特許第6142939号(P6142939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6142939
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20170529BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   B65H37/04 D
   B65H37/04 Z
   G03G15/00 431
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-66604(P2016-66604)
(22)【出願日】2016年3月29日
【審査請求日】2016年7月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】粟野 宏明
(72)【発明者】
【氏名】中野 良則
(72)【発明者】
【氏名】牧田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】原田 勝巳
(72)【発明者】
【氏名】堤 康次郎
(72)【発明者】
【氏名】楠本 保浩
(72)【発明者】
【氏名】萩原 洋
(72)【発明者】
【氏名】白石 恵三子
(72)【発明者】
【氏名】廣田 淳一
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−372817(JP,A)
【文献】 特開2015−030575(JP,A)
【文献】 特開2015−124084(JP,A)
【文献】 特開2007−131444(JP,A)
【文献】 特開2016−026971(JP,A)
【文献】 特開2014−058383(JP,A)
【文献】 特開2012−047940(JP,A)
【文献】 特開2001−019270(JP,A)
【文献】 特開2012−006666(JP,A)
【文献】 特開2011−256009(JP,A)
【文献】 特開2004−262590(JP,A)
【文献】 特開2007−078994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00−31/40
B65H 37/00−37/06
B65H 41/00
B65H 45/00−47/00
G03G 13/00
G03G 15/00
G03G 21/16−21/18
B41J 11/00−13/32
B42B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部を備える装置本体と、
前記装置本体の外部に直接取り付けられ、前記画像形成部によって画像が形成された複数枚の用紙に対して第1の綴じ処理を施す独立した筐体を有する第1用紙処理装置と、
前記第1用紙処理装置とは異なる位置にて前記装置本体の外部に直接取り付けられ、前記画像形成部によって画像が形成された複数枚の用紙に対して前記第1の綴じ処理とは異なる第2の綴じ処理を施す独立した筐体を有する第2用紙処理装置と
を備え、
前記第1用紙処理装置および前記第2用紙処理装置は、前記装置本体に対して個別に着脱可能であり、
前記第1用紙処理装置は、前記第2の綴じ処理と比較して用紙同士の結合力が小さい前記第1の綴じ処理を行い、少なくとも当該第1の綴じ処理が施された後の用紙が積載される積載部が、前記第2用紙処理装置にて当該第2の綴じ処理が施された後の用紙が積載される他の積載部と比較して鉛直上方に位置するように、前記装置本体に取り付けられる画像形成システム。
【請求項2】
前記第1用紙処理装置は、前記画像形成部により形成された画像形成面を上方に向けて積載される複数枚の用紙に対し、当該用紙の重なり方向に跨った凹凸を形成することで前記第1の綴じ処理を行い、
前記第2用紙処理装置は、前記画像形成面を下方に向けて積載される複数枚の用紙に対し、当該画像形成面側からステープル針を貫通させることで前記第2の綴じ処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1用紙処理装置の前記積載部が前記装置本体の設置範囲よりも外側に位置するように、当該装置本体に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第2用紙処理装置は前記画像形成部から前記第2用紙処理装置に至る用紙の搬送路は、当該画像形成部から前記第1用紙処理装置に至る用紙の搬送路と比較して短いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第2用紙処理装置による前記第2の綴じ処理または前記第1用紙処理装置による前記第1の綴じ処理を選定する選定部をさらに備え
前記選定部は、綴じ処理を施す用紙の枚数が予め定めた基準枚数以上の場合に前記第2の綴じ処理を選定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、特許文献1には、画像形成装置と、画像形成装置にて画像が形成された用紙に対して綴じ処理を施す用紙処理装置とを備えた画像形成システムが開示されている。この画像形成システムの用紙処理装置では、用紙に対してステープル針を用いた綴じ処理を施すステープラと、ステープル針を用いない綴じ処理を施す針無綴じ装置とが、共通の筐体に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−190021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第1の綴じ処理と、第1の綴じ処理とは異なる第2の綴じ処理とを共通の用紙処理装置で行う場合、第1の綴じ処理を行う綴じ機構または第2の綴じ処理を行う綴じ機構を個別に取り外すことは難しい。そして、例えば一方の綴じ機構に不具合が生じたりメンテナンスを行ったりする場合には、用紙処理装置全体を画像形成システムから取り外す必要がある。この場合、画像形成システムにおいていずれの綴じ処理も行うことができなくなるおそれがあり、綴じ処理を行うユーザの利便性が低下するおそれがある。
