(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えばオフィスビルなどの建物を解体するにあたり、建物がS造(鉄骨造)の場合には、床や梁、柱、壁などの建物構成部材を階層ごとに破砕や部材単体状に解体し、粉砕されたガラや廃材は、破砕機により、開口部より、地上階まで落下させて、搬出し、解体工事を進めてゆく。また、例えば敷地が狭い場合や建物が高層の場合には、タワークレーンを揚重機として使用し、上層階から順に建物を解体してゆく。
【0003】
より具体的に、S造の建物を解体する場合には、H形鋼などの鉄骨の梁や柱を予め支保工やプレートを仮設して支持しておき、ガスバーナなどの切断機や、油圧ショベルのアタッチメントをバケットからカッターに付け替えた解体作業機を用いて切断して、鉄骨部材を解体する。あるいは、ガスバーナなどで鉄骨部材の一部分残すように切断した段階でタワークレーンなどの揚重機で切断解体対象の鉄骨部材を吊り下げ支持し、この状態で残りの鉄骨部分を完全に切断し、分離した鉄骨部材を揚重機で地上に吊り下す(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、RC造(鉄筋コンクリート造)及び/又はSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の建物を解体する場合には、一般に、油圧ショベルのアタッチメントをバケットからブレーカに付け替えた解体作業機(破砕機)を用い、コンクリートを破砕し、内部の鉄骨や鉄筋をガスバーナなどの切断機で切断したり、アタッチメントをカッターに付け替えて切断するようにしている。
【0005】
しかしながら、RC造、SRC造の建物をブレーカやカッターを用いて破砕、切断する場合には、大きな騒音や振動が発生し、また、粉塵が飛散するなど、近隣や作業現場内の環境上の悪影響が大きい。このため、解体現場周辺の状況によっては、作業の中断を求められたり、作業時間の短縮を求められることもある。さらに、解体作業時に、柱や壁が倒壊する事故が発生した事例もあり、RC造、SRC造の解体工事は特に安全性の点で注意が必要とされる。
【0006】
また、大型の鉄骨部材を破断するため、大型の解体作業機(破砕機)が必要となる。さらに、この大型重機の重量に耐えるために作業床の補強が必要になることも多い。そして、この場合には、例えば、下階から仮設の支保工などで床の補強を行った上で対象階の解体作業を行うようにしており、床の補強に多大な労力と時間、コストが必要になる。また、大型の鉄骨を破断する際に解体作業機のカッターの刃が欠けることもよくあり、RC造、SRC造の解体工事では、アタッチメントの交換頻度が高く、このような点からも高コストになる。
【0007】
これに対し、ワイヤーソー(ワイヤーソー装置)を用いてコンクリートと鉄骨や鉄筋を同時に切断し、RC造、SRC造の梁や柱、壁などの建物構成部材を解体する方法が実用化されている。ワイヤーソー装置は、複数のプーリーに無端状のワイヤーソーが巻き掛けられ、駆動プーリーの駆動によって順次一方向にワイヤーソーが回動する。そして、この回動するワイヤーソーを切り込ませることにより、RC造、SRC造の建物構成部材を切削し、切断することができ、騒音や振動の発生、粉塵の飛散などを抑えて解体作業を進めることができる。
【0008】
また、一般に、建物構成部材をワイヤーソー装置で切断する際には、切断対象の部材に予めワイヤーソーを巻き掛けてセットし、回動するワイヤーソーを部材の裏手側から切り込ませ、順次手前に引き付けながら(引き込みながら)部材を切削してゆく。すなわち、切削時にワイヤーソーの切込力の調整が容易で、所望の切込力を容易に得ることができるなどの点から、引き切り方式のワイヤーソー装置を用いてRC造、SRC造の部材を切断するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、引き切り方式のワイヤーソー装置で、RC造、SRC造の建物構成部材を切断して解体する場合には、切断作業時に無端状のワイヤーソーの内部に切断対象の部材が配されるように、高所に上って予め切断対象の部材にワイヤーソーを巻き掛けてセットする装置設置作業が必要になる。そして、作業中の段取り替えを含め、このワイヤーソーを巻き掛ける装置設置作業が多大な時間と労力を要し、作業効率を悪化させる一要因となっていた。
【0011】
また、ワイヤーソーを引き付けながら部材を切削してゆくため、ワイヤーソーを引き付ける反力が必要になる。このため、例えば、ワイヤーソー装置の本体部分を切断対象の部材にアンカーで固定するなどの段取りが必要になり、この段取り作業も作業効率を悪化させる要因となっている。さらに、作業者によるワイヤーソー装置操作側に対し、切断対象の部材の裏側からワイヤーソーを切り込ませ切削してゆくことになるため、冷却水の供給や放水方向の調整などの段取りや作業中の調整にも多大な労力を要する。
