(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
橋梁構造物の上部工の点検・保守作業や補修工事等においては、立地条件等の点から、仮設足場を地上から組み上げることが困難なことが多い。このため、橋梁構造物の上部工の点検・保守作業や補修工事等の際には、橋梁構造物の上部工に取り付けた足場を用いて作業を行うことが多い。
【0003】
橋梁構造物の上部工に取り付け可能な足場に関する技術としては、例えば、特許文献1〜3に記載の技術がある。
【0004】
一方、足場を用いた作業において、作業者の高い作業効率と安全性を確保するためには、足場上の作業空間において通気性及び採光性が高いことが求められ、外気採り及び明かり採りが可能であることが重要である。
【0005】
しかし、橋梁構造物の上部工の下方に作業空間を有する足場構造においては、その作業空間の上方は橋梁構造物の上部工に覆われ、下方には足場が配置されているため、高い通気性及び採光性を確保することが難しい。
【0006】
ここで、通気性及び採光性に優れた床パネルに関する技術としては、特許文献4に記載の開孔床材(透かしパネル)がある。
【0007】
特許文献4に記載の開孔床材(透かしパネル)110は、
図21および
図22に示されるように、水平方向に所定の間隔おきに並列に配置される複数の桟部材120と、各桟部材120の両側端部に沿って水平方向に延びるように配置される一対の側枠130と、複数の桟部材120の各間に配置されるジョイントピース140とを基本的な構成として備えている。
【0008】
図21〜
図24に示されるように、桟部材120は、アルミニウム又はその合金からなる押出成形品をもって構成されており、上下両端部に桟部材長さ方向に連続して延びる角チューブ形状の上側片121及び下側片121と、上下両側片121、121間に架け渡されるように一体形成され、かつ桟部材長さ方向に連続して延びる断面山型形状の突出部125と、上下両側片121、121間に架け渡されるように一体形成され、かつ上記突出部125に対し平行して桟部材長さ方向に連続して延びる断面円弧状の補強片124とを有している。
【0009】
また、山型形状の突出部125は、末広がり状に形成され、両側斜面125aが、内側に凹むよう湾曲する断面円弧形状に形成されている。更に桟部材120の補強片124側には、その補強片124を溝内周壁し、かつ桟部材長さ方向に連続して延びるピース挿着溝124aが形成されている。このピース挿着溝124aの開口両側縁部、換言すれば上下両側片121、121の一コーナー部には、桟部材長さ方向に長さ方向に連続する係合片121aが、ピース挿着溝124aの開口部両側部を閉塞する態様に形成されている。
【0010】
また、突出部125における先端部内側には、桟部材長さ方向に連続して延びる略円形の孔が形成されており、この略円形孔における両側端部の開口周縁部がねじ止め部126として構成されている。
【0011】
更に桟部材120のチューブ状上下両側片121、121における両側端部の開口部が、係合孔122、122として構成されている。
【0012】
側枠130は、所定の長さを有する略帯板状のアルミニウム成形品をもって構成されており、上下両側縁部が内側に折曲されて、折曲補強片131、131が形成されている。更に側枠130には、長さ方向に所定の間隔おきに、換言すれば上記桟部材120の配列ピッチに対応して、上下両側の所要領域が開孔床材(透かしパネル)110に対し内側に切り起こされて係合突起132が形成されている。
【0013】
また側枠130における係合突起132の各間のうち、一つおきの間には、その高さ方向中間位置に、上記桟部材120における両側端部のねじ止め部126にそれぞれ対応して、ねじ挿通孔136がそれぞれ形成されている。
【0014】
一方、
図21〜
図23、
図25に示されるように、ジョイントピース140は、アルミニウム又はその合金からなるもので、一面側が上記桟部材120のピース挿着溝124aに適合状態に挿入し得る挿着部141として構成されるとともに、その円弧状挿着部141の上下両端部に、上記桟部材120の係合片121aに係合し得る係合凹部141aが形成されている。
【0015】
更にジョイントピース140の他面側は、上記桟部材120の突出部125を適合状態に接合し得るV溝形状の接合部145として構成されている。
【0016】
特許文献4に記載の開孔床材110は、上記構成の桟部材120、側枠130及びジョイントピース140が、以下のように組み付けられて形成される。
【0017】
すなわち、桟部材120のピース挿着溝124aに、その端部開口部から、ジョイントピース140の挿着部141を挿入するとともに、桟部材120の係合片121aを、ジョイントピース140の係合凹部141aに係合して溝開口方向(桟部材配列方向)に抜止めした状態で、ジョイントピース140をピース挿着溝124aに沿ってスライドさせて、桟部材120の所定位置、例えば開孔床材110の中心線上まで移動させる。
【0018】
