特許第6143089号(P6143089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143089
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】輻射空調システムの冷温水配管設置構造
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   F24F5/00 101B
   F24F5/00 K
   F24F5/00 102C
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-129870(P2013-129870)
(22)【出願日】2013年6月20日
(65)【公開番号】特開2015-4471(P2015-4471A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】小久保 吉章
(72)【発明者】
【氏名】熊野 直人
(72)【発明者】
【氏名】村上 宏次
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−048621(JP,U)
【文献】 実開昭57−118209(JP,U)
【文献】 特開平07−133937(JP,A)
【文献】 特開平08−261515(JP,A)
【文献】 特開2001−317765(JP,A)
【文献】 特開2010−107163(JP,A)
【文献】 特開2009−174826(JP,A)
【文献】 特開平02−178536(JP,A)
【文献】 特開2001−116300(JP,A)
【文献】 特開平04−045334(JP,A)
【文献】 実開平03−124131(JP,U)
【文献】 実開昭47−018343(JP,U)
【文献】 実開昭51−144015(JP,U)
【文献】 特開2001−280876(JP,A)
【文献】 実開平01−162508(JP,U)
【文献】 特開平07−127885(JP,A)
【文献】 特開平04−288424(JP,A)
【文献】 特開2004−036928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体スラブ構築時に用いたデッキプレートに冷温水配管の周面を接触して配置し、前記デッキプレートを輻射パネルとして兼用したことを特徴とする輻射空調システムの冷温水配管設置構造。
【請求項2】
前記躯体スラブと前記デッキプレートとの間に平面パネルを配置し、該平面パネルと前記デッキプレートとの間の空隙に前記冷温水配管を配置し、該冷温水配管の周面を前記デッキプレートに接触させたことを特徴とする請求項1に記載の輻射空調システムの冷温水配管設置構造。
【請求項3】
前記躯体スラブと前記デッキプレートとの間の空隙に充填材を充填するとともに、前記冷温水配管を配置し、該冷温水配管の周面を前記デッキプレートに接触させたことを特徴とする請求項1または2に記載の輻射空調システムの冷温水配管設置構造。
【請求項4】
前記平面パネルあるいは前記充填材は、断熱材であることを特徴とする請求項2または3に記載の輻射空調システムの冷温水配管設置構造。
【請求項5】
前記充填材は、蓄熱材であることを特徴とする請求項3に記載の輻射空調システムの冷温水配管設置構造。
【請求項6】
躯体スラブ構築時に第1デッキプレートの裏面を前記躯体スラブに密着させ、第2デッキプレートの表面が前記第1デッキプレートの表面に対向するように、かつ、前記第1デッキプレート及び前記第2デッキプレートの各凹部が上下逆となるように、前記第2デッキプレートを配置し、前記第1デッキプレートと前記第2デッキプレートとの間の空隙に冷温水配管を配置し、該冷温水配管の周面を前記第2デッキプレートに接触して配置したことを特徴とする輻射空調システムの冷温水配管設置構造。
【請求項7】
躯体スラブ構築時に第1デッキプレートの裏面を前記躯体スラブに密着させ、第2デッキプレートの裏面が前記第1デッキプレートの表面に対向するように前記第2デッキプレートを平行配置し、前記第1デッキプレートと前記第2デッキプレートとの間の空隙に冷温水配管を配置し、該冷温水配管の周面を前記第2デッキプレートに接触して配置したことを特徴とする輻射空調システムの冷温水配管設置構造。
【請求項8】
前記冷温水配管は、前記デッキプレートあるいは前記第2デッキプレートの表面及び/または裏面に接触して配置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の輻射空調システムの冷温水配管設置構造。
【請求項9】
前記冷温水配管の断面形状は、前記デッキプレートあるいは前記第2デッキプレートに接触する部分が平坦であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の輻射空調システムの冷温水配管設置構造。
【請求項10】
前記冷温水配管は、前記デッキプレートあるいは前記第2デッキプレートとの接触部周縁を、ヒートシンクを介して接触させたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の輻射空調システムの冷温水配管設置構造。
【請求項11】
前記デッキプレートあるいは前記第2デッキプレートは、前記冷温水配管との接触部分を、前記冷温水配管の周面形状と同じ形状に加工して前記冷温水配管と接触することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の輻射空調システムの冷温水配管設置構造。
