特許第6142740号(P6142740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6142740-搬送装置及び搬送システム 図000002
  • 特許6142740-搬送装置及び搬送システム 図000003
  • 特許6142740-搬送装置及び搬送システム 図000004
  • 特許6142740-搬送装置及び搬送システム 図000005
  • 特許6142740-搬送装置及び搬送システム 図000006
  • 特許6142740-搬送装置及び搬送システム 図000007
  • 特許6142740-搬送装置及び搬送システム 図000008
  • 特許6142740-搬送装置及び搬送システム 図000009
  • 特許6142740-搬送装置及び搬送システム 図000010
  • 特許6142740-搬送装置及び搬送システム 図000011
  • 特許6142740-搬送装置及び搬送システム 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6142740
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】搬送装置及び搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 15/00 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   B65H15/00 E
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-179882(P2013-179882)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-48190(P2015-48190A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 正樹
(72)【発明者】
【氏名】古谷 孝男
(72)【発明者】
【氏名】相川 清史
(72)【発明者】
【氏名】岩城 能成
(72)【発明者】
【氏名】蒔田 聖吾
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−255572(JP,A)
【文献】 特開2000−128387(JP,A)
【文献】 特開2009−101517(JP,A)
【文献】 特開2002−359725(JP,A)
【文献】 特開2013−086937(JP,A)
【文献】 特開2000−010370(JP,A)
【文献】 特開2013−108770(JP,A)
【文献】 特開2008−102661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 9/00− 9/20
B65H 13/00−15/02
B65H 29/12−29/24
B65H 29/32
B65H 29/54−29/70
B41J 2/01
B41J 2/165−2/215
B41J 3/42
B41J 11/00−13/32
B41J 29/00−29/70
G03G 13/00
G03G 13/04−13/056
G03G 15/00
G03G 15/04−15/043
G03G 15/047
G03G 15/056
G03G 21/16−21/18
H04N 1/00
H04N 1/04− 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿った第1搬送路であって、処理位置よりも搬送方向の上流側の長さが、当該搬送方向の長さが最大の媒体の当該長さ以上である第1搬送路を搬送されている媒体の第1面に対して前記処理位置において処理を施す第1処理部と、
前記第1搬送路において前記第1方向に媒体を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部により搬送されてきた媒体を、前記第1方向の反対向きの成分を有する第2方向に向けて折り返させるように搬送する折り返し搬送部と、
前記折り返し搬送部により搬送されてきた媒体を前記第2方向に沿った第2搬送路において当該第2方向に搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送路を搬送されている媒体の前記第1面の反対側の第2面に対して処理を施し、且つ、前記第1処理部よりも前記折り返し搬送部側から離れた位置に配置された第2処理部と、
を備える搬送装置。
【請求項2】
前記媒体の姿勢に影響を与える力が加えられる影響位置から前記第1処理部によって前記媒体に処理が施される処理位置までの搬送経路に沿った距離が、搬送方向の長さが最大の媒体における当該長さ以上である
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1処理部によって前記媒体に処理が施される処理位置と前記媒体が自装置に搬入される搬入位置との搬送経路に沿った距離が、搬送方向の長さが最大の媒体の当該長さ以上である
請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1搬送路の長さは、搬送方向の長さが最大の媒体における当該長さ以上である
請求項1から3までのいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第2搬送路の長さは、搬送方向の長さが最大の媒体における当該長さ以上である
