特許第6143144号(P6143144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6143144一体形遠心ポンプユニットを備えたカセットモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143144
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】一体形遠心ポンプユニットを備えたカセットモジュール
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/10 20060101AFI20170529BHJP
   A61M 1/28 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   A61M1/10 111
   A61M1/10 115
   A61M1/28 110
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-509386(P2016-509386)
(86)(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公表番号】特表2016-516515(P2016-516515A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】EP2014057683
(87)【国際公開番号】WO2014173744
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2015年10月30日
(31)【優先権主張番号】102013007190.9
(32)【優先日】2013年4月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ハイデ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイス マンフレッド
(72)【発明者】
【氏名】オーター グーカン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンケ マリナ
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー ウド
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第1995/023627(WO,A1)
【文献】 特表2008−539848(JP,A)
【文献】 特表2012−512001(JP,A)
【文献】 特表2009−532131(JP,A)
【文献】 特表2008−539849(JP,A)
【文献】 特表2008−543442(JP,A)
【文献】 特開2003−284769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00−1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血液処置、透析又は注入技術において血液及び治療流体を処理するカセットモジュールであって、
・第1の側及び第2の側を備えたベース本体(202,302,402,502,602,702,802,902,1002)と、
・前記ベース本体中に組み込まれた流体チャネル(207,207a,307,307a,407,407a,507,507a,607,707,707a,907,907a,1007,1007a)と、
・流体を送り出すための遠心ポンプ手段を受け入れる受け入れユニット(204,304,404,504,704,804,904,1004)とを有する、カセットモジュールにおいて、
前記流体チャネルのうちの少なくとも幾つかは、前記ベース本体の前記第1の側上に配置され、前記遠心ポンプ手段のための前記受け入れユニットは、前記第2の側上に配置され、前記遠心ポンプ手段のための前記受け入れユニットは、動作中、前記第1の側上の前記流体チャネルと流体結合状態にあり、
前記ベース本体の前記第2の側上の前記遠心ポンプ手段のための前記受け入れユニット(204,404,504,704,804,904,1004)は、流体のための出口を有し、該出口は、前記ベース本体の前記第2の側上の前記受け入れユニット(204,404,504,704,804,904,1004)を前記ベース本体の前記第1の側上の流体チャネル(207,307,407,507,607,707,907,1007)と流体結合させる流体傾斜路(305)に連結されている、カセットモジュール。
【請求項2】
前記ベース本体の前記第1の側上の前記流体チャネル(207,207a,307,307a,407,407a,507,507a,607,707,707a,907,907a,1007,1007a)は、前記遠心ポンプ手段への流体流れのための入口ライン及び前記遠心ポンプ手段からの流体流れのための出口ラインを形成している、請求項1記載のカセットモジュール。
【請求項3】
前記受け入れユニットは、前記ベース本体を前記第2の側に設けられた出口を有し、該出口は、前記ベース本体の前記第2の側上の流体チャネルと流体結合状態にある、請求項1記載のカセットモジュール。
【請求項4】
流体を遠心ポンプ手段に導くための流体チャネルが前記ベース本体の前記第1の側上に配置され、流体を除去するための流体チャネルは、前記ベース本体の前記第2の側上に配置されている、請求項3記載のカセットモジュール。
【請求項5】
前記受け入れユニットは、前記ベース本体に一体的に連結されている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のカセットモジュール。
【請求項6】
前記ベース本体は、前記遠心ポンプ手段のための前記受け入れユニット及び前記流体チャネルと一緒に射出成形された射出成形部品である、請求項5記載のカセットモジュール。
【請求項7】
前記流体チャネルを備えた前記ベース本体と前記遠心ポンプ手段のための前記受け入れユニットは、互いに連結される2つの別々の部品を形成している、請求項6記載のカセットモジュール。
【請求項8】
