特許第6142441号(P6142441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アカギの特許一覧

<>
  • 特許6142441-配管支持具 図000002
  • 特許6142441-配管支持具 図000003
  • 特許6142441-配管支持具 図000004
  • 特許6142441-配管支持具 図000005
  • 特許6142441-配管支持具 図000006
  • 特許6142441-配管支持具 図000007
  • 特許6142441-配管支持具 図000008
  • 特許6142441-配管支持具 図000009
  • 特許6142441-配管支持具 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6142441
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】配管支持具
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/08 20060101AFI20170529BHJP
   F16L 3/12 20060101ALI20170529BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20170529BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20170529BHJP
   F16L 3/127 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   F16L3/08 D
   F16L3/12 B
   F16B2/08 Z
   F16B7/04 301G
   F16L3/127
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-181367(P2015-181367)
(22)【出願日】2015年9月15日
(65)【公開番号】特開2017-67078(P2017-67078A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2015年9月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591021958
【氏名又は名称】株式会社アカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100073210
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 信昭
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 隆次郎
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−089748(JP,A)
【文献】 特開2015−034608(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3153546(JP,U)
【文献】 実開昭57−049517(JP,U)
【文献】 特開2005−133882(JP,A)
【文献】 特開2009−036287(JP,A)
【文献】 特開2001−208244(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3187363(JP,U)
【文献】 特開2010−014186(JP,A)
【文献】 特開2006−083914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/00− 3/26
F16B 2/00− 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半円状、円弧状又はアーチ状の何れかの形状に形成されて、配管を抱持するバンド抱持部と、
該バンド抱持部の端部の一方又は両方に連設され、床面や壁面を含む取付面に取り付けられる取付部と、
を有する配管支持具において、
前記取付部が、前記バンド抱持部の端部の近傍を基端として、該端部近傍から該バンド抱持部の頂部方向の部分が切起され、この切起された部分が外側方向であって且つ前記取付面と面接触可能となるように設けられた構成であり、
記バンド抱持部の頂部に2枚の重連用取付部が立設されており、
この2枚の重連用取付部は、前記頂部の平行する2箇所を基端として前記頂部より端部方向部分の夫々が切り起こされた状態で前記頂部から立設された構成であり、
更に、前記2枚の重連用取付部は、各々が基端に折曲角部を形成することなく円弧を描くように切り起こされ、この円弧を描いたまま基端から離れた位置で2枚の重連用取付部が互いに近接し、この2枚の重連用取付部が接触した部分から先は直線状態で重合した状態の構成であり、且つ該直線状態で重合した部分に他の配管支持具の取付部又は接続部を係合可能な透孔が形成された構成であり、