請求項1からまでのいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
自装置に媒体が搬入される複数の搬入位置から前記第1搬送路まで当該媒体を搬送する搬入搬送部を備える
請求項1からまでのいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記第1及び第2処理部は、いずれも、搬送されている媒体の面に形成されている画像の読み取りを前記処理として行い、
前記第1処理部と前記第1搬送路を挟んで対向する位置に配置されて前記第1処理部において読み取られる画像の色の補正に関する働きをする第1関連部材と、
前記第2処理部と前記第2搬送路を挟んで対向する位置に配置されて前記第2処理部において読み取られる画像の色の補正に関する働きをする第2関連部材とを備える
請求項1からまでのいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
自装置に媒体が搬入される搬入位置から前記第1搬送部まで前記媒体を搬送する搬入搬送部と、
前記第2搬送部により搬送された媒体を自装置から前記媒体が搬出される搬出位置まで搬送する搬出搬送部とを備える
請求項1からまでのいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の搬送装置と、
媒体に対して定められた前処理を施して前記搬送装置に向けて搬出する前処理装置と、
前記搬送装置から搬出された媒体に対して定められた後処理を施す後処理装置と
を備える搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、湾曲搬送路を搬送される原稿の両面を読み取る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−359725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、搬送中の媒体に2つの処理部がそれぞれ処理を施す位置のうち上流側の位置におけるその媒体の姿勢が安定しやすいようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る搬送装置は、第1方向に沿った第1搬送路であって、処理位置よりも搬送方向の上流側の長さが、当該搬送方向の長さが最大の媒体の当該長さ以上である第1搬送路を搬送されている媒体の第1面に対して前記処理位置において処理を施す第1処理部と、前記第1搬送路において前記第1方向に媒体を搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部により搬送されてきた媒体を、前記第1方向の反対向きの成分を有する第2方向に向けて折り返させるように搬送する折り返し搬送部と、前記折り返し搬送部により搬送されてきた媒体を前記第2方向に沿った第2搬送路において当該第2方向に搬送する第2搬送部と、前記第1搬送路を搬送されている媒体の第1面に対して処理を施す第1処理部と、前記第2搬送路を搬送されている媒体の前記第1面の反対側の第2面に対して処理を施し、且つ、前記第1処理部よりも前記折り返し搬送部側から離れた位置に配置された第2処理部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る搬送装置は、請求項1に記載の構成において、前記媒体の姿勢に影響を与える力が加えられる影響位置から前記第1処理部によって前記媒体に処理が施される処理位置までの搬送経路に沿った距離が、搬送方向の長さが最大の媒体における当該長さ以上であることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る搬送装置は、請求項1または2に記載の構成において、前記第1処理部によって前記媒体に処理が施される処理位置と前記媒体が自装置に搬入される搬入位置との搬送経路に沿った距離が、搬送方向の長さが最大の媒体の当該長さ以上であることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る搬送装置は、請求項1から3までのいずれか1項に記載の構成において、前記第1搬送路の長さは、搬送方向の長さが最大の媒体における当該長さ以上であることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項に係る搬送装置は、請求項1からまでのいずれか1項に記載の構成において、前記第2搬送路の長さは、搬送方向の長さが最大の媒体における当該長さ以上であることを特徴とする
【0011】
