(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧力容器と、前記圧力容器内に配置され内側から外側に向けて原水を通過させてろ過する1つまたは複数のろ過エレメントと、前記ろ過エレメントの何れかに接続し、当該接続したろ過エレメントからろ過水を逆流させてろ過エレメントの洗浄を行う逆洗配管と、前記ろ過エレメントに対する前記逆洗配管の接続を切り替える切替手段とを備えたろ過ユニットが設けられた逆洗型ろ過装置であって、
前記ろ過エレメントにオゾンを供給することにより、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去する付着物除去手段が設けられており、
前記付着物除去手段が、前記圧力容器内に気体オゾンを供給する気体オゾン供給手段を備えており、
水が排出された前記圧力容器内に、前記気体オゾン供給手段により前記気体オゾンが供給され、供給された前記気体オゾンが、前記逆洗配管に接続されているろ過エレメントを経由して前記逆洗配管から排出されるように構成されていることを特徴とする逆洗型ろ過装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなろ過運転を継続した場合、微生物等の不純物がろ過エレメントの壁面などに付着し成長して、汚れやぬめりを生じさせたり、バイオフィルムなどを形成することがある。
【0006】
これらは粘着性が強く、一旦形成されてしまうと通常の逆洗では充分に除去することが難しいため、逆洗を行っているにも拘わらず、上昇した圧損を十分に低下させて流量低下を回復させることができず、原水の処理能力の低下を招く恐れがあった。
【0007】
そこで、本発明は、ろ過エレメントに形成された付着物を効果的に除去することにより、ろ過運転を継続した場合であっても原水の処理能力の低下を招くことがない逆洗型ろ過装置およびろ過エレメントの付着物除去方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に関連する第1の技術である逆洗型ろ過装置は、
圧力容器と、前記圧力容器内に配置され内側から外側に向けて原水を通過させてろ過する1つまたは複数のろ過エレメントと、前記ろ過エレメントの何れかに接続し、当該接続したろ過エレメントからろ過水を逆流させてろ過エレメントの洗浄を行う逆洗配管と、前記ろ過エレメントに対する前記逆洗配管の接続を切り替える切替手段とを備えたろ過ユニットが設けられた逆洗型ろ過装置であって、
前記ろ過エレメントに
オゾン、マイクロバブル、次亜塩素酸の少なくとも1つを供給することにより、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去する付着物除去手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明に関連する第2の技術である逆洗型ろ過装置は、
前記付着物除去手段が、前記圧力容器内に気体オゾンを供給する気体オゾン供給手段を備えており、
水が排出された前記圧力容器内に、前記気体オゾン供給手段により前記気体オゾンが供給され、供給された前記気体オゾンが、前記逆洗配管に接続されているろ過エレメントを経由して前記逆洗配管から排出されるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に関連する第3の技術である逆洗型ろ過装置は、
前記ろ過ユニットが2台以上並列して配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に関連する第4の技術である逆洗型ろ過装置は、
前記付着物除去手段が、前記圧力容器から流出するろ過水を移送するろ過水移送管と前記逆洗配管との間に設けられて前記ろ過水の一部を前記ろ過水移送管から取り込み、前記逆洗配管に送り込むバイパス経路と、前記バイパス経路の途中に設けられて前記バイパス経路を流れる前記ろ過水にオゾンおよび
/またはマイクロバブルを供給する気体供給手段とを備えており、
前記ろ過水移送管から取り込まれ、前記バイパス経路において前記オゾンおよび/またはマイクロバブルが供給された前記ろ過水を、前記逆洗配管を逆流させた後、前記ろ過エレメントを経由して、前記圧力容器内に送出するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明に関連する第5の技術である逆洗型ろ過装置は、
前記ろ過エレメントに対する前記逆洗配管の接続が順次切り替わることにより、前記オゾンおよび
/またはマイクロバブルが供給された前記ろ過水が、前記ろ過エレメントのそれぞれに間欠的に供給されるように前記切替手段を制御する制御部を備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明に関連する第6の技術である逆洗型ろ過装置は、