且つ、この2枚の重連用取付部には他の配管支持具が接続される構成であること、
を特徴とする配管支持具。
【請求項2】
前記取付部は、基端に折曲角部を形成することなく丸みを帯びた状態で切り起こされ、この丸みを帯びた状態のまま前記取付面に近接し、前記取付面に接触した部分から先は直線状態の構成であることを特徴とする請求項に記載の配管支持具。
【請求項3】
前記配管支持具が、1枚の板状材を加工して形成された構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の配管支持具。
【請求項4】
前記バンド抱持部が半円状を有し、
該バンド抱持部の両端部の各々から外側方向であって且つ前記取付面と面接触可能に前記取付部が各々設けられた構成であること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項5】
前記バンド抱持部が円弧状を有し、該バンド抱持部の両端部が接触又は近接して該バンド抱持部が略円形又はΩ字形を成す構成であると共に、
該バンド抱持部の両端部の各々から外側方向であって且つ前記取付面と面接触可能に前記取付部が各々設けられた構成であること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項6】
前記バンド抱持部が円弧状を有し、
該バンド抱持部の一方の端部には、該一方の端部から外側方向であって且つ前記取付面と平行となるように一方の取付部が設けられていると共に、
該バンド抱持部の他方の端部には、前記一方の端部に当接又は近接する位置まで延伸し、この延伸した部分に前記取付面と面接触可能であると共に一方の取付部と重層状態に他方の取付部が設けられた構成であること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項7】
前記バンド抱持部が半円状又は円弧状を有し、
該バンド抱持部の一方の端部には、該一方の端部から外側方向であって且つ前記取付面と面接触可能に前記取付部が設けられていると共に、
該バンド抱持部の他方の端部は、前記取付部が連設されることなく、該他方の端部が前記取付面に当接又は近接する部分で途切れている構成であること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項8】
前記バンド抱持部がアーチ状を有し、
該バンド抱持部の両端部の各々から外側方向であって且つ前記取付面と面接触可能に前記取付部が各々設けられた構成であること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項9】
前記バンド抱持部が、2本以上の配管を並列状態で抱持する構成であることをを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項10】
前記バンド抱持部が、2本以上の配管を重層状態で抱持する構成であることをを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項11】
前記取付部の基端部分をスポット溶接の如き補強手段を用いて補強した構成であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項12】
前記重連用取付部の基端部分をスポット溶接の如き補強手段を用いて補強した構成であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項13】
前記2枚の重連用取付部の重合した部分をスポット溶接の如き接合手段を用いて接合した構成であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の配管支持具の重連用取付部に別なる配管支持具である第2配管支持具を接続取付けすることによって、別なる配管である第2配管の支持を可能とした構成であることを特徴とする配管支持具。
【請求項15】
前記第2配管支持具が、
両端が接触又は近接して略円形を成して第2配管を抱持する第2バンド抱持部と、
該第2バンド抱持部の両端部の各々に連設され、前記重連用取付部に接続取付けされた第2取付部と、
前記第2バンド抱持部の頂部に立設された2枚の第2重連用取付部と、
を有する構成であり、
この2枚の第2重連用取付部は、該頂部の平行する2箇所を基端として該頂部より端部方向部分の夫々が切り起こされた状態で該頂部から立設する構成であり、
更にこの2枚の第2重連用取付部は、該頂部の基端から離れた位置で重合された状態であると共に、この重合された部分に更に別なる配管支持具の取付部又は接続部を係合可能な透孔が形成された構成であること、
を特徴とする請求項14に記載の配管支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配管支持具に関し、詳しくは合成樹脂製配管の抱持支持に用いて適切な床面・壁面固定用の配管支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
