特許第6143105号(P6143105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143105
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0481 20130101AFI20170529BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20170529BHJP
   G06F 3/038 20130101ALI20170529BHJP
【FI】
   G06F3/0481 120
   G06F3/0488
   G06F3/038 350R
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-231936(P2013-231936)
(22)【出願日】2013年11月8日
(65)【公開番号】特開2015-94958(P2015-94958A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(72)【発明者】
【氏名】洞江 昌尚
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 雄一
【審査官】 池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−244393(JP,A)
【文献】 特開2013−088961(JP,A)
【文献】 特開平09−190287(JP,A)
【文献】 特開2013−120487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048
G06F 3/038
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの配置される中心座標が定められた複数の項目ボタンを表示領域に表示する手段と、
入力信号に基づいて前記表示領域中の指示位置の座標を決定する手段と、
前記複数の項目ボタンのうち、前記指示位置と最も近い項目ボタンを選択状態とする手段と、
前記選択状態となった項目ボタンに選択カーソルを表示する手段と、
前記選択状態となった項目ボタンが予め定めた時間以上選択状態であった場合に、前記指示位置の座標を前記選択状態となった項目ボタンの中心座標とする手段と
前記複数の項目ボタンの中心座標を、各項目ボタンの幅の定数α倍だけ同じ方向にずらして当該項目ボタンの外形との間の座標に補正して補正中心の座標とする手段とを有し、
前記選択状態とする手段は、前記複数の項目ボタンのうち、前記指示位置の座標と前記補正中心の座標とが最も近い項目ボタンを選択状態とする情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の項目ボタンは、幅の長さが異なる請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、表示領域に表示される項目ボタン上に選択用のカーソルが位置した場合に、当該カーソルを項目ボタンの中心に引き込む情報処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この情報処理装置は、複数の項目ボタンと、当該項目ボタンを指示して選択する選択用のカーソルとを表示領域に表示し、カーソルを操作するための入力部により、項目ボタンの外形ラインの内側に配置されるボタン領域とボタン領域の外周に配置される選択領域とのいずれかにカーソルが移動されると、項目ボタンの機能が選択されるようになっており、カーソルの移動速度が所定速度より低くなった停止相当時にカーソルが選択領域内にある場合は、カーソルの座標を停止相当時となったときの位置に設定し、カーソルがボタン領域内にある場合は、カーソルの座標を項目ボタンの中心に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−120487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示す情報処理装置は、カーソルが表示されていることを前提としているが、仮にカーソルが表示されずカーソルが指示する項目ボタンが選択状態であることが表示される場合には、利用者の操作方向と、現在選択されている項目ボタンから新たに選択される項目ボタンへの方向が必ずしも一致しないという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、利用者の操作方向と、現在選択されている項目ボタンから新たに選択される項目ボタンへの方向を一致させる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、それぞれの配置される中心座標が定められた複数の項目ボタンを表示領域に表示する手段と、
