(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る災害ネットワークシステムの概要機能について説明する図である。
【0024】
はじめに、
図1を参照して災害ネットワークシステムの概要機能について説明する。
【0025】
図1に示すように、災害ネットワークシステム1は、サーバー10と、一般端末30と、権限者端末40とを含む。一般端末30及び権限者端末40は、ネットワーク20によってサーバー10に接続され、通信プロトコル(たとえば、TCP/IP)を介してデータを送受信可能になっている。なお、ネットワーク20は、たとえば、インターネット、専用通信回線(たとえばCATV(Community Antenna Television)回線)、移動体通信網(基地局等を含む)、ゲートウェイ等によって構築されている。
【0026】
一般端末30は、特段の権限を持たない一般使用者(被災者)が操作する機器である。一般端末30としては、たとえば、スマートフォン・タブレット端末・コンベンショナルな携帯電話などを含む携帯通信端末を例示することができる。一般使用者(被災者)は、一般端末30を操作して、種々の情報を入力したり取得する。
【0027】
権限者端末40は、避難所・物資集積所の担当者(行政職員)や消防署員・自衛隊員・医師・看護師等の特別権限を有する者が操作する機器である。権限者端末40としては、たとえば、スマートフォン・タブレット端末・コンベンショナルな携帯電話などを含む携帯通信端末などを例示することができるが、パーソナルコンピューターなどであってもよい。
【0028】
続いて、ネットワークシステム1の具体的なロジックについて、フローチャートを参照して説明する。
【0029】
図2は、所有者情報の登録処理(初期登録)を示すフローチャートである。この処理は、一般使用者がスマートフォン(一般端末30)にインストールされているアプリケーションプログラム(以下適宜「アプリ」と称す)を起動することで表示された所有者情報登録ボタンを押すことで開始される。基本的には災害が発生する前に一般使用者が自分の情報を登録するためにこの処理を実行しておくことが望ましいが、災害発生後に、たとえば避難所に到着してから自分の情報を登録してもよい。
【0030】
ステップS3011において、端末30は、所有者情報登録画面を表示する。端末30の使用者が、携帯電話番号(端末番号)・氏名・生年月日・性別・住所・職業・持病・かかりつけ医・常用薬などを入力する。なお入力項目としては、これらに限られず、マイナンバー(個人番号)や現在受けている治療などを加えてもよい。各項目の入力後に使用者が、画面に表示されている登録ボタンを押したら、端末30は、その情報をサーバー10に送信する。
【0031】
この情報を受けて、ステップS1011において、サーバー10は、入力された携帯電話番号宛てに認証コードをSMS(Short Message Service)で送信する。
【0032】
この情報を受けて、ステップS3012において、端末30は、受信した認証コードを表示する。
【0033】
表示された認証コードを見た端末30の使用者によって、その認証コードが入力されて登録ボタンが押されたら、端末30は、その認証コード情報をサーバー10に送信する(ステップS3013)。
【0034】
この認証コード情報を受けて、ステップS1012において、サーバー10は、認証コード情報が正しいか否かを判定し、判定結果が肯であればステップS1013に処理を移行し、否であればステップS1013をスキップする。
【0035】
ステップS1013において、サーバー10は、ステップS1011において受信した所有者情報を登録保存するとともに、登録したことを端末30に送信する。
【0036】
この情報を受けて、ステップS3014において、端末30は、所有者情報が登録されたことを表示する。
【0037】
図3は、家族登録の処理を示すフローチャートである。この処理は、一般使用者がスマートフォン(端末30)にインストールされているアプリを起動することで表示された家族登録ボタンを押すことで開始される。基本的には災害が発生する前に一般使用者が家族登録を行うためにこの処理を実行しておくことが望ましいが、災害発生後に、たとえば避難所に到着してから家族登録を行ってもよい。
【0038】
ステップS30211において、端末30−1は、「家族登録したい携帯電話番号を入力してください」というコメントを表示する。端末30−1の使用者が、家族登録したい携帯電話番号を入力し、登録ボタンを押したら、端末30−1は、その情報をサーバー10に送信する。
【0039】
この情報を受けて、ステップS1021において、サーバー10は、入力された携帯電話番号宛てに認証コードをSMS送信する。
【0040】
この情報を受けて、ステップS30221において、端末30−2は、受信した認証コードを表示する。
