特許第6143094号(P6143094)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6143094鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143094
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/30 20060101AFI20170529BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   E04B1/30 K
   E04B1/58 508P
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-159694(P2013-159694)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-31011(P2015-31011A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(72)【発明者】
【氏名】佐川 隆之
(72)【発明者】
【氏名】石井 大吾
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−231583(JP,A)
【文献】 特開2013−100667(JP,A)
【文献】 特開2005−076379(JP,A)
【文献】 特開平08−135013(JP,A)
【文献】 特開平08−312061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/30
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート部材の内部に鉄骨部材の端部側を埋設して接合する鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造であって、
前記鉄筋コンクリートに埋め込まれる前記鉄骨部材の端部側のフランジ及び/又はウェブに孔を設けるようにし、
且つ、ウェブに設ける孔は、前記鉄骨部材の端部から、0.3×鉄骨部材の埋め込み長さの範囲内に設け、
フランジに設ける孔は、前記鉄骨部材が埋め込まれる前記鉄筋コンクリート部材のコンクリートフェイス位置から前記鉄骨部材の端部において三角形分布を仮定した曲げモーメントに対し、前記鉄骨部材位置での曲げ耐力が大きくなるように設けられていることを特徴とする鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造。
【請求項2】
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造において、
前記鉄筋コンクリート部材に埋め込まれる前記鉄骨部材の端部側のフランジ及び/又はウェブの孔に鉄棒が挿入されていることを特徴とする鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばオフィスビルなどの建物には、RC造(鉄筋コンクリート造)の柱にS造(鉄骨造)の梁の梁端部を埋設して一体に接合した架構を備えて構成したものや、S造(SRC造:鉄骨鉄筋コンクリート造)の柱の下端部をRC造の基礎スラブに埋設して一体に接剛して構成したものなどがある。そして、このような鉄骨部材を鉄筋コンクリート部材に埋め込む合成構造接合部(接合構造)は、コンクリートに埋め込まれた部分で鉄骨部材とコンクリートの支圧伝達機構、すなわち、鉄骨部材に作用する外力で接合構造に発生する支圧力(テコ支圧)を伝達する機構を形成し、剛接合を実現することができる。
【0003】
この一方で、このように鉄骨部材を鉄筋コンクリート部材に埋め込む接合構造では、一般的に、優れた構造性能を有するが、複数回の地震力を受けた場合には異種部材の接合面での摩擦力劣化や割裂が生じ、鉄骨部材がコンクリートから抜け出しやすくなったり、界面のコンクリートに破壊が生じるケースがある。また、テコ支圧力に対する十分な耐力を確保するために鉄骨部材の埋め込み長さを十分に確保することが必要になる。
【0004】
これに対し、例えば、非特許文献1には、鋼製主桁と橋台との接合構造であって、橋台に埋め込まれる鋼製主桁の端部のフランジ及びウェブに複数の開孔部を設けたり、鋼製主桁の端部にバーリング加工を施したり、頭付スタッドを取り付けるなどしてなる鋼製主桁と橋台との接合構造が開示されている。そして、この接合構造においては、開孔部や頭付スタッドを取り付けたり、バーリング加工を施すことで、鋼製主桁の押し抜きせん断力を向上させることができるため、埋め込み長さを短くすることが可能になる。
【0005】