本発明は、画像形成システムにおいて、異なる綴じ処理を共通の用紙処理装置で行う場合と比較して、綴じ処理を行うユーザの利便性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、用紙に画像を形成する画像形成部を備える装置本体と、前記装置本体の外部に直接取り付けられ、前記画像形成部によって画像が形成された複数枚の用紙に対して第1の綴じ処理を施す独立した筐体を有する第1用紙処理装置と、前記第1用紙処理装置とは異なる位置にて前記装置本体の外部に直接取り付けられ、前記画像形成部によって画像が形成された複数枚の用紙に対して前記第1の綴じ処理とは異なる第2の綴じ処理を施す独立した筐体を有する第2用紙処理装置とを備え、前記第1用紙処理装置および前記第2用紙処理装置は、前記装置本体に対して個別に着脱可能であり、前記第1用紙処理装置は、前記第2の綴じ処理と比較して用紙同士の結合力が小さい前記第1の綴じ処理を行い、少なくとも当該第1の綴じ処理が施された後の用紙が積載される積載部が、前記第2用紙処理装置にて当該第2の綴じ処理が施された後の用紙が積載される他の積載部と比較して鉛直上方に位置するように、前記装置本体に取り付けられる画像形成システム。
請求項2に係る発明は、前記第1用紙処理装置は、前記画像形成部により形成された画像形成面を上方に向けて積載される複数枚の用紙に対し、当該用紙の重なり方向に跨った凹凸を形成することで前記第1の綴じ処理を行い、前記第2用紙処理装置は、前記画像形成面を下方に向けて積載される複数枚の用紙に対し、当該画像形成面側からステープル針を貫通させることで前記第2の綴じ処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
請求項3に係る発明は、前記第1用紙処理装置の前記積載部が、前記装置本体の設置範囲よりも外側に位置するように、当該装置本体に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
請求項4に係る発明は、前記第2用紙処理装置は、前記画像形成部から前記第2用紙処理装置に至る用紙の搬送路は、当該画像形成部から前記第1用紙処理装置に至る用紙の搬送路と比較して短いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
請求項5に係る発明は、前記第2用紙処理装置による前記第2の綴じ処理または前記第1用紙処理装置による前記第1の綴じ処理を選定する選定部をさらに備え、前記選定部は、綴じ処理を施す用紙の枚数が予め定めた基準枚数以上の場合に前記第2の綴じ処理を選定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明によれば、第2の綴じ処理と比較して用紙同士の結合力が小さい第1の綴じ処理が施された後の用紙における綴じの解放が抑制される。
請求項2に係る発明によれば、第2の綴じ処理と比較して用紙同士の結合力が小さい第1の綴じ処理が施された後の用紙における綴じの解放が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、第2の綴じ処理と比較して用紙同士の結合力が小さい第1の綴じ処理が施された後の用紙における綴じの解放が抑制される。
請求項4に係る発明によれば、第2用紙処理装置で綴じ処理を行う用紙の枚数が多い場合に第2の綴じ処理に要する時間が長期化することが抑制される。
請求項5に係る発明によれば、第2の綴じ処理と比較して用紙同士の結合力が小さい第1の綴じ処理が施された後の用紙における綴じの解放が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態1が適用される画像形成システムの全体構成を示した図である。
図2】第1用紙処理装置および第2用紙処理装置の構成を示した図であって、図1に示した画像形成システムの上部の拡大図である。
図3】第1用紙処理装置の内部構造を説明するための図である。
図4】第1用紙処理装置を、搬送される用紙の紙面に直交する方向の上側から見た図である。
図5】(a)〜(b)は、本実施の形態が適用される針無し綴じ機構を説明するための図である。
図6】制御装置よる選定の手順の一例を示したフローチャートである。
図7】実施の形態2が適用される画像形成システムの全体構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施の形態1〕
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(画像形成システム1の説明)
図1は、本実施の形態が適用される画像形成システム1の全体構成を示した図である。本実施の形態の画像形成システム1は、例えば用紙に対して画像を形成する画像形成装置2と、原稿に形成された画像を読み取る画像読取装置3と、ユーザからの操作指示を受け付けるとともにユーザに対して各種情報を表示する操作受付装置4を備えている。また、画像形成システム1は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、画像形成システム1の動作を制御する選定部の一例としての制御装置5とを備えている。この例では、画像読取装置3および操作受付装置4は、画像形成装置2の鉛直上方部に設けられている。また、制御装置5は、画像形成装置2の後述する筐体30の内部に設けられている。
【0009】
さらに、画像形成システム1は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙に対して第1の綴じ処理(針無し綴じ処理)を施す第1用紙処理装置6と、画像形成装置2によって画像が形成された用紙に対して第1の綴じ処理とは異なる第2の綴じ処理(針有り綴じ処理)を施す第2用紙処理装置8とを備えている。本実施の形態の画像形成システム1において、第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8は、それぞれ、画像形成装置2の後述する筐体30に対して、着脱可能に設けられている。
【0010】
本実施の形態の画像形成システム1では、図1に示すように、第1用紙処理装置6は、画像形成装置2が設置される設置面の範囲(以下、設置範囲Wと称する)の外側に設けられている。これに対し、第2用紙処理装置8は、画像形成装置2の設置範囲Wの内側に設けられている。ここで、本実施の形態の説明において、画像形成装置2の設置範囲Wとは、画像形成装置2を鉛直上方(図1の上方)から見た場合に画像形成装置2の最も外側に位置する筐体30に囲まれる範囲を意味する。
【0011】
