(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記比較設定手段は、前記第1比較階調値として複数の値を設定する場合に、当該第1比較階調値を構成する複数の値のすべてを前記第1基準階調値よりも大きくまたは小さく設定し、前記第2比較階調値として複数の値を設定する場合に、当該第2比較階調値を構成する複数の値の全てを前記第2基準階調値よりも大きくまたは小さく設定すること
を特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態が適用される画像表示システム10の構成の一例を示した図である。
この画像表示システム10は、表示のための画像データの作成等を行うコンピュータ装置20と、コンピュータ装置20で作成された画像データに基づく画像を表示画面31に表示する表示装置30と、コンピュータ装置20に対する入力等を受け付ける入力装置40とを備えている。
【0014】
この画像表示システム10において、コンピュータ装置20および表示装置30は例えばDVI(Digital Visual Interface)を介して接続されており、コンピュータ装置20および入力装置40は例えばUSB(Universal Serial Bus)を介して接続されている。なお、コンピュータ装置20および表示装置30については、DVIに代えて、HDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)やDisplayPortを介して接続するようにしてもかまわない。
【0015】
コンピュータ装置20は、所謂汎用のパーソナルコンピュータである。そして、コンピュータ装置20は、OS(Operating System)の管理下において、各種アプリケーションソフトウェアを動作させることで、画像データの作成等が行われるようになっている。
【0016】
また、表示装置30は、例えばPC用の液晶ディスプレイ、液晶テレビあるいはプロジェクタなど、加法混色にて画像を表示する機能を備えたもので構成される。したがって、表示装置30における表示方式は、液晶方式に限定されるものではない。なお、
図1は、表示装置30としてPC用の液晶ディスプレイを用いた場合を例示していることから、表示装置30内に表示画面31が設けられているが、表示装置30として例えばプロジェクタを用いる場合、表示画面31は、表示装置30の外部に設けられたスクリーン等となる。
【0017】
さらに、入力装置40は、例えばキーボード装置やマウス装置等で構成される。
【0018】
この画像表示システム10では、例えば入力装置40およびコンピュータ装置20を用いて作成した表示画像データに基づく画像を、表示装置30の表示画面31に表示させるようになっている。ここで、コンピュータ装置20で動作するアプリケーションソフトウェアを用いて製品のデザイン等を行う場合には、表示装置30における表示画面31に、画像を正しい色で表示させることが要求される。特に、表示装置30においては、表示装置30に固有な階調特性に起因して、RGB各色の階調が目的とする階調からずれてしまうことがあり、階調のずれに伴って画像の色も目的とする色からずれることになってしまう。
【0019】
このため、この画像表示システム10では、コンピュータ装置20あるいはコンピュータ装置20の外部で作成した試験画像データに基づく試験画像を、コンピュータ装置20を用いて表示装置30(表示画面31)に表示させ、表示装置30に表示された試験用画像を作業者(ユーザ)が目視で読み取った結果に基づいて、この表示装置30の階調特性(階調の形状)を特定する階調形状特定動作を実行できるようになっている。なお、本実施の形態では、コンピュータ装置20において試験画像データの作成を行っている。
【0020】
そして、本実施の形態のコンピュータ装置20は、上述した階調形状特定動作に用いる試験画像を作成する試験画像データ作成部21と、試験画像データ作成部21で作成された試験画像データに基づいて表示装置30に表示させる表示画像を作成するビデオカード等からなる表示画像作成部22と、試験画像データ作成部21で作成された試験画像データと入力装置40を介して入力されてくる試験画像の読み取り結果とに基づいて、表示装置30の階調形状を特定する階調形状特定部23と、コンピュータ装置20で使用する各種データおよびコンピュータ装置20で作成される各種データを記憶する記憶部24とを備えている。
【0021】
図2は、コンピュータ装置20のハードウェア構成を示した図である。
コンピュータ装置20は、上述したようにパーソナルコンピュータ等により実現される。そして、コンピュータ装置20は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)20aと、記憶手段であるメインメモリ20bおよびHDD(Hard Disk Drive)20cとを備える。ここで、CPU20aは、OSやアプリケーションソフトウェア等の各種プログラムを実行する。また、メインメモリ20bは、各種プログラムやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、HDD20cは、各種プログラムに対する入力データや各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域である。さらに、コンピュータ装置20は、入力装置40や表示装置30を含む外部との通信を行うための通信インタフェース(以下、「通信I/F」と表記する)20dを備えている。
【0022】
なお、このプログラムに関する提供形態としては、予めHDD20cに格納された状態にて提供され、メインメモリ20bにロードされる形態がある。また、インターネット等のネットワークを介してコンピュータ装置20にプログラムが伝送され、通信I/F20dを介してHDD20cにインストールされ、メインメモリ20bにロードされる形態がある。さらにまた、DVD−ROMやフラッシュメモリ等の外部記録媒体からメインメモリ20bにロードされる形態がある。
【0023】
図3は、
図1に示すコンピュータ装置20における試験画像データ作成部21の機能構成例を示した図である。
画像処理装置の一例としての試験画像データ作成部21は、基準階調値設定部211と、比較階調値設定部212と、画像形状設定部213と、画像配置設定部214と、試験画像生成部215とを備える。
【0024】
基準設定手段の一例としての基準階調値設定部211は、上述した階調形状特定動作において、入力装置40にて受け付けた入力(指示)に基づき、階調値の基準となる基準階調値の設定を行う。ここで、本実施の形態の基準階調値設定部211は、基準階調として複数の値を設定する。なお、基準階調値の詳細については後述する。
【0025】
また、比較設定手段の一例としての比較階調値設定部212は、上述した階調形状特定動作において、基準階調値設定部211で設定された基準階調値を構成する複数の値のそれぞれに対応して、基準階調値の比較対象となる比較階調値の設定を行う。ここで、本実施の形態の比較階調値設定部212は、基準階調値を構成する複数の値のそれぞれに対応した比較階調値として1または複数の値を設定する。なお、比較階調値の詳細については後述する。
【0026】
さらに、画像形状設定部213は、上述した階調形状特定動作において、作業者による評価対象となる評価画像の形状を設定する。なお、評価画像および評価画像の形状の詳細については後述する。
