特許第6143161号(P6143161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143161
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/22 20060101AFI20170529BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   G02B27/22
   G09F9/00 351
   G09F9/00 361
   G09F9/00 313
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-43074(P2013-43074)
(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2014-115606(P2014-115606A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年12月21日
(31)【優先権主張番号】特願2012-81248(P2012-81248)
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-249682(P2012-249682)
(32)【優先日】2012年11月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】十二 紀行
【審査官】 廣崎 拓登
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/052588(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/149423(WO,A1)
【文献】 特開2001−330916(JP,A)
【文献】 特開2011−081296(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/123500(WO,A1)
【文献】 特開2006−267940(JP,A)
【文献】 特開2004−045830(JP,A)
【文献】 特開2012−063776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00−27/64
G03B 35/00−37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットパネルディスプレイを備えた携帯電話または携帯情報端末を載置するためのディスプレイ載置面を有する載置台と、パネル状の結像光学素子と、上記携帯電話または携帯情報端末を収容するケースとを備え、このケースの上面に、上記結像光学素子が配設され、この結像光学素子の下側に、上記結像光学素子の下面に対して所定角度傾斜した状態で、上記ディスプレイ載置面が配置され、上記ディスプレイ載置面に載置される携帯電話または携帯情報端末の上記フラットパネルディスプレイから投射され上記結像光学素子を透過した光により、上記フラットパネルディスプレイに表示された映像の投影像が、この結像光学素子の上側に浮かび上がった状態で結像するようになっていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記ケースが、周囲の光を遮光する暗箱状であり、上記載置台が、このケースの内部に配設されている請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
上記ケースが、その側面が開口する開放形のハウジングであり、上記載置台およびディスプレイ載置面が、このハウジングの一面を利用して形成されている請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
上記パネル状の結像光学素子の下面に対する上記フラットパネルディスプレイの傾斜角が、30°以上90°未満に設定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
上記パネル状の結像光学素子が、コーナーリフレクタ型の単位光学素子からなるマイクロミラーアレイである請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真等の二次元画像を空間に浮かび上がった状態で投影することにより、奥行き感を持った画像を立体的に表示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、立体像を含む画像を表示する画像表示面(液晶表示パネル等)の手前側(鑑賞者側)に、この表示面から離間して、空間に上記画像を結像する画像伝達パネル(結像光学素子)を配置した画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1等を参照)。
【0003】