また、画像形成システム1では、図1に示すように、画像形成装置2が設置される設置面から第1用紙処理装置6は、画像形成装置2の設置面から第2用紙処理装置8までの高さと比較して高くなっている。言い換えると、画像形成システム1では、第1用紙処理装置6が、第2用紙処理装置8と比較して鉛直上方に取り付けられている。
なお、第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8の構成や、第1用紙処理装置6にて行う第1の綴じ処理および第2用紙処理装置8にて行う第2の綴じ処理等については、後段にて詳細に説明する。
【0012】
(画像形成装置2の説明)
画像形成装置2は、所謂タンデム方式で構成され各色画像データに基づき画像を形成する画像形成部10と、用紙Sを収容する複数の(この例では2つ)用紙トレイ20aを有し画像形成部10に用紙Sを供給する用紙供給部20とを備えている。また、画像形成装置2は、画像形成部10および用紙供給部20を内部に収容する装置本体の一例としての筐体30を備えている。さらに、画像形成装置2は、用紙供給部20から画像形成部10を介して第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8へ用紙が搬送される用紙搬送路40を備えている。
【0013】
画像形成部10は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色に対応し水平方向に並列配置される4つの感光体ドラム11と、各感光体ドラム11に対応して配設される4つの一次転写ロール12と、各感光体ドラム11上に形成されたトナー像が順次一次転写される中間転写ベルト13と、中間転写ベルト13に一次転写されたトナー像を用紙Sに二次転写する二次転写ロール14と、二次転写後の用紙Sにトナー像を定着させる定着装置15とを備えている。
【0014】
ここで、感光体ドラム11の周囲には、それぞれ、感光体ドラム11の表面を帯電する帯電器(不図示)、この帯電器によって帯電された感光体ドラム11の表面にレーザ照射によって静電潜像を形成するレーザ書込み装置(不図示)、感光体ドラム11に形成された静電潜像を各色トナーで現像し可視化する現像器(不図示)、一次転写後に感光体ドラム11に残存する残留トナーを除去するクリーナ(不図示)等が配置されている。
【0015】
これに対し、各一次転写ロール12は、それぞれに対応する感光体ドラム11に、中間転写ベルト13を介して対向配置されるようになっている。これらの一次転写ロール12は、対応する感光体ドラム11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト13に一次転写するものである。また、中間転写ベルト13は、複数の支持ロール(不図示)によってループ状に張架されている。
【0016】
また、二次転写ロール14は、中間転写ベルト13と対向して設けられている。二次転写ロール14は、中間転写ベルト13上に順次一次転写された各色のトナー像を用紙Sに一括して静電転写(二次転写)する。
定着装置15は、例えば内部に熱源を有する加熱部材と、加熱部材との間に加圧部を形成する加圧部材とを備え、この加圧部に用紙Sを通過させることで、加熱および加圧によって用紙Sにトナー像を定着させる。
【0017】
そして、画像形成部10では、中間転写ベルト13上の各色トナー像が二次転写ロール14の配置位置に搬送されるタイミングに合わせて、用紙供給部20から用紙Sが二次転写ロール14に供給される。これにより、二次転写ロール14により形成された転写電界の作用によって各色トナー像が用紙S上に一括して静電転写される。
その後、各色トナー像が二次転写された用紙Sは、中間転写ベルト13から剥離されて定着装置15に搬送される。定着装置15では、熱および圧力による定着処理により各色トナー像が用紙S上に定着され、用紙Sにカラー画像が形成される。そして、カラー画像が形成された用紙Sは、画像形成装置2から排出され、画像形成装置2に接続された第1用紙処理装置6または第2用紙処理装置8へ搬送される。
【0018】
筐体30は、図1に示すように、全体として略直方体状の形状を有しており、画像形成部10および用紙供給部20の各部品、制御装置5等を収容する。
筐体30は、画像形成部10にて画像が形成された用紙Sを第1用紙処理装置6に向けて排出する第1排出口31、および画像形成部10にて画像が形成された用紙Sを第2用紙処理装置8に向けて排出する第2排出口32を備えている。なお、図1に示すように、この例では、画像形成装置2が設置される設置面から第1排出口31までの高さが、画像形成装置2の設置面から第2排出口32までの高さと比較して高くなっている。また、この例では、第1排出口31から排出される用紙Sの排出方向と、第2排出口32から排出される用紙Sの排出方向とは、反対方向となっている。
【0019】
また、筐体30は、第2用紙処理装置8から排出された用紙Sや用紙束等が積載される他の積載部の一例としての本体側積載部33を備えている。
さらに、筐体30は、第1排出口31に隣接して設けられ、第1用紙処理装置6の後述する第1筐体66が取り付けられる第1取付部(不図示)を備えている。さらにまた、筐体30は、第2排出口32に隣接して設けられ、第2用紙処理装置8の後述する第2筐体86が取り付けられる第2取付部(不図示)を備えている。
【0020】
用紙搬送路40は、図1に示すように、画像形成部10における定着装置15の下流部に、用紙Sの搬送方向が分かれる分岐部40aを有している。そして、用紙搬送路40は、分岐部40aから第1排出口31に向けて用紙Sが搬送される第1搬送路41と、分岐部40aから第2排出口32に向けて用紙Sが搬送される第2搬送路42とを有している。この例では、第2搬送路42の長さ(分岐部40aから第2排出口32までの長さ)が、第1搬送路41の長さ(分岐部40aから第1排出口31までの長さ)と比較して、短くなっている。
【0021】
また、用紙搬送路40の分岐部40aには、画像形成部10から分岐部40aに搬送された用紙Sを第1搬送路41または第2搬送路42に振り分ける振分機構43が設けられている。振分機構43は、制御装置5による制御に基づいて、分岐部40aに搬送された用紙Sを第1搬送路41または第2搬送路42に振り分ける。