給水管、給湯管、排水管等の種々配管類を支持固定するために抱持バンドを有する配管支持具が用いられている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
この種の配管支持具は、半割状の環状部材から成るバンド部と該バンド部の端部に連設された接続部にタンバックルを接続固定し、このタンバックルを天井スラブ等から垂設された吊りボルトや壁面スラブ等から立設された立ちボルトに緊締することにより固定支持する構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−126216号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
種々の配管類は、近年、鋼管に代わって合成樹脂管(ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、ポリブデン管、塩化ビニル管、プロピレン管、ABS管等)が用いられるようになってきており、今後、大部分の配管類が鋼管から合成樹脂管に代わることが予想されている。
【0006】
合成樹脂管は、高い耐蝕性を有し、しかも鋼管と同等乃至同等以上の耐熱性及び耐衝撃性を有するのに鋼管に比して軽量であり、更に加工が容易であるため、取扱性等の点で優れている。
【0007】
本発明者は、かかる合成樹脂管の配管支持技術について鋭意研究を続けたところ、合成樹脂管は上記したように軽量であるため、従来の鋼管用の支持具が求められるほどの堅牢度・強度等が必要ではないことを見出した。また、複数本の配管を並列状態で支持する場合においても同様である。
【0008】
そこで本発明の課題は、軽量な合成樹脂管の抱持支持に適しており、しかも複数本の配管を並列状態で支持する場合適用可能な配管支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0010】
1.半円状、円弧状又はアーチ状の何れかの形状に形成されて、配管を抱持するバンド抱持部と、
該バンド抱持部の端部の一方又は両方に連設され、床面や壁面を含む取付面に取り付けられる取付部と、
を有する配管支持具において、
前記取付部が、前記バンド抱持部の端部の近傍を基端として、該端部近傍から該バンド抱持部の頂部方向の部分が切起され、この切起された部分が外側方向であって且つ前記取付面と面接触可能となるように設けられた構成であり、
記バンド抱持部の頂部に2枚の重連用取付部が立設されており、
この2枚の重連用取付部は、前記頂部の平行する2箇所を基端として前記頂部より端部方向部分の夫々が切り起こされた状態で前記頂部から立設された構成であり、
更に、前記2枚の重連用取付部は、各々が基端に折曲角部を形成することなく円弧を描くように切り起こされ、この円弧を描いたまま基端から離れた位置で2枚の重連用取付部が互いに近接し、この2枚の重連用取付部が接触した部分から先は直線状態で重合した状態の構成であり、且つ該直線状態で重合した部分に他の配管支持具の取付部又は接続部を係合可能な透孔が形成された構成であり、
且つ、この2枚の重連用取付部には他の配管支持具が接続される構成であること、
を特徴とする配管支持具
.前記取付部は、基端に折曲角部を形成することなく丸みを帯びた状態で切り起こされ、この丸みを帯びた状態のまま前記取付面に近接し、前記取付面に接触した部分から先は直線状態の構成であることを特徴とする上記に記載の配管支持具。
【0011】
.前記配管支持具が、1枚の板状材を加工して形成された構成であることを特徴とする上記1又は2に記載の配管支持具。
【0012】
.前記バンド抱持部が半円状を有し、
該バンド抱持部の両端部の各々から外側方向であって且つ前記取付面と面接触可能に前記取付部が各々設けられた構成であること、
を特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の配管支持具。
【0013】
.前記バンド抱持部が円弧状を有し、該バンド抱持部の両端部が接触又は近接して該バンド抱持部が略円形又はΩ字形を成す構成であると共に、
該バンド抱持部の両端部の各々から外側方向であって且つ前記取付面と面接触可能に前記取付部が各々設けられた構成であること、
を特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の配管支持具。
【0014】
.前記バンド抱持部が円弧状を有し、
該バンド抱持部の一方の端部には、該一方の端部から外側方向であって且つ前記取付面と平行となるように一方の取付部が設けられていると共に、
該バンド抱持部の他方の端部には、前記一方の端部に当接又は近接する位置まで延伸し、この延伸した部分に前記取付面と面接触可能であると共に一方の取付部と重層状態に他方の取付部が設けられた構成であること、
を特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の配管支持具。
【0015】