この画像表示装置は、上記画像表示面に平行して離間する位置に、両面にマトリクス状に互いに隣接して配列された複数の凸レンズ(単位光学素子)を備える一対のマイクロレンズアレイ(結像光学素子)が配設されており、このマイクロレンズアレイの結像作用により、上記表示面とは反対側の空間(上記結像光学素子の素子面に対して表示面とは反対側の位置)に、上記画像の正立等倍像を投影(結像)させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−98479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の画像表示装置においては、上記液晶表示パネル等の表示面に表示された映像が、上記光学素子(マイクロレンズアレイ)の正面(すなわち、画像表示装置の正面)に結像するため、鑑賞者の視野内にその装置の枠等が入ってしまい、立体感や臨場感等が得られにくいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、奥行き感に富む立体的な二次元画像を、装置本体から離れた空間に浮かび上がらせて表示することのできる表示装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の表示装置は、フラットパネルディスプレイを備えた携帯電話または携帯情報端末を載置するためのディスプレイ載置面を有する載置台と、パネル状の結像光学素子と、上記携帯電話または携帯情報端末を収容するケースとを備え、このケースの上面に、上記結像光学素子が配設され、この結像光学素子の下側に、上記結像光学素子の下面に対して所定角度傾斜した状態で、上記ディスプレイ載置面が配置され、上記ディスプレイ載置面に載置される携帯電話または携帯情報端末の上記フラットパネルディスプレイから投射され上記結像光学素子を透過した光により、上記フラットパネルディスプレイに表示された映像の投影像が、この結像光学素子の上側に浮かび上がった状態で結像するようになっているという構成をとる。
【0008】
すなわち、本発明者は、前記課題を解決するため研究を重ね、その結果、結像機能を有するパネル状の光学素子を用いて、フラットパネルディスプレイを収容するケースまたはハウジング等の上方に、上記フラットパネルディスプレイに表示される写真等の二次元画像や映像(動画)等を、浮かび上がった(立ち上がった)状態で結像させることにより、上記映像を、立体視の画像(3D画像)のように臨場感溢れる映像として表示できることを見出し、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表示装置は、携帯電話または携帯情報端末の、映像を表示するフラットパネルディスプレイが、載置台のディスプレイ載置面によって、その表示面をパネル状光学素子に対して所定角度傾斜させた状態で配置され、このフラットパネルディスプレイ(光源)から発せられた光が、ケース等の上面に嵌め入れられた上記結像光学素子を透過し、その上方(パネル上面の上方)に、立体的な二次元画像を結像するようになっている。これにより、本発明の表示装置は、上記フラットパネルディスプレイを備えた携帯電話または携帯情報端末を、所定角度のディスプレイ載置面にセットするという簡単な操作だけで、平面的な二次元画像(写真等)を、奥行き感を持った擬似的な立体像(立体的二次元画像)として、パネル状結像光学素子から離れた上方に表示(投影)することができる。
【0010】
なお、上記フラットパネルディスプレイを収容する容器としては、周囲の光を遮光する暗箱状で、かつ、上記載置台がその内部に配設されたケースか、あるいは、側面が開口する開放形で、かつ、上記載置台およびディスプレイ載置面が、その一面を利用して形成されているハウジングの、いずれかを好適に採用する。上記暗箱状のケースを用いた場合、上記映像を鮮明に投影できるというメリットがある。また、上記開放形のハウジングを用いた場合、上記フラットパネルディスプレイを備えた携帯電話または携帯情報端末を簡単に出し入れできるという利点がある。
【0011】
また、本発明の表示装置のなかでも、上記パネル状結像光学素子の下面に対する上記フラットパネルディスプレイの傾斜角が、30°以上90°未満に設定されているものは、上記表示される立体的二次元画像を、より浮遊感の強い立体的な画像として表示することができる。
【0012】
また、本発明の表示装置のなかでも、特に、上記パネル状の結像光学素子が、コーナーリフレクタ型の単位光学素子からなるマイクロミラーアレイであるものは、上記表示される立体的二次元画像を、より輝度の高い鮮明な画像として表示することができる。
【0013】
そして、本発明の表示装置、上記フラットパネルディスプレイが、携帯電話または携帯情報端末の表示部であり、この携帯電話または携帯情報端末が、上記載置台のディスプレイ載置面に着脱可能に配設されるようになっているため、特別な準備の必要なく、この表示装置をより簡単かつ手軽に利用することができる。
【0014】