【0027】
さらにまた、画像配置設定部214は、上述した階調形状特定動作において、試験画像における上記評価画像の配置を設定する。なお、評価画像の配置の詳細については後述する。
【0028】
そして、作成手段の一例としての試験画像生成部215は、基準階調値設定部211で設定された基準階調値、比較階調値設定部212で設定された比較階調値、画像形状設定部213で設定された評価画像の形状、および、画像配置設定部214で設定された評価画像の配置に基づき、表示装置30の表示画面31(
図1参照)に表示する試験画像の元となる試験画像データを生成する。試験画像生成部215が生成した試験画像データは、表示画像作成部22および階調形状特定部23に出力される。なお、試験画像の詳細については後述する。
【0029】
図4は、
図1に示すコンピュータ装置20における階調形状特定部23の機能構成例を示した図である。
本実施の形態の階調形状特定部23は、判別用テーブル作成部231と、階調形状判別部232とを備える。
【0030】
判別用テーブル作成部231は、上述した階調形状特定動作において、試験画像データ作成部21から入力されてくる試験画像データに基づき、階調形状を特定するために用いられる判別用テーブルを作成する。なお、判別用テーブルの詳細については後述する。
【0031】
階調形状判別部232は、判別用テーブル作成部231で作成された判別用テーブルと、入力装置40を介して入力されてくる試験画像の読み取り結果とに基づいて、表示装置30の階調形状を判別する。なお、階調形状の具体的な判別手法(特定手法)については後述する。
【0032】
図5は、表示装置30の階調形状特定動作における処理手順を示すフローチャートである。なお、
図5に示す処理(後述する
図6および
図7に示す処理を含む)は、RGBの各色について、それぞれ行われる。
【0033】
この処理においては、まず、コンピュータ装置20に設けられた試験画像データ作成部21が、試験画像データを作成する(ステップ10)。続いて、ステップ10で作成された試験画像データに基づいて、コンピュータ装置20に設けられた表示画像作成部22が表示画像データを作成し、作成した表示画像データを表示装置30に出力することで、表示装置30に表示画像として試験画像を表示させる(ステップ20)。そして、作業者は、表示装置30の表示画面31に表示される試験画像を目視で評価し、その読み取り結果(評価結果)を、入力装置40を用いて入力する。
【0034】
これに伴い、コンピュータ装置20の階調形状特定部23は、入力装置40を介して評価結果の入力を受け付ける(ステップ30)。そして、コンピュータ装置20の階調形状特定部23は、ステップ10で作成された試験画像データと、ステップ30で入力を受け付けた評価結果とに基づき、表示装置30の階調形状特性を特定し(ステップ40)、一連の処理を完了する。
【0035】
図6は、
図5のステップ10に示す試験画像データ作成の詳細手順を説明するためのフローチャートである。なお、試験画像データを作成する処理は、上述したように、
図3に示す試験画像データ作成部21で行われる。
試験画像データの作成においては、まず、基準階調値設定部211が、入力装置40からの入力(指示)に基づいて基準階調値の設定を行う(ステップ11)。次に、比較階調値設定部212が、ステップ11で作成された基準階調値に基づいて比較階調値の設定を行う(ステップ12)。続いて、画像形状設定部213が、試験画像における評価画像の形状を設定し(ステップ13)、画像配置設定部214が、試験画像における評価画像の配置を設定する(ステップ14)。そして、試験画像生成部215が、これら基準階調値、比較階調値、評価画像の形状および評価画像の配置に基づいて試験画像(試験画像データ)を生成し(ステップ15)、一連の処理を完了する。
【0036】
図7は、
図5のステップ40に示す階調形状特定の詳細手順を説明するためのフローチャートである。なお、階調形状を特定する処理は、上述したように、
図4に示す階調形状特定部23で行われる。
階調形状の特定においては、まず、判別用テーブル作成部231が、試験画像データ作成部21から入力されてくる試験画像データに基づいて判別用テーブルを作成する(ステップ41)。次に、階調形状判別部232が、入力装置40を介して入力されてくる試験画像の読み取り結果(識別画像の個数)を取得する(ステップ42)。そして、階調形状判別部232が、ステップ41で作成された判別用テーブルと、ステップ42で取得された識別画像の個数とに基づいて、表示装置30の階調形状を判別し(ステップ43)、一連の処理を完了する。
【0037】
なお、その後、ステップ43で特定された階調形状に基づき、コンピュータ装置20により、表示装置30に対するキャリブレーション(トーンカーブの調整等)が実行され、調整に伴って得られた補正値(階調補正値)が、コンピュータ装置20に設けられた表示画像作成部22(ビデオカード)に書き込まれることにより、表示装置30に起因する階調のずれが補正される。
【0038】
ではここで、具体例を挙げつつ、上述した階調形状の特定動作について説明を行う。なお、この説明においては、表示装置30が、RGB各色を8ビットすなわち256階調(階調値:0〜255)で表現しているものとする。
【0039】
図8は、
図6に示すステップ11で設定される基準階調値Gsおよびステップ12で設定される比較階調値Gcを説明するための図である。
本実施の形態では、上述したように、基準階調値Gsとして複数の値が設定されるが、この例では基準階調値Gsとして2つの値、より具体的には、第1基準階調値Gs1および第2基準階調値Gs2が設定されている。なお、この例においては、第1基準階調値Gs1として「192」が、第2基準階調値Gs2として「64」が、それぞれ設定されている。ここで、第1基準階調値Gs1および第2基準階調値Gs2は、それぞれの値が異なっていること、および、最低階調値および最高階調値以外から選ばれることが前提となっている。この例では、第1基準階調値Gs1が、256階調のうちの半分超であってほぼ4分の3となる値(192)に設定され、第2基準階調値Gs2が、256階調のうちの半分未満であってほぼ4分の1となる値(64)に設定されている。なお、基準階調値Gsを構成する複数の値の、他の設定手法については後述する。
【0040】
また、本実施の形態の比較階調値Gcは、第1基準階調値Gs1に基づいて決められた第1比較階調値Gc1と、第2基準階調値Gs2に基づいて決められた第2比較階調値Gc2とを有している。ここで、本実施の形態では、第1比較階調値Gc1として3つの値が設定され、第2比較階調値Gc2として3つの値が設定されている。より具体的に説明すると、第1比較階調値Gc1は、第1基準第1比較階調値(以下では「1−1比較階調値」と称する)Gc11と、第1基準第2比較階調値(以下では「1−2比較階調値」と称する)Gc12と、第1基準第3比較階調値(以下では「1−3比較階調値」と称する)Gc13とを含んでいる。一方、第2比較階調値Gc2は、第2基準第1比較階調値(以下では「2−1比較階調値」と称する)Gc21と、第2基準第2比較階調値(以下では「2−2比較階調値」と称する)Gc22と、第2基準第3比較階調値(以下では「2−3比較階調値」と称する)Gc23とを含んでいる。
【0041】
