特許第6142408号(P6142408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6142408
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】治具用電解剥離剤
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/06 20060101AFI20170529BHJP
   C25F 5/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   C25D17/06 J
   C25F5/00
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-565356(P2016-565356)
(86)(22)【出願日】2016年1月29日
(86)【国際出願番号】JP2016052588
(87)【国際公開番号】WO2016147709
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2016年10月19日
(31)【優先権主張番号】特願2015-50567(P2015-50567)
(32)【優先日】2015年3月13日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591021028
【氏名又は名称】奥野製薬工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 祐介
(72)【発明者】
【氏名】北 晃治
【審査官】 内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−062999(JP,A)
【文献】 米国特許第3912603(US,A)
【文献】 特開昭58−213900(JP,A)
【文献】 特開2009−030151(JP,A)
【文献】 特開2002−363761(JP,A)
【文献】 杉山卓之輔,めっき治具の電解はく離法と治具改善について I,実務表面技術,日本,1980年,Vol.27 No.9,Page.442-447
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D9/00−9/12
C25D13/00−21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)成分及び(E)成分を含有する治具用電解剥離剤であって;
(A)硝酸及びその塩から選択される少なくとも一種、
(B)アンモニア、アンモニウム塩、エチレンアミン化合物、アルキルジアミン化合物及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも一種、
(C)臭化物、
(E)酸化剤、
前記(E)酸化剤は、過硫酸塩、ハロゲンオキソ酸、ハロゲンオキソ酸塩、三酸化クロム、クロム酸塩、過マンガン酸塩及び過酸化水素水からなる群より選択される少なくとも一種である、治具用電解剥離剤。
【請求項2】
(D)銅イオンを含有する、請求項1に記載の治具用電解剥離剤。
【請求項4】
下記(A)〜(C)成分を含有する治具用電解剥離剤をパラジウムが付着した被処理物と接触させることを特徴とする、パラジウム除去方法;
(A)硝酸及びその塩から選択される少なくとも一種、
(B)アンモニア、アンモニウム塩、エチレンアミン化合物、アルキルジアミン化合物及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも一種、
(C)臭化物。
【請求項5】
陰極、及び、被処理物である陽極を、治具用電解剥離剤に接触させて電解剥離を行う、請求項4に記載のパラジウム除去方法。
【請求項6】
陰極が隔膜によって隔離されている、請求項5に記載のパラジウム除去方法。
【請求項7】
治具用電解剥離剤が空気攪拌される、請求項4〜6のいずれかに記載のパラジウム除去方法。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれかに記載のパラジウム除去方法を行うことにより、三酸化クロムを含有する酸性エッチング液中に蓄積するパラジウムの濃度を抑制する方法。
【請求項9】