【0012】
さらに、ワイヤーソーを部材に巻き掛けて切断作業を行う場合には、切断作業時にオープンな環境で長いワイヤーソーが回動している状態になる。このため、ワイヤーソーの安定性を確保したり、切断作業周辺への他者の出入りを規制する措置が必要になるなど、作業の安全性を確保するための対策にも多大な労力を要する。
【0013】
また、ワイヤーソーを部材に巻き掛けて切断作業を行う場合には、最低でも2人の作業者が必要になり、1人の作業者で切断作業を行えるようにすることが、作業効率の向上、コストの削減の点から望まれていた。
【0014】
さらに、切断したブロック状の部材をタワークレーンなどの揚重機で搬送撤去する場合に、切断作業時に一部を残すようにして部材を切削(切断)した段階で、玉掛けしてすぐに且つ簡単にガスバーナなどの切断機で完全切断し、部材を揚重機で吊り下げられるS造と異なり、RC造やSRC造をワイヤーソー装置で切断する際には、部材重量が大きいため、切断開始時から部材を確実に支持しておくことが必要になり、S造の部材の切断解体時のような吊り切り方式を採用することができない。このため、仮設の支保工を別途設けて切断対象の部材を支持したり、クレーンで切断対象の部材を切断開始時から常時吊り下げ支持した状態で切断作業を行うようにする必要が生じてしまう。特に、クレーンで切断開始時から常時吊り下げ支持して切断作業を行う場合には、クレーンの停止時間が長くなってしまい、作業効率が著しく悪化することになる。
【0015】
また、解体作業時には、地震が発生することを考慮する必要もあり、確実に且つ効率的に切断対象の部材を保持する手法の開発が強く望まれていた。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑み、RC造及び/又はSRC造の建物を、騒音や振動の発生、粉塵の飛散を抑えつつ効率的に解体することを可能にする建物の解体方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0018】
本発明の建物の解体方法は、RC造及び/又はSRC造の建物構成部材を備えて構築された建物を解体する方法であって、ワイヤーソー装置を用い、ワイヤーソーを前記建物構成部材の手前から奥側に切り込ませる押し切り方式で前記建物構成部材を切断するようにし、
前記ワイヤーソーが切り込まれて順次形成される切断溝にクサビ部材を打ち込むとともに、前記切断溝を間にして分離側の建物構成部材と非分離側の建物構成部材の所定位置にそれぞれ複数のアンカーボルトを打ち込んでゆき、前記ワイヤーソーを切り込んで
順次前記切断溝が形成されるとともに、複数の前記アンカーボルトをそれぞれ固定プレートのボルト挿通孔に挿通させつつナットを締結して固定プレートを設置し、該固定プレートによって分離側の建物構成部材と非分離側の建物構成部材を着脱可能に連結して保持するようにしたことを特徴とする。
【0019】
この発明においては、柱部材や梁部材などの建物構成部材に押し切り方式でワイヤーソーを切り込ませて順次形成される切断溝を間にして、分離側の建物構成部材と非分離側の建物構成部材にそれぞれ固設されたアンカーボルトをボルト挿通孔に挿通し、ナットを締結することによって、建物構成部材の外面に固定プレートを設置でき、この固定プレートによって分離側の建物構成部材と非分離側の建物構成部材を一時的に連結して保持することが可能になる。これにより、クレーンで切断対象の建物構成部材を保持する必要がなく、搬送撤去するまでの間、切断分離した建物構成部材を安定した状態で保持することが可能になる。
また、建物構成部材を切断する際に、ワイヤーソーの進行に伴い、建物構成部材の外面に形成された切断溝にクサビ部材を打ち込むことで、切断溝の幅を確保することができる。これにより、建物構成部材の自重によって、切断溝(切断面)の間隔に応じて倒れが生じ、ワイヤーソーを挟み込んで、切断作業時にワイヤーソーに破断等が生じるおそれをなくすことができ、効率的に切断作業を行うことが可能になる。
【0020】
また、本発明の建物の解体方法においては、前記固定プレートの複数の前記ボルト挿通孔がそれぞれ、一方向に延びて前記固定プレートの一端部で開口する長孔状でスリット状に形成されており、前記ワイヤーソーと前記切断溝が形成された前記建物構成部材の外面との間に前記固定プレートを挿入するとともに前記一方向にスライド移動させて前記ボルト挿通孔に前記アンカーボルトを挿通し、前記固定プレートを設置することが望ましい。
【0021】
