特許第6142509号(P6142509)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6142509
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】非接触給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170529BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20170529BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20170529BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20170529BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   H02J7/00 301D
   H02J50/12
   H02J50/90
   H02J7/00 P
   H01M10/46
   B60L11/18 C
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-249469(P2012-249469)
(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-99964(P2014-99964A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】新妻 素直
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−106216(JP,A)
【文献】 特開平10−028332(JP,A)
【文献】 特開平09−182212(JP,A)
【文献】 特開2000−092622(JP,A)
【文献】 特開2002−152996(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0091959(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00−3/12、
7/00−13/00、
15/00−15/42
B60M1/00−7/00
H01M10/42−10/48
H02J7/00−7/12、
7/34−7/36、
50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動車両が停車し得る場所に設けられ、前記移動車両の受電コイルに非接触給電を行う給電コイルを備える非接触給電装置であって、
前記移動車両が停車し得る場所に設けられ、前記移動車両の車輪を検出する車輪検出部と、
信号機を備え、前記車輪検出部の検出結果に基づいて前記受電コイルと前記給電コイルとが給電可能な位置関係になるように前記信号機を用いて前記移動車両の走行を支援する走行支援手段とを具備し、
前記走行支援手段は、前記車輪検出部の検出結果が一定時間以上同じ値のときのみ前記信号機を用いて前記移動車両の走行を支援することを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
前記走行支援手段は、前記受電コイルと前記給電コイルとが給電可能な位置関係になるように前記移動車両に進行を指示することを特徴とする請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項3】
前記走行支援手段は、前記受電コイルと前記給電コイルとが給電可能な位置関係になったか否かを移動車両に通知することを特徴とする請求項1または2に記載の非接触給電装置。
【請求項4】
前記車輪検出部は、前記移動車両の進行方向に並べられた複数の近接センサからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の非接触給電装置。
【請求項5】
前記近接センサは、前記移動車両の前記車輪の側方に位置するように設けられていることを特徴とする請求項4に記載の非接触給電装置。
【請求項6】
前記近接センサは、前記移動車両が停車し得る場所の走行面に埋設されていることを特徴とする請求項4に記載の非接触給電装置。
【請求項7】