ここで、第1比較階調値Gc1(1−1比較階調値Gc11、1−2比較階調値Gc12および1−3比較階調値Gc13)は、第1基準階調値Gs1に近い値であって、第1基準階調値Gs1より大きい値、あるいは、第1基準階調値Gs1より小さい値から選択される。例えば1−1比較階調値Gc11が第1基準階調値Gs1よりも大きい値であれば、1−2比較階調値Gc12および1−3比較階調値Gc13も第1基準階調値Gs1よりも大きい値となる。一方、例えば1−1比較階調値Gc11が第1基準階調値Gs1よりも小さい値であれば、1−2比較階調値Gc12および1−3比較階調値Gc13も第1基準階調値Gs1よりも小さい値となる。ただし、1−1比較階調値Gc11、1−2比較階調値Gc12および1−3比較階調値Gc13は、互いに異なる値である。なお、この例においては、1−1比較階調値Gc11として「194」が、1−2比較階調値Gc12として「196」が、1−3比較階調値Gc13として「198」が、それぞれ設定されている。すなわち、この例においては、第1比較階調値Gc1(1−1比較階調値Gc11、1−2比較階調値Gc12および1−3比較階調値Gc13)の値(194〜198)が、第1基準階調値Gs1(192)よりも大きい値に設定されている。
【0042】
また、第2比較階調値Gc2(2−1比較階調値Gc21、2−2比較階調値Gc22および2−3比較階調値Gc23)は、第2基準階調値Gs2に近い値であって、第2基準階調値Gs2より大きい値、あるいは、第2基準階調値Gs2より小さい値から選択される。例えば2−1比較階調値Gc21が第2基準階調値Gs2よりも大きい値であれば、2−2比較階調値Gc22および2−3比較階調値Gc23も第2基準階調値Gs2よりも大きい値となる。一方、例えば2−1比較階調値Gc21が第2基準階調値Gs2よりも小さい値であれば、2−2比較階調値Gc22および2−3比較階調値Gc23も第2基準階調値Gs2よりも小さい値となる。ただし、2−1比較階調値Gc21、2−2比較階調値Gc22および2−3比較階調値Gc23は、互いに異なる値である。なお、この例においては、2−1比較階調値Gc21として「66」が、2−2比較階調値Gc22として「68」が、2−3比較階調値Gc23として「70」が、それぞれ設定されている。すなわち、この例においては、第2比較階調値Gc2(2−1比較階調値Gc21、2−2比較階調値Gc22および2−3比較階調値Gc23)の値(66〜70)が、第2基準階調値Gs2(64)よりも大きい値に設定されている。
【0043】
なお、この例では、第1比較階調値Gc1を第1基準階調値Gs1よりも大きく設定するとともに第2比較階調値Gc2を第2基準階調値Gs2よりも大きく設定しているが、これに限られるものではない。例えば、第1比較階調値Gc1を第1基準階調値Gs1よりも大きく設定するとともに第2比較階調値Gc2を第2基準階調値Gs2よりも小さく設定してもよいし、第1比較階調値Gc1を第1基準階調値Gs1よりも小さく設定するとともに第2比較階調値Gc2を第2基準階調値Gs2よりも大きく設定してもよいし、第1比較階調値Gc1を第1基準階調値Gs1よりも小さく設定するとともに第2比較階調値Gc2を第2基準階調値Gs2よりも小さく設定してもよい。
【0044】
また、この例では、第1基準階調値Gs1と1−1比較階調値Gc11との階調差、1−1比較階調値Gc11と1−2比較階調値Gc12との階調差、そして、1−2比較階調値Gc12と1−3比較階調値Gc13との階調差が、それぞれ「2」に設定されているが、これに限られるものではない。例えば、それぞれの階調差を等しくしなくてもかまわない。ただし、後述するように、本実施の形態では階調差の少ない評価画像を用いて評価を行うことから、階調差は最大で10程度とすることが望ましい。そして、このことは、第2基準階調値Gs2と第2比較階調値Gc2(2−1比較階調値Gc21、2−2比較階調値Gc22および2−3比較階調値Gc23)との階調差においても同じである。
【0045】
図9は、
図6に示すステップ13で設定される評価画像Ieの形状の構成例を説明するための図である。本実施の形態では、後述するように、1つの試験画像中に、
図9に示す評価画像Ieが複数個配置される。
【0046】
本実施の形態の評価画像Ieは、円形状に形成される背景画像Ibと、円形状に形成されるとともに背景画像Ibよりも小さな直径を有し、中心の位置が背景画像Ibと一致するように背景画像Ibに重ねて配置される前景画像Ifとを有している。そして、前景画像Ifは、背景画像Ibと接し且つ背景画像Ibによって囲われた状態となっている。
【0047】
この例において、背景画像Ibの階調は、
図8に示す基準階調値Gsから選ばれたいずれかの値に設定され、前景画像Ifの階調は、
図8に示す比較階調値Gcから選ばれたいずれかの値に設定される。ただし、例えば背景画像Ibの階調が第1基準階調値Gs1に設定される場合、前景画像Ifの階調は第1比較階調値Gc1を構成する1−1比較階調値Gc11、1−2比較階調値Gc12あるいは1−3比較階調値Gc13に設定され、例えば背景画像Ibの階調が第2基準階調値Gs2に設定される場合、前景画像Ifの階調は第2比較階調値Gc2を構成する2−1比較階調値Gc21、2−2比較階調値Gc22あるいは2−3比較階調値Gc23に設定される。したがって、評価画像Ieにおいては、背景画像Ibと前景画像Ifとの階調差が小さく設定される(この例において、階調差は最大でも6である)ため、背景画像Ibと前景画像Ifとの判別がしづらい状態となっている。
なお、評価画像Ieの構成はこれに限られるものではなく、例えば前景画像Ifの階調を基準階調値Gsから選択するとともに、背景画像Ibの階調を比較階調値Gcから選択するようにしてもかまわない。
【0048】
図10は、
図6に示すステップ15で作成される試験画像データに基づいて表示装置30(表示画面31)に表示される試験画像Itの一例を説明するための図である。
また、
図11は、
図10に示す試験画像Itの構成要素を説明するための図である。
【0049】
本実施の形態の試験画像Itは、第1基準階調値Gs1および第1比較階調値Gc1に基づいて作成された第1試験画像It1と、第2基準階調値Gs2および第2比較階調値Gc2に基づいて作成された第2試験画像It2と、これら第1試験画像It1および第2試験画像It2の全体の背景となる第3試験画像It3とを有している。
【0050】
図10に示す試験画像Itにおいては、
図9に示す評価画像Ieが、横に3列および縦に2列(3×2=6)並べて配置されている。そして、これらのうち、表示画面31において、上段に横に3つ並べて配置された評価画像Ieが第1試験画像It1となり、第1試験画像It1からみて下段に横に3つ並べて配置された評価画像Ieが第2試験画像It2となる。
【0051】
まず、第1画像の一例としての第1試験画像It1は、図中左側から順に、第1試験第1評価画像(以下では「1−1評価画像」と称する)Ie11と、第1試験第2評価画像(以下では「1−2評価画像」と称する)Ie12と、第1試験第3評価画像(以下では「1−3評価画像」と称する)Ie13とを含んでいる。ここで、1−1評価画像Ie11は、背景となる第1試験第1背景画像(以下では「1−1背景画像」と称する)Ib11と、前景となる第1試験第1前景画像(以下では「1−1前景画像」と称する)If11とを有している。また、1−2評価画像Ie12は、背景となる第1試験第2背景画像(以下では「1−2背景画像」と称する)Ib12と、前景となる第1試験第2前景画像(以下では「1−2前景画像」と称する)If12とを有している。さらに、1−3評価画像Ie13は、背景となる第1試験第3背景画像(以下では「1−3背景画像」と称する)Ib13と、前景となる第1試験第3前景画像(以下では「1−3前景画像」と称する)If13とを有している。