この発明において、ワイヤーソー装置を用いて押し切り方式で建物構成部材の切断を行う際に、ワイヤーソー装置のワイヤーソーと建物構成部材の外面との間に十分な大きさの隙間がない場合には、固定プレートの複数のボルト挿通孔をそれぞれ、固定プレートの一端部に開口する長孔状でスリット状に形成する。これにより、ワイヤーソー装置と建物構成部材の外面との間の小さな隙間に固定プレートを差し込み、一方向にスライドさせることで、各ボルト挿通孔にアンカーボルトを挿通させることができる。よって、アンカーボルトにナットを締結して固定プレートを設置することができ、ワイヤーソーと建物構成部材の外面との間に十分な大きさの隙間がない場合であっても、固定プレートによって分離側の建物構成部材と非分離側の建物構成部材を一時的に連結して保持することが可能になる。
【0022】
さらに、本発明の建物の解体方法においては、前記固定プレートを設置した後に、補強プレートのボルト挿通孔に前記アンカーボルトを挿通し、前記固定プレートに前記補強プレートを重ねた状態でナットを締結することがより望ましい。
【0023】
この発明においては、固定プレートを設置した後に、さらにアンカーボルトに挿通して補強プレートを固定プレートに重ねて設置することで、固定プレートに長孔状でスリット状にボルト挿通孔が形成されている場合であっても、補強プレートによって強度(耐力)を確保でき、十分な耐力で分離側の建物構成部材と非分離側の建物構成部材を連結して保持することが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の建物の解体方法においては、柱部材や梁部材などの建物構成部材に押し切り方式でワイヤーソーを切り込ませて順次形成される切断溝を間にして、分離側の建物構成部材と非分離側の建物構成部材を固定プレートによって一時的に連結して保持することができる。これにより、クレーンで切断対象の建物構成部材を保持する必要がなく、搬送撤去するまでの間、切断分離した建物構成部材を安定した状態で保持することが可能になる。
【0027】
よって、固定プレートによって固定されていることで、切断作業中に地震が発生しても、分離側の建物構成部材(切断対象の建物構成部材)が倒れることを防止できる。また、切断分離され、クレーンなどで搬送撤去される前の建物構成部材も、固定プレートで固定されていることにより倒れることを防止できる。
【0028】
そして、本発明の建物の解体方法においては、固定プレートで固定し、切断対象の建物構成部材が安定した状態で保持されるため、押し切り方式のワイヤーソー装置で、建物の主要構成部材であるRC造及び/又はSRC造の柱部材や梁部材などの建物構成部材を切断分離することができる。これにより、騒音や振動、粉塵の飛散量を大幅に低減させることが可能になり、従来のように作業の中断や、作業時間の短縮を求められることのない近隣や作業現場内の好適な環境を保持することが可能になり、解体工事を効率よく円滑に進めることが可能になる。
【0029】
また、このように押し切り方式のワイヤーソー装置で柱部材や梁部材などの建物構成部材を切断分離できることで、引き切り方式と比較し、切断作業時に切断対象の建物構成部材にワイヤーソーを巻き掛けたり、ワイヤーソー装置の本体部をアンカーで部材に固定するなどの段取り作業が不要になり、効率的に部材の切断作業を行うことが可能になる。
【0030】
また、押し切り方式のワイヤーソー装置を用いることで、1人の作業者で部材の切断作業を行うことが可能になり、さらなる作業効率の向上、コストの低減を図ることが可能になる。
【0031】
さらに、引き切り方式のワイヤーソー装置のように、切断作業時にオープンな環境で長いワイヤーソーが回動している状態にならないため、ワイヤーソーの安定性を確保したり、切断作業周辺への他者の出入りを規制する措置、すなわち、作業の安全性を確保するための対策を軽減することも可能になる。
【0032】
よって、本発明の建物の解体方法によれば、RC造及び/又はSRC造の建物を、確実に騒音や振動の発生、粉塵の飛散を抑えつつ効率的に解体することができ、特に、病院や学校の周辺、市街地などにおける解体工事に好適に用いることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、
図1から
図19を参照し、本発明の一実施形態に係る建物の解体方法について説明する。ここで、本実施形態においては、本発明に係る固定プレートを用いながら建物構成部材の柱部材(及び梁部材)を切断解体するが、この建物構成部材だけでなく、建物全体の床版部材や梁部材、柱部材などの建物構成部材を解体する方法として説明を行う。
【0035】
はじめに、本実施形態の解体対象の建物は、例えば、オフィスビルなどの高層の建物であり、建物の柱や梁、壁や床の建物構成部材(床版部材、梁部材、柱部材、壁部材など)がRC造及び/又はSRC造で構築されている。なお、本発明は、高層の建物への適用に限定する必要はなく、中低層の建物に対しても勿論適用可能である。
