(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143086
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
G11B 33/02 20060101AFI20170529BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
G11B33/02 306A
H05K5/02 B
H05K5/02 N
H05K5/02 D
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-125495(P2013-125495)
(22)【出願日】2013年6月14日
(65)【公開番号】特開2015-1992(P2015-1992A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子
(74)【代理人】
【識別番号】100158023
【弁理士】
【氏名又は名称】牛田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 高史
(72)【発明者】
【氏名】岡田 雅則
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 塁
【審査官】
岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−092345(JP,A)
【文献】
特表2007−511931(JP,A)
【文献】
特開2000−092726(JP,A)
【文献】
実開昭52−131936(JP,U)
【文献】
意匠登録第1431462(JP,S)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0290745(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0024237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 33/02
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に延びる電気機器本体と、
該電気機器本体の外側に配置されたフレームガードと、を備え、
該フレームガードは、該電気機器本体の直上で左右方向に延びる第1ガードと、該電気機器本体の下方前方で左右方向に延びる第2ガードと、該電気機器本体の下方後方で左右方向に延びる第3ガードと、を有し、
該フレームガードは、左右方向から見て、該第1ガードを頂点とし該第2ガードと該第3ガードとを結ぶ線分を底辺とする三角形状をなし、
該電気機器本体は、該フレームガードによって囲まれた該三角形状の領域内において、該第1ガード、該第2ガード及び該第3ガードから離間して配置されていることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
該電気機器本体の左右両側面から音声出力がされるよう構成された請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
該第1ガードは、前後方向において略中央に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
該フレームガードは、各ガードを接続する接続部を備え、
該接続部は、該第1ガード、該第2ガード、及び、該第3ガードのそれぞれの左右方向一端部を互いに接続する第1コネクタと、該第1ガード、該第2ガード、及び、該第3ガードのそれぞれの左右方向他端部を互いに接続する第2コネクタと、を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項5】
該三角形状は、正三角形状であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項6】
該第1ガードは、運搬時に持ち手とするハンドル部であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項7】
該電気機器本体は、該電気機器本体に接続される外部装置を格納する格納部を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項8】
該電気機器本体は、電気機器の機能を発揮させるための操作をするための操作部と、該操作に供する情報を表示する表示部と、を有し、