なお、本発明の表示装置における「パネル状の結像光学素子」とは、被投影物の鏡像を実像として結像させる屈折型結像素子(フレネルレンズ等を含む各種レンズや、アフォーカル光学系のマイクロミラー,コーナーリフレクタ等)、および、被投影物の正立等倍像を実像として結像させるマイクロレンズアレイ等の正立等倍型結像素子のうち、その外形形状がパネル状あるいは平板状で、かつ、その表裏面(上下面)が比較的平坦でフラットなものを指す。また、上記パネル状の結像光学素子の「上面」,「下面」とは、ケースまたはハウジング等の外側面,内側面を指す言葉で、結像の基準(光路の屈折点)となる、結像光学素子の「素子面」とほぼ平行な面を表す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は本発明の第1実施形態における表示装置の外観斜視図であり、(b)は表示装置のケースにフラットパネルディスプレイをセットする方法を説明する一部断面図である。
図2】第1実施形態における映像の投影方法を説明する図である。
図3】第1実施形態における表示装置の内部構造を示す図である。
図4】上記表示装置に用いられるマイクロミラーアレイの構造を説明する図である。
図5】上記マイクロミラーアレイの詳細構造を説明する断面図である。
図6】上記マイクロミラーアレイによる空間像の投影方式を説明する図である。
図7】上記表示装置に用いられるマイクロミラーアレイの他の構造例を説明する図である。
図8】上記マイクロミラーアレイの構成を説明する分解斜視図である。
図9】上記表示装置に用いられるマイクロミラーアレイのさらに他の構造例を説明する図である。
図10】上記マイクロミラーアレイの構成を説明する分解斜視図である。
図11】上記表示装置に用いられるマイクロミラーアレイのさらに他の構造例を説明する図である。
図12】上記マイクロミラーアレイの構成を説明する分解斜視図である。
図13】上記表示装置に用いられる別の構造のマイクロミラーアレイの構成を説明する図である。
図14】本発明の第2実施形態における表示装置の外観斜視図である。
図15】本発明の第3実施形態における表示装置の外観斜視図である。
図16】本発明の第4実施形態における表示装置の外観斜視図である。
図17】本発明の第5実施形態における表示装置の外観斜視図である。
図18】本発明の第6実施形態における表示装置の外観斜視図である。
図19】本発明の第7実施形態における表示入力装置の構成を示す断面図である。
図20】本発明の第8実施形態における表示入力装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0017】
図1(a)は、本発明の第1実施形態における表示装置の外観斜視図であり、図1(b)は、その使用方法を説明する一部断面図である。また、図2は、本発明の表示装置の内部構造と映像の投影方法を説明する図である。なお、フラットパネルディスプレイ2の表示面2aに表示される「画像」および空間に投影される空間像I’(ともに、図2中の太線矢印)は、その厚みを強調して図示している。また、本例においては、フラットパネルディスプレイ2には、携帯電話(スマートフォン等)の液晶表示画面(LCD)を利用している。
【0018】
上記表示装置は、フラットパネルディスプレイ2を載置(支持)するための載置台3と、結像機能を有するパネル状の結像光学素子1と、上記フラットパネルディスプレイ2を収容するケース4とを備えている。また、上記ケース4の上面の開口4aには、上記結像光学素子1が嵌め込まれているとともに、このケース4の内部には、図2のように、上記載置台3が、そのディスプレイ載置面3aを所定角度αで傾けた状態で配置されている。そして、上記フラットパネルディスプレイ2の表示面2aから発せられた光(バックライト光)により、上記表示面2a上の画像Iが、この結像光学素子1の結像作用により上方に結像(空間像I’)し、鑑賞者の視点(白抜き矢印E側)からは、上記空間像I’が、結像光学素子1の上面(外側面)1aから浮かび上がった、立体的な空間像として視認できるようになっている。これが、本発明の表示装置の特徴である。
【0019】
上記表示装置について、詳しく説明すると、上記載置台3は、上面がディスプレイ載置面3aとなる板状部材と、基台3b,3bとからなり、ケース4内部の底部4b側に配設されている。上記板状部材は、ケース4の底面4bおよび結像光学素子1の素子面P(または結像光学素子1の下面1b)に対して所定角度α傾いた状態(図2参照)で、上記基台3b,3bに支持・固定されており、その上面が、フラットパネルディスプレイ2の載置面3aとなっている。そして、このディスプレイ載置面3a上に、スマートフォン等を載置することにより、上記表示面2aが結像光学素子1の素子面Pに対してα°傾いた状態で、このフラットパネルディスプレイ2が保持されるようになっている。なお、ケース4内における上記載置台3の、結像光学素子1の素子面P(およびケース内側の下面1b)に対する傾斜角αは、結像光学素子1による結像が最適となるように調整されており、通常30°以上90°未満、好ましくは40°以上80°以下に設定される。
【0020】
また、上記載置台3の載置面3aには、図3に示すように、フラットパネルディスプレイ2が載置台3上に載置された際に隠れる(見えなくなる)位置に、セグメントLED(符号5)やLEDディスプレイ等からなる自発光式のデジタル時計が組み込まれている。これらのセグメントLED(5)等は、図示しないスイッチ等の切り換えにより、フラットパネルディスプレイ2を載置(使用)していない間にも、現在の時刻や簡単な情報等を表示できるようになっている。
【0021】