【0041】
表示された認証コードを見た端末30−1の使用者によって、その認証コードが入力されて登録ボタンが押されたら、端末30−1は、その認証コード情報をサーバー10に送信する(ステップS30212)。
【0042】
この認証コード情報を受けて、ステップS1022において、サーバー10は、認証コード情報が正しいか否かを判定し、判定結果が肯であればステップS1023に処理を移行し、否であればステップS1023をスキップする。
【0043】
ステップS1023において、サーバー10は、ステップS1021において受信した携帯電話番号を、端末30−1の家族として登録保存するとともに、登録したことを端末30−1及び端末30−2に送信する。
【0044】
この情報を受けて、ステップS30213において、端末30−1は、家族登録が完了したことを表示するとともに、ステップS30222において、端末30−2も、家族登録が完了したことを表示する。
【0045】
図4は、子供登録の処理を示すフローチャートである。この処理は、一般使用者がスマートフォン(端末30)にインストールされているアプリを起動することで表示された子供登録ボタンを押すことで開始される。
【0046】
ステップS3031において、端末30は、子供登録画面を表示して、粉ミルクが必要か否かを尋ねるコメントを表示する。端末30への入力情報が肯であればステップS3033に処理を移行し、否であればステップS3032に処理を移行する。
【0047】
ステップS3032において、端末30は、画面に、紙オムツが必要か否かを尋ねるコメントを表示する。端末30への入力情報が肯であればステップS3034に処理を移行し、否であればステップS3035に処理を移行する。
【0048】
ステップS3033〜ステップS3035において、端末30は、子供の名前及び生年月日の入力画面を表示する。端末30の使用者が、子供の名前及び生年月日を入力し、画面に表示されている登録ボタンを押したら、端末30は、ステップS3036において、その情報(子供の名前及び生年月日並びに粉ミルク及び紙オムツの必要性)をサーバー10に送信する。なお粉ミルクが必要な年齢であれば、紙オムツも必要であるので、ステップS3031において粉ミルクが必要とされた場合は、紙オムツも必要とされている。
【0049】
この情報を受けて、ステップS1031において、サーバー10は、子供情報を登録保存するとともに、登録したことを端末30に送信する。
【0050】
この情報を受けて、ステップS3037において、端末30は、子供登録が完了したことを表示する。
【0051】
図5は、ペット登録の処理を示すフローチャートである。この処理は、一般使用者がスマートフォン(端末30)にインストールされているアプリを起動することで表示されたペット登録ボタンを押すことで開始される。
【0052】
ステップS3041において、端末30は、ペット登録画面を表示して、ドッグフードが必要か否かを尋ねるコメントを表示する。端末30への入力情報が肯であればステップS3043に処理を移行し、否であればステップS3042に処理を移行する。
【0053】
ステップS3042において、端末30は、画面に、キャットフードが必要か否かを尋ねるコメントを表示する。端末30への入力情報が肯であればステップS3044に処理を移行し、否であればステップS3045に処理を移行する。
【0054】
ステップS3043〜ステップS3045において、端末30は、ペットの名前の入力画面を表示する。端末30の使用者が、ペットの名前を入力し、画面に表示されている登録ボタンを押したら、端末30は、ステップS3046において、その情報をサーバー10に送信する。
【0055】
この情報を受けて、ステップS1041において、サーバー10は、ペット情報を登録保存するとともに、登録したことを端末30に送信する。
【0056】
この情報を受けて、ステップS3047において、端末30は、ペット登録が完了したことを表示する。
【0057】
図6は、家族登録抹消の処理を示すフローチャートである。この処理は、一般使用者がスマートフォン(端末30)にインストールされているアプリを起動することで表示された家族登録抹消ボタンを押すことで開始される。ここでは、
図3において家族登録した端末30−2の使用者が、端末30−1との家族登録を抹消したい場合を例示して説明する。
【0058】
ステップS3051において、端末30−2は、「家族登録を抹消したい携帯電話番号を入力してください」というコメントを表示する。端末30−2の使用者が、家族登録を抹消したい携帯電話番号(端末30−1の携帯電話番号)を入力し、抹消ボタンを押したら、端末30−2は、その情報をサーバー10に送信する。
【0059】
この情報を受けて、ステップS1051において、サーバー10は、入力された携帯電話番号の家族登録を抹消して保存するとともに、抹消したことを端末30−2に送信する。