前記流体チャネルは、前記ベース本体の延長面に直角に前記ベース本体に取り付けられて前記流体チャネルの側部を境界付ける垂直側壁によって、部分的に形成されている、請求項1〜7のうちいずれか一に記載のカセットモジュール。
【請求項9】
前記ベース本体の前記第2の側上の前記遠心ポンプ手段のための前記受け入れユニットは、前記ベース本体の延長面に直角に前記ベース本体に取り付けられた状態で前記受け入れユニットの側部を境界付ける側壁によって一部が形成されている、請求項1〜8のうちいずれか一に記載のカセットモジュール。
【請求項10】
前記ベース本体の前記第1の側又は前記第2の側上の前記流体チャネルは、フィルムによって覆われている、請求項1〜9のうちいずれか一に記載のカセットモジュール。
【請求項11】
前記ベース本体の一方の側上の複数の流体チャネルがフィルムによって覆われている、請求項10記載のカセットモジュール。
【請求項12】
前記遠心ポンプ手段の前記受け入れユニットは、前記遠心ポンプ手段のロータを受け入れる受け入れポットを形成し、前記側壁は、フィルムで覆われ且つ互いに連結されると共に前記受け入れポットを境界付けている、請求項9に記載のカセットモジュール。
【請求項13】
請求項1〜12のうちいずれか一に記載のカセットモジュール及び体外血液処理又は透析のための器械の器械コンソールを含む装置において、
前記遠心ポンプ手段は磁気遠心ポンプ手段であり、
前記ベース本体の前記第2の側が前記装置の前記器械コンソールに向いており、
前記カセットモジュールの第1の側上に設けられた前記流体チャネルは、前記装置の前記器械コンソールから遠ざかる方向に向いており、
前記器械コンソール成形部品を有し、前記成形部品は、前記カセットモジュール上に設けられた相補形の成形部品と押し込み嵌め係合関係をなしており、
インペラ駆動装置が前記器械コンソール中に組み込まれ、
前記装置内の前記器械コンソールは、前記カセットモジュールの前記遠心ポンプ手段と押し込み嵌め及び磁気係合関係をなしている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の内容は、体外血液処理、腹膜透析又は注入の治療方法に用いられる一体形カセットモジュールの分野に関する。
【0002】
本発明は、特に、透析における治療的処置に関する。血液透析による体外血液処置の場合、血液の毒性成分は、透析フィルタの合成膜上で体外血液循環系により分離される。
【0003】
本発明は又、血液濾過及び血液透析濾過に関し、これらの治療方法は、血液透析の方法に用いられる。本発明は、血液濾過及び血液透析濾過の方法に等しく利用できる。したがって、以下の説明に関し、「血液透析」という用語は又、血液濾過及び血液透析濾過方法を含むものと理解されるべきである。
【0004】
本発明は又、腹膜透析に関する。腹膜透析では、患者の腹膜は、透析流体(透析液)で満たされており、毒性代謝産物は、腹部の膜を通って腹膜中に導入される。次に、透析流体は、腹膜から吐出される。
【0005】
本発明は又、輸液の際、特に細胞分離の際の血液処置に関する。細胞分離では、血液を血液遠心分離機内で遠心分離処理ステップでその成分に分離する。
【0006】
本発明は又、治療流体を患者の体内に注入する注入の分野に関する。
【背景技術】
【0007】
上述の処置における患者への流体の投与は、医学的見地からモニタされなければならず、しかも安全上の予防措置を進めなければならない。投与されるべき流体の流体処理における重要な仕事は、流体の熱的調節、脱ガス及びガス分離、除去される流体と投与される流体のバランス取り、除去される流体及び投与される流体の送り出しのモニタ、濾過並びに運ばれる流体の分析である。
【0008】
用語について更に標準化するため、本発明の説明と関連した体外血液処置、腹膜透析又は注入における上述した形式の処置関連流体のプロセスステップを流体処理と称する。
【0009】
カセットモジュールは、この意味で患者に投与される処置関連流体を処理するための上述の治療方法で用いられる。
【0010】
カセットモジュールに関する本発明の改良の目的は、流体処理の機能をカセットシステム中にますます多く一体化することにある。
【0011】
現時点において慣例である上述したタイプの治療手順では、カセットモジュールの作動は、処置器械の器械ユニットによって行われ、この器械ユニットは、カセット上の機能ユニットをトリガして流体処理を標的化した仕方で行う。治療方法の流体の所要の処理ステップは、カセットモジュール上で部分的に又は好ましくは全体的に実施される。これにより、治療関連流体が別法では慣例であるように処置器械の部品と接触することがないという利点が提供される。カセットモジュールは、使い捨て物品として設計されているので、これらカセットモジュールを処置後に廃棄することができる。カセットの1回使用により対応の消毒ステップをなくすことができ、その結果、追加の消毒機器が不要である。かくして、器械側は、複雑さの少ない構造的設計を有する。カセット上への機能ユニットの高度の組み込みは又、コンパクトな設計に起因した材料の著しい節約を保証する。
【0012】
カセットモジュールは、通常、カセットモジュールを形成するための数個のコンポーネントで構成されている。一般的に、カセットモジュールは、1つ又は2つ以上の可撓性という面で剛性のベース本体で作られる。フィルム及び何本もの管が追加のコンポーネントとして用いられる。コンポーネントは、好ましくは、プラスチック材料で作られ、従って、これにより、大量生産方法によってカセットモジュールを経済的に製造する可能性が提供される。特に安価な押出し成形法及び射出成形法がカセットモジュールを製造するために用いられる。カセットモジュールの開発及び製造における重要な一要件は、カセットモジュールを可能な限り最も少ない簡単なプロセスステップで製造することができるということにある。この考えは、最終的には、カセットモジュールの製造における製造費を最小限に抑える努力と関連している。
【0013】
カセットモジュールは又、特に、一体形ポンプ手段を用いて製造される。公知のカセットモジュールは、流体をポンプアクチュエータ、例えば回転ポンプのロータ又はフィンガポンプのラムによって一種の蠕動作用によりカセット中に、そして患者の何本もの管中に送り込む管セグメントを有する。
【0014】
