(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の太陽電池モジュールのバックシートは、水不透過性シートと塗膜とからなる。
【0026】
上記塗膜は、上記水不透過性シートの少なくとも一方の面に形成されている。上記塗膜は、水不透過性シートの片面のみに形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。上記水不透過性シートと上記塗膜とは、直接接着していてもよいし、その他の層を介して接着していてもよいが、直接接着していることが好ましい。その他の層としては、プライマー層を挙げることができる。
【0027】
上記プライマー層の形成は、従来公知のプライマー用塗料を用いて、常法により行う。プライマー用の塗料としては、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等が代表例として挙げられる。
【0028】
上記塗膜は、膜厚が5μm以上であることが、隠蔽性、耐候性、耐薬品性、耐湿性が良好な点から好ましい。より好ましくは7μm以上、更に好ましくは10μm以上である。上限は、余り厚くすると軽量化効果が得られなくなるので、1000μm程度が好ましく、100μm程度がより好ましい。膜厚としては、特に10〜40μmが好ましい。
【0029】
上記塗膜は、塗料から形成されたものである。上記塗膜の形成は、上記塗料を上記水不透過性シート又は上記その他の層に塗布し、所望により乾燥及び硬化させることにより行うことができる。
【0030】
上記乾燥及び硬化は、10〜300℃、通常は100〜200℃で、30秒から3日間行うことができる。上記乾燥及び硬化させた後、養生してもよく、上記養生は、通常、20〜300℃にて1分間〜3日間で完了する。
【0031】
上記塗料は、含フッ素共重合体を含む。上記含フッ素共重合体は、
(a)炭素数2又は3のパーハロオレフィン構造単位、
(b)酢酸ビニル構造単位、
(c)式(1):CH
2=CH−(CH
2)
l−O−(CH
2)
m−OH
(式中、lは0または1、mは2以上の整数)で示される水酸基含有ビニルモノマー構造単位、及び、
(d)式(2):R
1R
2C=CR
3−(CH
2)
n−COOH
(式中、R
1、R
2およびR
3は、同じかまたは異なり、いずれも水素原子または炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基;nは0以上の整数)で示されるカルボキシル基含有モノマー構造単位からなる。
なお、本明細書においては、モノマー成分と、それに対応するモノマー構造単位とには、同じ符号を付して説明することとする。
【0032】
炭素数2又は3のパーハロオレフィン(a)は、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、又は、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)であることが好ましい。
【0033】
式(1):
CH
2=CH−(CH
2)
l−O−(CH
2)
m−OH
(式中、lは0または1、mは2以上の整数)で示される水酸基含有ビニルモノマー(c)のmとしては、10以下が好ましく、特にlが0、mが2または4のヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)またはヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)が好ましい。またlが1、mが2または4の2−ヒドロキシエチルアリルエーテルまたは4−ヒドロキシブチルアリルエーテルも好ましい。
【0034】
式(2)において、nは0〜20の整数であることがより好ましく、0〜10の整数であることが更に好ましい。
カルボキシル基含有モノマー(d)としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデシレン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、ノナデセン酸、エイコセン酸、22−トリコセン酸などがあげられる。なかでも、アクリル酸が好ましい。
【0035】
上記含フッ素共重合体は、構造単位(a)〜(d)に加えて、その他のモノマー構造単位(e)を含むものであってもよい。その他のモノマー(e)としては、次のものが例示でき、なかでも、非芳香族系ビニルエステル(但し、酢酸ビニルを除く)が好ましい。
【0036】
(e1)酢酸ビニル(b)以外の非芳香族系ビニルエステル
たとえばプロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニルなどの1種または2種以上があげられる。これらのモノマーは水酸基とカルボキシル基とを含まない非芳香族系モノマーであり、共重合体と塗料の他の成分であるアクリル樹脂や硬化剤、分散剤との相溶性を改善する作用を有する。特に好ましい非芳香族系ビニルエステルモノマーは、耐候性、相溶性、廉価性に優れる点からバーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニルである。これらのなかでも耐薬品性の点から、特にカルボン酸の炭素数が6以上のカルボン酸ビニルエステルが好ましく、カルボン酸の炭素数が9以上のカルボン酸ビニルエステルがより好ましい。カルボン酸ビニルエステルにおけるカルボン酸の炭素数の上限は20が好ましく、15がより好ましい。封止材層との密着性に優れることからバーサチック酸ビニルが最も好ましい。
【0037】
(e2)式(1)の水酸基含有ビニルモノマー(c)以外の水酸基含有ビニルモノマー
たとえば2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどの1種または2種以上があげられる。
【0038】
(e3)式(2)のカルボキシル基含有モノマー(d)以外のカルボキシル基含有モノマー又はその無水物
たとえば、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニル、シトラコン酸、メサコン酸、アコニット酸などの1種または2種以上があげられる。
【0039】
(e4)芳香族基含有モノマー
芳香族基含有モノマーは、芳香族基を有し、かつ、水酸基及びカルボキシル基のいずれも有しないモノマーであり、たとえば安息香酸ビニル、パラ−tert−ブチル安息香酸ビニルなどの安息香酸ビニルモノマーなどの1種または2種以上があげられ、パラ−tert−ブチル安息香酸ビニル又は安息香酸ビニルが好ましく、さらには安息香酸ビニルが好ましい。
【0040】
(e5)他の共重合可能なモノマー
たとえばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル;エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテンなどの非フッ素系のオレフィンなどがあげられる。
【0041】
上記含フッ素共重合体は、数平均分子量が3000〜100000であることが好ましい。上記数平均分子量は、5000以上であることがより好ましく、8000以上であることが更に好ましく、50000以下であることがより好ましく、35000以下であることが更に好ましい。数平均分子量が小さすぎると、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性に優れると同時に、高い硬度を有する塗膜を形成することができないおそれがあり、数平均分子量が大きすぎると、塗料の粘度が大きくなり取扱いが困難になるおそれがある。上記数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶離液として用いるゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0042】
上記含フッ素共重合体は、示差走査熱量計(DSC)により求めるガラス転移温度(セカンドラン)が10〜70℃であることが好ましく、15〜60℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が小さすぎると、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性に劣ると同時に、高い硬度を有する塗膜を形成することができないおそれがあり、ガラス転移温度が大きすぎると、塗料の粘度が大きくなり取扱いが困難になるおそれがある。
【0043】
上記含フッ素共重合体は、硬化剤との相溶性が良好な点から、酸価が0.6〜28.8mgKOH/gであることが好ましく、2〜12mgKOH/gであることがより好ましい。
【0044】
上記含フッ素共重合体は、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性に優れると同時に、高い硬度を有する塗膜を形成することができることから、水酸基価が29〜120mgKOH/gであることが好ましい。上記含フッ素共重合体は、水酸基価が100mgKOH/g以下であることがより好ましい。