【0060】
この情報を受けて、ステップS3052において、端末30−2は、端末30−1との家族登録が抹消されたことを表示する。なお家族登録が抹消されると、その家族に属するすべての端末に関連づけられている子供登録・ペット登録も抹消する。必要であれば、再度、子供登録・ペット登録を行う。
【0061】
図7は、救援場所選定処理を示すフローチャートである。この処理は、災害が発生した場合に、その災害エリア内にある端末30のアプリが起動する。たとえば緊急速報メール(エリアメール)のような災害エリアメールを送信するようにして、そのメールを受信したらアプリが起動するようにすればよい。
【0062】
ステップS1061において、サーバー10は、災害発生エリアの端末30に対して災害エリアメールを送信する。
【0063】
この情報を受けて、ステップS3061において、端末30は、災害時起動を行う。具体的には、アラームを起動するとともに、画面に、「救援必要」及び「救援不要」のボタンを表示する。
【0064】
ステップS3062において、端末30は、救援不要ボタンが押されたか否かを判定し、判定結果が肯であればステップS3066に処理を移行し、否であればステップS3063に処理を移行する。
【0065】
ステップS3063において、端末30は、救援必要ボタンが押されたか否かを判定し、判定結果が肯であればステップS3064に処理を移行し、否であればステップS3061に処理を移行する。
【0066】
ステップS3064において、端末30は、「下敷きになっています」「出血しています」等のボタンを表示する。ボタンが押されたら、端末30は、その情報(救援必要ボタンが押されたという情報や「下敷きになっています」等のボタンが押されたという情報)及びGPS(Global Positioning System)等に基づく位置情報をサーバー10に送信する。
【0067】
ステップS3065において、端末30は、所定時間(たとえば1時間)が経過したか否かを判定し、判定結果が否の間は待機し、肯になったらステップS3061に処理を移行する。
【0068】
ステップS3066において、端末30は、救援不要ボタンが押されたという情報をサーバー10に送信する。
【0069】
ステップS3064・ステップS3066から送信された情報を受けて、ステップS1062において、サーバー10は、受信した情報を累積的に保存するとともに、その情報を、救助者等の権限者が有する端末40に送信する。
【0070】
この情報を受けて、ステップS4061において、権限者端末40は、その情報をマップ上に表示する。この場合、たとえば、救援必要ボタンが所定時間ごと(たとえば1時間ごと)に押されている場合はマップ上に緑丸を表示し、救援必要ボタンが押されていたのに押されなくなった場合はマップ上に赤丸を表示し、救援必要ボタンが押されていたのに押されなくなって長時間(たとえば12時間以上)経過した場合はマップ上に黒丸を表示する。
【0071】
以上の処理が実行されれば、災害が発生すると、端末30のアラームが起動するとともに、端末30の画面に「救援必要」及び「救援不要」のボタンが表示される(ステップS3061)。「救援必要」のボタンが押されたら、さらに「下敷きになっています」「出血しています」等のボタンが表示されて押されたボタンの情報及び位置情報がサーバー10に送信され(ステップS3064)、サーバー10に集積保存される(ステップS1062)。この情報が、権限者端末40のマップ上に表示される。所定時間ごとに、「救援必要」「救援不要」等のボタンが端末30の画面に表示されて、ボタンが押されているか否かが随時サーバー10に送信されて(ステップS3064)、サーバー10に集積保存される(ステップS1062)。そして、この情報が、権限者端末40のマップ上に随時表示されるので、これを見た救助者は、たとえば赤丸が集中しているエリアを優先的に捜索するといったトリアージに役立てることができる。
【0072】
図8は、アプリ起動処理を示すフローチャートである。この処理は、
図7の救援場所選定処理において救援不要ボタンが押された場合に、開始される。
【0073】
ステップS1071において、サーバー10は、救援不要ボタンが押された端末30−1に関して登録保存してある情報を、端末30−1及び端末30−1と家族登録されている端末30−2に送信する。
【0074】
この情報を受けて、ステップS30711において、端末30−1は、受信した登録情報を表示する。
【0075】
ステップS30712において、端末30−1は、「登録情報の修正がありますか?」というコメントを表示する。端末30−1の使用者が修正ありを入力したら、端末30−1はステップS30713に処理を移行し、修正なしを入力したら、端末30−1はステップS30713をスキップする。
【0076】
ステップS30713において、端末30−1は、修正された情報をサーバー10に送信する。
