(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6142419
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】塩感受性エマルジョン系を用いたヒト涙液膜への効率的脂質送達
(51)【国際特許分類】
A61K 47/44 20170101AFI20170529BHJP
A61P 27/04 20060101ALI20170529BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20170529BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20170529BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20170529BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20170529BHJP
A61K 47/16 20060101ALI20170529BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20170529BHJP
A61K 31/205 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
A61K47/44
A61P27/04
A61K9/107
A61K47/34
A61K47/38
A61K47/10
A61K47/16
A61K47/32
A61K31/205
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-546154(P2014-546154)
(86)(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公表番号】特表2015-504860(P2015-504860A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】US2012068615
(87)【国際公開番号】WO2013086449
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年12月7日
(31)【優先権主張番号】61/568,089
(32)【優先日】2011年12月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/625,401
(32)【優先日】2012年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018268
【氏名又は名称】アラーガン、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】ビージ ジョセフ ジー
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ ピーター エイ
【審査官】
山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/141648(WO,A1)
【文献】
特表2009−501228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00−47/69
A61K 9/00−9/72
A61P 27/04
A61K 31/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.25質量/質量%のヒマシ油と、
少なくとも1つの活性薬剤と、
を含有する、無塩エマルジョンである、人工涙液として有用な組成物であって、
前記活性薬剤は、ポリソルベート、カルボキシメチルセルロース、およびグリセリンからなる群から選択され、且つ
前記ヒマシ油は、前記エマルジョン中の唯一の油である、前記組成物。
【請求項2】
前記ヒマシ油は、水相中に乳化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第1の乳化剤および第2の乳化剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、防腐剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記防腐剤は、オキシクロロ錯体および塩化ベンザルコニウム(benzalkoniuim chloride)からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記防腐剤は、オキシクロロ錯体であり、0.01質量/質量%の濃度で存在する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ドライアイの治療における使用のためのエマルジョンであって、無塩であり、かつ0.25質量/質量%のヒマシ油及び活性薬剤を含み、