該電気機器本体は、左右方向から見て、三角形状をなすとともに、該第1ガードと該第2ガードとを含む仮想面と対向する該電気機器本体上の一面には、該操作部及び該表示部の少なくとも一方が配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項9】
該一面には、該操作部及び該表示部が配置されていることを特徴とする請求項8に記載の電気機器。
【請求項10】
該フレームガードは、該第1ガードと該第2ガードとを含む面と直交する方向、該第1ガードと該第3ガードとを含む面と直交する方向、及び該第2ガードと該第3ガードとを含む面と直交する方向のいずれの視認方向から見た場合であっても、左右方向端部に向かうに従って、該視認方向及び左右方向に直交する方向の寸法が徐々に小さくなるような円弧部を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運び可能な電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
持ち運び可能な電気機器を建設現場等の作業場所に持ち込み、音楽やラジオを聴きながら作業することがある。電気機器が使用される作業現場は、資材の運搬や人の往来が激しいため、一般の電気機器は、ユーザの不注意や意図せぬ資材の落下、壁等との衝突等により破損しやすく、外部からの衝撃に対する電気機器の耐久性を高める必要性があった。
【0003】
上記の問題を解決するために、略直方体の電気機器本体の各辺に対応する場所にそれぞれ棒状のガードを配置し各ガードを連結したフレームガードを、電気機器本体を保護するために電気機器本体の外側に設けた電気機器が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州登録意匠第001227540号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来型の電気機器は上面視において電気機器本体前面の操作部がガードよりも前方に突出しているため、長い木材等が倒れかかってきた場合にガードよりも前方に突出した操作部が長い木材等に衝突する虞があった。また、上記従来型の電気機器におけるフレームガードの各ガードの接続部は角張っているため、当該接続部に衝撃を受けた場合に衝撃を上手く分散することができなかった。また、上記のフレームガードは直方体の各辺に対応する位置にガードが配置されており、電気機器本体の左右方向軸延長線上から視認した場合にフレームガードも四角形状をなしている。そのため、ガードの本数及びそれぞれのガードを接続する接続部材等の部品点数が多くなり、コストアップに繋がるという問題があった。さらに、操作部及び表示部が地面に対して垂直な面に配置されているため、立ったまま操作しようとするユーザにとって操作性及び視認性が悪いという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、機械的衝撃に対しての電気機器本体の保護を万全とした電気機器を提供することを目的とする。また本発明は、フレームガードを構成する部品の点数を減らし、コストアップを抑えることができる電気機器を提供する。本発明は更に、電気機器本体の操作部や表示部に対する操作や目視が容易な電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、左右方向に延びる電気機器本体と、該電気機器本体の外側に配置されたフレームガードと、を備え、該フレームガードは、該電気機器本体の直上で左右方向に延びる第1ガードと、該電気機器本体の下方前方で左右方向に延びる第2ガードと、該電気機器本体の下方後方で左右方向に延びる第3ガードと、を有し、該フレームガードは、左右方向から見て、該第1ガードを頂点とし該第2ガードと該第3ガードとを結ぶ線分を底辺とする三角形状をなし、該電気機器本体は、該フレームガードによって囲まれた該三角形状の領域内において、該第1ガード、該第2ガード及び該第3ガードから離間して配置されていることを特徴とする電気機器を提供する。また、上記課題を解決するために本発明は、上下方向、左右方向、前後方向に寸法を有する電気機器本体と、該電気機器本体の外側に配置されて該電気機器本体と接続され、該電気機器本体を保護するフレームガードとを備え、該電気機器本体のいかなる面も該フレームガードの内側に位置していることを特徴とする電気機器を提供する。
【0008】
このような構成によると、電気機器本体のいかなる面もフレームガードの内側に位置しているため、長い木材等が倒れ掛かってきた場合であっても、当該木材等がフレームガードに先に衝突し、電気機器本体の保護をより万全とすることができる。