本発明の請求項に係る搬送装置は、請求項1からまでのいずれか1項に記載の構成において、自装置に媒体が搬入される複数の搬入位置から前記第1搬送路まで当該媒体を搬送する搬入搬送部を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項に係る搬送装置は、請求項1からまでのいずれか1項に記載の構成において、前記第1及び第2処理部は、いずれも、搬送されている媒体の面に形成されている画像の読み取りを前記処理として行い、前記第1処理部と前記第1搬送路を挟んで対向する位置に配置されて前記第1処理部において読み取られる画像の色の補正に関する働きをする第1関連部材と、記第2処理部と前記第2搬送路を挟んで対向する位置に配置されて前記第2処理部において読み取られる画像の色の補正に関する働きをする第2関連部材とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項に係る搬送装置は、請求項1からまでのいずれか1項に記載の構成において、自装置に媒体が搬入される搬入位置から前記第1搬送部まで前記媒体を搬送する搬入搬送部と、前記第2搬送部により搬送された媒体を自装置から前記媒体が搬出される搬出位置まで搬送する搬出搬送部とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項に係る搬送システムは、請求項1からまでのいずれか1項に記載の搬送装置と、媒体に対して定められた前処理を施して前記搬送装置に向けて搬出する前処理装置と、前記搬送装置から搬出された媒体に対して定められた後処理を施す後処理装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、に係る発明によれば、第1処理部が第2処理部よりも折り返し搬送部側から離れている構成に比べて、搬送中の媒体に2つの処理部がそれぞれ処理を施す位置のうち上流側の位置におけるその媒体の姿勢が安定しやすいようにすることができる。
請求項2に係る発明によれば、影響位置から処理位置までの距離が本発明でいう媒体の長さよりも短い場合に比べて、第1処理部の処理位置における媒体の姿勢が、影響位置において媒体に加わる力による影響を受けにくいようにすることができる。
請求項3に係る発明によれば、処理位置と搬入位置との距離が本発明でいう媒体の長さよりも短い場合に比べて、第1処理部の処理位置における媒体の姿勢が、搬入位置よりも上流側の構成の影響を受けにくいようにすることができる。
請求項4に係る発明によれば、第1搬送路の長さが本発明でいう媒体の長さよりも短い場合に比べて、第2搬送路における媒体の姿勢が安定しやすいようにすることができる。
【0016】
請求項1、9に係る発明によれば、処理位置よりも上流側の第1搬送路の長さが本発明でいう媒体の長さよりも短い場合に比べて、第1処理部の処理位置における媒体の姿勢が、第1搬送路の入り口よりも上流側の搬送路の影響を受けにくいようにすることができる。
請求項に係る発明によれば、第2搬送路の長さが本発明でいう媒体の長さよりも短い場合に比べて、第1搬送路における媒体の姿勢が安定しやすいようにすることができる。
請求項に係る発明によれば、搬入位置が1つである場合に比べて、媒体を搬入するための搬送路の高さの調整を行わずに済ませやすくすることができる。
請求項に係る発明によれば、第1及び第2処理部のどちらについても、各々が施す処理において読み取られる画像の色の補正を行うことができる。
請求項に係る発明によれば、搬入搬送部及び搬出搬送部を備えない場合に比べて、自装置に媒体が搬入される位置及び媒体を自装置から搬出する位置を自由に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の画像検査システムの構成の一例を示す図
図2】画像読取装置の構成の一例を示す図
図3】変形例の第1処理装置の配置を説明するための図
図4】変形例の搬送装置の構成の一例を示す図
図5】変形例の搬送装置の構成の一例を示す図
図6】変形例の搬送装置の構成の一例を示す図
図7】変形例の搬送装置の構成の一例を示す図
図8】変形例の搬送装置の構成の一例を示す図
図9】変形例の搬送装置の構成の一例を示す図
図10】変形例の搬送装置の構成の一例を示す図
図11】変形例の搬送装置の構成の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
[1]実施形態
[1−1]全体構成
図1は、実施形態の画像検査システムの全体構成の一例を示す図である。この例では、前処理装置2と、搬送装置3と、後処理装置4とを備える画像検査システム1が示されている。これらの装置は図示せぬ回線で接続されており、その回線を介して各装置間でデータがやり取りされる。
【0019】
前処理装置2は、A4やA5などのサイズで形成された用紙等のシート状の媒体を搬送し、それらの媒体に対して定められた処理(以下「前処理」という)を施す。前処理装置2は、本実施形態では、搬送する媒体に画像データにより示される画像を形成する画像形成処理と、画像が形成された媒体に生じた反り(カール)を矯正する矯正処理とを前処理として施す。前処理装置2は、媒体の両面に画像を形成し、画像の形成に用いた画像データを、後処理装置4に送信する。また、前処理装置2は、画像が形成された媒体の反りを矯正したあと、その媒体を搬送装置3に向けて搬出する。前処理装置2では、矯正処理を行う矯正手段5が、前処理装置2から搬出された媒体が搬送装置3に搬入される搬入位置C1の手前に設けられている。
【0020】
搬送装置3は、前処理装置2から搬出された媒体を、図1に矢印で示した搬送方向A1に向けて、図1に破線で示した搬送経路B1に沿って後処理装置4まで搬送する。搬送経路B1は、前処理装置2から後処理装置4までを直線状に結ぶのではなく、途中で方向を変えて、「U」の字を描いて迂回するようになっている。搬送装置3は、スキャナ等の画像を読み取る手段を備え、搬送経路B1に沿って搬送される媒体に形成されている画像を読み取る。搬送装置3は、画像を読み取ると、その結果を示す結果データを後処理装置4に送信する。
【0021】
