特許第6142414号(P6142414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6142414
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】食器洗浄機用ノズル及び食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   A47L15/42 S
   A47L15/42 Q
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-137802(P2013-137802)
(22)【出願日】2013年7月1日
(65)【公開番号】特開2015-9011(P2015-9011A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208503
【氏名又は名称】大和冷機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 隆
【審査官】 横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開平1−104959(JP,U)
【文献】 特開2000−254078(JP,A)
【文献】 特開2000−157478(JP,A)
【文献】 特開2010−000298(JP,A)
【文献】 特開平10−057295(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0068259(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/42
A47L 15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を噴射する洗浄ノズル(2)と、
前記洗浄ノズル(2)と一体に構成され、すすぎ水を噴射するすすぎノズル(3)と、
前記洗浄ノズル(2)の外側に設けられ、前記すすぎノズル(3)を挿し込んでこのすすぎノズル(3)内にすすぎ水を供給するすすぎ水供給口(9)と、
を有し、前記洗浄ノズル(2)の外壁に、前記すすぎノズル(3)を収納する凹部(13)を形成した食器洗浄機用ノズル。
【請求項2】
前記すすぎ水供給口(9)の受け口内面に段部(16)を形成するとともに、前記すすぎノズル(3)の挿し口外面に段部(17)を形成し、前記両段部(16、17)の間に水密部材(18)を介在させた請求項1に記載の食器洗浄機用ノズル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の食器洗浄機用ノズル(1)を備えた食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗浄室内に収納した使用済みの食器類に洗浄水及びすすぎ水を順次噴射して、この食器類を洗浄する食器洗浄機に用いる食器洗浄機用ノズル、及び、この食器洗浄機用ノズルを備えた食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食に供した皿、コップ等の使用済み食器類を人手をかけずに洗浄することができる食器洗浄機が、レストラン等の店舗の厨房、一般家庭に広く普及している。この食器洗浄機として、洗浄室内の底面と天井面に、図7に示すように、洗剤を含んだ洗浄水を噴射する洗浄ノズル2と、すすぎ水を噴射するすすぎノズル3とを一体化した食器洗浄機用ノズル1(以下、単にノズル1という。)を備えたタイプのものが主流となっている。そして、洗浄ノズル2から洗浄水、すすぎノズル3からすすぎ水を順次加圧噴射し、この噴射に伴う水圧によってノズル1を回転させながらこの洗浄水及びすすぎ水を満遍なく食器類に吹き付け、この食器類を洗浄するように構成されている。
【0003】
このノズル1は、図8(a)及び(b)に示すように、洗浄ノズル2の中心軸をノズル本体4に水密に嵌め込むとともに、この洗浄ノズル2内に、すすぎノズル3を接続するすすぎ水供給口9を設けた構成となっている。洗浄ノズル2内にすすぎ水供給口9を設けることによって、両ノズル2、3を別々に設ける(例えば、上下に並べて設ける)場合と比較して、ノズル1全体の厚みを減らすことができ、洗浄室内の食器収納量を増やすことができるためである。
【0004】
このノズル1は、このノズル1に付着した残飯の清掃や、洗浄室内の機器点検作業を容易に行い得るようにするために、着脱ねじ11によって洗浄室内に着脱自在に取り付けられている。
【0005】
このノズル1として、他にも種々の態様のものが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62−115861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
食器洗浄機に取り付けられたノズル1は、上で述べたように清掃等の際に頻繁に取り外される。この際に、誤ってこのノズル1を落として破損させてしまうことがよくある。この破損は、特に洗浄ノズル2内のすすぎ水供給口9近傍で発生しやすく、その場合、洗浄工程において加圧された洗浄ノズル2内の洗浄水が破損箇所からすすぎノズル3内に流入することがある。この洗浄水は、洗剤成分や残飯等が含まれていることから、洗浄工程に続くすすぎ工程において、洗剤成分がすすぎ水に混入することによりすすぎ効率が低下したり、残飯がすすぎノズル3の噴射孔12に詰まって所定の噴射状態が得られなかったりする問題が生じる。特に、破損が洗浄ノズル2内で生じた場合、目視でその破損状況を確認できないことから、破損していることに気付かないままそのノズル1を使用し続ける状況もあり得る。
