に収容されて遊技機の内部に設置されている。また、記憶部には法律により定められた当たりの確率を決定するデータも記憶されており、これを、勝手に変更することは違法になる。このため、基板ケースには、封印シールが設けられ、基板ケースを開いた場合には、封印シールの破断状態により、封印を解除したことが分かるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この基板ケースは、ベース側貼付部を備えたボックスベースと、カバー側貼付部を備えたボックスカバーとを備えており、ベース側貼付部とカバー側貼付部との間に切断部材が挿入されている。そして、ベース側貼付部とカバー側貼付部を跨いで、ICチップ、アンテナ部および接続部を備えた封印シールを貼着し、その上にシールカバー体を被せて封印シールを覆っている。また、切断部材の両側には、シールカバー体の両内側面に係合する係止爪が設けられており、シールカバー体をスライドさせてベース側貼付部とカバー側貼付部から外すと、切断部材がシールカバー体と一緒に移動して、封印シールの切断部を切断する。これによって、ICチップに記憶されたデータが読み取り不能になったり、切断部を目視したりすることで封印が解除されたことを認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−115222号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、前述した基板ケースでは、切断部材の両側に設けられた係止爪が、シールカバー体の両内側面に係合するため、シールカバー体を取り外す際に、シールカバー体を、傾けた状態でスライドさせると、切断部材の一方のみがシールカバー体に引っ掛かってガタついたり、スライドさせ難くなったりすることがある。このため、従来の基板ケースでは、シールカバー体をベース側貼付部とカバー側貼付部とに対して真っ直ぐにスライドさせるように移動させなければならず、操作性がよいものではなかった。
【0006】
また、封印シールを確実に切断するためには、切断部材を一端部を中心に回転させることが好ましいが、このような切断部材を用いてシールカバー体を真っ直ぐにスライドさせると、切断部材の回転により切断部材とシールカバー体との係合がすぐに解除されてしまい、切断部材の回転角度を大きくすることができない。このため、封印シールには小さな切断部しか形成されず、封印が解除されたか否かの判断が難しくなるという問題がある。
【0007】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、シールカバーを外す際の操作がスムーズで、封印シールを確実に切断できる遊技機の基板ケースを提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明に係る遊技機の基板ケースの構成上の特徴は、ボックス本体(10a)とボックス本体に着脱可能なカバー本体(20a)とからなり内部に回路基板が収容される基板ケース本体と、ボックス本体の一方の端部から外側に向かって突出し一方の端部に沿った所定の幅を有するボックス側突出部(13)と、ボックス側突出部に対向するようにしてカバー本体の一方の端部から外側に向かって突出し一方の端部に沿った所定の幅を有するカバー側突出部(23)と、ボックス側突出部とカバー側突出部との幅方向の一方側で、かつボックス側突出部とカバー側突出部との間に位置する支点(13c)を中心として回転可能な状態でボックス側突出部とカバー側突出部との間に設置され回転することにより外側に向かって突出する切断部材(31)と、ボックス側突出部とカバー側突出部とに掛け渡され、切断部材がボックス側突出部とカバー側突出部との間から外側に突出するときに切断される封印シール(33)と、支点が位置するボックス側突出部とカバー側突出部とを封印シールとともに覆ってボックス本体とカバー本体とを分離不能にし、外側に向かって移動することにより、切断部材を回転させて封印シールを切断させるシールカバー(34)と、ボックス側突出部とシールカバーおよびカバー側突出部とシールカバーの少なくとも一方に形成されシールカバーが外側に向かって移動するときにシールカバーの移動方向が切断部材の回転方向に沿うようにシールカバーを傾斜させるガイド部(13a,13b,23a,23b,34d,34e)とを備えたことにある。
【0009】