【0036】
本実施形態の建物の解体方法では、建物を養生材で適宜覆い、建物の高層階(上階)から順次解体を行ってゆく。また、
図1に示すように、例えば、建物1の高層階(上階)から順次ブロック状に解体した部材を吊り下すためのタワークレーン(揚重機)2が建物1のエレベータホールなどを利用して立設されている。さらに、本実施形態では、タワークレーン2で吊り下したブロック状の部材に対してさらなる解体・破砕処理(小割り処理)を施すための解体作業場が建物1の隣地に設けられている。
【0037】
本実施形態の建物の解体方法では、建物1の床版部材3や梁部材4、壁部材5、柱部材6の建物構成部材の切断・解体手段としてワイヤーソー装置、ブレードカッター装置を使用する。
【0038】
本実施形態のワイヤーソー装置10は、
図2及び
図3に示すように、チルト機構付アダプター11から直線状に突設するガイドレール12と、ガイドレール12の先端に取り付けられ、切断対象の部材(柱部材6、梁部材4)を把持する把持機構13と、複数のプーリー(シーブ)14、15に無端状に巻き掛けられたワイヤーソー16を駆動プーリー15の回転駆動によって一方向に回動させるとともに、ガイドレール12に案内されてワイヤーソー16の一部を前後方向に進退させる切削機構17とを備えて構成されている。また、ガイドレール12を間に左右の両側にそれぞれ設けられたプーリー14の少なくとも一部のプーリー14は、切削機構17の進退方向に沿って独自に進退可能に設けられている。
【0039】
そして、本実施形態では、
図4に示すように、ワイヤーソー装置10を油圧ショベルのアーム18cの先端に着脱可能に取り付けられたアタッチメントのバケットと付け替えて、ワイヤーソー装置10を備える解体作業機18が構成されている。また、この解体作業機18は、運転席から作業者が1人でワイヤーソー装置10の駆動操作、解体作業機18の上部旋回体18aの旋回操作、上部旋回体18aに設けられたビーム18b、アーム18cの仰伏操作、下部走行体18dの駆動操作(走行操作)が行えるようになっている。
【0040】
これにより、作業者が適宜操作を行って、解体作業機18を自在に走行、旋回、アーム・ビームの仰伏操作することで、RC造及び/又はSRC造の梁部材4や柱部材6などの建物構成部材の任意の位置をワイヤーソー16で効率的に切断できる。
【0041】
そして、本実施形態の建物の解体方法では、建物1の建物構成部材を切断、解体する際に、極力、ワイヤーソー装置10を多用するものとする。さらに、ワイヤーソー装置10を使用して部材を切断する際に、ワイヤーソー16を部材に巻き掛け、回動するワイヤーソー16を手前に引き付け、奥側から部材に切り込ませる引き切り方式ではなく、回動するワイヤーソー16を部材に手前から押し付けて切り込ませ、順次奥側に切削してゆく押し切り方式を極力多用するようにする。
【0042】
このようにして本実施形態の建物の解体方法では、建物1の内部の梁部材(大梁)4と、柱部材6の切断分離には、ワイヤーソー装置10を押し切り方式で使用し、建物1の外周部の梁部材(壁付大梁)4及び壁部材(全面壁)5、階段などの切断分離には、引き切り方式のワイヤーソー装置を使用する。また、床版部材3の切断分離には、回転するブレードを切り込ませて切断するブレードカッター装置(道路カッター、ウォールカッター、プランジカッター等)を使用し、袖壁や下り壁など、押し切り方式のワイヤーソー装置10の適用寸法外の部材は、ブレードカッター装置を使用する。
【0043】
すなわち、本実施形態の建物の解体方法では、高層の建物1の解体工事において、最もその解体に時間と労力を要し、また、注意を要する建物の1の梁部材4と柱部材6の切断分離に押し切り方式のワイヤーソー装置10を適用するようにしている。
【0044】
このように建物の1の梁部材4と柱部材6の切断分離に押し切り方式のワイヤーソー装置10を適用するため、本実施形態の建物の解体方法では、
図1、
図5から
図9に示すように、上層階(一階層)20の建物構成部材である一部の床版部材3を先行して解体し、これら床版部材3の解体によって下層階(一階層20の直下の他階層)21の建物構成部材である一部の柱部材6と梁部材4を露出させる。
【0045】
そして、下層階21にワイヤーソー装置10を装着した解体作業機18を配置し、床版部材3を先行して解体撤去することによって露出した梁部材4と柱部材6をそれぞれ押し切り方式で切断して分離する。また、梁部材4と柱部材6をそれぞれ押し切り方式で切断分離してタワークレーン(揚重機)2で外部に搬送撤去する。
【0046】
さらに、壁部材(壁付大梁及び全面壁)5、階段などを引き切り方式のワイヤーソー装置で切断分離し、順次タワークレーン2で外部に搬送撤去する。また、袖壁や下り壁などの押し切り方式のワイヤーソー装置10の適用寸法外の部材をブレードカッター装置で切断分離して搬送撤去する。