請求項4〜7のいずれかに記載のパラジウム除去方法を行うことにより、マンガンを含有する酸性エッチング液中に蓄積するパラジウムの濃度を抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治具用電解剥離剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂成形体に電気めっき皮膜を形成する方法としては、被めっき物に脱脂及びエッチングを行った後、必要に応じて、エッチング残渣を除去するために酸洗処理を行い、更に触媒吸着性を高めるコンディショナー処理を行い、次いで、錫化合物及びパラジウム化合物を含有するコロイド溶液を用いて無電解めっき用触媒を付与し、その後必要に応じて活性化処理を行い、無電解めっき、又は電気めっきを順次行う方法が一般的な方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述の方法において、一般的に、被めっき物を固定するためにめっき用治具が使用されている。めっき用治具は、通電のためにステンレス等の金属により形成されており、通電部分以外は塩化ビニル、ポリオレフィン、フッ素系樹脂などの絶縁材料でコーティングされている。
【0004】
めっき用治具の通電部分に析出した金属皮膜を剥離する方法としては、硝酸水溶液に浸漬させる方法、電解剥離剤を含有する水溶液に浸漬し電解する方法等が挙げられる。
【0005】
しかしながら、電解剥離剤を用いて電解剥離を行うと、めっき用治具の絶縁材料コーティング部分に付着したパラジウムを十分に除去できないという問題がある。めっき用治具は繰り返し使用されるため、めっき用治具に付着したパラジウムはエッチング溶液に溶解し、蓄積される。エッチング液には三酸化クロムと硫酸のクロム酸混液が広く使用されており、パラジウムの蓄積量が増加するとエッチング性能が低下するので、エッチング性能を維持するために、液温を調整したり、クロム酸混液の濃度組成を調整させたりする必要があり、エッチング液の管理が複雑になるという問題がある。
【0006】
また、エッチング液として、クロム酸混液に代えて、マンガンを有効成分として含む酸性のエッチング液が用いられる場合があるが、上述のクロム酸混液が用いられる場合と同様に、めっき用治具に付着したパラジウムがエッチング液に溶解して蓄積されエッチング性能が低下するという問題がある。
【0007】
更に、上述の電解剥離剤を用いて電解剥離を行うと、めっき用治具の通電部分のステンレス等の金属が浸食されるという問題がある。
【0008】
従って、めっき用治具の通電部分に付着したパラジウムを除去する際に、絶縁材料コーティング部分に付着したパラジウムも除去することができ、めっき用治具の通電部分の金属の浸食が抑制されている治具用電解剥離剤の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第98/45505号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、めっき用治具の通電部分に付着したパラジウムを十分に除去することができ、絶縁材料コーティング部分に付着したパラジウムも除去することができ、且つ、めっき用治具の通電部分の金属の浸食が抑制されている治具用電解剥離剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、(A)硝酸及びその塩から選択される少なくとも一種、(B)アンモニア、アンモニウム塩、エチレンアミン化合物、アルキルジアミン化合物及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも一種、及び(C)臭化物を含有する治具用電解剥離剤によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記の治具用電解剥離剤に関する。
1.下記(A)〜(C)成分を含有する治具用電解剥離剤;
(A)硝酸及びその塩から選択される少なくとも一種、
(B)アンモニア、アンモニウム塩、エチレンアミン化合物、アルキルジアミン化合物及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも一種、
(C)臭化物。
2.(D)銅イオンを含有する、項1に記載の治具用電解剥離剤。
3.(E)酸化剤を含有する、項1又は2に記載の治具用電解剥離剤。
4.項1〜3のいずれかに記載の治具用電解剥離剤をパラジウムが付着した被処理物と接触させることを特徴とする、パラジウム除去方法。
5.陰極、及び、被処理物である陽極を、治具用電解剥離剤に接触させて電解剥離を行う、項4に記載のパラジウム除去方法。
6.陰極が隔膜によって隔離されている、項5に記載のパラジウム除去方法。
7.治具用電解剥離剤が空気攪拌される、項4〜6のいずれかに記載のパラジウム除去方法。
8.項4〜7のいずれかに記載のパラジウム除去方法を行うことにより、三酸化クロムを含有する酸性エッチング液中に蓄積するパラジウムの濃度を抑制する方法。