本発明に係る遊技機の基板ケースでは、回路基板を収容するボックス本体とカバー本体とのそれぞれの一方側の端部に、ボックス側突出部とカバー側突出部とが対向して形成されている。そして、ボックス側突出部とカバー側突出部との間に、ボックス側突出部とカバー側突出部との幅方向の一方側に位置する支点を中心として回転可能な状態で切断部材が配置されており、この切断部材は、回転することにより、ボックス側突出部とカバー側突出部との間から外側に突出する。また、ボックス側突出部とカバー側突出部とにはボックス本体とカバー本体とを分離不能にして取り付けられ、外側に向かって移動することにより、切断部材を回転させるシールカバーが設けられている。
【0010】
このため、封印シールをボックス側突出部とカバー側突出部との隙間に掛け渡して貼り付けた状態から、シールカバーを外側に移動させると、切断部材が回転して封印シールを切断しながら外部に突出する。この場合、シールカバーは、ガイド部によって、切断部材の回転方向に沿うように傾斜した方向に移動する。この場合の移動方向は、シールカバーをボックス側突出部とカバー側突出部との端部に直交する方向に対して傾斜した方向、すなわち、回転する切断部材の先端部が移動する方向に沿った方向である。これによって、シールカバーが切断部材を外部に突出させるときの突出量を増加させることができる。
【0011】
すなわち、切断部材は、所定位置の支点を中心として回転するため、シールカバーをボックス側突出部とカバー側突出部との端部に直交する方向に真っ直ぐ移動させた場合には、切断部材が回転し始めて比較的早い段階で切断部材とシールカバーとの係合が解除されてしまう。このため、封印シールに十分認識できる大きさの切断部を設けることができないおそれがある。しかしながら、シールカバーが切断部材の回転方向に沿うように傾斜した方向に移動すると、切断部材とシールカバーとの係合が解除される時期が遅くなるため、その分、切断部材の外部への突出量が増加するようになる。これによって、封印シールに生じる切断部を容易に認識できるようになる。
【0012】
また、本発明に係る遊技機の基板ケースの他の構成上の特徴は、切断部材の先端部に弾性を有する係合片(31e)を設けるとともに、シールカバーに突部(36)を設け、シールカバーを外側からボックス側突出部とカバー側突出部とに取り付ける際に、突部が係合片を乗り越えて係合片の回転方向の後端部に係合するようにしたことにある。
【0013】
本発明によると、切断部材に弾性を有する係合片が設けられ、シールカバーに係合片に係合可能な突部が設けられている。このため、シールカバーを、封印シールが貼り付けられたボックス側突出部とカバー側突出部とに取り付ける際に、突部を係合片に位置合わせするようにして、シールカバーをボックス本体とケースカバーとに近づけていくと、突部は、係合片を撓ませるようにして乗り越えて、係合片の回転方向の後端部に係合する。そして、突部が、係合片を乗り越えたのちに、係合片は元の状態に戻るため、切断部材とシールカバーとは係合状態を維持する。
【0014】
また、本発明に係る遊技機の基板ケースのさらに他の構成上の特徴は、ボックス本体と、カバー本体との少なくとも一方に、切断部材の先端側で、係合片と突部とが係合する部分を覆う閉塞部(14,24)を設けたことにある。本発明によると、シールカバーを取り外すことによって、ボックス本体と、カバー本体とを外す通常の操作によらず、外部からの操作により、切断部材の係合片とシールカバーの突部との係合を解除させて、切断部材を回転させることなくシールカバーを取り外して、ボックス本体と、カバー本体とを分離可能にすることを防止できる。これによって、不正に基板ケースが開けられることを防止できる。
【0015】
また、本発明に係る遊技機の基板ケースのさらに他の構成上の特徴は、切断部材とシールカバーとに、切断部材が外側に向かって回転することを防止する回転防止機構(31d,37)を設けたことにある。本発明によると、シールカバーがボックス側突出部とカバー側突出部とを分離不能にして取り付けられているときに、切断部材が不意に回転して、封印シールを切断することを防止できる。また、シールカバーを、封印シールが貼り付けられたボックス側突出部とカバー側突出部とに取り付ける際に、反動によって切断部材が回転して、封印シールを切断することも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る基板ケースを示した斜視面である。
図2】基板ケースの分解斜視図である。
図3】切断部材を示しており、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図である。
図4図2の状態から収容ボックス、カバーおよび切断部材を組み付けた状態を示した斜視図である。
図5図4のボックス側突出部とカバー側突出部とに封印シールを貼り付けた状態を示した斜視図である。
図6】シールカバーを前側上方から見た状態を示した斜視図である。
図7】シールカバーを後側上方から見た状態を示した斜視図である。