こうして全ての桟部材120にジョイントピース140を挿着した後、各桟部材120の両側端部における上下の係合孔122、122内に、桟部材120の両側から、一対の側枠130の係合突起132をそれぞれ挿入して係合し、桟部材120を側枠130に仮固定し、複数の桟部材120を一対の側枠130間に所定のピッチ配列で精度良く位置決めした状態に保持する。このとき、各桟部材120に挿着されたジョイントピース140におけるV溝形状の接合部145の内周面に、隣り合う桟部材120の山型突出部125が適合されて係合した状態で、複数の桟部材120の各間にジョイントピース140が配置される。
【0019】
なお、この仮組状態においては、並列に配置された複数の桟部材120のうち、一つおきの桟部材120における両側端部のねじ止め部126が、両側枠130のねじ挿通孔136に位置的に対応して配置される。
【0020】
続いて、タッピングビス等のねじ150を一対の側枠130の各ねじ挿通孔136に両側から挿入して、各桟部材120のねじ止め部126に締結固定する。こうして、所要の桟部材120が一対の側枠130に連結固定されることにより、ねじ止めされない桟部材120も含め全ての桟部材120が、一対の側枠130に挟持されて固定され、開孔床材110が組み付けられる。
【0021】
この組付状態においては、
図23に示されるように、各桟部材120における突出部125の先端が、隣り合う桟部材120のピース挿着溝124aの内部に配置されて、換言すれば隣り合う桟部材120の上下両側片121、121に水平方向に交わる態様に配置されて、開孔床材110の表裏間における視線の透過が防止されて、優れた遮蔽性を得ることができる。同時に、隣り合う桟部材120、120間には、床材表裏間を貫通する隙間が設けられて、良好な通気性及び採光性を得ることができる。
【0022】
また、桟部材120の各間にジョイントピース140を介在させているため、桟部材120の中間部に多大な局部荷重が加わって、桟部材120が弾性変形しようとした際に、その変形応力がジョイントピース140を介して隣り合う桟部材120に順次伝わることにより、上記局部荷重が全ての桟部材120に分散されて、桟部材120全体、ひいては開孔床材(透かしパネル)110全体で局部荷重を受け止めることができる。このように局部的に応力が集中することを回避できるので、桟部材120の変形を最小限に抑制することができ、良好な耐荷重性を得ることができ、耐久性の向上等を図ることができる。
【0023】
しかしながら、特許文献4に記載の床パネルは、特許文献4の段落0001にも記載されているように、例えば積層式書架や積層式倉庫等における階上フロア用の開孔床材等として好適に用いられる透かしパネルであり、建築物の内部での使用を目的としたものであって、橋梁構造物の上部工等の屋外構造物の下方に作業空間を有する足場構造における床パネルとして適用可能かどうかは全くの未知数である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、屋外構造物の下方に位置する作業空間であっても、通気性及び採光性が高い作業空間を実現することができる足場構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、以下の足場構造により、前記課題を解決したものである。
【0027】
即ち、本発明に係る足場構造の第1の態様は、屋外構造物に取り付けられていて、かつ、該屋外構造物の下方に作業空間を有する足場構造であって、作業員を下方から支持して足場となる床パネルと、前記屋外構造物に取り付けられていて前記床パネルを支持する複数の梁部材と、を備え、前記床パネルは上方から見た形状が長方形状であり、前記複数の梁部材のうち、略同一水平面内で略平行に隣り合う一対の梁部材が前記床パネルの対向する2辺を略同一水平面内となるように支持しており、かつ、前記床パネルは、ルーバー構造を備えることを特徴とする足場構造である。
【0028】
ここで、「取り付け」には、対象物に直接接して取り付けられている場合だけでなく、他の部材を介して対象物に間接的に取り付けられている場合も含む(本願において、以下同様。)。
【0029】
また、本願において、ルーバー構造とは、細長い部材をその長手方向が一定の方向になるように、長手方向と直交する方向に間隔を開けて組んだ構造のことをいう。また、ルーバー構造に用いる細長い部材は、中実であっても中空であってもよい。
【0030】
本発明に係る足場構造の第1の態様において、前記床パネルの対向する2辺を略同一水平面内となるように支持している前記一対の梁部材を一対のH形の鋼材とし、該一対のH形の鋼材が、下フランジの高さ位置が略同一となるように配置し、該一対のH形の鋼材の下フランジによって、前記床パネルの対向する2辺が支持されているように構成してもよい。
【0031】
前記屋外構造物は、例えば橋梁構造物の上部工である。
【0032】
前記上部工に取り付けられて、前記作業空間における前記橋梁構造物の橋軸直角方向の端部において略鉛直方向に立設されていて、かつ、前記橋梁構造物の橋軸方向に列状に配置された側面パネルを更に備えさせ、該側面パネルがルーバー構造を備えるようにしてもよい。
【0033】
前記床パネルの前記ルーバー構造が複数個の桟部材を有してなり、かつ、前記側面パネルの前記ルーバー構造が複数個の桟部材を有してなり、前記側面パネルの前記ルーバー構造の前記桟部材の配置ピッチが、前記床パネルの前記ルーバー構造の前記桟部材の配置ピッチよりも大きくなるようにしてもよい。
【0034】