【0052】
1−1評価画像Ie11において、1−1背景画像Ib11の階調は第1基準階調値Gs1に設定され、1−1前景画像If11の階調は1−1比較階調値Gc11に設定される。また、1−2評価画像Ie12において、1−2背景画像Ib12の階調は第1基準階調値Gs1に設定され、1−2前景画像If12の階調は1−2比較階調値Gc12に設定される。さらに、1−3評価画像Ie13において、1−3背景画像Ib13の階調は第1基準階調値Gs1に設定され、1−3前景画像If13の階調は1−3比較階調値Gc13に設定される。このように、第1試験画像It1を構成する3つの評価画像Ieにおいては、背景画像Ibの階調が共通の値に設定される一方、前景画像Ifの階調はそれぞれ異なる値に設定される。なお、本実施の形態では、第1画像の一例としての第1試験画像It1のうち、各背景画像Ib(1−1背景画像Ib11、1−2背景画像Ib12および1−3背景画像Ib13)が第1基準画像として、各前景画像If(1−1前景画像If11、1−2前景画像If12および1−3前景画像If13)が第1比較画像として、それぞれ機能している。
【0053】
これに対し、第2画像の一例としての第2試験画像It2は、図中左側から順に、第2試験第1評価画像(以下では「2−1評価画像」と称する)Ie21と、第2試験第2評価画像(以下では「2−2評価画像」と称する)Ie22と、第2試験第3評価画像(以下では「2−3評価画像」と称する)Ie23とを含んでいる。ここで、2−1評価画像Ie21は、背景となる第2試験第1背景画像(以下では「2−1背景画像」と称する)Ib21と、前景となる第2試験第1前景画像(以下では「2−1前景画像」と称する)If21とを有している。また、2−2評価画像Ie22は、背景となる第2試験第2背景画像(以下では「2−2背景画像」と称する)Ib22と、前景となる第2試験第2前景画像(以下では「2−2前景画像」と称する)If22とを有している。さらに、2−3評価画像Ie23は、背景となる第2試験第3背景画像(以下では「2−3背景画像」と称する)Ib23と、前景となる第2試験第3前景画像(以下では「2−3前景画像」と称する)If23とを有している。
【0054】
2−1評価画像Ie21において、2−1背景画像Ib21の階調は第2基準階調値Gs2に設定され、2−1前景画像If21の階調は2−1比較階調値Gc21に設定される。また、2−2評価画像Ie22において、2−2背景画像Ib22の階調は第2基準階調値Gs2に設定され、2−2前景画像If22の階調は2−2比較階調値Gc22に設定される。さらに、2−3評価画像Ie23において、2−3背景画像Ib23の階調は第2基準階調値Gs2に設定され、2−3前景画像If23の階調は2−3比較階調値Gc23に設定される。このように、第2試験画像It2を構成する3つの評価画像Ieにおいても、背景画像Ibの階調が共通の値に設定される一方、前景画像Ifの階調はそれぞれ異なる値に設定される。なお、本実施の形態では、第2画像の一例としての第2試験画像It2のうち、各背景画像Ib(2−1背景画像Ib21、2−2背景画像Ib22および2−3背景画像Ib23)が第2基準画像として、各前景画像If(2−1前景画像If21、2−2前景画像If22および2−3前景画像If23)が第2比較画像として、それぞれ機能している。
【0055】
他方、第3試験画像It3は、単一階調に設定される。なお、この例において、第3試験画像It3は、ホワイト(W)すなわちRGBの各階調値が(255,255,255)に設定される。
【0056】
本実施の形態の階調形状特定動作においては、
図10に示す試験画像Itを表示装置30の表示画面31に表示させることで、表示装置30に固有な特性が加味された試験画像Itを、作業者に提示する。そして、作業者は、表示画面31に表示された試験画像Itを目視にて観察し、第1試験画像It1を構成する3つの評価画像Ie(1−1評価画像Ie11、1−2評価画像Ie12および1−3評価画像Ie13)のうち、背景画像Ibと前景画像Ifとの識別ができた(目視で階調差を認識できた)画像(以下では識別画像と呼ぶ)の数を、入力装置40を用いて入力する。また、作業者は、第2試験画像It2を構成する3つの評価画像Ie(2−1評価画像Ie21、2−2評価画像Ie22および2−3評価画像Ie23)のうち、背景画像Ibと前景画像Ifとの識別ができた識別画像の数を、入力装置40を用いて入力する。
【0057】
図12は、
図7に示すステップ41において作成される判別用テーブルの構成例を説明するための図である。
【0058】
本実施の形態の判別用テーブルは、試験用画像データに記述される、第1試験画像It1を構成する評価画像Ieの数と、第2試験画像It2を構成する評価画像Ieの数とに基づいて決定される。なお、
図12に示す判別用テーブルは、
図10および
図11に示す試験用画像に対応するものであることから、第1試験画像It1を構成する評価画像Ieの数は3であり、第2試験画像It2を構成する評価画像Ieの数も3である。
【0059】
図12に示す判別用テーブルは、第1試験画像It1において背景画像Ibと前景画像Ifとの識別ができた識別画像の数(個数)と、第2試験画像It2において背景画像Ibと前景画像Ifとの識別ができた識別画像の数(個数)と、階調形状の判別結果とを対応付けたものとなっている。この例において、第1試験画像It1における識別画像の個数は0〜3の範囲をとることとなり、第2試験画像It2における識別画像の個数も0〜3の範囲をとることとなる。
【0060】
この例において、第1試験画像It1における識別画像の個数が「0」であり、第2試験画像It2における識別画像の個数が「0」である場合(以下では、[0:0]と表記する)、階調形状はパターンAと判別される。また、[0:1]、[0:2]、[0:3]、[1:0]、[1:1]、[1:2]、[2:0]、[2:1]の場合も、階調形状はパターンAと判別される。また、この例において、[1:3]、[2:2]、[3:1]となる場合、階調形状はパターンBと判別される。さらに、この例において、[2:3]、[3:0]、[3:2]、[3:3]となる場合、階調形状はパターンCと判別される。
【0061】
図13は、
図12に示す判別用テーブルに記載される階調形状のパターン例を説明するための図である。
図13には、
図12に示すパターンA、パターンBおよびパターンCが記載されている。なお、パターンA〜パターンCのそれぞれにおいて、横軸は階調値(0〜255)であり、縦軸は階調値が255のときの輝度で全体の輝度を規格化した相対輝度である。
【0062】
これらのうち、パターンAは、低階調領域(階調値が0に近い領域)および高階調領域(階調値が255に近い領域)の両者における輝度の傾きが、中階調領域(階調値が128に近い領域)における輝度の傾きよりも小さくなる(寝る)、所謂S字型の階調形状となっている。
【0063】