【0077】
一方、ステップS1071においてサーバー10から送信された情報を受けた端末30−2は、ステップS30721において、受信した登録情報を表示する。
【0078】
ステップS30722において、端末30−2は、「登録情報の修正がありますか?」というコメントを表示する。端末30−2の使用者が修正ありを入力したら、端末30−2はステップS30723に処理を移行し、修正なしを入力したら、端末30−2はステップS30723をスキップする。
【0079】
ステップS30723において、端末30−2は、修正された情報をサーバー10に送信する。なお端末30−2の使用者が、端末30−1の使用者との家族登録の抹消を希望する場合は、
図6に示された家族登録抹消の処理を実行する。
【0080】
ステップS30713において送信された情報又はステップS30723において送信された情報を受けて、ステップS1072において、サーバー10は、登録情報を更新して保存する。
【0081】
災害が発生する前に一般使用者が自分の情報を登録しておけば、災害が発生していろいろと混乱している状況での登録作業を回避できるので便利である。しかしながら、情報を登録してから災害が発生するまでに長期間が経過していることも考えられる。この間に情報が変わっていることも十分想定されるので、避難所で被災者登録するに先立って、このアプリ起動処理で登録情報の確認修正を行うのである。
【0082】
なお予め情報登録されていない場合は、被災者が避難所に到着して初めて情報を登録する。この場合は、ステップS30711,ステップS30721で表示される情報がない。この場合、被災者が、ステップS30713,ステップS30723で最初から情報を入力する。
【0083】
図9は、避難所情報処理を示すフローチャートである。この処理は、
図8のアプリ起動処理が完了した後、実行される。
【0084】
ステップS30811において、端末30−1は、避難所情報が必要か否かを尋ねるコメントを表示する。端末30−1への入力情報が肯であれば、端末30−1は、ステップS30812に処理を移行してその情報をサーバー10に送信する。一方、端末30−1への入力情報が否であれば、端末30−1は、ステップS30812以下をスキップする。
【0085】
ステップS30812において送信された情報を受けて、ステップS1081において、サーバー10は、避難所に関する情報を端末30−1に送信する。
【0086】
この情報を受けて、ステップS30813において、端末30−1は、避難所に関する情報を表示する。避難所に関する情報としては、たとえば現在地からの距離,収容規模,現在の収容人数(男女別/大人小人別),今後の避難予測人数,ペット受入の可不可などである。
【0087】
端末30−1の使用者がこれらの情報を確認して希望する避難所を選択すると、ステップS30814において、端末30−1は、画面に避難所までの経路を表示するとともに、端末30−1の使用者が選択した避難所の情報をサーバー10に送信する。
【0088】
ステップS30814において送信された情報を受けて、ステップS1082において、サーバー10は、上述の「今後の避難予測人数」を算出するとともに、端末30−1の使用者が選択した避難所の情報を、端末30−1と家族登録されている端末30−2に送信する。
【0089】
ステップS1082において送信された情報を受けて、ステップS30821において、端末30−2は、家族がどこの避難所を選択したのかを表示する。
【0090】
図10は、被災者登録処理を示すフローチャートである。この処理は、端末30の画面に表示される被災者登録ボタンが押されることで開始される。
【0091】
ステップS3091において、端末30は、情報コード(バーコード・二次元バーコード等)を表示する。
【0092】
そして、ステップS4091において、避難所の担当者が権限者端末40を使用して、この情報コードを読み取る。権限者端末40は、読み取った情報をサーバー10に送信する。
【0093】
この情報を受けて、ステップS1091において、サーバー10は、登録保存してある端末所有者情報情報に被災者番号を割り当てる。ここで被災者番号としては、たとえば、最初の桁が避難所の番号、続く桁が登録日、続く桁が家族番号、続く桁が家族内の識別番号である。家族登録されている家族には共通の避難所の番号・登録日・家族番号が付与されるとともに、家族内で識別するために、たとえば、4人家族の1人目であれば41、2人目であれば42といった枝番が付される。これらの被災者番号を割り当てて、サーバー10は、被災者情報を登録保存する。
【0094】
図11は、健康度本人入力処理を示すフローチャートである。この処理は、被災者本人が、スマートフォン(端末30)にインストールされているアプリを起動することで表示された健康度入力ボタンを押すことで開始される。被災者は、避難所にいるあいだ毎日健康度を入力することが望ましい。