前記活性薬剤が、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロース、およびグリセリンであり、且つ
前記ヒマシ油が前記エマルジョン中の唯一の油である、前記エマルジョン。
【請求項8】
前記エマルジョンは、カルボマーコポリマーも含有する、請求項7に記載のエマルジョン。
【請求項9】
エリトリトールおよびレボカルニチンを更に含む、請求項8に記載のエマルジョン。
【請求項10】
0.25質量/質量%のヒマシ油と、
少なくとも1つの活性薬剤と、
を含む、ドライアイを治療するためのエマルジョンであって、
前記活性薬剤は、ポリソルベート、カルボキシメチルセルロース、およびグリセリンからなる群から選択され、且つ
前記ヒマシ油は、前記エマルジョン中の唯一の油である、前記エマルジョン。
【請求項11】
0.25質量/質量%のヒマシ油と、
少なくとも1つの活性薬剤と、
を含む、ドライアイを治療するための医薬組成物であって、
前記活性薬剤は、ポリソルベート、カルボキシメチルセルロース、およびグリセリンからなる群から選択され、且つ
前記ヒマシ油は、前記医薬組成物中の唯一の油である、前記組成物。
【請求項12】
防腐剤を含まない、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
少なくとも1日1回適用されるように用いられる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
ドライアイ症候群の兆候を緩和する、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ドライアイ症候群を治療および予防する、請求項12に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年12月7日に出願された米国仮出願第61/568,089号、および2012年4月17日に出願された同第61/625,401号の利益を主張し、その開示は参照によりその全体を本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、ヒトまたは他の哺乳動物におけるドライアイ症候群および他の眼症状を治療するために好適な人工涙液に関する。
【背景技術】
【0003】
角結膜炎またはドライアイの典型的な兆候としては、乾燥感、ひりひりした感じ、および日中に悪化することがある異物感が挙げられる。兆候はまた、痒み、ちくちくした感じ、刺すような感じ、または疲れ眼として説明されることもある。他の兆候としては、痛み、充血、引っ張られるような感覚、および眼の奥の圧迫感が挙げられる。ドライアイから生じる眼の表面への損傷は、不快感および明るい光への感受性を増加させ、通常両目が影響を受ける。
【0004】
瞬きは眼を涙液で覆うため、兆候は、眼の長時間の使用のために瞬きの比率が低減される活動によって悪化する。これらの活動としては、長時間の読書、コンピュータの使用、運転、またはテレビ鑑賞が挙げられる。兆候は、風の強い、埃っぽい、または煙の多い場所、乾燥した環境、飛行機を含む高地、低湿度の日、およびエアコン、送風機、または暖房を使用している場所で増加する。兆候は、冷涼な、雨の、または霧のかかった天候、および湿度の多い場所では重篤度が低い。ドライアイを患う人の多くは、長期効果を伴わない軽度の刺激を経験する。しかしながら、症状が未治療のまま放置される、または深刻化すると、それは、眼損傷を引き起こし得る合併症を生じる可能性があり、視覚障害または可能性としては失明をもたらす。
【0005】
長期にわたりドライアイを患うと、眼の表面上の小さな傷につながる可能性がある。進行した場合、上皮は病理変化、即ち扁平上皮化生を受け、またそれらの細胞に対して作用するT細胞の活性化に起因する杯細胞の欠失を受けることもある。重篤な場合は、角膜表面の肥厚、角膜びらん、点状角膜症、上皮欠損、角膜潰瘍、角膜血管新生、角膜瘢痕、角膜菲薄化、および角膜穿孔さえもたらす場合がある。不安定な涙液膜を生じさせる3つの涙液の層のいずれかの異常は、乾燥角膜縁の兆候をもたらすこともある。
【0006】
乾性角結膜炎は通常、不十分な涙産生による。水性涙液層が影響を受け、水性涙液欠乏または涙液分泌不全をもたらす。涙腺は、結膜および角膜全体が完全な層によって覆われるように維持するのに十分な涙液を産生しない。これは通常、他の点では健康な人に生じる。加齢は、減少された涙分泌と関連付けられる。これは、閉経後の女性に見られる最も一般的な種類である。原因としては、突発性無涙症、先天性無涙症状、眼球乾燥症、涙腺切除、および間隔脱失が挙げられる。稀な場合では、関節リウマチ、ヴェグナー肉芽腫症、および急性播種性紅斑性狼瘡を含む、コラーゲン血管疾患の兆候のこともある。シェーグレン症候群およびシェーグレン症候群に関連付けられる自己免疫疾患もまた、水性涙液欠乏に関連付けられる症状である。イソトレチノイン、鎮静剤、利尿剤、三環系抗鬱薬、降圧剤、経口避妊薬、抗ヒスタミン薬、鼻充血除去薬、β遮断薬、フェノチアジン、アトロピン等の薬剤、およびモルヒネ等の痛み緩和アヘン剤は、この症状を引き起こす、または悪化させる可能性がある。サルコイドーシスもしくは腫瘍による涙腺の浸潤、または涙腺の放射線照射後の線維化もまた、この症状を引き起こす可能性がある。