体外血液処置及び注入処置のための別のポンプ機構は、カセットモジュール上に設けられる遠心ポンプによって提供される。遠心ポンプは、とりわけインペラポンプと呼ばれているポンプを更に含む。これらポンプは、周囲のハウジング内に受け入れられた遠心ポンプ手段としてのロータを有する。流体は、ロータを回転させるように設けられているハウジング中にポンプ送りされる。かかるポンプは、心臓病治療技術及び血液の酸素化において用いられる場合が多い。ロータは、ポンプアクチュエータとしてたった1つのユニットを用いてポンプハウジング内に周りの外部磁界によって非接触プロセスで磁気的に支持でき、かかるユニットは、器械の一方の側でロータを駆動する磁界を作る。ポンプ送り手段とポンプアクチュエータを互いに磁気係合させた場合、アクチュエータの制御をなくすことができる。
【0015】
技術の現状
独国特許出願公開第3923692(A1)号明細書は、血液の酸素化のための血液処置ユニットを記載している。処置ユニット中に血液を運ぶロータが処置ユニット中に組み込まれている。
【0016】
国際公開第95/23627(A1)号パンフレットは、創傷すすぎ流体を運ぶカセットを開示している。すすぎ流体を運ぶためのロータがカセットの2つのプレート部品相互間に配置されている。このロータは、駆動モータに連結されたシャフトによって機械的に作動される。
【0017】
欧州特許出願公開第1909864(A1)号明細書は、インペラポンプのロータが2つのカセットプレート相互間に配置されたカセットシステムを開示している。ロータは、純粋に磁気的に支持され、このロータは、制御ユニットにより提供される外部磁界によって駆動できる。
【0018】
関連技術の現状から始まって、これまで、遠心ポンプ手段を受け入れると共に流体の流れを案内するために調製された構造体を有し、しかもかかる構造体が配置されて構成され、その結果、かかる構造体が簡単な射出成形作業でベース本体と一緒に製造できるようにするベース本体を備えたカセットモジュールの実施形態は、知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】独国特許出願公開第3923692(A1)号明細書
【特許文献2】国際公開第95/23627(A1)号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第1909864(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
遠心ポンプ手段のための受け入れユニット及び一体形流体チャネルを備えたカセットモジュールのベース本体を簡単な射出成形プロセスステップで構成して製造する場合の一問題は、遠心ポンプの設計及び流れ特性に起因している。流体は、軸方向に、即ちロータの回転軸線に沿ってポンプハウジング中に流れなければならない。しかしながら、ロータによって加速される流体の流出流は、流体の最大流れエネルギーを利用することができるようにするためには回転中のロータに対して接線方向でなければならない。
【0021】
これには、互いに異なる高さ位置でのポンプハウジング中への流体の流入及びポンプハウジングからの流体の流出が必要である。カセットモジュール中への遠心ポンプユニットの組み込みのため、この場合、遠心ポンプユニットをカセットモジュールのベース本体上に配置して、互いに異なる高さ位置にある流入及び流出ポートをベース本体中に組み込まれた流体チャネルに最適に連結できるようにするという課題が生じる。この課題は、特に、上述した要件を満たし、しかも射出成形による簡単な一段法によって製造できるカセットモジュールベース本体の射出成形部品について幾何学的形状を見出すことから成っている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有するカセットモジュールによって達成される。
【0023】
加うるに、流体チャネル及び遠心ポンプ手段のための受け入れユニットを備えたカセットモジュールをカセットモジュールの動作のために設けられた器械コンソールに確実に係合させ、信頼性のある作動を器械側で保証することができると共にカセットモジュール上での液体処理を保証することができるようにする可能性を見出す必要性が存在した。
【0024】
この目的は、カセットモジュールと、器械コンソールとから成る請求項14の特徴を備えた装置によって達成される。
【0025】
本発明の別の目的は、遠心ポンプ手段のための受け入れユニットを有すると共に受け入れユニットとの流体結合関係を確立する流体チャネルを有するカセットモジュールのベース本体を製造する手段としての簡単な射出成形法を開発することにあった。
【0026】
かくして、本発明のカセットモジュールは、第1の側及び第2の側を備えたベース本体を利用している。血液又は他の治療流体をカセットモジュール上の種々の機能装置に導くために設けられた流体チャネルは、ベース本体中に組み込まれる。流体チャネルは、カセットモジュールの第1の側中に組み込まれても良く、或いは、カセットモジュールの第1の側及び第2の側中に組み込まれても良い。加うるに、ベース本体は、遠心ポンプ手段のための受け入れユニットを有する。特に、流体、例えば血液又は治療流体、例えば透析流体が遠心ポンプ手段の作動によってカセットモジュールを通って運ばれる。好ましい実施形態では、受け入れユニットは、ベース本体の一体形コンポーネントである。
【0027】
ベース本体は、カセットモジュールの一部をなしている。ベース本体は、特に、いつでも使用できる状態にあるカセットモジュールに給液するために他のコンポーネントに連結されるのが良い。カセットモジュールを平べったい設計で製造し、カセットモジュールと透析器の最適な係合をこのようにして達成することができるようにすることが好結果をもたらすことが判明した。
【0028】
したがって、ベース本体は、側の長さがベース本体の高さの何倍も大きい平べったい構造体であるのが良い。この分析では、ベース本体は、第1の側を有し、この第1の側は、ベース本体を横にして置いたときに高さに対して長い側長さを有する上の側であるのが良い。第2の側は、この状況では、下側の面であるのが良い。
【0029】
組み込み型流体チャネルは、ベース本体の第1の側上、例えば上の側上に又は第1の側及び第2の側上に配置される。本明細書で用いられる「組み込み型」という用語は、チャネルとベース本体が一体に製造されるものと理解されたい。遠心ポンプ手段のための受け入れユニットは、本明細書で説明している状況では、ベースユニットの第2の側上、例えば下の側上に配置される。