9.項4〜7のいずれかに記載のパラジウム除去方法を行うことにより、マンガンを含有する酸性エッチング液中に蓄積するパラジウムの濃度を抑制する方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の治具用電解剥離剤によれば、(A)硝酸及びその塩から選択される少なくとも一種、(B)アンモニア、アンモニウム塩、エチレンアミン化合物、アルキルジアミン化合物及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも一種、(C)臭化物を含有するので、めっき用治具の通電部分に付着したパラジウムを十分に除去することができ、絶縁材料コーティング部分に付着したパラジウムも除去することができ、且つ、めっき用治具の通電部分の金属の浸食を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
<治具用電解剥離剤>
本発明の治具用電解剥離剤は、(A)硝酸及びその塩から選択される少なくとも一種、(B)アンモニア、アンモニウム塩、エチレンアミン化合物、アルキルジアミン化合物及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも一種、及び(C)臭化物を含有する。本発明の治具用電解剥離剤は、上記(A)〜(C)成分を含有していれば他の組成については特に限定されないが、通常は、上記(A)〜(C)成分が溶解した水溶液として用いられる。
【0016】
(A)成分
(A)成分は、硝酸及びその塩から選択される少なくとも1種である。硝酸及びその塩としては特に限定されないが、水溶性のものが好ましい。硝酸塩としては、具体的には、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸カルシウム、硝酸鉄、硝酸銀、硝酸鉛、硝酸亜鉛、硝酸バリウム等が挙げられる。中でも、めっき用治具の通電部分であるステンレスが腐食し難く、沈殿の発生が抑制されて安定して使用できる点で、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸カルシウムを用いることが好ましい。
【0017】
上記硝酸又は硝酸塩は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
(A)成分の治具用電解剥離剤中の含有量は、1〜500g/Lが好ましく、5〜200g/Lがより好ましく、更に好ましくは10〜100g/Lである。治具用電解剥離剤中の(A)成分の含有量が少な過ぎると、めっき用治具の通電部分であるステンレスが腐食するおそれがあり、多過ぎるとミストが発生して作業環境を低下させるおそれがあり、設備の腐食を促進するおそれがある。
【0019】
(B)成分
(B)成分は、アンモニア、アンモニウム塩、エチレンアミン化合物、アルキルジアミン化合物及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも一種である。
【0020】
上記アンモニア、アンモニウム塩、エチレンアミン化合物、アルキルジアミン化合物、及びアミノ酸類としては特に限定されないが、パラジウムと水溶性の錯体を形成できる化合物であることが好ましい。
【0021】
アンモニム塩としては、具体的には、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等が挙げられる。
【0022】
エチレンアミン化合物としては、具体的には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
【0023】
アルキルジアミン化合物としては、具体例には、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
【0024】
アミノ酸類としては、具体的には、グリシン、アラニン、システイン等が挙げられる。
【0025】
上記(B)成分としては、めっき用治具の絶縁材料コーティング部分に付着したパラジウムを十分に除去できる点でアンモニア及び/又はアンモニム塩が好ましく、中でも、硫酸アンモニウム、臭化アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウムがより好ましい。
【0026】
(B)成分の治具用電解剥離剤中の含有量は、1〜500g/Lが好ましく、10〜400g/Lがより好ましく、更に好ましくは30〜300g/Lである。治具用電解剥離剤中の(B)成分の含有量が少な過ぎるとパラジウムの除去が十分でないおそれがあり、多過ぎると臭気が強くなり作業環境が悪くなるおそれがある。
【0027】
上記アンモニア、アンモニウム塩、エチレンアミン化合物、アルキルジアミン化合物またはアミノ酸類は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
