特許第6142405号(P6142405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6142405
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】パチンコ機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   A63F7/02 312Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-86370(P2016-86370)
(22)【出願日】2016年4月22日
(62)【分割の表示】特願2012-98964(P2012-98964)の分割
【原出願日】2012年4月24日
(65)【公開番号】特開2016-129820(P2016-129820A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2016年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】樋川 星
【審査官】 藤脇 沙絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−70975(JP,A)
【文献】 特開2011−115414(JP,A)
【文献】 特開2005−73806(JP,A)
【文献】 特開2004−249142(JP,A)
【文献】 特開2005−6797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の前面に遊技球が流下可能で、且つ、多数の遊技釘が植設された遊技領域が設けられており、前記遊技領域内に、遊技球が通過可能なゲート部材が設けられているとともに、前記遊技領域内で前記ゲート部材よりも下方となる位置に、遊技球の前記ゲート部材の通過に起因して所定条件が成立した場合に開成し、遊技球の入賞を許容する入賞役物が設けられたパチンコ機であって、
前記遊技領域内で前記ゲート部材よりも下方、且つ、前記入賞役物よりも上方となる位置に、遊技球を前記入賞役物側へ案内する案内路と、左右方向に延びる壁状に形成され、上面が前記案内路の進入口へ向かって下降傾斜する案内部材とが設けられているとともに、
前記案内部材と前記ゲート部材との間の空間が、前記ゲート部材よりも上方空間と比べて遊技釘の植設密度が低い、又は、遊技釘が植設されていない遊技球退避スペースとされており、
さらに、前記ゲート部材の下方に隣接して、前記ゲート部材を通過した遊技球を前記遊技球退避スペースの前記進入口から離れる側へ誘導する誘導部材が設けられていることを特徴とするパチンコ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技領域へ遊技球を打ち込んで遊技するパチンコ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なパチンコ機としては、遊技領域内へ打ち込まれて図柄表示部の左方を流下する遊技球が始動入賞口へ入賞すると、図柄表示部において図柄を変動表示させるとともに所定時間の経過後に確定表示させ、当該確定表示態様が所定の大当たり図柄であると、大入賞装置を断続的に開成させる大当たり状態を生起させるといったものが知られている。そして、たとえば特許文献1に記載されているように、大入賞装置へ遊技球を入賞させる際には、遊技球を図柄表示部の右方を流下させる所謂右打ちを行うようなパチンコ機も考案されている。また、このような右打ちタイプのパチンコ機では、右打ちによって遊技球が流下するスペース内に、遊技球を大入賞装置側へ導く案内路を設けることもある。なお、案内路の通路幅(進入口における開口幅も含む)は、遊技球1個の直径と同程度(1.2倍〜1.5倍程度)とされている場合も多々ある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−156082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような案内路を設けると、案内路の進入口が狭いために該進入口で遊技球がばたつく等して、案内路内への進入に時間がかかる。また、進入口の近傍に遊技釘が多く植設されていると、遊技球の動きに制限が生じるため、案内路内への進入に一層時間がかかってしまう。