【0030】
ロータの純粋に磁気による支持に加えて、この支持体は、流体及び磁気手段により提供すること又はこの支持を一部が機械的支持体によって達成されることも又可能である。敏感な液体、例えば血液の穏やかな送り出しに関し、ロータは、純粋に磁気的に支持されるようになっている。流体支持体は、ロータの動作中に補助的に設けられるのが良いが、この流体支持は、ロータが静止している場合には支持にとって効果的ではない。
【0031】
受け入れユニットは、ロータの周りに少なくとも部分的に延び、この受け入れユニットは、ロータと一緒になってポンプユニットを形成する。オプションとして、追加のコンポーネントを受け入れユニットに連結するのが良く、かかる追加のコンポーネントは、ロータを完全に包囲するのが良く、かくして、動作中、流体を流通させるポンプチャンバが形成される。受け入れユニットは、好ましくは、半径が適合したパイプセグメント又はパイプ端部であり、従って、このパイプセグメント又はパイプ端部は、遠心ポンプ手段、例えばインペラポンプのロータを少なくとも部分的に包囲するようになっている。
【0032】
ベース本体の互いに反対側上で流体結合設計状態にある流体チャネルと受け入れユニットの構成により、射出成形法によるベース本体の一体化された製造が可能である。
【0033】
また、流体チャネル及びポンプユニットをカセットモジュール上で極めてコンパクトに製造できることが有利であることが判明した。血液又は治療流体が通らなければならない送り出し経路が最小限に抑えられ、その結果、例えば溶血又はカセット材料による汚染に起因した流体の傷みを最小限に抑えることができる。
【0034】
射出成形法によりベース本体を一体に製造することができることにより、マルチコンポーネント製造の継ぎ目及び接触箇所がなくなる。これにより、カセットと処理されるべき流体、例えば血液又は他の治療流体との適合性が向上する。したがって、上述したように製造されたベース本体を有するカセットモジュールは、血液透析又は腹膜透析に用いるのに特に適している。
【0035】
一実施形態では、カセットモジュールのベース本体は、ベース本体の第1の側上の流体チャネルがポンプロータの受け入れユニットへの流体の流れのための入口ライン及び受け入れユニットからの流体の流れのための出口ラインを形成するよう有利には改造可能である。この場合、ベース本体は、連続した通路を有し、かかる通路を通って、流れている流体を流体チャネルが設けられている第1の側から遠心ポンプ手段を備えたポンプユニットが設けられている第2の側に移送することができる。第1の貫通ポートが有利には、流入している流体がロータに軸方向に当たるよう配置される。第2の貫通ポートが遠心ポンプ手段の受け入れユニットのところで接線方向に出てくる流体を第1の側に差し向けるよう配置される。
【0036】
動作中、受け入れユニットを含み、ポンプロータが設けられているポンプユニットが側部に設けられているカセットモジュールを器械コンソールに係合させる。次に、ポンプユニットを好ましくは、器械コンソールに設けられた凹部中に挿入する。この構成では、流体運搬チャネルが第2の側上に設けられるのが有利である。
【0037】
好ましい実施形態では、第2の側上のポンプユニットと流体運搬結合関係をなしている流体チャネルがベース本体の第1の側中に組み込まれる。流体チャネルは、好ましくは、カセットモジュールを治療器械中にいつでも使用できる状態で挿入したときに器械コンソールから遠ざかる方向に向いた側で第1の側上に配置される。ベース本体の第2の側上のポンプユニットの接線方向出口と第1の側上の流出用流体チャネルの流体結合は、流体傾斜路によって可能になる。流体傾斜路は、斜めに傾けられたチャネル区分である。流体傾斜路は、一段射出成形法でベース本体の追加の実施形態と共に容易に製造できる構成区分である。
【0038】
変形実施形態では、流体傾斜路は、省かれる。というのは、射出成形ツールの製造は、上述したようにかかる幾何学的形状にとって極めて正確に開発されなければならないからである。したがって、回転ポンプ手段のための受け入れユニットに設けられた接線方向出口がベース本体の第2の側上に設けられることも又可能である。第2の側上の接線方向出口は、流れている液体を更に導くための管に連結されるのが良い。例えば、カセットモジュールに別々に連結可能な追加の流体運搬コンポーネントが管により互いに連結されるのが良い。かかるコンポーネントとしては、例えば、透析フィルタ、ドリップチャンバ、凝血塊キャッチャ、測定インターフェースが挙げられる。しかしながら、この構成では、ベース本体はこれ又、一段射出成形法により一体に製造できる。また、この場合、流体チャネルも又、ベース本体の第2の側上に配置されるのが良い。特に、受け入れユニットの接線方向出口は、流出用流体チャネルに一体に連結される。
【0039】
しかしながら、個々の場合において、流体チャネル及び遠心ポンプ手段のための受け入れユニットを備えたベース本体が2つの部品の状態で設計される他の設計例も又想定できる。重要なこととして、流体チャネルは、ベース本体の第1の側上に配置され、流れている液体がベース本体の他方の側上を通ることができるようにする通路がベース本体に設けられることである。受け入れユニットは、別々に製造されて接着ボンド又は溶接継手によってベース本体に連結される部品であるのが良い。変形例として、受け入れユニットは又、機械的締結手段によってベース本体に連結されても良い。
【0040】
ベース本体は、有利には、一体形コンポーネントが載せられているベースプレートを包囲するのが良い。流体チャネルは、ベースプレート上に垂直に配置された垂直壁区分によって形成される。この関連における垂直という用語は、チャネル壁に対するベースプレートの厳密な幾何学的配置状態であると理解されるべきではない。チャネル壁の形をした僅かな脱型用の勾配が射出成形法によるベース本体の製造に必要であり、これにより、射出成形されたベース本体を射出成形用金型から取り出すことができる。したがって、ベース本体のベースプレートの直ぐ隣に位置する壁のベースは、ベースプレートから距離を置いたところに位置する壁区分よりも広い断面を有するよう設計されるのが良い。かくして、壁は、断面が僅かに円錐形又は凹状の形を有するのが良い。したがって、個々で用いられる「垂直」という用語は又、この関連において、壁の平面の主要な向きだけがベースプレートの主要な向きに垂直であることを意味しているものと理解されたい。