さらに、載置台3上に載置するフラットパネルディスプレイ(携帯電話やスマートフォン等)として、大きさの異なる複数種類ものを併用する場合は、これらスマートフォン等のサイズに合わせ、ケース4内に、寸法の異なる載置台(またはディスプレイ載置面3a)を複数個配設してもよい。また、それら個々の載置台は可変式または可動式としてもよく、載置面3aに上記セグメントLED(5)等を配設しない場合は、この載置面3aにフラットパネルディスプレイ2を仮固定するための吸着(粘着)テープ等を取り付けてもよい。
【0022】
つぎに、上記表示装置に使用する結像光学素子1としては、フレネルレンズ等を含む各種レンズや、アフォーカル光学系のマイクロミラー,コーナーリフレクタ等の屈折型結像素子、マイクロレンズアレイ等の正立等倍型結像素子を用いることができる。なかでも、本実施形態においては、図2のように、素子面Pに対して面対称の位置に像を結ぶ、マイクロミラーアレイ(凸型コーナーリフレクタアレイ、詳細構造は図4を参照)が好適に使用される。このマイクロミラーアレイ10は、上記ケース4の上面に設けられた開口4aに嵌め入れて固定されている。
【0023】
上記マイクロミラーアレイ(コーナーリフレクタアレイ)10について、より詳しく説明すると、このマイクロミラーアレイ10は、図4の拡大模式図に示すように、基板(基盤)11の下面(図1図3における結像光学素子1の下面1b側)に、下向き凸状の多数の微小な四角柱状単位光学素子12(コーナーリフレクタ)が、斜め碁盤目状に並ぶように配列されている〔図4はアレイを下側から見上げた図である。〕。
【0024】
上記マイクロミラーアレイ10の各四角柱状の単位光学素子12は、その断面を図5に示すように、コーナーリフレクタを構成する一対(2つ)の光反射面(四角柱側方の第1の側面12a,第2の側面12b)が、それぞれ、「基板表面方向の横幅(幅w)に対する基板厚さ方向の縦長さ(高さh)の比」〔アスペクト比(h/w)〕が1.5以上の長方形状に形成されている。
【0025】
また、それぞれの単位光学素子12は、各コーナー12cを構成する一対の光反射面(第1の側面12a,第2の側面12b)が、鑑賞者の視点の方向(図1図2におけるE側)を向くようになっている。なお、このマイクロミラーアレイ10とその周囲を上から見た場合、図6のように、上記アレイ10は、その外縁(外辺)を鑑賞者の正面(E方向)に対して45°回転させて配設されており、マイクロミラーアレイ10の下側の画像Iが、このアレイ10(素子面P)に対して面対称の位置(結像光学素子の上方)に投影され、空間像I’が結像するようになっている。
【0026】
つぎに、上記画像Iの表示に用いるフラットパネルディスプレイ2としては、バックライトを備える液晶表示パネル(LCD)の他、プラズマディスプレイパネル,有機EL表示パネル等、全可視光波長にわたってなるべく偏りのない「白色」と、非表示時の「黒色」とを、コントラスト良く再現できるディスプレイパネルを使用することができる。なお、フラットパネルディスプレイ2は、携帯電話または携帯情報端末等の表示部であ、具体的には、上記フラットパネルディスプレイ2として、スマートフォン,タブレット型PC,デジタルフォトフレームや、携帯型ーム機,携帯型ブックリーダー,PDA,電子辞書等のうち、その表示部が常時露出する(カバーされていない)タイプのなかで、上記載置台3上に載置できるサイズのものを使用することができる。また、外部光源により反射光で発色するディスプレイや、ブラウン管式のディスプレイを利用してもよい。
【0027】
そして、上記載置台3を収容するケース4は、図1のように、その上面の開口4aに略正方形状の結像光学素子1(マイクロミラーアレイ10)が嵌め入れられ、その一側面に、フラットパネルディスプレイ2(図ではスマートフォン)を横にスライドさせてケース4(載置台3の上)から出し入れするための挿入口4cが設けられている。なお、上記結像光学素子1の部位を除く、ケース4の内面は、光による乱反射を防止するために、黒色(色度0,彩度0,明度0)もしくはこれに近い暗色となっている。
【0028】
また、上記ケース4の一部に、スピーカー等の発音手段を配設してもよい。この発音手段により、上記フラットパネルディスプレイ2に表示される画像Iに合わせた音楽(BGM)や音声等を出力することが可能になる。勿論、上記スマートフォン(フラットパネルディスプレイ2)に内蔵のスピーカー等を利用してもよい。
【0029】
上記表示装置において、上記画像Iを表示(投影)する場合、まず、フラットパネルディスプレイ2を備えるスマートフォンを準備し、このフラットパネルディスプレイ2に所定の加工(後記の画像処理)を施した画像Iを表示させ、このスマートフォンを、上記画像Iの上下(天地)が逆さまなるようにして、上記挿入口4cのあるケース4の側面近傍まで移動させる〔図1(a)の矢印A参照〕。
【0030】
つぎに、上記画像Iが逆さまの状態のまま、上記スマートフォンを、上記挿入口4cからケース4の内部へ押し込む〔図1(a),(b)の矢印B〕と、このスマートフォンが載置面上を横スライドして、載置台3上の所定位置にセットされる〔図1(a),(b)のC位置〕。これにより、上記フラットパネルディスプレイ2の画面に表示された平面的な二次元画像I(写真等)が、奥行き感を持った空間像I’(立体的二次元画像)として、パネル状の結像光学素子1(マイクロミラーアレイ10)の上方に表示(投影)される〔図1(a)参照〕。