【0095】
ステップS3101において、健康度入力ボタンが押された端末30は、健康度入力画面を表示する。被災者本人が、画面の指示にしたがって健康度を入力したら、端末30は、その情報をサーバー10に送信する。なお、健康度の入力に限らず、幼児用の紙オムツが欲しいといった物資リクエスト情報もあわせて 入力できるようにしてもよい。
【0096】
この情報を受けて、ステップS1101において、サーバー10は、本人入力健康度を累積的に保存、すなわち過去の健康度情報を消去することなく新たな健康度情報を追記保存する。
【0097】
図12は、健康度権限者入力処理を示すフローチャートである。この処理は、被災者本人が、スマートフォン(端末30)にインストールされているアプリを起動することで表示された権限者入力ボタンを押すことで開始される。または医師・看護師等の特別権限を有する者が、権限者端末40にインストールされているアプリを起動することで表示された健康度入力ボタンを押すことで開始されるようにしてもよい。
【0098】
ステップS3111において、権限者入力ボタンが押された端末30は、端末を特定するための情報コード(バーコード・二次元バーコード等)を表示する。
【0099】
そして、ステップS4111において、医師・看護師等の特別権限者が所持する権限者端末40が、この情報コードを読み取り、読み取った情報をサーバー10に送信する。
【0100】
この情報を受けて、ステップS1111において、サーバー10は、情報コードに対応する所有者の情報(過去に本人や権限者が入力した健康度情報)を権限者端末40に送信する。
【0101】
この情報を受けて、ステップS4112において、権限者端末40は、情報コードに対応する所有者の情報(過去に本人及び権限者が入力した健康度情報)を表示する。特別権限者は、この情報(持病・常用薬・かかりつけ医・過去の権限者入力健康度や本人入力健康度などの情報)を参照しつつ、被災者を診断して、ステップS4112において健康度を入力する。入力が完了したら、権限者端末40は、その情報をサーバー10に送信する。なお健康度を入力した特別権限者を特定する情報も、一緒に送信される。
【0102】
この情報を受けて、ステップS1112において、サーバー10は、権限者入力健康度を累積的に保存する。
【0103】
図13は、集積所物資管理処理を示すフローチャートである。この処理は、物資集積所の担当者等の特別権限を有する者が、権限者端末40にインストールされているアプリを起動することで表示された集積所物資管理ボタンを押すことで開始される。なお物資集積所は、被災地の市区町村役場等の集積所であっても、被災地に物資を送る被災地外の市区町村役場等の集積所であってもよい。しかしながら、被災地とすると、集積所の担当者自身も被災していることが多い。そこで、被災地外とすることが望ましい。また、集積所は、市区町村役場には限られない。近時は、巨大倉庫を有する、いわゆるインターネット通信販売業者やネットスーパーなどが展開されている。本システムが稼働するのは非常時であるので、非常時にこれらの巨大倉庫を一時的に公に開放して活用することも好ましい。
【0104】
ステップS4121において、集積所物資管理ボタンが押された権限者端末40に物資情報が入力されたら、権限者端末40は、その情報をサーバー10に送信する。なお物資情報とは、インスタントラーメン・飲料水・生理用品・粉ミルク・紙オムツ・ドッグフード・キャットフード等の物資の種別や数量である。入力にあたっては、入力画面に表示された種別ボタンを押すとともに数量を入力する。また物資にバーコード等が付されていれば、それを読み取って入力してもよい。
【0105】
権限者端末40から送信された情報を受けて、ステップS1121において、サーバー10は、集積所物資管理情報を更新して保存する。
【0106】
図14は、物資分配処理を示すフローチャートである。この処理は、物資を配送する所定時間前のタイミングで処理される。
【0107】
ステップS41311において、各物資配送先(たとえば避難所)の担当者等の特別権限を有する者が、それぞれパーソナルコンピューター等の権限者端末40を操作することで、物資の充足度を入力する。この入力画面は、たとえば
図15に示されるものであり、
図15では、避難所名(A避難所)、物資名(カップラーメン)が表示されており、特別権限者が、インジケーターを調整することで充足度を入力する。初期は物資が不足しているので、インジケーターを「不足」にあわせる。物資が予想以上に多く送られた場合は、
図16に示すように、インジケーターを「余剰」にあわせる。権限者端末40は、入力された情報をサーバー10に送信する。
【0108】