さらにまた、用紙搬送路40の第1搬送路41には、第1搬送路41に搬送された用紙Sを第1排出口31から第1用紙処理装置6に向けて排出する第1排出ロール44が設けられている。さらにまた、用紙搬送路40の第2搬送路42には、第2搬送路42に搬送された用紙Sを第2排出口32から第2用紙処理装置8に向けて排出する第2排出ロール45が設けられている。
【0022】
第1搬送路41では、画像形成部10にて画像が形成された用紙Sは、画像が形成された面(画像形成面)を鉛直上方に向けた状態(フェイスアップ)で搬送される。そして、この用紙Sは、画像形成面を鉛直上方に向けた状態で、第1排出ロール44によって第1排出口31から第1用紙処理装置6へ排出される。一方、第2搬送路42では、画像形成部10にて画像が形成された用紙Sは、画像形成面を鉛直下方に向けた状態(フェイスダウン)で搬送される。そして、この用紙Sは、画像形成面を鉛直下方に向けた状態で、第2排出ロール45によって第2排出口32から第2用紙処理装置8へ排出される。
【0023】
続いて、第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8について説明する。
(第1用紙処理装置6の説明)
図2は、第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8の構成を示した図であって、図1に示した画像形成システム1の上部の拡大図である。また、図3は、第1用紙処理装置6の内部構造を説明するための図であり、図4は、第1用紙処理装置6を、搬送される用紙Sの紙面に直交する方向の上側から見た図である。
本実施の形態の第1用紙処理装置6は、画像形成装置2の第1排出口31から排出された用紙Sをさらに下流側に搬送する第1搬送ロール61と、画像形成後の用紙Sを予め定められた枚数だけ集積させる第1コンパイルトレイ62とを備えている。また、第1用紙処理装置6は、用紙Sの後端を第1コンパイルトレイ62の後述するエンドガイド62bに向けて押し込むための回転する第1パドル63と、第1コンパイルトレイ62上に集積される用紙Sの両端(用紙の搬送方向に直交する方向の両端)についての位置合わせを行う第1ダンパ64とを備えている。
【0024】
さらに、第1用紙処理装置6は、第1コンパイルトレイ62に集積された用紙Sに対して、第1の綴じ処理としてステープル針を用いない綴じ処理(針無し綴じ処理)を施す針無し綴じ機構70を備えている。さらにまた、第1用紙処理装置6は、第1コンパイルトレイ62上に集積され、針無し綴じ機構70により針無し綴じ処理が施された用紙束を第1用紙処理装置6の外部へ排出する第1イジェクトロール65を備えている。
【0025】
また、第1用紙処理装置6は、上述した第1搬送ロール61、第1コンパイルトレイ62、第1パドル63、第1ダンパ64、第1イジェクトロール65および針無し綴じ機構70を収容する第1筐体66を備えている。本実施の形態の第1用紙処理装置6では、第1筐体66は、画像形成装置2の筐体30に設けられた第1取付部に対して、取り外し可能に取り付けられている。
さらに、第1用紙処理装置6は、第1イジェクトロール65による排出された用紙Sが積載される積載部の一例としての処理装置側積載部67を備えている。本実施の形態の画像形成システム1において、画像形成装置2の設置面から第1用紙処理装置6の処理装置側積載部67までの高さは、設置面から本体側積載部33までの高さと比較して高くなっている。
【0026】
第1コンパイルトレイ62は、図3に示すように、用紙Sを積載する上面を有する底部62aと、底部62aに交差する面にて形成され用紙束を生成する際に用紙Sの搬送方向(図3のS2方向)の端部を揃えるエンドガイド62bとを備えている。
第1パドル63は、第1コンパイルトレイ62の底部62aに対向する位置にて、回転可能に設けられる。そして、第1パドル63は、用紙Sに接触した状態で図3のR方向に回転することにより、第1搬送ロール61によって図3のS1方向に向かって搬送された用紙Sを、第1コンパイルトレイ62上にてS2方向に押し込む。
【0027】
第1ダンパ64は、第1コンパイルトレイ62の底部62aに対向する位置にて、図3における紙面に垂直な方向に移動可能に設けられる。そして、第1ダンパ64は、第1コンパイルトレイ62に集積される用紙Sを、S2方向に直交する方向(用紙Sの幅方向)に揃える。図4に示すように、第1ダンパ64は、S2方向に直交する方向に並ぶダンパ64aとダンパ64bとからなる。ダンパ64aおよびダンパ64bは、不図示の駆動モータからの駆動力を受けて、それぞれ独立に、図4のY1およびY2方向(S3方向に交差する方向)に移動可能に構成されている。
【0028】
第1イジェクトロール65は、図3に示すように、第1コンパイルトレイ62に搬送された用紙Sを介して対向するイジェクトロール65aとイジェクトロール65bとからなる。第1コンパイルトレイ62にて用紙束を生成(コンパイル)する際には、イジェクトロール65aは上昇(Q2方向へ移動)しており、イジェクトロール65aとイジェクトロール65bとは離間している。また、用紙束を装置筐体の外部に向けて(図4のS3方向に)搬送する際には、イジェクトロール65aが下降(Q1方向へ移動)して用紙束に接触するように構成されている。そして、第1イジェクトロール65は、用紙束に接触した状態で図3のT1方向に回転することで用紙束を下流側のS3方向に搬送する。
【0029】
針無し綴じ機構70は、ステープル針を用いずに用紙束を加圧し、用紙Sの繊維を破断して圧着することで、第1コンパイルトレイ62にて揃えられた用紙束のS3方向における上流側の端部を綴じる処理を行う。なお、針無し綴じ機構70の構成、および針無し綴じ処理の詳細については後述する。
針無し綴じ機構70は、不図示の駆動モータからの駆動力を受けて、不図示のレール上を移動可能に構成されている。このレールは、第1コンパイルトレイ62の周囲に、エンドガイド62bの長手方向(図4における上下方向)に沿うように形成されている(図4の矢印Aを参照)。
【0030】
続いて、本実施の形態の第1用紙処理装置6にて行われる針無し綴じ処理の手順について説明する。