また、パターンBは、高階調領域における輝度の傾きが中階調領域における輝度の傾きよりも大きくなり(立ち)、中階調領域における輝度の傾きが低階調領域における輝度の傾きよりも大きくなる(立つ)、所謂指数関数的な階調形状となっている。
【0064】
さらに、パターンCは、低階調領域および高階調領域の両者における輝度の傾きが、中階調領域における輝度の傾きよりも大きくなる(立つ)、所謂逆S字状の階調形状となっている。
【0065】
本実施の形態では、基準階調値Gsとして第1基準階調値Gs1および第2基準階調値Gs2を設定するとともに、第1基準階調値Gs1に対しては第1比較階調値Gc1を、第2基準階調値Gs2に対しては第2比較階調値Gc2を、それぞれ設定するようにした。そして、第1基準階調値Gs1と第1比較階調値Gc1とを組み合わせてなる第1試験画像It1と、第2基準階調値Gs2と第2比較階調値Gc2とを組み合わせてなる第2試験画像It2とを含む試験画像Itを、表示装置30の表示画面31に表示させるようにした。そして、作業者による、第1試験画像It1における識別画像の個数および第2試験画像It2における識別画像の個数の入力を受け付けるようにした。
【0066】
これにより、本実施の形態では、最低階調値=0および最高階調値=255の2点に、第1基準階調値Gs1および第2基準階調値Gs2の2点を加えた状態に基づいて、表示装置30の階調形状を特定することができる。その結果、例えば
図13にパターンBで示す、比較的単純な階調形状に加えて、
図13にパターンAあるいはパターンCで示す、比較的複雑な階調形状についても把握することが可能になる。それゆえ、複雑且つ高価な測定器等を使用しなくても、人間が目視した結果に基づいて得られる表示装置30の階調形状を、より目標とする階調特性に近づけることが可能になる。
【0067】
したがって、得られた階調形状に基づいて階調補正を行った表示装置30においては、表示装置30に固有な階調特性が、階調補正に伴って相殺されることになり、目標とする階調特性を再現した画像を表示させることが可能となる。
【0068】
特に、本実施の形態では、第1比較階調値Gc1として1−1比較階調値Gc11、1−2比較階調値Gc12および1−3比較階調値Gc13を設定し、且つ、第2比較階調値Gc2として2−1比較階調値Gc21、2−2比較階調値Gc22および2−3比較階調値Gc23を設定するようにした。これにより、第1比較階調値Gc1および第2比較階調値Gc2としてそれぞれ1つの値を設定する場合と比較して、人間が目視した結果に基づいて得られる表示装置30の階調形状を、より目標とする階調特性に近づけることが可能になる。
【0069】
また、ここでは、基準階調値Gsとして2つ値すなわち第1基準階調値Gs1および第2基準階調値Gs2を設定するようにしていたが、3つ以上の値を設定することにより、人間が目視した結果に基づいて得られる表示装置30の階調形状を、目標とする階調特性にさらに近づけることが可能になる。
【0070】
なお、本実施の形態においては、試験画像Itにおいて第1試験画像It1および第2試験画像It2のそれぞれを構成する評価画像Ieを、所謂二重丸形状としていたが、これに限られるものではない。
【0071】
図14は、本実施の形態における試験画像Itの他の構成例を示す図である。
図14に示す試験画像Itの基本構成は、
図10に示したものと同じであるが、試験画像Itを構成する6つの評価画像Ieにおける前景画像Ifの形状が、
図10に示すものとは異なる。
【0072】
第1試験画像It1において、1−1評価画像Ie11を構成する1−1前景画像If11はアルファベットの「a」字状に、1−2評価画像Ie12を構成する1−2前景画像If12はアルファベットの「b」字状に、1−3評価画像Ie13を構成する1−3前景画像If13はアルファベットの「c」字状に、それぞれ設定されている。また、第2試験画像It2において、2−1評価画像Ie21を構成する2−1前景画像If21はアルファベットの「d」字状に、2−2評価画像Ie22を構成する2−2前景画像If22はアルファベットの「e」字状に、2−3評価画像Ie23を構成する2−3前景画像If23はアルファベットの「f」字状に、それぞれ設定されている。
【0073】
ここで、1−1評価画像Ie11を構成する1−1背景画像Ib11、1−2評価画像Ie12を構成する1−2背景画像Ib12、1−3評価画像Ie13を構成する1−3背景画像Ib13、および、2−1評価画像Ie21を構成する2−1背景画像Ib21、2−2評価画像Ie22を構成する2−2背景画像Ib22、2−3評価画像Ie23を構成する2−3背景画像Ib23は、
図10と同じく、それぞれ円形状に設定されている。そして、この例においても、前景画像Ifは、背景画像Ibと接し且つ背景画像Ibによって囲われた状態となっている。
【0074】
試験画像Itとしてこのような画像を採用した場合は、
図10に示したような、図形同士を組み合わせた画像と比較して、作業者による背景画像Ibと前景画像Ifとの判別(階調の識別)性をより高めることが可能になる場合がある。
【0075】
<実施の形態2>
本実施の形態の基本構成は、実施の形態1とほぼ同様であるが、試験画像Itの構成が実施の形態1とは異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0076】
図15は、実施の形態2において、試験画像データに基づいて表示装置30(表示画面31)に表示される試験画像Itの一例を示す図である。
また、
図16は、
図15に示す試験画像Itの構成要素を説明するための図である。
【0077】
本実施の形態の試験画像Itは、第1基準階調値Gs1および第1比較階調値Gc1に基づいて作成された第1試験画像It1と、第2基準階調値Gs2および第2比較階調値Gc2に基づいて作成された第2試験画像It2とを有している。なお、
図15および
図16に示す例では、実施の形態1とは異なり、試験画像Itは第3試験画像It3を有していない。
【0078】
図15に示す試験画像Itにおいては、表示画面31において、上段に第1試験画像It1が配置されており、第1試験画像It1の下段に第2試験画像It2が配置されている。
【0079】
まず、第1試験画像It1は、図中左側から順に配置される1−1前景画像If11、1−2前景画像If12および1−3前景画像If13を含む第1前景画像If1と、1−1前景画像If11、1−2前景画像If12および1−3前景画像If13の全体の背景となる第1背景画像Ib1とを有している。
【0080】
第1試験画像It1において、第1背景画像Ib1は横長の長方形状に設定されており、第1前景画像If1を構成する1−1前景画像If11、1−2前景画像If12および1−3前景画像If13は、共通の直径を有する円形状に設定されている。そして、第1前景画像If1を構成する1−1前景画像If11、1−2前景画像If12および1−3前景画像If13は、第1背景画像Ib1と接し且つ第1背景画像Ib1によって囲われた状態となっている。
【0081】
この例において、第1試験画像It1を構成する第1背景画像Ib1の階調は、第1基準階調値Gs1に設定される。また、第1試験画像It1を構成する第1前景画像If1において、1−1前景画像If11の階調は1−1比較階調値Gc11に、1-2前景画像If12の階調は1−2比較階調値Gc12に、1−3前景画像If13の階調は1−3比較階調値Gc13に、それぞれ設定される。