上記構成において、該電気機器本体の左右両側面から音声出力がされるよう構成されていても良い。さらに、該電気機器本体は、該電気機器本体に接続される外部装置を格納する格納部を有していても良い。
【0009】
本発明は更に、上下方向、左右方向、前後方向に寸法を有する電気機器本体と、該電気機器本体の外側に配置され、該電気機器本体と接続され、該電気機器本体を保護するフレームガードとを備え、該フレームガードは、左右方向端部に向かうに従って、上下方向及び前後方向の寸法が徐々に小さくなるような円弧部を含むことを特徴とする電気機器を提供する。
【0010】
このような構成によれば、フレームガードは左右方向端部に向かうに従って、上下方向及び前後方向の寸法が徐々に小さくなる円弧部を有するので、当該円弧部が機械的な衝撃を受けた場合に、衝撃が分散され、効率よく電気機器本体に作用する衝撃を緩和することができる。
【0011】
本発明は更に、左右方向に延びる電気機器本体と、該電気機器本体から外側に延びるように接続されるフレームガードとを備え、該フレームガードは、該電気機器本体の上方で左右方向に延びる第1ガードと、該電気機器本体の下方前方で左右方向に延びる第2ガードと、該電気機器本体の下方後方で左右方向に延びる第3ガードとを有することを特徴とする電気機器を提供する。
【0012】
このような構成によると、電気機器本体の左右方向軸延長線上から視認した場合に四角形状を成す従来型のフレームガードに比べてガードの数を少なくすることができる。このため、フレームガードを製造するためのガードの数を少なくすることができ、フレームガードの製造コストを削減することができる。
【0013】
該フレームガードは、各ガードを接続する接続部を備え、該接続部は、該第1ガードと該第2ガードと該第3ガードの左右方向一端部を互いに接続する第1コネクタと、該第1ガードと該第2ガードと該第3ガードの左右方向他端部を互いに接続する第2コネクタとを有し、該電気機器本体の左右方向軸延長線上から視認した場合に該第1ガードを頂点とし該第2ガードと第3ガードとを結ぶ線分を底辺とする三角形状をなすことを特徴とする電気機器を提供する。
【0014】
このような構成によれば、電気機器本体の左右方向軸延長線上から視認した場合に四角形状を成す従来型のフレームガードに比べてガードの数及びコネクタの部品点数を少なくすることができる。このため、フレームガードを製造するためのガードの数及びコネクタの部品点数を少なくすることができ、フレームガードの製造コストを削減することができる。
【0015】
上記構成の電気機器において、該三角形状は、正三角形状であることが好ましい。
【0016】
このような構成によると、第1コネクタや第2コネクタをそれぞれ複数部品から構成した場合に、それら部品の形状を同一形状とすることができる。このため、フレームガードの製造に必要な部材の種類を少なくすることができ、製造工程を減らすことでコストを削減することができる。
【0017】
また、該第1ガードは、運搬時に持ち手とするハンドル部を有することが好ましい。このような構成によると、第1ガード部を持ち手として利用することができる。このため、従来型のフレームガードのように新たに持ち手を設けることなく容易に運搬することができる。
【0018】
また、該フレームガードは、該第1ガードと該第2ガードとを含む面と直交する方向、該第1ガードと該第3ガードとを含む面と直交する方向、及び該第2ガードと該第3ガードとを含む面と直交する方向のいずれの視認方向から見た場合であっても、左右方向端部に向かうに従って、視認方向と左右方向とのいずれにも直交する方向の寸法が徐々に小さくなるような円弧部を含む構成であることが好ましい。
【0019】
このような構成によると、ガードフレームは、いずれの視認方向から見た場合であっても、左右方向端部に向かうに従って、視認方向と左右方向とのいずれにも直交する方向の寸法が徐々に小さくなるような円弧部を含むため、当該円弧部が機械的な衝撃を受けた場合に、衝撃が分散され、効率よく電気機器本体に作用する衝撃を緩和することができる。
【0020】
また、該電気機器本体は、左右方向に直交するいずれの断面においても、該フレームガードによって囲まれた該三角形状の領域内に配置されていることが好ましい。このような構成によると、電気機器本体左右方向に直交するいずれの断面においてもフレームガードは電気機器本体より外側に位置することになる。このため、長い木材等が倒れ掛かってきた場合であっても、当該木材等がフレームガードに先に衝突し、電気機器本体の保護をより万全とすることができる。
【0021】
また、該電気機器本体は、電気機器の機能を発揮させるための操作をする操作部と、該操作に供する情報を表示する表示部とを有し、該電気機器本体は、該電気機器本体の左右方向軸延長線上から視認した場合に三角形状をなすとともに、第1ガード部と第2ガード部とを含む仮想面と対向する該電気機器本体上の一面には、該操作部及び該表示部の少なくとも一方が配置されていることが好ましい。