前記ろ過エレメントに対する前記逆洗配管の接続を検出するセンサと、前記センサにより検出された前記ろ過エレメントと前記逆洗配管との接続を所定時間継続した後、前記ろ過エレメントと前記逆洗配管との接続を切り替える切替動作が繰り返し行われるように前記切替手段を制御する制御部とを備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明に関連する第7の技術である逆洗型ろ過装置は、
前記付着物除去手段が、前記圧力容器から流出したろ過水にオゾンまたは次亜塩素酸を供給する殺菌手段と、前記殺菌手段から流出するろ過水を移送するろ過水移送管と前記逆洗配管との間に設けられて前記ろ過水の一部を前記ろ過水移送管から取り込み、前記逆洗配管に送り込むバイパス経路とを備えており、
前記殺菌手段において前記オゾンまたは前記次亜塩素酸が供給され、前記ろ過水移送管から取り込まれたろ過水を、前記逆洗配管を逆流させた後、前記ろ過エレメントを経由して、前記圧力容器内に送出するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明に関連する第8の技術である逆洗型ろ過装置は、
前記ろ過エレメントに対する前記逆洗配管の接続が順次切り替わることにより、前記オゾンまたは前記次亜塩素酸が供給されたろ過水が、前記ろ過エレメントのそれぞれに間欠的に供給されるように前記切替手段を制御する制御部を備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明に関連する第9の技術である逆洗型ろ過装置は、
前記ろ過エレメントに対する前記逆洗配管の接続を検出するセンサと、前記センサにより検出された前記ろ過エレメントと前記逆洗配管との接続を所定時間継続した後、前記ろ過エレメントと前記逆洗配管との接続を切り替える切替動作が繰り返し行われるように前記切替手段を制御する制御部とを備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明に関連する第10の技術であるろ過エレメントの付着物除去方法は、
第1の技術に記載の逆洗型ろ過装置を用いて、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去するろ過エレメントの付着物除去方法であって、
前記ろ過エレメントに
オゾン、マイクロバブル、次亜塩素酸の少なくとも1つを供給することにより、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去することを特徴とする。
【0018】
本発明に関連する第11の技術であるろ過エレメントの付着物除去方法は、
第2の技術に記載の逆洗型ろ過装置を用いて、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去するろ過エレメントの付着物除去方法であって、
水が排出された前記圧力容器内に、前記気体オゾン供給手段により前記気体オゾンを供給し、供給された前記気体オゾンを、前記逆洗配管に接続されているろ過エレメントを経由して前記逆洗配管から排出することにより、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去することを特徴とする。
【0019】
本発明に関連する第12の技術であるろ過エレメントの付着物除去方法は、
第3の技術に記載の逆洗型ろ過装置を用いて、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去するろ過エレメントの付着物除去方法であって、
前記各ろ過ユニットに対して順次前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去することを特徴とする。
【0020】
本発明に関連する第13の技術であるろ過エレメントの付着物除去方法は、
第4の技術に記載の逆洗型ろ過装置を用いて、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去するろ過エレメントの付着物除去方法であって、
前記ろ過水移送管から取り込まれ、前記バイパス経路において前記オゾンおよび
/またはマイクロバブルが供給された前記ろ過水を、前記逆洗配管を逆流させた後、前記ろ過エレメントを経由して、前記圧力容器内に送出することにより前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去することを特徴とする。
【0021】
本発明に関連する第14の技術であるろ過エレメントの付着物除去方法は、
第5の技術に記載の逆洗型ろ過装置を用いて、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去するろ過エレメントの付着物除去方法であって、
前記ろ過エレメントに対する前記逆洗配管の接続を順次切り替え、前記オゾンおよび
/またはマイクロバブルが供給された前記ろ過水を前記ろ過エレメントのそれぞれに間欠的に供給されるように前記切替手段を制御することにより前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去することを特徴とする。