【0041】
この用語によって理解されるべき垂直壁区分は、流体チャネルのための側方境界部を形成する。ベースプレートから垂直壁区分への移行部は、敏感な治療関連流体、例えば血液との適合性を向上させるために角のある又は丸くされるよう設計されるのが良い。本質的に2つの壁区分がチャネルを形成するようこれらの間に距離を置いた状態で互いに平行に配置され、その結果、カセットの動作中、流体、例えば血液又は治療流体が壁区分相互間で且つチャネルに沿って流れることができるようになっている。この目的のため、垂直壁区分は、覆われなければならず、それによりベースプレートと垂直壁区分及びカバーとの組み合わせによって閉鎖チャネルが形成される。ベース本体の追加の区分内の壁区分も又、互いに平行に延びる必要はない。具体的に言えば、壁区分は、ベース本体上の機能サブユニット、例えば、凝血塊のための凝血塊キャッチャ、又は壁区分がもはや互いに平行に延びてはいない空気分離チャンバの一部であっても良い。
【0042】
カバーは、曲げに関して剛性のシートによって形成さても良いが、カバーは、好ましくは、柔軟性フィルムによって形成される。カバーを構成するための柔軟性フィルムの使用は、ベース本体を製造する際の公差が容易に補償されるという利点を有する。垂直壁区分は、好ましくは、壁区分の全てが同一の高さを有するよう設計される。技術の現状において周知である溶接方法によれば、覆いフィルム又はシートを例えばガラス板上でベース本体に押し付けるのが良く、そしてレーザ貫通溶接方法を用いて覆いフィルム又はシートを小数点精度で所定の輪郭に沿って溶接するのが良い。溶接輪郭は、特に垂直壁区分によってあらかじめ定められ、これら垂直壁区分は、フィルムに圧接される。
【0043】
幾つかの場合、チャネルのうちの幾つか又は全ては、フィルム片で覆われ、これらフィルム片は、チャネルのサイズに正確に一致する。しかしながら、製造技術上の見地から見て、ベース本体の広い部分をフィルムで覆うと共にこれを流体チャネルの壁区分の輪郭に沿って溶接することの方が簡単である。流体チャネルは、このようにして一溶接作業で覆われるのが良い。
【0044】
流体チャネルの壁区分と同様、遠心ポンプ手段のための受け入れユニットの壁区分は、ベース本体のベースプレート上に直角に立っている垂直壁区分によって形成されるのが良い。受け入れユニットの断面は、具体的には本質的に丸い。しかしながら、好ましい幾何学的形状が連結部によって崩されなければならない場合、丸形形状から逸脱することも又可能である。全体として、概して、受け入れユニットは、円筒形の形をしており、この場合、処理されるべき液体は、ポンプユニットの作動中、ロータによって加速されて出口を通って流出用チャネル中に流れる。
【0045】
受け入れユニットは幾分背丈が高いよう設計されているのが良い。これは、ロータの幾何学的形状にも依存する。受け入れユニットは、対応の丸形キャップと関連して覆われるのが良く、ロータは、ポンプユニット内に完全に納められる。受け入れユニットの垂直壁区分、ベースプレート、キャップ付きのカバー、流体の入口、流体の出口及びロータは、一緒になって、ポンプユニットを形成する。
【0046】
カバーはフィルムによって提供されても良く、覆いフィルムを用いることによってカセットベース本体の製造公差を良好に補償する。
【0047】
ロータ駆動装置それ自体は、ロータの受け入れユニットとは別体であり、器械コンソールの一コンポーネントである。器械コンソール及びカセットモジュールは、これらが互いに相補する表面プロフィールを有するよう形作られている。したがって、器械コンソールは、カセットモジュールを納めることができる表面プロフィールを有する。器械コンソール及びカセットモジュールの適当に形作られた表面が真向かいに配置されることが必要である。というのは、器械コンソールとカセットモジュールの相互作用がユニットの作動中に起こることがあるからである。かかる相互作用は、例えば、器械コンソール内に受け入れられて、カセットモジュールと又はカセットモジュールの動作中にカセットモジュール内で案内される液体と相互作用関係をなすセンサが例えば機械的に、音響的に、熱的に、誘導的に、光学的に、磁気抵抗的に又は電気的に相互作用することによって起こる。この理由で且つセンサ信号検出のため、センサユニット及び分析されるべきカセットモジュールの領域が幾何学的に見て対向した関係をなすことが必要である。
【0048】
したがって、請求項の前提部に記載されている形式のカセットモジュールから始まって、カセットモジュールを透析器の対応のコンソール内に正確に挿入することができ、透析器とカセットモジュールとの所要の相互作用が適正な機能を進めることができるようにする装置を見出すという課題が依然として存在している。この課題は、カセットモジュール上に相補形状を有する対応の区分に一義的に係合させることができる成形部品を器械コンソールに取り付けることによって解決された。ここで「一義的に」という用語は、結果として押し込み嵌め配置状態が得られるようにするカセットと器械コンソールの唯一の位置が存在することを意味するものと理解されるべきである。成形部品は、多角形断面を有するのが良く、例えば、三角形、四角形又は五角形、長円形、非対称又は円形の形状を有する。
【0049】
しかしながら、器械コンソールに対する正確な位置決めにもかかわらず、カセットは、器械コンソールに対して斜め又は傾斜位置を取る場合があり、従って、カセットの必ずしも全ての区分及び器械コンソールが直接的な相互関係をなすことができるわけではない。
【0050】
したがって、正確な配置状態であるかどうかを調べるため、カセット及び器械コンソールの位置が追加の連結ユニットを有することも又必要であり、かかる追加の連結ユニットにより、カセットが器械コンソールに対して完全に正確な配置状態にあるかどうかをチェックすることができる。本発明の範囲内において、この連結は、磁石によって行われる。磁気要素がカセットモジュール内に構造的に受け入れられる。対応の磁気相手方部品が器械コンソール内に配置され、従って、カセットモジュールは、磁気的吸引力によって器械コンソール上に保持される。器械コンソールと所定の配置関係をなすカセットモジュールの位置は、器械コンソールの第1の成形部品及びカセットモジュールとの係合により部分的にあらかじめ定められている。磁気連結により、カセットは、正確に位置決めされ、器械コンソール上の誤った斜め位置を取ることがないようになっている。