また、非特許文献2には、H形鋼製主桁の上下のフランジにカバープレートを接合するとともに、カバープレートに有孔鋼板(孔あき鋼板ジベル)を接合し、有効鋼板を橋脚部に埋設させて、主桁と橋脚部を一体に接合する接合構造が開示されている。そして、この接合構造においても、有孔鋼板によって、鋼製主桁の押し抜きせん断力を向上させることができるため、埋め込み長さを短くすることが可能になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】古賀卓,田中照久,堺純一:バーリング加工を活用した新しい機械的ずれ止めの開発実験概要及び結果、日本建築学会大会学術講演梗概集、PP.1417−1418、一般社団法人日本建築学会、2012年9月
【非特許文献2】西村泰志,吉田幹人,齋藤啓一,青山尚樹:孔あき鋼板ジベルによる柱RC・梁Sとする柱梁接合部の支圧破壊性状の改善、日本建築学会構造系論文集、第75巻、第655号、PP.1727−1735、一般社団法人日本建築学会、2010年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1の接合構造において、頭付スタッドより初期剛性、耐力ともに優れた性能を発現する孔あき加工は加工手間も少なく合理的な手法であるが、鉄骨部材に孔をあけると鉄骨部材自体の耐力を低下させことになうため、実用例が少ない。また、バーリング加工は力学的特性の検討段階である上、非常に多くの加工手間がかかる。
【0008】
また、非特許文献2の接合構造においては、孔あき鋼板ジベルを接合部内に別途追加するため、接合部内のコンクリート充填性が悪くなり、さらに追加部材が必要になることで、施工性の悪化を招くという点で課題がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、耐力を確保しつつ、施工性と鉄骨部材の定着性能を向上させ、鉄骨部材の埋め込み長さを極力短くすることを可能にする鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0011】
本発明の鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造は、鉄筋コンクリート部材の内部に鉄骨部材の端部側を埋設して接合する鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造であって、前記鉄筋コンクリートに埋め込まれる前記鉄骨部材の端部側のフランジ及び/又はウェブに孔を設けるようにし、且つ、ウェブに設ける孔は、前記鉄骨部材の端部から、0.3×鉄骨部材の埋め込み長さの範囲内に設け、フランジに設ける孔は、前記鉄骨部材が埋め込まれる前記鉄筋コンクリート部材のコンクリートフェイス位置から前記鉄骨部材の端部において三角形分布を仮定した曲げモーメントに対し、前記鉄骨部材位置での曲げ耐力が大きくなるように設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造においては、前記鉄筋コンクリート部材に埋め込まれる前記鉄骨部材の端部側のフランジ及び/又はウェブの孔に鉄棒が挿入されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造においては、鉄骨部材のフランジ及び/又はウェブにあける孔の位置を工夫することで、鉄骨部材の定着性能を向上させた分、接合部性能を向上させることができ、鉄骨部材の必要埋め込み長さを短くすることが可能になる。そして、これにより、躯体寸法をより小さくすることができ、コストダウンを図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造の支圧応力状態(a)と、フランジ孔によるせん断力(b)を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造の鉄筋コンクリート部材に埋め込んだ鉄骨部材の応力状態を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造の試設計モデルを示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造の変更例を示す斜視図であり、鉄骨部材のフランジ孔に鉄筋を挿入した構造を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造の変更例を示す斜視図であり、鉄骨部材のウェブ孔に鉄筋を挿入した構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1から図5を参照し、本発明の一実施形態に係る鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造について説明する。
【0016】