各物資配送先(たとえば避難所)から送信された情報を受けて、ステップS1131において、サーバー10は、各物資配送先に配送する物資及びその分配量を決定する。具体的には、サーバー10には、各避難所の避難人数(男女別・大人小人別人数)が登録保存されているので、現在ある物資を、各避難所の避難人数に按分することで分配量を決定する。なお、物資の充足度が入力されているので、充足度が不足であれば人数に対して、1よりも大きい増減調整係数(たとえば1.2など)を乗算することで、分配量が多くなるようにする。充足度が余剰であれば人数に対して、1よりも小さい増減調整係数(たとえば0.8など)を乗算することで、分配量が少なくなるようにする。
【0109】
ステップS1132において、サーバー10は、配送先の遠近に基づいて配送ルート(配送順序)を決定し、その配送情報を物資配送元(たとえば物資集積所)のパーソナルコンピューター等の権限者端末40に送信する。なお被災地では、通行不能となった道路もある。各自動車会社のナビ情報等に基づいて各自動車会社から通行可不可情報が呈示されることがあるが、従来はそれらの情報が一元管理されておらず、利用しにくかった。そこで、通行可不可情報は、グーグルマップ(「グーグル」は登録商標)等に一元管理しておく。この情報を利用することで、サーバー10は、配送ルート(配送順序)を容易に決定できるようになる。
【0110】
サーバー10から送信された配送情報を受けて、ステップS41321において、物資配送元(たとえば物資集積所)のパーソナルコンピューター等の権限者端末40は、配送順序番号/配送先名(避難所名)/物資名等を文字及び情報コードで、配送量に合わせて、シール等にプリントする。配送元の作業者は、このシールを物資に貼付し、発送する。なお、
図11の健康度本人入力処理のステップS3101において、幼児用の紙オムツが欲しいといった物資リクエスト情報が入力されていた場合は、リクエスト者の氏名もプリントするとよい。
【0111】
図17は、相談処理を示すフローチャートである。避難所で過ごしていると、相談事が発生することもある。そのような場合に、被災者が端末30にインストールされているアプリを起動することで表示された相談ボタンを押すことで、この処理が開始される。
【0112】
ステップS3141において、相談内容が入力されて送信ボタンが押されたら、端末30は、その情報をサーバー10に送信する。
【0113】
この情報を受けて、サーバー10は、ステップS1141において、相談内容を蓄積保存し、ステップS1142において、回答担当者(あるいは回答管理者)を決定して、その担当者(管理者)の端末40に情報を送信する。
【0114】
この情報を受けて、ステップS4141において、端末40は、相談受付を行う。相談を受けて回答するまでには、ある程度の時間を要することが多い。回答を送信できるタイミングになったら、ステップS4142において、端末40は、回答情報をサーバー10に送信する。
【0115】
この情報を受けて、ステップS1143において、サーバー10は、回答を蓄積保存するとともに、その情報を端末30に送信する。
【0116】
この情報を受けて、ステップS3142において、端末30は、画面に回答を表示する。
【0117】
なおステップS1141において蓄積保存された相談内容及びステップS1143において蓄積保存された回答は、サーバー10にアクセスすれば、誰でも閲覧自由になっている。そのため、相談者は、まず過去になされた質問・回答を確認することで、問題を早期に解決できる。
【0118】
図18は、支援リクエスト処理を示すフローチャートである。避難所で過ごしていると、他人に支援をお願いしたい事由が発生することもある。たとえば、少し落ち着いてきたので仕事に行きたいが保育園が再開していないような場合に、子供を預かって欲しい、といった支援のリクエストである。このような場合に、被災者(支援リクエスト者)が自らの端末30−1にインストールされているアプリを起動することで表示された支援リクエストボタンを押すことで、この処理が開始される。
【0119】
ステップS31511において、支援リクエスト内容が入力されて送信ボタンが押されたら、端末30−1は、その情報をサーバー10に送信する。なお支援リクエストの内容には、具体的な支援内容及び報酬額(無料でもよい)などが含まれている。
【0120】
この情報を受けて、サーバー10は、ステップS1151において、リクエスト内容を保存するとともに、その情報を表示する。あるいは、予め登録されている支援員の端末30−2にリクエスト内容を送信するようにしてもよい。
【0121】
サーバー10にアクセスしてリクエスト内容を確認した支援申出者(あるいはリクエスト内容の通知を受けた支援員)がステップS31521において、自らの端末30−2を操作して支援を申し出たら、端末30−2は、その情報をサーバー10に送信する。
【0122】
この情報を受けて、ステップS1152において、サーバー10は、申出情報を保存するとともに、その情報を、支援リクエスト者の端末30−1に送信する。