【0022】
このような構成によると、同じ高さの従来型の断面四角形状の電気機器本体と比べた場合、操作面又は表示面を配置している一面を大きくすることができる。このため、手袋等をしているユーザであっても操作が容易となり、操作性が向上する。また、当該一面が斜め上を向いた状態となるため、立って作業するユーザから当該面を容易に視認することができる。
【0023】
上記構成において、該一面には、該操作部及び該表示部が配置されていることが好ましい。このような構成によると、一面上に操作部と表示部の両方があるため、操作部と表示部とが一つの面にまとまっていない場合に比べて、ユーザは電気機器を操作する場合、一つの面のみで表示を確認して操作することが可能となり、操作性が向上する。
【0024】
本発明はさらに、上下方向、左右方向、前後方向に寸法を有する電気機器本体と、該電気機器本体の外側に配置されて該電気機器本体と接続され、該電気機器本体を保護するフレームガードと、を備え、該フレームガードは、左右方向に伸びるガード部と、ガード部の左右両端においてガード部と本体とを接続するコネクタ部とを有し、該コネクタ部は、該ネジを貫通させることで該電気機器本体にネジ止めされ、該電気機器本体は、該上下方向において該フレームガードよりも内側に位置し、該左右方向において該コネクタ部の端面よりも内側に位置し、該電気機器本体の上部には運搬時に持ち手となるハンドル部を有し、該電気機器本体の前面には傾斜面が形成され、該傾斜面には機能を発揮させるための操作をするための操作部と、該操作に供する情報を表示する表示部とを有し、該電気機器本体の前面にはスピーカが配置されることを特徴とする電気機器を提供する。また、本発明は更に、水平面に対する底面と該底面に対して鋭角をなす傾斜面とを有する筐体を備えた電気機器本体であって、該傾斜面には、該電気機器本体の機能を発揮させるための操作をする操作部と、該操作に供する情報を表示する表示部とを配置したことを特徴とする電気機器を提供する。
【0025】
このような構成によると、同じ高さの従来型の電気機器本体の操作部又は表示部を配置している面と比べた場合、操作面又は表示面を配置する面を大きくすることができる。このため、手袋等をしているユーザであっても操作が容易となり、操作性が向上する。また、当該面が斜め上を向いた状態となるため、立って作業するユーザから当該面を容易に視認することができる。
上記構成において、該ハンドル部は該ガード部を構成していても良い。
【0026】
上記構成において、該筐体は該底面と該傾斜面による前面と、背面とにより、断面三角形状をなすことが好ましい。このような構成によると、筐体は底面と傾斜面による前面と、背面とにより、断面三角形状をなしているので、同じ高さの従来型の四角形状の電気機器本体と比べた場合に傾斜面の面積をより大きくすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の電気機器によれば、機械的衝撃に対して電気機器本体を保護できる電気機器を提供することができる。ま
た、フレームガードを構成する部品の点数を減らした電気機器を提供することができる。更に、電気機器本体の操作部や表示部に対する操作や目視が容易な電気機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施の形態による電気機器を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態による電気機器を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図3】本発明の実施の形態による電気機器の平面図である。
【
図4】電気機器本体とフレームガードとの関係を示す概念図であり、(a)は本実施の形態による電気機器本体の断面図、(b)は従来の電気機器本体の断面図、(c)は本実施の形態による断面三角形の電気機器本体を有する電気機器の断面図、(d)は断面四角形の電気機器本体を有する電気機器の断面図。
【
図5】本発明の実施の形態による電気機器の保護蓋を開けた状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態による電気機器を示し、(a)は正面図、(b)はVI―VI線に沿った断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態による電気機器の部分拡大図であり、特にコネクタユニットを示す。
【