したがって、進入口及びその近傍に遊技球が集中して凝集しやすく、球詰まりが発生しやすいといった問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、案内路を設けているにも拘わらず、案内路への進入口及びその近傍で球詰まりが発生しにくいパチンコ機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、遊技盤の前面に遊技球が流下可能で、且つ、多数の遊技釘が植設された遊技領域が設けられており、前記遊技領域内に、遊技球が通過可能なゲート部材が設けられているとともに、前記遊技領域内で前記ゲート部材よりも下方となる位置に、遊技球の前記ゲート部材の通過に起因して所定条件が成立した場合に開成し、遊技球の入賞を許容する入賞役物が設けられたパチンコ機であって、前記遊技領域内で前記ゲート部材よりも下方、且つ、前記入賞役物よりも上方となる位置に、遊技球を前記入賞役物側へ案内する案内路と、左右方向に延びる壁状に形成され、上面が前記案内路の進入口へ向かって下降傾斜する案内部材とが設けられているとともに、前記案内部材と前記ゲート部材との間の空間が、前記ゲート部材よりも上方空間と比べて遊技釘の植設密度が低い、又は、遊技釘が植設されていない遊技球退避スペースとされており、さらに、前記ゲート部材の下方に隣接して、前記ゲート部材を通過した遊技球を前記遊技球退避スペースの前記進入口から離れる側へ誘導する誘導部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
なお、遊技盤の前面に遊技球が流下可能で、且つ、多数の遊技釘が植設された遊技領域を設けるとともに、前記遊技領域内に図柄表示部を設け、さらに、前記遊技領域内における前記図柄表示部の右方のスペースを遊技球が流下可能な第1スペース、前記遊技領域内における前記図柄表示部の左方のスペースを遊技球が流下可能な第2スペースとしており、前記遊技領域内への遊技球の打ち込み強度を変化させることによって、遊技球を前記第1スペースと前記第2スペースとの何れ側を流下させるか選択しながら遊技するパチンコ機において、前記第1スペースに、遊技球が通過可能なゲート部材を設けるとともに、前記遊技領域内において前記ゲート部材よりも下方となる位置に、遊技球の前記ゲート部材の通過に起因して所定条件が成立した場合に開成し、遊技球の入賞を許容する入賞役物を設ける一方、前記第1スペースにおいて前記ゲート部材よりも下方となる位置に、前記第1スペースへ打ち込まれた遊技球を前記入賞役物側へ案内する案内路と、左右方向に延びる壁状で、上面が前記案内路の進入口へ向かって下降傾斜する案内部材とを設けるとともに、前記案内部材と前記ゲート部材との間の空間を、前記第1スペースにおける前記ゲート部材よりも上方空間と比べて遊技釘の植設密度が低い、又は、遊技釘が植設されていない遊技球退避スペースとするとともに、前記ゲート部材の下方に隣接して、前記ゲート部材を通過した遊技球を前記遊技球退避スペースの前記進入口から離れる側へ誘導する誘導部材を設けるといった第1の構成を採用することも考えられる。
そして、そのような第1の構成を採用することで、第1スペースへ打ち込まれてゲート部材を通過した遊技球を、第1スペースにおける前記ゲート部材よりも上方空間と比べて遊技釘の植設密度が低い、又は、遊技釘が植設されていない遊技球退避スペース側へと一旦導き、案内部材上に流下させた後、案内部材上を転動させる等して案内路の進入口へ至らせることができる。すなわち、進入口へ至った際の遊技球の流下速度を低減させることができる上、進入口の近傍に、遊技球の動きを制限するような遊技釘が少ない又は植設されていないため、遊技球をスムーズに案内路内へ進入させることができる。したがって、案内路の進入口及びその近傍で遊技球が凝集しにくく、球詰まりの発生を抑制することができるといった効果を奏することができる。
【0008】
また、上記第1の構成を採用したものにおいて前記誘導部材が、前記ゲート部材の下面の左右両端から夫々下方へ一体的に突設された一対の誘導壁であるといった第2の構成を採用することも考えられる。
そして、そのような第2の構成を採用することで、誘導部材が、ゲート部材の下面の左右両端から夫々下方へ一体的に突設された一対の誘導壁であるため、ゲート部材を設置するだけで誘導部材をも設置することができ、作業の容易化を図ることができるし、ゲート部材を通過した遊技球を、誘導壁によって確実に遊技球退避スペース側へ誘導することができるといった効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ゲート部材を通過した遊技球を、ゲート部材よりも上方空間と比べて遊技釘の植設密度が低い、又は、遊技釘が植設されていない遊技球退避スペース側へと一旦導き、案内部材上に流下させた後、案内部材上を転動させる等して案内路の進入口へ至らせることができる。すなわち、進入口へ至った際の遊技球の流下速度を低減させることができる上、進入口の近傍に、遊技球の動きを制限するような遊技釘が少ない又は植設されていないため、遊技球をスムーズに案内路内へ進入させることができる。したがって、案内路の進入口及びその近傍で遊技球が凝集しにくく、球詰まりの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】パチンコ機を前面側から示した説明図である。