【0022】
本発明に関連する第15の技術であるろ過エレメントの付着物除去方法は、
第6の技術に記載の逆洗型ろ過装置を用いて、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去するろ過エレメントの付着物除去方法であって、
前記センサにより検出された前記ろ過エレメントと前記逆洗配管との接続を所定時間継続した後、前記ろ過エレメントと前記逆洗配管との接続を切り替える切替動作が繰り返し行われるように前記切替手段を制御することにより前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去することを特徴とする。
【0023】
本発明に関連する第16の技術であるろ過エレメントの付着物除去方法は、
第7の技術に記載の逆洗型ろ過装置を用いて、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去するろ過エレメントの付着物除去方法であって、
前記殺菌手段において前記オゾンまたは前記次亜塩素酸が供給され、前記ろ過水移送管から取り込まれたろ過水を、前記逆洗配管を逆流させた後、前記ろ過エレメントを経由して、前記圧力容器内に送出することにより前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去することを特徴とする。
【0024】
本発明に関連する第17の技術であるろ過エレメントの付着物除去方法は、
第8の技術に記載の逆洗型ろ過装置を用いて、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去するろ過エレメントの付着物除去方法であって、
前記ろ過エレメントに対する前記逆洗配管の接続を順次切り替えることにより、前記オゾンまたは前記次亜塩素酸が供給されたろ過水が、前記ろ過エレメントのそれぞれに間欠的に供給されるように前記切替手段を制御することにより前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去することを特徴とする。
【0025】
本発明に関連する第18の技術であるろ過エレメントの付着物除去方法は、
第9の技術に記載の逆洗型ろ過装置を用いて、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去するろ過エレメントの付着物除去方法であって、
前記センサにより検出された前記ろ過エレメントと前記逆洗配管との接続を所定時間継続した後、前記ろ過エレメントと前記逆洗配管との接続を切り替える切替動作が繰り返し行われるように前記切替手段を制御することにより前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去することを特徴とする。
【0026】
本発明は、上記した各技術に基づくものであり、請求項1に記載の発明は、
圧力容器と、前記圧力容器内に配置され内側から外側に向けて原水を通過させてろ過する1つまたは複数のろ過エレメントと、前記ろ過エレメントの何れかに接続し、当該接続したろ過エレメントからろ過水を逆流させてろ過エレメントの洗浄を行う逆洗配管と、前記ろ過エレメントに対する前記逆洗配管の接続を切り替える切替手段とを備えたろ過ユニットが設けられた逆洗型ろ過装置であって、
前記ろ過エレメントにオゾンを供給することにより、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去する付着物除去手段が設けられており、
前記付着物除去手段が、前記圧力容器内に気体オゾンを供給する気体オゾン供給手段を備えており、
水が排出された前記圧力容器内に、前記気体オゾン供給手段により前記気体オゾンが供給され、供給された前記気体オゾンが、前記逆洗配管に接続されているろ過エレメントを経由して前記逆洗配管から排出されるように構成されていることを特徴とする逆洗型ろ過装置である。
【0027】
また、請求項2に記載の発明は、
前記ろ過ユニットが2台以上並列して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の逆洗型ろ過装置である。
【0028】
また、請求項3に記載の発明は、
請求項1に記載の逆洗型ろ過装置を用いて、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去するろ過エレメントの付着物除去方法であって、
水が排出された前記圧力容器内に、前記気体オゾン供給手段により前記気体オゾンを供給し、供給された前記気体オゾンを、前記逆洗配管に接続されているろ過エレメントを経由して前記逆洗配管から排出することにより、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去することを特徴とするろ過エレメントの付着物除去方法である。
【0029】
また、請求項4に記載の発明は、
請求項2に記載の逆洗型ろ過装置を用いて、前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去するろ過エレメントの付着物除去方法であって、