前記側面パネルの前記ルーバー構造が複数個の桟部材を有してなるようにし、略鉛直方向に立設された前記側面パネルの前記ルーバー構造の前記桟部材をその長手方向と直交する平面で切断した時の断面形状が、略鉛直方向に凸の形状を有するようにしてもよい。
【0035】
本発明に係る足場構造の第2の態様は、屋外構造物に取り付けられていて、かつ、該屋外構造物の下方に作業空間を有する足場構造であって、作業員を下方から支持して足場となる床パネルと、前記屋外構造物に取り付けられていて前記床パネルを支持する複数の梁部材と、を備え、前記床パネルは、長手方向が略水平方向となるように、かつ、長手方向と略直交する方向に間隔を開けてお互いに略平行になるように略同一水平面内に配置された複数の桟部材と、長手方向が前記桟部材の長手方向と略直交するように略同一水平面内に配置されて、前記複数の桟部材の両端部を固定する一対の側枠と、を備え、上方から見た形状が長方形状であり、前記複数の梁部材のうち、略同一水平面内で略平行に隣り合う一対の梁部材が前記床パネルの前記一対の側枠を略同一水平面内となるように支持しており、前記床パネルが備える前記複数の桟部材のうち隣り合う桟部材をそれらの長手方向と直交する平面で切断した時の断面形状は、一方の桟部材の凸部が他方の桟部材の凹部と対向かつ離間して配置された形状を有することを特徴とする足場構造である。
【0036】
前記凸部が前記凹部の中に入り込んでいることが好ましい。
【0037】
櫛歯状に下方に突出する複数の下方突起部を有する床パネル固定部材をさらに備えさせ、前記床パネル固定部材の前記下方突起部が、隣り合う前記桟部材の間の間隔に挿入されるように前記床パネル固定部材が前記一対の梁部材のうちの少なくとも一方の梁部材に取り付けられていることが好ましい。
【0038】
前記床パネルの前記一対の側枠を略同一水平面内となるように支持している前記一対の梁部材を一対のH形の鋼材とし、該一対のH形の鋼材を、下フランジの高さ位置が略同一となるように配置し、該一対のH形の鋼材の下フランジによって、前記床パネルの前記一対の側枠が支持されているように構成してもよい。
【0039】
前記一対のH形の鋼材のうちの少なくとも一方のH形の鋼材のウェブと前記側枠との間には、水平方向に間隙が設けられていることが好ましい。
【0040】
本発明に係る足場構造の第2の態様において、前記屋外構造物は、例えば橋梁構造物の上部工である。
【0041】
前記上部工に取り付けられて、前記作業空間における前記橋梁構造物の橋軸直角方向の端部において略鉛直方向に立設され、かつ、前記橋梁構造物の橋軸方向に列状に配置された側面パネルを更に備えさせ、該側面パネルが、長手方向と略直交する方向に間隔を開けてお互いに略平行になるように配置された複数の桟部材と、長手方向が前記桟部材の長手方向と略直交するように配置されて、前記複数の桟部材の両端部を固定する一対の側枠と、を備え、前記側面パネルの前記複数の桟部材のうち隣り合う桟部材をそれらの長手方向と直交する平面で切断した時の断面形状が、一方の桟部材の凸部が他方の桟部材の凹部と対向かつ離間して配置された形状を有するように構成してもよい。
【0042】
前記側面パネルの前記桟部材の配置ピッチは、前記床パネルの前記桟部材の配置ピッチよりも大きくなるようにしてもよい。
【0043】
略鉛直方向に立設された前記側面パネルの前記桟部材をその長手方向と直交する平面で切断した時の断面形状が、略鉛直方向に凸の形状を有するようにしてもよい。
【0044】
前記側面パネルの前記複数の桟部材の長手方向が、前記床パネルの前記複数の桟部材の長手方向と略平行になっているようにしてもよい。
【0045】
本発明に係る足場構造の第1の態様および第2の態様において、前記床パネルの前記橋梁構造物の橋軸直角方向の端部と前記側面パネルの下端部との間の間隙を、前記床パネルおよび前記側面パネルよりも外側から覆う下段見切材が、さらに備えられていることが好ましい。
【0046】
ここで、「前記床パネルおよび前記側面パネルよりも外側」とは、前記床パネルおよび前記側面パネルにおいて、前記作業空間とは反対の側を意味する。
【0047】
また、前記側面パネルの上端部と前記橋梁構造物との間の間隙の少なくとも一部を、前記側面パネルよりも外側から覆う上段見切材が、さらに備えられていることが好ましい。
【0048】
前記橋梁構造物が上り線の上部工と下り線の上部工を有している場合、前記上り線の上部工の下方に作業空間を有する前記足場構造の部位の前記床パネルと、前記下り線の上部工の下方に作業空間を有する前記足場構造の部位の前記床パネルとは、略同一平面内にあることが好ましい。
【0049】
また、前記橋梁構造物が上り線の上部工と下り線の上部工を有している場合、前記上り線の上部工の下方に作業空間を有する前記足場構造の部位の前記床パネルの前記下り線側の端部を覆う中分見切材と、前記下り線の上部工の下方に作業空間を有する前記足場構造の部位の前記床パネルの前記上り線側の端部を覆う中分見切材とを備えていることが好ましい。
【0050】
前記桟部材は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製としてもよい。
【0051】
本発明に係る足場構造の第1の態様および第2の態様に係る足場構造は、恒久足場としてもよい。
【0052】