【0045】
上記含フッ素共重合体は、フッ素含有量は12質量%以上であることが好ましい。
【0046】
上記含フッ素共重合体は、
15〜50モル%の構造単位(a)、
20〜75モル%の構造単位(b)、
5〜22モル%の構造単位(c)、及び、
0.1〜5モル%の構造単位(d)、
を含むことが好ましい。
また、構造単位(c)が23〜75モル%であることも好ましい。
上記含フッ素共重合体は、
15〜50モル%の構造単位(a)、
20〜75モル%の構造単位(b)、
5〜22モル%の構造単位(c)、
0.1〜5モル%の構造単位(d)、及び、
0〜25モル%の構造単位(e)
を含むことも好ましい。
【0047】
上記含フッ素共重合体は、含フッ素共重合体中の構造単位(a)の比率が構造単位(a)及び構造単位(b)の合計モル数に対して0.16〜0.51であることが好ましい。構造単位(a)の構造単位(a)及び構造単位(b)の合計モル数に対する比率は、0.22以上であることがより好ましく、0.50以下であることがより好ましく、0.46以下であることが更に好ましく、0.45以下であることが特に好ましい。上記含フッ素共重合体は、構造単位(a)及び構造単位(b)の合計モル数に対する構造単位(a)の比率が上記の範囲にあると、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性に優れると同時に、高い硬度を有する塗膜を形成することができるので、太陽電池モジュールを確実に保護することができる。構造単位(b)に対して構造単位(a)の比率が多すぎると、充分に硬度が高い塗膜を形成することができない。また、構造単位(b)に対して構造単位(a)の比率が少なすぎると、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性に優れた塗膜を形成することができない。
【0048】
構造単位(a)及び構造単位(b)の合計モル数に対する構造単位(a)の比率は、元素分析から測定したフッ素含有量(質量%)と
1HNMRスペクトルによる組成分析から算出することができる。
【0049】
上記含フッ素共重合体は、構造単位(a)を、含フッ素共重合体を構成する全構造単位に対して、15〜40モル%未満含むことが好ましい。構造単位(a)の含有量は、20モル%以上であることがより好ましく、39モル%以下であることがより好ましい。上記含フッ素共重合体が構造単位(a)を上記の量で含むものであると、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性により一層優れると同時に、より一層高い硬度を有する塗膜を形成することができる。
【0050】
上記含フッ素共重合体は、構造単位(b)を、含フッ素共重合体を構成する全構造単位に対して、38〜75モル%未満含むことが好ましい。構造単位(b)の含有量は、49.4モル%以上であることがより好ましく、50.4モル%以上であることが更に好ましく、74.7モル%以下であることがより好ましく、69.7モル%以下であることが更に好ましい。上記含フッ素共重合体が構造単位(b)を上記の量で含むものであると、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性により一層優れると同時に、より一層高い硬度を有する塗膜を形成することができる。
【0051】
上記含フッ素共重合体は、構造単位(a)及び構造単位(b)を、含フッ素共重合体を構成する全構造単位に対して、合計で53〜95モル%未満含むことが好ましい。構造単位(a)及び構造単位(b)の含有量は、77.5モル%以上であることがより好ましく、81.9モル%以上であることが更に好ましく、94.8モル%以下であることがより好ましく、91.2モル%以下であることが更に好ましい。上記含フッ素共重合体が構造単位(a)及び構造単位(b)を上記の量で含むものであると、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性により一層優れると同時に、より一層高い硬度を有する塗膜を形成することができる。
【0052】
上記含フッ素共重合体は、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性により一層優れると同時に、より一層高い硬度を有する塗膜を形成することができることから、
15〜40モル%未満の構造単位(a)、
38〜75モル%未満の構造単位(b)、
5〜22モル%の構造単位(c)、及び、
0.1〜5モル%の構造単位(d)、
を含むことが好ましい。
【0053】
また、上記含フッ素共重合体は、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性により一層優れると同時に、より一層高い硬度を有する塗膜を形成することができることから、
20〜39モル%の構造単位(a)、
42〜69.7モル%の構造単位(b)、
5〜18.5モル%の構造単位(c)、及び、
0.1〜5モル%の構造単位(d)、
を含むことがより好ましい。
【0054】
更に、上記含フッ素共重合体は、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性により一層優れると同時に、より一層高い硬度を有する塗膜を形成することができることから、
25〜39モル%の構造単位(a)、
42〜64.7モル%の構造単位(b)、
5〜18.5モル%の構造単位(c)、及び、
0.1〜5モル%の構造単位(d)、
を含むことが更に好ましい。
【0055】
上記含フッ素共重合体は、構造単位(a)の構造単位(a)及び構造単位(b)の合計モル数に対する比率が上述した範囲内にあって、かつ、各構造単位(a)〜(d)の比率が上述した範囲内にあることが、特に好ましい。
【0056】
上記含フッ素共重合体は、構造単位(a)〜(d)に加えて、その他のモノマー構造単位(e)を含むものであってもよい。その他のモノマー(e)は、(a)〜(d)のモノマーと共重合し得るものであって、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されない。構造単位(e)の含有量は、含フッ素共重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%または25モル%以下が好ましく、0.1モル%以上であることがより好ましい。
【0057】
上記含フッ素共重合体は、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、または塊重合法で製造することができるが、なかでも溶液重合法で得られたものが好ましい。
【0058】
上記含フッ素共重合体は、上記の構造単位を与えるモノマーを有機溶媒や重合開始剤を用いる溶液重合法により重合することにより製造することが好ましい。重合温度は、通常0〜150℃、好ましくは5〜95℃である。重合圧は通常0.1〜10MPaG(1〜100kgf/cm
2G)である。
【0059】
有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸tert−ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリットなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、tert−ブタノール、iso−プロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;ジメチルスルホキシドなど、またはこれらの混合物などがあげられる。
【0060】
重合開始剤としては、たとえば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩類(さらに必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリンなどの還元剤も併用できる);酸化剤(たとえば過酸化アンモニウム、過酸化カリウムなど)と還元剤(たとえば亜硫酸ナトリウムなど)および遷移金属塩(たとえば硫酸鉄など)からなるレドックス開始剤類;アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;イソプロポキシカルボニルパーオキサイド、tert−ブトキシカルボニルパーオキサイドなどのジアルコキシカルボニルパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類;tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレートなどのアルキルパーオキシエステル類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、4,4’−アゾビス(4−シアノペンテン酸)などのアゾ系化合物などが使用できる。
【0061】
上記塗料は、有機溶剤を含むことが好ましい。
【0062】