図8】シールカバーを示しており、(a)は側面図、(b)は背面図である。
図9図8(a)の9−9断面図である。
図10図8(a)の10−10断面図である。
図11】基板ケースを示した平面面である。
図12】封印シールが貼り付けられたボックス側突出部とカバー側突出部からシールカバーを取り外す状態を示した平面図である。
図13】封印シールが貼り付けられたボックス側突出部とカバー側突出部からシールカバーを取り外した状態を示した平面図である。
図14】シールカバーを取り外して封印シールを切断した状態を示した斜視図である。
図15】シールカバーを取り外すときのシールカバーの移動方向を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る遊技機の基板ケースを図面を用いて説明する。図1は同実施形態に係る基板ケースAを示しており、図2は基板ケースAを分解した状態を示している。なお、以下の説明において、前後、左右、上下の各方向は、図1に基づくものとし、図1における左下方が前方、右上方が後方、左上方が左側、右下方が右側であるとする。この基板ケースAは、パチンコ機(図示せず)に組み込まれるもので、収容ボックス10と、収容ボックス10に着脱可能なカバー20とを備えており、内部に、回路基板(図示せず)が収容されている。この回路基板にはパチンコ機に備わっている各装置を制御するためのプログラムや、当たりの確率を決定するためのデータ等が記憶された記憶部を含む回路や電子部品が備わっている。
【0018】
収容ボックス10は、ボックス本体10aと、ボックス側突出部13と、カシメ板収容下部14とで構成されている。ボックス本体10aは、上部および後部が開放された扁平箱状の外郭部11の内部に、平面視が略コ字状の枠からなる基板収容部12を形成して構成されている。外郭部11は、矩形の底部11aと、底部11aの前端の縁部から上方に突出した前壁部11bと、底部11aの左右の縁部から上方に突出した側壁部11c,11dとで構成されている。また、前壁部11bの上端における左側部分には、上下が短く左右に長い小さな凹部11eが形成されている。
【0019】
基板収容部12は、側壁部11c,11dとそれぞれ間隔を保った状態で前壁部11bの後面から底部11aの後端部近傍まで延びる側壁部12a,12bと、底部11aの上面で側壁部12a,12bの後端部間に掛け渡された後壁部12cとで構成されている。側壁部11cと側壁部12aとの間隔は、後述するカバー20の側壁部21d(図11〜13参照)を余裕を持って挿入できる幅に設定され、側壁部11dと側壁部12bとの間隔は、後述するカバー20の側壁部21eを余裕を持って挿入できる幅に設定されている。
【0020】
基板収容部12の高さは、外郭部11よりも少し低くなっており、この基板収容部12と、底部11aと、前壁部11bとで囲まれる部分は回路基板を設置できる大きさに形成されている。また、後壁部12cの後面における左右両側には、後方に突出する一対の係合突片12d,12eが形成されている。さらに、側壁部11cと側壁部12aとの間の後部側部分における側壁部12aの上下方向の中央部分に、連結係合部12f(図11〜13参照)が掛け渡され、側壁部11dcと側壁部12bとの間の後部側部分における側壁部12bの上下方向の中央部分に、連結係合部12gが掛け渡されている。
【0021】
ボックス側突出部13は、ボックス本体10aの前端部から前方に突出する板状部分で構成されており、前壁部11bの中央部分から左側部分にかけて形成されている。このボックス側突出部13は、前後よりも左右に長く形成されており、左右の側部13a,13bは、それぞれ前壁部11bから前方左側に傾斜して延びている。側部13a,13bの前方(側壁部11c,11dが延びている方向)に対する傾斜角は、10度程度に設定されている。
【0022】
また、側部13aの上端の高さは前壁部11bの上端の高さと同じに設定され、側部13bの上端の高さは前壁部11bの上端の高さよりも少し低く設定されている。そして、ボックス側突出部13の上面における左側部分には、内面にねじが形成された円筒状の支持部13cが上方に向かって形成されている。さらに、側部13aの左側には、側部13aと平行して前壁部11bから斜め前方に延びる短い挟持突片13dが形成されている。
【0023】
カシメ板収容下部14は、ボックス本体10aの前端部右側から前方に突出しており、略箱状に形成された外周下部14aの内部に、左右に間隔を保って配置された一対の固定下部14b(一方しか図示せず)を形成して構成されている。外周下部14aの後壁部は、前壁部11bの一部と共通して構成され、左側壁部の高さは、後壁部を構成する前壁部11bの高さと同じになっている。そして、外周下部14aの前壁部と右側壁部とは、他の部分よりも上方に延びて高くなっており、前壁部はボックス側突出部13の前端よりも前方に位置している。