前記近接センサは、前記移動車両の進行方向に並べられると共に、前記進行方向に直交する方向にも並べられて前記走行面に埋設されていることを特徴とする請求項6に記載の非接触給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、給電設備の給電コイルから非接触給電される受電コイルを備え、給電コイルと受電コイルとが正対に近い位置関係になるように受電コイルの位置合わせを行う電動車両が開示されている。このような電動車両は、外部を撮影するカメラと、カメラによって撮影された画像に基づいて給電コイルの位置を認識して駆動モータ等を制御することで電動車両を給電コイルまで移動させ、受電コイルの受電状況に基づいて受電コイルと給電コイルとの距離を推定し、この距離情報に基づいて駆動モータ等を制御して受電コイルの位置合わせを行う制御装置とを備えることを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/052785号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では、例えば、交差点等の道路の停車エリアに埋設される給電コイルに対して受電コイルの位置合わせを行う場合、停車エリアに埋設された給電コイルが前方を走行する移動車両の陰となってカメラで撮影できない可能性がある。特に、前方の移動車両との距離が詰まっている場合には、給電コイルを撮影することが難しい。上記従来技術では、上述のように給電コイルが障害物によって遮られた場合には、給電コイルを認識できず、受電コイルと給電コイルとの位置合わせが困難になるという問題があった。また、上記従来技術では、カメラや、カメラによって撮影された画像に基づいて駆動モータ等を制御する制御装置を移動車両に搭載しなければならないため、移動車両の製造コストが大幅に上昇する可能性が高い。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、障害物の影響を受けにくく、かつ移動車両側の製造コストを上昇させることなく受電コイルと給電コイルとの位置合わせを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、移動車両が停車し得る場所に設けられ、移動車両の受電コイルに非接触給電を行う給電コイルを備える非接触給電装置であって、移動車両が停車し得る場所に設けられ、移動車両の車輪を検出する車輪検出部と、車輪検出部の検出結果に基づいて受電コイルと給電コイルとが給電可能な位置関係になるように移動車両の走行を支援する走行支援手段とを具備する、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、走行支援手段は、受電コイルと給電コイルとが給電可能な位置関係になるように移動車両に進行を指示する、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、走行支援手段は、受電コイルと給電コイルとが給電可能な位置関係になったか否かを移動車両に通知する、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれか1つの解決手段において、車輪検出部は、移動車両の進行方向に並べられた複数の近接センサからなる、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、第5の解決手段として、上記第4の解決手段において、近接センサは、移動車両の車輪の側方に位置するように設けられている、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、第6の解決手段として、上記第4の解決手段において、近接センサは、移動車両が停車し得る場所の走行面に埋設されている、という手段を採用する。
【0012】
本発明では、第7の解決手段として、上記第6の解決手段において、近接センサは、移動車両の進行方向に並べられると共に、進行方向に直交する方向にも並べられて走行面に埋設されている、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移動車両が停車し得る場所に設けられた車輪検出部の検出結果に基づいて受電コイルと給電コイルとが給電可能な位置関係になるように走行支援手段によって移動車両の走行を支援するので、移動車両の周囲にある他の移動車両などの障害物の影響を受けにくく、かつ移動車両側の製造コストを上昇させることなく受電コイルと給電コイルとの位置合わせを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る非接触給電装置Aの概略構成を示す模式図である。
図2図1のX−X線の断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る非接触給電装置Aの設置例を示す模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る非接触給電装置Aの動作の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る非接触給電装置Aの変形例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る非接触給電装置Aの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る非接触給電装置Aは、図1及び図2に示すように、給電コイル1、車輪検出部2、信号機3及び制御装置4から構成されている。このような非接触給電装置Aは、駐車スペースPsに駐車した移動車両Mに、給電コイル1によって非接触で電力を供給(給電)するものである。なお、上記信号機3及び上記制御装置4は、本実施形態における走行支援手段を構成するものである。