上記有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;プロピレングリコールメチルエーテルなどのアルコール類;ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類;これらの混合溶媒などがあげられる。また、弱溶剤と呼ばれる、労働安全衛生法の第三種有機溶剤およびそれに相当する溶剤もあげられる。有機溶媒溶液とする場合は、含フッ素共重合体の濃度を5〜95質量%、好ましくは10〜80質量%とすればよい。
【0063】
上記塗料は、更に、硬化剤を含むことが好ましい。上記硬化剤としては、含フッ素共重合体の硬化反応性基と反応して架橋する化合物であり、たとえばイソシアネート類やアミノ樹脂類、酸無水物類、ポリエポキシ化合物、イソシアネート基含有シラン化合物などが通常用いられる。なかでも、イソシアネート類が好ましい。
【0064】
上記イソシアネート類の具体例としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体、ビュウレット体やイソシアヌレート体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。なかでも、イソシアヌレート体が好ましい。
【0065】
上記アミノ樹脂類の具体例としては、たとえば尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂のほか、メラミンをメチロール化したメチロール化メラミン樹脂、メチロール化メラミンをメタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類でエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
上記酸無水物類の具体例としては、たとえば無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
ポリエポキシ化合物やイソシアネート基含有シラン化合物としては、たとえば特開平2−232250号公報、特開平2−232251号公報などに記載されているものが使用できる。好適な例としては、たとえば
【化1】
などがあげられる。
【0068】
上記硬化剤の配合量は、上記含フッ素共重合体中の化学的硬化反応性基1当量に対して0.1〜5当量、好ましくは0.5〜1.5当量である。上記塗料は通常0〜200℃で数分間ないし10日間程度で硬化させることができる。上記化学的硬化反応性基としては、水酸基及びカルボキシル基が挙げられる。
【0069】
上記塗料は、更に、上記含フッ素共重合体以外の他の樹脂を含むことが好ましい。他の樹脂としては、ポリスチレン、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネート系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂(たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体など)、ケトン樹脂、石油樹脂のほか、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類の塩素化物などの有機系樹脂;シリカゲルやケイ酸などの無機系樹脂;上記含フッ素共重合体以外の各種フッ素樹脂(たとえばテトラフルオロエチレンやクロロトリフルオロエチレンの単独重合体またはこれらと他の単量体との共重合体など)等が挙げられる。他の樹脂の割合は、上記含フッ素共重合体100質量部に対し、900質量部以下、好ましくは500質量部以下である。下限は目的とする特性を得るのに必要な量であり、樹脂の種類によって決まる。(メタ)アクリル系樹脂の場合は通常5質量部以上、好ましくは10質量部以上である。
【0070】
上記塗料は、これらの樹脂のうち、特に相溶性に優れた(メタ)アクリル系樹脂を含むことが好ましく、得られる塗膜に高光沢、高硬度、仕上り外観のよさを与える。
【0071】
(メタ)アクリル系樹脂としては、従来より塗料用に使用されている(メタ)アクリル系重合体があげられるが、特に(i)(メタ)アクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステルの単独重合体または共重合体、および(ii)側鎖および/または主鎖末端に硬化性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましく採用される。
【0072】
上記(i)の(メタ)アクリル系重合体としては、たとえば、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステルの単独重合体および共重合体、あるいはこれらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体があげられる。
【0073】
上記共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、たとえば、芳香族基を有する(メタ)アクリレート類、α位にフッ素原子または塩素原子を有する(メタ)アクリレート類、アルキル基がフッ素原子で置換されたフルオロアルキル(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレンなどの芳香族ビニルモノマー類、エチレン、プロピレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのオレフィン類、フマル酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、(メタ)アクリロニトリルなどがあげられる。
【0074】
上記(ii)の(メタ)アクリル系重合体としては、上記(i)で説明した(メタ)アクリル系重合体を与える単量体と共に、硬化性官能基を有する単量体を共重合したものが例示できる。硬化性官能基含有単量体としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基などを有する単量体があげられる。上記(ii)の(メタ)アクリル系重合体の具体例としては、たとえば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレートなどの硬化性官能基を有する単量体と上記(メタ)アクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステルとの共重合体、または、これらと上記共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体があげられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0075】
(メタ)アクリル系重合体の数平均分子量はGPCで測定して1000〜200000であることが好ましく、2000〜100000であることがより好ましい。大きくなると溶剤溶解性が低下する傾向にあり、小さくなると耐候性に問題が生じる傾向にある。
【0076】
上記塗料は、更に、添加剤を含むこともできる。添加剤としては、硬化促進剤、顔料、分散剤、流動性改善剤、レベリング剤、消泡剤、ゲル化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、親水化剤、つや消し剤、密着改良剤、難燃剤などがあげられる。
【0077】
上記顔料としては、二酸化チタンが挙げられる。上記二酸化チタンとしては、特に限定されず、ルチル型、アナターゼ型のいずれであってもよいが、耐候性の面からルチル型が好ましい。また、上記二酸化チタンとして、二酸化チタン微粒子の表面を無機処理した二酸化チタンや有機処理した二酸化チタン、あるいは無機および有機の両方で処理した二酸化チタンであってもよい。無機処理した二酸化チタンとしては、例えば、二酸化チタン微粒子の表面をアルミナ(Al
2O
3)又はシリカ(SiO
2)、ジルコニア(ZrO
2)で被覆したものが挙げられる。有機処理した二酸化チタンとしては、シランカップリング剤により表面処理されたものや、有機シロキサンにより表面処理されたもの、有機ポリオールにより表面処理されたもの、アルキルアミンにより表面処理されたもの等が挙げられる。更に、二酸化チタンは、滴定法により得られる塩基価が酸価よりも高いものが、好ましい。
【0078】
上記二酸化チタンの市販品としては、例えば、D−918(堺化学工業社製)、R−960、R−706、R−931(デュポン社製)、PFC−105(石原産業社製)等が挙げられる。
【0079】
上記二酸化チタンの含有量としては、上記含フッ素共重合体100質量部に対して1〜500質量部であることが好ましい。1質量部未満であると、紫外線を遮蔽できないおそれがある。500質量部を超えると、紫外線による黄変、劣化のおそれがある。上記二酸化チタンの含有量としては、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましく、300質量部以下がより好ましく、200質量部以下が更に好ましい。
【0080】