入力信号に基づいて前記表示領域中の指示位置の座標を決定する手段と、
前記複数の項目ボタンのうち、前記指示位置と最も近い項目ボタンを選択状態とする手段と、
前記選択状態となった項目ボタンに選択カーソルを表示する手段と、
前記選択状態となった項目ボタンが予め定めた時間以上選択状態であった場合に、前記指示位置の座標を前記選択状態となった項目ボタンの中心座標とする手段とを有する情報処理装置を提供する。
【0008】
上記情報処理装置は、前記複数の項目ボタンの中心座標を、当該項目ボタンの外形との間の座標に補正して補正中心の座標とする手段をさらに有し、
上記情報処理装置の選択状態とする手段は、前記複数の項目ボタンのうち、前記指示位置の座標と前記補正中心の座標とが最も近い項目ボタンを選択状態とするものであってもよい。
また、上記情報処理装置は、前記複数の項目ボタンの中心座標を、各項目ボタンの幅の定数α倍だけ同じ方向にずらして当該項目ボタンの外形との間の座標に補正して補正中心の座標とする手段とを有し、
上記情報処理装置の選択状態とする手段は、前記複数の項目ボタンのうち、前記指示位置の座標と前記補正中心の座標とが最も近い項目ボタンを選択状態とするものであってもよい。
また、上記複数の項目ボタンは、幅の長さが異なるものであってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利用者の操作方向と、現在選択されている項目ボタンから新たに選択される項目ボタンへの方向を一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す概略図である。
図2図2は、指示カーソルと項目ボタンとの位置関係により項目ボタンのいずれかを選択する際の動作を説明するための図である。
図3図3(a)−(c)は、制御部の動作により変化するディスプレイの表示内容の一例を示す概略図である。
図4図4(a)及び(b)は、指示位置を移動しない場合の比較例におけるディスプレイの表示内容の一例を示す概略図である。
図5図5は、情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
(情報処理装置の構成)
図1は、実施の形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す概略図である。
【0012】
図1において、全体を示す符号1は、第1の実施の形態における典型的な情報処理装置を模式的に例示している。この情報処理装置1は、特に限定されるものではないが、例えば空調装置、オーディオ装置やナビゲーション装置等の車載機器の作動を制御するために用いられる。
【0013】
情報処理装置1は、上記した図示しない車載機器に接続されて当該車載機器の作動を制御する制御部2、車載機器の制御画面等を表示する表示手段であるディスプレイ3及び入力信号を出力する入力手段であるタッチパッド4を有する。制御部2はタッチパッド4の入力信号に基づき動作し、またディスプレイ3を表示制御する。
【0014】
図示例による情報処理装置1は、例えば、ディスプレイ3がダッシュパネル、タッチパッド4がセンターコンソールなどの運転席周辺部に配置される。この情報処理装置1は、利用者の手指5でタッチパッド4をタッチ操作すると、例えばタッチパッド4の表面上の接触点40の位置がタッチセンサにより検出され、この位置に対応した位置検出信号がディスプレイ3上の項目ボタン31a−31g(これらを代表して「項目ボタン31」という。)を選択決定し、制御部2が選択決定に対応して車載機器を制御する情報処理装置として構成されている。
【0015】
ディスプレイ3は、複数個の項目ボタン31a−31gを含む車載機器の制御画面を表示するものとし、項目ボタン31a−31gは同一の大きさ、規則的な配置であっても後述する発明の効果を奏するが、特に、図示するように異なる大きさのものを含んで、規則的でない配置である場合について説明する。
【0016】
ディスプレイ3は、例えば、車載機器の制御画面としてオーディオ装置の制御画面を表示し、項目ボタン31a及び31gは曲目を上下方向にスクロールするスクロールボタン、項目ボタン31b−31fは再生中のアルバムの曲目選択ボタンである。また、ディスプレイ3は、空調装置、ナビゲーション装置の制御画面を表示してもよいし、複数の車載機器の制御画面を一画面で表示してもよい。
【0017】