【0123】
この情報を受けて、ステップS31512において、支援リクエスト者の端末30−1は、申出内容を表示する。この内容を確認した支援リクエスト者は、その後、支援申出者とやりとりして、支援を依頼する。なお、このやりとりも、本システム上で行うことが好ましい。履歴を記録できるからである。
【0124】
図19は、支援オファー処理を示すフローチャートである。避難所で過ごしている人に対して、何らかの支援をしたいという場合もある。たとえば、男子大学生が、力仕事を請け負いたい、といった支援のオファーである。このような場合に、支援のオファーを考えている人が自らの端末30−2にインストールされているアプリを起動することで表示された支援オファーボタンを押すことで、この処理が開始される。
【0125】
ステップS31621において、支援オファー内容が入力されて送信ボタンが押されたら、端末30−2は、その情報をサーバー10に送信する。なお支援オファーの内容には、具体的な支援内容及び報酬額(無料でもよい)などが含まれている。
【0126】
この情報を受けて、サーバー10は、ステップS1161において、オファー内容を保存するとともに、その情報を表示する。あるいは、予め登録されている支援希望者の端末30−1にオファー内容を送信するようにしてもよい。
【0127】
サーバー10にアクセスしてオファー内容を確認した支援希望者(あるいはオファー内容の通知を受けた支援希望者)がステップS31611において、自らの端末30−1を操作して支援を申し込んだら、端末30−1は、その情報をサーバー10に送信する。
【0128】
この情報を受けて、ステップS1162において、サーバー10は、申込情報を保存するとともに、その情報を、支援オファー者の端末30−2に送信する。
【0129】
この情報を受けて、ステップS31622において、支援オファー者の端末30−2は、申込内容を表示する。この内容を確認した支援オファー者は、その後、支援希望者とやりとりして、支援を受諾する。なお、このやりとりも、本システム上で行うことが好ましい。履歴を記録できるからである。
【0130】
図20は、罹災証明処理を示すフローチャートである。この処理は、被災者が端末30にインストールされているアプリを起動することで表示された罹災証明請求ボタンを押すことで開始される。
【0131】
ステップS3171において、罹災証明請求ボタンが押されたら、端末30は、その情報をサーバー10に送信する。
【0132】
この情報を受けて、ステップS1171において、サーバー10は、罹災届出証明書の情報を、端末30に送信する。
【0133】
この情報を受けて、ステップS3172において、端末30は、罹災届出証明書を表示する。この罹災届出証明書は端末30に保存される。
【0134】
またサーバー10は、ステップS1172において、罹災証明書を発行する担当自治体を決定して、その自治体の端末40に情報を送信する。
【0135】
この情報を受けて、ステップS4171において、端末40は、罹災証明書の請求受付を行う。罹災証明書の発行には、請求から1週間から1月程度(あるいはそれ以上)の期間を要する。罹災証明書を発行できるタイミングになったら、ステップS4172において、端末40は、罹災証明書の情報を、端末30に送信する。
【0136】
この情報を受けて、ステップS3173において、端末30は、罹災証明書を表示する。この罹災証明書は端末30に保存される。
【0137】
なおステップS4172において、端末40は、罹災証明書の情報を、端末30に直接送信してもよいし、一旦サーバー10に送信し、サーバー10で送信事実を記録した後、サーバー10から端末30に送信するようにしてもよい。
【0138】
本実施形態によれば、災害が発生した場合に、避難所に到着した端末所有者の端末の画面に表示された情報コードを避難所端末で読み取って、到着した避難所及び避難所に到着した端末所有者を特定するようにした。そして、その端末所有者及びその所有者に対して家族登録されている家族に被災者番号を割り当てるようにした。このようにしたので、避難者を容易に把握することができる。
【0139】
また家族登録を要望する端末所有者の端末に入力された、家族登録したい端末番号の情報を受信した場合に、その端末番号に対して認証コードを送信する。そして、その認証コードが、家族登録を要望する端末所有者の端末に入力された場合に、家族登録が要望された端末を、家族登録を要望する端末所有者の端末に家族登録するようにした。このようにしたので、誤登録を防止することができる。
【0140】
さらに、子供の情報の登録を要望する端末所有者からの情報を受信した場合に、その子供情報を、要望する端末所有者の所有者情報に追加して保存するようにした。このようにしたので、携帯通信端末を所有していない子供の情報であっても、登録することができる。
【0141】