.前記バンド抱持部が半円状又は円弧状を有し、
該バンド抱持部の一方の端部には、該一方の端部から外側方向であって且つ前記取付面と面接触可能に前記取付部が設けられていると共に、
該バンド抱持部の他方の端部は、前記取付部が連設されることなく、該他方の端部が前記取付面に当接又は近接する部分で途切れている構成であること、
を特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の配管支持具。
【0016】
.前記バンド抱持部がアーチ状を有し、
該バンド抱持部の両端部の各々から外側方向であって且つ前記取付面と面接触可能に前記取付部が各々設けられた構成であること、
を特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の配管支持具。
【0017】
.前記バンド抱持部が、2本以上の配管を並列状態で抱持する構成であることをを特徴とする上記4〜8のいずれかに記載の配管支持具。
【0018】
10.前記バンド抱持部が、2本以上の配管を重層状態で抱持する構成であることをを特徴とする上記4〜8のいずれかに記載の配管支持具。
【0019】
11.前記取付部の基端部分をスポット溶接の如き補強手段を用いて補強した構成であることを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の配管支持具。
【0020】
12.前記重連用取付部の基端部分をスポット溶接の如き補強手段を用いて補強した構成であることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載の配管支持具。
【0021】
13.前記2枚の重連用取付部の重合した部分をスポット溶接の如き接合手段を用いて接合した構成であることを特徴とする上記1〜12のいずれかに記載の配管支持具。
【0022】
14.上記1〜13のいずれかに記載の配管支持具の重連用取付部に別なる配管支持具である第2配管支持具を接続取付けすることによって、別なる配管である第2配管の支持を可能とした構成であることを特徴とする配管支持具。
【0023】
15.前記第2配管支持具が、
両端が接触又は近接して略円形を成して第2配管を抱持する第2バンド抱持部と、
該第2バンド抱持部の両端部の各々に連設され、前記重連用取付部に接続取付けされた第2取付部と、
前記第2バンド抱持部の頂部に立設された2枚の第2重連用取付部と、
を有する構成であり、
この2枚の第2重連用取付部は、該頂部の平行する2箇所を基端として該頂部より端部方向部分の夫々が切り起こされた状態で該頂部から立設する構成であり、
更にこの2枚の第2重連用取付部は、該頂部の基端から離れた位置で重合された状態であると共に、この重合された部分に更に別なる配管支持具の取付部又は接続部を係合可能な透孔が形成された構成であること、
を特徴とする上記14に記載の配管支持具。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に示す発明によれば、軽量な合成樹脂管の抱持支持に適しており、しかも複数本の配管を並列状態で支持する場合適用可能な配管支持具を提供することができる。
【0025】
特に、取付部はバンド抱持部の一部を切り起こして形成するので、取付部がバンド抱持部に対して連設された別構成になっている従来の同タイプのものに比して、使用材料を著しく少なくすることができるので低コスト化が可能であるだけでなく、軽量化を図ることができるので建築物や構築物に用いる数量が多い場合には現場への搬入時の搬送性や作業性の点で極めて有利である。
【0026】
しかも、複数本の配管を並列状態で支持する場合、重連用取付部に別なる配管支持具を接続取付けすることによって重連状態での並設支持が可能であり、しかも該重連用取付部は、バンド抱持部の一部を切り起こすだけで加工可能であるため、別部材を付加することもないし、切り取り加工等によって廃棄が必要となる部材も生じることもなく、低コスト化が可能なだけでなく、環境適正にも優れている。
【0027】
請求項2に示す発明によれば、1枚の板状材を打ち抜き・プレス・折曲等の簡易な加工手段により形成することが可能なので極めて低コストでの提供が可能である。
【0028】
請求項3に示す発明によれば、いわゆるサドルバンドのタイプに適用することができる。
【0029】
請求項4に示す発明によれば、いわゆるサドルバンドの一種のΩ字状のタイプに適用することができる。
【0030】
請求項5に示す発明によれば、いわゆるクリップサドルバンドのタイプに適用することができる。
【0031】
請求項6に示す発明によれば、いわゆる片サドルバンドのタイプに適用することができる。
【0032】
請求項7に示す発明によれば、いわゆる角サドルバンドの一種の角部に丸みを有するタイプに適用することができる。
【0033】
請求項8又は9に示す発明によれば、一つの簡易な構成の配管支持具によって複数本の配管の支持が可能である。
【0034】
請求項10に示す発明によれば、取付部の切起し基端部分の強度を高くすることができる。
【0035】