【0082】
次に、第2試験画像It2は、図中左側から順に配置される2−1前景画像If21、2−2前景画像If22および2−3前景画像If23を含む第2前景画像If2と、2−1前景画像If21、2−2前景画像If22および2−3前景画像If23の全体の背景となる第2背景画像Ib2とを有している。
【0083】
第2試験画像It2において、第2背景画像Ib2は横長の長方形状に設定されており、第2前景画像If2を構成する2−1前景画像If21、2−2前景画像If22および2−3前景画像If23は、共通の直径を有する円形状に設定されている。そして、第2前景画像If2を構成する2−1前景画像If21、2−2前景画像If22および2−3前景画像If23は、第2背景画像Ib2と接し且つ第2背景画像Ib2によって囲われた状態となっている。
【0084】
この例において、第2試験画像It2を構成する第2背景画像Ib2の階調は、第2基準階調値Gs2に設定される。また、第2試験画像It2を構成する第2前景画像If2において、2−1前景画像If21の階調は2−1比較階調値Gc21に、2-2前景画像If22の階調は2−2比較階調値Gc22に、2−3前景画像If23の階調は2−3比較階調値Gc23に、それぞれ設定される。
【0085】
なお、この例においては、第1試験画像It1を構成する第1背景画像Ib1の下端側の辺と、第2試験画像It2を構成する第2背景画像Ib2の上端側の辺とが接触するようになっており、第3試験画像It3を不要としている。
【0086】
ここで、
図15に示す第1試験画像It1は、
図9に示す評価画像Ieにおいて、背景画像Ibを矩形状としたものを、横方向に3つ並べて配置したものとみなすことができる。また、
図15に示す第2試験画像It2も、
図9に示す評価画像Ieにおいて、背景画像Ibを矩形状としたものを、横方向に3つ並べて配置したものとみなすことができる。
【0087】
試験画像Itとしてこのような構成を採用した場合も、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0088】
<実施の形態3>
本実施の形態の基本構成は、実施の形態2とほぼ同様であるが、試験画像Itの構成が実施の形態2とは異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態2と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0089】
図17は、実施の形態3において、試験画像データに基づいて表示装置30(表示画面31)に表示される試験画像Itの一例を示す図である。
実施の形態2では、試験画像Itにおいて、第1試験画像It1および第2試験画像It2を、時間軸において一緒に表示させるようにしていた。これに対し、本実施の形態では、第1試験画像It1および第2試験画像It2を、時間軸において異なるタイミングで表示させるようにしている。
【0090】
図17(a)は、表示画面31に表示される第1試験画像It1を示す図である。ここで、第1試験画像It1の構成は、表示画面31の全体に第1試験画像It1が表示されている点を除けば、実施の形態2で説明したものと同じである。
【0091】
また、
図17(b)は、第1試験画像It1に続いて表示画面31に表示される第2試験画像It2を示す図である。ここで、第2試験画像It2の構成は、表示画面31の全体に第2試験画像It2が表示されている点を除けば、実施の形態2で説明したものと同じである。
【0092】
試験画像Itとしてこのような構成を採用した場合も、実施の形態1、2と同様の作用効果を得ることができる。
なお、ここでは、表示画面31に、第1試験画像It1を表示させた後に第2試験画像It2を表示させるようにしていたが、これに限られるものではなく、表示する順番を逆にしてもよい。
【0093】
<実施の形態4>
本実施の形態の基本構成は、実施の形態3とほぼ同様であるが、試験画像Itの構成が実施の形態3とは異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態3と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0094】
図18は、実施の形態4において、試験画像データに基づいて表示装置30(表示画面31)に表示される試験画像Itの一例を示す図である。
実施の形態3では、第1試験画像It1を構成する複数の前景画像If(1−1前景画像If11、1−2前景画像If12および1−3前景画像If13)、並びに、第2試験画像It2を構成する複数の前景画像If(2−1前景画像If21、2−2前景画像If22および2−3前景画像If23)を、共通の直径を有する円形状に設定していた。これに対し、本実施の形態では、個々の前景画像Ifを異なる形状に設定している。
【0095】
図18(a)は、表示画面31に表示される第1試験画像It1を示す図である。ここで、第1試験画像It1の構成は、1−1前景画像If11が正三角形状に、1−2前景画像If12が正方形状に、1−3前景画像If13が正五角形状に、それぞれ設定されている点を除けば、実施の形態3で説明したものと同じである。
【0096】
また、
図18(b)は、第1試験画像It1に続いて表示画面31に表示される第2試験画像It2を示す図である。ここで、第2試験画像It2の構成は、2−1前景画像If21が菱形状に、2−2前景画像If22が正六角形状に、2−3前景画像If23が正八角形状に、それぞれ配置されている点を除けば、実施の形態3で説明したものと同じである。
【0097】
試験画像Itとしてこのような構成を採用した場合も、実施の形態1〜3と同様の作用効果を得ることができる。
なお、ここでは、表示画面31に、第1試験画像It1を表示させた後に第2試験画像It2を表示させるようにしていたが、これに限られるものではなく、表示する順番を逆にしてもよい。また、各前景画像の形状についても、多角形状に限られるものではなく、扇形や自由形状としてもかまわない。
【0098】
<実施の形態5>
本実施の形態の基本構成は、実施の形態3とほぼ同様であるが、試験画像Itの構成が実施の形態3とは異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態3と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0099】
図19は、実施の形態5において、試験画像データに基づいて表示装置30(表示画面31)に表示される試験画像Itの一例を示す図である。
実施の形態3では、第1試験画像It1を構成する複数の第1前景画像If1(1−1前景画像If11、1−2前景画像If12および1−3前景画像If13)、並びに、第2試験画像It2を構成する複数の第2前景画像If2(2−1前景画像If21、2−2前景画像If22および2−3前景画像If23)を、表示画面31において規則的に並べて表示させるようにしていた。これに対し、本実施の形態では、個々の前景画像Ifを、表示画面31において不規則に並べて表示させるように設定している。
【0100】
図19(a)は、表示画面31に表示される第1試験画像It1を示す図である。ここで、第1試験画像It1の構成は、1−1前景画像If11、1−2前景画像If12および1−3前景画像If13が不規則に配置されている点を除けば、実施の形態3で説明したものと同じである。