【0031】
なお、上記スマートフォン(フラットパネルディスプレイ2)を、その表示画像が自動的に次々変わる状態(いわゆる「スライドショー」モード)にしておけば、上記ケース4内においても、このフラットパネルディスプレイ2を操作することなく、任意の好みの画像Iを順次表示(投影)することができる。また、上記載置台3が、上記携帯電話や携帯情報端末等の充電台(充電スタンドまたはクレードル)を兼用するように構成すれば、上記画像Iの表示中に各機器の充電を済ますことが可能で、その充電のための時間を有効に活用することができる。しかも、上記のようにスピーカー等を備える場合、このスピーカー等から、上記フラットパネルディスプレイ2に表示される画像Iに合わせた音楽(BGM)や音声等を出力することもできる。
【0032】
つぎに、上記載置台3にセットする前に予め行われる、表示画像Iの加工(画像処理)について説明する。
【0033】
従来の画像観賞用の表示装置に用いられる写真や画像のデータ(電子データ)は、そのまま(原状のまま)でも、本発明の表示装置の画像Iとして使用することができるが、画像中の人物像や特定の対象物等、画像の一部を強調して(抜き出して)表示したい場合は、その使用前に、上記写真や画像データ等に後記のような画像処理を施して加工しておくと、上記表示装置により表示される空間像I’を、より鮮明に、かつ、より浮遊感の強い立体的な画像として、強調した状態で表示することができるようになる。以下にその手順を説明する。
【0034】
(1)画像データ(電子データ)の取得
スマートフォン,タブレット型PC,携帯型ーム機やPDA等、デジタルカメラを内蔵する機器において、そのデジタルカメラを用いて、画像データ(I)を取得する。デジタルカメラを内蔵していない機器の場合は、スキャナやデジタルカメラ等、他の光学機器を用いてデータを入力する。
【0035】
(2)トリミング・ぼかし処理
ラスターデータを取り扱うことのできる画像加工ソフト(アプリケーション)を利用して、人物や表示対象物等の輪郭を認識(識別)してデータを切り出し(トリミング)、そのデータに、外縁近傍(輪郭線近傍)の色調をランダムに平均化する「ぼかし処理」を施す。スマートフォンやタブレット型PC等の場合は、それにインストール(またはダウンロード)されているアプリケーションを利用してもよい。
【0036】
(3)背景処理
上記トリミングの完了した画像データを、単色(好適には黒色,白色、またはケース上面の色)の背景と合成して、表示する画像I内における強調したい部分(上記トリミングデータ)の大きさ・位置を、画面上で調整する。上記合成する背景色として、結像光学素子の周囲の「ケース上面の色」を選択すれば、上記空間像I’の立体感がより増すため、好ましい。
【0037】
(4)コントラスト調整
画像加工ソフトを用いて、表示前に、上記画像と背景が合成されたデータの「明るさ」,「色合い」,「コントラスト」を調整する。なお、この時、RGB(256階調)の各色のうち、階調が150以上(または200以上)の色の階調を256(最大)に上げ、階調が100以下(または10以上)の色の階調を0(最少)に下げる補正を行うことが望ましい。これにより、上記画像のコントラスト(浮遊感)をより強調することができる。上記画像の調整は、テスト表示により、印刷結果を参照(フィードバック)しながら行ってもよい。
【0038】
上記のような画像処理を施した画像(I)を用いて、前記のように、画像を表示させたフラットパネルディスプレイ2を、画像の上下(天地)が逆さまになるようにディスプレイ載置面3aにセットし、ケース4内の所定位置に所定の角度α傾いた状態で配置することにより、上記二次元画像Iを、よりリアリティのある空間像I’(立体的二次元画像)として表示(投影)することができる。
【0039】
なお、本発明の表示装置のパネル状の結像光学素子(1)としては、上記構造のマイクロミラーアレイ10の他にも、平板状の透明基板の表面に、回転刃を用いたダイシング加工により、互いに平行な複数本の直線状溝が所定の間隔で形成された2枚または1枚の光学素子(マイクロミラーアレイ20,30,40,50 図7図13参照)を使用することもできる。
【0040】
これらのマイクロミラーアレイ20,30,40,50は、表面に複数本の平行溝が設けられた2枚の光学素子(基板)の一方を90°回転させた状態で重ね合わせる(図7図9図11)か、あるいは、1枚の平板状基板の表裏面それぞれに、平面視互いに直交する複数本の平行溝が形成されている(図13)ことにより、基板表裏方向(上下方向)から見た場合、一方の平行溝グループと他方の平行溝グループとが平面視直交する交差箇所(格子の交点)に、それぞれ、一方の平行溝グループの光反射性の垂直面(壁面)と他方の平行溝グループの光反射性の垂直面(壁面)とからなるコーナーリフレクタが形成されるようになっている。
【0041】