【0008】
そこで、この発明は、洗浄水がすすぎ水に混入するのを防止して、高いすすぎ効率を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、この発明は、洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルと一体に構成され、すすぎ水を噴射するすすぎノズルと、前記洗浄ノズルの外側に設けられ、前記すすぎノズルを挿し込んでこのすすぎノズル内にすすぎ水を供給するすすぎ水供給口と、を有し、前記洗浄ノズルの外壁に、前記すすぎノズルを収納する凹部を形成した食器洗浄機用ノズルを構成した。
【0010】
このようにすると、ノズルを落下して万が一破損が生じたとしても、洗浄水の流路と、すすぎ水の流路が離れているため、すすぎ水に洗浄水が混入するのを防止することができる。このため、すすぎノズル内のすすぎ水を常に洗浄な状態に保つことができ、高いすすぎ効率を確保することができる。
【0011】
しかも、この凹部の深さ分だけ、すすぎノズルの高さを低減することができる。このため、洗浄室内の容積を最大限に確保でき、より大きな食器類を収納することができる。また、このすすぎノズルから噴射されるすすぎ水は、ある程度の噴射角度(拡がり)をもっており、このすすぎノズルから離れるほど、より広い領域に亘って、噴射したすすぎ水を到達させることができる。このように、すすぎノズルの高さを低減させることにより、収納した食器類とすすぎノズルとの十分な間隔を確保できるため、食器類にすすぎ水を満遍なく噴射することができる。このため、そのすすぎ効率を一層高めることができる。
【0012】
前記各構成においては、前記すすぎ水供給口の受け口内面に段部を形成するとともに、前記すすぎノズルの挿し口外面に段部を形成し、前記両段部の間に水密部材を介在させるのが好ましい。
【0013】
水密部材(Oリング等)は、すすぎ水供給口からすすぎ水が漏れるのを防止する。この場合、図9(a)及び(b)に示すように、すすぎノズル3を挿し込むすすぎ水供給口9の内周面(同図(a)を参照)、又は、すすぎノズル3の外周面(同図(b)を参照)に周溝を形成し、この周溝に水密部材18を嵌め込むことが多い。すすぎ水供給口に周溝を形成する場合、その周溝の加工に特殊な工具が必要であり、しかも、その周溝の形成位置によっては、工具と周辺部材との干渉(例えば、図8(b)のノズル本体4のフランジとの干渉)が生じて、加工そのものが極めて困難となる場合がある。また、すすぎノズル3の外周面に周溝を形成する場合、周溝の形成に伴ってこのすすぎノズル3の内径を縮径する必要が生じ(図9(b)を参照)、すすぎ水の流量が減少してすすぎ効率が低下する場合がある。
【0014】
図10に示すように、このすすぎ水供給口9を鋳造でノズル本体4と一体に成形すれば周溝を形成することは可能ではあるが、この鋳造体の鋳肌は凹凸が大きく、このすすぎ水供給口9と水密部材18との間の隙間から水漏れが生じる恐れが高い。
【0015】
これに対して、前記両段部を形成する構成は、特殊な工具を用いることなく容易に段差を形成することができるとともに、すすぎノズルの接続部からの水漏れを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明は、洗浄ノズルとすすぎノズルを一体に構成した食器洗浄機用ノズルにおいて、すすぎ水供給口を洗浄ノズルの外側に設けるとともに、前記洗浄ノズルの外壁に、前記すすぎノズルを収納する凹部を形成する構成を採用した。このように構成することにより、落下等によってこのノズルが破損した場合でも、洗浄ノズル内の洗浄水がすすぎノズルに流入するのを防止することができる。このため、すすぎノズル内のすすぎ水を常に清浄な状態に保つことができ、高いすすぎ効率を確保することができる。しかも、この凹部の深さ分だけ、すすぎノズルの高さを低減することができ、収納した食器類とすすぎノズルとの十分な間隔を確保できるため、食器類にすすぎ水を満遍なく噴射することができる。このため、そのすすぎ効率を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本願発明に係る食器洗浄機用ノズルの一実施形態を示す斜視図
図2図1に示す食器洗浄機用ノズルの平面図
図3図2中のIII−III線に沿う断面図
図4図1に示す食器洗浄機用ノズルの要部を示す断面図
図5図1に示す食器洗浄機用ノズルのすすぎノズルの接続部分を示す断面図
図6】すすぎノズルの接続部分の他例を示す断面図
図7】従来技術に係る食器洗浄機用ノズルを示す斜視図
図8図7に示す食器洗浄機用ノズルを示し、(a)は要部の断面図、(b)はすすぎノズルの接続部分を示す断面図
図9】すすぎ水供給口へのすすぎノズルの挿し込み態様を示す断面図であって、(a)はすすぎ水供給口側に周溝を形成した場合、(b)はすすぎノズル側に周溝を形成した場合
図10】従来技術に係る食器洗浄機用ノズルの他例の要部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願発明に係る食器洗浄機用ノズル1(以下、単にノズル1という。)の一実施形態を図1から図5に示す。このノズル1は、洗剤成分を含んだ洗浄水を洗浄室内に噴射する洗浄ノズル2と、すすぎ水を洗浄室内に噴射するすすぎノズル3とを一体に構成したものであって、例えば洗浄室内の底面と天井面に、着脱自在にかつ回転軸周りに回転自在に取り付けられる。