図8】本発明の実施の形態による電気機器のコネクタユニットの正面図であり、(a)は第1の携帯用音響再生機器用コネクタユニットを示し、(b)は第2の携帯用音響再生機器用コネクタユニットを示し、(c)は第3の携帯用音響再生機器用コネクタユニットを示す。
【
図9】
図8の電気機器のコネクタユニットであり、(a)は側面図、(b)は
図8(a)のIX−IX線に沿った断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施の形態による電気機器について
図1乃至
図9に基づき説明する。ここで電気機器の一例としてはラジオ1であり、建設現場等の作業場所に持ち込んで使用される。
【0030】
図1に示すようにラジオ1は、ラジオ本体2とフレームガード3とにより構成されている。ラジオ本体2は、作業場所に設置したときに左右方向に延びる長尺な筐体10を有し、筐体10の左右方向に直交する平面に沿った断面が略三角形状をなしている。
【0031】
筐体10の前面側には、操作部11と、表示部12と、保護蓋13と、音を出力する一対のスピーカ部14とが設けられる。一対のスピーカ部14は筐体10の左右端部側に位置し、操作部11と表示部12と保護蓋13は、一対のスピーカ部14の間に位置する。操作部11は、ラジオの機能を発揮させるためのものであり、図示せぬダイヤルやプッシュスイッチが設けられている。表示部12は、操作に供する情報を表示する例えば液晶パネルにより構成され、操作部11の上側に位置している。保護蓋13は、左側スピーカ部14と操作部11との間に位置し、透明部13Aを備える。また保護蓋13は開閉可能に設けられている。保護蓋13が閉じている状態では、操作部11と、表示部12と、保護蓋13の該表面は略面一に形成されている。
【0032】
図4(a)に示すように、筐体10は断面視略三角形状をなしているため、その前面は水平面に対して傾斜している(底面に対して鋭角をなす)。操作部11及び表示部12が配置された前面が傾斜していることで、立って作業するユーザにとって操作部11及び表示部12を視認することが容易である。また、前面に操作部11及び表示部12が一つの面にまとまって配置されているので、ユーザはラジオ1を操作する場合に一つの面のみで表示を確認して操作することが可能となり、利便性が向上する。
【0033】
ここで、筐体10の高さ(h)と同じ高さ(h)である従来型の断面視四角形状の筐体101(
図4(b))と比較した場合に、筐体10における前面の長さ(L
1)は、筐体101における前面の上下方向の長さ(L
2)よりも長くなるため、操作部11及び表示部12等を配置する前面を従来よりも大きくすることができる。前面を大きくしたことで操作部11及び表示部12等を大きくすることができ、手袋等をしているユーザであっても容易に操作できるようになり操作性が向上する。
【0034】
筐体10の上面側には、保護蓋13を開閉するための開閉スイッチ15が保護蓋13の直上左側に設けられており、開閉スイッチ15を押すことで保護蓋13を開くことができ、保護蓋13を閉めると図示せぬ爪に引っかかり保護蓋13を閉めた状態が保持される。
【0035】
筐体10の左右方向両側面には一対のウーハー部16が設けられている。ウーハー部16を設けることで低音域を効果的に出力することができる。
【0036】
筐体10の図示せぬ底面側には、商用電源から電源を得るためのコンセントコードを収納する図示せぬ収納部が形成されている。また、筐体10の内部には図示せぬ電源バッテリが収納されている。ラジオ本体2は電源バッテリとコンセントコードとを両方備えているため、ラジオ1を使用する作業場所が商用電源を利用できる場所であるか否かによって、電源バッテリとコンセントコードとのどちらを使用するかを適宜選択することができる。筐体10の内部には更に、図示せぬ音声入出力機構が設けられており、ラジオ放送を一対のスピーカ部14及びウーハー部16から出力することができる。
【0037】
図5及び
図7に示すように、保護蓋13よりも後方には、外部機器である携帯用音響再生機器200を格納する格納部13aが設けられる。格納部13aは、操作部11、表示部12の表面よりも、筐体10の内方に凹んだ略四角形状の空間を提供している。格納部13aには、一対の保持部17と格納緩衝材18とが設けられると共に、接続孔13bが形成されている。
【0038】