図2】遊技盤を前面側から示した説明図である。
図3】パチンコ機を後面側から示した説明図である。
図4図2中における要部Aを拡大して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態となるパチンコ機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0012】
(パチンコ機の全体的な説明)
図1は、パチンコ機1を前面側から示した説明図である。また、図2は、遊技盤2を前面側から示した説明図である。さらに、図3は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。
パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス板を嵌め込み設置してなる前扉4が、左端縁を軸として片開き可能に機枠3に蝶着されており、該前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域16とされている。
【0013】
当該遊技領域16は、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール23及び内レール24等によって囲まれており、遊技領域16の左部における両レール23、24間が遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13とされている。また、遊技領域16の略中央には、「0」〜「9」の数字からなる図柄を表示するための図柄表示部6が設けられている。さらに、図柄表示部6を囲むように種々の電動役物を備えたセンター部材26が遊技盤2に設置されており、遊技領域16におけるセンター部材26の下方(図柄表示部6の下方)には、遊技球が入賞可能な始動入賞口19と、開閉可能な扉部材を有する始動入賞役物17とが設置されている。そして、センター部材26の左方(図柄表示部の左方)には、遊技球が流下可能な左打ち用スペースSLが形成されており、遊技球を該左打ち用スペースSLを流下させることで、始動入賞口19へ入賞させるようになっている。
【0014】
加えて、センター部材26の右方(図柄表示部6の右方)にも遊技球が流下可能な右打ち用スペースSRが形成されている。そして、該右打ち用スペースSRには、遊技球が通過可能なゲート部材60が設けられているとともに、右打ち用スペースSR内でゲート部材60の下方には、右打ち用スペースSRを流下しゲート部材60を通過する等した遊技球を始動入賞役物17側へ誘導する案内路70が設けられている。該案内路70の進入口70aは、右打ち用スペースSR内における後述するような位置に、排出口は、始動入賞役物17の近傍で始動入賞役物17よりも上方となる位置に夫々開口している。さらに、センター部材26の右側には、遊技球が入賞可能な入賞口(図示せず)が設けられているとともに、該入賞口を開閉する翼片付き大入賞装置18が設けられている。なお、センター部材26の左右を問わず、遊技領域16の略全面には、多数の遊技釘80、80・・が植設されている。
【0015】
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、遊技球を発射装置10へ供給するための供給皿7、及び供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が取り付けられており、供給皿7は前扉4の開放に伴い、貯留皿8はミドル枠5の開放に伴い夫々機枠3に対して片開き可能となっている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させるためのハンドル9が回動操作可能に設置されており、ハンドル9の回動量を調整することにより、遊技球の遊技領域16内への打ち込み強度を調整可能としている。加えて、供給皿7の前方には、遊技者が任意に押し込み操作可能な押しボタン25が設けられている。
さらに、前扉4の上部には、効果音や各種メッセージ等を報音する一対のスピーカ14、14が設けられており、前扉4の側部には、パチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のLEDを備えたランプ部材15、15が設けられている。