(C)成分
(C)成分は、臭化物である。臭化物としては特に限定されないが、水溶性のものが好ましい。臭化物としては、具体的には、臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化アンモニウム、臭化銀、臭化鉛、臭化亜鉛、臭化アルミニウム等が挙げられる。中でも、めっき用治具の絶縁材料コーティング部分に付着したパラジウムを十分に除去でき、沈殿の発生が抑制されて安定して使用できる点で、臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化アンモニウムを用いることが好ましい。
【0029】
上記臭化物は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
(C)成分の治具用電解剥離剤中の含有量は、1〜300g/Lが好ましく、5〜200g/Lがより好ましく、更に好ましくは10〜100g/L である。治具用電解剥離剤中の(C)成分の含有量が少な過ぎると、めっき用治具の絶縁材料コーティング部分に付着したパラジウムを十分に除去できないおそれがあり、めっき用治具の通電部分に析出したニッケル皮膜を十分に剥離できないおそれがある。多過ぎると、めっき用治具の通電部分であるステンレスが腐食するおそれがある。
【0031】
(他の成分)
本発明の治具用電解剥離剤は、上記(A)〜(C)成分以外の他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、(D)銅イオン、(E)酸化剤、(F)錯化剤等が挙げられる。
【0032】
(D)成分
本発明の治具用電解剥離剤は、パラジウム除去性をさらに向上させるために、(D)銅イオンを含んでいてもよい。銅イオンとしては、特に限定されず、例えば、銅化合物が本発明の電解剥離剤に溶解して形成された銅イオンが挙げられる。銅化合物としては、本発明の電解剥離剤に溶解して銅イオンを付与することができれば特に限定されないが、水溶性のものが好ましい。このような銅化合物としては、例えば、硫酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、酢酸銅、硝酸銅、酸化銅等が挙げられる。中でも、めっき用治具の絶縁材料コーティング部分に付着したパラジウムの除去性に優れ、めっき用治具の通電部分であるステンレスが腐食し難い点で、硫酸銅、臭化銅、酢酸銅、硝酸銅、酸化銅を用いることが好ましい。
【0033】
上記(D)銅イオンとしては、また、金属銅を電解酸化させることによって得られる銅イオンを用いてもよい。この場合、本発明の治具用電解剥離剤中に金属銅を浸漬させ、その金属銅を電解酸化すればよい。
【0034】
(D)成分の治具用電解剥離剤中の含有量は、0.01〜100g/Lが好ましく、0.1〜50g/Lがより好ましく、更に好ましくは1〜30g/Lである。治具用電解剥離剤中の(D)成分の含有量が少な過ぎるとパラジウムの除去性が十分に向上しないおそれがあり、多過ぎると銅化合物のスラッジが発生し易くなるおそれがある。
【0035】
(E)成分
本発明の治具用電解剥離剤は、パラジウム除去性をさらに向上させるために、(E)酸化剤を含んでいてもよい。酸化剤としては、特に限定されず、例えば、過硫酸塩、ハロゲンオキソ酸、ハロゲンオキソ酸塩、三酸化クロム、クロム酸塩、過マンガン酸塩、過酸化水素等が挙げられる。中でも、めっき用治具の絶縁材料コーティング部分に付着したパラジウムの除去性に優れ、めっき用治具の通電部分であるステンレスが腐食し難い点で、過硫酸塩、ハロゲンオキソ酸、ハロゲンオキソ酸塩が好ましく、過硫酸塩、臭素酸、臭素酸塩がより好ましい。
【0036】
上記過硫酸塩としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等を用いることができる。また、上記臭素酸塩としては、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、臭素酸アンモニウム等を用いることができる。
【0037】
上記酸化剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0038】
(E)成分の治具用電解剥離剤中の含有量は、0.01〜100g/Lが好ましく、0.05〜50g/Lがより好ましく、更に好ましくは0.1〜20g/Lである。治具用電解剥離剤中の(E)成分の含有量が少な過ぎると、パラジウムの除去性が十分に向上しないおそれがあり、多過ぎるとめっき用治具の通電部分であるステンレスが腐食し易くなるおそれがある。
【0039】
(F)成分