【0007】
乾性角結膜炎もまた、涙液の急速な蒸発または早期破壊をもたらす異常な涙液組成によって引き起こされる可能性がある。急速な蒸発によって引き起こされる場合、蒸発型ドライアイと称される。この症状では、涙腺が十分な量の涙液を産生するにもかかわらず、涙液の蒸発の速度が速すぎる。涙液から水分が失われ、過度に「塩分が多い」または高張性の涙をもたらす。その結果、特定の活動中または特定の環境において、結膜および角膜全体が完全な涙液の層によって覆われたままであることができない。
【0008】
加齢は、ドライアイの最も一般的な原因の1つである。これは、涙液産生が年齢と共に減少するという事実による。それは、熱傷もしくは化学火傷によって、またはアデノウイルスによって引き起こされることがある。糖尿病患者もまた、ドライアイの増加された危険性を有する。
【0009】
眼の損傷、または眼球突出もしくは眼瞼下垂等の眼もしくは眼瞼の他の問題は、乾性角結膜炎を引き起こす可能性がある。眼瞼の疾患は、涙液の拡散のために必要とされる複雑な瞬き動作を損なう可能性がある。
【0010】
コンタクトレンズを着用する人の約半数は、ドライアイを患う。これは、角膜を覆う涙液膜上に浮かぶソフトコンタクトレンズが、眼の中の涙液を吸収するためである。ドライアイはまた、角膜神経は涙液分泌を刺激するため、角膜神経を角膜弁の生成中に切断する屈折矯正手術後に発生または悪化する。これらの処置によって引き起こされるドライアイは、通常数ヵ月後に消失する。
【0011】
眼瞼炎および酒さ、ならびにビタミンA欠乏によって引き起こされるムチン涙液層の異常によって引き起こされる脂質涙液層の異常、トラコーマ、ジフテリア性角結膜炎皮膚粘膜疾患、ならびに特定の局所投薬は、ドライアイまたは乾性角結膜炎を引き起こすことがある。
【0012】
ドライアイは通常、兆候のみによって診断することができる。試験は、涙液の量と質の療法を決定することができる。細隙灯検査は、ドライアイを診断するため、および眼に対する任意の損傷を記録するために実施することができる。シルマー試験は、眼を浸している水分の量を測定することができる。この試験は、症状の重篤度を決定するために有用である。
【0013】
治療のために様々なアプローチをとることができ、例えば、増悪因子の回避、涙液刺激および補充、涙液保持の増加、ならびに眼瞼洗浄および眼の炎症の治療である。軽度および中程度の場合に関しては、補助的潤滑が、治療の最も重要な部分である。数時間毎の人工涙液の適用は、一時的な緩和を提供することができる。
【0014】
潤滑化涙液軟膏は、日中に使用されることができるが、塗布後の不良な視界のために概して就寝時に使用される。それらは、白色ワセリン、鉱油、および同様の潤滑剤を含有する。それらは、潤滑剤および軟化剤として機能する。症状の重篤度に応じて、軟膏は、数時間毎から就寝時のみの間で塗布されてよい。軟膏は、コンタクトレンズと併用すべきではない。涙液膜高張性に応答して生じる炎症は、軽度の局所ステロイドによって、またはシクロスポリン等の局所免疫抑制剤によって抑制することができる。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、以下の製剤の人工涙液エマルジョンからなる。
【表1】
[1] PM# 12783。CRODA製の超精製ポリソルベート80。第1の乳化剤および粘滑剤。
[2] 粘滑剤
[3] 粘滑剤および等張化剤
[4] 安定化オキシクロロ錯体(Purite)。分析値によって添加。
[5] Pemulen TR−2NF(カルボマーコポリマーA型、Ph Eurに対して試験した)。第2の乳化剤。
[6] 親油性ビヒクル
[7] pH標的7.3
[8] 親水性ビヒクル
【0016】
表Iの製剤は、上述に開示される通り活性物質および/または賦形剤の濃度を含み、それは上記のものと異なる濃度であってもよい。FDAまたはEMEA等の管理機関によってその量が生物学的に同等であると見出される限り、量が「約」上記のものであるというような変形があってもよい。
【0017】
製剤は、保存されてもよく、または単位用量型等、保存されなくても(Purite(登録商標)を含有しない)よい。この型は、Purite(登録商標)を含有しないことを除いて表1のものと同じであろう。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態では、以下の項に含まれる。