後処理装置4は、搬送装置3から搬出された媒体に対して定められた処理(以下「後処理」という)を施す。以下、後処理の詳細を説明する。後処理装置4は、前処理装置2から送信されてきた画像データと搬送装置3から送信されてきた結果データとに基づいて、その画像データが示す画像が媒体に正確に形成されているか否か(つまり画像の正確さ)を判断する。後処理装置4は、具体的には、画像データが示す画像と結果データが示す画像とが一致する度合いを算出し、算出した度合いが閾値を超えていれば画像が媒体に正確に形成されていると判断する。なお、後処理装置4は、他の周知の技術を用いてこの判断を行ってもよい。後処理装置4は、上記判断を行った結果に基づき、画像が正確に形成されていると判断した媒体と画像が正確に形成されていないと判断した媒体とを異なる場所で保持することで、それらの媒体を選り分ける選り分け処理を後処理として施す。
【0022】
画像検査システム1は、以上のようにして、画像データの示すとおりの画像が媒体に正確に形成されているか否かを検査し、検査の結果に応じて、画像が正確に形成されている媒体とそうでない媒体とを選り分ける。なお、上記の画像の正確さの判断は、後処理装置4ではなく搬送装置3が行ってもよい。その場合、搬送装置3は、判断の結果を示す結果データを後処理装置4に送信し、後処理装置4は、受信した結果データが示す判断の結果に基づいて、選り分け処理を施す。
【0023】
[1−2]ハードウェア構成
図2は、搬送装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。搬送装置3は、第1搬送部10と、第2搬送部20と、折り返し搬送部30と、搬入搬送部40と、搬出搬送部50と、第1処理部110と、第1関連部材111と、第2処理部120と、第2関連部材121とを備える。
各搬送部は、いずれも、軸を中心に回転可能に支持されたローラの組と、図1に示す搬送経路B1に沿った搬送路を形成する搬送路部材とを有する。各搬送部は、各ローラを回転させてローラの組が形成するニップ領域に挟まれた媒体に推進力を与え、推進力を与えられた媒体を搬送路部材が形成する搬送路を通過させることで、その媒体を搬送経路B1に沿って搬送する。以下、各搬送部の詳細を説明する。
【0024】
搬入搬送部40は、媒体が自装置に搬入される搬入位置C1から第1搬送部10の入り口C2までを結ぶ搬入搬送路41において、前処理装置2から搬出されてきた媒体を搬送する。搬入搬送路41は、搬入位置C1では水平方向A101に沿っており、徐々に鉛直方向A102の下向きに方向を変えるように弧を描き、入り口C2に到達したところで鉛直方向A102に沿った向きまで方向を変えるように形成されている。
【0025】
第1搬送部10は、第1方向A10に沿った第1搬送路11において第1方向A10に媒体を搬送する。第1方向A10は、水平方向A101に対して角度を成す方向であり、本実施形態では、水平方向A101に直交し、鉛直方向A102に沿った方向となっている。第1搬送路11は、第1搬送部10の入り口C2から折り返し搬送部30の入り口C3までを結ぶ搬送路である。
【0026】
折り返し搬送部30は、第1搬送部10により搬送されてきた媒体を、第1方向A10の反対向きの第2方向A20に向けて折り返させるように搬送する。折り返し搬送部30は、自搬送部の入り口C3から第2搬送部20の入り口C4までを結ぶ折り返し搬送路31において媒体を搬送する。
【0027】
第2搬送部20は、折り返し搬送部30により搬送されてきた媒体を第2方向A20に沿った第2搬送路21において第2方向A20に搬送する。第2方向A20は、第1方向A10の反対向きの方向であるから、水平方向A101に対して角度を成す方向であり、本実施形態では、水平方向A101に直交し、鉛直方向A102に沿った方向となっている。第2搬送路21は、自搬送部の入り口C4から搬出搬送部50の入り口C5までを結ぶ搬送路である。
【0028】
搬出搬送部50は、自搬送部の入り口C5から媒体が自装置から搬出される搬出位置C6までを結ぶ搬出搬送路51において、第2搬送部20により搬送されてきた媒体を搬送する。搬出搬送路51は、入り口C5から徐々に水平方向A101に方向を変えるように弧を描き、水平方向A101に沿った向きまで方向を変えてから搬出位置C6に至るように形成されている。つまり、入り口C5は、第2方向A20に沿った直線状の搬送路(第2搬送路21)が終わる位置を表しており、そこから先は、弧状の搬送路(搬出搬送路51の一部)が続いている。
【0029】
第1処理部110は、第1搬送路11を搬送されている媒体の第1面に対して定められた処理(以下「媒体処理」という)を施す手段の一例である。本実施形態では、第1処理部110は、第1搬送路11の前処理装置2側に設置され、第1搬送路11を搬送されている媒体の前処理装置2側に向いた面を第1面として、その第1面に形成された画像を読み取る処理(以下「画像読取処理」という)を媒体処理として施す。図2では、第1処理部110によって媒体に画像読取処理が施される第1処理位置D1が示されている。第1処理位置D1では、媒体が第1方向A10に向けて搬送される。
【0030】
第1関連部材111は、第1処理部110と第1搬送路11を挟んで対向する位置に配置されて第1処理部110による処理に関する働きをする部材の一例である。本実施形態では、第1関連部材111は、角柱の部材であり、その外周面には、赤や黄などの複数の色を表したテスト用の画像が形成されている。第1処理部110は、これらテスト用の画像の色の情報(色彩及び濃度等)を予め記憶しており、画像読取処理を行った結果と記憶してある情報とに基づいて、読み取った画像の色の補正を行う。このように、第1関連部材111は、画像読取処理において読み取られる画像の色の補正に関する働きをする。
