特許第6143054号(P6143054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143054
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】巻き直し機及び巻取り方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/26 20060101AFI20170529BHJP
   B65H 18/16 20060101ALI20170529BHJP
   B65H 19/30 20060101ALI20170529BHJP
   B65H 35/10 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   B65H19/26
   B65H18/16
   B65H19/30
   B65H35/10
【請求項の数】21
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-554473(P2012-554473)
(86)(22)【出願日】2011年2月14日
(65)【公表番号】特表2013-520379(P2013-520379A)
(43)【公表日】2013年6月6日
(86)【国際出願番号】IT2011000037
(87)【国際公開番号】WO2011104737
(87)【国際公開日】20110901
【審査請求日】2014年1月23日
【審判番号】不服2016-4217(P2016-4217/J1)
【審判請求日】2016年3月18日
(31)【優先権主張番号】FI2010A000025
(32)【優先日】2010年2月23日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】504004902
【氏名又は名称】フアビオ・ペリニ・ソシエタ・ペル・アチオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100064388
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】ゲリー,モーロ
(72)【発明者】
【氏名】マダレニ,ロマノ
(72)【発明者】
【氏名】モンタナーニ,フランコ
(72)【発明者】
【氏名】モレリ,ロベルト
【合議体】
【審判長】 黒瀬 雅一
【審判官】 藤本 義仁
【審判官】 吉村 尚
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/025842(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の巻取りローラーにより画定される空間から成る巻取りクレードルを備え、
周囲ウエブ材料を案内し少なくとも部分的に前記巻取りクレードルを画定する、前記複数の巻取りローラーの一つである第一の巻取りローラーと、
巻芯を受けそれを前記巻取りクレードルに向けて運ぶよう配置され且つ前記第一の巻取ローラーと共に巻芯用送りチャネルを画定する巻芯支持面と、
ウエブ材料を切断するためにチャネルに挿入され得るウエブ材料の切断部材と
を有し、
前記切断部材がウエブ材料と相互に作用してウエブ材料を切断し、
前記切断部材が前記チャネル内に位置される際に前記切断部材の速度が変更されるように構成された
管状巻芯にウエブ材料を巻取る巻き直し機において、
前記切断部材が、
前記管状巻芯へのウエブ材料の巻き取り中のウエブ材料の移動速度より遅い速度で動いて、前記第一の巻取りローラーの周面と切断部材との間でウエブ材料を挟み、その結果、ウエブ材料の移動速度を、ウエブ材料の巻き取り速度より低減させることにより、前記切断部材と前記巻取りクレードル内で形成されるログとの間でウエブ材料を切断し、
その後、ウエブ材料の切断後に、前記チャンネルに切断部材が留まる時間を短縮するために動作を反転せずに加速するよう
制御されること
を特徴とする管状巻芯にウエブ材料を巻取る巻き直し機。
【請求項2】
前記切断部材がモーターによって制御されることを特徴とする請求項1記載の巻き直し機。
【請求項3】
前記切断部材が前記チャネルの外部の軸線のまわりで回転動作することを特徴とする請求項1又は2記載の巻き直し機。
【請求項4】
複数の巻取りローラーにより画定される空間から成る巻取りクレードルを備え、
周囲ウエブ材料を案内し少なくとも部分的に前記巻取りクレードルを画定する、前記複数の巻取りローラーの一つである第一の巻取りローラーと、
巻芯を受けそれを前記巻取りクレードルに向けて運ぶよう配置され且つ前記第一の巻取りローラーと共に巻芯用送りチャネルを画定する巻芯支持面と、
ウエブ材料を切断するためにチャネルに挿入され得るウエブ材料の切断部材と
を有し、
前記切断部材がウエブ材料と相互に作用してウエブ材料を切断し、
前記切断部材が前記チャネル内に位置される際に前記切断部材の速度が変更されるように構成された
管状巻芯にウエブ材料を巻取る巻き直し機において、
前記切断部材が、
前記チャンネルに沿って、前記ウエブ材料及び前記巻芯の供給方向と反対の方向で、前記チャンネル内に挿入されて前進され、前記第一の巻取ローラーの周面と切断部材との間でウエブ材料を挟み、その結果、ウエブ材料の移動速度を、ウエブ材料の巻取速度より低減させることにより、前記切断部材と前記巻取クレードル内で形成されるログとの間でウエブ材料を切断し、
その後、前記切断部材の動作が反転されて、前記チャネルの挿差端部から離れる方向に動かされる
ように制御される
ことを特徴とする管状巻芯にウエブ材料を巻取る巻き直し機。
【請求項5】
前記巻取りクレードル内のログと前記切断部材との間にある位置でウエブ材料を切断した後、前記切断部材の前記動作の反転が実行される
ことを特徴とする請求項4記載の巻き直し機。
【請求項6】
前記切断部材が、前記ウエブ材料と相互作用し、ウエブ材料の速度の70%以下の速度でウエブ材料の切断を行なうように制御される
ことを特徴とする請求項1記載の巻き直し機。
【請求項7】
前記切断部材が、前記ウエブ材料と相互作用し、ウエブ材料の速度の50%以下の速度でウエブ材料の切断を行なうように制御される