【0047】
このように、露出した梁部材4を解体した後に柱部材6を解体し、床版部材3、梁部材4、柱部材6などを順次解体し外部に搬送撤去しながら、建物1の各階層を上層階から順に解体してゆく。
【0048】
ここで、より具体的に建物構成部材ごとの解体方法について説明する。
【0049】
[床版部材の解体]
はじめに、床版部材3を解体する方法について説明する。
【0050】
従来、S造の床版部材を解体する際には、床版部材をタワークレーン2などで吊り下げ支持しておき、小梁鉄骨を最後にガスバーナで切断分離し、搬送撤去する。そして、このS造の床版部材の小梁鉄骨は、ガスバーナを用いることにより短時間で切断できるため、クレーン2で床版部材を吊り下げ支持して待っている待機時間も少なくて済み、作業効率上の問題は少ない。
【0051】
一方、本実施形態のようなRC造、SRC造の床版部材3の場合、小梁を切断する時間がかかるため、クレーン2で吊り下げ支持した状態で切断作業を行うとクレーン2の待機時間が非常に長くなってしまう。また、小梁がない場合の保持方法も問題になる。このため、下層階の床版部材3上に仮設のサポート架台(支保工)を設置して上層階の切断対象の床版部材3を支持しておくことが必要になり、これにより、仮設の盛替や設置など、多大な労力と時間、コストを要する。さらに、床版部材3を吊り上げるための玉掛け方法として、従来、床版部材3にコア抜きの孔を設け、ボルトとワイヤーを通す方法が多用されているが、コア抜き等によってこの玉掛け作業にも多大な手間を要する。
【0052】
これに対し、本実施形態の建物の解体方法では、
図10及び
図11に示すように、床版部材3を切断作業時に保持するとともに、クレーン2による吊り上げ(吊り下し)時にワイヤーロープ等の索体22を接続するための床版保持/吊下用部材23を切断(解体)対象の床版部材3に取り付けるようにする。
【0053】
本実施形態の床版保持/吊下用部材23は、例えば、断面コ字状の溝形鋼24と、溝形鋼24の一対の側壁部24aと底板部24bに端部を接続して設けられ、玉掛け用の吊り孔25aが貫通形成された吊り板25とを備えて構成されている。また、溝形鋼24の底板部24bにはボルト挿通孔24cが貫通形成されている。なお、この床版保持/吊下用部材23は、所望の強度を備え、吊り孔25aとボルト挿通孔24cを(それぞれ所定の位置に)備えていれば特にその形状を限定する必要はない。
【0054】
このように形成された床版保持/吊下用部材23は、切断対象の床版部材3にケミカルアンカーやホールインアンカーなどで取付ボルト(アンカーボルト)26を取り付け、この取付ボルト26をボルト挿通孔24cに挿通しナットを締結することによって、床版部材3上に固設される。また、このとき、取付ボルト26を取り付けるための孔を床版部材3に穿設する際に、床版部材3を貫通して取付孔を形成してもよく、この場合には、取付孔に取付ボルト26を挿通するとともに床版部材3の下面側に設けた定着板とナットを用いて取付ボルト26の下端側を固定することにより、床版部材3に床版保持/吊下用部材23を着脱可能に取り付けることができる。
【0055】
そして、床版部材3に対し、ウォールソーや道路カッター、プランジカッター等の回転するブレードを切り込ませて部材を切断するブレードカッター装置で切断を開始し、切断された箇所から順次床版保持/吊下用部材23を取り付けてゆく。このとき、
図11に示すように、床版保持/吊下用部材23は、切断線27を跨ぐように設置される。これにより、床版部材3が切断によって分離された状態では、適宜所定の箇所に配設された複数の床版保持/吊下用部材23が切断線27を挟んで反対側の非分離側の部材に引っかかるように係止される。このため、床版部材3は、複数の床版保持/吊下用部材23によって支持され、分離した状態で保持される。
【0056】
よって、従来のように仮設のサポート架台を下層階の床版部材3上に設けて支持することを不要にし、安価な床版保持/吊下用部材23を容易に床版部材3に取り付けて、切断分離した床版部材3を確実に保持することが可能になる。
【0057】
また、切断分離した床版部材3に複数取り付けられた床版保持/吊下用部材23の吊り孔25aに玉掛けすることで、ワイヤーロープ等の索体22を容易に取り付けることができ、クレーン2によって床版部材3を吊り上げて容易に搬送撤去することができる。
【0058】
さらに、クレーン2で床版部材3を解体作業場に吊り下した段階で、ナットを外すという簡易な操作で床版部材3から床版保持/吊下用部材23を取り外すことができる。よって、この床版保持/吊下用部材23を転用しながら床版部材3の切断分離、搬送撤去を行うことが可能になる。