画像形成装置2から第1用紙処理装置6に搬入された用紙Sは、第1搬送ロール61によって、画像形成面を上方に向けた状態でS1方向に搬送される。S1方向に搬送された用紙Sは、第1イジェクトロール65と第1パドル63との間から、第1コンパイルトレイ62に向けて搬送される。第1コンパイルトレイ62に到達した用紙Sは、第1パドル63の図3に示すR方向の回転により、S2方向に押し込まれ、その用紙Sの後端がエンドガイド62bに突き当たって揃えられる。そして、このようにして用紙Sが第1コンパイルトレイ62に受け入れられ、エンドガイド62bに到達するタイミングに合わせて、第1ダンパ64(ダンパ64a、64b)が図4のY1、Y2方向に移動し、1枚ごとに用紙Sの両端の位置合わせを行う。
【0031】
次いで、予め定められた枚数だけ第1コンパイルトレイ62にて用紙Sを集積し、揃えて用紙束を生成する。ここでは、上述したように、それぞれの用紙Sは、画像形成面を鉛直上方に向けた状態で、積載される。そして、予め定められた綴じ位置に針無し綴じ機構70が移動し、綴じ処理が施される。
【0032】
なお、第1コンパイルトレイ62上の用紙束に対して1箇所綴じを行う場合には、針無し綴じ機構70は、予め定められたホームポジションに留まって、必要なタイミングにて、順次針無し綴じ処理を行う。一方、用紙束に対して2箇所綴じを行う場合には、針無し綴じ機構70は、駆動モータの駆動力により予め定められた綴じ位置までレール上を移動して、用紙束の2箇所に針無し綴じ処理を行う。
【0033】
その後、第1イジェクトロール65がT1方向に回転することで、綴じ処理が施された用紙束が、画像形成面を鉛直上方に向けた状態で処理装置側積載部67に排出される。
【0034】
続いて、針無し綴じ機構70の構成および針無し綴じ処理について説明する。図5(a)〜(b)は、本実施の形態が適用される針無し綴じ機構70を説明するための図である。図5(a)は、針無し綴じ機構70の概略を斜視図として示した図であり、図5(b)は、針無し綴じ機構70によって綴じ処理が施された用紙束の端部を示した図である。
【0035】
本実施の形態の針無し綴じ機構70は、互いに接近することによって用紙Sの端部を加工するために圧力を供給する押圧部71と、押圧部71からの圧力を受けて用紙束を綴じるよう用紙Sを加工するエンボス痕形成部72とを有する。
【0036】
押圧部71は、第1コンパイルトレイ62(図3参照)にて生成された用紙束の画像形成面側に対向するように配置される上側押圧部71aと、用紙束の画像形成面とは反対側の面に対向するように配置される下側押圧部71bとからなる。上側押圧部71aは、不図示の上側押圧部モータによって下側押圧部71bに対して進退可能に設けられている(図5(a)の矢印D1およびD2を参照)。そして、上側押圧部71aと下側押圧部71bは、第1コンパイルトレイ62にて生成された用紙束に対して圧力を加えるように構成されている。
【0037】
エンボス痕形成部72は、上側押圧部71aに設けられ下側押圧部71bに向けて突出する凸部72aと、下側押圧部71bに設けられ凸部72aの形状に対応する凹凸を有する受け部72bとからなる。凸部72aと受け部72bとは、その間に挿入される用紙束を加工するように構成されている。
具体的には、凸部72aは、受け部72bと対向する面に凹凸を備えており、受け部72bは、凸部72aと対向する面に凹凸を備えている。さらに、凸部72aの凹凸が形成された面と受け部72bの凹凸が形成された面とは略平行であり、凸部72aの凸となっている箇所と、受け部72bの凹となっている箇所とが噛み合うように配置されている。そして、押圧部71によって圧力を受ける際に凸部72aと受け部72bとが噛み合うことで、用紙束を加工するように構成されている。
【0038】
図5(b)に示すように、加工された用紙S(用紙束)の部分には、凸部72aと受け部72bとの形状に対応し用紙Sの重なり方向に跨った凹凸が形成される。これにより、加工された用紙Sの部分では、用紙Sを構成する繊維が破断され、用紙S同士が圧着される。この結果、ステープル針を用いずに用紙束を綴じるエンボス痕Eが形成される。
【0039】
(第2用紙処理装置8の説明)
図2に戻り、本実施の形態の第2用紙処理装置8は、画像形成装置2の第2排出口32から排出された用紙をさらに下流側に搬送する第2搬送ロール81と、画像形成後の用紙を予め定められた枚数だけ集積させる第2コンパイルトレイ82とを備えている。また、第2用紙処理装置8は、用紙の後端を第2コンパイルトレイ82のエンドガイド82aに向けて押し込むための回転する第2パドル83と、第2コンパイルトレイ82上に集積される用紙の両端(用紙の搬送方向に直交する方向の両端)についての位置合わせを行う第2ダンパ84とを備えている。
【0040】
さらに、第2用紙処理装置8は、第2コンパイルトレイ82に集積された用紙に対して、第2の綴じ処理としてステープル針を用いた綴じ処理(針有り綴じ処理)を施す針有り綴じ機構90を備えている。さらにまた、第2用紙処理装置8は、第2コンパイルトレイ82上に集積され、針有り綴じ機構90により針有り綴じ処理が施された用紙束を本体側積載部33へ排出する第2イジェクトロール85を備えている。
【0041】
また、第2用紙処理装置8は、上述した第2搬送ロール81、第2コンパイルトレイ82、第2パドル83、第2ダンパ84、第2イジェクトロール85および針有り綴じ機構90を収容する第2筐体86を備えている。
【0042】
なお、第2用紙処理装置8の第2搬送ロール81、第2コンパイルトレイ82、第2パドル83、第2ダンパ84および第2イジェクトロール85は、それぞれ、上述した第1用紙処理装置6の第1搬送ロール61、第1コンパイルトレイ62、第1パドル63、第1ダンパ64および第1イジェクトロール65と同様の構成を有している。したがって、ここではその構造および動作についての詳細な説明は省略する。
【0043】
続いて、本実施の形態の第2用紙処理装置8にて行われる針有り綴じ処理について説明する。
画像形成装置2から第2用紙処理装置8に搬入された用紙は、第2搬送ロール81によって、画像形成面を鉛直下方に向けた状態で搬送される。搬送された用紙は、第2イジェクトロール85と第2パドル83との間から、第2コンパイルトレイ82に向けて搬送される。第2コンパイルトレイ82に到達した用紙は、第2パドル83の回転により、押し込まれ、その用紙の後端がエンドガイド82bに突き当たって揃えられる。そして、このようにして用紙が第2コンパイルトレイ82に受け入れられ、エンドガイド82bに到達するタイミングに合わせて、第2ダンパ84が移動し、1枚ごとに用紙の両端の位置合わせを行う。