【0024】
一対の固定下部14bは、外周下部14a内で上下に延び、平面視が前後に長い四角形に形成された筒状に形成されており、外周面の下部の所定部分が棒状の連結部14d(図11〜13参照)によって、外周下部14aの内面に連結されている。固定下部14bの下端は外周下部14aの下端と同じ高さに位置し、固定下部14bの上端は外周下部14aの左側壁部の上端と右側壁部の上端との中間(前壁部11bの上端と前壁部の上端との中間も同じ)の高さに位置している。また、外周下部14aの前壁部の上部には左右に細長いスリット14cが形成されている。
【0025】
カバー20は、カバー本体20aと、カバー側突出部23と、カシメ板収容上部24とで構成されている。カバー本体20aは、ボックス本体10aの上部を覆える大きさの蓋で構成されており、ボックス本体10aとで本発明に係る基板ケース本体を構成している。このカバー本体20aは、天井部21aと、周壁部21bとで構成されており、天井部21aは、中央から左側にかけての部分が右側部分よりも高くなった段違いに形成されている。周壁部21bは、天井部21aの前端の縁部から下方に延びる前壁部21cと、天井部21aの左右の縁部から下方に延びる側壁部21d,21eと、天井部21aの後端の縁部から下方に延びる後壁部21f(図11〜13参照)とで構成されている。
【0026】
側壁部21d,21eの前後方向の中央部分には、係合溝22(側壁部21dの係合溝は図示せず)がそれぞれ形成されている。この係合溝22は、前方に位置する溝前部22aと後方に位置する溝後部22bとからなっており、溝前部22aは側壁部21d,21eの下縁部に沿って前後に延びる凹部からなり、溝後部22bは溝前部22aの後端上部から後方に延びる細長い凹部からなっている。この係合溝22は、収容ボックス10にカバー20を組み付けたときに、連結係合部12f,12gに係合する。また、後壁部21fの左右両側には、後壁部12cの係合突片12d,12eに係合可能な係合穴22c,22d(図11−13参照)が形成されている。
【0027】
カバー側突出部23は、カバー本体20aの前端部から前方に突出する板状部分で構成されており、前壁部21cの中央部分から左側部分にかけて形成されている。このカバー側突出部23は、前後よりも左右に長く形成されており、左右の側部23a,23bは、それぞれ前壁部21cから前方左側に傾斜して延びている。側部23a,23bの前方(側壁部21d,21eが延びている方向)に対する傾斜角は、10度程度に設定されている。また、側部23aの下端の高さは、側部23bの下端の高さよりも少し低く設定されている。そして、カバー側突出部23の左側部分には、上方に貫通するねじ挿通穴23cが形成され、カバー側突出部23の左右の中央部分には、ねじ挿通穴23cを中心とした円弧状のガイド溝23dがカバー側突出部23の後端から前端にわたって形成されている。
【0028】
カシメ板収容上部24は、カバー本体20aの前端部右側から前方に突出しており、略箱状に形成された外周上部24aの内部に、左右に間隔を保って配置された一対の固定上部24b,24cを形成して構成されている。外周上部24aは、カシメ板収容下部14の外周下部14aよりも少し小さく形成されて、外周下部14a内に収容可能になっている。また、カシメ板収容上部24の上端の高さは、天井部21aと同じで、下端の高さはカバー側突出部23の下部の高さと略同じになっているが、外周上部24aの前壁部の下端の高さは他の部分よりも高くなってこの部分に凹部が形成されている。そして、この前壁部はカバー側突出部23の前端よりも前方に位置しており、前壁部の前面上部には、外周下部14aのスリット14cに係合できる左右に細長い係合部24dが形成されている。
【0029】
固定上部24b,24cは、外周上部24a内で上下に延び、平面視が前後に長い四角形に形成された筒状に形成されており、外周面の所定部分が棒状の複数の連結部24eによって、外周上部24aの内面に連結されている。固定上部24b,24cの上端は外周上部24aの上端と同じ高さに位置し、固定上部24b,24cの下端は外周上部24aの上端と下端との中間の高さに位置している。
【0030】