【0059】
一方、複数の床版保持/吊下用部材23を予め床版部材3の所定位置に取り付けておくようにしてもよい。この場合には、例えば、
図10、
図11に示すように、床版保持/吊下用部材23を取付ボルト26の軸線O1周りに回動可能に構成しておき、切断作業開始時には、全ての床版保持/吊下用部材23を回動してその向きを調整し、切断対象の床版部材3上に配されるようにしておく。そして、ブレードカッター装置で切断を開始し、切断が完了した箇所から順次床版保持/吊下用部材23を回動させて、切断線27を跨ぐようにその向きを変える。
【0060】
これにより、上記と同様に、床版部材3が切断によって分離された状態では、適宜所定の箇所に配設された複数の床版保持/吊下用部材23が切断線27を挟んで反対側の非分離側の部材に引っかかるように係止され、これら床版保持/吊下用部材23によって、切断分離した床版部材3が保持される。よって、このように構成した場合においても、上記と同様、従来のように仮設のサポート架台を下層階の床版部材3上に設けて支持することを不要にして、床版部材3を切断分離することができる。また、切断分離した床版部材3に複数取り付けられた床版保持/吊下用部材23の吊り孔25aに玉掛けすることで、ワイヤーロープ等の索体22を容易に取り付けることができ、クレーン2によって床版部材3を吊り上げて容易に搬送撤去することができる。
なお、床版保持/吊下用部材23を切断線27を跨ぐように配置した状態で、ボルトなどを用いて床版保持/吊下用部材23と非分離側の部材とを着脱可能に固定するようにしてもよい。この場合には、切断分離した床版部材3をクレーン2で搬送撤去する際に、床版保持/吊下用部材23と非分離側の部材の接合状態を解除するようにし、それまでの間、床版保持/吊下用部材23と非分離側の部材とが固定されていることで、より安定した状態で切断分離した床版部材3を保持することができる。
【0061】
[柱部材、梁部材の解体]
次に、柱部材6と梁部材4を解体する方法について説明する。
【0062】
ここで、従来、S造の柱部材や梁部材(大梁、壁付大梁)を解体する際には、ガスバーナを用いて一部を残す形で柱部材や梁部材に切り込みを入れ、このように一部を残した段階でクレーン2によって吊り下げ支持し、最後に残りの部分をガスバーナで完全に切断して柱部材や梁部材を分離し、クレーン2で搬送撤去するようにしている。これにより、クレーン2で常時吊り下げ支持する必要がなく、また、ガスバーナにより鉄骨を短時間で切断することができるため、クレーン2の待機時間を短くすることができ、効率的にS造の柱部材や梁部材の解体作業を行うことができる。
【0063】
一方、RC造、SRC造の柱部材6や梁部材4を解体する際には、その切断がS造の場合ほど容易に行えないため、すなわち、切削時間が多くかかるため、S造の解体のように残りの部分を残した段階で、クレーンで2吊り下げ支持して、最後に残りの部分を切削するようにしても、クレーン2の待ち時間が長くなってしまう。また、RC造、SRC造の柱部材6や梁部材4はS造と比較し大重量であるため、特に柱部材6は大重量であるため、切断作業時に確実に保持することが必要であり、さらに、切断途中に地震が発生することも考慮する必要がある。
【0064】
これに対し、まず、本実施形態の建物の解体方法では、
図12に示すように、柱部材6や梁部材4(以下、建物構成部材4、6とする)に対し、
図2から
図4に示したワイヤーソー16を押し付けるように作業者が1人で解体作業機18を操作し、押し切り方式でワイヤーソー16を建物構成部材4、6に切り込ませ、建物構成部材4、6を切断する。
【0065】
さらに、上記のように建物構成部材4、6を押し切り方式のワイヤーソー装置10で切断分離する際、切断の進行に伴い、建物構成部材4、6の自重により、建物構成部材4、6が傾いてワイヤーソー16を挟んでしまうことも考えられるため、これに対して、クサビ部材30を用いる。
【0066】
さらに、切断途中、切断後の切断対象の建物構成部材4、6を安定した状態で保持するため、固定プレート31を用いる。
【0067】
より具体的に、本実施形態の建物の解体方法では、建物構成部材4、6を切断する際に、ワイヤーソー16の進行に伴い、建物構成部材4、6の外面(側面)に形成された切断溝27にクサビ部材30を打ち込んで切断溝27の幅を確保する。
【0068】
また、ワイヤーソー16の進行に伴い、建物構成部材4、6の外面(側面)に形成された切断溝27を間に分離側の建物構成部材4、6と非分離側の建物構成部材4、6を連結するように固定プレート31を設置する。
【0069】
すなわち、
図12(a)に示すように、建物構成部材4、6の手前側からワイヤーソー16を切り込ませ、建物構成部材4、6を押し切り方式で切削してゆく。また、