前記各ろ過ユニットに対して順次前記ろ過エレメントに形成された付着物を除去することを特徴とする請求項3に記載のろ過エレメントの付着物除去方法である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ろ過エレメントに形成された付着物を効果的に除去することにより、ろ過運転を継続した場合であっても原水の処理能力の低下を招くことがない逆洗型ろ過装置およびろ過エレメントの付着物除去方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施の形態に基づき、図を参照して説明する。
【0033】
以下に説明する第1〜第5の実施の形態に示すように、本発明に係る逆洗型ろ過装置は、オゾン、マイクロバブル、次亜塩素酸の少なくとも1つをろ過エレメントに供給することができるように構成されている。
【0034】
オゾンおよび次亜塩素酸は殺菌・洗浄効果に優れており、このオゾンまたは次亜塩素酸をバイオフィルム等の付着物に供給することにより、付着物をろ過エレメントから容易に除去することができる。
【0035】
一方、微細な気泡であるマイクロバブルは、バイオフィルム等の付着物内部に入り込むことにより、優れた付着物剥離効果を発揮し、付着物をろ過エレメントから容易に除去することができる。
【0036】
また、上記のとおり、マイクロバブルは付着物の内部に入り込むことができるため、オゾンのマイクロバブルをろ過エレメントに供給した場合、オゾンの殺菌・洗浄効果をさらに向上させ、付着物をろ過エレメントからさらに容易に除去することができる。
【0037】
このように、本発明に係る逆洗型ろ過装置によれば、ろ過エレメントに付着した付着物を効果的に除去することができ、ろ過運転を継続した場合であっても原水の処理能力を十分に発揮させることができる。以下、第1〜第5の実施の形態のそれぞれを順に説明する。
【0038】
1.第1の実施の形態
はじめに、本発明の第1の実施の形態に係る逆洗型ろ過装置について説明する。
【0039】
図1は本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置の構成を示す図であり、
図2は
図1に示したA−A線の断面図である。
【0040】
1−1.装置構成
図1および
図2に示すように、本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置には、圧力容器2と、圧力容器2内に配置され内側から外側に向けて原水を通過させてろ過する複数のろ過エレメント6と、複数のろ過エレメント6の何れかに接続し、当該接続したろ過エレメント6からろ過水を逆流させてろ過エレメントの逆洗を行う逆洗配管21と、複数のろ過エレメント6に対する逆洗配管21の接続を切り替える切替手段としてのモータ9とを備えたろ過ユニット1が設けられている。
図1において、3は原水の流入口、4はろ過水の流出口である。
【0041】
圧力容器2の内部は、複数の開口部10を有する仕切り板5により、流入口3を有する原水室11と流出口4を有するろ過水室12とに区画されている。
【0042】
そして、複数のろ過エレメント6は、仕切り板5の複数の開口部10と、ろ過エレメント6それぞれの底面開口部14とが重なるようにして、仕切り板5のろ過水室12側に円周状に配置されている。なお、13はろ過エレメント6の天板である。
【0043】
なお、ろ過エレメント6としては、ディスク型・リング状のろ過材を積層させボルトで固定したパイルドディスク(PD)方式の高精度(30〜70μm)のろ過エレメントを好ましく用いることができる。
【0044】
逆洗配管21は、圧力容器2の原水室11内で分岐しており、各分岐管21a、21bの先端に逆洗ノズル20a、20bが設けられている。また、逆洗配管21は、回転軸22を介してモータ9に連結されており、モータ9の稼働により、
図2の矢印のように逆洗配管21が回転することによって、各ろ過エレメント6の底面開口部14(仕切り板5の開口部10)と逆洗配管21の逆洗ノズル20a、20bとの接続が順次切り替えられる。
【0045】
上記の構成は、基本的に、従来の逆洗型ろ過装置と同様の構成であるが、本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置においては、さらに、ろ過エレメント6にオゾンおよび/またはマイクロバブルをろ過エレメント6に供給することにより、ろ過エレメント6に形成された付着物を除去する付着物除去手段が設けられている。
【0046】
具体的には、本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置は、上記の構成に加えて、付着物除去手段として、圧力容器2内に気体オゾンを供給する気体オゾン供給手段24を備えている。
【0047】
気体オゾン供給手段24は、流出口4から次工程にろ過水を移送するろ過水移送管15に接続されており、気体オゾン供給手段24とろ過水移送管15との間には電動弁35が設けられている。