請求項11に示す発明によれば、重連用取付部の切起し基端部分の強度を高くすることができる。
【0036】
請求項12に示す発明によれば、重連用取付部の重合部分の強度を高くすることができる。
【0037】
請求項13に示す発明によれば、異なる配管を重連状態で並設支持することができる。また、接続取付けする別なる配管支持具を適宜選択することにより、異なる径の配管の並設支持が可能となる。
【0038】
請求項14に示す発明によれば、配管支持具の重連用取付部に接続取付けした第2配管支持具に、更に別なる配管支持具を接続取付けすることによって3重連状態での並設支持が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明に係る配管支持具の一実施例を示す5面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、A−A断面図)
図2図1に示す配管支持具の使用例の一例を示す概略正面図
図3】本発明に係る配管支持具の第2実施例を示す5面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、B−B断面図)
図4】本発明に係る配管支持具の第3実施例を示す6面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図、C−C断面図)
図5】本発明に係る配管支持具の第4実施例を示す6面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図、D−D断面図)
図6】本発明に係る配管支持具の第5実施例を示す5面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、E−E断面図)
図7図6に示す配管支持具の使用例の一例を示す概略正面図
図8】本発明に係る配管支持具の第6実施例の使用例の一例を示す概略正面図
図9】本発明に係る配管支持具に接続取付けできる第2配管支持具の一例を示す5面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、F−F断面図)
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に、添付の図面に従って本発明について詳細に説明する。
【0041】
本発明に係る配管支持具は、給水管、給湯管、排水管等の種々配管類を床面や壁面等の取付面に沿った状態で固定支持するものである。
この配管支持具の取付構成としては、バンド抱持部に配管を抱持した状態で、該バンド抱持部の端部の一方又は両方に連設される取付部を前記取付面に取付固定することによって、前記配管を前記取付面に沿った状態で固定支持することができる。
【0042】
固定支持する種々の配管類としては、従来一般的であった鋼管に代わって近年多く用いられるようになった合成樹脂管(ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、ポリブデン管、塩化ビニル管、プロピレン管、ABS管等)の固定支持に本発明は特に有効である。尚、本発明は合成樹脂管の固定支持に特に有効であるが、従来の鋼管の固定支持も可能であり、固定支持する配管として鋼管を排除するものではない。
【0043】
本発明の配管支持具1の具体的構成例としては、図1及び図2に示すように、
配管支持具1は、
半円状、円弧状又はアーチ状の何れかの形状(本実施例では半円状)に形成されて、配管を抱持するバンド抱持部11と、
該バンド抱持部11の端部の一方又は両方(本実施例では両方11Aと11B)に連設され、床面や壁面を含む取付面2に取り付けられる取付部12と、
を有する構成において、
前記取付部12・12が、前記バンド抱持部11の端部11A・11Bの近傍を基端として、該端部11A・11B近傍から該バンド抱持部11の頂部11C方向の部分が切り起こされ、この切り起こされた部分が外側方向であって且つ前記取付面2と面接触可能となるように設けられた構成である。
更に、前記バンド抱持部11の頂部11Cに2枚の重連用取付部13・13が立設されており、
この2枚の重連用取付部13・13は、前記頂部11Cの平行する2箇所を基端として前記頂部11Cより端部11A・11B方向部分の夫々が切り起こされた状態で前記頂部11Cから立設される構成であり、
しかも、この2枚の重連用取付部13・13は、前記頂部11Cの基端から離れた位置で重合された状態であると共に、この重合された部分に他の配管支持具の取付部又は接続部を係合可能な透孔13Aが形成された構成である。
【0044】
以下、本発明の構成について更に詳説する。
【0045】
本発明の配管支持具は、1枚の板状材を加工して形成されており、加工手段としては1枚の板状材を打ち抜き・プレス・折曲等の簡易な加工手段を挙げることができる。これらの加工手段によって、極めて低コストでの提供が可能である。また、用いられる材質としては、この種の配管支持具に用いられる材料として公知公用のものを特別の制限なく用いることができ、好ましくはステンレスやその他の金属である。