【0101】
また、
図19(b)は、第1試験画像It1に続いて表示画面31に表示される第2試験画像It2を示す図である。ここで、第2試験画像It2の構成は、2−1前景画像If21、2−2前景画像If22および2−3前景画像If23が不規則に配置されている点を除けば、実施の形態3で説明したものと同じである。なお、この例においては、第1試験画像It1と第2試験画像It2とにおいて、各前景画像Ifの配置が変更されるようになっている。
【0102】
試験画像Itとしてこのような構成を採用した場合も、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。また、前景画像Ifを毎回異なる位置に表示させる設定を行うことにより、作業者が思い込みによって画像を識別できたと判断すること(誤判断)を抑制することが可能になる。
なお、ここでは、表示画面31に、第1試験画像It1を表示させた後に第2試験画像It2を表示させるようにしていたが、これに限られるものではなく、表示する順番を逆にしてもよい。
【0103】
<実施の形態6>
本実施の形態の基本構成は、実施の形態2とほぼ同様であるが、試験画像Itの構成が実施の形態2とは異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態2と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0104】
図20は、実施の形態6において、試験画像データに基づいて表示装置30(表示画面31)に表示される試験画像Itの一例を示す図である。
実施の形態2では、第1試験画像It1を構成する第1前景画像If1(1−1前景画像If11、1−2前景画像If12および1−3前景画像If13)を横に並べて配置するとともに、第1前景画像If1の背後に第1背景画像Ib1を配置し、且つ、第2試験画像It2を構成する第2前景画像If2(2−1前景画像If21、2−2前景画像If22および2−3前景画像If23)を横に並べて配置するとともに、第2前景画像If2の背後に第2背景画像Ib2を配置するように設定していた。これに対し、本実施の形態では、1−1前景画像If11、1−2前景画像If12および1−3前景画像If13に対して共通に設定されていた第1背景画像Ib1を、それぞれに対応する1−1背景画像Ib11、1−2背景画像Ib12および1−3背景画像Ib13に分割するとともに、2−1前景画像If21、2−2前景画像If22および2−3前景画像If23に対して共通に設定されていた第2背景画像Ib2を、それぞれに対応する2−1背景画像Ib21、2−2背景画像Ib22および2−3背景画像Ib23に分割し、表示する毎に各評価画像Ieの配置を異ならせるように設定している。
【0105】
図20(a)は、例えば1回目の階調形状特定動作において表示画面31に表示される試験画像Itを示す図であり、
図20(b)は、例えば2回目の階調形状特定動作において表示画面31に表示される試験画像Itを示す図である。このように、
図20(a)および(b)では、試験画像Itにおける、1−1評価画像Ie11〜1−3評価画像Ie13および2−1評価画像Ie21〜2−3評価画像Ie23の表示位置が異なっている。
【0106】
試験画像Itとしてこのような構成を採用した場合も、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。また、評価画像Ieを毎回異なる位置に表示させる設定を行うことにより、作業者が思い込みによって画像を識別できたと判断すること(誤判断)を抑制することが可能になる。
【0107】
<実施の形態7>
本実施の形態の基本構成は、実施の形態1とほぼ同様であるが、試験画像Itの構成が実施の形態1とは異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0108】
図21は、実施の形態7において、試験画像データに基づいて表示装置30(表示画面31)に表示される試験画像Itの一例を示す図である。
実施の形態1では、第1試験画像It1が、前景画像Ifおよび背景画像Ibを含む評価画像Ieを複数備えることによって構成され、且つ、第2試験画像It2が、前景画像Ifおよび背景画像Ibを含む評価画像Ieを複数備えることによって構成されていた。これに対し、本実施の形態では、第1試験画像It1が、複数の評価画像Ie(より具体的には1−1評価画像Ie11〜1−3評価画像Ie13)に加えて、背景画像Ibのみによって構成された第1ダミー画像Id1を備えることによって構成されており、第2試験画像It2が、複数の評価画像Ie(より具体的には2−1評価画像Ie21〜2−3評価画像Ie23)に加えて、背景画像Ibのみによって構成された第2ダミー画像Id2を備えることによって構成されている。
【0109】
本実施の形態において、第1試験画像It1を構成する第1ダミー画像Id1の階調は、1−1評価画像Ie11における1−1背景画像Ib11と共通の第1基準階調値Gs1に設定される。したがって、第1ダミー画像Id1の階調は、1−2評価画像Ie12における1−2背景画像Ib12および1−3評価画像Ie13における1−3背景画像Ib13の階調と共通となる。
【0110】
また、第2試験画像It2を構成する第2ダミー画像Id2の階調は、2−1評価画像Ie21における2−1背景画像Ib21と共通の第2基準階調値Gs2に設定される。したがって、第2ダミー画像Id2の階調は、2−2評価画像Ie22における2−2背景画像Ib22および2−3評価画像Ie23における2−3背景画像Ib23の階調と共通となる。
【0111】
試験画像Itとしてこのような構成を採用した場合も、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。また、第1試験画像It1には第1ダミー画像Id1を、第2試験画像It2には第2ダミー画像Id2を、それぞれ混在させることにより、作業者による識別の確度を向上させることが可能になる。
【0112】
<実施の形態8>
本実施の形態の基本構成は、実施の形態1とほぼ同様であるが、評価画像Ieの構成が実施の形態1とは異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0113】
図22は、実施の形態8における評価画像の形状の構成例を説明するための図である。
ここで、
図22(a)は評価画像Ieの全体構成を示した図であり、
図22(b)は評価画像Ieにおいて背景画像Ibおよび前景画像Ifのそれぞれを構成する各種基本画像の構成を示した図である。
【0114】
本実施の形態の評価画像Ieは、全体として円形状を呈する背景画像Ibと、中心の位置が背景画像Ibと一致するように背景画像Ibと重ねて配置され、全体として円形状を呈する前景画像Ifとを有している。そして、前景画像Ifは、背景画像Ibによって囲われた状態となっている。
【0115】
実施の形態1では、背景画像Ibおよび前景画像Ifを、それぞれ、一定の濃度に塗りつぶしたハーフトーン画像で構成していた。これに対し、本実施の形態では、背景画像Ibおよび前景画像Ifを、それぞれ、複数の基本画像を組み合わせて構成している。
【0116】