【0051】
具体的に言えば、磁気要素は、器械コンソールに向いたカセットモジュールの第1の側上に受け入れられる。別の実施形態では、カセットモジュールは、この目的のために受け入れユニットを有し、カセットモジュールの磁気要素は、この受け入れユニット内に配置される。変形例として、磁気要素は、磁気遠心ポンプ手段、即ち、特に、インペラポンプの磁気ロータである。器械コンソール上の磁気駆動装置は、遠心ポンプ手段の受け入れユニットを磁気駆動装置中に嵌め込むことができるよう設計されている。器械端部上では、磁気ロータを備えた受け入れユニットがインペラ駆動装置と係合したときに対応のセンサシステム及びプロセッサユニットによって改変状態の磁界を検出することができる。かくして、プロセッサ内の分析ユニットによって及び変更された磁界に関する記録データによって、カセットが器械コンソールと正確な構成関係にあるかどうかを確かめることが可能である。これは、カセットが器械コンソールの成形部品とも係合している場合にのみ保証できる。
【0052】
請求項1の前提部に記載された形式のカセットベース本体は、一段射出成形法によって製造でき、これについては以下に詳細に説明する。
【0053】
流体チャネルの幾何学的配置によれば、遠心ポンプ手段のための受け入れユニット及びベース本体の第1の側及び第2の側上の受け入れユニットの出口チャネルのところの流体傾斜路は、射出成形法により一体に製造できる。
【0054】
対応の射出成形法は、ベース本体の第1の側と相補したプロフィールを有する金型を用意するステップを含み、この場合、ベース本体の第1の側は、流体チャネルを有する側である。流体チャネルは、この場合、前提部に記載されているように垂直壁区分で形成され、これら壁区分は、ベース本体のベースプレート上に直角に配置される。
【0055】
ベース本体それ自体のベースプレートは、ベース本体の第1の側上の流体チャネルと第2の側上の遠心ポンプ手段のための受け入れユニットとの流体結合を可能にする凹部を有する。凹部は、射出成形法において第1及び/又は第2の金型のプロフィールに設けられている対応の突出部によって作られる。
【0056】
金型は、異形金型半部であるよう射出成形法と関連して理解されるべきであり、そのプロフィールは、ポリマーメルトを受け入れるよう設けられている。ポリマーメルトは、追加の金型半部が第1の金型半部上に配置されたときに結果としてキャビティ中に流れる。
【0057】
第2の金型は、第2の異形金型半部を形成し、この第2の金型は、カセットモジュールのベース本体の第2の側と形状が相補したプロフィールを有する。第2の側は、遠心ポンプ手段のための受け入れユニットを有する側である。受け入れユニットは、第1の側上の流体チャネルと同様、垂直壁区分によって形成され、これら垂直壁区分は、ベース本体のベースプレート上に直角に配置される。受け入れユニットは、好ましくは、円筒形の形をした壁区分によって形成される。したがって、第2の金型は、射出成形法によって受け入れユニットを作る相補形の円筒形領域を有する。
【0058】
ベース本体は、ポリマーメルトを2つの金型半部によって形成されたキャビティ内に導入することによって作られる。ポリマーメルトは、キャビティの接近可能な領域内に分布され、それによりカセットモジュールのベース本体の幾何学的形状を形成する。このプロセスにおけるベース本体は、一体であり、流体チャネル、遠心ポンプ手段のための受け入れユニット及びベースプレートに設けられた凹部を有し、かかる凹部は、ベース本体の第1の側上の流体チャネルとベース本体の第2の側上の流体チャネルを流体結合させる。
【0059】
ポリマーメルトを注型金型の金型半部相互間に注ぎ込んだ後、ポリマーメルトをその融点を下回る温度まで冷却する。この関係において「融点」という用語は、厳密に熱力学的融点として理解されるべきではない。現実的な意味では、これは、ベース本体を形成するよう冷却したポリマーメルトをベース本体の形状が脱型中に潰れることがない状態で金型から取り出すことができるということを意味するものと理解されるべきである。
【0060】
ベース本体を作るのに好ましい材料としては、ポリプロピレン並びにポリプロピレン及びエチレンのコポリマーが挙げられる。加うるに、ポリマーメルトは、例えばスチレン、エチレン及びブチレン繰り返し単位(SEBS)又はスチレン及びイソプレン単位(SIS)を主成分とする熱可塑性エラストマー材料、例えばスチレンブロックコポリマーのポリマーを更に含むのが良い。これら材料で作られた射出成形部品を冷却プロセスステップ後に金型半部から取り出すことができ、かくして、脱型することができる。
【0061】
この方法は、有利には、ベース本体の第2の側の受け入れユニットと第1の側上の流体チャネルを流体結合させるよう、遠心ポンプ手段のための受け入れユニットとベースプレートの凹部との間でベース本体上に流体傾斜路を作るために更に利用できる。流体傾斜路は、受け入れユニットの壁区分内で勾配をなして隆起する底部によって形成され、この底部は、受け入れユニットの壁区分領域内でベースプレートからベースプレートの凹部までの距離を置いたところの領域内に配置される。第1及び第2の金型半部の輪郭は、それに応じて互いに相補するよう設計される。
【0062】
特に、透析の際に請求項1〜13のうちいずれか一の前提部に記載された形式のカセットモジュールの使用が提供される。特にこの使用に適したカセットモジュールは、前提部に既に記載されているように流体チャネルがベース本体の一方の側上に設けられると共に遠心ポンプ手段のための受け入れユニットが第2の側上に配置されることによって特徴付けられており、その結果、流体チャネル及び受け入れユニットは、ベース本体のベースプレートに設けられた凹部によって形成され、かくして、流体結合が作られる。この構成では、ベース本体は、上述した射出成形法によって一体に製造できる。したがって、カセットの液体運搬コンポーネントを個々の部品から組み立てる必要はない。組立て状態のユニットへのコンポーネントの連結は、接合方法、例えば接着技術又は溶接技術によって行われなければならない。