【0046】
図1に示す本実施例は、バンド抱持部11が半円状を有し、該バンド抱持部11の両端部11A・11Bの各々から外側方向であって且つ前記取付面2と面接触可能に前記取付部12・12が各々設けられた構成の、いわゆるサドルバンドのタイプに適用された態様を示す。
【0047】
尚、図1に示す符号11D・11Dは重連用取付部13・13が切起こされることにより孔部となったバンド抱持部11の被切起し部であり、符号11D・11Dは取付部12・12が切起こされることにより孔部となったバンド抱持部11の被切起し部である。
【0048】
以上の構成を有する本発明の配管支持具1は、取付部12・12はバンド抱持部11の一部を切り起こして形成するので、取付部12・12がバンド抱持部11に対して連設された別構成になっている従来の同タイプのものに比して、2枚の取付部12・12を構成する材料に相当する量の使用材料を減じることができるので低コスト化が可能であるだけでなく、軽量化を図ることができるので建築物や構築物に用いる数量が多い場合には現場への搬入時の搬送性や作業性の点で極めて有利である。
【0049】
そして、このような構成を有する図1に示す配管支持具1は、図2に示すように、バンド抱持部11に配管Pを抱持した状態で取付面2にボルト等の取付固定手段3により取付固定することによって前記配管Pの支持固定が可能となる。尚、図2に示す符号4は、重連用取付部13に第2配管支持具101の第2取付部112を接続固定するためのボルト・ナットの如き重連固定手段である。
【0050】
更に配管支持具1は、図2に示すように、バンド抱持部11の頂部11Cに立設した2枚の重連用取付部13・13に別なる配管支持具である第2配管支持具101を接続取付けすることによって、別なる配管である第2配管PPの抱持支持が可能となる。尚、図2に示す実施例に用いられる第2配管支持具101は、床面や壁面等の取付面に立て配管する際に好ましく用いられる配管支持バンドであり、特に本実施例では蝶番部等の連結部分を持たないいわゆる提灯式タイプの配管支持バンドを用いている。
【0051】
かかる構成によれば、異なる配管P・第2配管PPを重連状態で並設支持することができる。
【0052】
また、接続取付けする第2配管支持具101を適宜選択することにより、異なる径の配管P・第2配管PPの並設支持が可能となる。即ち、第2配管支持具101として、第2バンド抱持部111の径が異なるものを用意することにより、本発明の配管支持具1が支持固定する配管Pとは異なる径を有する第2配管PPを重連状態で並設支持することができる。
【0053】
以上、本発明に係る配管支持具について説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の範囲内において種々の他の態様を採ることもできる。
【0054】
図3に示す第2実施例は、バンド抱持部11が円弧状を有し、該バンド抱持部11の両端部11A・11Bが接触又は近接(本実施例では近接)して該バンド抱持部11が略円形又はΩ字形(本実施例ではΩ字形)を成す構成であると共に、該バンド抱持部11の両端部11A・11Bの各々から外側方向であって且つ前記取付面2と面接触可能に前記取付部が各々設けられた構成の、いわゆるサドルバンドの一種のΩ字状のタイプに適用された態様を示す。
【0055】
また、図4に示す第3実施例は、バンド抱持部11が円弧状を有し、該バンド抱持部11の一方の端部11Aには、該一方の端部11Aから外側方向であって且つ前記取付面2と平行となるように一方の取付部12Aが設けられていると共に、該バンド抱持部11の他方の端部11Bには、前記一方の端部11Aに当接又は近接(本実施例では近接)する位置まで延伸し、この延伸した部分に前記取付面2と面接触可能であると共に一方の取付部12Aと重層状態に他方の取付部12Bが設けられた構成の、いわゆるクリップサドルバンドのタイプに適用された態様を示す。
【0056】
更に、図5に示す第4実施例は、バンド抱持部11が半円状又は円弧状(本実施例では半円状)を有し、該バンド抱持部11の一方の端部11Aには、該一方の端部11Aから外側方向であって且つ前記取付面2と面接触可能に取付部12が設けられていると共に、該バンド抱持部11の他方の端部11Bは、取付部が連設されることなく、該他方の端部11Bが前記取付面2に当接又は近接する部分で途切れている構成の、いわゆる片サドルバンドのタイプに適用された態様を示す。
【0057】
更に、図6に示す第5実施例は、バンド抱持部11がアーチ状を有し、該バンド抱持部11の両端部11A・11Bの各々から外側方向であって且つ前記取付面2と面接触可能に取付部12A・12Bが各々設けられた構成の、いわゆる角サドルバンドの一種の角部に丸みを有するタイプに適用された態様を示す。
【0058】
尚、この図6に示す第5実施例では、バンド抱持部11の抱持幅を2倍に拡大した構成とすることによって、図7に示すように、配管Pを2本並列状態で支持固定する態様としているが、上記した他の実施例と同様に1本のみの支持固定であってもよいし、3本以上とすることもできる。