ことを特徴とする請求項1記載の巻き直し機。
【請求項8】
前記チャネル内で巻芯の送り速度を制御する制御部材を有する
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項記載の巻き直し機。
【請求項9】
前記制御部材が前記第一のローラーとは反対側で前記第一のローラーから離れた前記チャネルに沿った位置に設けられた回転部材を備え、第一の巻取りローラーと前記回転部材との間に巻芯を通過させるように構成し、前記回転部材が前記チャネル内の巻芯の送り方向に対して切断部材とウエブ材料との間の相互作用領域の上流に位置決めされ、前記回転部材が前記チャネルに沿って巻芯の送り動作を制御する作動装置によって制御されることを特徴とする請求項8に記載の巻き直し機。
【請求項10】
前記第一のローラーと共にニップを画定している第二の巻取りローラーを有し、前記ウエブ材料及び前記巻芯が前記ニップを通過し、前記ニップがウエブ材料の送りの方向に対して前記チャネルの下流に位置決めされることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項記載の巻き直し機。
【請求項11】
前記切断部材が、前記第一の巻取りローラーに対してウエブ材料を挟持するように構成され配置されることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項記載の巻き直し機。
【請求項12】
巻取りクレードルを画定する複数の巻取りローラーの中の一つである第一の巻取りローラーの周囲に送り速度で前記ウエブ材料を送るステップ、
前記第一の巻取りローラーと巻芯支持面との間のチャネル内に前記第一の巻取りローラーに近接させて巻芯挿差するステップ、
前記チャネルに沿って前記ウエブ材料に前記切断部材を作用させ、ウエブ材料の送り速度より低速で前記ウエブ材料と接触するように前記切断部材を動かし、前記第一の巻取ローラーの周面と切断部材との間でウエブ材料を挟み、その結果、ウエブ材料の移動速度を、ウエブ材料の巻取速度より低減させることにより、前記巻取りクレードル内のログと前記切断部材との間でウエブ材料を切断するステップ、及び、
前記ウエブ材料の切断後、前記切断部材を加速して前記チャネルから切断部材を抜き出すようにするステップ、
を含むことを特徴とする巻き直し機の巻芯にウエブ材料を巻き取る方法。
【請求項13】
前記切断部材がモーターで制御されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記切断部材が前記チャネルの外部で回転軸線のまわりで回転動作によって制御されることを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記切断部材が、
前記チャネル内のウエブ材料及び前記巻芯の送りの方向に対して逆向きの方向の動作で前記チャネルに挿差され、
前記ウエブ材料を押し、
巻取りクレードル内で形成されるログと切断部材との間の位置でウエブ材料を切断し、
次に、前記チャネルから退出するよう前記切断部材の動作を反転させることを特徴とする請求項12〜14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記切断部材が前記チャネル内に挿差され、前記ウエブ材料を押し、前記第一の巻取りローラーと前記切断部材との間でウエブ材料を挟持し、切断部材の送り方向を反転することなく前記チャネルから取り出される
ことを特徴とする請求項12〜14の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
切断部材がウエブ材料の通常の送り速度より低速で、ウエブ材料との接触部位の下流でウエブ材料の切断を行なうまでウエブ材料と接触状態で前記チャネル内を前進し、次に、前記チャネル内に挿差された巻芯からウエブ材料を引き離すように加速する
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記切断部材が前記ウエブ材料の送り速度の70%以下の速度でウエブ材料と接触状態で送られる
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記切断部材が前記ウエブ材料の送り速度の50%以下の速度でウエブ材料と接触状態で送られる
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記チャネル内の前記巻芯の動作が前記チャンルに沿って位置決めされた速度制御部材によって制御されることを特徴とする請求項12〜19の何れか一項記載の方法。
【請求項21】
前記巻芯が前記チャネル内に挿差され、前記第一の巻取りローラーのまわりに案内されるウエブ材料と前記チャネルに沿って配置された回転部材とが接触するようにされ、前記回転部材が前記巻芯との接触により前記チャネルに沿った巻芯の前進を一時的に減速するような方向に動くようにされることを特徴とする請求項12〜19の何れか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状巻取りコアの周囲に巻取られたウエブ材料のログを形成する巻き直し機に関するものである。本発明はまた、管状巻取りコアの周囲に巻取られたウエブ材料のログを形成する新しい巻取り方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパーのロール、キッチンタオルのロール或いはその類似品など巻取られたウエブ材料のログ製造においては、いわゆる親リールと呼ばれる直径の大きなリールが始めに形成され、該リールからウエブ材料が巻き戻され、そして販売用途の最終製品の寸法に、また最終用途のロールの軸方向寸法の倍数に等しい軸方向の長さに対応する直径の小さなログに巻き直される。これらのログは、その後、切断されて、用途に合ったロールが形成され、包装される。
【0003】
トイレットペーパーのロール、キッチンタオル及び同様な製品のロールを製造するにあたって、特にティシュペーパーの変換分野の巻き直し機は、毎分1000メートルに等しいか或いはそれを上回る高速で送られる二層以上のセルロース繊維を処理できる完全自動高速機である。従って、最新の巻き直し機は、1つのログ毎に毎秒1−2秒以下の高速で巻回した材料のログを形成する。