本発明の治具用電解剥離剤は、(F)錯化剤を含んでいてもよい。治具用電解剥離剤が錯化剤を含有することで、金属水酸化物の沈殿の発生を抑制することができる。錯化剤としては、特に限定されず、例えば、酢酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。中でも、排水処理を実施する際に金属凝集剤により金属イオンを容易に除去できる点で、酢酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸が好ましい。
【0040】
上記錯化剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
(F)成分の治具用電解剥離剤中の含有量は、0.1〜200g/Lが好ましく、1〜100g/Lがより好ましく、更に好ましくは5〜50g/Lである。治具用電解剥離剤中の(F)成分の含有量が少な過ぎると、金属水酸化物の沈殿発生に対する抑制効果が十分でないおそれがあり、多過ぎるとめっき用治具の絶縁材料コーティング部分に付着したパラジウムの除去性が低下するおそれがある。
【0042】
他の添加剤
本発明の治具用電解剥離剤は、溶媒を含んでいてもよい。本発明の治具用電解剥離剤は、通常溶媒に上記(A)〜(C)成分が溶解しており、必要に応じて上記(D)〜(F)成分及び他の添加剤が添加されて溶解している。上記溶媒としては、水等を用いることができ、水を用いることがより好ましい。すなわち、本発明の治具用電解剥離剤は、水に上記(A)〜(C)成分が溶解しており、必要に応じて上記(D)〜(F)成分及び他の添加剤が添加されて溶解している水溶液であることが好ましい。
【0043】
本発明の治具用電解剥離剤のpHは、4以上が好ましく、6以上がより好ましく、8以上が更に好ましい。pHが低過ぎると、金属化合物のスラッジが発生し易くなるおそれがあり、治具の通電部分の金属材料が侵食され易くなるおそれがある。また、治具用電解剥離剤のpHは、12以下が好ましく、10以下がより好ましい。pHが高過ぎると、臭気が強くなり作業環境が悪くなるおそれがある。
【0044】
<パラジウム除去方法>
本発明は、また、上記治具用電解剥離剤をパラジウムが付着した被処理物と接触させるパラジウム除去方法でもある。
【0045】
上記被処理物は、被めっき物に無電解めっき、又は電気めっきを行う際に、被めっき物を固定するためのめっき用治具である。当該めっき用治具は、めっきを行うための通電部分を備えており、通電部分以外の箇所には浸食を抑制するために絶縁材料で被覆された絶縁材料コーティング部分を有している。上記めっき用治具は、通電部分を形成する金属材料が絶縁材料に被覆されて絶縁材料コーティング部分が形成されており、金属材料の一部が絶縁材料に被覆されず露出することにより、通電部分が形成されている。このようなめっき用治具は、被めっき物に無電解めっき、又は電気めっきを行う際に、通電部にパラジウムが付着し、更に、絶縁材料の表面にもパラジウムが付着する。
【0046】
金属材料としては通電ができれば特に限定されないが、例えば、ステンレス、チタン等が用いられる。中でも、ステンレスが好適に用いられる。
【0047】
絶縁材料としては、絶縁性を示すことができれば特に限定されないが、塩化ビニル、ポリオレフィン、フッ素系樹脂等の樹脂を用いることができる。中でも、塩化ビニルが好適に用いられる。
【0048】
上記治具用電解剥離剤をパラジウムが付着した被処理物と接触させる方法としては特に限定されず、例えば、従来公知の方法により治具用電解剥離剤中に被処理物を浸漬すればよい。
【0049】
本発明のパラジウム除去方法では、治具用電解剥離剤のpHは、4以上が好ましく、6以上がより好ましく、8以上が更に好ましい。pHが低過ぎると、金属化合物のスラッジが発生し易くなるおそれがあり、治具の通電部分の金属材料が侵食され易くなるおそれがある。また、治具用電解剥離剤のpHは、12以下が好ましく、10以下がより好ましい。pHが高過ぎると、臭気が強くなり作業環境が悪くなるおそれがある。
【0050】
本発明のパラジウム除去方法では、治具用電解剥離剤の液温は、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。治具用電解剥離剤の液温が低過ぎると、パラジウムの除去性が低下するおそれがある。また、治具用電解剥離剤の液温の上限は特に限定されないが、70℃程度が好ましい。治具用電解剥離剤の液温が高過ぎると、治具用電解剥離剤が蒸発し易くなるおそれがあり、且つ、エネルギーコストの点で経済的に不利となるおそれがある。
【0051】