【0048】
また、圧力容器2の原水室11には、圧力容器2内の水を排出する排水手段としてドレン管23が取り付けられており、ドレン管23に設けられたドレンバルブ34を開くことにより、圧力容器2内の水が外部に排出される。
【0049】
1−2.ろ過運転および逆洗
本実施の形態において、逆洗型ろ過装置を用いたろ過は以下の手順で行われる。最初に、流入口3上流に配置された圧送ポンプ(図示省略)により原水が圧送されて流入口3から原水室11に流入する。
【0050】
原水室11に流入した原水は、
図1の実線矢印に示すように、複数のろ過エレメント6の内側から外側に向かって移動し、ろ過エレメント6を通過する際にろ過されて、ろ過水としてろ過水室12に流入し、その後流出口4から流出する。
【0051】
ろ過運転中、ろ過流路に微生物などの不純物が付着してろ過エレメント6に目詰りが生じると、圧損が上昇して原水の処理能力が低下してくる。そこで、ろ過運転と並行して、逆洗配管21と接続したろ過エレメント6のみに対して逆洗を行うことにより、他のろ過エレメント6でろ過運転を継続させながら、目詰りを解消させる。これにより、ろ過運転を停止させることなく原水の処理能力を回復させることができ、連続ろ過が可能となる。
【0052】
具体的には、逆洗配管ボール弁33を開くことにより外部に開放された状態の逆洗配管21をモータ9の可動により回転させて、逆洗ノズル20a、20bを複数のろ過エレメント6のそれぞれに順次接続させる。
【0053】
逆洗ノズル20a、20bが接続しているろ過エレメント6では、外部との圧力差によって、
図1の破線矢印のように、外側から内側に向かってろ過水が逆流するため、ろ過エレメント6のろ過流路に詰まった不純物が除去され、その後、逆洗配管21を通って外部に排出される。
【0054】
1−3.付着物の除去
しかし、前記したように、ろ過エレメントの壁面などに付着した微生物などの不純物は、バイオフィルムなどの付着物を形成することがある。これらの付着物は粘着性が強く、一旦形成されてしまうと通常の逆洗では充分に除去することが難しいため、逆洗を行っているにも拘わらず、原水の処理能力を回復させることができなくなる。
【0055】
そこで、例えば、流入口3と流出口4との間の圧損やろ過水の流量を監視し続け、圧損増大や流量低下が生じたことを検知した場合、ろ過運転を一旦停止してろ過エレメント6の付着物の除去を開始する。また、定期メンテナンス時に付着物の除去を行ってもよい。
【0056】
具体的には、まず、流入口3の上流と、ろ過水移送管15に配置されたバタフライ弁31、32を閉じドレンバルブ34を開くことにより、圧力容器2内の水を排出する。
【0057】
そして、ドレンバルブ34を閉め、電動弁35を開いた後に、気体オゾン供給手段24を稼働させて、流出口4から圧力容器2内に気体オゾンを供給する。
【0058】
そして、逆洗配管21を回転させることにより、逆洗ノズル20a、20bをろ過エレメント6の何れかに順次接続させる。逆洗ノズル20a、20bが接続しているろ過エレメント6では、外部との圧力差によって、圧力容器2内に充満したオゾンがろ過エレメント6の外側から内側に向かって通過し、逆洗配管21を経て外部に排出される。このとき、ろ過エレメント6を通過するオゾンにより、バイオフィルム等の付着物がろ過エレメント6から除去される。
【0059】
以上のように、本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置では、殺菌効果の高い気体オゾンを、逆洗配管21と接続したろ過エレメント6に通過させることにより、バイオフィルム等の付着物をろ過エレメント6から適切に除去することができる。
【0060】
また、複数のろ過エレメント6のうち、逆洗配管21と接続したろ過エレメント6のみに気体オゾンを通過させるため、高い圧力で気体オゾンをろ過エレメント6に通過させることができ、より適切に付着物を除去することができる。
【0061】
なお、上記の気体オゾンによる付着物除去を行う前に、全てのろ過エレメント6を清水を用いて強制的に洗浄することが好ましい。
【0062】
なお、バイオフィルム等の付着物は数日間のろ過運転継続により成長する可能性があるため、上記の付着物除去処理は数時間〜数日に1回の間隔で行うことが好ましい。
【0063】
2.第2の実施の形態
図3は本実施の形態の逆洗型ろ過装置の構成を示す図である。
【0064】
2−1.装置構成
図3に示すように、本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置は、付着物除去手段を含め、第1の実施の形態と同様の構成を有するろ過ユニット1が2台並列して配置されている。そして、本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置には、途中で分岐して各ろ過ユニット1に原水が流入するように原水流入管50が設けられていると共に、各ろ過ユニット1においてろ過された各ろ過水がろ過水移送管15を経由して合流するようにろ過水流出管51が設けられている。