このように構成されたカバー20は、側壁部11cと側壁部12aとの間に側壁部21dを入れ、側壁部11dと側壁部12bとの間に側壁部21eを入れるようにして、収容ボックス10に対して後方からスライドさせることにより、収容ボックス10に組み付けられる。この場合、収容ボックス10の連結係合部12f,12gが、係合溝22の溝前部22aの下部から上部に入ったのちに溝後部22b内に入ることにより、係合溝22と連結係合部12f,12gとが係合する。また、外周下部14aのスリット14cに、外周上部24aの係合部24dが係合し、ボックス本体10aの係合突片12d,12eに、カバー本体20aの係合穴22c,22dが係合する。これによって、カバー20は、収容ボックス10に対して上方にはずれることはなくなる。
【0031】
さらに、ボックス側突出部13の上方に、カバー側突出部23が重なるように位置し、ボックス側突出部13とカバー側突出部23との間には空間が形成される。また、側部13aと側部23aとは接触してボックス側突出部13とカバー側突出部23との左側部は閉塞されるが、ボックス側突出部13とカバー側突出部23との前部から右側部にかけての部分には隙間が形成される。そして、支持部13cの上方にねじ挿通穴23cが位置する。
【0032】
また、カシメ板収容下部14の外周下部14aの内部上方に、カシメ板収容上部24の外周上部24aが位置し、一対の固定下部14bの上方に、固定上部24b,24cが位置し、一対の固定下部14bと固定上部24b,24cとは、それぞれ上下に連通した筒状に形成される。後述する切断部材31が取り付けられた状態の収容ボックス10とカバー20における一対の固定下部14bと固定上部24b,24cとには、それぞれ固定用の板金25a,25b(図11〜13参照)が無理嵌めされて、収容ボックス10とカバー20とは分離できなくなる。また、カシメ板収容下部14とカシメ板収容上部24とは、ボックス側突出部13とカバー側突出部23との右側に位置しており、このカシメ板収容下部14とカシメ板収容上部24とによって、本発明に係る閉塞部が構成される。
【0033】
また、基板ケースAには、前述した収容ボックス10とカバー20の他、切断部材31、封印シール33およびシールカバー34も備わっている。切断部材31は、図3(a)〜(c)に示したように、本体部分31aが左右に長い薄板状に形成されており、その前側縁部に凸部と凹部が交互に配置された波状の刃部31bが形成され、左端部近傍に上下に貫通する回転中心穴31cが形成されている。本体部分31aにおける回転中心穴31cが形成された部分は他の部分よりも肉厚に形成され、回転中心穴31cは、内部に支持部13cが挿通できる大きさに形成されている。
【0034】
また、本体部分31aの後部における左右方向の中央近傍には、後方に突出した突片が形成されており、この突片の上面に上方に延びる係合棒31dが形成されている。さらに、本体部分31aの右端には弾性係合片31eが形成されている。弾性係合片31eは、本体部分31aの右端部側部分に後部から前部側に延びる細長い凹部を設けることによって形成されており、本体部分31aに連結された前部よりも後部が右側に突出している。そして、この弾性係合片31eは、左側または右側に付勢されることにより後部が左側または右側に撓み、付勢が解除されることにより、元の形状に復元する。
【0035】
このように構成された切断部材31を、ボックス側突出部13とカバー側突出部23との間の空間に設置する場合には、まず、カバー20が組み付けられていない状態の収容ボックス10のボックス側突出部13における支持部13cを回転中心穴31cに挿通させて切断部材31を、ボックス側突出部13に組み付ける。そして、図4に示したように、収容ボックス10にカバー20を組み付けて、カバー側突出部23のねじ挿通穴23cにねじ32を通し、そのねじ32を支持部13cのねじ穴に螺合させる。
【0036】
これによって、切断部材31が、ボックス側突出部13とカバー側突出部23との間の空間で、支持部13cを中心として回転可能になるとともに、収容ボックス10とカバー20とは互いに固定される。切断部材31が後方に位置しているときには、本体部分31aにおける係合棒31dが設けられた突片は、前壁部11bの凹部11e内に位置する。また、切断部材31が前方に向かって回転するときに、係合棒31dは、ガイド溝23d内の後端部から前方に向かって移動し、切断部材31における刃部31bや弾性係合片31e側部分は、ボックス側突出部13とカバー側突出部23との隙間を通過する。
【0037】
そして、切断部材31が組み付けられたボックス側突出部13とカバー側突出部23との上面、前面および下面にかけての部分に封印シール33を貼り付けて、図5の状態にする。この場合、係合棒31dの上端部は、封印シール33の後方で上方に突出している。封印シール33は、可撓性を有する樹脂フィルムからなる矩形のフィルムの裏面に粘着層を形成して構成されており、側方から見た状態でコ字状になるように折り曲げて、ボックス側突出部13とカバー側突出部23とに貼り付けられる。このため、切断部材31が前方に移動したときに、封印シール33は刃部31bによって切断される。