図7に示されるように、接続孔13bは、格納部13aの下面の略中央に下方に凹み後述するコネクタユニット4のUSBコネクタ43を挿入接続可能となるように形成されている。コネクタユニット4は、接続孔13bにUSBコネクタ43を挿入した状態で携帯用音響再生機器200を載置し、かつ携帯用音響再生機器200と音声入出力機構とを電気的に接続する。格納緩衝材18は、格納部13aの上下方向略中央部に設けられ、格納された携帯用音響再生機器200の背面と当接し、衝撃を吸収緩和する。一対の保持部17は、格納緩衝材18の下方近傍に左右方向にスライド可能に設けられ、左方向及び右方向から携帯用音響再生機器200を挟持して保持する。このため、携帯用音響再生機器200は筐体10に固定され、携帯用音響再生機器200を格納部13aに載置したまま持ち運ぶ場合に、携帯用音響再生機器200が格納部13aから離脱したり落下することを抑制することができ、また、携帯用音響再生機器200が格納部13aに対して振動してこれらの表面が傷つくことを抑制できる。
【0039】
保護蓋13が開いている状態では、携帯用音響再生機器200は格納部13aに格納かつ載置でき、または、格納部13aから取り出すことができる。保護蓋13が閉じている状態では、携帯用音響再生機器200は外部からの埃や水等または衝撃等から保護される。また保護蓋13が透明部13Aを備えることにより、保護蓋13が閉じられた状態で、携帯用音響再生機器200は外部から視認可能となるため、ユーザは、格納した携帯用音響再生機器200の種類や携帯用音響再生機器200の情報表示部等を確認することができ、また、携帯用音響再生機器200が格納部13aに載置してあるか否かを確認することができる。
【0040】
コネクタユニット4を介して携帯用音響再生機器200と音声入出力機構とが電気的に接続されることにより、携帯用音響再生機器200の音声データが音声入出力機構に入力され、当該音声データに基づいて音楽等が一対のスピーカ14及びウーハー部16から出力される。または、コネクタユニット4を介して携帯用音響再生機器200と音声入出力機構とが電気的に接続されることにより、携帯用音響再生機器200は充電可能となる。この場合、携帯用音響再生機器200の音声データを無線LAN等により音声入出力機構に送信することもできる。
【0041】
図8(a)及び
図9(a)、(b)に示されるように、コネクタユニット4は、座部であるケース41と、第1接続部である端子接続部42と、第2接続部であるUSBコネクタ43と、ケーブル44とを有する。
図9(a)に示されるように、ケース41はコネクタユニット4の本体部をなす部分であり、上下方向略中央で上部が後方に折れ曲がっている。また、ケース41の左右方向の幅は携帯用音響再生機器200の左右方向の幅と略同じ長さに設計されており、携帯用音響再生機器200を安定して載置することができる。端子接続部42は、ケース41の上面の略中央から上面と直交する方向に延出しており、携帯用音響再生機器200と電気的に接続可能である。USBコネクタ43は、ケース41の下面(ケース41に関して上面の反対側の面)の略中央から下面と直交する方向に延出しており、接続孔13bに挿入接続することで音声入出力機構と電気的に接続可能である。ケーブル44は、ケース41の内部に配置され、端子接続部42とUSBコネクタ43とを電気的に接続している。
【0042】
ケース41は、上下方向略中央で上部が後方に折れ曲がっているため、端子接続部42の延出方向とUSBコネクタ43の延出方向とが交差している。このため、端子接続部42と携帯用音響再生機器200との接続を解除する方向が、USBコネクタ43と音声入出力機構との接続を解除する方向とは異なるため、端子接続部42と携帯用音響再生機器200との接続を解除する場合に、USBコネクタ43と音声入出力機構との接続が意図せず解除されることを抑制又は防止することができる。
【0043】
詳細には、
図9(a)に示されるように、コネクタユニット4と音声入出力機構との接続を解除するために必要なb方向の力をFbとし、携帯用音響再生機器200とコネクタユニット4との接続を解除する際にコネクタユニット4にかかるa方向の力をFaとし、FaとFbは略等しい大きさであると仮定する。携帯用音響再生機器200をFaの力でコネクタユニット4から取り外す場合に、コネクタユニット4に作用するb方向の力はFaのb方向成分すなわちFacosθとなり、携帯用音響再生機器200と音声入出力機構との接続を解除するために必要なb方向の力Fbよりも小さくなる。a方向とb方向に角度θを設けることで再生機器200とコネクタユニット4との接続を解除する際に、コネクタユニット4と音声入出力機構との接続が解除されることを抑制することができる。
【0044】
図8(a)は、iPhone(登録商標)5の外部接続端子と接続可能な端子接続部42を備えるコネクタユニット4である。
図8(b)は、iPhone(登録商標)の外部接続端子と接続可能な端子接続部42Aを備えるコネクタユニット4Aである。