【0004】
ログが巻取られた後、全体を「交換段階」として定義される一連の動作を実行しなければならない。交換段階においては、ウエブ材料を切断し、完成したログを取り外して、さらにウエブ材料を切断して得られたウエブ材料の先端部を新しいログの巻取りを開始するために機械に挿差された新しい巻芯(コア)に固定する動作が実行される。
【0005】
それらの動作は、交換段階中、ウエブ材料の平均速度が変更されることがないので。製造周期の減速を回避するように非常に迅速な頻度で実行される必要がある。逆に、ウエブ材料の局部的な速度変化が切断される領域においてあり得るだけである。
【0006】
特許文献1には、新世代の巻き直し機が開示されている。かかる巻き直し機では、好ましくは、ウエブ材料の巻取りは、3つの巻取りローラーの集合体で形成された巻取りクレードルにおいて行われ、ウエブ材料は第一の巻取りローラーの周囲に案内され、第一の巻取りローラーと第二の巻取りローラーとの間に画定された巻取りニップを通過する。ニップの上流に配置されているのは巻芯の支持面であり、巻芯はかかる支持面と第一の巻取りローラーとの間に画定されたチャネルの入口に挿差される。先行技術文献に記載された幾つかの実施形態では、チャネルに沿って配置されるのはウエブ材料切断部材であり、好ましくは第一の巻取りローラーに対してウエブ材料を挟持し、挟持点と巻取りクレードルに巻かれるログとの間に局部的なウエブ材料の減速を引き起こしてウエブ材料を切断するような仕方で構成され配置されている。この減速により、好ましくは巻取りクレードルの上
流に配置された穿孔機で形成されたミシン目に沿ってウエブ材料に張力を生じさせ最終的にそのウエブ材料を切断する。
【0007】
このような原理に基づいた巻取り機は、極めて柔軟で信頼があり毎分1000メートル以上の高速で大きな軸方向の長さを備えるログを形成することができる。
【0008】
各巻芯に巻付けられたウエブ材料は、最も内側の回転で少なくとも特定の種類の製品にその長さに起因した微かな不具合をもたらすホールドバックを有することから、これらの巻取り機で製造された製品はさらなる改善の影響を受け易い。このホールドバックの長さは、ウエブ材料の切断される部位に依存する。この部位は、新しい巻芯とウエブ材料との接触部位から所定の距離に位置決めされている。新しい巻芯に固定する部位と切断部位との間のウエブ材料の部分は、これらの部位間の距離に一致する長さのホールドバックを形成するために折畳まれる。
【0009】
さらに切断部材は、巻取りローラーに対してウエブ材料を押す圧力パッドを備える。パッドで加えられる圧力はパッドを急速に摩耗させ、結果的にパッドは調節される必要がある。そうしなければ特定の部位で、もはやパッドは充分に巻取りローラーを押せずウエブ材料を切断させられなくなる。典型的には、この調節はおおよそ二週間に一度行なわれなければならず、しかも機械的な調節のため手動操作を余儀なくされる。
【0010】
上述の特許文献1の教示内容に基いて設計された現在の巻取り機の幾つかの実施形態では、巻取りローラーに切断部材によって加えられる圧力は高く、巻き直し機全体に震動を引き起こす。構造上の問題点以外に機械部分の摩耗やノイズを引き起こして、ウエブ材料の正確なミシン目で識別される望ましい部位でウエブ材料の引き裂きが行なわれるので、巻取り機の正しい動作に悪影響を及ぼし得る。
【0011】
特許文献2、特許文献3及び特許文献4には、ウエブ材料の切断部材と接触する領域及び巻取りチャネルに挿差された新しい巻芯と接触する領域で画定されるウエブ材料の2つの部位の間で、ウエブ材料の引き裂きを引き起こすような仕方でウエブ材料の切断部材を制御する巻き直し機が開示されている。このような仕方で動作させることより短いホールドバックが得られる。しかし、交換段階でのウエブ材料の制御が低下する結果、巻き直し機はその信頼性が大きく損なわれ、高い製造速度の実現を一層困難にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5979818号
【特許文献2】米国特許公開第2004/0061021号
【特許文献3】米国特許第6877689号
【特許文献4】米国特許第7175127号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の一つの観点によれば、本発明の目的は、先行技術の巻き直し機の少なくとも一つの問題点を完全に又は部分的に解決する巻き直し機を提供することにある。本発明の幾つかの実施形態によれば、本発明の目的は、さらに効率的な巻き直し機を提供することにあり、特に、最も現代的で且つ信頼性がありしかも従来公知の巻き直し機の典型的な利点を失わず高い製造率で品質の優れた製品を得られる巻き直し機を提供することにある。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本発明の目的は、ウエブ材料の切断部材を調節する動作頻度を減少させ、及び/又は、機械部材に長い機械停止や機械的な操作を必要とせずにより効果的に調節を行なうことのできる
巻き直し機を提供することにある。
【0015】
なお、本発明のその他の実施形態によれば、本発明の目的は、ウエブ材料の切断部材の動作で引き起こされる震動を低減できる巻き直し機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
実質的に、本発明の一実施形態によれば、本発明は、
周囲にウエブ材料を案内し少なくとも部分的に巻取りクレードルを画定する第一の巻取りローラーと;
好ましくは第一の巻取りローラーと共にウエブ材料が送られるニップを画定する第二の巻取りローラーと;
巻芯を受けそれを巻取りクレードルに向けて運ぶよう配置され且つ第一のローラーと共に巻芯用送りチャネルを画定する巻芯支持面と
を有し;
前記チャネル内で巻芯が支持面及び前記第一の巻取りローラーの周囲に案内されるウエブ材料と接触状態で送られ;
また、チャネルに巻芯を挿差する巻芯挿入機と;
ウエブ材料を切断するためにチャネルに挿差され得るウエブ材料の切断部材と