上記顔料としては、また、カーボンブラックが挙げられる。上記カーボンブラックとしては、特に限定されず一般に公知のものが挙げられる。上記カーボンブラックは、紫外線遮蔽効果の点で、平均粒子径が10〜150nmであることが好ましく、20〜100nmであることがより好ましい。上記平均粒子径は、電子顕微鏡での観察により得られる値である。
【0081】
上記カーボンブラックは、上記組成物中で凝集していてもよいが、この場合の平均粒径は、紫外線遮蔽効果の点で50〜1000nmが好ましく、100〜700nmがより好ましく、100〜500nmがさらに好ましい。上記平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布計での測定により得られる値である。
【0082】
上記カーボンブラックの含有量は、上記含フッ素共重合体100質量部に対して0.5〜80質量部であることが好ましい。カーボンブラックの含有量が上述の範囲内であると、塗料中によく分散できる。上記カーボンブラックの含有量は、上記含フッ素共重合体100質量部に対して3質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましく、60質量部以下がより好ましく、50質量部以下が更に好ましい。
上記カーボンブラックの市販品としては、例えば、MA−100(三菱化学社製)、Raven−420(コロンビアカーボン社製)等が挙げられる。
【0083】
上記塗料が上記顔料を含む場合、後述する分散剤又は流動性改善剤を更に含むことが好ましい。
【0084】
上記分散剤としては、酸基を有する(但し、不飽和基を有するものを除く)化合物が挙げられる。上記酸基としては、リン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。なかでも、より長期にわたり顔料の凝集を防止し、塗料の貯蔵安定性に優れる点で、リン酸基及びカルボン酸基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、リン酸基がより好ましい。上記分散剤はまた、不飽和基を有しない化合物からなる。不飽和基を有しないため、紫外線曝露による化合物の変性が生じにくい。
【0085】
上記分散剤は、重量平均分子量が300〜1000000であることが好ましい。300未満であると、吸着樹脂層の立体安定化が不十分で、二酸化チタンの凝集を防止できないおそれがある。1000000を超えると、色別れや、耐候性の低下をまねくおそれがある。上記重量平均分子量は1000以上であることがより好ましく、100000以下であることがより好ましい。上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(ポリスチレン換算)により測定することができる。
【0086】
上記分散剤は、二酸化チタン表面に効果的に吸着する点で、酸価が3〜2000mgKOH/gであることが好ましい。酸価は、5mgKOH/g以上がより好ましく、10mgKOH/g以上が更に好ましく、1000mgKOH/g以下がより好ましく、500mgKOH/g以下が更に好ましい。上記酸価は、塩基性物質を用いた酸塩基滴定法により測定することができる。
【0087】
上記分散剤は、更に、塩基を有していてもよい。上記塩基としては、例えば、アミノ基等が挙げられる。
【0088】
上記分散剤の塩基価は、分散剤の長期の貯蔵安定性が良好となる点で、15mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/g以下がより好ましい。上記分散剤の酸価が15mgKOH/g以下である場合、塩基価は5mgKOH/g未満であることが更に好ましい。
上記分散剤は、実質的に塩基を含まないことが更に好ましい。なお、実質的に塩基を含まないとは、コンタミネーション、反応残査、測定誤差等を考慮し、測定値として塩基価が0.5mgKOH/g以下をいう。上記塩基価は、酸性物質を用いた酸塩基滴定法により測定することができる。
【0089】
上記分散剤として、市販品を使用してもよい。例えば、ディスパロン2150、ディスパロンDA−325、DA−375、DA−1200(商品名、楠本化成社製)、フローレンG−700、G−900(商品名、共栄社化学社製)、SOLSPERSE26000、32000、36000、36600、41000、55000(商品名、日本ルーブリゾール社製)、DISPERBYK−102、106、110、111、140、142、145、170、171、174、180(商品名、ビックケミー・ジャパン社製)等を挙げることができる。なかでも、長期の貯蔵安定性が良好となる点で、ディスパロンDA−375、フローレンG−700、SOLSPERSE36000が好ましく、ディスパロンDA−375がより好ましい。
【0090】
上記分散剤は、上記二酸化チタンと共に使用することが好ましい。上記分散剤の含有量は、二酸化チタン100質量部に対して0.1〜100質量部であることが好ましい。0.1質量部未満であると、顔料沈降防止効果が得られないおそれがある。100質量部を超えると、色別れや、耐候性の低下をまねくおそれがある。上記分散剤の含有量は、0.5質量部以上であることがより好ましく、1.5質量部以上であることが更に好ましく、50質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましい。
【0091】
上記流動性改善剤としては、酸基及び塩基を有する会合型アクリル系ポリマーが挙げられる。上記会合型アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマー鎖に含有される極性基が、ポリマー鎖内、あるいはポリマー鎖間の水素結合あるいは電気的相互作用による部分的吸着等により、構造を形成し、結果、液の粘度を増加させる効果を持つものである。
【0092】
上記アクリル系ポリマーとしては、例えば、主たるモノマー成分として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートからなる共重合体が挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを含む。
【0093】
上記酸基としては、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基が好ましい。なかでも、より長期にわたり顔料の凝集を防止し、塗料の貯蔵安定性を維持できる点で、カルボン酸基が好ましい。上記塩基としては、アミノ基が挙げられる。
【0094】
また、上記流動性改善剤は、カルボン酸と、ヒドロキシアミンもしくはヒドロキシイミンの窒素含有化合物との反応物であってもよい。反応させるカルボン酸と窒素含有化合物の比率は、1:1が最も好ましい。カルボン酸としては、ジカルボン酸、酸無水物が挙げられる。上記ヒドロキシアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミン等の1級、2級、3級アルカノールアミンやその混合物を挙げることができる。上記ヒドロキシイミンとしては、例えば、オキサゾリン構造をもつもの、具体的には、Alkaterge T(商品名、Angus Chemical社製)等を挙げることができる。
【0095】
上記流動性改善剤は、重量平均分子量が1000〜1000000であることが好ましい。1000未満であると、会合による構造形成が不十分で二酸化チタンの沈降を防止できないおそれがある。1000000を超えると、液の粘度が増加し過ぎ、塗装性を損なうおそれがある。上記重量平均分子量は5000以上であることがより好ましく、100000以下であることがより好ましい。上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(ポリスチレン換算)により測定することができる。
【0096】
上記流動性改善剤として、市販品を使用してもよい。例えば、SOLTHIX250(商品名、日本ルーブリゾール社製)等を挙げることができる。
【0097】
上記流動性改善剤の含有量は、上記塗料中0.05〜20質量%であることが好ましい。0.05質量%未満であると、二酸化チタンの沈降を防止できないおそれがある。20質量%を超えると分離や色別れのおそれがある。上記流動性改善剤の含有量は、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることが更に好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。
【0098】
上記難燃剤としては、燃焼初期において非燃焼性のガスを発生して、燃焼性ガスの希釈及び/又は酸素遮断により難燃性を発揮するものであることが好ましい。
【0099】
上記難燃剤としては、周期律表5B族を含む化合物、周期律表7B族のハロゲン化合物を含む化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0100】