【0016】
一方、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、払出装置12における払い出し動作を制御する払出制御装置28、及び各制御基板や装置・部材に電源電圧を供給するための電源装置29等が設置されている。また、21は、合成樹脂製のカバー状に形成されたセンターカバーであって、当該センターカバー21の内部には、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂「大当たり抽選」等)を実行するためのメイン制御装置(図示せず)、図柄表示部6における表示動作等を制御する表示制御装置(図示せず)、ランプ部材15の点灯/点滅動作等を制御する発光制御装置(図示せず)、スピーカ14からの報音動作を制御する音制御装置(図示せず)、及び表示制御装置や音制御装置等の動作を統合的に制御するサブ制御装置(図示せず)等が設置されている。尚、22は、パチンコ機1をトランスに接続するためのプラグであり、27は、アースである。
【0017】
以上のようなパチンコ機1では、遊技者によってハンドル9が回動操作されると、発射装置10が作動し、発射通路13を介して遊技球が遊技領域16内へ打ち込まれる。そして、まずはセンター部材26の左方(図柄表示部6の左方)となる左打ち用スペースSL内を流下した遊技球が始動入賞口19へ入賞すると、メイン制御装置にて「大当たり抽選」を行う。該「大当たり抽選」は、乱数から1つの数値を取得する態様で行われ、取得した数値に応じて、「大当たり」であるか「外れ」であるかを決定するとともに、図柄表示部6における図柄の変動時間を決定する。そして、「大当たり抽選」の結果、「大当たり」である場合には、決定した変動時間だけ図柄表示部6にて図柄を変動表示させた後、図柄表示部6に所定の「大当たり図柄」(たとえば、「7、7、7」等)を確定表示させる。さらに当該確定表示後、翼片付き大入賞装置18の翼片を所定回数にわたって断続的に開成するといった所謂「大当たり状態」を生起する。一方、「大当たり抽選」の結果、「外れ」である場合には、決定した変動時間だけ図柄を変動表示させた後、図柄表示部6に「外れ図柄」(たとえば、「1、2、1」等)を確定表示させる。なお、図柄の変動表示中(たとえば図柄表示部6におけるリーチ演出中等)には、サブ制御装置による制御のもと、センター部材26に備えられた各種電動役物(翼片付き大入賞装置18以外)を種々の態様で動作させ、遊技者に「大当たり状態」生起の期待感を抱かせる。
【0018】
また、「大当たり状態」を生起する際しては、右打ち用スペースSRへと遊技球を打ち込む所謂「右打ち」を行うように、図柄表示部6を利用して遊技者に報知する。したがって、遊技者は、右打ち用スペースSRへと遊技球を打ち込み、断続的に開成する翼片付き大入賞装置18へ遊技球を入賞させることによって、多くの賞品球を獲得することができる。
【0019】
さらに、「大当たり状態」の終了後にも右打ちが継続されることによって、右打ち用スペースSRを流下する遊技球がゲート部材60を通過すると、メイン制御装置にて始動入賞役物17の「作動抽選」を実行する。該「作動抽選」も、上記「大当たり抽選」同様に、乱数から1つの数値を取得する態様で行われ、取得した数値に応じて「当たり」であるか「外れ」であるかを決定し、「当たり」であった(所定条件が成立した)場合にのみ、所定時間にわたって始動入賞役物17の扉部材を開成させ、遊技球の入賞を許容する。そして、当該始動入賞役物17への遊技球の入賞を検出すると、メイン制御装置にて上記同様の「大当たり抽選」を実行するとともに、「大当たり抽選」の結果に応じて図柄表示部6で図柄を変動表示及び確定表示させる。
【0020】
なお、始動入賞役物17への遊技球の入賞に応じて実行する「大当たり抽選」では、始動入賞口19への入賞に応じて実行する「大当たり抽選」よりも「大当たり」となる確率が10倍程度高く設定されている。また、ゲート部材60の通過に伴い「作動抽選」を実行するという遊技状態は、「大当たり状態」の終了後、図柄表示部6における図柄の確定表示回数が所定回数(たとえば50回)に達するまで継続する。そして、それ以降は当該遊技状態を終了し、たとえ遊技球がゲート部材60を通過しても「作動抽選」を実行しない(若しくは「作動抽選」における当選確率を0とする)。
【0021】
(遊技球退避スペースSW及び誘導壁61、61を有するゲート部材60に係る構造の説明)
ここで、本発明の要部となる遊技球退避スペースSW、及び遊技球退避スペースSWへ遊技球を誘導する誘導壁61、61を有するゲート部材60に係る構造について、図4にもとづき詳細に説明する。図4は、図2における要部Aを拡大して示した説明図である。