ここで、恒久足場とは、対象とする構造物に長期間設置する足場のことである。
【発明の効果】
【0053】
本発明に係る足場構造によれば、屋外構造物の下方に位置する作業空間であっても、通気性及び採光性が高い作業空間を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0056】
図1は、本発明の実施形態に係る足場構造10を斜め下方から見上げた斜視図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る足場構造10を橋軸直角方向と平行な鉛直面で切断した断面図であり、
図3は、
図2のIII部の拡大断面図であり、
図4は、
図2のIV部の拡大断面図である。
【0057】
図1〜
図4に示すように、本実施形態に係る足場構造10は、床パネル12と、床パネル取り付け構造14と、側面パネル16と、側面パネル取り付け構造18と、を備えてなり、橋梁構造物80の上部工82の下方に構築されており、本実施形態に係る足場構造10は橋梁構造物80の上部工82の下方に作業空間を有する。床パネル12は床パネル取り付け構造14を介して橋梁構造物80の上部工82に取り付けられており、また、側面パネル16は側面パネル取り付け構造18を介して橋梁構造物80の上部工82に取り付けられている。
【0058】
(床パネルおよび床パネル取り付け構造)
床パネル12は、作業員や工事資材等の荷重を直接下方から支持するパネルであり、床パネル12の上方に作業空間が形成されている。床パネル12の各部の構成は、ジョイントピース140を有していないことを除き、先に[背景技術]において説明した特許文献4に記載の開孔床材(透かしパネル)110と同様であり、桟部材120が間隔を開けて配置されることにより、ルーバー構造12Aとなっている(
図5(a)参照)。したがって、床パネル12を構成する各部材には、特許文献4に記載の開孔床材(透かしパネル)110の対応する各部材の符号を付しており、説明を省略する場合がある。
【0059】
床パネル12は、
図5(a)(上面図)および
図5(b)(側面図)に示すように、長手方向が略水平方向となるように、かつ、長手方向と略直交する方向に間隔を開けてお互いに略平行になるように略同一水平面内に配置された複数の桟部材120と、長手方向が桟部材120の長手方向と略直交するように略同一水平面内に配置されて、複数の桟部材120の両端部を固定する一対の側枠130とを基本的な構成として備えており、一対の側枠130が並列に配置された複数の桟部材120の両端部を固定している。これにより床パネル12は一定の形状を維持しており、床パネル12を上方から見た形状は長方形状である。
【0060】
床パネル12の隣り合う桟部材120をそれらの長手方向と直交する平面で切断した時の断面形状は、
図6(
図5(b)のVI−VI線断面図)に示すように、一方の桟部材120の凸部120Aが他方の桟部材120の凹部120Bと対向かつ離間して配置された形状を有し、かつ、一方の桟部材120の凸部120Aが他方の桟部材120の凹部120Bの中に入り込んでいる。このため、床パネル12の表裏間における視線の透過が防止されて、優れた遮蔽性を得ることができる。
【0061】
また、床パネル12においては、隣り合う桟部材120の間に、開孔床材(透かしパネル)110と同様、床材表裏間を貫通する隙間120Cを設けており、ルーバー構造12Aを備えているので、良好な通気性及び採光性を得ることができる。また、隣り合う桟部材120の間に隙間120Cを設けることは、軽量化にも寄与する。
【0062】
また、
図6に示すように、隣り合う桟部材120同士の間の隙間120Cは、「く」の字に屈曲した貫通孔である。そのため、作業空間内で作業者が、その貫通孔(隙間120C)に入り込む大きさの物品を誤って落下させてしまっても、過度に小さなものでない限り、「く」の字に屈曲した貫通孔(隙間120C)の途中で落下させた物品を捕捉することができ、作業空間外への落下を防ぐことができる。
【0063】
隙間120Cの途中で捕捉可能な物品の大きさは、隣り合う桟部材120間の離間距離により調整することができる。また、桟部材120の断面における凸部120Aと凹部120Bの形状の設定の仕方でも、隙間120Cの途中で捕捉可能な物品の大きさを調整することができる。例えば、桟部材120の断面における凸部120Aと凹部120Bにおいて、凹部120Bの凹みの程度よりも、凸部120Aの突出の方を大きくすることで、大きさのより小さな物品であっても、貫通孔の途中で捕捉可能なようにすることができる。隣り合う桟部材120間の離間距離及び/又は桟部材120の断面における凸部120Aと凹部120Bの形状を適切に設定することにより、床パネル12の隙間120Cを通り抜けると実害が生じるおそれがある大きさの物品が床パネル12を通過しないようにすることができる。
【0064】