【0065】
2−2.ろ過運転および逆洗
本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置を用いたろ過運転および逆洗は、各ろ過ユニットで、第1の実施の形態と同様に行われるため、これらについての説明は省略する(以降の実施の形態においても同様)。
【0066】
2−3.付着物の除去
本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置においては、1つのろ過ユニット単位で付着物の除去が第1の実施の形態と同様に行われ、他のろ過ユニットではそのままろ過運転および逆洗が継続して行われる。
【0067】
具体的には、まず、付着物の除去を行うろ過ユニット1を選択し(
図3においては左側のろ過ユニット)、選択されたろ過ユニット1について、第1の実施の形態と同様に付着物の除去を行う。その後は、他のろ過ユニット1を選択して、同様に付着物の除去を行う。
【0068】
このように、本実施の形態においては、1つのろ過ユニット単位で付着物の除去を行い、他のろ過ユニットではそのままろ過運転および逆洗を継続して行うことができるため、1台のろ過ユニットで構成された第1の実施の形態に係る逆洗型ろ過装置の場合と異なり、連続してろ過することができるようになり、より効率的に水処理を行うことができる。
【0069】
3.第3の実施の形態
図4は本実施の形態の逆洗型ろ過装置の構成を示す図である。
【0070】
3−1.装置構成
図4に示すように、本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置は、付着物除去手段として、圧力容器2から流出するろ過水を移送するろ過水移送管15と逆洗配管21との間に設けられて、ろ過水の一部をろ過水移送管15から取り込み、逆洗配管21に送り込むバイパス経路41と、バイパス経路41の途中に設けられてバイパス経路41を流れるろ過水にオゾンのマイクロバブルを供給する気体供給手段45とを備えている。
【0071】
具体的には、気体供給手段45は、前記バイパス経路41に取り付けられたマイクロバブルノズル43と、マイクロバブルノズル43にオゾンを供給するオゾン供給装置44を備えている。
【0072】
3−2.付着物の除去
本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置では、オゾンのマイクロバブルが供給されたろ過水を、逆洗配管21を逆流させた後、ろ過エレメント6を経由して圧力容器2内に送出することにより、ろ過エレメント6に形成された付着物を除去する。
【0073】
具体的には、まず、逆洗配管21の逆洗配管ボール弁33を閉じ、電動弁35、36を開いた後に、バイパス経路41上のポンプ42を稼働させて、
図4の実線矢印のように、ろ過水の一部をろ過水移送管15からバイパス経路41に取り込む。
【0074】
次に、バイパス経路41に取り込まれたろ過水に、マイクロバブルノズル43を介してオゾン供給装置44からオゾンを供給することにより、オゾンのマイクロバブルを含んだろ過水が逆洗配管21に送られ、その後逆洗配管21内を逆流して、ろ過エレメント6を経由して、圧力容器2のろ過水室12に送出される。
【0075】
このとき、切替手段としてのモータ9を制御する制御部(図示省略)がモータ9を稼働させ逆洗配管21を回転させることにより、複数のろ過エレメント6に対する逆洗ノズル20a、20bの接続が順次切り替えられているため、逆洗配管21を逆流してきたろ過水が複数のろ過エレメント6のそれぞれに間欠的に供給される。一方、逆洗配管21が接続されていないろ過エレメント6では原水室11から原水が流れ込み、通常のろ過が行われる。
【0076】
この結果、ろ過水室12において、オゾンのマイクロバブルを含んだろ過水と通常のろ過水とが混合されて、流出口4からろ過水移送管15に流出する。流出したろ過水の一部は、上記のとおり、再びバイパス経路41に取り込まれ、ろ過エレメント6の付着物除去に用いられる。
【0077】
本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置によれば、付着物の除去とろ過運転とを同時に行うことができるため、逆洗型ろ過装置を停止させずに流量低下を回復させることにより、原水の処理能力を大幅に向上させることができる。
【0078】
なお、ろ過エレメント6に供給されるろ過水のオゾン濃度としては1〜10ppm程度であることが好ましく、この場合、1つのろ過エレメント6に対して1日あたり数分間程度オゾンを含んだろ過水を供給することにより付着物を適切に除去できる。
【0079】
また、本実施の形態では、不純物を含む水(原水など)ではなく、ろ過後の清浄な水にオゾンを供給しているため、不純物のオゾン吸着によるオゾン濃度低下が抑制され、少ないオゾン供給量で十分に付着物を除去できる。
【0080】