【0022】
遊技球退避スペースSWは、右打ち用スペースSR内において遊技釘80の植設されていない空間であって、内レール24、ゲート部材60、及び案内壁71aにより囲まれている。該遊技球退避スペースSWの上下幅、特にゲート部材60(後述する誘導壁61、61を含む)の下端と案内壁71aとの間の幅は、遊技球の直径の略2倍となっており、遊技球退避スペースSWの左右幅(案内壁71aの左右方向での長さであって、案内路70の進入口70aから内レール24までの間の幅)は、遊技球の直径の略4倍となっている。一方、センター部材26の右側面と、装飾部材71の左側面との間には、略遊技球1個分程度(遊技球の直径の1.2倍〜1.5倍程度)の隙間が設けられており、当該隙間が案内路70とされている。そして、左右方向に延びる装飾部材71の上面が案内壁71aとされており、該案内壁71aの左端部とセンター部材26の右側面との間の空間が、案内路70の進入口70aとなっている。また、案内壁71aの上面は、進入口70a側へなだらかに下降傾斜(傾斜角は略5度となっている)している。したがって、進入口70aへと至っており、遊技球を案内路70へと案内する案内壁71aの上方に、遊技球退避スペースSWが設けられていることになる。
【0023】
なお、案内壁71aの下面(内面)側には、図示しない補強リブが設けられており、勢いよく衝突する遊技球に対する耐久性の向上が図られている。さらに、装飾部材71とは、図示しないLEDが内蔵され、種々のタイミングでLEDが点灯/点滅するという演出を実行する発光部材72、72を備えてなるもので、内レール24の内面に沿った遊技領域16の外周縁部に設置されている。
【0024】
一方、ゲート部材60は、上述したように遊技球が通過可能に構成されたものであって、遊技球退避スペースSWの上方左寄り、具体的にはゲート部材60の左方の空間(センター部材26の右側面までの空間で、案内路70の上方となる空間)に比べて、ゲート部材の60の右方の空間(内レール24までの空間で、遊技球退避スペースSWの上方となる空間)の方が広くなるような位置であり、且つ、翼片付き大入賞装置18よりも下方となる位置に設置されている。また、ゲート部材60の下面には、一対の誘導壁61、61が一体的に設けられている。各誘導壁61は、ゲート部材60の下面の左右何れかの端部に設けられており、ゲート部材60を通過した遊技球は誘導壁61、61間へ進入可能となっている。また、各誘導壁61は、右方へ曲がりながら下方へと延設されており、誘導壁61、61間へ進入した遊技球を遊技球退避スペースSWの右方、すなわち案内路70から離れる側へと誘導するようになっている。
【0025】
ここで、上記遊技球退避スペースSW及びゲート部材60を備えたパチンコ機1において、右打ち用スペースSRへと打ち込まれた遊技球の流下態様について説明すると、右打ち用スペースSRへと打ち込まれた遊技球のうちゲート部材60を通過する遊技球は、通過後に誘導壁61、61によって遊技球退避スペースSWへ、特に案内路70から離れる側へ誘導される。また、ゲート部材60を通過しなかった遊技球についても、その大部分は、より広いゲート部材60の右方を通過し、遊技球退避スペースSWへ流下する。その後、案内壁71aに衝突し、案内壁71a上を転動しながら案内路70側へ移動する。そして、最終的には、進入口70aを介して案内路70内へ進入することになる。
【0026】
(本実施形態のパチンコ機による効果)
以上のような構成を有するパチンコ機1によれば、案内路70の進入口70aへと下降傾斜しながら至る案内壁71aを設け、該案内壁71aの上方空間を、上下方向で遊技球の直径の略2倍、左右方向で遊技球の直径の略4倍にわたり遊技釘80を植設していない遊技球退避スペースSWとするとともに、遊技球退避スペースSWの上方にゲート部材60を設け、該ゲート部材60に、ゲート部材60を通過した遊技球を遊技球退避スペースSW側へと誘導する誘導壁61、61を設けている。そして、ゲート部材60を通過した遊技球を一旦遊技球退避スペースSWへと退避させ、案内壁71a上へ流下させた後、案内壁71a上を転動させて案内路70内へ進入させるようになっている。すなわち、進入口70aへ至った際の遊技球の流下速度を低減させることができる上、進入口70aの近傍に遊技球の動きを制限するような遊技釘80が植設されていないため、遊技球をスムーズに案内路70内へ進入させることができる。したがって、案内路70の進入口70a及びその近傍で遊技球が凝集しにくく、球詰まりの発生を抑制することができる。
【0027】