周期律表7B族のハロゲン化合物を含む化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族有機ハロゲン化合物、例えば臭素系のテトラブロモビスフェノールA(TBA)、デカブロモジフェニルエーテル(DBDPE)、オクタブロモジフェニルエーテル(OBDPE)、TBAエポキシ/フェノキシオリゴマー、臭素化架橋ポリスチレン、塩素系の塩素化バラフィン、パークロロシクロペンタデカンなどが挙げられる。
【0101】
周期律表5B族を含む化合物としては、リン化合物としては例えばリン酸エステル、ポリリン酸塩系などが挙げられる。また、アンチモン化合物がハロゲン化合物と組み合わせて使用することが好ましく、例えば三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどが挙げられる。このほか、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化モリブデンも使用できる。
これらの難燃剤は上記含フッ素共重合体の種類に応じて、少なくとも1種と配合量を任意に選ぶことができ、これらに限定されるものではない。
【0102】
上記難燃剤としては、具体的には、リン窒素含有組成物(A)、又は、臭素含有化合物とアンチモン含有化合物との混合物(B)がより好ましい。上記含フッ素共重合体にこれらの難燃剤を組み合わせることにより、高い難燃性が発揮される。
【0103】
上記リン窒素含有組成物(A)は、ピロリン酸ピペラジンとメラミンシアヌレートの混合物であることが好ましい。ピロリン酸ピペラジンとしては、例えば、特開昭48−088791号公報や米国特許第4599375号に開示されるものが挙げられる。メラミンシアヌレートとしては、メラミンとシアヌール酸との反応生成物を粉末化したもの等が挙げられる。上記メラミンとシアヌール酸との反応生成物は、その構造内に多量の窒素原子を有し、約350℃以上の高温にさらされると窒素ガスを発生して燃焼を阻害する働きを示す。
【0104】
上記リン窒素含有組成物(A)は、上記ピロリン酸ピペラジンに対するメラミンシアヌレートの質量比が0.014〜3.000の範囲であることが好ましい。メラミンシアヌレートが上述の範囲であると難燃性が向上し、塗膜のブロッキング性も良好となる。上記ピロリン酸ピペラジンに対するメラミンシアヌレートの質量比は、混合物中0.04以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、1.4以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましい。
【0105】
上記リン窒素含有組成物(A)として使用可能な市販品としては、例えば、SCFR−200(堺化学工業社製)、SCFR−110(堺化学工業社製)等が挙げられる。
【0106】
上記臭素含有化合物としては、臭素含有率が65%以上であり、融点が200℃以上で、かつ、5%分解温度が340℃以上の芳香族系化合物であることが好ましい。
具体的には、上記臭素含有化合物は、デカブロモジフェニルオキサイド、1,2−ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)エタン、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、エチレンビステトラブロモフタロイミド、ポリブロモフェニルインダン、臭素化フェニレンオキサイド、及び、ポリペンタブロモベンジルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0107】
なかでも、融点が高く、塗膜を加熱硬化した場合にも融解、ブリードアウトしない点で、式(a)で表される1,2−ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)エタンがより好ましい。
【化2】
【0108】
上記臭素含有化合物として、市販品を用いてもよく、例えば、SAYTEX8010(アルベマール社製)等が挙げられる。
【0109】
上記アンチモン含有化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモンが挙げられる。なかでも、安価に入手できる点で、三酸化アンチモンが好ましい。
【0110】
上記難燃剤の含有量は、上記含フッ素共重合体100質量部に対して1〜45質量部であることが好ましい。上記難燃剤の含有量が上述の範囲であると、上記組成物への良好な分散性と上記組成物から得られる塗膜の難燃性の向上が期待できる。上記難燃剤の含有量が1質量部未満では難燃性の向上が期待できないおそれがあり、45質量部を超えると組成物や塗膜の物性を維持するのが困難となるおそれがある。上記難燃剤の含有量は、上記含フッ素共重合体100質量部に対して30質量部以下がより好ましく、20質量部以下が更に好ましく、15質量部以下が特に好ましい。また、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上が更に好ましい。
【0111】
上記難燃剤が上記リン窒素含有組成物(A)である場合、その含有量は、上記含フッ素共重合体100質量部に対して8〜19質量部であることが好ましい。上記リン窒素含有組成物(A)の含有量は、上記含フッ素共重合体100質量部に対して9質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましく、17質量部以下がより好ましく、15質量部以下が更に好ましい。
【0112】
上記難燃剤が上記臭素含有化合物とアンチモン含有化合物との混合物(B)である場合、その含有量は、上記含フッ素共重合体100質量部に対して、臭化含有化合物の含有量が1〜30質量部であることが好ましく、アンチモン含有化合物の含有量が0.5〜15質量部であることが好ましい。上記臭素含有化合物の含有量は、上記含フッ素共重合体100質量部に対して、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上が更に好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下が更に好ましい。上記アンチモン化合物の含有量は、上記含フッ素共重合体100質量部に対して、1.5質量部以上がより好ましく、2.5質量部以上が更に好ましく、10質量部以下がより好ましく、7.5質量部以下が更に好ましい。
【0113】
上記硬化促進剤としては、たとえば有機スズ化合物、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルとアミンとの反応物、飽和または不飽和の多価カルボン酸またはその酸無水物、有機チタネート化合物、アミン系化合物、オクチル酸鉛、アルミニウムを含有する金属キレート化合物などがあげられる。
上記金属キレート化合物としては、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネートなどが挙げられる。
【0114】
上記有機スズ化合物の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズフタレート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ジブチルスズメトキシドなどがあげられる。
【0115】
また上記酸性リン酸エステルとは、
【化3】
部分を含むリン酸エステルのことであり、たとえば
(R
9−O)
b−P(=O)−(OH)
3−b
(式中、bは1または2、R
9は有機残基を示す)で示される有機酸性リン酸エステルなどがあげられる。
【0116】
具体的には
【化4】
などがあげられる。
【0117】
上記有機チタネート化合物としては、たとえばテトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネートなどのチタン酸エステルがあげられる。市販品としては、たとえばマツモトファインケミカル社製のオルガチックスTC−100、TC−750、TC−760、TA−30などがあげられる。
【0118】
さらに上記アミン系化合物の具体例としては、たとえばブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物、さらにはそれらのカルボン酸などの塩、過剰のポリアミンと多塩基酸よりえられる低分子量ポリアミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物の反応生成物などがあげられる。
【0119】
上記硬化促進剤は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記硬化促進剤の配合割合は上記含フッ素共重合体100質量部に対して1.0×10
−6〜1.0×10
−2質量部程度が好ましく、5.0×10
−5〜1.0×10
−3質量部程度がさらに好ましい。
【0120】
顔料の具体例としては、たとえば二酸化チタン、炭酸カルシウムもしくはカーボンブラックなどの無機顔料;フタロシアニン系、キナクリドン系もしくはアゾ系などの有機顔料などがあげられるが、これらのみに限定されるものではない。顔料の添加量の上限は、通常上記含フッ素共重合体100質量部に対して約200質量部までである。