本実施の形態において、背景画像Ibは、第1の直径を有する第1円画像C1と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する第2円画像C2と、第2の直径よりも大きい第3の直径を有する第3円画像C3と、第3の直径よりも大きく且つ前景画像Ifの半分以下となる第4の直径を有する第4円画像C4とを含んで構成される。そして、背景画像Ibは、これら第1円画像C1、第2円画像C2、第3円画像C3および第4円画像C4を不規則に並べることで、全体として円形状(実際には環形状)を呈するようになっている。
【0117】
一方、前景画像Ifも、背景画像Ibと同じく、第1円画像C1、第2円画像C2、第3円画像C3および第4円画像C4を含んで構成される。そして、前景画像Ifは、これら第1円画像C1、第2円画像C2、第3円画像C3および第4円画像C4を不規則に並べることで、全体として円形状を呈するようになっている。
【0118】
図23は、実施の形態8において、試験画像データに基づいて表示装置に表示される試験画像Itの一例を説明するための図である。
実施の形態1では、それぞれがハーフトーン画像で構成された背景画像Ibおよび前景画像Ifを含む評価画像Ie(
図9参照)を横3列×縦2列に配置することで、試験画像Itを形成していた。これに対し、本実施の形態では、複数の基本画像を組み合わせて構成された評価画像Ie(
図22参照)を、横3列×縦2列に配置することで、試験画像Itを形成している。なお、第1試験画像It1を構成する1−1評価画像Ie11〜1−3評価画像Ie13および第2試験画像It2を構成する2−1評価画像Ie21〜2−3評価画像Ie23において、円形状を呈する基本画像が配置されていない領域(隙間)には、第3試験画像It3が配置される。
【0119】
試験画像Itとしてこのような構成を採用した場合も、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。また、試験画像Itを構成する評価画像Ieとして、複数の基本画像を組み合わせたものを採用することにより、作業者による識別の確度を向上させることが可能になる。さらに、このような試験画像Itを採用することで、表示画面31の解像度が比較的低い表示装置30においても、試験画像Itの表示を良好に行うことできる。さらにまた、このような試験画像Itを採用することにより、各評価画像Ieにおいて背景画像Ibと前景画像Ifとの明確な境界線が生じなくなることから、作業者による錯覚が生じにくくなり、較正の精度を保ちやすくすることが可能になる。
【0120】
なお、本実施の形態では、直径が異なる4種類の基本画像(この例では第1円画像C1〜第4円画像C4)を用いて、評価画像Ie(背景画像Ibおよび前景画像If)を構成するようにしていたが、これに限られるものではなく、少なくとも2種類の基本図形を用いればよい。
また、本実施の形態では、4種類の基本画像を円形状としていたが、これに限られるものではなく、その形状については変更してかまわない。ただし、各基本画像は、相似の関係にあることが必要となる。
【0121】
<実施の形態9>
本実施の形態の基本構成は、実施の形態1とほぼ同様であるが、基準階調値Gs(この例では第1基準階調値Gs1および第2基準階調値Gs2)の決定手法が実施の形態1とは異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0122】
本実施の形態では、表示装置30における表示の目標となる目標階調特性を決定した後、決定された目標階調特性に基づいて目標階調特性に対応する比較階調特性を決定し、決定された目標階調特性と比較階調特性とに基づいて、基準階調値Gs(この例では第1基準階調値Gs1および第2基準階調値Gs2)を決定する。
【0123】
図24は、実施の形態9における、基準階調値Gsの決定手法を説明するための図である。
ここで、
図24(a)は基準階調値Gsの決定において最初に行われる目標階調特性および比較階調特性の決定手法を説明するためのグラフ図である。また、
図24(b)は、目標階調特性および比較階調特性の決定に続いて行われる基準階調値の決定手法を説明するためのグラフ図である。なお、
図24(a)において、横軸は階調値(0〜255)であり、縦軸は階調値が255のときの輝度で全体の輝度を規格化した相対輝度である。また、
図24(b)において、横軸は階調値(0〜255)であり、縦軸は
図24(a)に示す相対輝度の傾き(微分結果)である。
【0124】
まず、
図24(a)を参照しつつ、目標階調特性および比較階調特性の決定手法について説明を行う。
【0125】
本実施の形態では、目標階調特性を設定するにあたり、まず、目標とする階調特性の設定を行う。なお、ここでは、目標とする階調特性の表現手法として、ガンマ値を用いている。この例では、目標とするガンマ値が2.2に設定されるものとする。なお、目標とするガンマ値については、2.2以外に、例えば1.8とすることもできる。
【0126】
また、本実施の形態では、目標とするガンマ値が決定された後、この目標とするガンマ値に近い値から比較対象となるガンマ値を決定する。ここで、比較対象となるガンマ値は、単数であってもよいし複数であってもよい。ただし、比較対象となるガンマ値を2つ設定する場合は、一方を目標とするガンマ値よりも小さい値から選択し、他方を目標とするガンマ値よりも大きい値から選択するとよい。この例では、比較対象となるガンマ値が2つ設定されるものとし、第1の比較対象となる一方のガンマ値が1.8に、第2の比較対象となる他方のガンマ値が2.6に、それぞれ設定されるものとする。
【0127】
ここで、
図24(a)は、各ガンマ値(1.8、2.2、2.6)に対応するガンマカーブを示している。
図24(a)から明らかなように、ガンマ値によってガンマカーブの形状は異なり、ガンマ値が大きいほど、ガンマカーブの形状が下側に凸となる。
【0128】
次に、
図24(b)を参照しつつ、目標階調特性および比較階調特性の両者に基づく基準階調値Gs(この例では第1基準階調値Gs1および第2基準階調値Gs2)の決定手法について説明を行う。
【0129】
本実施の形態では、
図24(a)に示す目標階調特性(ガンマ値=2.2)および2つの比較階調特性(ガンマ値=1.8および2.6)に対して微分を行い、これら各階調特性の傾きを得る。そして、得られた結果に基づき、基準階調特性の傾きに対する目標階調特性の傾きの大小関係が逆転する階調値(境界階調値と呼ぶ)を得る。なお、この例においては、境界階調値が170程度となっている。
【0130】
そして、得られた境界階調値よりも階調が高い高階調領域Aから第1基準階調値Gs1を選択し、得られた境界階調値よりも階調が低い低階調領域Bから第2基準階調値Gs2を選択する。これにより、全階調(256階調)のうち、階調値のずれが生じやすい高階調領域Aおよび低階調領域Bから、基準階調値Gsを構成する複数の値を選ぶことができる。
【0131】
なお、各実施の形態では、試験画像データの作成を、画像表示システム10に設けられたコンピュータ装置20で実行するようにしていたが、これに限られるものではなく、画像表示システム10の外部に設けられた他のコンピュータ装置等で実行するようにしてもかまわない。
【0132】
また、各実施の形態では、コンピュータ装置20内に設けられた表示画像作成部22において階調補正を行うようにしていたが、これに限られるものではなく、例えば表示装置30の内部で階調補正を行うようにしてもかまわない。