また、誘導壁61、61をゲート部材60に一体的に設けているため、ゲート部材60を設置するだけで誘導壁61、61をも設置することができ、作業の容易化を図ることができるし、ゲート部材60を通過した遊技球を、誘導壁61、61によって確実に遊技球退避スペースSW側へ誘導することができる。
さらに、ゲート部材60を、案内路70の上方となる空間に比べて、遊技球退避スペースSWの上方となる空間の方が広くなるような位置に設置しているため、ゲート部材60を通過しなかった遊技球についても、その大部分を遊技球退避スペースSWへ流下させることができ、一層効果的に球詰まりの発生を抑制することができる。
加えて、装飾部材71の上面を案内壁71aとしているため、構造の合理化を図ることができ、設置作業の容易化は勿論、部品点数の削減等をも図ることができる。
【0028】
(本発明の変更例について)
なお、本発明のパチンコ機に係る構成は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、パチンコ機全体の構成は勿論、ゲート部材や誘導壁、案内壁、遊技球退避スペース等に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更可能である。
【0029】
たとえば、上記実施形態では、遊技球退避スペースSWには遊技釘80を全く植設しないとしているが、遊技球の動きを必要以上に制限しない程度であれば、遊技球退避スペースSWに遊技釘80を植設してもよい。すなわち、右打ち用スペースSR内で比較するのであれば、遊技球退避スペースSWにおける遊技釘80、80・・の植設密度(単位面積当たりに植設されている遊技釘80、80・・の本数)が、ゲート部材60よりも上方のスペースにおける遊技釘80、80・・の植設密度よりも低ければよい。また、左打ち用スペースSLと比較するのであれば、遊技球退避スペースSWにおける遊技釘80、80・・の植設密度が、左打ち用スペースSLにおける遊技釘80、80・・の植設密度よりも低ければよい。さらに、遊技領域16全体で考えるのであれば、遊技領域16全体における遊技釘80、80・・の平均植設密度よりも、遊技球退避スペースSWにおける遊技釘80、80・・の植設密度が低ければよい。
【0030】
また、上記実施形態では、ゲート部材60の通過に伴って所定条件が成立すると、始動入賞役物17が開成し、始動入賞役物17への遊技球の入賞に伴って別途所定条件が成立すると、翼片付き大入賞装置18が開成するとしているが、始動入賞役物17と翼片付き大入賞装置18との機能を代えてパチンコ機を構成することも可能である。すなわち、翼片付き大入賞装置18が翼片付き始動入賞役物として、始動入賞役物17が扉付きの大入賞装置として構成されており、ゲート部材60の通過に伴って所定条件が成立すると翼片付き始動入賞役物が開成し、翼片付き始動入賞役物への入賞に伴って別途所定条件が成立すると、扉付きの大入賞装置が開成するといったような構成としても何ら問題はなく、当該構成も請求項1で規定する「遊技球のゲート部材の通過に起因して所定条件が成立した場合に開成し、遊技球の入賞を許容する入賞役物」を「遊技領域内においてゲート部材よりも下方となる位置に」設けるという構成に含まれる。
【0031】
さらに、案内部材の上面を、進入口71aへ向かって下降傾斜させるにあたり、案内壁71a自体を傾斜させるのではなく、たとえば案内壁71aの上面に、進入口71aへ向かって下降傾斜するテーパ面を形成してもよい。さらにまた、案内壁71aを装飾部材72とは別の独立した部材としてもよく、たとえば、平板状の案内部材を、上面が進入口71aへ向かって下降傾斜するような傾斜姿勢で立設するように構成しても何ら問題はない。またさらに、誘導壁61、61をゲート部材60とは独立した部材とし、ゲート部材60の下方に隣接して別途設置するように構成したり、ゲート部材60の下方に隣接して遊技釘を複数本並設することにより、誘導壁61、61と同様に作用する誘導部材とするといった構成を採用することも可能である。
加えて、遊技球退避スペースSWの広さについても適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0032】
1・・パチンコ機、2・・遊技盤、6・・図柄表示部、16・・遊技領域、17・・始動入賞役物、18・・翼片付き大入賞装置、60・・ゲート部材、61・・誘導壁(誘導部材)、70・・案内路、70a・・進入口、71・・装飾部材、71a・・案内壁、72・・装飾部材(案内部材)、80・・遊技釘、SL・・左打ち用スペース(第2スペース)、SR・・右打ち用スペース(第1スペース)、SW・・遊技球退避スペース。
図1
図2
図3
図4