【0016】
駐車スペースPsは、図3に示すように、長方形の領域であり、1台の移動車両Mが駐車し得る広さを有する。この駐車スペースPsは、図3に示すように、一対の短辺の後方側が移動車両Mの進入口Snに設定されている。つまり、移動車両Mは、前進して進入口Snから駐車スペースPsに進入する。このような駐車スペースPsは、例えば、図3に示すように、道路Dの端に設けられた路上パーキングである。なお、上記駐車スペースPsは、図3において、複数設けられているが、一つだけ設けられていてもよい。
【0017】
また、上記移動車両Mは、受電コイルJが給電コイル1から非接触で受電した電力を蓄電池に充電すると共に、当該蓄電池に充電した電力を走行用モータの動力源として利用する。この移動車両Mは、モータで車輪を駆動して走行する電気自動車あるいはハイブリッド自動車である。上記受電コイルJは、所定のコイル径を有するヘリカルコイルであり、コイル軸が垂直方向となるように移動車両Mの底部に設けられている。この受電コイルJは、地上設備である給電コイル1と略同一のコイル径を有し、給電コイル1と電磁気的に結合することによって交流電力を非接触で受電する。また、受電コイルJは、移動車両Mの幅方向における中心に位置すると共に、移動車両Mの幅方向及び長さ方向における前輪Zとの距離X、Y(図3参照)が規定の数値になるように設けられている。
【0018】
一方、給電コイル1は、所定のコイル径を有するヘリカルコイルであり、駐車スペースPsの地面(走行面)中央に設けられる、つまり自身の中心が駐車スペースPsの中心線Cに一致するように設けられている。また、給電コイル1は、図示しない給電回路から所定周波数の交流電力が供給されることにより磁界(給電磁界)を周囲に放射するものである。このような給電コイル1は、上記給電磁界が移動車両Mの受電コイルJに作用するように、コイル軸を上下方向(垂直方向)とした姿勢、かつ、駐車スペースPsに露出した状態あるいはプラスチック等の非磁性材料によってモールドされた状態で駐車スペースPsに、上面が地上面と同じ高さになるように埋設されている。また、給電コイル1は、駐車スペースPsの幅方向及び長さ方向における後述する車輪検出部2の近接センサk13、k23との距離が、上述した距離X、Y(図3参照)となるように設けられている。
【0019】
車輪検出部2は、駐車スペースPsに設けられ、右側及び左側の前輪Zを検出する一対のセンサである。このような車輪検出部2は、右側の前輪Zを検出するための近接センサk11、k12、k13と、左側の前輪Zを検出するための近接センサk21、k22、k23とを備える。上記近接センサk11〜k13、k21〜k23は、静電容量形あるいは音響の反射を利用したものである。近接センサk11、k12、k13は、図示するように、移動車両Mの進行方向に一定間隔をあけて並べられて駐車スペースPsの地面(走行面)に埋設されている。
【0020】
また、近接センサk21、k22、k23は、図3に示すように、近接センサk11、k12、k13と「距離X×2」離れて対向し、移動車両Mの進行方向に一定間隔をあけて並べられて駐車スペースPsの地面(走行面)に埋設されている。近接センサk11〜k13、k21〜k23によって構成される車輪検出部2は、検出結果を示す検出信号を制御装置4に出力する。制御装置4は、車輪検出部2からの検出信号に基づいて移動車両Mの前輪Zの位置を判断する。
【0021】
信号機3は、移動車両Mが前進して駐車スペースPsに進入する際に移動車両Mの運転手が目視確認できるように、かつ移動車両Mが前進して駐車スペースPsから退出する際に移動車両Mの前進を妨げないように、駐車スペースPsの前方隅に立設されている。このような信号機3は、進行指示ランプ3a及び給電可能ランプ3bを備え、制御装置4からの制御指令に基づいて進行指示ランプ3a及び給電可能ランプ3bの点灯あるいは点滅等を行うことによって、受電コイルJと給電コイル1とが給電可能な位置関係になるように移動車両Mの走行を支援する。
【0022】
上記進行指示ランプ3aは、受電コイルJと給電コイル1とが給電可能な位置関係になるように移動車両Mに前進(進行)を指示するものである。また、給電可能ランプ3bは、受電コイルJと給電コイル1とが給電可能な位置関係になったか否かを移動車両Mに通知するものである。具体的に、進行指示ランプ3aは、移動車両Mに前進が必要な場合には、点灯あるいは点滅する。また、給電可能ランプ3bは、受電コイルJと給電コイル1とが給電可能な位置関係になった場合に、点灯する。
【0023】
制御装置4は、本非接触給電装置Aを全体的に統括制御する制御装置であり、車輪検出部2及び信号機3や、給電回路(図示略)を含む各種制御対象と電気的に接続されている。詳細については後述するが、このような制御装置4は、例えばマイクロプロセサを含む電子回路で構成されており、内部の不揮発性記憶装置に記憶された制御プログラムと、車輪検出部2からの検出信号とに基づいて信号機3を制御する。