【請求項12】
前記デッキプレートあるいは前記第2デッキプレートの両端部に止水機構を設けるとともに、排水管を設けて、ドレンパンを形成したことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の輻射空調システムの冷温水配管設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、簡易な構成で輻射性能を劣化させずに冷温水配管を設置することができる輻射空調システムの冷温水配管設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
輻射空調方式は、熱が高温場から低温場へ遠赤外線で移動する現象を利用するものである。従来の輻射空調方式では、天井パネル表面または床(躯体スラブ内または躯体スラブ下面/上面への打増し部分)に設置あるいは打ち込んだ配管に冷温水を流して天井パネルや床を冷やしたり、温めたりすることで室温を調整している。この輻射空調方式は、省エネルギー性と、不快な気流感や室内上下温度差が少ないという快適性との両立が可能である。
【0003】
特許文献1には、冷温熱源発生機を有し、冷,熱媒が流通する伝熱パイプと、このパイプを伝熱可能に接触させた輻射プレートと、この輻射プレートの背面に前記伝熱パイプを埋設するように断熱材を取り付けて構成した輻射パネルとを備えるものが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、1方向性コンクリート天井スラブの下面に形成される凹部を閉じてスラブダクトを形成し、このスラブダクトに空調空気を流して前記コンクリート天井スラブの室内側表面を冷却するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−223287号公報
【特許文献2】特開平8−261515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、天井パネルに冷温水配管を設ける方式では、天井パネルとして鋼板やアルミなどの金属製パネルを用いることが多い。この天井パネルは、通常のボード天井(プラスターボード、岩綿吸音板、グラスウールボード、ロックウールボードなど)に比べて高価である。さらに、この天井パネルは、重量が重く、かつ、フラットバーの上に載せるようにしているため、地震などで落下しないようにするために、支持部材も重厚となり、設置工事費が大幅にアップするという問題があった。
【0007】
一方、躯体スラブ打ち込みによる冷温水配管設置方式では、躯体スラブ内に冷温水配管が配置されることによる躯体スラブの断面欠損分の補強やコンクリートの打ち増しが必要になるという問題があった。なお、躯体スラブ下面/上面の打ち増し部分に冷温水配管を設ける場合、打ち増し部分の経年的剥離に対応しておく必要がある。また、冷温水配管をコンクリートやモルタルなどの熱伝導性の悪い材料で包むため、輻射性能(熱伝導効率)が大幅に劣化することになる。特に、コンクリートやモルタルの被り厚が大きいほど、輻射性能(熱伝導効率)が劣化する。
【0008】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で輻射性能を劣化させずに冷温水配管を設置することができる輻射空調システムの冷温水配管設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる輻射空調システムの冷温水配管設置構造は、躯体スラブ構築時に用いたデッキプレートに冷温水配管の周面を接触して配置したことを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる輻射空調システムの冷温水配管設置構造は、上記の発明において、前記躯体スラブと前記デッキプレートとの間に平面パネルを配置し、該平面パネルと前記デッキプレートとの間の空隙に前記冷温水配管を配置し、該冷温水配管の周面を前記デッキプレートに接触させたことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる輻射空調システムの冷温水配管設置構造は、上記の発明において、前記躯体スラブと前記デッキプレートとの間の空隙に充填材を充填するとともに、前記冷温水配管を配置し、該冷温水配管の周面を前記デッキプレートに接触させたことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる輻射空調システムの冷温水配管設置構造は、上記の発明において、前記平面パネルあるいは前記充填材は、断熱材であることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる輻射空調システムの冷温水配管設置構造は、上記の発明において、前記充填材は、蓄熱材であることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる輻射空調システムの冷温水配管設置構造は、躯体スラブ構築時に第1デッキプレートの裏面を前記躯体スラブに密着させ、第2デッキプレートの表面が前記第1デッキプレートの表面に対向するように、かつ、前記第1デッキプレート及び前記第2デッキプレートの各凹部が上下逆となるように、前記第2デッキプレートを配置し、前記第1デッキプレートと前記第2デッキプレートとの間の空隙に冷温水配管を配置し、該冷温水配管の周面を前記第2デッキプレートに接触して配置したことを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる輻射空調システムの冷温水配管設置構造は、躯体スラブ構築時に第1デッキプレートの裏面を前記躯体スラブに密着させ、第2デッキプレートの裏面が前記第1デッキプレートの表面に対向するように前記第2デッキプレートを平行配置し、前記第1デッキプレートと前記第2デッキプレートとの間の空隙に冷温水配管を配置し、該冷温水配管の周面を前記第2デッキプレートに接触して配置したことを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる輻射空調システムの冷温水配管設置構造は、上記の発明において、前記冷温水配管は、前記デッキプレートあるいは前記第2デッキプレートの表面及び/または裏面に接触して配置されることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる輻射空調システムの冷温水配管設置構造は、上記の発明において、前記冷温水配管の断面形状は、前記デッキプレートあるいは前記第2デッキプレートに接触する部分が平坦であることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる輻射空調システムの冷温水配管設置構造は、上記の発明において、前記冷温水配管は、前記デッキプレートあるいは前記第2デッキプレートとの接触部周縁を、ヒートシンクを介して接触させたことを特徴とする。このヒートシンクを介して冷温水配管とデッキプレートあるいは第2デッキプレートとを接触させることで、冷温水配管とデッキプレートと間の接触伝熱面積を増加させることができる。
【0019】
また、この発明にかかる輻射空調システムの冷温水配管設置構造は、上記の発明において、前記デッキプレートあるいは前記第2デッキプレートは、前記冷温水配管との接触部分を、前記冷温水配管の周面形状と同じ形状に加工して前記冷温水配管と接触することを特徴とする。すなわち、デッキプレートあるいは第2デッキプレート自体を冷温水配管の配管形状に加工して冷温水配管を配置することで、ヒートシンク効果を持たせるようにしている。
【0020】
なお、冷温水配管の周面をデッキプレートあるいは第2デッキプレートの表面に接触させた状態で、冷温水配管の一部あるいは全体を高い熱伝導性の塗り材で貼り固めてもよい。これによって、塗り材がヒートシンクとして機能し、冷温水配管とデッキプレートあるいは第2デッキプレートとの実質的な接触面積が増大する。また、サドルによって冷温水配管4の周面をデッキプレートあるいいは第2デッキプレートの表面に直付けするようにしてもよい。これによって、冷温水配管とデッキプレートあるいは第2デッキプレートとの接触状態を確実にすることができる。さらに、サドルに替えて、接着剤を用いてもよい。この場合、接着剤は高い熱伝導性であることが好ましい。また、冷温水配管の周面をデッキプレートあるいは第2デッキプレートの表面に接触させた状態で、冷温水配管の一部あるいは全体を、発泡ウレタンなどの保温材によって貼り固めるようにしてもよい。
【0021】
また、この発明にかかる輻射空調システムの冷温水配管設置構造は、上記の発明において、前記デッキプレートあるいは前記第2デッキプレートの両端部に止水機構を設けるとともに、排水管を設けて、ドレンパンを形成することもできる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、躯体スラブ構築時に用いたデッキプレートに冷温水配管の周面を接触して配置し、前記デッキプレートを輻射パネルとして兼用しているので、簡易な構成で輻射性能を劣化させずに冷温水配管を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、この発明の実施の形態1である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。
図2図2は、この発明の実施の形態2である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。
図3図3は、この発明の実施の形態3である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。
図4図4は、この発明の実施の形態3の変形例である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。
図5図5は、この発明の実施の形態2の変形例である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。
図6図6は、この発明の実施の形態1の変形例である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。
図7図7は、この発明の実施の形態4である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。
図8図8は、この発明の実施の形態5である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。
図9図9は、冷温水配管のデッキプレートへの設置構造の変形例を示す断面図である。
図10図10は、冷温水配管のデッキプレートへの設置構造の変形例を示す断面図である。
図11図11は、冷温水配管のデッキプレートへの設置構造の変形例を示す断面図である。
図12図12は、冷温水配管のデッキプレートへの設置構造の変形例を示す断面図である。
図13図13は、冷温水配管のデッキプレートへの設置構造の変形例を示す断面図である。