本発明のパラジウム除去方法は、上述のように治具用電解剥離剤中に被処理物を浸漬することにより、通電部分を形成する金属材料の表面に付着したパラジウム、及び、絶縁材料コーティング部分を形成する絶縁材料の表面に付着したパラジウムを除去することが可能であるが、被処理物を陽極として、当該陽極、及び陰極を治具用電解剥離剤に接触させて、電解剥離を行うパラジウム除去方法であることが好ましい。このようなパラジウム除去方法とすることにより、金属材料、及び絶縁材料の表面に付着したパラジウムを更に効率よく剥離することができる。
【0052】
電解剥離に用いられる陰極としては特に限定されず、電解剥離に用いられる従来公知の陰極を用いることができる。このような陰極としては、例えば、ステンレス、銅、ニッケル、鉛、錫、鉄、亜鉛、黄銅、アルミニウム、カーボン等が挙げられる。
【0053】
電解剥離の際の陽極電流密度は、特に限定的ではないが、通常0.3〜15A/dm 程度の広い範囲とすることができるが、電流密度が低過ぎると電解剥離に要する時間が長くなるおそれがあり、電流密度が高過ぎると、金属材料がエッチングされるおそれがある。
【0054】
本発明のパラジウム除去方法が、上記電解剥離を行う方法である場合、上記陰極は、隔膜によって隔離されていることが好ましい。すなわち、上記陰極は、本発明の治具用電解剥離剤に浸漬され、当該陰極は、陰極と接触している周辺の治具用電解剥離剤とともに隔膜で隔離されていることが好ましい。このような構成とすることで、治具用電解剥離剤のパラジウム除去性能の維持性を向上させることができ、また、酸化剤を補給することにより、更にパラジウム除去性能の維持性を向上させることが可能となる。
【0055】
上記隔膜の材質については特に限定はなく、治具用電解剥離剤中において安定な材料であればよい。このような隔膜としては、例えば、カチオン交換膜、アニオン交換膜、メンブレン膜、素焼き膜などが挙げられ、特に、パラジウム除去性能を維持できる点で、過フッ化スルホン酸樹脂カチオン交換膜を用いることが好ましい。
【0056】
本発明のパラジウム除去方法において、治具用電解剥離剤は、空気攪拌されていることが好ましい。治具用電解剥離剤が空気攪拌されることにより、より効率よくパラジウムを除去することが可能となる。
【0057】
空気攪拌の方法は特に限定的ではなく、例えば、市販の空気ポンプを用いて塩化ビニル、ステンレス等の配管により、治具用電解剥離剤中に空気を送り込む方法が挙げられる。
【0058】
上記空気攪拌の際の空気の流量は、浴量1Lあたり0.1〜5.0L/分が好ましく、0.3〜3.0L/分がより好ましい。空気攪拌の際の空気の流量が少な過ぎるとパラジウムの除去の効率が十分に向上しないおそれがあり、多過ぎると液が揮発し易くなるおそれがある。
【0059】
上記説明した本発明のパラジウム除去方法を行うことにより、被処理物である治具に付着したパラジウムを除去することができる。このため、当該治具を繰り返し使用することにより、被めっき物を治具に固定して、三酸化クロムやマンガンを含有する酸性エッチング液に浸漬した場合であっても、治具に付着したパラジウムが酸性エッチング液中に溶解して蓄積することによる、パラジウムの濃度の増加を抑制することができる。このような、三酸化クロムを含有する酸性エッチング液中に蓄積するパラジウムの濃度を抑制する方法、及び、マンガンを含有する酸性エッチング液中に蓄積するパラジウムの濃度を抑制する方法も、本発明の一つである。
【実施例】
【0060】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0061】
(治具用電解剥離剤の調製)
表9〜11に示す配合により、各成分を混合し、実施例1〜15及び比較例1〜8の治具用電解剥離剤を調製した。なお、これらの実施例及び比較例では、硫酸又は水酸化ナトリウムを用いてpHを8.0に調整した。
【0062】
(絶縁材料被覆試料の調製)
絶縁材料が被覆した治具に相当する試料として、以下の樹脂が被覆したプレートを作製した。
【0063】
塩化ビニル樹脂被覆プレート
SUS304の平板(5cm×5cm、厚さ 0.3mm、表面積0.5dm)に市販の軟塩化ビニル系コーティングゾル用ポリマーを塗布し、乾燥させた後、軟塩化ビニル系コーティングゾル(商品名:PG2401(登録商標)、アルファ化成株式会社製)に5秒間浸漬し、180℃で30分間焼き付けることにより、塩化ビニル樹脂被覆プレート(以下、「塩化ビニルプレート」とも示す。)を作製した。
【0064】
ポリエチレン被覆プレート
180℃に加熱したSUS304の平板(5cm×5cm、厚さ0.3mm、表面積 0.5dm)を、平均粒子径1000μmの粉末状ポリエチレン中に1分間浸漬して、180℃で5分間加熱して表面を溶融させて平滑にした。次いで、水中に浸漬して冷却して、ポリエチレン被覆プレート(以下、「ポリエチレンプレート」とも示す。)を作製した。
【0065】