【0031】
第2処理部120は、第1搬送路11または第2搬送路21を搬送されている媒体の第1面の反対側の第2面に対して処理を施す手段の一例である。第2処理部120は、第1処理部110よりも折り返し搬送部30側から離れた位置に配置されている。つまり、第1処理部110による第1処理位置D1から第1搬送路11の出口(すなわち折り返し搬送部30の入り口C3)までの長さをL11とし、第2搬送路21の入り口C4から第2処理部120による第2処理位置D2までの長さをL21とすると、L11がL21よりも短く(つまりL11<L21に)なるように、第2処理部120が配置されている。また、第2処理部120は、第2搬送路21の前処理装置2側に設置され、第2搬送路21を搬送されている媒体の前処理装置2側に向いた面を第2面として画像読取処理を施す。図2では、第2処理部120によって媒体に画像読取処理が施される第2処理位置D2が示されている。第2処理位置D2では、媒体が第2方向A20に向けて搬送される。
【0032】
第2関連部材121は、第2処理部120と搬送経路(図2の例では第2搬送路21)を挟んで対向する位置に配置されて第2処理部120による処理に関する働きをする部材の一例である。第2関連部材121は、第2処理部120による処理に関して、第1関連部材111と共通する働きをする。以上のとおり、第1処理部110と第2処理部120とにそれぞれ対応する関連部材が設けられていることで、第1処理部110及び第2処理部120のどちらについても、各々が施す処理(すなわち画像読取処理)において読み取られる画像の色の補正が行われる。
【0033】
[1−3]発明の概要
本実施形態では、搬送経路B1がU字を描くように各搬送路が形成され、このU字の直線部分では、搬送装置の高さ方向に媒体が搬送される。これにより、媒体に媒体処理を施すために必要な長さの搬送経路を確保しようとした場合に、高さ方向に媒体を搬送しない構成に比べて、搬送装置に必要な幅が小さくなっている。なお、ここでいう幅とは、前処理装置2から後処理装置4に向かう方向における搬送装置の寸法である。以下において「幅」と述べた場合、この寸法を表すものとする。また、本実施形態では、第1方向に搬送された媒体がその反対向きの第2方向にも搬送される。これにより、媒体処理に必要な長さの搬送経路を確保しようとした場合に、第2方向への搬送を行わない構成に比べて、搬送装置に必要な高さも小さくなっている。
【0034】
また、本実施形態では、上記のとおり、第2処理部120が、第1処理部110よりも折り返し搬送部30側から離れた位置に配置されている。換言すると、第1処理部110が、第2処理部120よりも折り返し搬送部30側に近い位置に配置されており、前述したとおり、図2に示すL11がL21よりも短くなっている。これを、第1処理部110が第2処理部120よりも折り返し搬送部30側から離れている構成(比較のための構成であり、以下「比較構成」という)と比較してみる。本実施形態のように各処理手段が配置されることで、比較構成に比べて、第1搬送路11の入り口C2から第1処理位置D1までの長さL12が短くなっている。
【0035】
第1処理位置D1において媒体処理が施されている媒体の姿勢が乱れると、第1処理部110と媒体との距離や第1処理部110に対する媒体の傾きが変動し、その結果、媒体処理の結果が変動する場合がある。第1処理位置D1における媒体の姿勢は、例えば、矯正手段5から受ける力の影響や搬入位置C1における搬送路の段差への衝突、搬入搬送路41の弧を描いている部分での搬送路部材への衝突などが原因となって乱れることがある。これらの原因は、第1処理位置D1が折り返し搬送部30側に近い位置に配置されるほど、生じにくくなる。本実施形態では、第1処理部110が上記のとおり配置されていることで、比較構成に比べて、これらの原因が生じにくくなり、第1処理位置D1、すなわち、搬送中の媒体に2つの処理部(第1処理部110及び第2処理部120)がそれぞれ処理を施す位置(第1処理位置D1及び第2処理位置D2)のうち上流側の位置における媒体の姿勢が安定しやすくなる。
【0036】
[2]変形例
上述した実施形態は、本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、上述した実施形態及び以下に示す各変形例は、必要に応じてそれぞれ組み合わせて実施してもよい。
【0037】
[2−1]媒体処理
第1及び第2処理部が施す媒体処理(搬送されている媒体に対して施される処理)は、上述した画像読取処理に限らない。例えば、媒体にインクを噴出する噴出処理が媒体処理として行われてもよい。噴出処理も、画像読取処理のように、処理部と媒体との距離や処理部に対する媒体の傾きが変化すると、処理の結果が変化し得る処理であり、媒体の姿勢が安定していることが望ましい処理である。そういった処理であれば、どのような処理が媒体処理として行われてもよい。
【0038】
[2−2]前処理装置
前処理装置は、実施形態では、前処理として、画像形成処理及び矯正処理を施したが、これに限らず、例えば画像形成処理だけを施してもよいし、矯正処理だけを施してもよい。後者の場合、前処理装置には、例えば別の画像形成装置から画像の形成された媒体が搬入される。前処理装置は、要するに、媒体処理を行わせるための媒体を搬送装置3に搬出するものであれば、どのような前処理を行う装置であってもよい。