図14図14は、デッキプレートに対する冷温水配管の設置位置及び設置数の変形例を示す断面図である。
図15図15は、デッキプレートに対する冷温水配管の設置位置及び設置数の変形例を示す断面図である。
図16図16は、デッキプレートに対する冷温水配管の設置位置及び設置数の変形例を示す断面図である。
図17図17は、デッキプレートに対する冷温水配管の設置位置及び設置数の変形例を示す断面図である。
図18図18は、デッキプレートに対する冷温水配管の設置位置及び設置数の変形例を示す断面図である。
図19図19は、デッキプレートに対する冷温水配管の設置位置及び設置数の変形例を示す断面図である。
図20図20は、冷温水配管の断面形状の変形例を示す断面図である。
図21図21は、冷温水配管の断面形状の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。図1において、デッキプレート2は、構造(合成)デッキとして用いられる。この冷温水配管設置構造では、冷温水配管4は、その周面がデッキプレート2の表面に直接またはヒートシンクを介して接触するようにして躯体コンクリートスラブ(躯体スラブ)1内に打ち込まれる。このデッキプレート2は、鋼板製であるため、デッキプレート本体の構造体及び型枠としての機能に加え、輻射パネルとして兼用される。したがって、専用の輻射パネルが不要となる。
【0026】
(実施の形態2)
図2は、この発明の実施の形態2である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。この実施の形態2では、デッキプレート2は、型枠デッキとして用いられ、冷温水配管4は、デッキプレート2の表面に直接またはヒートシンクを介して接触するように配置される。デッキプレート2の凹部5の領域は、軽量のシンダーコンクリート等で充填するとともに、躯体スラブ1のコンクリートを打設する際の型枠として使用することができる。また、躯体スラブ1と連続させてコンクリートを打設してその全部または一部を躯体スラブとして使用することも可能である。
【0027】
(実施の形態3)
図3は、この発明の実施の形態3である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。この実施の形態3では、実施の形態2で示した躯体スラブ1とデッキプレート2との間に平面パネルである型枠ボード3を設置し、デッキプレート1の凹部5を空隙とすることで躯体蓄熱を抑止して空調制御の応答性の敏速化と躯体の軽量化を図ったものである。
【0028】
(実施の形態1〜3の変形例)
図4は、この発明の実施の形態3の変形例である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。図4では、図1に示した型枠ボード3を、断熱ボード11としている。これによって、冷温水配管4から躯体スラブ1への放熱を抑制し、デッキプレート2への放熱を増加させることで、輻射性能(熱伝導効率)を高めることができる。
【0029】
図5は、この発明の実施の形態2の変形例である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。図5では、図2に示した構成に、図4に示した断熱ボード11を加えている。これによって、冷温水配管4から躯体スラブ1への放熱を抑制し、デッキプレート2への放熱を増加させることで、輻射性能(熱伝導効率)を高めることができる。なお、デッキプレート2の凹部5の充填材を断熱材あるいは蓄熱材としてもよい。
【0030】
図6は、この発明の実施の形態1の変形例である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。図6では、図1に示した構成において、躯体スラブ1の上面に断熱ボード11を設け、さらに断熱ボード11の上面に補強材12を設けている。断熱ボード11は断熱作用があるため、躯体スラブ1の上方面への輻射を抑えることができる。なお、この場合、躯体スラブ1は蓄熱材としても機能する。
【0031】
(実施の形態4)
図7は、この発明の実施の形態4である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。この実施の形態4では、躯体スラブ構築時にデッキプレート21の裏面を躯体スラブ1に密着させ、デッキプレート22の表面がデッキプレート21の表面に対向するように、かつ凹部5が上下逆となるように、デッキプレート22を配置し、デッキプレート21とデッキプレート22との間の空隙E2に冷温水配管4を配置し、冷温水配管4の周面をデッキプレート22に接触して配置している。この実施の形態4では、デッキプレート22を輻射パネルとして用いている。なお、既存建物の空調リニューアル時において、既存の躯体スラブ1の下面がフラットである場合や既存の躯体スラブ1の下面にデッキプレート21が設置されている場合でも、躯体スラブ1の下面、あるいはデッキプレート21の下面にデッキプレート22を設置して輻射空調システムを構築することが可能である。
【0032】
(実施の形態5)
図8は、この発明の実施の形態5である輻射空調システムの冷温水配管設置構造を示す断面図である。この実施の形態5では、躯体スラブ1構築時にデッキプレート21の裏面を躯体スラブ1に密着させ、デッキプレート23の裏面がデッキプレート21の表面に対向するようにデッキプレート22を平行配置し、デッキプレート21とデッキプレート23との間の空隙E3に冷温水配管4を配置し、冷温水配管4の周面をデッキプレート23に接触して配置している。なお、デッキプレート21,23間の空隙E3は、躯体スラブ1構築時に用いたセパレーター20を支持部材として用いることができる。この実施の形態5でも、デッキプレート23を輻射パネルとして用いている。