図8(c)は、ANDROID(登録商標)の外部接続端子と接続可能な端子接続部42Bを備えるコネクタユニット4Bである。
図8(a)、(b)及び(c)はそれぞれの端子接続部42、42A、42Bの形状は異なるが、それぞれのUSBコネクタ43の形状は同一である。
【0045】
上記のように、外部接続端子の形状や規格等が異なる複数種類の携帯用音響再生機器200の一に対応した端子接続部42、42A、42Bを備えるコネクタユニット4、4A、4Bを用意することで、ユーザは携帯用音響再生機器200の種類に応じて適宜コネクタユニットを選択し、格納部13aに格納して携帯用音響再生機器200と音声入出力機構とを電気的に接続することができる。また、将来的に携帯用音響再生機器200の外部接続端子の新たな規格等が現れた場合であっても、当該規格に合致した端子接続部42を備えるコネクタユニットのみを製造することで新たな規格に対応することが可能である。
【0046】
図1乃至
図3に示されるように、フレームガード3は、ガード部31と、第1コネクタ32と、第2コネクタ33とを有する。ガード部31は、アルミ製の中空棒状の3本のガードから構成されており、ラジオ本体2の上方には第1ガード31Aが配置され、ラジオ本体2の下方前方には第2ガード31Bが配置され、ラジオ本体2の下方後方には第3ガード31Cが配置されている。第1コネクタ32は、それぞれのガードの左右方向一端部(右端部)を互いに接続しており、第2コネクタ33はそれぞれのガードの左右方向他端部(左端部)を接続している。
図2(b)に示されるように第1コネクタ32は、左右方向から見て第1ガード31Aを頂点とし、第2ガード31Bと第3ガード31Cとを結ぶ線分を底辺とする略二等辺三角形状をなしている。
【0047】
上記のように左右方向から見て略二等辺三角形状をなしているため、左右方向軸延長線上から見て四角形状を成す従来型のフレームガードに比べてガードの数を少なくすることができ、フレームガード3の製造のためのガード部31、第1コネクタ32及び第2コネクタ33の数を少なくすることができ、フレームガード3の製造コストを削減することができる。
【0048】
図1及び
図2(b)に示すように、第1コネクタ32は、3個の連結材32Aと、3本の連結棒32Bとから略二等辺三角形状に形成されている。連結材32Aはポリプロピレン(PP)製であって、連結材32Aには連結棒32Bと嵌合するための嵌合孔と、第1ガード31A、第2ガード31B及び第3ガード31Cのいずれかの左右方向端部と嵌合するための嵌合孔とが形成されている。連結棒32Bはアルミ製であって、中空の棒形状をなしている。
【0049】
一の連結材32Aに形成された嵌め込み孔に一の連結棒32Bの一端部を嵌め込んで固定し、他の連結材32Aに形成された嵌め込み孔に当該連結棒32Bの他端部を嵌め込んで固定することで、一の連結材32Aと他の連結材32Aとを連結している。
【0050】
ガード部31の3本のガードの左右方向右端部をそれぞれ連結材32Aに嵌め込んで固定することで、ガード部31と第1コネクタ32とを連結している。第2コネクタ33も同様の構成となっており、ガード部31の3本のガードの左端部をそれぞれ連結材33Aに嵌め込むことでガード部31と第2コネクタ33とを連結している。
【0051】
上記の構成によれば第1コネクタ32は、3個の連結材32Aと、3本の連結棒32Bとにより略二等辺三角形状に形成されているが、特に筐体10の左右方向に直交する平面に沿った断面が正三角形状のラジオ本体の場合には、3個の連結材を正三角形にしてもよい。その場合には、第1コネクタ32の製造に使用される3個の連結材32Aを全て同一形状にすることができ、フレームガード3の製造に必要な部材の種類を少なくすることができ、製造工程を減らすことでコストを削減することができる。
【0052】
また、筐体10の左右方向に直交する平面に沿った断面が正三角形状又は二等辺三角形状のラジオ本体の場合には、第1ガード31Aはラジオ本体2の重心位置の略直上に位置するため、持ち運び時の持ち手として最適である。さらに、第1ガード31Aの左右方向略中央に持ち手の負担を軽減するソフト材等を設けるか、又は、左右方向略中央の形状を持ち手にフィットする形状としたハンドル部を備えることで持ち運びがより容易となる。
【0053】
図1乃至3に示されるように、連結材32A、33Aは、第1ガード31Aと第2ガード31Bとを含む面と直交する方向、第1ガード31Aと第3ガード31Cとを含む面と直交する方向、及び第2ガード31Bと第3ガード31Cとを含む面と直交する方向のいずれの視認方向から見た場合であっても、左右方向端部に向かうに従って、視認方向と左右方向とのいずれにも直交する方向の寸法が徐々に小さくなるような円弧部32a、33aを含んでいる。このような円弧部32a、33aを有することで、当該円弧部が機械的な衝撃を受けた場合に、衝撃が分散され、効率よく電気機器本体に作用する衝撃を緩和することができる。また、ラジオ1全体が転がりやすくなり、転がることで衝撃を緩和することができる。