また、隣り合う桟部材120同士の間の隙間120Cは、「く」の字に屈曲した貫通孔であるため、外部から本実施形態に係る足場構造10の作業空間内に入り込む光は、桟部材120の表面で1回以上反射された光であり、日光が足場構造10の作業空間内に直接射し込むわけではない。このため、桟部材120を、紫外線に対する反射率が低く、可視光に対する反射率が高い材料で作製するか、あるいは、桟部材120の表面を、紫外線に対する反射率が低く、可視光に対する反射率が高い材料で被覆することにより、足場構造10の作業空間内への紫外線の流入を選択的に減じることができ、本実施形態に係る足場構造10の作業空間内に位置する、橋梁構造物80の橋桁表面に対する塗装を、紫外線に強い外面塗装仕様とすることに替えて、部分的又は全面的に内面塗装仕様とすることもでき、塗装のコストを抑えることも可能である。
【0065】
なお、特許文献4に記載の開孔床材(透かしパネル)110においては、桟部材120はアルミニウム又はアルミニウム合金からなる押出成形品をもって構成されているが、本実施形態に係る足場構造10においては、桟部材120の材質はアルミニウム又はアルミニウム合金に限定されるわけではなく、要求される強度や重量等の条件を満たせば鋼等を桟部材120に用いてもよい。ただし、アルミニウム又はアルミニウム合金は鋼と比較して軽量であるので、軽量化の観点からは、桟部材120の材質をアルミニウム又はアルミニウム合金にすることが好ましい。また、アルミニウム特有の外観も意匠性の向上に寄与する場合がある。
【0066】
床パネル取り付け構造14は、
図3に示すように、山形の鋼材からなる第1の連結部材20と、溝形の鋼材からなる腕材22と、山形の鋼材からなる吊り材24と、山形の鋼材からなる第2の連結部材26と、H形の鋼材からなる縦梁28と、H形の鋼材からなる横梁30と、を有してなり、床パネル12を橋梁構造物80の上部工82に取り付ける役割を有する。
図3に示すように、橋梁構造物80の上部工82の1つの主桁84に対して2つの腕材22がそれぞれ橋軸直角方向に取り付けられており、2つの腕材22のそれぞれに吊り材24、第2の連結部材26、縦梁28が取り付けられている。そして、長手方向が橋軸方向である縦梁28と直交するように、長手方向が橋軸直角方向である横梁30が複数の縦梁28に水平方向に取り付けられている。
【0067】
具体的には、主桁84のウェブ84Aに山形の鋼材である第1の連結部材20の一面が高力ボルト32Aによって取り付けられ、第1の連結部材20の他面に2つの腕材22のうちの一方の腕材22Aの一端部が高力ボルト32Bによって取り付けられ、腕材22Aの他端部に吊り材24の上端部が高力ボルト32Cによって取り付けられ、吊り材24の下端部に山形の鋼材からなる第2の連結部材26の一面が高力ボルト32Dによって取り付けられ、第2の連結部材26の他面にH形の鋼材からなる縦梁28の上フランジ28Aが普通ボルト32Eによって取り付けられている。
【0068】
橋梁構造物80の上部工82の1つの主桁84に取り付けられる2つの腕材22のうちの他方の腕材22Bは、その一端部が高力ボルト32Gによって主桁84の補剛材84Cに取り付けられ、腕材22Bの他端部に吊り材24の上端部が高力ボルト32Cによって取り付けられ、吊り材24の下端部に山形の鋼材からなる第2の連結部材26の一面が高力ボルト32Dによって取り付けられ、第2の連結部材26の他面にH形の鋼材からなる縦梁28の上フランジ28Aが普通ボルト32Eによって取り付けられている。
【0069】
複数の縦梁28の下フランジ28Bに横梁30の上フランジ30Aが普通ボルト32Fによって取り付けられ、長手方向が水平方向であって橋軸直角方向である横梁30は複数の縦梁28によって上方から支持されている。
【0070】
隣り合う一対の横梁30は、
図7(横梁30と直交する鉛直面で切断した拡大断面図)に示すように、長手方向が略水平方向であって橋軸直角方向となるように、かつ、お互いに略平行であって略同一平面内となるように配置されている。そして、隣り合う一対の横梁30の下フランジ30Bの上に床パネル12の一対の側枠130がそれぞれ載置され、隣り合う一対の横梁30の下フランジ30Bは、床パネル12の一対の側枠130を略同一水平面内となるように支持している。ここで、隣り合う一対の横梁30の下フランジ30Bの高さ位置が略同一となるように、隣り合う一対の横梁30は配置されているので、隣り合う一対の横梁30の下フランジ30Bの上に床パネル12の一対の側枠130をそれぞれ載置すれば、床パネル12の一対の側枠130は略同一水平面内に位置することとなる。
【0071】
図7に示すように、さらに床パネル固定金物34が、床パネル12が横梁30の長手方向(橋軸直角方向)にずれないように位置を規制している。また、床パネル固定金物34は床パネル12が上下方向に動くことも規制している。
【0072】
また、
図7に示すように、床パネル12の端部である側枠130を横梁30の下フランジ30Bが下方から覆っており、外部から視認できないようになっているので、本実施形態に係る足場構造10および足場構造10を伴う橋梁構造物80は、意匠性および景観性にも配慮した構造となっている。
【0073】
図8(a)、(b)、(c)に床パネル固定金物34の三面図を示す。
図8(a)は正面図、
図8(b)は側面図、
図8(c)は上面図である。
図8(a)、(b)、(c)に示すように、床パネル固定金物34は、鉛直部34Aと、水平部34Bと、櫛歯状に下方に突出する複数の下方突起部34Cと、を有する。
【0074】
図8(a)に示すように、床パネル固定金物34の鉛直部34Aには貫通孔の長孔34Dが設けられている。また、
図9(