ディスプレイ3の指示位置32は、実際には表示されず、仮想的にディスプレイ3の表示領域の位置を指示するものであって、タッチパッド4が出力する入力信号に基づいて、タッチパッド4上の接触点40の移動量に比例した距離だけ表示領域中を移動するものである。つまり、指示位置32の指示座標と、タッチパッド4の接触点40の座標とは相対的なものである。なお、指示位置32は、表示されるものであってもよい。
【0018】
また、ディスプレイ3に表示される選択カーソル33は、後述する項目ボタン31a−31gと指示位置32との位置関係に基づいて、項目ボタン31a−31gのいずれかを選択するものである。
【0019】
なお、タッチパッド4は、その操作面の外形が矩形のものを示しているが、曲線や直線により任意の外形を選択することができ、操作面を複数に分割したものを用いてもよい。
【0020】
(実施の形態の動作)
以下に、情報処理装置1の動作を図1図4を参照しつつ説明する。
【0021】
図5は、情報処理装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0022】
以下の動作は予め定めた周期で実行されるものであり、当該周期はタッチパッド4のリフレッシュレートやディスプレイ3のリフレッシュレート、制御部2の仕様によって適宜変更可能であるが、一例として60Hz〜200Hzである。
【0023】
まず、制御部2は、タッチパッド4が出力する入力信号から接触点40の座標を取得して、1周期前の座標と比較することで座標変化を算出する(S1)。
【0024】
次に、制御部2は、指示位置32の1周期前の表示領域上の座標から当該移動量に比例しただけ移動した位置を指示カーソルの座標として決定する(S2)。
【0025】
次に、制御部2は、以下に示す方法で選択状態とする項目ボタンを決定する(S3)。
【0026】
図2は、指示位置32と項目ボタン31との位置関係により項目ボタン31のいずれかを選択する際の動作を説明するための図である。なお、説明を簡単にするために項目ボタン31a、31bについて、いずれを選択状態とするかについて以下述べる。なお、以下に説明する座標は表示領域の左上頂点を原点(0,0)とし、右方向をX方向、下方向をY方向とする。
【0027】
まず、制御部2は、項目ボタン31a、31bの中心座標を取得する。なお、項目ボタン31a、31bの中心座標の情報は、図示しない記憶部に予め記憶されているものとする。
【0028】
項目ボタン31aの中心座標が(X2、Y2)であって幅がWX2、高さがWY2、項目ボタン31bの中心座標が(X1、Y1)であって幅がWX1、高さがWY1であるとき、まず、制御部2は中心座標を幅の定数α倍だけずらして補正中心を算出する。図2に示す例では定数αを1/3とした場合について説明するが、項目ボタン31の配置や大きさ、表示領域の形状等に基づいて他の値を採用してもよい。
【0029】
項目ボタン31aの補正中心の座標は(X2’、Y2’)であるとすると、X2’=X2−1/3WX2であり、Y2’=Y2−1/3WY2である。また、項目ボタン31bの補正中心の座標は(X1’、Y1’)であるとすると、X1’=X1−1/3WX1であり、Y1’=Y1−1/3WY1である。なお、図2中の補正中心はX方向のみ補正した例を示している。
【0030】
次に、制御部2は、指示位置32の座標(Xb、Yb)と項目ボタン31a、31bの補正中心との距離を以下に示す方法で算出する。
【0031】
まず、指示位置32と項目ボタン31aとの距離L2は、L2=ΔX2’+ΔY2’=|X2−Xb|−1/3WX2+|Y2−Yb|−1/3WY2である。なお、|X2−Xb|−1/3WX2<0の場合は|X2−Xb|−1/3WX2=0、|Y2−Yb|−1/3WY2<0の場合は|Y2−Yb|−1/3WY2=0とする。
【0032】
また、指示位置32と項目ボタン31bとの距離L1は、L1=ΔX1’+ΔY1’=|X1−Xb|−1/3WX1+|Y1−Yb|−1/3WY1である。なお、|X1−Xb|−1/3WX1<0の場合は|X1−Xb|−1/3WX1=0、|Y1−Yb|−1/3WY1<0の場合は|Y1−Yb|−1/3WY1=0とする。
【0033】
次に、制御部2は、L2とL1とを比較し、L2<L1の場合は項目ボタン31aを選択状態とし、L1<L2の場合は項目ボタン31bを選択状態とする。
【0034】
制御部2は、上記の動作により選択状態とされた項目ボタン31に選択カーソル33を表示するとともに、予め定めた時間(例えば、2秒)が経過すると、選択状態となった項目ボタン31の中心座標まで指示位置32を移動する(S4)。
【0035】
上記した動作をディスプレイ3の表示内容とともに説明すると以下のようになる。
【0036】
図3(a)−(c)は、制御部2の動作により変化するディスプレイ3の表示内容の一例を示す概略図である。