ここで、本実施形態では、本発明にかかる鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造が、例えば、オフィスビルなどの建物のRC造やSRC造の柱とS造の梁などの鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造であるものとして説明を行う。但し、本発明にかかる鉄筋コンクリート部材や鉄骨部材は、柱や梁に限定する必要はなく、S造の桁とRC造の橋脚、橋台、S造の梁とRC造の壁、S造の柱とRC造の基礎(スラブ)など他の組み合わせにも勿論適用可能である。
【0017】
そして、本実施形態の接合構造Aは、図1図2に示すように、RC造の柱(以下、RC柱またはRC部材という)1と、隣接配置したRC柱1の間に架設した各階のS造の梁(以下、鉄骨梁または鉄骨部材という)2とを接合する構造であり、RC柱1の内部に鉄骨梁2の梁端部2aを埋め込んで支圧伝達機構を形成することにより、鉄骨梁2からの支圧力(テコ支圧)をRC柱1に円滑に伝達できるように構成されている。
【0018】
より具体的に、本実施形態において、図1図2に示すように、鉄骨梁2にはH形鋼が適用され、この鉄骨梁2は、ピン接合ではなく、RC柱1に対して端部2a側を埋設させて接合されている。これにより、鉄骨梁2は、その端部側2aをRC柱1に対して一体に剛接合されている。
【0019】
また、鉄骨梁2の端部2aがコンクリート(1)に埋め込まれるため、この部分で鉄骨梁2とコンクリート(1)との間で応力が伝達され、これら部材1、2の間でせん断力Qと曲げモーメントMの双方を支障なく伝達可能な剛接合による支圧力伝達機構が形成される。
【0020】
一方、本実施形態の接合構造Aにおいては、図1図2に示すように、鉄骨梁2のフランジ2b及びウェブ2cに孔(フランジ孔3、ウェブ孔4、開孔部)をあけ、RC柱1のコンクリートに対する鉄骨梁2の埋め込み部の定着性状を向上させるようにしている。さらに、このとき、図3に示すように、本実施形態の接合構造Aでは、フランジ2b及びウェブ2cにあける孔3、4を、ヒンジ想定位置Hから離れたフランジ2bのモーメント負担応力が低下する領域に設けるようにしている。
【0021】
より具体的に、RC部材1に端部2a側を埋め込んだ鉄骨部材2の応力状態を図4(a)〜図4(c)のように想定する。図4(b)に示すように、せん断応力分布は埋め込み部中央域で大きくなっているため、中央領域にはウェブ孔4(ウェブの開孔部)を設けないようにし、本実施形態では、図3に示すように鉄骨部材2の埋め込み端部2aから0.3×d(埋め込み長さ)の範囲内に孔を設けるようにする。
【0022】
さらに、図4(c)に示すように、鉄骨部材2の曲げモーメント分布はコンクリートフェイス位置が最大で、鉄骨部材2の埋め込み端2aでは曲げモーメントは負担していない。よって、フランジ2bに設ける孔3は比較的自由度が高く、位置をあけることができる。そして、部材設計時にはコンクリートフェイス位置から鉄骨部材2の埋込み端2aにおいて三角形分布を仮定した曲げモーメントに対し、フランジ2bに設けた孔3の断面欠損を考慮した鉄骨部材2の曲げ耐力が大きいことを確認する。
【0023】
これにより、フランジ2b部分に孔3を形成することによる断面欠損がある場合であっても、フェイス位置のフランジ2bよりも先行して降伏することがなく、フェイス位置でヒンジHを形成できるような耐力を確保することが可能になる。
【0024】
よって、本実施形態の接合構造Aでは、鉄骨フランジ2b及び/又はウェブ2cにあける孔3、4の位置を工夫することで、鉄骨部材2の定着性能を向上させた分、接合部性能を向上させることができ、鉄骨部材2の必要埋め込み長さdを短くすることが可能になる。そして、これにより、躯体寸法をより小さくすることができ、コストダウンを図ることが可能になる。
【0025】
また、接合部性能の向上とともに、通常はコンクリート打設時に密な配筋で充填性が悪い接合部内についても、充填性が良くなり施工性及び品質の向上を図ることも可能になる。
【0026】
ここで、本実施形態の接合構造Aの設計方法について説明する。
なお、以下の説明で用いる各記号は次の通りである。
:埋込み柱脚のコンクリートフェイス位置における降伏曲げ耐力(kN・m)
:降伏曲げ耐力時の鉄骨部材せん断力(kN)
:埋込み柱脚のコンクリートフェイス位置における最大曲げ耐力(kN・m)
:最大曲げ耐力時の鉄骨部材せん断力(kN)
D:鉄骨部材せい(m)
B:鉄骨部材幅(m)
:鉄骨部材フランジ芯間距離(mm)
l:埋込み柱脚のコンクリートフェイス位置から部材反曲点位置までの長さ(mm)
cy:コンクリートの降伏支圧強度(N/mm
PB:フランジ孔1ヶ所あたりのせん断耐力(kN)
(QPB:コンクリートのみを考慮した場合)
ΣQPB:フランジ孔を合計したせん断耐力(鋼板1枚あたり)(kN)