【0039】
[2−3]後処理装置
後処理装置は、実施形態で述べたものに限らない。例えば、後処理装置は、搬送装置3からの結果データにより画像が媒体に正確に形成されていないことが示されている場合に、その媒体を裁断する処理やその旨を表示手段やオペレータの端末に報知する処理などを後処理として行ってもよい。また、後処理装置が施す後処理は、搬送装置が施す媒体処理の結果に応じたものであってもよいし、そうでなくてもよい。
【0040】
[2−4]第1処理部の配置(その1)
第1処理装置は、次のように配置されていてもよい。
図3は、本変形例の第1処理装置の配置を説明するための図である。図3(a)では、搬送される媒体のうち搬送方向(この媒体が搬送される方向)の長さが最大のものである媒体P100が示されている。媒体P100は、搬送方向の長さがL100である。媒体P100は、例えば、A3サイズの媒体であり、L100は、A3サイズの媒体の長辺の長さである。以下では、図3に示すL100のように、搬送方向の長さが最大の媒体におけるその長さのことを、「媒体最大長さ」という。
【0041】
図3(b)では、媒体P100を搬送する本変形例の搬送装置3aが示されている。搬送装置3aは、媒体P100を搬送しており、媒体P100の先端が第1処理位置D1aに到達している。媒体P100の後端は、前処理装置2の矯正手段5から丁度搬出された状態となっている。このときの後端の位置には、矯正手段5が有するローラの組が設けられている。矯正手段5により矯正処理が施されていると、このローラの組が搬送装置3aにおける搬送速度と比較して遅く回転したり速く回転したりすることがある。そうなると、媒体に、搬送方向の反対向きに引っ張る力または搬送方向に押す力が加わり、その結果、媒体がたわむなど、媒体の姿勢に影響が出ることがある。このように、媒体の姿勢に影響を与える力が加えられる位置のことを、以下では「影響位置」という。上記ローラの組が形成するニップ領域は影響位置の一例であり、図3(b)ではE1で示されている。
【0042】
搬送装置3aにおいては、影響位置E1から第1処理位置D1aまでの搬送経路に沿った距離(以下「処理前距離」という)が、搬送方向の長さが最大の媒体におけるその長さ(すなわち搬送方向の長さ)以上となっている。つまり、影響位置E1から搬入位置C1までの距離L5と、搬入位置C1から第1搬送路11の入り口C2までの搬送経路B1に沿った距離L40と、入り口C2から第1処理位置D1aまでの距離L12aとの合計(L5+L40+L12a)が、媒体最大長さであるL100となっている。この場合、どのようなサイズの媒体が搬送される場合でも、媒体の先端が第1処理位置D1aに到達するときには、その媒体の後端が影響位置E1を通過し終わっていることになる。これは、処理前距離が本変形例の長さ以上であれば、同様である。このように、本変形例によれば、処理前距離が最大媒体長さよりも短い場合に比べて、第1処理位置D1aにおける媒体の姿勢が、影響位置E1において媒体に加わる力による影響を受けにくい。
なお、図3では、第2処理部を示していないが、本変形例においても、第2処理部は、第1処理部110aよりも折り返し搬送部30側から離れた位置に配置されている。
【0043】
[2−5]第1処理部の配置(その2)
また、第1処理装置は、次のように配置されていてもよい。
図4は、本変形例の搬送装置の構成の一例を示す図である。この例では、図3に示した媒体P100を搬送する搬送装置3bが示されている。媒体P100は、先端が第1処理位置D1bに到達し、後端が搬入位置C1に到達している。つまり、搬入位置C1から入り口C2までの搬送経路B1に沿った距離L40と入り口C2から第1処理位置D1bまでの距離L12bとの合計(L40+L12b)が、媒体最大長さであるL100となっている。このように、第1処理部によって媒体に処理が施される第1処理位置と媒体が自装置に搬入される搬入位置との搬送経路に沿った距離(図4にはL40+L12aで表される距離であり、以下「搬入後距離」という)が、媒体最大長さとなっていてもよい。なお、搬入後距離は、媒体最大長さよりも大きくなっていてもよい。要するに、本変形例では、搬入後距離が媒体最大長さ以上となっていればよい。
【0044】
前処理装置には、前述した影響位置となる部材(例えば前処理を行うローラの組)が、搬入位置C1とほぼ重なるくらい搬送装置側に設けられている構成のものがある。本変形例では、そのような構成の前処理装置が用いられる場合であっても、媒体の先端が第1処理位置D1bに到達したときには、媒体の後端が搬入位置C1を通過し終わっているので、搬入後距離が最大媒体長さよりも短い場合に比べて、媒体の姿勢が前処理装置による力の影響を受けにくく、言い換えると、第1処理位置における媒体の姿勢が、搬入位置C1よりも上流側の構成の影響を受けにくい。
【0045】
[2−6]第1処理部の配置(その3)
さらに、第1処理装置は、次のように配置されていてもよい。