図7のIX部の拡大断面図)に示すように、床パネル固定金物34を設置する位置に対応する横梁30のウェブ30Cの部位には、貫通孔30Dが設けられている。そして、床パネル固定金物34の長孔34Dの位置が横梁30の貫通孔30Dの位置と合うように、横梁30のウェブ30Cの両側に床パネル固定金物34がそれぞれ配置されており、普通ボルト35により固定されている。
【0075】
床パネル固定金物34の下方突起部34Cは、
図9に示すように、床パネル12の桟部材120の間に入り込んでおり、床パネル12が横梁30の長手方向(橋軸直角方向)にずれる動きを規制している。また、床パネル固定金物34の水平部34Bは、
図9に示すように、床パネル12の側枠130の上端部の折曲補強片131を上方から押えており、床パネル12が上下方向に動くことを規制している。
【0076】
床パネル12の取り付け構造について、
図9〜
図11を用いてさらに説明する。
図10は、本実施形態に係る足場構造10において、床パネル固定金物34の部位を上方から見た上面図であり、
図11は、本実施形態に係る足場構造10において、床パネル固定金物34の部位を橋軸方向(横梁30の長手方向と直交する水平方向)から見た側面図である。なお、
図10においては、図示の都合上、床パネル固定金物34の上方に位置する横梁30の上フランジ30Aを2点鎖線で描いている。
【0077】
図9〜
図11に示すように、床パネル固定金物34の下方突起部34Cは、床パネル12の桟部材120の間に入り込んでおり、床パネル12が横梁30の長手方向(橋軸直角方向)にずれる動きを規制している。また、床パネル固定金物34の水平部34Bは、
図9〜
図11に示すように、床パネル12の側枠130の上端部の折曲補強片131を上方から押えており、床パネル12が上下方向に動くことを規制している。
【0078】
なお、本実施形態では、
図7に示すように、床パネル12の一対の側枠130のそれぞれに対して床パネル固定金物34が設けられているが、安全が確認できれば、床パネル12の一対の側枠130のいずれか一方のみに対して床パネル固定金物34を設けるようにしてもよい。
【0079】
また、
図9に示すように、床パネル12の側枠130と横梁30のウェブ30Cとの間には間隙30Eが設けられており、気温の上昇に伴って床パネル12が膨張してもその膨張分を逃がせるようになっている。また、床パネル固定金物34の下方突起部34Cと側枠130の上端の折曲補強片131との間にも間隙30Fが設けられており、気温の低下に伴って床パネル12が収縮してもその収縮分を逃がせるようになっている。このため、本実施形態に係る足場構造10は気温の変化にも強い構造になっている。なお、気温の大きな低下に伴って床パネル12がたとえ大きく収縮しても、床パネル12の側枠130が横梁30の下フランジ30Bから外れることがないように、横梁30の下フランジ30Bの幅、隣り合う横梁30同士の間の間隔、および床パネル12の橋軸方向の長さが設計されている。
【0080】
また、
図12(落下防止機構の部位を示す横梁30の断面図)に示すように、床パネル12の側枠130には、落下防止ワイヤ通し金具36が普通ボルト37によって取り付けられている。
図3および
図12に示すように、落下防止ワイヤ通し金具36には貫通孔36Aが設けられており、該貫通孔36Aにはワイヤ68が挿通されており、ワイヤ68の両端部にはストッパ68Aおよびワッシャー68Bが取り付けられている。ワイヤ68は、横梁30のウェブ30Cを中心として反対側に位置する2つの落下防止ワイヤ通し金具36の貫通孔36Aに挿通されており、万一、床パネル12が横梁30の下フランジ30Bから外れても、ワッシャー68Bを介してストッパ68Aが落下防止ワイヤ通し金具36に引っ掛かるようになっている。このため、万一、床パネル12が横梁30の下フランジ30Bから外れても、
図12に示すように、落下防止ワイヤ通し金具36およびワイヤ68を介して床パネル12が横梁30に支持されるようになっており、床パネル12が落下することがないようにされている。なお、
図12に示す落下防止ワイヤ通し金具36とワイヤ68との連結は一例であり、3つ以上の落下防止ワイヤ通し金具36にワイヤ68を挿通させて、落下防止ワイヤ通し金具36およびワイヤ68を介して床パネル12が横梁30に支持されるようにしてもよい。
【0081】
また、本実施形態の足場構造10は、上下線の境界に対応する箇所で分割されているが、その分割箇所(
図2のXIII部)を拡大した断面図を
図13に示す。
図13に示すように、足場構造10は上下線の境界に対応する箇所で分割されており、その分割箇所の端部には中分見切材70がそれぞれ設けられている。中分見切材70は横梁30の上フランジ30Aに普通ボルト70Aで取り付けられている。
【0082】
本実施形態の足場構造10は、上下線の境界に対応する箇所で分割されているが、
図13に示すように、段差はない。このため、足場構造10の作業空間内に段差はなく、作業足場が連続しており、足場構造10の作業空間は、作業効率および安全性が高い作業空間となっている。
【0083】
なお、分割箇所の端部に段差がたとえ生じた場合であっても、その分割箇所の端部に中分見切材70をそれぞれ設けることにより、分割箇所がそのまま作業空間に露出されることがなくなり、作業空間の安全性を向上させることができる。