【0024】
次に、このように構成された本非接触給電装置Aの動作について説明する。
移動車両Mを駐車スペースPsに駐車させようとする場合、運転手は、移動車両Mを前進させて駐車スペースPsの進入口Snから駐車スペースPsに真っ直ぐ進入させる。
【0025】
このような移動車両Mの駐車スペースPsへの進入に対し、本非接触給電装置Aにおいて、車輪検出部2の近接センサk11、k12、k13と近接センサk21、k22、k23とは、順番に移動車両Mの前輪Zを検出し、検出信号を制御装置4に出力する。制御装置4は、車輪検出部2から入力される検出信号に基づいて以下に述べるように信号機3を制御する。
【0026】
最初に、制御装置4は、図4(a)に示すように、前輪Zが車輪検出部2上まで進入していない、つまり前輪Zが車輪検出部2によって検出されない位置にいる場合には、車輪検出部2から前輪Zの検出を示す検出信号が入力されないので、進行指示ランプ3a及び給電可能ランプ3bを消灯状態にする。
【0027】
続いて、制御装置4は、図4(b)に示すように、前輪Zが一番手前の近接センサk11(k21)上まで進む、すなわち前輪Zが一番手前の近接センサk11(k21)によって検出可能な位置まで進入した場合には、近接センサk11(k21)から前輪Zの検出を示す検出信号が入力されるので、進行指示ランプ3aを点灯し、給電可能ランプ3bを消灯状態にする。このように進行指示ランプ3aを点灯させることで、移動車両Mの前進を運転手に促す。
【0028】
続いて、制御装置4は、図4(c)に示すように、前輪Zが真ん中の近接センサk12(k22)上まで進む、すなわち前輪Zが真ん中の近接センサk12(k22)によって検出可能な位置まで進入した場合には、進行指示ランプ3aを点滅し、給電可能ランプ3bを消灯状態にする。このように進行指示ランプ3aを点滅させることで、移動車両Mを少し前進させることを運転手に促す。
【0029】
続いて、制御装置4は、図4(d)に示すように、前輪Zが一番奥の近接センサk13(k23)上まで進む、すなわち前輪Zが一番奥の近接センサk13(k23)によって検出可能な位置まで進入した場合には、進行指示ランプ3aを消灯し、給電可能ランプ3bを点灯状態にする。このように給電可能ランプ3bを点灯させることで、受電コイルJと給電コイル1とが給電可能な位置関係になったことを移動車両Mの運転手に通知する。
この場合、移動車両Mにおける前輪Zから受電コイルJまでの長さ方向の距離、非接触給電装置Aにおける近接センサk13、k23から給電コイル1までの駐車スペースPsの長さ方向の距離がいずれもYなので、前輪Zが近接センサk13(k23)で検出されている、すなわち、前輪Zが近接センサk13(k23)の直上ないし直上のすぐ近くにあるので、受電コイルJも給電コイル1の直上ないし直上のすぐ近くにあり、給電可能であると判断できるからである。
【0030】
そして、運転手は、移動車両Mを停車させて、図示しない充電指示ボタンを操作することにより充電指示を制御装置4に入力して、移動車両Mに充電動作を開始させる。一方、非接触給電装置Aは、給電回路(図示略)に給電動作を開始させる。その後、充電が完了して移動車両Mを駐車スペースPsから発進させる場合、運転手は、移動車両Mを前進あるいは後進させて駐車スペースPsを退出させる。このような駐車時における移動車両Mの駐車スペースPsからの退出に対し、本非接触給電装置Aにおいて、制御装置4は、非接触給電を行っている状態で車輪検出部2によって前輪Zが検出されなくなった場合には、移動車両Mが駐車スペースPsから発進したと判断し、非接触給電を停止する。
【0031】
このような本実施形態によれば、駐車スペースPsに埋設された車輪検出部2の近接センサk11〜k13、k21〜k23が移動車両Mの前輪Z(地面に接している)を検出し、検出結果に基づいて受電コイルJと給電コイル1とが給電可能な位置関係になるように信号機3によって移動車両Mの走行を支援するので、移動車両Mの周囲にある他の移動車両などの障害物の影響を受けにくく、かつ移動車両M側の製造コストを上昇させることなく受電コイルJと給電コイル1との位置合わせを可能にする。また、車輪検出部2の近接センサが埋設されているため駐車スペースPsへの移動車両Mの進入・退出や、移動車両Mが駐車していないときに駐車スペースPsを追加する他の車両や歩行者の移動を妨げない。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態では、移動車両Mの進行方向に並べられた近接センサk11〜k13、k21〜k23によって、前輪Zを検出しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図5に示すように、近接センサを移動車両Mの進行方向に並べられると共に、進行方向に直交する方向にも並べて駐車スペースPsに埋設するようにしもよい。この結果、移動車両Mの位置が左右にずれていても、移動車両Mの前輪Zを検出することができる。その際、図5に示すように、給電コイル1の幅を長くすることによって、受電コイルJと給電コイル1とを対向させることができる。また、右側及び左側の前輪Zを検出するために、一対の車輪検出部2を設置しているが、一方のみを設置して、一方の前輪Zのみを検出するようにしてもよい。