上記のようにして調製された塩化ビニル樹脂被覆プレート及びポリエチレン被覆プレートを用いて、表1〜6に示す処理工程に従ってめっき処理を行い、実施例1〜15及び比較例1〜8の治具用電解剥離剤により、以下に記載のパラジウムの除去性試験を行った。
【0066】
(パラジウムの除去性試験)
めっき用治具の絶縁材料コーティング部分に付着したパラジウムの除去性を評価するために、以下の試験を行った。具体的には、塩化ビニルプレートまたはポリエチレンプレートを表1〜6に記載した処理工程に従って浸漬法により処理を行い、パラジウムを付着させた。なお、各工程間には、水洗を行った。
【0067】
パラジウムを付着させた塩化ビニルプレート又はポリエチレンプレートを実施例1〜15及び比較例1〜8の治具用電解剥離剤に5分間浸漬させた。このときの治具用電解剥離剤の液温は40℃であり、空気攪拌を行う場合は空気の流量を0.5L/分とした。
【0068】
次いで、塩化ビニルプレート又はポリエチレンプレートに付着したパラジウムを10mlの熱王水により剥離溶解させ、溶液をイオン交換水にて容量が100mlとなるように調整し、ICP発光分光分析法によってパラジウム濃度を測定した。測定された濃度から、塩化ビニルプレート又はポリエチレンプレートに付着した単位面積当たりのパラジウム量を算出し、下記式1に従ってパラジウム除去率を算出した。
【0069】
【数1】
【0070】
結果を表12に示す。
【0071】
(ステンレス線の侵食性試験)
めっき用治具の通電部分である、めっき用治具と樹脂成形体との通電接点箇所の侵食性を評価するために、以下の試験を行った。具体的には、SUS304線(φ2mm、長さ5cm)を試験片として用い、表7に記載の条件に従って、実施例1〜8及び比較例1〜8の治具用電解剥離剤を用いて電解処理を行った。試験片の電解処理前後の質量を測定し、下記式2に従って侵食量を算出した。
【0072】
【数2】
【0073】
結果を表13に示す。
【0074】
(銅、ニッケルの剥離性能試験)
めっき用治具の通電箇所に析出した金属皮膜の剥離性能を評価するために、以下の試験を行った。具体的には、SUS304の平板(3cm×3.3cm、厚さ0.3mm、表面積20cm)に、硫酸銅めっき(トップルチナ2000浴、奥野製薬工業(株)製)、又は光沢ニッケルめっき(改良アクナB浴、奥野製薬工業(株)製)を施して、試験片とした。次いで、表8に記載した条件に従って、実施例1〜8及び比較例1〜8の治具用電解剥離剤を用いて10分間電解を行った。電解前及び電解後の試験材の質量を測定し、下記式3に従って、銅またはニッケルの剥離速度を算出した。なお、下記式3において、金属密度は、銅については8.94g/cm、ニッケルについては8.91g/cmとして算出した。
【0075】
【数3】
【0076】
結果を表13に示す。
【0077】
なお、以下の表1〜6において、※は奥野製薬工業株式会社製であることを示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
【表8】
【0086】
【表9】
【0087】
【表10】
【0088】
【表11】
【0089】
【表12】
【0090】
【表13】
【0091】
以上の結果から、本発明の治具用電解剥離剤に浸漬させることによって、めっき用治具の絶縁材料コーティング部分に付着したパラジウムを除去することができることが分かった。更に、実施例6の結果から、治具用電解剥離剤に2価の銅イオンを含有させた場合、又は、実施例7及び8の結果から、治具用電解剥離剤に酸化剤を含有させた場合、パラジウム除去性がさらに向上することが分かった。
【0092】
また、処理工程の違いが及ぼすパラジウム除去性への影響は少なく、処理工程によらず本発明の治具用電解剥離剤に浸漬させることによって、パラジウムを効果的に除去できることが分かった。
【0093】
また、空気攪拌を行わなかった治具用電解剥離剤(実施例14及び15)は、空気攪拌を行った治具用電解剥離剤よりもパラジウム除去性が低く、治具用電解剥離剤を空気攪拌することによりパラジウム除去性が向上することが分かった。
【0094】
表13の結果から、本発明の治具用電解剥離剤はステンレス線の侵食が非常に小さいことから、めっき用治具の通電接点箇所の侵食は少ないことが分かった。また、実施例1〜8では、銅およびニッケルの剥離速度が、それぞれ5μm/分程度、及び4μm/分程度となっており、銅及びニッケルの剥離性能が高いことが判った。
【0095】
これに対し、アンモニア、アンモニウム塩、エチレンアミン化合物、アルキルジアミン化合物およびアミノ酸を含有していない治具用電解剥離剤(比較例1)は、パラジウム除去率が低く、パラジウム除去性が低いことが分かった。臭化物を含有していない治具用電解剥離剤(比較例2)についても同様にパラジウム除去性が低く、さらにニッケルの剥離能力が低いことが分かった。