【0044】
次いで、予め定められた枚数だけ第2コンパイルトレイ82にて用紙を集積し、揃えて用紙束を生成する。ここでは、上述したように、それぞれの用紙は、画像形成面を鉛直下方に向けた状態で積載される。そして、予め定められた綴じ位置に針有り綴じ機構90が移動し、ステープル針を用いた綴じ処理が施される。具体的には、針有り綴じ機構90により、第2コンパイルトレイ82に生成された用紙束に対して、画像形成面側からステープル針が押し込まれることで、綴じ処理が施される。
その後、第2イジェクトロール85が回転することで、綴じ処理が施された用紙束が、画像形成面を鉛直下方に向けた状態で、画像形成装置2の本体側積載部33に排出される。
【0045】
(制御装置5による制御の説明)
本実施の形態の画像形成システム1では、用紙束に対して綴じ処理を行う場合に、第1用紙処理装置6による針無し綴じ処理および第2用紙処理装置8による針有り綴じ処理のいずれかを選定する。画像形成システム1では、この針無し綴じ処理および針有り綴じ処理を選定するモードとして、操作受付装置4等を介してユーザにより選定するユーザ選定モードと、制御装置5により自動で選定する自動選定モードとが設定される。
【0046】
ところで、第1用紙処理装置6の針無し綴じ機構70にてステープル針を用いずに用紙束を綴じる針無し綴じ処理では、第2用紙処理装置8の針有り綴じ機構90にてステープル針を用いて用紙束を綴じる針有り綴じ処理と比較して、用紙束の綴じが解放されやすい傾向がある。言い換えると、針無し綴じ処理では、針有り綴じ処理と比較して、用紙束を構成する用紙同士の結合力が小さい傾向がある。特に、第1用紙処理装置6の針無し綴じ処理では、用紙束として綴じる用紙の枚数が多いと、用紙束の綴じが解放されやすい。
これに対し、本実施の形態の画像形成システム1では、自動選定モードにおいて、用紙束として綴じる用紙の枚数が多い場合には、制御装置5による制御に基づいて、第2用紙処理装置8による針有り綴じ処理を選定する。
【0047】
以下、制御装置5による第1用紙処理装置6による針無し綴じ処理または第2用紙処理装置8による針有り綴じ処理の選定の手順について説明する。図6は、制御装置5による選定の手順の一例を示したフローチャートである。
ユーザが操作受付装置4等を用いて複数枚の用紙を集積して用紙束に綴じ処理を施す旨の指示がなされた場合、制御装置5は、自動選定モードが設定されているか否かの判定を行う(ステップ101)。
【0048】
自動選定モードが設定されていない場合(ステップ101にてNO)、すなわち、ユーザ選定モードが設定されている場合には、ユーザによる選定に基づいて、第1用紙処理装置6による針無し綴じ処理または第2用紙処理装置8による針有り綴じ処理を選定し、一連の処理を終了する。
【0049】
一方、自動選定モードが設定されている場合(ステップ101にてYES)、制御装置5は、綴じ処理を行う用紙の枚数を取得し(ステップ102)、取得した用紙の枚数が、予め定められた基準枚数(例えば10枚)以上であるか否かの判定を行う(ステップ103)。
用紙の枚数が基準枚数以上である場合(ステップ103にてYES)、制御装置5は、第2用紙処理装置8による針有り綴じ処理を選定し(ステップ104)、一連の処理を終了する。
一方、用紙の枚数が基準枚数未満である場合(ステップ103にてNO)、制御装置5は、第1用紙処理装置6による針無し綴じ処理を選定し(ステップ105)、一連の処理を終了する。
【0050】
なお、制御装置5は、それぞれの選定モードによる選定結果に基づいて、振分機構43を制御することで、画像形成部10にて画像が形成された用紙を、第1用紙処理装置6または第2用紙処理装置8に振り分ける。具体的には、制御装置5は、針無し綴じ処理を選定した場合には、振分機構43により、用紙を第1搬送路41へ搬送し第1用紙処理装置6に振り分ける。また、制御装置5は、針有り綴じ処理を選定した場合には、振分機構43により、用紙を第2搬送路42へ搬送し第2用紙処理装置8に振り分ける。
【0051】
このように、本実施の形態の画像形成システム1では、自動選定モードにおいて、用紙束を構成する用紙の枚数が基準枚数より多い場合には、第2用紙処理装置8による針有り綴じ処理を選定している。これにより、例えば用紙束を構成する用紙の枚数が基準枚数より多い場合に第1用紙処理装置6による針無し綴じ処理を選定する場合と比較して、用紙束の綴じが解放されることが抑制される。
また、本実施の形態の画像形成システム1では、自動選定モードにおいて、用紙束を構成する用紙の枚数が基準枚数未満の場合には、第1用紙処理装置6による針無し綴じ処理を選定している。これにより、例えば用紙束を構成する用紙の枚数が基準枚数未満の場合に第2用紙処理装置8による針有り綴じ処理を選定する場合と比較して、ステープル針の消費量が低減される。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成システム1は、用紙に対してステープル針を用いない針無し綴じ処理を施す針無し綴じ機構70を有する第1用紙処理装置6と、用紙に対してステープル針を用いた針有り綴じ処理を施す針有り綴じ機構90を有する第2用紙処理装置8とを、別個に有している。より具体的には、本実施の形態の画像形成システム1では、第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8が、画像形成装置2の筐体30の異なる位置に対して、それぞれ個別に着脱可能に構成されている。
【0053】
このような構成を採用することで、本実施の形態の画像形成システム1では、用紙に対する綴じ処理として、針有り綴じ処理および針無し綴じ処理の双方を要求するユーザと、針有り綴じ処理および針無し綴じ処理のいずれか一方を要求するユーザとに対応することができる。すなわち、針有り綴じ処理および針無し綴じ処理の双方を要求するユーザに対しては、画像形成システム1において、画像形成装置2に第1用紙処理装置6と第2用紙処理装置8との双方を取り付ければよい。
【0054】
これに対し、例えば針無し綴じ処理のみを要求するユーザに対しては、画像形成システム1において、第2用紙処理装置8を取り外し第1用紙処理装置6のみを取り付ければよい。同様に、針有り綴じ処理のみを要求するユーザに対しては、画像形成システム1において、第1用紙処理装置6を取り外し第2用紙処理装置8のみを取り付ければよい。この場合、例えば画像形成システム1において、第1用紙処理装置6と第2用紙処理装置8との双方を取り付ける場合と比較して、画像形成システム1の構成が簡易になる。