なお、上記コーナーリフレクタを構成する、上記一方の基板の平行溝グループの光反射性の壁面と他方の基板の平行溝グループの光反射性の壁面とは、立体的(三次元的)に見た場合、いわゆる「ねじれの位置」関係にある。また、上記各平行溝およびその光反射性の壁面が、回転刃を用いたダイシング加工により形成されているため、上記コーナーリフレクタにおける光反射面のアスペクト比〔高さ(基板厚さ方向の長さ)/幅(基板水平方向の幅)の比〕を高くする等、光学素子の光学性能の調整を、比較的簡単に行うことができるという点で有利である。
【0042】
上記各マイクロミラーアレイの構造を、個別により詳しく説明すると、図7図8に示すマイクロミラーアレイ20は、これを構成する各光学素子(21,21’)が、透明な平板状の基板21,21’の上側の表面21a,21’aに、回転刃を用いたダイシング加工により、互いに平行な直線状の溝21gまたは溝21’gが、所定の間隔で複数本形成されている。そして、上記マイクロミラーアレイ20は、これら同じ形状の2枚の光学素子(基板21,21’)を用いて、各基板21,21’上に設けられた各溝21gと溝21’gの連続方向が平面視互いに直交するように、上側の一方の基板21’を下側の他方の基板21に対して回転させた状態で、下側の基板21における溝21gが形成された表面21aに、上側の基板21’の裏面21’b(溝21’gが形成されていない)を当接させ、これら基板21,21’どうしを上下に重ね合わせて固定することにより、一組のアレイ20として構成されている。
【0043】
同様に、図9に示すマイクロミラーアレイ30は、上記と同じ形状・製法の2枚の光学素子(基板21,21’)を用いて、図10のように、上側の一方の基板21’を表裏反転させ、この基板21’を下側の他方の基板21に対して90°回転させた状態で、上側の基板21’における溝21’gが形成された表面21’aを、下側の基板21における溝21gが形成された表面21aに当接させ、これら基板21,21’どうしを上下に重ね合わせて固定することにより、各基板21,21’上に設けられた各溝21gと溝21’gの連続方向が平面視互いに直交する一組のアレイ30として構成されている。
【0044】
さらに、図11に示すマイクロミラーアレイ40は、上記と同じ形状・製法の2枚の光学素子(基板21,21’)を用いて、図12のように、下側の一方の基板21’を表裏反転させ、この基板21’を上側の他方の基板21に対して90°回転させた状態で、上側の基板21の裏面21bと下側の基板21’の裏面21’bとを突き合わせ、これら基板21,21’どうしを上下に重ね合わせて固定することにより、各基板21,21’上に設けられた各溝21gと溝21’gの連続方向が平面視互いに直交する一組のアレイ40として構成されている。
【0045】
そして、図13に示すマイクロミラーアレイ50は、透明な平板状の基板51の上側の表面51aおよび下側の裏面51bに、それぞれ、回転刃を用いたダイシング加工により、互いに平行な直線状の溝51gおよび溝51g’が、所定の間隔で複数本形成されており、これら表面51a側の各溝51gと裏面51b側の各溝51g’とは、その形成方向(連続方向)が平面視互いに直交するように形成されている。
【0046】
上記各マイクロミラーアレイ20,30,40,50を用いた表示装置によっても、前記マイクロミラーアレイ10を用いた表示装置と同様、載置台3に載置された平面的な二次元画像I(写真等)を、奥行き感を持った擬似的な立体像(立体的二次元画像I’)として表示(投影)することができる。しかも、上記表示装置は、その使用するマイクロミラーアレイ(20,30,40,50)が安価なため、装置全体のコストを低減できるという利点がある。
【0047】
つぎに、フラットパネルディスプレイ2を収容する容器として、密閉形の上記ケース4に代えて、側面のない開放形のハウジング(14〜18)を用いた例について説明する。ただし、本発明の表示装置に用いられるケースやハウジングの形状等は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【0048】
図14図18はそれぞれ、本発明の第2〜第6実施形態における表示装置の外観斜視図である。なお、マイクロミラーアレイの上方に投影される空間像I’(この例では犬の写真)は、図14以外、図示を省略している。また、これら第2〜第6実施形態の表示装置における、ハウジング(14〜18)およびディスプレイ載置面以外の構成は、前記第1実施形態の表示装置と同等であるため、第1実施形態と同じ符号を付記して、その詳細な説明を省略する。
【0049】
まず、第2実施形態の表示装置には、図14に示すように、天板部14a,底板部14b,側板部(垂直方向)14cと、傾斜状の側部(傾斜板部14d)とからなる、ディスプレイ横方向(ディスプレイ挿入方向)の側面(側部)がないハウジング14が使用されている。このハウジング14の上面(天板部14a)に設けられた開口には、第1実施形態と同様のマイクロミラーアレイ10(20,30,40,50でもよい)が配設されており、その下側に位置する傾斜板部14dの上面(内側面)が、フラットパネルディスプレイ2を載置する載置台(ディスプレイ載置面)に形成されている。
【0050】
上記傾斜板部14dは、前記第1実施形態の載置台3のディスプレイ載置面3aと同様、ハウジング14の底板部14bおよびマイクロミラーアレイ10の素子面(またはその下面)に対して、所定角度αで傾斜するように形成されており、その上面(ディスプレイ載置面)には、フラットパネルディスプレイ2を仮固定するための吸着テープ等(図示省略)が、貼り付けられている。