【0096】
臭化物に代えて、他のハロゲン化物を用いた治具用電解剥離剤については、ハロゲン化物として塩化物を用いた場合はパラジウム除去性が低く、ステンレス線が侵食されることが分かった(比較例4、6、7、8)。ハロゲン化物としてヨウ化物を用いた場合はパラジウム除去性を示すが、ステンレス線の侵食が非常に大きく、また、ニッケルの剥離能力が低いことが分かった(比較例5)。
【0097】
硝酸化合物を含有していない電解剥離剤(比較例3)は、ステンレスの線の侵食が非常に大きいことが分かった。
【0098】
(パラジウムの除去維持性試験)
表14に示す配合により、各成分を混合し、治具用電解剥離剤を調製した。当該治具用電解剥離剤のpHは、水酸化ナトリウム水溶液で8.0に調整した。得られた治具用電解剥離剤を用いて、表15に示す条件により、表16に示す隔膜、又は酸化剤を用いて電解を行った。実施例16〜18においては、表16に記載した隔膜により、陰極を陽極から隔離した。実施例16で用いた過フッ化スルホン酸樹脂カチオン交換膜、及び、実施例17で用いた中性メンブレン隔膜については、アクリル製の取り付け具を用いて固定して陰極室を作製し、陽極に接する治具用電解剥離剤から、陰極を隔離した。この際、陰極室内は処理対象と同組成の治具用電解剥離剤で満たした。実施例19〜21において、酸化剤は電解前に治具用電解剥離剤に1g/L含有させ、電解を1時間行う毎に1g/L補給した。
【0099】
電解を行った治具用電解剥離剤に、表1の方法に従ってパラジウムを付着させた塩化ビニルプレートを、40℃の温度条件下で、空気攪拌を0.5L/分の流量で行いながら5分間浸漬させた。
【0100】
次いで、塩化ビニルプレートに付着したパラジウム量を測定し、上記式1に従ってパラジウム除去率を算出した。なお、電解剥離剤浸漬前のパラジウム量は0.250mg/dmであった。
【0101】
結果を表17に示す。
【0102】
【表14】
【0103】
【表15】
【0104】
【表16】
【0105】
【表17】
【0106】
以上の結果から、本発明の治具用電解剥離剤を用い、隔膜によって陰極を処理対象である陽極から隔離すると、パラジウム除去率の持続性が、より向上することが分かった。特に、隔膜として過フッ化スルホン酸樹脂カチオン交換膜を用いると、パラジウム除去の維持性が特に高いことが分かった。また、酸化剤を補給し続けることによってもパラジウム除去性を高い水準で維持できることが分かった。
【0107】
(エッチング液へのパラジウム蓄積性評価試験)
塩化ビニルプレート10枚を用いて、表18に示すように、表1又は表4の工程で処理を行った。次いで、表14に示す治具用電解剥離剤に、当該塩化ビニルプレートを40℃の温度条件下で、空気攪拌を0.5L/分の流量で行いながら5分間浸漬させた。
【0108】
上述の操作を10回繰り返して行った。この際、塩化ビニルプレート10枚は同じものを繰り返し使用した。尚、各処理に用いた処理液の液量は全て1Lであり、各処理の間には水洗を行った。上述の操作を10回繰り返した後、エッチング液中のパラジウム濃度をICP発光分光分析法によって分析し、パラジウム蓄積濃度を測定した。
【0109】
結果を表18に示す。
【0110】
【表18】
【0111】
以上の結果から、本発明の電解剥離剤に浸漬させることによりエッチング液中のパラジウムの蓄積量を抑制できることが分かった(実施例22及び23)。エッチング液の違いによるパラジウム蓄積量への影響は少なく、クロム酸混酸、及び酸性過マンガン酸エッチング液ともにパラジウムの蓄積量は少ないため、安定したエッチング性を維持することが可能であることが分かった。
【0112】
これに対し、治具用電解剥離剤への浸漬を行わない場合(比較例9及び10)、エッチング液中のパラジウム濃度が高くなり、エッチング性が低下することが分かった。
【0113】
(電解剥離剤中のスラッジ量の評価試験)
表20に示す配合により、実施例24〜30の治具用電解剥離剤を調製した。なお、治具用電解剥離剤のpHは、硫酸又は水酸化ナトリウム水様液を用いて調整した。当該電解剥離剤を用いて、SUS304の平板(3cm×3.3cm、厚さ0.3mm、表面積20cm)に施した硫酸銅めっき皮膜(トップルチナ2000浴、奥野製薬工業(株))を、表19に示す条件で電解し、剥離溶解させた。次いで、不溶性の銅化合物由来のスラッジ量を目視により観察し、評価した。
【0114】
結果を表20に示す。
【0115】
【表19】
【0116】
【表20】
【0117】
以上の結果から、電解剥離剤のpHを8〜10に調整することで、不溶性の銅化合物由来のスラッジの発生を抑制できることが分かった。