【0055】
このように、本実施の形態では、画像形成装置2に対して第1用紙処理装置6または第2用紙処理装置8を着脱するという簡易な操作により、ユーザの要望に応じた画像形成システム1が実現される。
【0056】
さらに、本実施の形態の画像形成システム1は、例えば第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8の一方に不具合が生じた場合やメンテナンスを行う場合には、その一方のみを画像形成装置2から取り外すことで、他方については綴じ処理を継続して行うことができる。例えば、メンテナンス等の目的で第1用紙処理装置6を画像形成装置2から取り外した場合であっても、第2用紙処理装置8では、継続して針有り綴じ機構90による針有り綴じ処理を行うことができる。
このため、本実施の形態では、針無し綴じ機構70および針有り綴じ機構90が同一の装置に設けられている場合と比較して、画像形成システム1において綴じ処理が行えなくなるという事態の発生が抑制される。
【0057】
また、本実施の形態の画像形成システム1では、針無し綴じ機構70を有する第1用紙処理装置6が、画像形成装置2の設置範囲Wの外側に取り付けられている。これにより、画像形成システム1では、第1用紙処理装置6が設置範囲Wの内側に取り付けられている場合と比較して、針無し綴じ処理が施され処理装置側積載部67に排出された用紙束をユーザが回収しやすくなっている。言い換えると、第1用紙処理装置6が設置範囲Wの内側に取り付けられている場合と比較して、処理装置側積載部67に排出された用紙束にユーザの手が届きやすくなっている。
【0058】
ここで、上述したように、針無し綴じ処理は、針有り綴じ処理と比較して、用紙束の綴じが解放されやすい傾向がある。これに対し、本実施の形態では、第1用紙処理装置6を画像形成装置2の設置範囲Wの外側に取り付け用紙束を回収しやすくすることで、用紙束の回収の際に綴じが解放されることが抑制される。
なお、この例では、第1用紙処理装置6の全体が画像形成装置2の設置範囲Wの外側に位置する構成としたが、針無し綴じ処理後の用紙束の回収を容易にする観点からは、少なくとも第1用紙処理装置6の処理装置側積載部67が設置範囲Wの外側に位置していればよい。
【0059】
さらに、本実施の形態の画像形成システム1では、画像形成装置2が設置される設置面から第1用紙処理装置6までの高さが、設置面から第2用紙処理装置8までの高さと比較して高くなっている。これにより、画像形成システム1では、設置面から第1用紙処理装置6までの高さが第2用紙処理装置8よりも低い場合と比較して、針無し綴じ処理が施され処理装置側積載部67に排出された用紙束をユーザが回収しやすくなっている。より具体的には、例えば屈んだりしないでも、処理装置側積載部67に排出された用紙束にユーザの手が届きやすくなっている。この結果、本実施の形態では、用紙束の回収の際に綴じが解放されることが抑制される。
【0060】
なお、上記と同様に、針無し綴じ処理後の用紙束の回収を容易にする観点からは、少なくとも第1用紙処理装置6にて針無し綴じ処理が施された用紙束が排出される処理装置側積載部67が、第2用紙処理装置8にて針有り綴じ処理が施された用紙束が排出される本体側積載部33と比較して鉛直上方に位置していればよい。
【0061】
さらにまた、本実施の形態の画像形成システム1では、画像形成部10から第2用紙処理装置8に向けて用紙が搬送される第2搬送路42の長さが、画像形成部10から第1用紙処理装置6に向けて用紙が搬送される第1搬送路41の長さと比較して短くなっている。これにより、第1搬送路41と第2搬送路42とで用紙の搬送速度が同じ場合、画像形成部10にて画像が形成された用紙が第2用紙処理装置8に到達するまでの時間が、第1用紙処理装置6に到達するまでの時間と比較して短くなっている。
【0062】
ここで、上述したように、第2用紙処理装置8にて施す針有り綴じ処理は、第1用紙処理装置6にて施す針無し綴じ処理と比較して、用紙束の綴じが解放されにくい。このため、例えば綴じ処理を施す用紙の枚数が多い場合には、第2用紙処理装置8による針有り綴じ処理を選定する場合が多い。第2用紙処理装置8にて針有り綴じ処理を行う場合、用紙を第2用紙処理装置8に搬送し第2コンパイルトレイ82に集積するという操作を繰り返し行うため、用紙の枚数が多い場合と、針有り綴じ処理に要する時間が長くなりやすい。
これに対し、本実施の形態では、第2搬送路42を第1搬送路41と比較して短くし用紙が第2用紙処理装置8に到達するまでの時間を短くすることで、用紙の枚数が多い場合であっても、第2用紙処理装置8において針有り綴じ処理に要する時間が過度に長くなることが抑制される。
【0063】
また、本実施の形態の画像形成システム1では、第2用紙処理装置8において、画像形成面を鉛直下方に向けた状態(フェイスダウン)で用紙が搬送される。そして、用紙に対して画像形成面側からステープル針を押し込むことで針有り綴じ処理が行われる。
一般に、針有り綴じ処理を行う用紙処理装置では、綴じ処理後の用紙束の外観を良くするために、画像形成面側からステープル針を押し込むことが多い。したがって、本実施の形態の画像形成システム1では、第2用紙処理装置8において、用紙に対する綴じ位置やステープル針の向き等を、他の用紙処理装置と互換性を有するソフトウェアにより制御することができる。
【0064】
これに対し、第1用紙処理装置6は、画像形成面を鉛直上方に向けた状態(フェイスアップ)で用紙が搬送されて、針無し綴じ処理が行われる。したがって、第1用紙処理装置6では、用紙に対する綴じ位置や綴じの向き等の制御を、第2用紙処理装置8とは異ならせる必要がある。
ここで、第1用紙処理装置6による針無し綴じ処理により形成される綴じ痕(エンボス痕E)は、第2用紙処理装置8による針有り綴じ処理により形成される綴じ痕(ステープル針)と比較して面積が大きい。さらに、第1用紙処理装置6では、針無し綴じ処理を施した用紙束が、画像形成面を鉛直上方に向けた状態、言い換えると画像形成面が露出した状態で、処理装置側積載部67に排出される。このため、第1用紙処理装置6にて針無し綴じ処理が施された用紙束は、例えば用紙に形成された画像とエンボス痕Eとの位置関係を目視で確認し易くなっている。これにより、第1用紙処理装置6において綴じ位置等の制御を第2用紙処理装置8とは異ならせた場合であっても、例えば画像とエンボス痕Eとが重なった状態で綴じ処理を繰り返す等の問題の発生が抑制される。