【0051】
以上の構成によっても、この表示装置は、上記フラットパネルディスプレイ2を、所定角度αに設定されたディスプレイ載置面(傾斜板部14dのハウジング内側面)にセットするという簡単な操作だけで、平面的な二次元画像を、奥行き感を持った擬似的な立体像(立体的二次元画像)として、マイクロミラーアレイ10の上方に表示(投影)することができる。しかも、上記表示装置は、そのハウジング14の側面が大きく開口しているため、上記ディスプレイ2(スマートフォン等)の挿入や取り出し等を、容易かつ簡単に行うことができるという点で有利である。
【0052】
つぎに、第3実施形態の表示装置は、図15に示すように、天板部15a,側板部(垂直方向)15bと、傾斜状の側部(傾斜板部15c)とからなり、底板とディスプレイ横方向の側面がないハウジング15が用いられている。なお、このハウジング15の上面(天板部15a)に設けられた開口にも、マイクロミラーアレイ10(20,30,40,50でもよい)が配設されており、その下側に位置する傾斜板部15cの上面(内側面)が、フラットパネルディスプレイ2を載置する載置台(ディスプレイ載置面)に形成されている。
【0053】
また、上記傾斜板部15cは、装置下面およびマイクロミラーアレイ10の素子面(下面)に対して、所定角度αで傾斜するように形成されており、その上面(ディスプレイ載置面)には、フラットパネルディスプレイ2を仮固定するための吸着テープ等(図示省略)が、貼り付けられている。
【0054】
この構成によっても、上記フラットパネルディスプレイ2を、所定角度αに設定されたディスプレイ載置面(傾斜板部15cのハウジング内側面)にセットするだけで、平面的な二次元画像を、奥行き感を持った擬似的な立体像(立体的二次元画像)として表示(投影)することができる。しかも、この構成も、ハウジング15の側面が大きく開口しているため、この開口から、上記フラットパネルディスプレイ2(スマートフォン等)を容易に出し入れすることができる。
【0055】
つぎに、第4実施形態の表示装置は、図16に示すように、天板部16a,底板部16bと、傾斜状の側部(傾斜板部16c)とからなり、垂直な側面(側板)とディスプレイ横方向の側面がないハウジング16が用いられている。なお、このハウジング16の上面(天板部16a)に設けられた開口にも、マイクロミラーアレイ10(20,30,40,50でもよい)が配設されており、その下側に位置する傾斜板部16cの上面(内側面)が、フラットパネルディスプレイ2を載置する載置台(ディスプレイ載置面)に形成されている。
【0056】
また、上記傾斜板部16cは、底板部16bおよびマイクロミラーアレイ10の素子面(下面)に対して、所定角度αで傾斜するように形成されており、その上面(ディスプレイ載置面)には、フラットパネルディスプレイ2を仮固定するための吸着テープ等(図示省略)が、貼り付けられている点も同様である。
【0057】
上記構成によっても、上記フラットパネルディスプレイ2を、所定角度αに設定されたディスプレイ載置面(傾斜板部16cのハウジング内側面)にセットするだけで、平面的な二次元画像を、奥行き感を持った擬似的な立体像(立体的二次元画像)として表示(投影)することができる。しかも、この構成も、ハウジング16の側面(3面)が大きく開口しているため、この開口から、上記フラットパネルディスプレイ2(スマートフォン等)を容易に出し入れすることができる。
【0058】
つぎに、第5実施形態の表示装置は、図17に示すように、略水平状の天板部17aと底板部17bとの間に、これらを支持する傾斜板部17cが設けられたハウジング17が使用されている。このハウジング17の上面(天板部17a)に設けられた開口にも、マイクロミラーアレイ10(20,30,40,50でもよい)が配設されている。
【0059】
また、上記マイクロミラーアレイ10の下側に位置する傾斜板部17cは、底板部17bおよびマイクロミラーアレイ10の素子面(下面)に対して、所定角度αで傾斜するように形成されており、その上面(ディスプレイ載置面)には、フラットパネルディスプレイ2を仮固定するための吸着テープ等(図示省略)が、貼り付けられている。
【0060】
上記構成によっても、所定角度αに設定されたディスプレイ載置面(傾斜板部17cのハウジング内側面)にセットするだけで、平面的な二次元画像を、奥行き感を持った擬似的な立体像(立体的二次元画像)として表示(投影)することができる。しかも、この構成も、ハウジング17の側面(3面)が大きく開口しているため、この開口から、上記フラットパネルディスプレイ2(スマートフォン等)を容易に出し入れすることができるという特徴を有する。
【0061】
つぎに、第6実施形態の表示装置は、図18に示すように、上記第2実施形態と同様、天板部18a,底板部18bと、側板部(垂直方向)18cとからなる、ディスプレイ横方向の側面(側部)がないハウジング18が使用されており、このハウジング18の上面(天板部18a)に設けられた開口には、マイクロミラーアレイ10(20,30,40,50でもよい)が配設されている。