を有し;
切断を引き起こすために前記切断部材が、第一の巻取りローラーと前記第一の巻取りローラーの周囲に案内されるウエブ材料と相互に作用してウエブ材料を切断するようにされ;
さらに、好ましくは前記チャネルの内側に配置される際に切断部材の速度を変更して切断部材を制御する前記切断部材制御用モーターを有すること
特徴とする管状コアの周囲にウエブ材料を巻取る巻き直し機を提供する。
特に、切断部材はウエブ材料の切断が行なわれた後で加速される。このような加速は、ウエブ材料の切断が切断部材を新しい巻芯の相当近くに保持することで実行されるにも関わらず、切断部材と前記チャネルに沿って前進する新しい巻芯との間の衝突は回避される。これによって新しい巻芯を周囲する巻取りの開始をホールドバックするウエブ材料の先導部の長さを短縮している。
【0017】
速度変動は、一般的には動きの反転の有無に関わらず加速度として意味されなければならない。すなわち、加速は、前進動作の反転もしくは動作方向の反転が無く切断部材の加速として理解され得る。好ましい実施形態によれば、切断部材の加速は適切にプログラミングされた電子制御ユニットの制御の下でモーターによって引き起こされる。
【0018】
切断部材が巻芯送りチャネルに配置されている間に切断部材の速度を変化させることによって、ウエブ材料の切断を引き起こす最適な速度で、切断部材をウエブ材料と相互作用させることができ、その後、チャネルに沿って送られる巻芯との衝突を回避するために切断部材(速度及び動作方向の反転の有無に関わらず)の速度を変更することが可能である。このようにして、チャネルに挿差される巻芯に近接させてウエブ材料の切断部位を動かすことが可能であり、従って、新しい巻芯に巻き付けられたウエブ材料の後尾部の長さを減少させ、ウエブ材料の送り速度で決定される製造速度を減速する必要なしに、高品質のログが形成される。
【0019】
本発明の好ましい幾つかの実施形態によれば、切断部材を作動するモーターは、チャネルに沿った巻芯の送り方向に対して逆の送り方向でチャネルに切断部材を挿差して前進させるように切断部材を制御するような仕方で設けられ制御され得る。この場合、ウエブ材料の切断ステップ中、切断部材は、前記チャネルの巻芯挿差機端部に向かって、すなわちそこに挿入された巻芯に向かって動かされる。続いて、切断部材の動作を反転させ、チャネルの挿差機端部から離れる方向に切断部材は動かされる。実質的には、切断部材は、巻芯の下流にある巻取りクレードルに近接した位置で巻芯送りチャネルに挿差される。その後、切断部材の動作は、チャネルの入口に向かって、すなわち巻芯及びチャネルのウエブ材料の送り方向に対して逆方向に継続される。これにより、ウエブ材料と相互に作用すること例えば巻取りローラーに対してそれを挟持することによって切断部材はウエブ材料と接触する位置と巻取りクレードルに巻き付けられるログとの間でウエブ材料を切断するのが保証される。その後、その動作を反転することによって、切断部材はチャネルに挿差された同じ領域でチャネルから引き出され実質的に終了する。
【0020】
切断部材の動作の第二のステップでは、切断部材は巻芯の送り方向と実質的に一致する方向に動作して巻芯との衝突を回避する。
【0021】
言い換えれば、この実施形態によれば、切断部材は、往復動作好ましくは回転往復動作に従って制御され、一方向及び次に逆の方向で同一軌道に沿って移動し、切断部材は、ウエブ材料と相互作用してその軌道の反転部位でウエブ材料を切断する。
【0022】
この形式の構成によれば、ウエブ材料の切断後ホールドバックされるウエブ材料の後尾部の長さを減少させることができる共に、巻取りローラーに対する切断部材の作用の結果として巻き直し機において生じる震動を低減させることができる。さらに摩耗を補償するために、巻き直し機を停止させ機械的な部材を手動で操作する必要なしに切断部材を調節することも可能である。事実、この場合、制御パネルによる調節を実行することが可能であり、切断部材を作動させるモーター動作を変更する。切断部材のパッドが摩耗した場合、動作が反転する部位をチャネルの入口近くに動かし、切断部材の軌道を伸ばすことで十分であり、常時ウエブ材料の引き裂きを得るのに十分である巻取りローラーに対する切断部材の正確な圧力が得られる。例えば、巻芯の送りの方向に対して逆の方向に各週何百度ものウエブ材料の切断部材の回転角度を増大させことで十分であり得る。
【0023】
機械的な部材に手動で操作する必要がなく、制御パネルからインターフェースを介してこの調節を実行する可能性に加えて、本発明のこの実施形態によれば、全交換サイクル中、回転動作を反転せずに回転する切断部材を備えた従来の巻き直し機に対して実質的に摩耗が低減される。これは、パッドとウエブ材料の間に依然として引き裂きを引き起こすのに十分な必要圧力を一定した最小値に維持することが可能であるという事実に基いている。特に、本発明の有利な実施形態によれば、ミシン目を画定する穿孔の間のウエブ材料の部分の耐性の関数としてウエブ材料とパッドとの間のこの圧力を調節することができる。このようにして、引き裂きは製品の形式の関数として引き起こされる。代わりに或いは追加的に、ウエブ材料の速度の関数としてウエブ材料とパッドとの間の圧力を調節することが可能である。事実、速度が増大すると、ウエブ材料に対するパッドの圧力はウエブ材料を引き裂くのに低い圧力で十分である。
【0024】
巻き直し機がウエブ材料を引き裂くミシン目と一致せずに不正確にウエブ材料の切断が不正確に或いは一致せずにウエブ材料を切断する危険があるために、パッドとペーパーとの間の圧力が低圧力であるため(そのためローラーに対するパッドの押しはより減少するため)、震動の減少が得られ、結果的にこの影響により引き起こされる機械的応力は低減或いは除去される。
【0025】