【0033】
<冷温水配管のデッキプレートへの設置構造の変形例>
次に、上述した実施の形態1〜5において、冷温水配管4による搬送冷温熱を効率的にデッキプレート2に伝熱させるための設置構造の変形例について説明する。図9図13は、冷温水配管4のデッキプレート2への設置構造の変形例を示す断面図である。図9では、冷温水配管4の周面をデッキプレート2の表面に接触させる場合、ヒートシンク31を介してデッキプレート2との接触部周縁を含めて接触させるようにしている。このヒートシンク31を介して冷温水配管4とデッキプレート2とを接触させることで、冷温水配管4とデッキプレート2と間の接触伝熱面積を増加させることができる。
【0034】
図10では、デッキプレート2が冷温水配管4との接触部分2aを、冷温水配管4の周面形状と同じ形状に加工して冷温水配管4とデッキプレート2との接触面積を大きくさせて、それぞれを接触させるようにしている。すなわち、デッキプレート2自体を冷温水配管4の配管形状に加工して冷温水配管4を配置することで、図9と同様のヒートシンク効果を持たせることができる。
【0035】
図11では、冷温水配管4の周面をデッキプレート2の表面に接触させた状態で、冷温水配管4の一部あるいは全体を高い熱伝導性の塗り材32で貼り固めるようにしている。これによって、塗り材32がヒートシンクとして機能し、冷温水配管4とデッキプレート2との実質的な接触面積が増大する。
【0036】
図12では、サドル33によって冷温水配管4の周面をデッキプレート2の表面に直付けするようにしている。これによって、冷温水配管4とデッキプレート2との接触状態を確実にすることができる。なお、サドル33に替えて、接着剤を用いてもよい。この場合、接着剤は高い熱伝導性であることが好ましい。
【0037】
図13では、冷温水配管4の周面をデッキプレート2の表面に接触させた状態で、冷温水配管4の一部あるいは全体を、発泡ウレタンなどの保温材によって貼り固めるようにしている。
【0038】
<冷温水配管の設置位置及び設置数の変形例>
次に、上述した実施の形態1〜5において、デッキプレート2に対する冷温水配管4の設置位置及び設置数の変形例について説明する。図14図19は、デッキプレート2に対する冷温水配管4の設置位置及び設置数の変形例を示す断面図である。図14図17では、デッキプレート2に接触配置される冷温水配管4の配置個数を空調負荷に対応させて変化させている。すなわち、同一輻射面積に対して、図14では4つ、図15では2つ、図16では6つ、図17では3つの冷温水配管4を配置している。なお、この前提は、冷温水配管4の口径、循環水量、材質等が同一であることを前提としている。したがって、冷温水配管4の口径、循環水量、材質等が異なった場合、同一輻射面積に対する冷温水配管4の配置個数も適宜変化させる。
【0039】
図14図17では、冷温水配管4がデッキプレート2の裏面側(躯体スラブ1側)に設けられていたが、図18図19では、デッキプレート2の表面側(輻射側)にも設けるようにしている。図18では、すべての冷温水配管4をデッキプレート2の表面側に配置している。また、図19では、一部の冷温水配管4をデッキプレート2の表面側に配置している。
【0040】
<冷温水配管の断面形状の変形例>
次に、上述した実施の形態1〜5において、冷温水配管4の断面形状の変形例について説明する。図20及び図21は、冷温水配管4の断面形状の変形例を示す断面図である。図1図19では、冷温水配管4の断面形状が円形であることを前提としていたが、図20及び図21では、冷温水配管4aがデッキプレート2に接触する部分を平坦にして冷温水配管4aがとデッキプレート2との接触面積が大きくなる断面形状にようにしている。具体的には、図20図21に示すように、冷温水配管4aの断面形状が押し潰された状態となるようにしてデッキプレート2との接触面積を大きくしている。したがって、冷温水配管4aは、少なくとも、接触するデッキプレート2側が平坦になっていればよい。なお、断面形状が楕円形状であっても、冷温水配管4aとの接触面積は大きくなり、全体的にデッキプレート2に近づくことになるので好ましい。また、冷温水配管4aの断面形状は矩形であってもよい。なお、冷温水配管4aは、金属管であっても、樹脂管であってもよい。
【0041】
<止水機構の付加>
上述した実施の形態1〜5において、デッキプレート2,22,23の両端部に止水機構を設けるとともに、排水管を設けて、ドレンパンを形成するようにしてもよい。止水機構は、エンドクローズド加工でもよいし、クローサーを用いてもよい。これによって、輻射温調システムに簡易的なドレンパンとしての機構を持たせることができ、漏水対策を講ずることができる。すなわち、デッキプレート2,22,23を輻射パネルとして兼用するとともに、ドレンパンとしても用いることができる。
【0042】
なお、上述した実施の形態及び変形例の構成要素は、適宜組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 躯体スラブ
2,21,22,23 デッキプレート
2a 接触部分
3 型枠ボード
4,4a 冷温水配管
5 凹部
11 断熱ボード
12 補強材
20 セパレーター
31 ヒートシンク
32 塗り材
33 サドル
E1〜E3 空隙
図1
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