【0121】
上記親水化剤としては、メチルシリケート、エチルシリケート、フルオロアルキルシリケート、それらの縮合体が使用できる。市販品としては、たとえばコルコート社製のET40、ET48など、三菱化学(株)製のMS56、MS56S、MS57など、ダイキン工業(株)製のGH700、GH701などがあげられる。
【0122】
上記つや消し剤としては、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタンなどが挙げられる。上記つや消し剤の添加量は、上記含フッ素共重合体に対して、1〜100質量%であることが好ましい。市販品としては、たとえば冨士シリシア社製のサイリシア350、サイリシア436、サイリシア446、サイロホービック100、サイロホービック200、グレース社製のサイロイドED2、サイロイドED30、サイロイドED50などがあげられる。
【0123】
上記密着改良剤としては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオールなどの各種ポリオール系添加剤、シランカップリング剤などがあげられる。上記密着改良剤の添加量は、上記含フッ素共重合体に対して、0.1〜50質量%であることが好ましい。市販品としては、たとえば楠本化成社製のフレクソレッゾ148、フレクソレッゾ188、フレクソレッゾA308、宇部興産社製のETERNACOLL UH−50、ETERNACOLL UM−90、ADEKA社製のアデカポリエーテルP−400、アデカポリオールBPX−21、日本曹達社製のNISSO−PB GI−1000、GI−2000、GI−3000などがあげられる。
【0124】
上記バックシートは、更に、上記水不透過性シートからなる。上記水不透過性シートは、封止材や太陽電池セルに水分が透過しないように設けられる層であり、水が実質的に透過しない材料であれば使用できるが、重量や価格、可撓性等の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート、SiO
x蒸着PETシート、アルミニウムやステンレススチール等の金属薄シート等が多用されている。なかでもPETシートがよく用いられている。厚さは通常50〜250μm程度である。なかでも特に防湿性が必要な場合はSiO
x蒸着PETシートがよく用いられている。厚さは通常10〜20μm程度である。
【0125】
また、上記塗膜との接着性を向上させるために、水不透過性シートに従来公知の表面処理を行ってもよい。表面処理としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、化成処理、金属シートの場合はブラスト処理等が例示できる。
【0126】
上記バックシートは、太陽電池モジュールの封止材層と接着させて使用することができる。上記バックシートが上記水不透過性シートの片面のみに上記塗膜を備える場合、上記水不透過性シートと上記封止材層とを接着させてもよいし、上記塗膜と上記封止材層とを接着させてもよい。上記塗膜は、上記水不透過性シートとの接着性に優れ、しかも、上記封止材層との接着性にも優れることから、上記塗膜と上記封止材層とを接着させることが好ましい。また、上記塗膜は、耐候性にも優れることから、上記塗膜を太陽電池モジュールの最外面に位置させることも好ましい。以上のことから、上記バックシートは、上記水不透過性シートの両面に上記塗膜を備えることが好ましい。
【0127】
上記封止材層は、封止材からなり、太陽電池セルを内部に封止している。上記封止材としては、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、EVAであることが好ましい。
【0128】
上記封止材層と上記バックシートとを備える太陽電池モジュールも本発明の一つである。
【0129】
上記太陽電池モジュールの好ましい構造としては、例えば、
図1〜3に示すものが挙げられる。
【0130】
図1に示される第1の構造において、太陽電池セル1は、封止材層2に封止されており、該封止材層2は、表面層3とバックシート4とで挟まれている。バックシート4は更に水不透過性シート5と塗膜6とから構成されている。この第1の構造では、塗膜6は封止材層2側にのみ設けられている。なお、
図1〜
図3において、塗膜6は、上述の含フッ素共重合体を含む塗料から形成された塗膜である。
【0131】
上記封止材層2は、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等で構成される。
上記表面層3には、通常ガラス板が用いられるが、樹脂シート等のフレキシブルな材料を用いてもよい。
【0132】
図2に示される第2の構造は、水不透過性シート5の両面に塗膜6が形成されてなる3層構造のものである。
【0133】
この第2の構造は、バックシートの膜厚は増加するものの、封止材層2側の塗膜6による密着性と、封止材層2と反対側の塗膜6による耐候性との両方の利点を併せもつものである。
【0134】
3層構造のバックシートとしては、また、水不透過性シートの一方の面に上述した含フッ素共重合体を含む塗料から形成された塗膜が形成され、他方の面に、硬化性官能基を有しない含フッ素ポリマー塗料の塗膜、含フッ素ポリマーシート、ポリエステルシートまたはポリエステル塗料の塗膜(他のシートまたは塗膜)が形成されてなる3層構造のバックシートでもよい。
【0135】
図3に示される第3の構造は、水不透過性シート5の封止材層2側に上述した含フッ素共重合体を含む塗料から形成された塗膜6が形成され、封止材層2と反対側に他の塗膜7が形成されている構造である。
塗膜7を構成する材料は、硬化性官能基を有しない含フッ素ポリマー塗料の塗膜でも、含フッ素ポリマーシートでも、ポリエステルシートでも、ポリエステル塗料の塗膜でもよい。
また、上記塗膜と封止材層との接着性をさらに向上させるために、上記塗膜に従来公知の表面処理を行ってもよい。表面処理としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、化成処理、ブラスト処理等が例示できる。
【0136】
上記硬化性官能基を有しない含フッ素ポリマー塗料の塗膜としては、例えば特開2004−214342号公報に記載されているポリフッ化ビニリデン(PVdF)にテトラアルコキシシランまたはその部分加水分解物を配合した塗料の塗膜、VdF/TFE/CTFE共重合体とアルコキシシラン単位含有アクリル樹脂との混合塗料の塗膜、VdF/TFE/HFP共重合体と水酸基含有アクリル樹脂との混合塗料の塗膜、VdF/HFP共重合体にアミノシランカップリング剤を配合した塗料の塗膜等が挙げられる。膜厚は、通常、5〜300μmとすることが、隠蔽性、耐候性、耐薬品性、耐湿性が良好な点から好ましい。より好ましくは10〜100μm、更に好ましくは10〜50μmである。この場合も、プライマー層等を介してもよい。
【0137】
上記含フッ素ポリマーシートとしては、PVdFシートやポリフッ化ビニル(PVF)シート、PCTFEシート、TFE/HFP/エチレン共重合体シート、TFE/HFP共重合体(FEP)シート、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体(PFA)シート、エチレン/TFE共重合体(ETFE)シート、エチレン/CTFE共重合体(ECTFE)シート等、現在のバックシートに使用されている含フッ素ポリマーシートが挙げられる。膜厚は、通常、5〜300μmとすることが、耐候性が良好な点から好ましい。より好ましくは10〜100μm、更に好ましくは10〜50μmである。
【0138】
上記ポリエステルシートとしては、従来のバックシートで使用されているものがそのまま使用でき、その水不透過性シート5への接着はアクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリエステル系接着剤等によって行うことができる。膜厚は、通常5〜300μmとすることが、耐候性、コスト、透明性が良好な点から好ましい。より好ましくは10〜100μm、更に好ましくは10〜50μmである。
【0139】
上記ポリエステル塗料としては、多価カルボン酸と多価アルコール等とを用いた飽和ポリエステル樹脂を用いたもの、無水マレイン酸、フマル酸等とグリコール類とを用いた不飽和ポリエステル樹脂を用いたもの等があげられ、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ダイコート等の塗装方法により塗膜を形成できる。膜厚は、5〜300μmとすることが隠蔽性、耐候性、耐薬品性、耐湿性が良好な点から好ましい。より好ましくは10〜100μm、更に好ましくは10〜50μmである。この場合も、プライマー層等を介してもよい。
【実施例】
【0140】
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0141】
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