図5は、本変形例の搬送装置の構成の一例を示す図である。この例でも、図3に示した媒体P100を搬送する搬送装置3cが示されている。媒体P100は、先端が第1処理位置D1cに到達し、後端が第1搬送路11cの入り口C2に到達している。つまり、入り口C2から第1処理位置D1cまでの距離L12cが、媒体最大長さであるL100となっている。このように、第1処理部110cによって媒体に処理が施される第1処理位置D1cよりも搬送方向の上流側の第1搬送路11cの長さ(第1処理位置D1cよりも上流で直線状の搬送路の長さを表しており、以下「直線搬送路長さ」という)が、媒体最大長さとなっていてもよい。なお、直線搬送路長さは、媒体最大長さよりも大きくなっていてもよい。要するに、本変形例では、直線搬送路長さが媒体最大長さ以上となっていればよい。
【0046】
搬入搬送路41は、入り口C2に至る手前側において、徐々に鉛直方向A102に方向を変えるように弧を描いている。つまり、媒体は、搬入搬送路41を搬送されているときには、第1搬送路11cを搬送されているときに比べて、搬送路部材(特に弧の外側の搬送路部材)に接触しやすい状態となっており、接触した搬送路部材から媒体の姿勢に影響を与える力が加えられやすい。本変形例では、媒体の先端が第1処理位置D1cに到達したときには、媒体の後端が搬入搬送路41を通過し終わっているので、直線搬送路長さが最大媒体長さよりも短い場合に比べて、第1処理位置D1cにおける媒体の姿勢が、搬入搬送路41、すなわち入り口C2よりも上流側の搬送路の影響を受けにくい。
【0047】
[2−7]第1及び第2搬送路の長さ
第1搬送路の長さ(図2の例ではL11とL12を合計した長さ)及び第2搬送路の長さ(図2の例では入り口C4から入り口C5までの搬送方向に沿った距離)が、媒体最大長さ以上となっていてもよい。処理位置において処理が施されている媒体の先端側及び後端側がともに弧状の搬送路(特に、互いに異なる方向に曲げる弧状の搬送路)に存在する状態になってしまうと、媒体位置における処理部と媒体との距離や処理部に対する媒体の傾きが変化するおそれがある。本変形例のように、第1及び第2搬送路の長さが媒体最大長さ以上の場合は、処理位置において処理が施されている媒体の先端側及び後端側の両方がともに弧状の搬送路に存在することが無い。このため、第1及び第2搬送路の長さが媒体最大長さよりも短い場合に比べて、各搬送路における媒体の姿勢が安定しやすく、つまりは各処理位置における媒体の姿勢も安定しやすい。なお、媒体最大長さ以上となっているのは、第1及び第2搬送路の両方でもよいし、いずれか一方でもよい。
【0048】
[2−8]複数の搬入搬送路
搬送装置は、複数の搬入搬送路を備えていてもよい。
図6は、本変形例の搬送装置の構成の一例を示す図である。この例では、自装置に媒体が搬入される複数の搬入位置C1a、C1b及びC1cから第1搬送路11dまで媒体を搬送する搬入搬送部40dを備える搬送装置3dが示されている。搬入位置C1a、C1b及びC1cは、搬送装置3dの底面からの高さがそれぞれH40a、H40b及びH40cとなっている。
【0049】
前処理装置が媒体を搬出する搬出位置の高さと搬送装置の搬入位置の高さとが異なっていると、一方の高さを他方の高さに合わせるように調整することが必要となる。高さの調整は、例えば、いずれかの搬送路を取り替えたり、いずれかの装置を台に乗せたりすることで行われる。本変形例では、前処理装置が媒体を搬出する搬出位置の高さが図6に示す3通りの搬入位置の高さのいずれかになっていれば、高さの調整を行う必要がない。なお、図6の例では、搬入位置は3つであったが、2つでもよいし、4つ以上であってもよい。要するに、搬入搬送部が複数の搬入位置から媒体を搬送するようになっていれば、搬入位置が1つである場合に比べて、媒体を搬入するための搬送路の高さの調整を行わずに済ませやすくなる。
【0050】
[2−9]第1及び第2方向の向き
上記の実施形態では、第1方向A10及び第2方向A20がいずれも鉛直方向A102に沿った方向となっていたが、これに限らない。第1方向及び第2方向は、鉛直方向A102に対して傾いた方向になっていてもよい。
図7は、本変形例の搬送装置の構成の一例を示す図である。この例では、破線で示す搬送経路B1eに沿って媒体を搬送する搬送装置3eが示されている。搬送経路B1eのU字の直線状の部分(すなわち第1及び第2搬送路において媒体が搬送される経路)に沿った第1方向A10e及び第2方向A20eは、鉛直方向A102に対して角度θ1だけ傾いている。第1及び第2方向がこのように鉛直方向A102に対して傾いた方向になっていても、第1処理部が第2処理部よりも折り返し搬送部側に近い位置に配置されていれば、比較構成(第2処理部が第1処理部よりも折り返し搬送部側から離れた位置に配置されない構成)に比べて、第1処理位置における媒体の姿勢が安定しやすくなる。
【0051】
[2−10]第2方向
第2方向は、実施形態では、第1方向の反対向きの方向であったが、その方向に限定されない。
図8は、本変形例の搬送装置の構成の一例を示す図である。この例では、破線で示す搬送経路B1fに沿って媒体を搬送する搬送装置3fが示されている。搬送経路B1fのU字の直線状の部分(すなわち第1及び第2搬送路において媒体が搬送される経路)に沿った第1方向A10は、鉛直方向A102に対して沿っているが、第2方向A20fは、鉛直方向A102に対して角度θ2だけ傾いている。つまり、第2方向A20fは、第1方向A10の反対向きの方向である反対方向A10’に対して角度θ2だけ傾いている。
【0052】