【0038】
シールカバー34は、後面が開放された左右に長い箱形に形成されており、封印シール33が貼り付けられたボックス側突出部13とカバー側突出部23とを前方から覆うことのできる大きさに形成されている。すなわち、シールカバー34は、図6ないし図10に示したように、前面部34a、前面部34aの上下の縁部から対向して後方に延びる天井部34bと底面部34c、および、前面部34aの左右の縁部から対向して後方に延びる側面部34d,34eで構成されている。
【0039】
側面部34d,34eは、ともに後部よりも前部が左側に位置した傾斜部で構成されており、その前方に対する傾斜角は、前述した側部13a,13bおよび側部23a,23bの傾斜角と同じ角度に設定されている。側部13a,13b、側部23a,23bおよび側面部34d,34eで本発明に係るガイド部が構成される。また、側面部34dの後部側で下部側の部分には、左方向に突出する上面部、下面部および側面部を備え、側面部が、前面部34a、天井部34bおよび底面部34cとそれぞれ直交する位置にある断面形状がコ字状の突部35が形成されている。
【0040】
側面部34eの上下方向の中央には、右方向に突出してその右端部が突部35の側面部と平行し、平面視が略三角形になった一対の突片35a,35bが上下に間隔をおいて形成されている。さらに、側面部34eの内面における後部側で上下方向の中央部分には、平面視で前面が平面になり後面が曲面に形成された先細りの小突部36が側面部34d側に向かって形成されている。この小突部36は、切断部材31の弾性係合片31eの後端部に係合できる。また、天井部34bの後端における左右方向の中央には、天井部34bの下面に凹部が形成されるように上方に突出した膨出部37が設けられている。
【0041】
このシールカバー34を、封印シール33が貼り付けられたボックス側突出部13とカバー側突出部23とに取り付ける場合には、図5に示したように、シールカバー34を封印シール33の前方やや左側の位置から、二点鎖線で示した僅かに傾斜した方向に移動させる。この場合、シールカバー34は、側面部34d,34eの内面を側部13a,13bおよび側部23a,23bに摺接させながら移動していく。そして、小突部36が切断部材31の弾性係合片31eに当接すると、シールカバー34は弾性係合片31eを左側に撓ませながらさらに後方に移動する。小突部36が弾性係合片31eの後端部を越えると、弾性係合片31eは元の状態に戻り、後端部が小突部36の前面に係合する。また、側面部34dの下部は、側部13aと挟持突片13dとの間に挟持される。
【0042】
これによって、シールカバー34の後端部は、ボックス側突出部13とカバー側突出部23との後端部に達して前方に引っ張られない限りボックス側突出部13とカバー側突出部23から外れなくなる。また、このとき、切断部材31の係合棒31dの上端部は、膨出部37の内部に位置して切断部材31が前方に回転することを防止する。また、係合棒31dと膨出部37の内面前部とは、小突部36が弾性係合片31eの後端部を越えるときに生じる振動によって、切断部材31が回転することも防止する。この係合棒31dと膨出部37とで、本発明に係る回転防止機構が構成される。以上のようにして、図1に示した基板ケースAが得られる。
【0043】
つぎに、基板ケースAを開封するときの動作について説明する。この場合、図11に示した状態から、シールカバー34を前方に引っ張って、図12に示した状態にする。このとき、シールカバー34は、側面部34d,34eの内面を側部13a,13bおよび側部23a,23bに摺接させながら斜め前方に移動していき、これによって、小突部36が弾性係合片31eの後端部を前方に移動させる。このため、切断部材31は、図12の状態で時計周り方向に回転し、切断部材31の刃部31bは、ボックス側突出部13とカバー側突出部23との隙間から前方外部に突出していく。これによって、刃部31bが封印シール33の前面を右端部から左側に向けて切断していき、係合棒31dが封印シール33の上面を後端部から前方に向けて切断していく。
【0044】
シールカバー34が、ボックス側突出部13およびカバー側突出部23を覆っている間は、側部13a,13b、側部23a,23bおよび側面部34d,34eがそれぞれ、切断部材31の先端が回転する方向に傾斜しているため、切断部材31が回転しても小突部36と弾性係合片31eとは係合した状態に維持される。このため、封印シール33は確実に切断される。さらに、シールカバー34を前方に引っ張ると、図13および図14に示したように、シールカバー34は、ボックス側突出部13およびカバー側突出部23から離れていく。このとき、弾性係合片31eの後端部は、小突部36に引っ張られて右側に撓むようになり、切断部材31には最も大きな回転力が加わるようになる。このため、封印シール33に生じる切断部は確実に大きくなっていき、その後、小突部36と弾性係合片31eとの係合は解除される。