その他の実施形態によれば、切断部材は、その前進速度を反転せずにすなわち変えずに巻芯送りチャネルの内側を動くように制御されるが、ウエブ材料と相互作用してウエブ材料を切断した後には加速されるような仕方で制御される。実質上、切断部材は、ウエブ材料の送り速度に対し低速でチャネルに沿って前進するようにされ、切断部材との相互作用で引き起こされる減速の結果としてウエブ材料を切断させるようにしている。その後、切断部材の速度は、チャネルに送られる巻芯との衝突を回避するように加速される。実際、幾つかの実施形態によれば、切断部材は、巻芯送りチャネルを変速可能な速度で前進する。すなわち第一の速度では、ウエブ材料と相互作用し、切断部材との相互作用部位の下流でウエブ材料を引き裂くようにし、より高速な第二の速度では、巻芯と衝突する前にチャネルから切断部材を引き出すようにしている。このような仕方で、ウエブ材料の切断部位を、巻芯と巻取りローラーの周囲に案内されるウエブ材料との間の接触部位に近づけ、よって最初の巻回が巻芯の回りに形成される際にホールドバックされるウエブ材料の後尾部の長さを減少させている。
【0026】
本発明の幾つかの実施形態によれば、切断部材は、前記チャネルの外側の軸線のまわりで回転運動する。その他の実施形態では、切断部材は直線運動することができる。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態によれば、切断部材は、前記ウエブ材料と相互作用し且つウエブ材料の速度の70%以下の速度で、好ましくはウエブ材料の速度の50%以下の速度で動いてウエブ材料を切断するように制御される。切断部材が回転運動する場合には、切断部材の速度は、それがウエブ材料との相互作用の条件及び従ってウエブ材料の切り裂き或いは切断を得るための作用を決定する速度であるので、切断部材の速度は、ウエブ材料との接触部位で切断部材が想定する周速度として意図されている。
【0028】
本発明の幾つかの実施形態によれば、チャネルにおける巻芯の送り動作は、例えば、前記第一の巻取りローラーとは逆に第一の巻取りローラーと回転部材との間の巻芯の通過を許容するように第一の巻取りローラーと距離を置いて前記チャネルに沿った位置に配置された回転部材を設けることによって制御される。回転部材は、切断部材とウエブ材料との間の相互作用領域の上流で、前記チャネルにおける巻芯の送りの方向に対して位置決めされている。回転部材は、前記チャネルに沿った巻芯の送り動作を制御する作動装置によって制御されている。
【0029】
本発明の別の観点によれば、本発明は巻き直し機において巻芯のまわりにウエブ材料を巻き取る方法を提供し、かかる方法は、
− 巻取りクレードルの少なくとも一部分を画定する第一の巻取りローラーのまわりに送り速度で前記ウエブ材料を送るステップと、
− 前記第一の巻取りローラーと巻芯の支持面との間のチャネルに前記第一の巻取りローラーに近接して、有利には支持面と第一の巻取りローラーのまわりに案内されるウエブ材料とに接触して巻芯を挿差するステップと、
− 有利にはモーターで制御された切断部材を設けるステップと、
− 前記モーターによって前記チャネルに切断部材を挿差し前記チャネルに沿って前記ウエブ材料に前記切断部材を作用させ、例えば、切断部材と第一の巻取りローラーとの間でウエブ材料を挟持し、ウエブ材料の送り速度より低速で前記ウエブ材料と接触させて前記切断部材を動かし、前記巻取りクレードルにおけるログと切断部材との間でウエブ材料を切断するステップと、
− ウエブ材料の切断後、前記切断部材を加速して前記チャネルから引き抜くステップと
を含む。
【0030】
本発明による方法の好ましい幾つかの実施形態によれば、切断部材は、前記チャネルにおけるウエブ材料の送りの方向とは逆の方向の動作でチャネルに挿差され、ウエブ材料に対して押圧し、切断部材と巻取りクレードルに形成されるログとの間の位置でウエブ材料を切断し、続いて、切断部材の動作を反転させてチャネルから取り除く。
【0031】
本発明のさらなる利点及び実施形態は、本明細書と一体部分を成す特許請求の範囲に記載されている。
【0032】
本発明は、本発明を限定しない実質的な実施形態を示す添付図面を参照して以下の説明からより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1A】本発明の第一の実施形態による巻き直し機の交換段階での動作順序を示す図。
図1B】本発明の第一の実施形態による巻き直し機の交換段階での動作順序を示す図。
図1C】本発明の第一の実施形態による巻き直し機の交換段階での動作順序を示す図。
図2A】本発明の第二の実施形態による巻き直し機の同様な動作順序を示す図。
図2B】本発明の第二の実施形態による巻き直し機の同様な動作順序を示す図。
図2C】本発明の第二の実施形態による巻き直し機の同様な動作順序を示す図。
図3】本発明の第三の実施形態による巻き直し機の概略側面図。
図4A】切断部材の異なる形態での図2Aと同様な動作順序を示す図。
図4B】切断部材の異なる形態での図2Bと同様な動作順序を示す図。
図4C】切断部材の異なる形態での図2Cと同様な動作順序を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
まず、図1A図1Cを参照すると、一つの可能な実施形態において、巻き直し機は、第一の巻取りローラー1と、第二の巻取りローラー3と、第三の巻取りローラー5とを備えている。第一の巻取りローラー1と第二の巻取りローラー3との間には、ウエブ材料Nを通す巻取りニップ7が形成され、ウエブ材料Nは、三つのローラー1、3、5の集合体により画定される巻取りクレードル内でログLを形成するために巻き取られるように送られる。第三の巻取りローラー5はアーム5Aで支持され、アーム5Aは徐々に引き上げられて巻取りクレードル内で形成されるログLの直径を増大できるようにしている。上述の型式の巻取りローラーの利用に基いた周辺巻き直し機の動作は従来公知であるのでここでは詳細な説明は省略する。
【0035】
巻取りローラー1と3との間のニップ7の上流(ウエブ材料Nの送りの方向に対して)には、チャネル9が伸びており、このチャネル9は、第一の巻取りローラー1の円筒状表面と巻芯Aの支持面11との間に形成され、巻芯Aは順に巻き直し機に挿差される。チャネル9の内側への巻芯Aの挿差は巻芯挿差機13で行われ、巻芯挿差機13は、図示していない送りコンベヤから巻芯を拾い上げる。送りコンベヤに沿って、各ログLの巻取りの開始時にウエブ材料Nを接着させるために、巻芯Aの環状すなわち長手方向線に従って接着剤を塗布する接着剤塗布機を設けることができる。図示された挿差機13は単に例示するだけのものであり、適切な形状のあらゆる挿差機を用いて巻芯を巻き直し機に送ることができることが理解される。