【0084】
(側面パネルおよび側面パネル取り付け構造)
側面パネル16は、足場構造10の作業空間(床パネル12の上方に形成される作業空間)における橋梁構造物80の橋軸直角方向の両端部において略鉛直方向に立設され、かつ、橋梁構造物80の橋軸方向に隣り合うように列状に配置されたパネルである。側面パネル16は、作業員の転落を防止する役割とともに、雨滴の侵入を防止する役割や外部からの視線を遮る役割を有する。
【0085】
側面パネル16の各部の構成は、桟部材120の配置ピッチが床パネル12よりも大きいことを除き、床パネル12と同様である。したがって、側面パネル16を構成する各部材には、対応する床パネル12の各部材の符号を付し、原則として説明は省略する。
【0086】
側面パネル16は、床パネル12と同様に、桟部材120が間隔を開けて配置されたルーバー構造となっており、側面の通風性および採光性が良好である。
【0087】
床パネル12においては、
図6に示すように、各桟部材120の凸部120Aが、隣り合う桟部材120の凹部120Bの中に入り込んで、床パネル12の表裏間における視線の透過が防止されて、優れた遮蔽性を得ることができるようになっているが、側面パネル16においては、桟部材120の配置ピッチが床パネル12よりも大きくなるようにしており、各桟部材120の凸部120Aが、隣り合う桟部材120の凹部120Bの中に入り込んでいなくてもよい。各桟部材120における凸部120Aが、隣り合う桟部材120の凹部120Bの中に入り込んでいなくても、斜め下方からの視線は遮ることができる。
【0088】
側面パネル16においては、桟部材120の配置ピッチが床パネル12よりも例えば2倍程度に大きくなるようにしているので、通風性および採光性が良好である。また、側面パネル16においては、桟部材120の配置ピッチが大きいため、風をある程度透過させることができ、風荷重を軽減することもできる。また、桟部材120の配置ピッチが大きいため、軽量化にもより寄与している。また、側面パネル16の桟部材120の配置ピッチを床パネル12の桟部材120の配置ピッチよりも大きくすることは、本実施形態に係る足場構造10および足場構造10を伴う橋梁構造物80の意匠性や景観性の向上に寄与する場合もある。
【0089】
また、略鉛直方向に立設された側面パネル16の桟部材120をその長手方向と直交する平面で切断した時の断面形状は、
図14に示すように、凸部120Dを有し、略鉛直方向に凸の形状を有する。このため、作業空間の外部から、側面パネル16を通じて、作業空間の内部に侵入しようとする雨滴の多くは、各桟部材120の略鉛直方向に凸の形状になった箇所(凸部120D)でせき止められ、下方に向かって流れ落ち、桟部材120に留まることがない。それ故、側面パネル16は作業空間の内部への雨滴の侵入を防止又は抑制することができ、かつ、側面パネル16内に雨水が溜まりにくくなっている。
【0090】
また、側面パネル16の複数の桟部材120の長手方向が、床パネル12の複数の桟部材120の長手方向と略平行になるように側面パネル16を配置してもよい。このように配置すると、足場構造10の外観に整然さと規則性を与えて、意匠性および景観性に好影響を与える場合がある。
【0091】
側面パネル取り付け構造18は、山形の鋼材からなる第3の連結部材40と、溝形の鋼材からなる腕材42、48と、山形の鋼材からなる第4の連結部材44、第5の連結部材46および第6の連結部材50と、H形の鋼材からなり略鉛直方向に立設された支柱52と、を有してなり、橋梁構造物80の橋軸直角方向の端部寄りの主桁86に取り付けられており、側面パネル16を橋梁構造物80の上部工82に取り付ける役割を有する。
図4に示すように、橋梁構造物80の橋軸直角方向の端部寄りの主桁86に対して、主桁86の中央部よりもやや上方寄りの位置に腕材42が橋軸直角方向に取り付けられているとともに、主桁86の下端部寄りの位置に腕材48が橋軸直角方向に取り付けられている。そして、支柱52が第4の連結部材44および第6の連結部材50を介して腕材42、48に取り付けられている。
【0092】
具体的には、主桁86のウェブ86Aの上端部寄りの位置に山形の鋼材である第3の連結部材40の一面が高力ボルト54Aによって取り付けられ、第3の連結部材40の他面に腕材42の一端部が高力ボルト54Bによって取り付けられ、腕材42の他端部に第4の連結部材44の一面が高力ボルト54Cによって取り付けられ、支柱52のフランジ52Aの上端部寄りの位置が第4の連結部材44の他面に普通ボルト54Dによって取り付けられ、主桁86のウェブ86Aの下端部寄りの位置に山形の鋼材である第5の連結部材46の一面が高力ボルト54Eによって取り付けられ、第5の連結部材46の他面に腕材48の一端部が高力ボルト54Fによって取り付けられ、腕材48の他端部に第6の連結部材50の一面が高力ボルト54Gによって取り付けられ、支柱52のフランジ52Aの下端部寄りの位置が第6の連結部材50の他面に普通ボルト54Hによって取り付けられている。なお、本実施形態においては、支柱52のおよそ下半分については、その長手方向が鉛直方向からずれている。そのため、支柱52のフランジ52Aと第6の連結部材50の他面との間には、角度のずれを調整するために、くさび状の部材であるスペーサ50Aを介在させている。