【0045】
また、図15には、シールカバー34を、ボックス側突出部13とカバー側突出部23とに対して着脱する際のシールカバー34の移動の軌道を示している。このような直線方向にシールカバー34を移動させることにより、小突部36と弾性係合片31eとが係合した状態を長く維持して、封印シール33に生じる切断部を大きくすることができる。そして、封印シール33を、さらに、ボックス側突出部13とカバー側突出部23との隙間に沿って切断するとともに、カシメ板収容下部14とカシメ板収容上部24とから板金25a,25bを取り外すことにより、収容ボックス10からカバー20が取り外し可能になる。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る基板ケースAでは、回路基板を収容するボックス本体10aとカバー本体20aとのそれぞれの前端部に、ボックス側突出部13とカバー側突出部23とが対向して形成されている。そして、ボックス側突出部13とカバー側突出部23との間に、支持部13cを中心として回転可能な状態で切断部材31が設置され、ボックス側突出部13とカバー側突出部23とには、前方に向かって引っ張られることにより、切断部材31を前方に回転させるシールカバー34が取り付けられている。このため、封印シール33をボックス側突出部13とカバー側突出部23との前面側に掛け渡して貼り付けた状態から、シールカバー34を前方に移動させると、切断部材31が回転して封印シール33を切断する。
【0047】
この場合、シールカバー34は、側部13a,13b等からなるガイド部によって、切断部材31の回転方向に沿うように傾斜した方向に移動するため、切断部材31の弾性係合片31eとシールカバー34の小突部36との係合が解除される時期が遅くなる。これもよって、切断部材31の前方への突出量が増加して、封印シール33に生じる切断部が大きくなり、切断部の認識が容易になる。また、本実施形態では、ボックス側突出部13とカバー側突出部23との右側近傍に、カシメ板収容下部14とカシメ板収容上部24とが設けられている。このため、シールカバー34が取り付けられたままの状態で、外部からの操作により、弾性係合片31eと小突部36との係合を解除することができなくなる。これによって、不正に基板ケースAが開けられることを防止できる。
【0048】
さらに、本実施形態では、切断部材31に係合棒31dを設け、シールカバー34に、係合棒31dの上端部を内部に位置させて、係合棒31dが不意に前方に移動することを防止する膨出部37を設けている。このため、切断部材31が不意に回転して、封印シール33を切断することを防止できる。また、封印シール33が貼り付けられたボックス側突出部13とカバー側突出部23とに、シールカバー34を取り付ける際に、反動によって切断部材31が回転して、封印シール33を切断することも防止できる。
【0049】
また、本発明に係る遊技機の基板ケースは、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更することができる。例えば、前述した実施形態では、側部13a,13bの前方に対する傾斜角を、10度程度としているが、これは、切断部材31の左右の長さや他の条件に応じて適宜設定される。また、シールカバー34を取り外す際の、移動方向は、直線でなく、切断部材31の先端の回転軌道に沿った円弧状にしてもよい。さらに、本発明に係る遊技機の基板ケースのそれ以外の部分の構成についても本発明の技術的範囲内で適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
10a…ボックス本体、13…ボックス側突出部、13a,13b,23a,23b…側部、13c…支持部、14…カシメ板収容下部、24…カシメ板収容上部、20a…カバー本体、23…カバー側突出部、31…切断部材、31d…係合棒、31e…弾性係合片、33…封印シール、34…シールカバー、34d,34e…側面部、36…小突部、37…膨出部、A…基板ケース。
図1
図2
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図10
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