図8の例では、第2方向A20fが第1方向A10の反対向き(反対方向A10’の向き)の成分を有しているため、第1搬送路を第1方向A10に搬送されてきた媒体が、第2搬送路において反対方向A10’にも搬送されることになる。これにより、第1方向に搬送された媒体をその反対向きの方向に搬送しない場合に比べて、搬送装置の第1方向の長さを小さくしても搬送経路が装置内に収まるようになる。このように、搬送装置においては、第2方向が第1方向の反対向きの成分を有するようになっていればよい。
【0053】
[2−11]第2処理部
第1処理部は、第2搬送路を搬送されている媒体の第1面に対して処理を行ってもよい。
図9は、本変形例の搬送装置の構成の一例を示す図である。この例では、第2搬送路21gにおける第1処理位置D1gにおいて媒体から画像を読み取る第1処理部110gと、それに対応して配置された第1関連部材111gとを備える搬送装置3gが示されている。この場合も、第1処理部110gが、第2処理部120gよりも折り返し搬送部30側に近い位置に配置されていることで、その反対の構成(上述した比較構成)に比べて、第1処理位置における媒体の姿勢が安定しやすくなっている。また、本変形例では、第1搬送路11gの前処理装置側に処理部及び関連部材がいずれも配置されていないため、そこに処理部及び関連部材のいずれかが配置される構成(例えば図2に示す構成)に比べて、搬送装置に必要な幅が小さくなっている。
【0054】
[2−12]第1及び第2処理部
第1及び第2処理部は、図2に示す例とは反対側の媒体の面に対してそれぞれ処理を施すように配置されてもよい。
図10は、本変形例の搬送装置の構成の一例を示す図である。この例では、第1搬送路11を搬送される媒体の前処理装置側の面を第1面として処理を施す第1処理部110hと、その場合の第2面に処理を施す第2処理部120hと、それらに対応してそれぞれ配置された第1関連部材111h及び第2関連部材121hとを備える搬送装置3hが示されている。この場合も、第1処理部110hが、第2処理部120hよりも折り返し搬送部30側に近い位置に配置されているため、上述した比較構成に比べて、第1処理位置における媒体の姿勢が安定しやすくなっている。
【0055】
[2−13]第1及び第2関連部材
搬送装置には、第1及び第2関連部材のいずれかまたは両方が備えられていなくてもよい。その場合であっても、上記の実施形態や変形例のように処理部が配置されることで、実施形態で述べた比較構成に比べて、第1処理位置における媒体の姿勢が安定しやすくなる。
【0056】
[2−14]搬入位置及び搬出位置
搬入位置及び搬出位置は、図2に示す例とは異なる位置に設けられていてもよい。
図11は、本変形例の搬送装置の構成の例を示す図である。図11(a)では、搬入位置C1i及び搬出位置C6iの鉛直方向A102の位置が異なる搬送装置3iが示されている。このように、例えば前処理装置が媒体を搬出する位置と後処理装置が媒体を搬入する位置とが鉛直方向A102にずれていても、それらの位置に合わせて搬入位置及び搬出位置を設ければよい。搬送装置は、搬入搬送部及び搬出搬送部を備えることにより、搬入搬送部及び搬出搬送部を備えない場合に比べて、搬入位置及び搬出位置が自由に配置可能となる。
【0057】
図11(b)では、第1搬送路11jの入り口が搬入位置C1jとなり、第2搬送路21jの出口が搬出位置C6jとなっている搬送装置3jが示されている。つまり、搬送装置3jは、図2に示したような搬入搬送部及び搬出搬送部を備えていない。この場合、前処理装置2jは、搬送装置3jの搬入位置C1jを覆うような形をしており、搬入位置C1jに向けて媒体を搬出する。また、後処理装置4jは、搬送装置3jの搬出位置C6jを覆うような形をしており、搬出位置C6jから搬出される媒体を搬入する。このように、搬送装置は、媒体を搬送する搬送部としては、少なくとも、第1搬送部、第2搬送部及び折り返し搬送部を備えていればよい。
【0058】
[2−15]折り返し搬送部
折り返し搬送部は、実施形態では、鉛直方向A102の下側に設けられていたが、鉛直方向A102の上側に設けられていてもよい。この場合、第1搬送路、折り返し搬送路及び第2搬送路が「U」の字を上下逆さまにした形を描くことになる。この場合も、第1処理部を第2処理部よりも折り返し搬送部側に近い位置に配置することで、上述した比較構成に比べて、第1処理位置における媒体の姿勢が安定しやすくなる。
【0059】
[2−16]発明のカテゴリ
本発明は、搬送装置の他に、搬送装置や前処理装置、後処理装置を備える搬送システムとしても捉えられる。ここでいう前処理装置は、媒体に対して定められた前処理を施して搬送装置に向けて搬出する装置であり、後処理装置は、搬送装置から搬出された媒体に対して定められた後処理を施す装置である。実施形態で述べた画像検査システム1は、搬送システムの一例である。搬送装置については、搬送される媒体に形成された画像を読み取る場合には画像読取装置としても捉えられ、搬送される媒体に画像を形成する場合には画像形成装置としても捉えられる。要するに、本発明における搬送装置とは、媒体を搬送しながらその媒体に定められた処理を施すものである。
【符号の説明】
【0060】
1…画像検査システム、2…前処理装置、3…画像読取装置、4…後処理装置、5…矯正手段、10…第1搬送部、20…第2搬送部、30…折り返し搬送部、40…搬入搬送部、50…搬出搬送部、11…第1搬送路、21…第2搬送路、31…折り返し搬送路、41…搬入搬送路、51…搬出搬送路、110…第1処理部、111…第1関連部材、120…第2処理部、121…第2関連部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11