【0036】
巻芯Aの支持面11の下方には、全体を符号番号17で示す切断部材のための支持ユニット15が位置決めされている。切断部材17は、巻芯Aの支持面11の下方に位置した軸線Bのまわりを、巻芯の送りチャネル9の外側から巻き直し機内へ回転する。切断部材17は、一般的には、例えば特許文献1に記載されたものと同様であり、その内容は本発明の明細書に組み込まれている。しかし、以下で明らかになるように、切断部材を制御する方法は前述の問題点を解決するため先行技術の巻き直し機で提供された方法とは異なっている。
【0037】
切断部材17は、例えばゴム等のような摩擦係数の高い材料、好ましくは弾性的に曲る材料で作られた1つ以上のパッドを担持するか或いはそれらで構成される端部17Aを備えている。これらのパッド17Aは、巻取ローラー1の周囲で案内されるウエブ材料Nと相互作用し、ウエブ材料を挟持し、巻取ローラー1の周速度によって画定される巻取速度に対して、ウエブ材料Nの速度を低下させることによってウエブ材料を切断する。
【0038】
軸線Bのまわりでの切断部材17の回転動作は、符号番号19で概略的に示されたモーターで制御される。モーター19は図面には単に概略的に示されている。モーター19は例えば、直接的に動きが伝わる切断部材17の回転軸線Bに対して同軸で配置されたモーターで置き換えることができる。その他の実施形態では、歯車装置や変速装置或いはその組合せがモーター19と切断部材17の回転軸との間に配置され得る。
【0039】
モーター19は、図1Aに概略的に示されたブログラミング可能な電子制御装置21で制御される。制御装置21はまた、公知の仕方で作動装置、モーター、センサー、エンコーダー及びその他の要素、構成部品、機器、ユニット、或いは巻き直し機の部品等のような他の複数の部材と接続され得る。例えば、制御装置21は、巻取りローラー1、3、5の回転を制御する複数のモーター、巻芯挿差機13を制御する作動装置、穿孔機(図示していない)、巻取りローラー1及び3の軸線に向かったり離れたりする巻取りローラー5の軸線の動作を制御する作動装置、さらに巻き直し機のその他の部材に接続できる。一般的に、制御装置21は、巻取り機への巻芯Aの挿差中、巻芯Aの位置を認識し、同期した仕方で交換段階を実行する部材を制御することができる。すなわち、かかる段階では、新しい巻芯Aが巻取り機に挿差されると同時に完成したログLが巻取りクレードルから取り出され、ログLの後尾部と新しい巻芯の周囲に巻き取られなければならない新しいログの先端部とを形成するためにウエブ材料Nが切断、裁断、或いは切り裂かれ、先端部は新しい巻芯に固定され、この新しい巻芯のまわりにウエブ材料が巻き取り始める。この目的のために制御装置21には、巻取り機の1つ以上の部材と関連したエンコーダー及び/又はその送りパスに沿って巻芯の位置を検出するセンサーからの信号入力が設けられている。
【0040】
図1A、1B、1Cを順に参照すると、交換段階或いは交換周期、すなわちウエブ材料の切断、ウエブ材料の切断で形成された自由端部の新しい巻芯への接着、新しいログ形成の開始、そして巻取り周期で終了した完成ログの取り出しについて以下に説明する。
【0041】
図1Aは、巻取りローラー1、3、5で画定された巻取りクレードル内に位置したログLの巻取りステップの最後の瞬間を示している。新しい巻芯Aが挿差機13によってローラー1、3間に画定されたニップの反対側の端部にあるチャネル9の入口に入れられる。巻芯Aは、巻き直し機の様々な部材、特に切断部材17及び巻取りローラー1、3、5によって実行される残りの動作と同期して制御される挿差機13によりこの位置に保持され得る。
【0042】
切断部材17は、現在(図1Aにおいて)矢印f17で示す時計回りの方向に回転している。切断部材17は、巻芯の送りチャネル9は未だ外側にあるが丁度入ろうとしている。この目的のために、公知の仕方で、巻芯Aの支持面11は一連の相互に平行なプレート11Aで構成した櫛形構造体で形成され、各プレート11Aはコアの支持面11に位置するラインを画定する。図面に見られるように、櫛形構造体の端部11Bは下方の巻取りローラー3の環状チャネルの内にのび、それによって入口端部からチャネル9に入りニップ7まで、さらにニップ7からローラー1、3、5で形成された巻取りクレードル内に巻芯Aを前進させるための連続した転動面を形成する。
【0043】
図1Bに示す段階では、新しい巻芯Aは既に送りチャネル9に挿差され、転動しながら送りチャネルに沿って前進する。送りチャネル9は、巻芯Aの直径より僅かに小さいか或いは等しい断面寸法(すなわち巻取りローラー1の軸線に対し半径方向に従って測定した)を有する。この寸法は一定であるか或いは送りチャネル9の伸長に沿って僅かに増加する。このようにして、送りチャネル9内に挿差された巻芯Aは、一方の側面が支持面と接触状し、反対側の面が巻取りローラー1のまわりを案内されたウエブ材料Nと接触する。一方の側面で巻取りローラー1と他方の面で支持面11と巻芯Aが微かに干渉することによって、ウエブ材料Nと支持面11と接触する、相対する側の部位に、図1Bに示されたように送りチャネル9に沿って転動することで巻芯Aを前進させるのに十分な圧力が発生される。巻芯Aの送り速度すなわちチャネル9に沿った巻芯の中央部位の速度は、ウエブ材料N及び支持面11とそれぞれ接触する部位の速度のベクトルの和の半分に等しい。
【0044】
そうしている間に切断部材17は、巻芯送りチャネル9内に充分に入り込んで巻取りローラー1の円筒状表面に対してウエブ材料を押圧する或いは挟持するまで前進する。
【0045】