【0063】
製造労力の増大に加えて、これは又、液体、例えば透析治療で処理されるべき血液又は透析流体の傷みの恐れが増大することを意味している。第1に、この場合、死空間又は縁突出部が製造プロセスに起因して作られる恐れがあり、場合によっては、血液が凝固し又は溶血がトリガされる。同様に、組立て状態のベースプレート付きのカセットモジュールは、一体に製造されたカセットモジュールよりも粒子汚染に起因する危険度が常に高い状態にある。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】技術の現状において知られている遠心ポンプを示す図である。
図2】本発明のカセットモジュールのベース本体の細部の斜視図であり、流体チャネルを備えた第1の側を見えるようにした図である。
図3図2に示された本発明のカセットモジュールのベース本体の細部の別の斜視図であり、遠心ポンプ手段のための受け入れユニットを備えた第2の側を見えるようにしている図である。
図4図2及び図3のベース本体の細部の断面図である。
図5図2及び図3のカセットモジュールの変形例としてのカセットモジュールのベース本体の別の実施形態の断面図である。
図6】本発明のカセットモジュールの細部を示す図であり、カセットモジュールの第1の側の斜視図である。
図7図6のカセットモジュールの細部の断面図である。
図8】本発明のカセットモジュールの変形実施形態のベース本体の細部の図であり、第1の側を見えるようにした斜視図である。
図8a図8の変形実施形態の断面図である。
図9】カセットモジュールのベース本体の別の変形実施形態を示す図であり、カセットモジュールの第1の側を見えるようにすると共に流体チャネルがフィルムによって覆われた状態を示す斜視図である。
図9a図9の追加の変形実施形態の断面図である。
図10】器械コンソール及び本発明のカセットモジュールの一区分を含む装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、技術の現状で知られている遠心ポンプ1のハウジングを示している。遠心ポンプは、上側ハウジング部品3と、下側ハウジング部品2とから成っている。入口ポート5が上側ハウジング部品3に直角に取り付けられている。出口ポート4が下側ハウジング部品2に接線方向に取り付けられている。流入する液体がポンプユニットの作動中、ロータ6の回転軸線に沿って入口ポート5を通ってハウジング1内に導入され、そして出口ポート4を通って再び吐出される。液体の出口は、ロータ6に対して接線方向にある。というのは、液体の速度がここでは最も高いからである。
【0066】
図2は、ベースプレート203を備えたベース本体202を有するカセットモジュール201(詳細には示されていない)の細部の斜視図である。これは、流体チャネル207,207aが配置されているベース本体202の第1の側を示している。流体チャネルは、垂直側壁206によって形成されている。液体をベース本体202及びベースプレート203の第2の側上に運ぶためのロータのための受け入れユニットは、この図では隠されている。
【0067】
図3は、図2の細部の別の斜視図であり、この図は、ベースプレート303を備えたベース本体302を含むカセットモジュール301の細部を示している。この図は、遠心ポンプ手段308(隠されている)としてのロータのための受け入れユニット304を備えたベース本体302の第2の側を示している。受け入れユニット304は、円筒形ハウジングから成り、この受け入れユニットは、ベース本体の第1の側上の垂直側壁306によって形成された流体チャネル307,307aと流体結合状態にある。受け入れユニット304の接線方向出口の流体結合部は、流体傾斜路305の直ぐ隣に位置し、その結果、流出する流体は、ベース本体の第2の側上の受け入れユニットから第2の側上の流体チャネル307中に運ばれるようになっている。遠心ポンプ手段308は、受け入れユニット内に設けられた覆いキャップ304aによって依然として保持されている。
【0068】
図4は、図2から見てベースプレート203に垂直なベース本体202の断面図である。この図は、ベース本体202と、ベース本体のベースプレート403とから成るカセットの対応の細部401を示している。一般に、ベース本体は、図中一体のひとつなぎの設計に寄与する全て構造的に関連のある細部であると理解される。以下は、ベース本体402の一体コンポーネントとして、又は一般に、他の図のベース本体として理解されるべきである。
・ロータのための受け入れユニット404、
・流体傾斜路(この図では示されていない)に通じる受け入れユニット405aからの接線方向出口、
・流体チャネル407,407a、ベースプレート403を形成する垂直側壁406。
【0069】
断面図では、覆いキャップ404aによって受け入れユニット404内に保持されたロータ408は、受け入れユニット内で断面の状態で見える。ポンプユニットの作動中、流入する流体は、流入チャネル407aを通って受け入れユニット内に導入され、インペラ408によって加速され、そして出口を通って流体チャネル407中に導かれる。
【0070】
図4の変形実施形態では、ベースプレート上の受け入れユニット404は、省かれている。したがって、キャップ404aは、受け入れユニットがキャップに組み込まれるように設計されるべきである。具体的に言えば、この場合、流体傾斜路も又、キャップ内に組み込まれる。
【0071】
図5は、ベース本体502及び流体チャネル507,507aを備えたカセットモジュールの細部501の別の実施形態を示している。この実施形態は、図4と比較して、ロータ508、受け入れユニット504及び覆いキャップ504aの幾何学的形状が変更されているという点で異なっている。ポンプユニットの動力の或る特定の要件、例えば送り出し圧力及び流量は、ロータの別の幾何学的形状を必要とする場合がある。受け入れユニット及び覆いキャップをそれに応じて幾何学的に適合させなければならない。この場合、覆いキャップに向いた側上よりもベースプレート503に向いた側上の方が直径が大きいロータが概略的に示されている。受け入れユニット504は、それに応じて幾何学的寸法から見てロータの直径に適合している。キャップ504aは、ロータの断面直径の突然の変化に幾何学的に適合されている。
【0072】