尚また、この2本以上の配管Pの並列状態での支持については、本発明の範囲内における他の全ての態様についても適用可能である。
【0059】
2本以上の配管Pを抱持する態様の場合、図6及び図7に示す第5実施例の並列状態で抱持する構成に限らず、図8に示すような、重層状態で抱持する構成を採ることもできる。図8に示す実施例は、図1及び図2に示すサドルバンドのタイプの配管支持具1のバンド抱持部11を重層方向に拡大した構成とすることによって2本の配管Pを重層状態に抱持することができるものである。
尚、本実施例では2本の配管Pを重層状態に抱持する構成であるが、3本以上とすることもできる。
尚また、この2本以上の配管Pの重層状態での支持については、本発明の範囲内における他の全ての態様についても適用可能である。
【0060】
更に、取付部12・12の各々について、各々の切起した基端部分をスポット溶接の如き補強手段を用いて補強する構成が好ましく、かかる構成によれば、切起し部分の破断や裂けを抑制できるので、この切起した起端部分の強度を高くすることができる。
【0061】
更にまた、取付部12・12の各々は、上記した図1図8に示すいずれの実施例においてもバンド抱持部11の外側方向に向かって切起して形成する態様としているが、本発明はこれに限らず、バンド抱持部11の内側方向に向かって切り起こした後、この切起した部分をバンド抱持部11の端部11A・11Bの下端の先端部分において外側方向等に曲げることにより該取付部12・12の各々を形成する態様も本発明に包含する。
【0062】
また、重連用取付部13の各々について、各々の切起した基端部分をスポット溶接の如き補強手段を用いて補強する構成が好ましく、かかる構成によれば、切起し部分の破断や裂けを抑制できるので、この切起した起端部分の強度を高くすることができる。
【0063】
更に、2枚の重連用取付部13・13の重合した部分をスポット溶接の如き接合手段を用いて接合する構成が好ましく、かかる構成によれば、重連用取付部13・13の重合部分の強度を高くすることができる。
【0064】
更にまた、重連用取付部に接続取付けする第2の配管支持具101としては、上記した図2に示すような提灯式タイプの配管支持バンドに限らず、前記重連用取付部に接続取付可能な構成であれば、他の構成を有する様々な配管支持具を接続取付けすることができる。
【0065】
図9に示す実施例は、図2に示す第2配管支持具101とは異なる構成を有する第2配管支持具201である。
【0066】
図9に示す第2配管支持具201は、
両端211A・211Bが接触又は近接して略円形を成して配管PPを抱持する第2バンド抱持部211と、
該第2バンド抱持部211の両端部211A・211Bの各々に連設され、前記重連用取付部13に接続取付けする第2取付部212と、
前記第2バンド抱持部211の頂部211Cに立設する2枚の第2重連用取付部213・213と、
を有する構成であり、
この2枚の第2重連用取付部213・213は、該頂部211Cの平行する2箇所を基端として該頂部211Cより端部方向部分の夫々が切り起こされた状態で該頂部211Cから立設する構成であり、
更にこの2枚の第2重連用取付部213・213は、該頂部211Cの基端から離れた位置で重合された状態あると共に、この重合された部分に更に別なる配管支持具の取付部又は接続部を係合可能な透孔213Aが形成された構成を有するものである。
【0067】
尚、図9に示す符号211D・211Dは、第2重連用取付部213・213が切起こされることにより孔部となった第2バンド抱持部211の被切起し部である。
【0068】
尚また、符号212Aは、第2取付部212に形成された透孔であり、配管支持具1の重連用取付部13・13に取付固定する際に、ボルト・ナットの如き重連固定手段が挿通緊締される。
【0069】
図9に示す構成の第2配管支持具201を用いることにより、配管支持具1の重連用取付部13・13に接続取付けした第2配管支持具201に、更に別なる配管支持具を接続取付けすることによって3重連状態での並設支持が可能となる。
【符号の説明】
【0070】
1 配管支持具
11 バンド抱持部
11A バンド抱持部の一方の端部
11B バンド抱持部の他方の端部
11C バンド抱持部の頂部
11D 被切起し孔部
11E 被切起し孔部
12 取付部
12A 一方の取付部
12B 他方の取付部
12C 透孔
13 重連用取付部
13A 透孔
2 取付面
3 取付固定手段
4 重連固定手段
101 第2配管支持具
111 第2バンド抱持部
112 第2取付部
201 第2配管支持具
211 第2バンド抱持部
211A 第2バンド抱持部の一方の端部
211B 第2バンド抱持部の他方の端部
211C 第2バンド抱持部の頂部
211D 被切起し孔部
212 第2取付部
212C 透孔
213 第2重連用取付部
213A 透孔
P 配管
PP 第2配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9