【0065】
〔実施の形態2〕
続いて、本発明の実施の形態2について説明する。図7は、実施の形態2が適用される画像形成システム1の全体構成を示した図である。なお、実施の形態2の画像形成システム1において、実施の形態1と同様の構成については同様の符号を用い、ここではその詳細な説明は省略する。
【0066】
実施の形態2の画像形成システム1は、実施の形態1と同様に、画像形成装置2、画像読取装置3、操作受付装置4および制御装置5を備えている。また、実施の形態2の画像形成システム1は、用紙に対して針無し綴じ処理を施す第1用紙処理装置6、および用紙Sに対して針有り綴じ処理を施す第2用紙処理装置8を備えている。なお、第2用紙処理装置8は、針有り綴じ機構90にて針有り綴じ処理が施された用紙束が排出される処理装置側積載部87を有している点を除いて、実施の形態1と同様の構成を有している。また、第1用紙処理装置6は、搬送される用紙Sの方向および画像形成面の向きを除いて、実施の形態1と同様の構成を有している。
【0067】
実施の形態2の画像形成システム1では、第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8は、画像形成装置2の筐体30に対してそれぞれ個別に着脱可能に設けられている。
また、図7に示すように、第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8は、画像形成装置2が設置される設置範囲Wの外側に設けられている。これにより、第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8が設置範囲Wの内側に設けられている場合と比較して、処理装置側積載部67または処理装置側積載部87に排出された用紙束をユーザが回収しやすくなっている。
【0068】
さらに、図7に示すように、第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8は、画像形成装置2の筐体30に対して、鉛直方向に並ぶように設けられている。具体的には、第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8は、画像形成装置2の筐体30に対して、第1用紙処理装置6が鉛直上方に位置するように、並んで設けられている。そして、画像形成装置2が設置される設置面から第1用紙処理装置6までの高さが、設置面から第2用紙処理装置8までの高さと比較して高くなっている。第1用紙処理装置6にて針無し綴じ処理が施され処理装置側積載部67に排出された用紙束をユーザが回収しやすくなっている。
【0069】
また、実施の形態2の画像形成システム1では、画像形成装置2における用紙搬送路40の形状が、実施の形態1と異なっている。
具体的には、図7に示すように、用紙搬送路40のうち画像形成部10における用紙Sの搬送方向と、第1搬送路41を介して第1排出口31から第1用紙処理装置6に排出される用紙Sの排出方向と、第2搬送路42を介して第2排出口32から第2用紙処理装置8に排出される用紙Sの排出方向とが、等しくなっている。
【0070】
また、実施の形態2の画像形成装置2では、画像形成部10にて画像が形成された用紙Sは、用紙搬送路40の第1搬送路41および第2搬送路42において、画像形成面を鉛直上方に向けた状態(フェイスアップ)で搬送される。
これにより、実施の形態2の画像形成システム1では、第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8に対して、用紙Sが、画像形成面を鉛直上方に向けた状態で搬送される。このため、実施の形態2では、第1用紙処理装置6および第2用紙処理装置8において、用紙Sに対する綴じ位置や綴じの向き等を、同じソフトウェアにより制御することができる。
【0071】
なお、実施の形態1および実施の形態2の説明では、第1用紙処理装置6の針無し綴じ機構70が行うステープル針を用いない針無し綴じ処理として、用紙束に対して凹凸を形成することで用紙同士を圧着する場合について説明したが、針無し綴じ処理はこれに限定されない。
例えば、第1用紙処理装置6では、例えば、用紙(用紙束)に対して、スリットと、一端部を残して打ち抜かれた舌状片とを形成し、この舌状片を折り曲げてスリットに挿入することにより、用紙束を綴じてもよい。さらにまた、第1用紙処理装置6にて行う針無し綴じ処理は、例えば接着剤等を用いた綴じ処理であってもよい。
【0072】
また、上記説明では、第1の綴じ処理の一例として針無し綴じ機構70によるステープル針を用いない針無し綴じ処理を、第2の綴じ処理の一例として針有り綴じ機構90によるステープル針を用いた針有り綴じ処理を用いて説明したが、第1の綴じ処理および第2の綴じ処理はこれに限定されない。第1の綴じ処理による用紙同士の結合力が、第2の綴じ処理による用紙同士の結合力と比較して小さければ、第1の綴じ処理と第2の綴じ処理とが同種の綴じ処理であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…画像形成システム、2…画像形成装置、5…制御装置、6…第1用紙処理装置、8…第2用紙処理装置、10…画像形成部、30…筐体、33…本体側積載部、40…用紙搬送路、41…第1搬送路、42…第2搬送路、67…処理装置側積載部、70…針無し綴じ機構、90…針有り綴じ機構
【要約】
【課題】画像形成システムにおいて、異なる綴じ処理を共通の用紙処理装置で行う場合と比較して、綴じ処理を行うユーザの利便性の低下を抑制する。
【解決手段】画像形成システム1は、用紙に画像を形成する画像形成部10を備える筐体30と、筐体30に取り付けられ、画像形成部10によって画像が形成された複数枚の用紙に対して第1の綴じ処理を施す第1用紙処理装置6と、第1用紙処理装置6とは異なる位置にて筐体30に取り付けられ、画像形成部10によって画像が形成された複数枚の用紙に対して第1の綴じ処理とは異なる第2の綴じ処理を施す第2用紙処理装置8とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7