【0054】
図1に示されるように、連結材32A、33Aは固定手段である複数のネジ50によってラジオ本体2に直接ネジ留めされており、フレームガード3はラジオ本体2に固定されている。音響学的には、音を再生するためにスピーカに内蔵されている振動源(コーン)のみが振動し、当該振動源を支持している支持物は振動しないことが音を再現するうえで最良とされている。当該支持物の振動を抑えるために、支持物の質量を大きくする方法がある。上記の構成によれば、ラジオ本体2はフレームガード3に対して固定されているため移動不能であり、振動源を支持している支持物の質量は、フレームガード3とラジオ本体2との合計の質量である。このため、ラジオ本体2のみの場合と比較して当該支持物の質量が大きくなり、音の再現性が高くなる。また、ネジを固定手段としているので、ラジオ本体2に対するフレームガード3の固定及び接続を簡単に実現することができる。
【0055】
図4(c)に示されるように、ラジオ本体2は、左右方向に直交する平面に沿ったいずれの断面においても、フレームガード3によって囲まれた略三角形状の領域内(第1ガード31Aを頂点とし、第2ガード31Bと第3ガード31Cとを結ぶ線分を底辺とした三角形の内側)に配置されている。また、
図1乃至3に示されるようにラジオ本体2のいかなる面もフレームガード3の内側に位置している。このため、長い木材等が倒れ掛かってきた場合であっても、当該木材等がフレームガード3に先に衝突し、ラジオ本体2の保護をより万全とすることができる。
【0056】
それぞれの連結材32A及び連結材33Aのラジオ本体2の反対側の表面(
図1においてハッチングが施されている部分)には、外部からの衝撃を吸収するためのエラストマ製の衝撃緩衝材300が射出成形により設けられており、いわゆる2層成形となっている。そのため、ラジオ1が地面等に落下した場合や建設材料が倒れかかってきた場合において、衝撃緩衝材300が衝撃を吸収緩和することでラジオ本体2及びフレームガード3自体を保護することができる。さらに連結材32A及び33A自体の傷付きや破損を抑制することができ、ラジオ1の美感を保つことができる。また、ラジオ1を床等に載置した場合には、床等と対向する連結材32A及び連結材33Aの表面に設けられた衝撃緩衝材300が床に当接するため、床等を傷つけることを防止することができる。
【0057】
衝撃緩衝材300は、左右方向から見て第1ガード、第2ガード及び第3ガードよりもラジオ本体2の反対側に突出するようにそれぞれの連結材32A及び33Aに設けられている。このため、持ち運び時等に電気機器が壁や床に衝突した場合、衝撃緩衝材300が第1ガード、第2ガード及び第3ガードよりも先に壁や床に衝突し、ラジオ本体2に作用する衝撃を吸収緩和してラジオ本体2を保護する、また、それぞれのガード自体の破損傷つきをも防止することができる。
【0058】
上述した実施の形態において電気機器本体はラジオであったが、CD再生装置、携帯型テレビ等、種々の機器本体が適用可能である。また筐体10の背面に、上述した複数のコネクタユニット4、4A、4Bを収容する収容部を設けるようにしてもよい。
【0059】
また、上述した実施の形態では、筐体10の断面は三角形であるが、
図4(d)に示されるように、断面形状が四角形の筐体10Aであってもよい。その場合には、ガードの本数を4本とし、それぞれのガードを筐体10Aの角部の外側に位置させて、それぞれのガードに囲まれる領域内に筐体10Aを配置させればよい。
【符号の説明】
【0060】
1・・ラジオ、 2・・ラジオ本体、 3・・フレームガード、 4、4A、4B・・コネクタユニット、 10・・筐体、 11・・操作部、 12・・表示部、 13・・保護蓋、 13A・・透明部、 13a・・格納部、 13b・・接続孔、 14・・スピーカ部、 15・・開閉スイッチ、 16・・ウーハー部、 17・・保持部、 18・・格納緩衝材、 31・・ガード部、 31A・・第1ガード、 31B・・第2ガード、 31C・・第3ガード、 32・・第1コネクタ、 32A・・連結材、 32B・・連結棒、 33・・第2コネクタ、 33A・・連結材、 41・・ケース、 42、42A、42B・・端子接続部、 43・・USBコネクタ、 44・・ケーブル、 50・・ネジ、 101・・筐体、 200・・携帯用音響再生機器、 300・・衝撃緩衝材