【0142】
バックシート塗膜表面コロナ放電処理前後でのPET密着性およびEVA密着性を測定した。PET密着性とは、バックシートの塗膜とポリエチレンテレフタレート(PET)からなる水不透過性シート(単に「PET」ということがある)との密着性である。EVA密着性とは、バックシートの塗膜とEVA樹脂シート(単に「EVA」ということがある)との密着性である。
【0143】
測定サンプルは以下の手順で作製した。バックシートの塗膜上にEVA樹脂シート(三井化学ファブロ(株)製のソーラーエバ。厚さ600μm)、さらにEVA樹脂シート上にガラス(3.2mm厚)を載せ、圧力100g/cm
2にて150℃で圧着して、3層構造(ガラス/EVA/バックシート)の塗膜表面コロナ放電処理前の測定サンプルを作製した。
【0144】
また、バックシートの塗膜の表面をコロナ放電処理した後、EVA樹脂シート(三井化学ファブロ(株)製のソーラーエバ。厚さ600μm)、さらにEVA樹脂シート上にガラス(3.2mm厚)を載せ、圧力100g/cm
2にて150℃で圧着して、3層構造(ガラス/EVA/バックシート)の塗膜表面コロナ放電処理後の測定サンプルを作製した。
【0145】
(塗膜表面コロナ放電処理前)
EVA密着性:ピール試験にて密着性を測定した。
塗膜表面コロナ放電処理前の測定サンプルのEVA/バックシート部分を幅1cm×長さ15cmに切込みを入れ、テンシロン(オリエンテック製)を用いて180度の剥離試験を行い、EVA樹脂シートと塗膜との間の接着強度を、N/cmを単位として測定した。
【0146】
(塗膜表面コロナ放電処理後)
PET密着性およびEVA密着性:ピール試験にて密着性を測定した。
塗膜表面コロナ放電処理後の測定サンプルのEVA/バックシート部分を幅1cm×長さ15cmに切込みを入れ、テンシロン(オリエンテック製)を用いて180度の剥離試験を行い、EVA/塗膜間の接着強度を、N/cmを単位として測定した。
この剥離試験は、EVAとバックシートとの剥離強度を測定することを目的の一つとしているが、一部の測定サンプルでは、剥離試験の途中でバックシートの塗膜が破壊され、その後はバックシートの塗膜とPETとの剥離が進行した。そこで、10回の剥離試験を行い、塗膜とPET間の剥離回数を測定した。10回の剥離試験の全てで塗膜が破壊されなかった場合を0回とする。また、塗膜の破壊が観察されたサンプルでは、EVAとバックシートとの剥離強度に加えて、塗膜とPET間の接着強度をN/cmを単位として測定した。
【0147】
実施例1
表1に示す組成を有する含フッ素共重合体を50.7質量%含む酢酸ブチル溶液259質量部、白色顔料として酸化チタン(堺化学工業(株)製のD918)263質量部、酢酸ブチル115質量部を攪拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを632質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、得られた溶液に上記の含フッ素共重合体を含む酢酸ブチル溶液を更に363質量部加えて、組成物を調製した。
この組成物100質量部に硬化剤(スミジュールN3300、住化バイエル社製、NCO含有量21.8%)54質量部を配合して、塗料を調製した。
水不透過性シートとして、PETフィルム(東レ(株)製のルミラーS10、厚さ250μm)を使用し、PETフィルムの片面に上記塗料を乾燥膜厚が20μmとなるようにコーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥して2層構造のバックシートを作製した。このバックシートについて、PET密着性およびEVA密着性を測定した。
【0148】
実施例2
表1に示す組成を有する含フッ素共重合体を50.7質量%含む酢酸ブチル溶液259質量部、白色顔料として酸化チタン(堺化学工業(株)製のD918)263質量部、酢酸ブチル115質量部を攪拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを632質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、得られた溶液に上記の含フッ素共重合体を含む酢酸ブチル溶液を更に363質量部加えて、組成物を調製した。
この組成物100質量部に硬化剤(スミジュールN3300、住化バイエル社製、NCO含有量21.8%)48質量部を配合して、塗料を調製した。
水不透過性シートとして、PETフィルム(東レ(株)製のルミラーS10、厚さ250μm)を使用し、PETフィルムの片面に上記塗料を乾燥膜厚が20μmとなるようにコーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥して2層構造のバックシートを作製した。このバックシートについて、PET密着性およびEVA密着性を測定した。
【0149】
実施例3
表1に示す組成を有する含フッ素共重合体を50.7質量%含む酢酸ブチル溶液259質量部、白色顔料として酸化チタン(堺化学工業(株)製のD918)263質量部、酢酸ブチル115質量部を攪拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを632質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、得られた溶液に上記の含フッ素共重合体を含む酢酸ブチル溶液を更に363質量部加えて、組成物を調製した。
この組成物100質量部に硬化剤(スミジュールN3300、住化バイエル社製、NCO含有量21.8%)57質量部を配合して、塗料を調製した。
水不透過性シートとして、PETフィルム(東レ(株)製のルミラーS10、厚さ250μm)を使用し、PETフィルムの片面に上記塗料を乾燥膜厚が20μmとなるようにコーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥して2層構造のバックシートを作製した。このバックシートについて、PET密着性およびEVA密着性を測定した。
【0150】
実施例4
表1に示す組成を有する含フッ素共重合体を50.7質量%含む酢酸ブチル溶液259質量部、白色顔料として酸化チタン(堺化学工業(株)製のD918)263質量部、酢酸ブチル115質量部を攪拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを632質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、得られた溶液に上記の含フッ素共重合体を含む酢酸ブチル溶液を更に363質量部加えて、組成物を調製した。
この組成物100質量部に硬化剤(スミジュールN3300、住化バイエル社製、NCO含有量21.8%)54質量部を配合して、塗料を調製した。
水不透過性シートとして、PETフィルム(東レ(株)製のルミラーS10、厚さ250μm)を使用し、PETフィルムの片面に上記塗料を乾燥膜厚が20μmとなるようにコーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥して2層構造のバックシートを作製した。このバックシートについて、PET密着性およびEVA密着性を測定した。
【0151】
実施例5
表1に示す組成を有する含フッ素共重合体を50.7質量%含む酢酸ブチル溶液259質量部、白色顔料として酸化チタン(堺化学工業(株)製のD918)263質量部、酢酸ブチル115質量部を攪拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを632質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、得られた溶液に上記の含フッ素共重合体を含む酢酸ブチル溶液を更に363質量部加えて、組成物を調製した。
この組成物100質量部に硬化剤(スミジュールN3300、住化バイエル社製、NCO含有量21.8%)61質量部を配合して、塗料を調製した。
水不透過性シートとして、PETフィルム(東レ(株)製のルミラーS10、厚さ250μm)を使用し、PETフィルムの片面に上記塗料を乾燥膜厚が20μmとなるようにコーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥して2層構造のバックシートを作製した。このバックシートについて、PET密着性およびEVA密着性を測定した。
【0152】
実施例6
表1に示す組成を有する含フッ素共重合体を50.7質量%含む酢酸ブチル溶液259質量部、白色顔料として酸化チタン(堺化学工業(株)製のD918)263質量部、酢酸ブチル115質量部を攪拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを632質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、得られた溶液に上記の含フッ素共重合体を含む酢酸ブチル溶液を更に363質量部加えて、組成物を調製した。