【0033】
(2)上記実施形態では、車輪検出部2を駐車スペースPsに埋設しているが、図6に示すように、移動車両Mの車輪Zの側方に位置するように設けるようにしてもよい。車輪検出部2の高さは移動車両Mが乗り越えることができるように低くし、移動車両Mの走行でできるだけ妨げないことが望ましい。
【0034】
(3)上記実施形態は、路上パーキングとして利用される駐車スペースPsに設置された場合の例であるが、路上パーキング以外にも、交差点等の道路の停車エリアや駐車場に入る前の停車エリア等の通過しつつ一時停止するような場所に設置するようにしてもよい。また、行き止まりタイプの駐車スペースPsにも設置することは可能である。さらに、地面に設けられた駐車スペースPs以外にも、多層階の駐車場の2階以上の駐車スペースや、機械式駐車場のパレット上面など、車を支持する構造一般に設置するようにしてもよい。
【0035】
(4)上記実施形態では、移動車両Mの前進走行による駐車スペースPsへの進入を想定しているが、本願発明はこれに限定されない。つまり、移動車両Mにおける受電コイルJが、移動車両Mにおける幅方向及び長さ方向における後輪との距離が規定の数値(距離X、Y)になるように設けられている場合には、移動車両Mのバック走行による駐車スペースPsへの進入を想定したものであってもよい。
【0036】
(5)上記実施形態において、給電コイル1は、移動車両Mが乗り越えて移動するのに支障ない高さであれば、地上に出ていてもよいし、また地上面より上に設置されていてもよい。
【0037】
(6)上記実施形態では、信号機3によって移動車両Mの運転者に視覚的に通知しているが、スピーカーを用いて音響的に通知するようにしてもよい。また、無線や光(有線を併用してもよい)を利用して車内に置かれたもしくは運転者が身に着けた通知装置に伝達し、視覚的、音響的あるいは触覚的(バイブレータの振動の有無、振動の大小、振動の周波数)に通知するようにしてもよい。例えば、スマートフォンを車内の置台に固定し、信号機3への制御指令と同じ指令を制御装置4から無線を経由してスマートフォンへ指令し、スマートフォンの画面で進行指示ランプ3a及び給電可能ランプ3bと同等の表示を行ってもよい。さらに、スマートフォンを運転者が身につけ、スマートフォンに内蔵されたバイブレータの振動で進行指示・給電の可否を運転者に通知してもよい。
【0038】
(7)上記実施形態では、車輪検出部2として、近接センサk11〜k13、k21〜k23を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、近接センサk11〜k13、k21〜k23の代わりに、光センサ等を用いて前輪Zタイヤを検出する(斜めから光スポットを投影し、アレイセンサでスポットの反射位置を測定する)ようにしてもよい。
【0039】
(8)上記実施形態において、近接センサk11〜k13、k21〜k23は、地面を検出しないよう、ある程度の指向性があることが望ましく、もしくは検出のしきい値を調整してもよい。例えば、図1図5に示す例では、近接センサは上向きの指向性を有し、地表面より少し上方の物体の有無を検出するようにしきい値を調整することが望ましい。また、図6に示す例では、地面を検出しないよう、近接センサは水平方向やや上方かつ中心線C方向への指向性を有し、かつ左側と右側の近接センサが干渉しないよう検出のしきい値を調整することが望ましい。
また、制御装置4は、走り過ぎる移動車両Mへの信号機3による通知を避けるために、近接センサk11〜k13、k21〜k23の検出結果が一定時間以上同じ値のときのみ信号機3に通知させるようにしてもよい。さらに、近接センサを複数個並べて、同時に動作させることで相互干渉してしまう場合には、制御装置4からの信号で順繰りに近接センサをセンシングするようにしてもよい。
【0040】
(9)上記実施形態では、非接触給電する方法として磁界共鳴方式を採用したが、電磁誘導方式を採用するようにしてもよい。
(10)給電コイル1や受電コイルJはヘリカルコイルに限定されない。給電コイル1と受電コイルJの間で非接触給電が可能であればソレノイド状など任意の形式や形状のコイルでよく、また両コイルの形式、形状、大きさが異なってもよい。
【0041】
(11)上記実施形態における車輪検出部2によって検出される車輪は、ゴムタイヤに限られるものではなく、移動車両Mが走行する走行面(道路面、地表面)に接して回転する、移動車両の走行のための車輪一般を含む。
【符号の説明】
【0042】
A…非接触給電装置、1…給電コイル、2…車輪検出部、3…信号機(走行支援手段)、4…制御装置(走行支援手段)、Ps…駐車スペース、M…移動車両、J…受電コイル、Z…前輪、X,Y…距離、C…中心線、3a…進行指示ランプ、3b…給電可能ランプ、D…道路

図1
図2
図3
図4
図5
図6