図12(b)に示すように、ワイヤーソー装置10(切削機構17)のストロークエンドで切断を一旦停止し、この間に、形成された切断溝27にクサビ部材30を打ち込む。さらに、固定プレート31を設置する。
【0070】
ここで、本実施形態の固定プレート31は、例えば
図13から
図17に示すように、例えば、厚さ9mm程度の鋼板などを用いて矩形平板状に形成されている。また、この固定プレート31には、複数のボルト挿通孔32(
図13参照)がそれぞれ所定位置に貫通形成されている。
【0071】
そして、本実施形態の建物の解体方法では、
図12(b)、
図13に示すように、切削の進行に伴い、順次クサビ部材30を打ち込むとともに、建物構成部材4、6の外面に形成された切断溝(切断線)27を挟んで分離側の建物構成部材4、6側と、非分離側の建物構成部材4、6側とにそれぞれケミカルアンカーなどのアンカーボルト33を、材軸方向に沿って、且つ材軸方向に所定の間隔をあけ、所定位置に複数打ち込んでゆく。そして、切断作業中、複数のアンカーボルト33の間隔に応じたボルト挿通孔32を備えた固定プレート31を、ボルト挿通孔32にアンカーボルト33を挿通し、切断溝27を跨ぐようにセットし、ナットで締結する。
【0072】
また、
図12(c)に示すように、建物構成部材4、6を完全に切断する前の段階で、再度切断作業を一旦停止し、新たに形成された切断溝27の部分に対し、クサビ部材30を打ち込み、固定プレート31を設置する。さらに、
図12(d)に示すように、建物構成部材4、6を完全に切断した段階で、さらに、クサビ部材30を打ち込み、固定プレート31を設置する。
【0073】
なお、切断作業を停止して、クサビ部材30や固定プレート31を設置するタイミングは、例えば、ワイヤーソー16が建物構成部材4、6の所定位置にある主筋を目安に行うようにしてもよい。すなわち、例えば、切断すると耐力が大きく低下すると判断される主筋にワイヤーソー16が当たったときに、切断作業を停止し、この主筋を切断する前にクサビ部材30と固定プレート31を設置するようにすればよい。
【0074】
そして、このように順次クサビ部材30を切断溝24に打ち込んむことにより、切断の進行に伴い、自重によって建物構成部材4、6が傾いてワイヤーソー16を挟むことがなく、円滑に切断作業を進めることが可能になるとともに、ワイヤーソー16に破損などが生じることを防止できる。
【0075】
また、切断途中、切断後の切断対象の建物構成部材4、6に随時固定プレート31が設置され、分離側の建物構成部材4、6と非分離側の建物構成部材4、6とが固定プレート31によって連結されている。これにより、例えば、切断作業中や切断分離した建物構成部材4、6を搬送撤去するまでの間に地震が発生しても、切断分離した建物構成部材4、6が倒れたり、落下することが防止される。
【0076】
そして、切断分離した建物構成部材4、6をクレーン2などで搬送撤去する際には、クレーン2のワイヤーロープ等を建物構成部材4、6に接続して吊り下げ支持し、この状態で、固定プレート31を取り外せばよい。
【0077】
ここで、ワイヤーソー装置10(ワイヤーソー16)と建物構成部材4、6の外面との間に十分な隙間がなく、円形のボルト挿通孔32が貫通形成された固定プレート31では、ボルト挿通孔32にアンカーボルト33を挿通させることができず、設置できなくなる場合もある。
【0078】
この場合には、
図18、
図19に示すように、複数のボルト挿通孔35をそれぞれ、一方向に延びて固定プレート34の一側端(一端部)に開口する長孔状でスリット状に形成した固定プレート34を用いるようにすればよい。これにより、ワイヤーソー装置10と建物構成部材4、6の外面との間の小さな隙間に固定プレート34を差し込み、この固定プレート34を一方向にスライドさせることで、各ボルト挿通孔35にアンカーボルト33を挿通させることができ、ナットを締結することで固定プレート34を設置することができる。
【0079】
また、
図19に示すように、ボルト挿通孔36が貫通形成された補強プレート37を固定プレート34とともに設置することが好ましい。この補強プレート37は、ボルト挿通孔36にアンカーボルト33を挿通させ、固定プレート34に重ね、ナットを締結することにより設置される。これにより、固定プレート34のボルト挿通孔35を長孔状に形成しても、補強プレート37を設けることで、分離側の建物構成部材4、6と、非分離側の建物構成部材4、6とを強固に連結することができる。
【0080】