【0062】
そして、このハウジング18の底板部18bには、所定角度αで傾斜する、一対の短い傾斜板18d,18dが設けられており、これら傾斜板18d,18dの間に形成される溝18eに、フラットパネルディスプレイ2の一端を嵌め入れることができるようになっている。
【0063】
以上の構成によっても、上記フラットパネルディスプレイ2は、マイクロミラーアレイ10の素子面(下面)に対して所定角度αで傾斜した状態で、安定して保持される。したがって、この表示装置も、上記フラットパネルディスプレイ2を、上記傾斜板18d,18dの間にセットするという簡単な操作だけで、平面的な二次元画像を、奥行き感を持った擬似的な立体像(立体的二次元画像)として、マイクロミラーアレイ10の上方に表示(投影)することができる。しかも、上記フラットパネルディスプレイ2(スマートフォン等)の挿入や取り出しや交換等を、容易かつ簡単に行うことができる。
【0064】
つぎに、上記ケース(符号4)またはハウジング(符号14〜18)等の上面が、斜め状に形成されている表示装置(第7および第8実施形態)について説明する。図19は、本発明の第7実施形態の表示装置の内部構造を示す図であり、図20は、本発明の第8実施形態の表示装置の構成を示す図である。なお、前記各実施形態と同様の機能を有する構成部材には同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0065】
上記第7,第8実施形態の表示装置の構造的特徴は、上記フラットパネルディスプレイ2を収容するケース6またはハウジング19の上面が、鑑賞者(E側)にとって手前側の装置前側(図示右側)から、奥側の装置後側(図示左側)に向かって傾斜する「上り傾斜面」に形成されている点である。すなわち、図19に示す第7実施形態の表示装置の場合、結像光学素子1(マイクロミラーアレイ)が嵌め入れられた上面は、上記空間像I’の傾斜と同じ傾斜方向(鑑賞者のいるE側)に向かって、装置の水平面(鑑賞者の感覚的水平面)に対して所定角度βで上り傾斜する傾斜面になっている。
【0066】
なお、この例においても、フラットパネルディスプレイ2が配置される載置台3上のディスプレイ載置面3aは、上記結像光学素子1の素子面P(またはその下面1b)に対して所定角度αで傾いた状態で配置されるようになっており、上記フラットパネルディスプレイ2上の画像Iは、結像光学素子1の素子面Pに対して面対称の位置に、空間像I’として結像するようになっている。そのため、上記ディスプレイ載置面3aの、ケース6の底面6bに対する傾斜角は、(α−β)である。
【0067】
また、図20に示す第8実施形態の表示装置の場合、マイクロミラーアレイ10が嵌め入れられた天板部19aが、空間像I’の傾斜と同じ傾斜方向、すなわち、鑑賞者(E側)から見て、装置の水平面(鑑賞者の感覚的水平面)に対して手前側(前側)から奥側(後側)に向かって、所定角度βで上り傾斜する傾斜面になっている。他の構成は、図14に示す第2実施形態(ハウジング14)の表示装置と同様である。
【0068】
そして、上記ケース6およびハウジング19の上面の、水平に対する傾斜角βは、通常、1°以上60°以下(これらの例では15°)に設定されており、上記フラットパネルディスプレイ2およびディスプレイ載置面3aの、結像光学素子1(マイクロミラーアレイ10)に対する傾斜角α(30°以上90°未満)の角度以下になっている。また、これら傾斜角βと傾斜角αとの間には、
0 < β ≦ α (ただし、1°≦β≦60°,30°≦α<90°)
の関係が成り立つようになっている。
【0069】
上記のように、上面が傾斜面になっている表示装置によれば、ケースやハウジング等の上面の傾き方向によって、空間像I’の鑑賞に適した「装置正面」(手前側)を、誰もが簡単に見つけ出すことができる。そのため、上記空間像I’に最も立体感等を感じる、鑑賞に最適な方向・位置を、意識せず簡単に見つけ出すことが可能である。しかも、その鑑賞方向と位置は、上記表示装置において、空間像I’の浮遊感や臨場感等を、最も強く感じることができる位置になっている。
【0070】
さらに、これら表示装置の構成によれば、斜め状に立ち上がる空間像I’と、その背面に位置するケース,ハウジング等の上面との間に、空間像I’の奥行き,浮遊感や臨場感等をより強調する両眼視差が生じる。そのため、空間像I’(映像や画像等)のコントラストや鮮明さが強くなるとともに、この空間像I’をより遠くから視認することが可能になる。上記ケース等の上面を鑑賞者に向かって上り傾斜面とする構成は、他の実施形態に適用してもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の表示装置によれば、奥行き感に富むリアルな立体的二次元画像を、装置本体の上方に浮かび上がらせて表示することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 結像光学素子
1b 下面
2 フラットパネルディスプレイ
3 載置台
3a ディスプレイ載置面
4 ケース
I 画像
I’ 空間像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20