1) 人工涙液として有用な組成物であって、ヒマシ油を含む無塩エマルジョンであり、具体的にオリーブ油を除外し、かつポリソルベート、カルボキシメチルセルロース、およびグリセリンからなる群から選択される少なくとも1つの活性薬剤を含有する、組成物。
2) 該混合物は、約0.1重量/重量%〜0.5重量/重量%のヒマシ油を含む、項1の組成物。
3) ヒマシ油は、エマルジョン中の唯一の油である、項1〜2の組成物。
4) ヒマシ油は、水相中で乳化される、項1〜3の組成物。
5) ヒマシ油は、約0.25重量/重量%で存在する、項4の組成物。
6) 第1の乳化剤および第2の乳化剤を更に含む、項4〜5の組成物。
7) 組成物は、防腐剤を含有する、項1〜6の組成物。
8) 防腐剤は、PURITEおよび塩化ベンザルコニウム(benzalkoniuim chloride)からなる群から選択される、項7の組成物。
11. 防腐剤は、PURITEであり、約0.01重量/体積%の濃度で存在する、項8の組成物。
12. ドライアイの治療における使用のためのエマルジョンであって、無塩であり、かつヒマシ油、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロース、およびグリセリンを含む、エマルジョン。
13. エマルジョンは、乳化剤ペムリン(pemulin)も含有する、項12の組成物。
14. エリトリトールおよびレボカルニチンを更に含む、項12〜13のエマルジョン。
15. 表1に示す通りのドライアイを治療するためのエマルジョン。
16. 項1〜15の組成物またはエマルジョンのうちのいずれか1つの投与を含む、ドライアイを治療する方法。
17.ドライアイまたは乾性角結膜炎の治療のための組成物であって、約0.5重量/重量%のポリソルベート80、約0.5重量/重量%のカルボキシメチルセルロース、約1.0重量/重量%のグリセリン、約0.6重量/重量%のホウ酸、約0.1重量/重量%のペムリン(pemulin)、約0.25重量/重量%のヒマシ油、約0.25重量/重量%のエリトリトール、約0.25重量/重量%のレボカルニチン、pHを約7.3に調整するための水酸化ナトリウム、および水を含む、組成物。
18.0.01%のPurite(登録商標)を更に含む、請求項17の組成物。
19.組成物は、ドライアイを罹患する眼に局所的に適用される、請求項17の組成物。
20.組成物は、ドライアイの兆候を緩和するために眼に局所的に適用される、請求項17の組成物。
21.組成物は、ドライアイ症候群を予防するために眼に局所的に適用される、請求項17の組成物。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「有効量」または「有効用量」は、プロセスまたは症状に所望の結果を達成するために十分な量であり、したがって成分および所望の結果に依存するであろう。にもかかわらず、一度所望の効果が知られると、有効量の決定は、当業者の技術範囲内である。
【0020】
本明細書で使用する時、「製剤」、「組成物」、および「調製物」は、製薬学的使用に好適な(即ち、治療効果を生み出し、また許容可能な薬物動態学的特性および毒物学的特性を有する)関心の組成物を指す等価の用語である
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「予防する」は、患者における皮膚科学的兆候(例えば、蕁麻疹状の腫れ)の発生の減少を指す。予防は、完全(即ち、検出可能な兆候がない)であってもよく、または治療を施さない場合に生じる可能性のあるものよりも少ない兆候が存在するように、部分的であってもよい。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「予防する」および「治療する」は、絶対的用語であることを意図されない。治療は、発症時の任意の遅延、例えば、兆候の頻度または重篤度の低減、兆候の改善、患者の快適さの向上、ドライアイの兆候の低減、および同類のもの等を指すことができる。治療の効果は、所与の治療を受けていない個体もしくは個体集団と、または治療前もしくは治療の中断後の同一個体と比較することができる。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「治療的に有効な量」は、疾患の1つ以上の側面を改善するのに十分な組成物または組成物中の薬剤の量を指す。
【0024】
治療有効性はまた、「〜倍」増加または減少として表すこともできる。例えば、治療的に有効な量は、対照よりも少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、5倍、またはそれ以上の効果を有することができる。
【0025】