この目的のために、切断部材17の半径方向の寸法は、切断部材17の端部パッド17Aと巻取りローラー1との間で十分な干渉を引き起こすようにされている。従ってウエブ材料Nは、切断部材17によってさらに正確には切断部材17のパッド17Aによって巻取りローラー1の対向面に対して挟持される。幾つかの実施形態によれば、切断部材17は相互に分かれて配置され且つ横方向すなわち図の平面に直交する方向従って巻取りローラー1、3の軸線1A、3Aに平行する方向に沿って整列された複数のパッド17Aを備えている。幾つかの実施形態によれば、巻取りローラー1は、好ましくはパッド17Aの位置に対応する実質的に滑らかな環状ベルトと、例えば摩擦係数の低い環状ベルトの間に介在され、グリップで覆われた高い摩擦係数の高い環状ベルトとを特徴とする表面構造を備えている。これによって、切断部材17の速度すなわちウエブ材料Nと接触する部位におけるパッド17Aの周速度が、巻取りローラー1の周速度すなわちログLにおけるウエブ材料Nの巻取り速度より遅いために、巻取りローラー1の円筒状表面の滑らかな環状ベルトに対してパッド17Aで挟持されたウエブ材料はスリップする。このようにして、巻取りクレードル内で巻取りを完了したログLと、ウエブ材料Nが切断部材17のパッド17Aによって巻取りローラー1に対して挟持される部位との間に、ウエブ材料Nの過度の張力が発生される。この張力は、ウエブ材料Nの引き裂き点を超え、この材料を切断させ、そして従ってウエブ材料Nが切断部材17のパッド17Aによる挟持部位と巻取りクレードル内に位置したログLとの間の中間領域において後尾部LC及び先端部LT(図1B)を形成させる。
【0046】
この引き裂きはパッド17Aの周速度すなわち切断部材17の速度を適当に制御することによって達成される。この速度は例えば巻取りローラー1のまわりのウエブ材料Nの送り速度の30%に等しくすることができる。
【0047】
一度ウエブ材料Nが切断されると、モーター19は切断部材17を加速させ、従って切断部材17は、チャネル9に沿って転動することで前進する巻芯Aから離れるように動いていく。切断部材17の加速が開始する瞬間は、例えば光学システム或いはウエブ材料の張力を検知するシステムによりウエブ材料の有効的な切断を検知することで決定され得る。その他の実施形態によれば、ウエブ材料の引き裂きを達成する所要時間を実験的に決定後、巻取りローラーの周速度と切断部材17の周速度との間の速度差の関数として、例えば交換段階における切断部材によって想定される角度位置の関数として角度加速の瞬間を設定することが可能である。
【0048】
交換段階中、チャネル9に沿って可変速度で切断部材17を制御することによって、巻芯の送りチャネル9に挿差された巻芯Aが巻取りローラー1のまわりに案内されるウエブ材料Nと接触する部位に向けてウエブ材料Nの切断部位(すなわち先端部LTと後尾部LCが形成される部位)を移動させるという重要な利点が達成される。その結果、巻芯Aの周囲に形成されたウエブ材料の最初の巻回の内側にホールドバックされるウエブ材料Nの部分は、従来の機械の場合よりもかなり小さくなると同時に、巻取りローラー1のまわりのウエブ材料Nの送りの方向に対して切断部材17の上流の代わりに下流でウエブ材料の切断を実行する重要な利点を維持する。
【0049】
図1Cには、切断部材17が巻芯の送りチャネル9から引き抜かれる一方で、チャネルに挿差された巻芯Aがチャネル9に沿って転動し続けてウエブ材料Nの短いホールドバック縁部を形成しながら巻芯Aのまわりに巻取りを開始する次のステップを示している。この時点で、新しい交換段階の開始まで切断部材17を停止できる。有利には、管状巻芯Aへのウエブ材料Nの接着は、図1Bでウエブ材料Nが切断部材17で切断されると巻芯Aがウエブ材料Nに対して挟持される部位に位置決めされるような仕方で、所定の角度位置で巻芯Aに塗布される接着剤C(特に図1B参照)のラインの結果として行なわれる。
【0050】
上記説明では、切断部材17は、常に同一方向(矢印f17)の回転動作でしかも交換段階中変更可能な速度で前進するような仕方でプログラミング可能な制御装置の制御下でモーター19によって制御されている。すなわち第一の時間間隔では切断部材17は低速で回転して前記材料の内側に生じた張力の結果としてウエブ材料の信頼出来る引き裂きを得、第二の時間間隔では切断部材17は加速して巻芯Aとの衝突を回避する。
【0051】
これによって、ウエブ材料Nの切断部位を、ウエブ材料が巻芯Aで挟持される部位の近くに動かすことができ、その結果、最終的には巻芯Aのまわりに形成される新しいログの第一の巻回の内側にホールドバックされるウエブ材料の長さを短縮させることができる。これは、ウエブ材料の切断後、切断部材17の加速の結果として、巻芯Aとの衝突が回避されるという事実に基いている。この加速によって、切断部材17が巻芯Aの近くで作用するとしても巻芯Aとの衝突は回避され、ログLの第一の巻回におけるウエブ材料のホールドバック長を縮小し、ウエブ材料特に可撓性の材料の場合でも迅速な切断を低速で保証するようにしている。
【0052】
図2A図2B及び図2Cは、異なる好ましい実施形態における巻き直し機の交換段階における動作順序を示している。同じ符号番号が図1A図1B及び図1Cにおけるものと同一或いは同等の部分を示している。巻き直し機の構造は実質的には同じであるが、切断部材17の制御方法が異なっており、図2A図2B及び図2Cに順に表された交換段階についての以下の説明から明らかとなる。
【0053】
要するに、この実施形態によれば、切断部材17は軸線Bのまわりの回転動作を反転するような仕方において制御装置21の制御下でモーター19によって制御される。第一の時間間隔では、ウエブ材料の切断を実行するため切断部材17は巻芯の送りチャネル9の端部に向かって反時計周り(図中)に回転し、一方、第二の時間間隔では、反対の方向すなわち巻芯の送りチャネル9の内側から引き出すために時計周り(図中)に回転し、その結果チャネル9内に送られる新しい巻芯との衝突を回避している。
【0054】
さらに特に、図2Aには交換段階中の位置を示している。挿差部材13は、巻取りローラー1と3との間に画定されたニップ7の反対側のチャネル9の入口に新しい巻芯を運ぶ。特にローラー1、3、5で形成された巻取りクレードルの内側でログLは完成し、ウエブ材料の切断後、巻取りクレードルから外されなければならない。
【0055】