なお、家族登録が抹消された場合には、所有者情報から子供情報も抹消する。このようにしたので、家族関係に変動があった場合のトラブルを防止することができる。
【0142】
またペットの情報の登録を要望する端末所有者からの情報を受信した場合に、そのペット情報を、要望する端末所有者の所有者情報に追加して保存するようにした。このようにしたので、ペット情報であっても、登録することができ、避難所でのドッグフード・キャットフード等の物資管理が容易になる。
【0143】
なお、家族登録が抹消された場合には、所有者情報からペット情報も抹消する。このようにしたので、家族関係に変動があった場合のトラブルを防止することができる。
【0144】
さらに、災害が発生した場合に、災害エリア内にある端末を災害時起動させ、その端末から所定時間ごとに状況を受信して保存し、その状況経過を、権限者端末に表示させるようにした。このようにしたので、権限者端末の使用者が救援場所を決定する際の指標にすることができる。
【0145】
また、携帯通信端末の所有者が自分自身の携帯通信端末を操作して健康度情報を入力した場合に、その健康度情報を所有者情報の一部として累積保存するようにした。このようにしたので、医師等による健康診断を行いやすい。また累積保存されているので、この情報を解析することで、たとえば発熱や下痢が増加具合を見ることで、感染症が流行りつつあるといったことを早期に把握でき、避難所における健康管理が容易になる。
【0146】
さらに医師等が入力した健康度情報を累積保存することができるので、これによっても健康管理が容易になる。
【0147】
また物資配送先の担当者が入力した物資の充足度を勘案して物資の配送先及び分配量を決定するようにしたので、物資の不足/余剰を防止することができる。また物資配送先の遠近に基づいて配送順序を決定し、その情報を物資配送元の端末に送信して、物資配送元の端末に、配送順序・配送先名・物資名を文字及び情報コードで印刷させるようにした。これをシールに印刷することで、物資の配送が容易になる。
【0148】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0149】
たとえば、所有者情報として登録する内容は、上記に限られない。
【0150】
さらなるアイデアとして、被災地域に立ち入ることができるのは、原則的に被災者自身及び特別権限者のみとして、いわゆる関所を設けて、その他の一般人は端末(スマートフォン)による本人認証をして、その所持している端末の位置情報取得システム(たとえばGPS)を常に作動させておくことを条件に被災地域に立ち入るようにするとよい。被災地域への侵入者がいわゆる火事場泥棒を働く被害が先の阪神・淡路大震災や東日本大震災・熊本地震などでも報告されている。そこで、被災地域内に居る人の位置情報を常に把握するようにすることが望ましい。
【0151】
また被災地域内に緊急的に一次避難所を設けるが、被災地域外に二次避難所も設けておき、適宜、一次避難所から二次避難所に被災者を移送することが望ましい。被災地域内の一次避難所では、インフラが復旧するまでに時間を要することが多いからである。この際も本システムによれば、移送先の二次避難所における被災者の把握が容易になる。
【0152】
また支援物資を、いわゆるインターネット通信販売業者やネットスーパーなどの巨大倉庫に集積し、インターネット通信販売業者やネットスーパーなどのショッピングサイトに、被災者専用コーナーを設けて、被災者が支援物資をリクエスト(注文)できるようにしてもよい。この場合、物資の配送先は、避難所にのみ限定しておく。また特定の被災者が物資を独占してしまうおそれもあるので、一日又は一週間あたりの注文可能数量に上限を設けるなどしておくことが望ましい。
【0153】
上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。
【0154】
なお一般使用者が操作する端末(たとえばスマホ)に、本システム用のアプリをデフォルトでインストールしておけば、端末使用者が情報を入力しやすいので好ましい。
【解決手段】端末30の所有者が入力した情報を登録保存しておく登録保存部S1013と、災害が発生した場合に、避難所に到着した端末所有者の端末30に対してその所有者本人の情報を送信するとともに、家族の端末30に対して家族本人の情報を送信する送信部S1071と、送信された情報を確認した人自身の所有者情報を修正した場合に、情報を更新して保存する更新保存部S1072と、避難所に到着した端末所有者及び家族の端末30に対して情報を送信した後、避難所に到着した端末所有者の端末30に表示された情報コードを読み取った避難所端末40から送信された情報に基づいて、避難所及び端末所有者を特定し、その端末所有者及びその所有者に対して家族登録されている家族に被災者番号を割り当てる被災者番号追加部S1091とを有する。