本明細書で使用するとき、「治療」は、疾患の任意の治癒、改善、または予防を含む。治療は、疾患が発生するのを予防する、疾患の拡散を阻止する、疾患の兆候を完全または部分的に緩和する、疾患の根底にある原因を取り除く、疾患の期間を短縮する、または上述の組み合わせを行うことができる。本明細書で使用するとき(また当該技術分野にてよく理解される通り)、「治療すること」または「治療」はまた、臨床的結果を含む対象の症状における有益なまたは所望の結果を獲得するための任意のアプローチを広く含む。有益なまたは所望の臨床的結果としては、部分的または全体的か、および検出可能または検出不可能かにかかわらず、1つ以上の兆候または症状の軽減または改善、疾患の範囲の減少、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患の伝染または拡散の予防、疾患の進行の遅延、疾患の状態の改善または緩和、疾患の再発の減少、および寛解を挙げることができるが、それらに限定されない。
【0026】
本明細書で使用する時、「治療すること」および「治療」は、防止的治療を含んでもよい。治療方法は、対象に治療的に有効な量の活性薬剤を投与することを含む。投与するステップは、単回投与から構成されてもよく、または一連の投与を含んでもよい。治療期間の長さは、症状の重篤度、患者の年齢、活性薬剤の濃度、治療に使用される組成物の活性、またはそれらの組み合わせ等の様々な要因に依存する。治療または防止のために使用される薬剤の有効投薬量は、特定の治療または防止的治療計画のコースにわたって増加または減少してもよいことも、理解されるであろう。投薬量における変化は、当該技術分野で既知の標準的診断分析によって得られる、および明らかになってもよい。幾つかの例では、慢性投与が必要であってもよい。例えば、組成物は、患者を治療するのに十分な量および間隔で対象に投与される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
脂質をヒト涙液膜へ送達して、マイボーム腺の機能不全および他の原因によってしばしば不十分である天然の脂質層を補充および強化することは、ドライアイの兆しおよび兆候の治療における広く認められている戦略である。これは理論的には、低湿度、または他の内的/外的要因が涙液膜蒸発を増加させる場合に特に有益である。涙液膜からの過度の水損失は、塩含有量の増加を引き起こし、また眼表面の細胞に対する高浸透圧ストレスを引き起こす。
【0028】
天然の脂質層は非常に薄く、また脂質の総体積は、涙液膜体積全体のごく一部である。脂質層の構造および機能を脂質含有液滴の適用によって強化することは、わずかな体積の油のみが送達されることを必要とし、過剰な脂質は、涙液の遥かに多い構成成分である総水性体積を変位および妨害することになる。また、脂質は、局所用点眼薬の短い接触時間中に素早く送達されることが必要である。最後に、送達される脂質は、空気界面にて、天然の脂質層の一部として樹立されるようになる必要がある。
【0029】
エマルジョンから脂質を放出する試みは、相当量の脂質(1〜5%)を用いること、および/または容易に分離するエマルジョン系を確立することによって達成されている。このアプローチの不利益としては、製品が震盪を要すること、エマルジョンの清澄さが著しく低減されること、眼へ送達される脂質の総体積が潜在的に大きくまた変動的であること、および認容性が完全に水性の点眼薬より低くなり得ることが挙げられる。
【0030】
脂質放出の代替的手段は、大部分は塩を含まない局所使用を意図した製品における塩感受性エマルジョン系の使用を含む。この系は、界面活性剤および粘度を増加させるポリマーを使用して、安定したサブミクロンエマルジョン中に脂質(例えば、ヒマシ油)を保持する。ヒトの涙液と混合されると、天然塩含有量(ドライアイではより上昇することが多い)は、ポリマー構造の作用に起因する製品粘度の降下を素早く引き起こすのに十分である。この粘度の損失は、脂質放出が極めてより大きい度合いでより速く発生することを可能にする。
【0031】
脂質送達の効率は、標準的試験条件下での時間経過に伴う総脂質含有量の割合として、エマルジョンから放出される脂質の量として定義することができる。
【0032】
塩の存在下における脂質送達の効率は、例えば、単純な実験室的方法を用いて支持される。特に、水で希釈すると、この系は、添加された水体積に比例した粘度の損失を示す。弱食塩水(30mOsm)でさえ、1:1で混合することによって塩(NaCl)に曝露すると、水と混合した場合は50%であるのに対して60%超の粘度損失が生じる。より高い生理食塩水強度(最大約600mOsm)は、非常により大きい粘度の損失を引き起こし、ポリマー構造への塩の作用を裏付けた。
【0033】
脂質の放出は、実時間統合光検出器(Lumisizer)を伴う制御された遠心分離機を用いて実証された。2分間の4000RPM応力の間、エマルジョンの均質性を、未希釈と水で希釈した製品との両方に対して、遠心分離標本の下部から上部への等質の光の透過によって確認した。しかしながら、製品を生理食塩水(眼への使用を再現する体積および濃度)で希釈することは、脂質の放出および標本ホルダー上部への移動と一致し、空気界面への「浮遊」と一致して、製品の均質性における明白で顕著な変化を示した。驚くべきことに、または有益なことに、これは、脂質が天然層内へより効果的に混合することを可能にする合一を伴わずに(平均脂肪滴寸法における増加がない)生じることができる。平均粒子(脂肪滴寸法)は、生理食塩水を添加したときに変化しなかった(Horiba)。