【0019】
洗浄ノズル2は一方向に長い扁平状の箱状部材であって、その中心軸がノズル本体4に水密に嵌め込まれている。この洗浄ノズル2には、洗浄室内に収納した食器類に向かって洗浄水を噴射する噴射孔5が形成されている。この噴射孔5を垂直方向から若干傾斜して形成すると、噴射孔5から噴出する洗浄水の水圧でノズル1が前記回転軸周りに回転して、洗浄水を食器類に満遍なく噴射することができる。この洗浄ノズル2の、噴射孔5を形成したのと反対側の面側には、洗浄水供給部6が開口している。この洗浄水供給部6に洗浄水ポンプ(図示せず)に接続された洗浄水配管7を挿し込むことによって、洗浄ノズル2に洗浄水が供給される。
【0020】
ノズル本体4は両端が開口した筒状の部材であって、その一端側からすすぎ水配管8が挿し込まれる。このノズル本体4の周面には、すすぎ水供給口9が180度間隔で形成されている。このすすぎ水供給口9は、洗浄ノズル2の外側に位置している。
【0021】
すすぎ水配管8の先端部の周面には、透孔10が90度間隔で形成されている。このすすぎ水配管8の先端部の内面には、雌ねじが形成されている。この雌ねじに着脱ねじ11をねじ込むと、この着脱ねじ11のフランジがノズル本体4の端部と当接し、ノズル1がすすぎ水配管8から脱落するのを防止する。なお、図1等では、この着脱ねじ11を外した状態を図示している。
【0022】
すすぎノズル3は、一端(先端)を閉塞した管状部材である。このすすぎノズル3には、洗浄室内に収納した食器類に向かってすすぎ水を噴射する噴射孔12が形成されている。すすぎノズル3の開口端側をすすぎ水供給口9に挿し込むと、透孔10及びすすぎ水供給口9を通ってすすぎ水がすすぎノズル3に供給され、このすすぎ水が噴射孔12から噴射される。この噴射孔12を垂直方向から若干傾斜して形成すると、噴射孔12から噴出するすすぎ水の水圧でノズル1が回転軸周りに回転して、すすぎ水を食器類に満遍なく噴射することができる。
【0023】
洗浄ノズル2とすすぎノズル3は、平面視において約50度の角度をもって一体化されている。両ノズル2、3を直交させた状態で一体化してもよいが、このように所定の角度をもたせることにより、両ノズル2、3によって形成された鈍角側の隙間から手を差し入れて、例えば、洗浄室の底面に設けられた残飯処理用のカゴをスムーズに取り出すことが可能となる。
【0024】
洗浄ノズル2の外壁には、すすぎノズル3の長さ方向に沿う凹部13が形成されていて、この凹部13内にすすぎノズル3が収納されている。このようにすることにより、この凹部13の深さ分だけ、すすぎノズル3の高さを低減することができる。このため、洗浄室内の容積を最大限に確保でき、より大きな食器類を収納することができる。また、すすぎノズル3の高さを低減することによって、収納した食器類とすすぎノズル3との十分な間隔を確保できるため、食器類にすすぎ水を満遍なく噴射することができる。このため、高いすすぎ効率を確保することができる。
【0025】
この実施形態では、すすぎノズル3は、すすぎ水供給口9に挿し込まれる基部14と、この基部14に挿し込まれる先端部15の二つの部材から構成されている(図5等を参照)。すすぎ水供給口9の受け口内面には、段部16が形成されている。また、基部14の挿し口外面にも、段部17が形成されている。両段部16、17の間に水密部材として機能するOリング18を介在させることによって、このすすぎ水供給口9からの水漏れを確実に防止することができる。この段部16、17は特殊な工具を用いることなく容易に形成することができ、製造コストの削減を図ることができる。このすすぎノズル3(基部14)をすすぎ水供給口9に挿し込んだ上で、両者を固定ねじ19でねじ止めすることにより、抜け止めがなされている。なお、すすぎノズル3を基部14と先端部15の複数の部材で構成する代わりに、図6に示すように、一体構成とすることもできる。
【0026】
この実施形態に係るノズル1は、すすぎ水供給口9が洗浄ノズル2の外側に形成されていて、洗浄水の流路と、すすぎ水の流路が離れている。このため、清掃等の際に誤ってノズル1を落として、すすぎ水供給口9近傍にひび割れ等が生じたとしても、このひび割れ等を通って洗浄水がすすぎノズル3に混入する恐れはない。このため、すすぎノズル3内のすすぎ水を常に清浄な状態に保つことができ、高いすすぎ効率を確保することができる。
【0027】
上記の実施形態は、あくまでも本願発明に係る食器洗浄機用ノズル1の一例であって、洗浄水がすすぎ水に混入するのを防止して、高いすすぎ効率を確保する、という本願発明の課題を解決し得る限りにおいて、洗浄ノズル2及びすすぎノズル3の形状、噴射孔5、12の数、配置等を適宜変更することができる。また、この食器洗浄機用ノズル1は、食器洗浄機への適用のみならず、蓄冷材を洗浄するための蓄冷材洗浄機用のノズルとして適用することもできる。
【符号の説明】
【0028】
1 食器洗浄機用ノズル(ノズル)
2 洗浄ノズル
3 すすぎノズル
4 ノズル本体
5 (洗浄ノズルの)噴射孔
6 洗浄水供給部
7 洗浄水配管
8 すすぎ水配管
9 すすぎ水供給口
10 透孔
11 着脱ねじ
12 (すすぎノズルの)噴射孔
13 凹部
14 基部
15 先端部
16 (すすぎ水供給口側の)段部
17 (すすぎノズル側の)段部
18 Oリング(水密部材)
19 固定ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10