図6は、本発明のカセットモジュールの細部601の斜視図であり、この場合、流体チャネル(隠されている)の側壁606は、覆いフィルム611に溶接されている。フィルムは、溶接ゾーンの輪郭を概略的に示しており、かかる輪郭は、流体チャネル607,607aの垂直側壁606の輪郭に対応している。フィルム611は、溶接によって側壁606を介してベース本体602に永続的に取り付けられており、符号609及び610は、作動中におけるポンプユニットに入る流体チャネルのポート及びポンプユニットから出る流体チャネルのポートを示している。フィルム611は、多数の流体チャネルを覆っており、それどころか、ここに示されている斜視図ではカセット本体の細部601全体を覆っている。
【0073】
図7は、図6のカセットモジュールの細部701の断面図である。この図は、受け入れユニット704と、キャップ704aと、ロータ708とから成るポンプユニットの変形実施形態を示している。ポート710が図6の入口チャネルのポート610に対応している。フィルム711が図6の覆いフィルム611に対応している。ベース本体は、符号702で示され、ベースプレートは、符号703で示され、流体チャネルは、符号707a,707で示されている。
【0074】
図8は、ベース本体802の第1の側を見る方向でカセットモジュールの別の実施形態としての細部801を示している。ポート810,809は、入口及び出口流体チャネルへの接近部を形成しており、これら接近部は、ポンプユニットに連結されている。この図は、図示のカセットモジュールの流体チャネルだけが1枚のフィルム811で覆われると共に流体チャネルの垂直側壁に溶接された実施形態を示している。
【0075】
図8aは、図8のカセットモジュールの細部の縦断面図である。この図は、受け入れユニット804に一体的に連結されたベース本体を示している。この図は、入口流体チャネル807がベース本体の第1の側上に配置され、出口ポート809を備えた出口流体チャネルがベース本体802の第2の側上に配置されている状態を示している。ベース本体の第1の側上の流体チャネル及び第2の側上の受け入れユニット及び流体チャネルは、一段射出成形法で一体に製造できる一体形ユニットを依然として形成する。ベース本体の第2の側上の出口流体チャネルの構成は、流体力学の観点における或る特定の要件を考慮に入れる場合がある。例えば図3の流体傾斜路を備えた実施形態とは異なり、図8aに示されているような実施形態では、ポンプ輸送されるべき流体の流れエネルギーの失われる量は少ない。というのは、流体は、傾斜路によりベース本体の第1の側にそらされる必要がないからである。或る特定の用途では、傾斜路は、流体の送り出し圧力及び流量を減少させる場合があるので望ましくない。他方、或る特定の実施形態では、作動中に処置器械に向いていて、この器械に係合するカセットモジュールの第2の側上の構造体を最小限に抑えることが有利な場合がある。この利点は、流体チャネルがベース本体の第1の側上に配置されている図2図7の実施形態で得られることになる。
【0076】
図9は、カセットモジュールの別の実施形態としての区分901を示しており、図9aに示されているように、遠心ポンプ手段のための受け入れユニットは、ベース本体902に一体的に連結されているわけではない。受け入れユニットは、キャップ904aとベース本体903との間に設けられた結合プレート904として配置され、この受け入れユニットは、溶接又は接着によってベース本体に連結できる別個のコンポーネントを形成している。ロータ908は、ポンプハウジング(結合プレート904及びキャップ904aによって形成されている)内でキャップ904aによって包囲されている。入口及び出口ポート並びに流体チャネル907,907a,910,909は、ベース本体に一体的に連結されている。結合プレート904は、運ばれるべき流体の入口及び出口のための対応の通路を有している。キャップ904aは、図3の実施形態に関して説明したように流体傾斜路(図9には示されていない)を備えるのが良い。流体傾斜路は、図3の流体傾斜路305の機能を実行する。
【0077】
ベース本体の流体チャネルは、フィルム911によって覆われている。この構成は、特に、受け入れユニットが或る特定の理由でベース本体とは異なる材料で作られなければならない場合に重要なことがある。或る特定の実施形態に関し、ポンプユニットの作動に起因してベースプレートに伝えられる振動をなくすことが必要な場合がある。これは、結合プレート904について防振材料を用いることによって達成できる。一般に、ベース本体は、射出成形法によりポリプロピレンコポリマー(ランダムPP)、ポリカーボネート(PC)又はポリエチレンテレフタレート(PET)で作られると有利である。この場合、結合プレート904は、ロータの機械的振動を減衰させて、かかる機械的振動を減少させた形態でのみベースプレートに伝える熱可塑性エラストマープラスチック材料、例えばSEBS、エチレン‐ブチレン、ゴム又は他のエラストマー材料を含むのが良い。これにより、他の機能機器が作動中における振動に起因した外乱の影響を受けやすいという事実を回避することが可能である。
【0078】
図10は、先の図の実施形態において説明した一体形ロータ1008を有するカセットモジュールの細部1001を示している。この図は、ベースプレート1002を越えて突き出たポンプハウジング1004を示しており、このポンプハウジングは、上述した実施形態のロータの受け入れユニットを含むのが良い。ロータ1008を備えたポンプハウジング1004は、これがポンプ駆動装置1021に設けられた凹部1020によって受け入れ可能であるように設計されている。駆動装置は、磁界を発生させ、この磁界は、ロータ1008の動きを引き起こす。
【0079】
加うるに、図10は、この目的のために設けられていて、カセットモジュールに係合する器械コンソールの一部である器械プレート上の成形部品3を示している。この成形部品は、図10では一例として位置決めピンとして具体化されている。カセットは、ロータ駆動装置の凹部1020と一緒になって、カセットが器械コンソール上に正確に位置決めされ、更にロータ駆動装置ユニット内に設けられたセンサシステム(図示せず)によって確認できるよう構成されているのが良い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図8a
図9
図9a
図10