【0034】
臨床結果は、新規の脂質エマルジョン系が、長期のTBUT(涙液層破壊時間)において効果的に働き、その上、薬剤送達により最適化されたエマルジョンと比較して、認容性および快適さの向上を実証することを裏付けた。
【0035】
表Iに示される通りの、即ち塩をほとんど含まない塩感受性エマルジョン系を用いることの利益としては、
1)製品を震盪する必要がない−ボトル内での優れた安定性および均質性
2)塩誘発性の粘度減少、およびより効率的な脂質放出を可能にするエマルジョン構造の不安定化に起因する、眼の上での脂質の効率的送達、
3)総脂質含有量を低下させることによる向上された認容性
4)天然脂質層の効率的安定化および補充、ならびに
5)より高い涙液塩含有量を有する患者における有益な脂質の潜在的により多くの送達、いわゆる「高性能な」ビヒクルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
浸透圧保護剤(l−カルニチンおよびエリトリトール)ならびに保湿剤/潤滑剤(グリセリンおよびカルボキシメチルセルロース)の組み込みは、脂質欠乏またはマイボーム腺機能不全を標的とする他のエマルジョン系よりも広範囲のドライアイ患者に対して本製品の臨床的有用性を増加させる。
【0037】
実施1ドライアイ疾患を罹患する対象における単位用量点眼薬製剤の安全性、有効性、および許容可能性を評価するための、多角的な研究者盲検無作為化4アーム並行群間研究
【0038】
研究の目的は、ドライアイ疾患の兆しおよび兆候を有する対象における、次世代エマルジョン単位投薬または(「NGE UD」)と称される、表1のものであるがPurite(登録商標)を含有しない製剤の安全性、有効性、および許容可能性を評価することであった。
【0039】
方法論
これは、NGE UDの安全性、有効性、および許容可能性を市販されているOPTIVE(商標)感受性の防腐剤を含まない潤滑性点眼薬単位投薬(「OPTIVE UD」)に対して、NGE UDの安全性、有効性、および許容可能性を次世代エマルジョン複数回投薬(「NGE MD」)(表1のものと同一の製剤であるが、Purite(登録商標)を含む)に対して、またNGE MDの安全性、有効性、および許容可能性をOPTIVE(商標)潤滑性点眼薬複数回投薬(「OPTIVE MD」)に対して比較するように設計された、多角的な研究者盲検、無作為化、活性制御された4アーム並行群間研究であった。
【0040】
計画された研究期間は、各対象に対して30日であり、最大3回の予定した訪問(1日目[ベースライン]、7日目、および30日目[終了])から構成された。1日目に、ドライアイ疾患の兆しおよび兆候を有する適格な対象を、それぞれNGE UD、OPTIVE UD、NGE MD、またはOPTIVE MDを使用する2:2:1:1の治療配分比に従って割り当てた。研究の無作為化は、ベースライン眼表面疾患指標(Ocular Surface Disease Index)(OSDI)スコア(軽度/中程度兆候=18〜32のスコア、重篤兆候=>32〜65のスコア)によって階層化した。約5%の中退率を仮定して、288名の完了対象を有するために約300名の対象を、米国内の13〜14箇所で参加させた。対象に、彼らの割り当てられた製品を、必要に応じて、しかし少なくとも1日に2回、30日間それぞれの目に1〜2滴ずつ注入するように教示した。
【0041】
対象の数(計画数および参加数)
約300名の対象が本研究に参加するように計画した。合計315名の対象が参加した。
【0042】
診断および適格のための主な基準
診断/ドライアイ疾患の兆しおよび兆候を有する対象
【0043】
重要な対象選定基準:
18以上かつ65以下のベースライン(1日目)OSDIスコア(0〜100スケールに基づく)を有する、18歳以上の男性または女性の対象が、参加に適格であった。対象は、平均してベースラインの前に少なくとも3ヶ月間、少なくとも1日2回、ドライアイ用の局所用目薬を使用していなければならなかった。RESTASIS(登録商標)シクロスポリン点眼用エマルジョンの日常的使用があれば、6ヶ月以上使用していなければならなかった。ベースライン時に少なくとも片方の目において10秒以下の3回の連続した涙液層破壊時間(TBUT)試験が必要とされた。修正された国立眼学研究所(National Eye Institute)(NEI)グリッドを用いて、全対象は、ベースライン時に少なくとも片方の眼において、ドライアイに関連する角膜の5つの区域のうちの少なくとも1つ、または結膜の6つの区域のうちの少なくとも1つにおいて、少なくともグレード1の染色を有している必要があった。
【0044】