さらに、逆洗配管21と接続しているろ過エレメント6に直接ろ過水を供給するため、圧力容器2内全体をオゾン水で満たす必要がなく、全体としてのオゾン供給量を大幅に減らす(例えば、200分の1程度)ことができるため、オゾン供給のコスト低減やオゾン供給装置の小型化などに貢献できる。
【0081】
さらに、オゾン供給に際して、ろ過水移送管15にオゾン濃度測定器を設け、その測定結果に基づいてオゾン供給量を適宜調整するように構成することにより、オゾン供給量をより低減させることができる。
【0082】
また、本実施の形態の逆洗型ろ過装置では、上記の付着物の除去と逆洗とを繰り返し行うことにより、ろ過エレメント6の付着物をより効果的に除去することができる。
【0083】
なお、本実施の形態においては、オゾンとマイクロバブルを併用して、オゾンのマイクロバブルを含んだろ過水としているが、何れか一方を含んだろ過水であってもよい。
【0084】
4.第4の実施の形態
図5は本実施の形態の逆洗型ろ過装置の構成を示す図である。本発明者は、実験の結果、第3の実施の形態に示した付着物の除去に際して、オゾンおよび/またはマイクロバブルを含んだろ過水を1つのろ過エレメントに対して所定時間(例えば数分間)継続して供給した場合、さらに効果的に付着物を除去できることを確認した。
【0085】
4−1.装置構成
即ち、
図5に示すように、本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置は、複数のろ過エレメント6に対する逆洗配管21の接続を検出するセンサ25と、センサ25により検出されたろ過エレメント6と逆洗配管21との接続に基づいて、切替手段としてのモータ9を制御する制御部(図示省略)を備えている点で第3の実施の形態に係る逆洗型ろ過装置と異なる。
【0086】
センサ25は、モータ9が載置されたケースの内部に取り付けられており、回転軸22に取り付けられた検出対象26の位置に基づいて逆洗配管21の基準位相を検知することにより、回転軸22の回転角度を割り出し、逆洗配管21が接続しているろ過エレメント6を検出する。
【0087】
なお、センサ25としては、例えば、近接センサ、光電センサ、カムスイッチなどを用いることが好ましい。
【0088】
4−2.付着物の除去
本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置では、1つのろ過エレメントに対して所定時間継続してオゾンおよび/またはマイクロバブルを含んだろ過水が供給されるように、制御部が、センサ25により検出されたろ過エレメント6と逆洗配管21との接続を所定時間継続した後、ろ過エレメント6と逆洗配管21との接続を切り替える切替動作が繰り返し行われるようにモータ9を制御する。
【0089】
具体的には、付着物の除去を開始する前に、制御部は、センサ25の検出結果に基づいて、洗浄対象となるろ過エレメント6に逆洗ノズル20a、20bが接続されるように逆洗配管21の回転量を調整し、洗浄対象となる所定のろ過エレメント6に逆洗ノズル20a、20bが接続した時点でモータ9を停止させる。
【0090】
次に、逆洗配管21とろ過エレメント6との接続を所定時間(例えば数分間)維持しながら、第3の実施の形態と同様にして、洗浄対象のろ過エレメント6の付着物の除去を行う。
【0091】
除去作業を所定の時間行った後は、モータ9の回転を再開させて次の洗浄対象のろ過エレメント6に逆洗配管21を接続させ、同様にろ過エレメント6の付着物の除去を行う。以下、この切替動作を繰り返すことにより、全てのろ過エレメント6に対して付着物の除去を行う。
【0092】
以上のように、本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置では、1つのろ過エレメント6に対して所定の時間、オゾンおよび/またはマイクロバブルを含んだろ過水が継続して供給されるため、オゾンおよび/またはマイクロバブルによる付着物の除去能力をより適切に発揮させることにより、付着物をより効果的に除去することができる。
【0093】
5.第5の実施の形態
図6は本実施の形態の逆洗型ろ過装置の構成を示す図である。
【0094】
5−1.装置構成
図6に示すように、本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置は、付着物除去手段として、圧力容器2から流出したろ過水にオゾンを供給する殺菌手段46と、オゾンが供給されたろ過水を移送するろ過水移送管15と逆洗配管21との間に設けられて、ろ過水の一部をろ過水移送管15から取り込み、逆洗配管21に送り込むバイパス経路41とを備えている。
【0095】
5−2.付着物の除去
逆洗型ろ過装置を始めとする水処理装置においては、より清浄なろ過水を提供するため、一般的に、ろ過水を移送するろ過水移送管15の下流側に殺菌手段46を設け、ろ過水にオゾンを吹き込むことによりろ過水を殺菌することが行われている。
【0096】