PBu:挿入鉄筋を考慮したフランジ孔1ヶ所あたりのせん断耐力(kN)
(QPBu:コンクリートと挿入鉄筋を考慮した場合)
ΣQPBu:挿入鉄筋を考慮したフランジ孔を合計したせん断耐力(鋼板1枚あたり)(kN)
【0027】
まず、本実施形態の接合構造の降伏曲げ耐力は、鋼構造接合部設計指針(日本建築学会、2012年3月)の「7.4埋め込み柱脚の設計」に示される次の式(1)、式(2)に基づいて、式(3)によってフランジ孔によるせん断耐力負担MPBを算定する。
【0028】
【数1】
【0029】
【数2】
【0030】
【数3】
【0031】
また、フランジ孔によるせん断耐力負担MPBを考慮した降伏曲げ耐力My+PB、降伏せん断耐力Qy+PBは次の式(4)、式(5)で表される。
【0032】
【数4】
【0033】
【数5】
【0034】
次に、本実施形態の接合構造の最大曲げ耐力も降伏曲げ耐力と同様に考える。鋼構造接合部設計指針(日本建築学会、2012年3月)の「7.4埋め込み柱脚の設計」に示される次の式(6)、式(7)に基づいて、式(8)によって挿入鉄筋を考慮したフランジ孔によるせん断耐力負担MPBuを算定する。
【0035】
【数6】
【0036】
【数7】
【0037】
【数8】
【0038】
また、フランジ孔によるせん断耐力負担MPBを考慮した最大曲げ耐力Mu+PBu、最大せん断耐力Qu+PBuは次の式(9)、式(10)で表される。
【0039】
【数9】
【0040】
【数10】
【0041】
次に、実建物を想定して試設計した結果を示す。ここで、各部材寸法は、図5(a)、図5(b)の試設計モデルに示すように、鉄骨梁がH−800×250×12×16mm(σy=325N/mm)、埋め込み長さd=1200mm、梁のコンクリートフェイス位置から部材反曲点位置までの長さl=3600mmと設定した。また、コンクリートの設計基準強度は36N/mmとする。フランジ孔はφ50mmとし、梁端部80mmの位置から100mmピッチで2列4孔ずつ上下に設けるようにした。
【0042】
まず、降伏曲げ耐力について検討する。フランジ孔によるせん断耐力負担MPBを、次のように式(3)を用いて求める。
PB=1/2D・2・ΣQPB=1/2(800−16)・2・8(2・(50/2)π√(2/3・36・0.56√36)=786・8・43167=271・10=271kN・m
【0043】
次に、フランジ孔によるせん断耐力負担MPBを考慮した降伏曲げ耐力My+PBを、次のように式(4)を用いて求める。
y+PB=M+MPB=Fcy・B・l・d/(2・(3l+2d)+d・ΣQPB=24・250・3600・1200/(2・(3・3600+2・1200))+271・10=1178・10+271・10=1449kN・m
【0044】
ここで、梁曲げ降伏耐力Qby=Mby/l=1367/3.6=380kNとなる。
【0045】
そして、
y+PB=My+PB/l=1449/3.6=402kN >Qby・・・よって「OK」となる。
【0046】
次に、フランジ孔断面位置について検討する。
=Mby・d/d=380・400/1200=127kN・m
【0047】
フランジ孔断面位置での梁の曲げ耐力(フランジ幅B=250−50×2=150として算出)は、
bym=967kN・m >M・・・よって「OK」となる。
【0048】
ちなみに、孔を考慮しない場合、Q=M/l=1178/3.6=327kN <Qby・・・よって「NG」となる。
【0049】
したがって、フランジ孔の耐力寄与によって、埋め込み長さdを小さくすることが可能になる。
【0050】
以上、本発明に係る鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0051】
例えば、図6図7に示すように、鉄骨部材2の端部2a側に形成したフランジ孔3及び/又はウェブ孔4に鉄棒(鉄筋)5を挿入して鉄筋コンクリート部材1に埋設するようにしてもよい。この場合には、鉄骨部材2の埋め込み部分とコンクリートの定着性能が鉄棒5によってさらに向上するため、埋め込み長dをさらに短くすることが可能になる。また、フランジ孔3及び/又はウェブ孔4に鉄棒5を挿入するだけであるから、施工性の低下を招くこともない。よって、本実施形態の接合構造Aと同等以上の作用効果を得ることが可能になる。
【符号の説明】
【0052】
1 鉄筋コンクリート部材(RC柱、コンクリート)
2 鉄骨部材(鉄骨梁)
2a 端部(梁端)
2b フランジ
2c ウェブ
3 孔(フランジ孔)
4 孔(ウェブ孔)
5 鉄棒(鉄筋)
A 鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材の接合構造
H ヒンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7