重要な対象除外基準:
重要な対象除外基準は、ベースライン時にいずれかの眼においてシルマー試験(麻酔有)2mm以下、ベースライン時にいずれかの眼の5つの角膜区域または6つの結膜区域のいずれかにおける角膜または結膜染色スコア5(修正されたNEIグリッド)、ドライアイ症状または視覚に影響を及した可能性のある全身投薬の使用、但し、その投薬が、研究参加の前に少なくとも3ヶ月間、同一容量で使用されており、投薬量が研究のコースの間に変化すると予想されない場合を除く、ベースライン前12ヶ月以内の角膜感受性に影響を及ぼした可能性のある前眼部手術または外傷(例えば、白内障手術、レーザー角膜切削形成術[LASIK]、レーザー屈折矯正角膜切除術、または角膜縁または角膜切開に関与する任意の手術)の履歴、ならびに任意の局所用点眼薬(例えば、局所用点眼用ステロイド、緑内障点眼薬、Restasis(登録商標)以外の任意の局所用シクロスポリン製品)の現行使用、および/またはベースラインの前2週間以内の使用、および/または研究期間中の使用の可能性が含まれた。ベースライン前の3ヶ月未満にRestasis(登録商標)の日常的使用を中断した対象は、研究から除外した。
【0045】
治療の期間:各対象に対する研究製品(目薬)への曝露の合計期間は、30日であった。訪問予定は、ベースライン訪問(1日目)、ならびに7日目(±3日)および30日目/早期終了(±7日)の2回の追訪で構成された。
【0046】
有効性および安全性測定
有効性:第1-OSDI質問表スコア
【0047】
第20-TBUT(フルオレセインを用いる)、角膜染色(修正されたNEIグリッド、フルオレセインを用いる)、結膜染色(修正されたNEIグリッド、リサミングリーンを用いる)、およびシルマー試験(麻酔を用いる)
【0048】
その他-許容可能性質問表および研究製品使用質問表
【0050】
安全性測定は、有害事象、生体顕微鏡検査法、および遠見視力であった。
【0051】
統計的方法:
包括解析(ITT)集団は、全ての無作為化された対象で構成され、無作為化された治療に基づく有効性データの分析のために使用された。安全性集団は、全ての治療された対象で構成され、実際に受けた治療に基づく全ての安全性データの分析のために使用された。パープロトコル(PP)集団は、データベースロック前に決定した際に、主要なプロトコル違反を有さない無作為化された対象で構成された。
【0052】
第1の有効性変数は、ITT集団における30日目のOSDIスコアにおけるベースラインからの変化であった。第1の有効性解析を、主効果として治療およびベースラインOSDIの階層構造を有する双方向分散分析(ANOVA)モデルを介して、30日目におけるOSDIスコアのベースラインからの変化について実施した。
【0053】
最終観察繰越法(LOCF)を用いて、欠損データを補完した。非劣性を、両側信頼区間(CI)を用いて試験した。NGE UDとOPTIVE UD(NGE UDからOPTIVE UDを減じる)との間の30日目のOSDIスコアにおけるベースラインからの変化における治療差および95%CIを、ANOVAモデルに基づいて算出した。95%CIの上限が7.3の事前に指定したマージン未満であった場合に、非劣性を確立した。
【0054】
第2の有効性測定値は、TBUT、角膜染色、結膜染色、およびシルマー試験を含んだ。これらの測定の原値を、ITT集団に関してまとめ、欠損データはそれぞれの予定された追訪においてLOCFを用いて補完した。治療間比較に関して治療差および95%CIを算出した。NGE UDとNGE MD、NGE MDとOPTIVE MDとの間の30日目のOSDIスコアにおけるベースラインからの変化における治療差および95%CIも、第2の有効性変数として分析した。
【0055】
許容可能性を、許容可能性質問表を用いて測定し、また製品使用を、研究製品使用質問表を用いて測定した。群間比較を、主効果として治療およびベースラインOSDIの階層構造を有するANOVAモデルを用いて実施した。
【0056】
安全性変数は、有害事象、生体顕微鏡検査法、および遠見視力を含んだ。両目を治療したため、両目を安全性解析に含んだ。医薬品規制用語集(MedDRA)命名を用いて、有害事象をコード化した。1回以上の訪問時にどちらかの眼に臨床的に著しい生体顕微鏡検査法所見を有する対象の数およびパーセントを、一覧にした。全体の頻度分布を、ピアソンのカイ2乗検定を用いて分析した。任意の治療群における5%以上の発生率を有する臨床的に著しい生体顕微鏡検査的所見(ベースラインからの重篤度グレードの1を超える増加[悪化])に関して、平均重篤度グレードおよび重篤度スコアの頻度分布を、それぞれの予定された訪問においてまとめた。
【0057】
予定された訪問における最も重篤な眼からのデータを一覧にした。遠見視力データに関して、正しく読んだ合計文字数を、それぞれの予定された訪問においてベースラインからの悪化を有する眼に基づいてまとめた。頻度分布を、ピアソンのカイ2乗検定を用いて分析した。