【0037】
図3(a)は、補正中心を算出する際の定数αを1/3とした場合であり、領域Aに指示位置32が位置する場合に項目ボタン31aが選択状態とされ、同様に領域A、領域A…に指示位置32が位置する場合に項目ボタン31b、項目ボタン31c…がそれぞれ選択状態とされる。
【0038】
図3(a)の状態において、指示位置32が領域A内に位置する場合、項目ボタン31aが選択状態となり、選択カーソル33が項目ボタン31a上に表示される。
【0039】
次に、図3(a)の状態で予め定めた時間が経過すると、制御部2は図3(b)に示すように選択状態となった項目ボタン31aの中心座標まで指示位置32を移動する。
【0040】
その後、利用者が図3(b)に示すディスプレイ3の表示内容を確認し、項目ボタン31aに選択カーソル33が表示されていることから、次に項目ボタン31aの右方向に位置する項目ボタン31bを選択しようと考えている場合は手指5によりタッチパッド4を右方向に操作し、指示位置32を右方向に移動させようとする。
【0041】
制御部2は、図3(c)に示すように、タッチパッド4に入力された座標変化に基づき指示位置32を右方向である操作方向Rに移動するとともに、指示位置32と複数の項目ボタン31の補正中心との位置関係に基づき最も近くに位置する項目ボタン31bを選択状態とし、選択カーソル33を項目ボタン31b上に表示する。
【0042】
つまり、利用者は右方向に操作しており、ディスプレイ3の表示内容は利用者にとって選択カーソル33が右方向に移動しているように視認されるので、これらの方向が一致していることとなる。
【0043】
ここで、本実施の形態の動作と比較するため、以下に指示位置32を選択状態の項目ボタン31の中心座標まで移動しない場合について比較例として説明する。
【0044】
(比較例)
図4(a)及び(b)は、指示位置32を移動しない場合の比較例におけるディスプレイ3の表示内容の一例を示す概略図である。
【0045】
図4(a)の状態において、指示位置32が領域A内に位置する場合、項目ボタン31aが選択状態となり、選択カーソル33が項目ボタン31a上に表示される。
【0046】
次に、利用者が図4(a)に示すディスプレイ3の表示内容を確認し、項目ボタン31aに選択カーソル33が表示されていることから、次に項目ボタン31aの右方向に位置する項目ボタン31bを選択しようと考えている場合は手指5によりタッチパッド4を右方向に操作し、指示位置32を右方向に移動させようとする。
【0047】
しかし、制御部2は、図4(b)に示すように、タッチパッド4に入力された座標変化に基づき指示位置32を右方向である操作方向Rに移動するとともに、指示位置32と複数の項目ボタン31の補正中心との位置関係に基づき最も近くに位置する項目ボタン31cを選択状態とし、選択カーソル33を項目ボタン31c上に表示する。
【0048】
つまり、利用者は右方向に操作しているものの、ディスプレイ3の表示内容は利用者にとって選択カーソル33が右上方向に移動したかのように視認され、これらの方向が一致しないこととなる。
【0049】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によると、項目ボタン31が選択状態のまま予め定めた時間が経過すると、選択状態となった項目ボタン31の中心座標まで指示位置32を移動するようにしたため、利用者は選択カーソル33を操作の開始位置として認識して操作するから、利用者の操作方向と、現在選択されている項目ボタンから新たに選択される項目ボタンへの方向を一致させることができる。
【0050】
[変形例]
以上より、本発明における情報処理装置1の代表的な構成例を上記各実施の形態及び図示例を挙げて説明したが、次に示すような変形例も可能である。
【0051】
(1)上記情報処理装置1は、車載機器に限らず、各種の電子・電気機器に適用することができる。
(2)タッチパッドを備えていない各種の情報処理装置、例えばマウス装置や操作ノブなどにも適用することができる。
(3)上記情報処理装置1は、例えば使用目的などに応じて配置個数、配置位置や配置形態などを適宜に選択すればよい。
【0052】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは調整しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 情報処理装置
2 制御部
3 ディスプレイ
4 タッチパッド
5 手指
31、31a−31g 項目ボタン
32 指示位置
33 選択カーソル
40 接触点
−A 領域
図1
図2
図3
図4
図5