【0093】
以上のようにして上部工82に支柱52は連結されており、その支柱52のフランジ52Bに側面パネル16の側枠130(折曲補強片131)が普通ボルト56によって取り付けられて、桟部材120の長手方向が橋軸方向となるように、側面パネル16が、足場構造10の作業空間(床パネル12の上方に形成される作業空間)における橋梁構造物80の橋軸直角方向の両端部に設置されている。
【0094】
床パネル12の橋軸直角方向の端部と側面パネル16の下端部との間には間隙60が開いているが、
図4に示すように、L字型の鋼材である下段見切材62が、普通ボルト62Aによって横梁30の下フランジ30Bに取り付けられており、床パネル12および側面パネル16よりも外側から間隙60を覆っている。
【0095】
L字型の鋼材である下段見切材62が、間隙60を、床パネル12および側面パネル16よりも外側から覆うことにより、工具等の物品が間隙60から下方に落下することを防ぎ、物品の落下による事故を未然に防ぐことができる。また、間隙60から雨滴や鳥獣が足場構造10の作業空間内に侵入することを未然に防ぐことができる。また、L字型の鋼材である下段見切材62が、間隙60を、床パネル12および側面パネル16よりも外側から覆うことにより、意匠性および景観性を向上させることができる。本実施形態に係る足場構造10は恒久足場とすることもできるが、例えば都市部における自動車専用道路の橋梁構造物に付属する恒久足場とする場合には、意匠性および景観性に対する重要度も高くなる。
【0096】
また、側面パネル16の上端部と橋梁構造物80の上部工82との間にも間隙64が開いているが、
図4に示すように、T字型の鋼材である上段見切材66が、普通ボルト66Aによって支柱52の上端に設けられた補剛板52Cに取り付けられており、側面パネル16よりも外側から間隙64の一部を覆っている。
【0097】
T字型の鋼材である上段見切材66が、間隙64の一部を、側面パネル16よりも外側から覆うことにより、間隙64から雨滴や鳥獣が足場構造10の作業空間内に侵入することを未然に防ぐことができる。また、T字型の鋼材である上段見切材66が、間隙64を、側面パネル16よりも外側から覆うことにより、意匠性および景観性を向上させることができる。本実施形態に係る足場構造10は恒久足場とすることもできるが、前述したように、例えば都市部における自動車専用道路の橋梁構造物に付属する恒久足場とする場合には、意匠性および景観性に対する重要度も高くなる。
【0098】
また、本実施形態の足場構造10においては、床パネル12および側面パネル16のどちらにおいても、含まれる桟部材120はその長手方向が橋軸方向になっており、床パネル12および側面パネル16におけるそれぞれの桟部材120の長手方向が橋軸方向に揃うように配置されているので、足場構造10の外観に整然さと規則性を与える。本実施形態の足場構造10は、この点からも意匠性および景観性に優れる構造となっている。
【0099】
(床パネル12の変形例)
本実施形態に係る足場構造10における床パネル12は、
図5(a)(上面図)および
図5(b)(側面図)を用いて前述したように、水平方向に所定の間隔おきに並列に配置される複数の桟部材120と、各桟部材120の両端部に沿って配置される一対の側枠130とを基本的な構成として備えており、一対の側枠130が並列に配置された複数の桟部材120の両端部を固定している。これにより床パネル12は一定の形状を維持しており、床パネル12を上方から見た形状は長方形状であり、側枠は桟部材120と直交する2辺のみに配置されており、桟部材120と平行な2辺には側枠は配置されていない。
【0100】
しかしながら、本発明に適用可能な、ルーバー構造を有する床パネルは、
図5に示す床パネル12に限定されない。例えば
図15に示すように、長方形の4辺全てに側枠90Aを有し、長方形の短辺方向に平行に複数の細長い空隙を備えたルーバー構造90Bを有する床パネル90としてもよい。また、例えば
図16に示すように、床パネル90の側枠90Aよりも幅の広い側枠91Aを有するようにしてもよく、長方形の短辺方向に平行に複数の細長い空隙を備えたルーバー構造91Bおよび幅の広い側枠91Aを有する床パネル91としてもよい。また、例えば
図17に示すように、長方形の4辺に位置する側枠92A以外にルーバー構造の部分を2か所に分割する中枠92Bを有し、2つのルーバー構造92Cを備えた床パネル92としてもよい。また、例えば
図18に示すように、長方形の4辺に位置する側枠93A以外にルーバー構造の部分を4か所に分割する中枠93Bを有し、4つのルーバー構造93Cを備えた床パネル93としてもよい。また、例えば
図19に示すように、長方形の短辺方向に平行に設けられた複数の細長い空隙94Aを、空隙94Aの幅よりも、隣り合う空隙94A同士の間の間隔94Bの方が大きくなるようにまばらに有するルーバー構造94Cを備えた床パネル94としてもよい。また、例えば
図20に示すように、長方形の短辺方向に平行な細長い空隙95Aを短辺方向に2本配置するようにするとともに、空隙95Aの幅よりも、隣り合う空隙95A同士の間の間隔95Bの方が大きくなるようにまばらに配置された複数の空隙95Aを有するルーバー構造95Cを備えた床パネル95としてもよい。