この組成物100質量部に硬化剤(スミジュールN3300、住化バイエル社製、NCO含有量21.8%)61質量部を配合して、塗料を調製した。
水不透過性シートとして、PETフィルム(東レ(株)製のルミラーS10、厚さ250μm)を使用し、PETフィルムの片面に上記塗料を乾燥膜厚が20μmとなるようにコーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥して2層構造のバックシートを作製した。このバックシートについて、PET密着性およびEVA密着性を測定した。
【0153】
実施例7
表1に示す組成を有する含フッ素共重合体を50.7質量%含む酢酸ブチル溶液259質量部、白色顔料として酸化チタン(堺化学工業(株)製のD918)263質量部、酢酸ブチル115質量部を攪拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを632質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、得られた溶液に上記の含フッ素共重合体を含む酢酸ブチル溶液を更に363質量部加えて、組成物を調製した。
この組成物100質量部に硬化剤(スミジュールN3300、住化バイエル社製、NCO含有量21.8%)98質量部を配合して、塗料を調製した。
水不透過性シートとして、PETフィルム(東レ(株)製のルミラーS10、厚さ250μm)を使用し、PETフィルムの片面に上記塗料を乾燥膜厚が20μmとなるようにコーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥して2層構造のバックシートを作製した。このバックシートについて、PET密着性およびEVA密着性を測定した。
【0154】
実施例8
表1に示す組成を有する含フッ素共重合体を50.7質量%含む酢酸ブチル溶液259質量部、白色顔料として酸化チタン(堺化学工業(株)製のD918)263質量部、酢酸ブチル115質量部を攪拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを632質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、得られた溶液に上記の含フッ素共重合体を含む酢酸ブチル溶液を更に363質量部加えて、組成物を調製した。
この組成物100質量部に硬化剤(スミジュールN3300、住化バイエル社製、NCO含有量21.8%)55質量部を配合して、塗料を調製した。
水不透過性シートとして、PETフィルム(東レ(株)製のルミラーS10、厚さ250μm)を使用し、PETフィルムの片面に上記塗料を乾燥膜厚が20μmとなるようにコーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥して2層構造のバックシートを作製した。このバックシートについて、PET密着性およびEVA密着性を測定した。
【0155】
実施例9
表1に示す組成を有する含フッ素共重合体を50.7質量%含む酢酸ブチル溶液259質量部、白色顔料として酸化チタン(堺化学工業(株)製のD918)263質量部、酢酸ブチル115質量部を攪拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを632質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、得られた溶液に上記の含フッ素共重合体を含む酢酸ブチル溶液を更に363質量部加えて、組成物を調製した。
この組成物100質量部に硬化剤(スミジュールN3300、住化バイエル社製、NCO含有量21.8%)58質量部を配合して、塗料を調製した。
水不透過性シートとして、PETフィルム(東レ(株)製のルミラーS10、厚さ250μm)を使用し、PETフィルムの片面に上記塗料を乾燥膜厚が20μmとなるようにコーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥して2層構造のバックシートを作製した。このバックシートについて、PET密着性およびEVA密着性を測定した。
【0156】
比較例1
表1に示す組成を有する含フッ素共重合体を65質量%含む酢酸ブチル溶液202質量部、白色顔料として酸化チタン(堺化学工業(株)製のD918)263質量部、酢酸ブチル167質量部を攪拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを632質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、得られた溶液に上記の含フッ素共重合体を含む酢酸ブチル溶液を更に283質量部、酢酸ブチル85質量部加えて組成物を調製した。
この組成物100質量部に硬化剤(スミジュールN3300、住化バイエル社製、NCO含有量21.8%)69質量部を配合して、塗料を調製した。
水不透過性シートとして、PETフィルム(東レ(株)製のルミラーS10、厚さ250μm)を使用し、PETフィルムの片面に上記塗料を乾燥膜厚が20μmとなるようにコーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥して2層構造のバックシートを作製した。このバックシートについて、PET密着性およびEVA密着性を測定した。
【0157】
比較例2
表1に示す組成を有する含フッ素共重合体を65質量%含む酢酸ブチル溶液202質量部、白色顔料として酸化チタン(堺化学工業(株)製のD918)263質量部、酢酸ブチル167質量部を攪拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを632質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、得られた溶液に上記の含フッ素共重合体を含む酢酸ブチル溶液を更に283質量部、酢酸ブチル85質量部加えて組成物を調製した。
この組成物100質量部に硬化剤(スミジュールN3300、住化バイエル社製、NCO含有量21.8%)77質量部を配合して、塗料を調製した。
水不透過性シートとして、PETフィルム(東レ(株)製のルミラーS10、厚さ250μm)を使用し、PETフィルムの片面に上記塗料を乾燥膜厚が20μmとなるようにコーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥して2層構造のバックシートを作製した。このバックシートについて、PET密着性およびEVA密着性を測定した。
【0158】
比較例3
表1に示す組成を有する含フッ素共重合体を65質量%含む酢酸ブチル溶液202質量部、白色顔料として酸化チタン(堺化学工業(株)製のD918)263質量部、酢酸ブチル167質量部を攪拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを632質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、得られた溶液に上記の含フッ素共重合体を含む酢酸ブチル溶液を更に283質量部、酢酸ブチル85質量部加えて組成物を調製した。
この組成物100質量部に硬化剤(スミジュールN3300、住化バイエル社製、NCO含有量21.8%)63質量部を配合して、塗料を調製した。
水不透過性シートとして、PETフィルム(東レ(株)製のルミラーS10、厚さ250μm)を使用し、PETフィルムの片面に上記塗料を乾燥膜厚が20μmとなるようにコーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥して2層構造のバックシートを作製した。このバックシートについて、PET密着性およびEVA密着性を測定した。
【0159】
比較例4
表1に示す組成を有する含フッ素共重合体を50.7質量%含む酢酸ブチル溶液259質量部、白色顔料として酸化チタン(堺化学工業(株)製のD918)263質量部、酢酸ブチル115質量部を攪拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを632質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、得られた溶液に上記の含フッ素共重合体を含む酢酸ブチル溶液を更に363質量部加えて、組成物を調製した。
この組成物100質量部に硬化剤(スミジュールN3300、住化バイエル社製、NCO含有量21.8%)81質量部を配合して、塗料を調製した。
水不透過性シートとして、PETフィルム(東レ(株)製のルミラーS10、厚さ250μm)を使用し、PETフィルムの片面に上記塗料を乾燥膜厚が20μmとなるようにコーターにて塗装し、130℃で5分間乾燥して2層構造のバックシートを作製した。このバックシートについて、PET密着性およびEVA密着性を測定した。
【0160】
【表1】
【0161】
表中、ベオバ9はバーサチック酸ビニル(シェル化学社製の炭素数9の脂肪族カルボン酸ビニルの商品名)であり、ベオバ10はバーサチック酸ビニル(シェル化学社製の炭素数10の脂肪族カルボン酸ビニルの商品名)である。