したがって、本実施形態の建物の解体方法においては、柱部材6や梁部材4などの建物構成部材に押し切り方式でワイヤーソー16を切り込ませて順次形成される切断溝27を間にして、分離側の建物構成部材4、6と非分離側の建物構成部材4、6にそれぞれ固設されたアンカーボルト33をボルト挿通孔32、35に挿通し、ナットを締結することによって、建物構成部材4、6の外面に固定プレート31、34を設置でき、この固定プレート31、34によって分離側の建物構成部材4、6と非分離側の建物構成部材4、6を一時的に連結して保持することが可能になる。これにより、クレーン2で切断対象の建物構成部材4、6を保持する必要がなく、搬送撤去するまでの間、切断分離した建物構成部材4、6を安定した状態で保持することが可能になる。
【0081】
よって、固定プレート31、34によって固定されていることで、切断作業中に地震が発生しても、分離側の建物構成部材(切断対象の建物構成部材)4、6が倒れることを防止できる。また、切断分離され、クレーン2などで搬送撤去される前の建物構成部材4、6も、固定プレート31、34で固定されていることにより倒れることを防止できる。
【0082】
また、本実施形態の建物の解体方法においては、固定プレート31、34で固定し、切断対象の建物構成部材4、6が安定した状態で保持されるため、押し切り方式のワイヤーソー装置10で、建物の主要構成部材であるRC造及び/又はSRC造の柱部材6や梁部材4などの建物構成部材を切断分離することができる。これにより、騒音や振動、粉塵の飛散量を大幅に低減させることが可能になり、従来のように作業の中断や、作業時間の短縮を求められることのない近隣や作業現場内の好適な環境を保持することが可能になり、解体工事を効率よく円滑に進めることが可能になる。
【0083】
また、このように押し切り方式のワイヤーソー装置10で柱部材6や梁部材4などの建物構成部材を切断分離できることで、引き切り方式と比較し、切断作業時に切断対象の建物構成部材4、6にワイヤーソー16を巻き掛けたり、ワイヤーソー装置10の本体部をアンカーで部材に固定するなどの段取り作業が不要になり、効率的に部材の切断作業を行うことが可能になる。
【0084】
また、押し切り方式のワイヤーソー装置10を用いることで、1人の作業者で部材の切断作業を行うことが可能になり、さらなる作業効率の向上、コストの低減を図ることが可能になる。
【0085】
さらに、引き切り方式のワイヤーソー装置のように、切断作業時にオープンな環境で長いワイヤーソーが回動している状態にならないため、ワイヤーソー16の安定性を確保したり、切断作業周辺への他者の出入りを規制する措置、すなわち、作業の安全性を確保するための対策を軽減することも可能になる。
【0086】
よって、本実施形態の建物の解体方法によれば、RC造及び/又はSRC造の建物1を、確実に騒音や振動の発生、粉塵の飛散を抑えつつ効率的に解体することができ、特に、病院や学校の周辺、市街地などにおける解体工事に好適に用いることが可能になる。
【0087】
また、本実施形態の建物の解体方法においては、ワイヤーソー装置10を用いて押し切り方式で建物構成部材4、6の切断を行う際に、ワイヤーソー装置10のワイヤーソー16と建物構成部材4、6の外面との間に十分な大きさの隙間がない場合には、固定プレート34の複数のボルト挿通孔35をそれぞれ、固定プレート34の一端部に開口する長孔状でスリット状に形成する。これにより、ワイヤーソー装置10と建物構成部材4、6の外面との間の小さな隙間に固定プレート34を差し込み、一方向にスライドさせることで、各ボルト挿通孔35にアンカーボルト33を挿通させることができる。よって、アンカーボルト33にナットを締結して固定プレート34を設置することができ、ワイヤーソー16と建物構成部材4、6の外面との間に十分な大きさの隙間がない場合であっても、固定プレート34によって分離側の建物構成部材4、6と非分離側の建物構成部材4、6を一時的に連結して保持することが可能になる。
【0088】
さらに、固定プレート34を設置した後に、さらにアンカーボルト33に挿通して補強プレート37を固定プレート34に重ねて設置することで、固定プレート34に長孔状でスリット状にボルト挿通孔35が形成されていても、補強プレート37によって強度(耐力)を確保でき、十分な耐力で分離側の建物構成部材4、6と非分離側の建物構成部材4、6を連結して保持することが可能になる。
【0089】
また、建物構成部材4、6を切断する際に、ワイヤーソー16の進行に伴い、建物構成部材4、6の外面に形成された切断溝27にクサビ部材30を打ち込むことで、切断溝27の幅を確保することができる。これにより、建物構成部材4、6の自重によって、切断溝(切断面)27の間隔に応じて倒れが生じ、ワイヤーソー16を挟み込んで、切断作業時にワイヤーソー16に破断等が生じるおそれをなくすことができ、効率的に切断作業を行うことが可能になる。
【0090】
以上、本発明に係る建物の解体方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。