【0058】
合計315名の対象が研究に参加し、ITT集団に含まれた。NGE UD群内に105名の対象、OPTIVE UD群内に103名の対象、NGE MD群内に51名の対象、およりOPTIVE MD群内に56名の対象が含まれた。全体で、ITT集団における310名(98.4%)の対象が研究を完了した。パープロトコル集団に含まれた対象のうち、99.3%(303/305)が研究を完了し、一方安全性集団における対象の98.4%(310/315)が研究を完了した。合計384名の対象をスクリーニングし、そのうち69名の対象がスクリーニング失敗であった。
【0059】
ITT集団では、対象の平均年齢は、54.8歳(標準偏差14.33)であり、83.2%(262/315)の対象は40歳超の年齢群であった。それに加えて、全対象の81.0%(255/315)は女性であり、84.4%(266/315)は白色人種であった。
【0060】
有効性:
・第1の有効性エンドポイントは満たされた。30日目において、ITT集団内でOSDIスコアにおける平均変化(95%信頼区間[−5.42,2.51])において、NGE UD群とOPTIVE UD群との間で、統計的有意差は観察されなかった。NGE UD製剤は、OSDIスコアにおけるベースラインからの変化によって測定した際、乾燥の兆候の重篤度の低減においてOPTIVE UD製剤に対して非劣性であった。
【0061】
・ITT集団と同様に、PP集団のNGE UD群とOPTIVE UD群との間で、30日目でのOSDIスコアにおけるベースラインからの平均変化において統計的有意差はなかった。30日目の訪問における95%信頼区間は、(−5.72,2.37)であり、7.3の臨床的に関連のあるマージンより低い上限を有した。
【0062】
・全ての4つの治療群にて、ITT集団とPP集団との両方に関して、7日目および30日目の訪問でのOSDIスコアにおけるベースラインからの平均変化において、統計的有意差があった(p<0.001)。
【0063】
・NGE UD群は、30日目でのOSDIスコアにおけるベースラインからの平均変化において、NGE MD群に対して非劣性であった。
【0064】
・NGE UD群は、TBUT、角膜染色、結膜染色、およびシルマー試験の第2の有効性測定において、OPTIVE UD群およびNGE MD群に対して非劣性であった。
【0065】
・全体として、7日目および30日目における許容可能性質問表の各質問に対する平均値において(質問5における、7日目のNGE MD対OPTIVE MDの比較、および30日目のNGE UD対NGE MDの比較を除く)、また7日目および30日目の1週前の間の、1日あたりの研究製品が使用された平均回数において、NGE UD群とOPTIVE UD群、NGE UD群とNGE MD群、またはNGE MD群とOPTIVE MD群との間に統計的有意差はなかった。
【0066】
安全性:
・任意の因果関係の少なくとも1つの治療中に発現した有害事象(TEAE)が、NGE UD群、OPTIVE UD群、NGE MD群、およびOPTIVE MD群のそれぞれ11.4%、15.5%、13.7%、および10.7%の対象に報告された。
【0067】
・研究において死亡は報告されなかった。2つの深刻な有害事象が報告され(胆管結石[NGE UD群]および足関節骨折[OPTIVE MD群])、そのいずれも調査者の意見に関連した治療ではなかった。
【0068】
全体で3名の対象が有害事象のために研究を中断し、NGE UD群、NGE MD群、およびOPTIVE MD群に各1名の対象であった。
【0069】
・治療関連TEAEは、NGE UD群、OPTIVE UD群、NGE MD群、およびOPTIVE MD群のそれぞれ4.8%、8.7%、7.8%、および5.4%の対象に報告された。治療群にわたる最も一般的な治療関連有害事象(優先使用語)は、注入部位の痛みおよび霧視であった。NGE UD(3.8%、2.9%)、OPTIVE UD(3.9%、2.9%)、NGE MD(3.9%、0.0%)、およびOPTIVE MD(3.6%、1.8%)。
【0070】
・対象の大多数において、4つ全ての治療群に関して、30日目での遠見視力において変化は観察されなかった。
【0071】
結論
有効性:本研究の結果は、NGE UD製剤は、軽度から重度のドライアイを罹患する患者における乾燥の兆候の重篤度の低減において、OPTIVE UD製剤に対して非劣性であることを実証する。
【0072】
安全性:NGE UDは、研究中、よく認容されていることが分かった。最も共通して報告された治療関連有害事象は、注入部位の痛みと霧視であった。研究を通して、治療に関連する深刻な有害事象はなかった。安全性プロフィールは、OPTIVE UD、OPTIVE MD、およびNGE MDと一致した。これは、臨床使用におけるNGE UD製剤の安全性を支持しており、またNGE MD製剤の安全性を裏付ける。