図2Bでは、切断部材17は巻芯の送りチャネル9の内側に位置し、巻芯Aは支持面11上を転動することによってチャネルに沿って前進し始め、そしてウエブ材料Nは切断されて後尾部LC及び先端部LTを形成する。またこの場合、切断は、巻取りローラー1従ってログLのまわりに巻取られるウエブ材料Nにおける速度と、切断部材17のパッド17Aの周速度との間の速度差の結果として行なわれる。またこの場合、パッド17Aは、チャネル9に沿ったウエブ材料Nの送り速度に対して低速でしかも反対の方向である。
【0056】
切断部材17の上流でウエブ材料Nは速度を緩めて新しい巻芯Aに接着し始める。
【0057】
この時点において図2Cに見ることができるように、切断部材17はその動作を反転でき、送りチャネル9から引き出される。このようにして、巻芯の送りチャネル9はフリーにされる。巻芯Aは切断部材17と衝突せずにニップ7に向かって巻取りクレードル内を転動できる。
【0058】
切断部材17は次の交換段階までこの位置に留まる。
【0059】
図1A図1Cを順次参照して上記で観察したように、切断部材17の動作の反転又は変化(前述の場合のようにチャネル9における切断部材17の加速)は、ウエブ材料の有効な切断を検知する関数として行なわれる。しかし、好ましくは制御装置21は、経験的に決定した角度位置に到達後、切断部材17の回転運動を反転してウエブ材料の切断を保証するような仕方でプログラミングされている。この位置に到達した後、動きは反転される。
【0060】
実際、この実施形態によれば、切断部材17は、切断部材17が巻芯の正面においてチャネル9の内側すなわち新しい巻芯の下流で新しい巻芯と巻取りクレードルから外されようとしているログLとの間にある場合に、往復動するが、必ずしも必要ではないが、好ましくは方向の反転を伴う回転往復動する。
【0061】
この実施形態でも、巻芯は切断部材17との衝突が回避され、さらに、ウエブ材料の切断が行なわれるラインが挿差されることになる新しい巻芯Aに近接しているということにより、ログの内側に保持されるウエブ材料のホールドバックは非常に短い。さらにこの場合、切断部材17の交互の動き(図示された例では回転動作)の反転が行なわれる角度位置はプログラミングでき変更可能である。これによって切断部材17のパッド17Aの摩耗を補償するために動作が反転する部位を徐々に後退させるように巻き直し機を調節することができる。
【0062】
図示されていないその他の実施形態では、切断部材17の交互の動作は、例えば回転モーター及びネジ山を切られたロッドとナットとを備えた駆動手段或いはリニアモーターを介して制御される直線動作である。
【0063】
図2A図2B図2Cに示された巻き直し機のさらに改良された実施形態は、図3に示されている。同じ符号番号は前述の実施形態のものと同一或いは同等の部分を示している。
【0064】
図3に示された実施形態によれば、例えば巻芯Aの支持面11の下方に位置決めされた共通の軸31Aに取付けられたディスク或いはローラーで構成される回転部材31は、環状巻芯Aの送りチャネルに沿って位置決めされている。回転部材31を形成する様々なディスクは環状巻芯Aの支持面11から僅かに突き出ている。
【0065】
切断部材17が前述の図2Bで示された位置と一致した、図3に示された位置にある場合、環状巻芯Aは、上方では巻取りローラー1のまわりを案内されるウエブ材料と接触し、下方では回転部材31と接触するように位置決めされている。回転部材31は、制御装置21で制御されるモーター33の制御の下で、矢印f31で示された方向に回転する。巻取りローラー1の回転速度と回転部材31の回転速度は、チャネル9に入っている切断部材17が、ウエブ材料Nに作用してウエブ材料Nを挟持して図3における反時計回りの方向(矢印f17x)に前進する瞬間に、巻芯Aを減速させるか或いはさらにチャネル9に沿ったその前進を停止させるような仕方で制御される。チャネル9内での巻芯Aの前進の一時的な停止或いは減速は、切断部材17がウエブ材料Nに作用してそのウエブ材料Nを切断させる際に、巻芯A及び切断部材17が衝突するのを阻止する。その後、切断部材17の回転は反転され(矢印f17y)、巻芯Aはチャネル9に沿って転動することで前進を続けることができる。この目的のために、巻芯が再び前方に動き始め或いは何れの場合においても巻芯の前進動作を加速するように、回転部材31は減速或いはさらには停止される。これに関連して巻芯Aの中心は、巻芯Aが一方の側で支持面11或いは回転部材31と及び他方側で巻取りローラー1のまわりを案内されるウエブ材料Nと接触する直径上相対した部位の速度のベクトルの和の半分に等しい速度(fA)で送られることが認識されなければならない。
【0066】
図3の実施形態によれば、チャネル9に沿った巻芯Aの前進を制御された仕方で減速する可能性により切断部材17の加速を減じることが可能である。代わりに、巻き直し機の高い生産速度及び/又は大きな動作信頼性及び確実性が達成される。回転部材31は、送りの方向(図1A図1C)の反転動作のない切断部材17の場合と、ウエブ材料の切断後その動作(図2A図2C)を反転する切断部材17の場合の両方で使用できる。
【0067】
図4A図4Cには、切断部材17の異なる構造の実施形態による、図2A図2Cに示すものと同様な動作順序を示している。同じ符号番号は前述の実施形態のものと同一或いは同等の部分を示している。
【0068】
図面は単に本発明の実際の例を示すだけであり、本発明の概念の範囲から逸脱することなく形態及び構成を変えることができることが理解される。特許請求の範囲における符号は単に発明の詳細な説明及び図面に関連して請求項を読みやすくするためのものであり、特許請求の範囲に記載した保護の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0069】
1:第一の巻取りローラー
3:第二の巻取りローラー
5:第三の巻取りローラー
5A:アーム
7:ニップ
9:チャネル
11:支持面
11A:プレート
11B:端部
13:挿差機
15:支持ユニット
17:切断部材
17A:パッド
19:モーター
21:制御装置
31:回転部材
31A:軸
A:巻芯
B:軸線
f17:矢印
f17x:矢印
f17y:矢印
fA:速度
L:ログ
LC:後縁端部
LT:先端部
N:ウエブ材料
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C