本実施の形態に係る逆洗型ろ過装置では、新たなオゾン供給手段を設けることなく、この殺菌手段46によってオゾンが吹きこまれたろ過水を利用することにより、ろ過エレメント6に形成された付着物を除去する。このため、低コストで、効果的にろ過エレメントの付着物を除去とすることができる。
【0097】
具体的には、まず、逆洗配管21の逆洗配管ボール弁33を閉じ、電動弁35、36を開いた後に、バイパス経路41上のポンプ42を稼働させて、
図6の実線矢印のように、殺菌手段46によりオゾンが吹き込まれたろ過水の一部をろ過水移送管15からバイパス経路41に取り込む。
【0098】
バイパス経路41に取り込まれたろ過水は、バイパス経路41から逆洗配管21に送られ、その後逆洗配管21内を逆流して、逆洗ノズル20a、20bと接続されたろ過エレメント6に到達し、ろ過エレメント6を経由して圧力容器2のろ過水室12に送出される。
【0099】
このとき、逆洗配管21が接続されていないろ過エレメント6では、原水室11から原水が流れ込み、通常のろ過が行われている。
【0100】
この結果、ろ過水室12において、オゾンが吹き込まれたろ過水と通常のろ過水とが混合されて、流出口4からろ過水移送管15に流出する。流出したろ過水は、殺菌手段46を通過した後に、一部が再びバイパス経路41に取り込まれ、ろ過エレメント6の付着物除去に用いられる。
【0101】
なお、ろ過水移送管15に設けられる殺菌手段46において、オゾンをろ過水に吹き込む代わりに、次亜塩素酸をろ過水に添加してもよい。このような場合でも同様に、ろ過水の一部をろ過水移送管15から取り込み、逆洗配管21に送り込むことにより、ろ過エレメント6の付着物除去を行うことができる。
【0102】
また、本実施の形態において、ろ過エレメント6と逆洗配管21との接続は、第3の実施の形態のように順次切り替えられてもよいし、第4の実施の形態のように所定時間継続した後に切り替えられてもよい。
【0103】
なお、上記第1〜第5の実施の形態では、複数のろ過エレメント6を備えた逆洗型ろ過装置1を用いているが、ろ過エレメントの数が1つである逆洗型ろ過装置にも同様に本発明を適用することができる。
【0104】
ろ過エレメントが1つの逆洗型ろ過装置においては、ろ過エレメントの底面開口部から逆洗配管が挿入され、逆洗ノズルがろ過エレメントの内側面の何れかの部分に接するように構成されており、逆洗配管を回転させることにより、ろ過エレメントが部分的に逆洗される。このような逆洗型ろ過装置の場合でも、上記第1〜第5の実施の形態と同様に、ろ過エレメントにオゾン、マイクロバブル、次亜塩素酸の少なくとも1つを供給することができる。
【実施例】
【0105】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
【0106】
(実施例1)
上記の第3の実施の形態に係る逆洗型ろ過装置を用いて海水のろ過を28日間継続して行った。なお、本実施例においては、通常の逆洗に加えて、オゾンのマイクロバブルを含んだろ過水をろ過エレメントに供給し、付着物の除去処理を行った。また、処理時間は1時間とし、処理頻度は、ろ過開始後15日間は1日5回(0時、3時、7時、12時、18時)、以降は1日1回(12時)とした。
【0107】
(実施例2)
海水のろ過を継続して12日間行い、付着物の除去処理に際して、空気のマイクロバブルのろ過水への供給を継続して行ったこと以外は、実施例1と同様にして付着物の除去処理を行った。
【0108】
(比較例1)
通常の逆洗のみで海水のろ過を19日間継続して行ったこと以外は、実施例1と同様にして付着物の除去処理を行った。
【0109】
(評価)
実施例1、実施例2、比較例1において、流入口3における原水の流入量を測定した。流入量の最大値を
図7に、一日あたりの平均値を
図8に示す。
図7および
図8の縦軸は流量(t/h)であり、横軸は経過日数である。
【0110】
図7および
図8に示すように、実施例1、2の場合、ろ過開始後から日数が経過しても、流入量に大きな変動がなく、安定したろ過が行われていた。
【0111】
一方、比較例1の場合、11日目から12日目に掛けて流入量の平均値が急激に低下し、ろ過運転を継続できなくなった。このため、ろ過運転を再開するために、12日目にろ過エレメントの手洗浄を行うとともに、13日目に圧送ポンプの周波数を50Hzから60Hzに変更し、回転数を上げることにより一時的に流入量を増加させる必要が生じた。
【0112】
以上のとおり、オゾンのマイクロバブルを含んだろ過水やマイクロバブルを含んだろ過水の供給を定期的に行った実施例1および実施例2では、ろ過エレメント6の付着物を効果的に除去することができ、長期間に亘って安定的にろ過を継続できることが確認できた。
【0113】
また、実施例1では、16日目以降、1日あたりの除去処理回数を減らしても、長期間に亘って安定的にろ過運転を行うことができた。このことから、オゾンのマイクロバブルを用いると、1日1回の除去処理で十分に付着物を除去できることが分かった。
【0114】
以上、本発明を実施の形態に基づき説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。