(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6143249
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】自動車ボディーカバーシステム
(51)【国際特許分類】
B60J 11/00 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
B60J11/00 Q
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-50722(P2017-50722)
(22)【出願日】2017年3月16日
【審査請求日】2017年3月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517093120
【氏名又は名称】有限会社BSK
(74)【代理人】
【識別番号】100134050
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 博孝
(72)【発明者】
【氏名】小林 輝彦
【審査官】
鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−10917(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3180098(JP,U)
【文献】
実開平6−71349(JP,U)
【文献】
特開2004−58868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 11/00−11/10
B60T 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装着したボディーカバーの上に重ねるように前記車両の少なくとも一部を覆う伸縮ネットと、
前記車両に備わる4つのタイヤまたはホイールに当接させて位置決めされる4つのブロック体と、
前記4つのブロック体に通され、縛り上げることによって当該4つのブロック体を前記タイヤまたはホイールに対して押さえ付ける締結ベルトと、
前記4つのブロック体と前記伸縮ネットとを繋ぐ係止ベルトと、を備える
ことを特徴とする自動車ボディーカバーシステム。
【請求項2】
請求項1において、
前記係止ベルトは、各ブロック体に対して2本ずつ備わっており、一本が車両横面に係止され、他の一本が車両の前後面に係止される
ことを特徴とする自動車ボディーカバーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のボディーカバーの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車を保護するためにボディーカバーが広く使用されている。ボディーカバーのメリットとして、雨や埃がボディに付着するのを防止し、紫外線による塗装面の劣化を抑制するというメリットがある。一方で、ボディーカバーを使用することにより却って塗装面に傷(特に擦り傷)を付けてしまう可能性もある。
【0003】
特にこれは風の影響によるものであり、風によってボディーカバーがバタつき、このバタつきによってボディに傷が付いてしまう。特にボディとボディーカバーに隙間が生じているような場合、当該隙間に風によって舞い上がった砂埃等が入り込んで余計に傷を付けてしまうこともある。
【0004】
一方で、車の大きさや形状は多種多様であるから、必要となるボディーカバーの形状もそれに応じる必要がある。コストを優先した汎用カバー(車両の大きさによって大、中、小のように大まかな大きさに別かれているタイプ)の場合は、価格は安いものの車両との間に生じる隙間が大きく、当該隙間に風を巻き込んでバタつきを生じやすく、傷が付きやすい。それを嫌って車種専用設計のボディーカバーも市販されているが、非常に高価である。
【0005】
また、特許文献1に示すように、ボディーカバーの内側にマグネットを取り付けて、着脱のし易さや、バタ付きを抑えたボディーカバーに関するアイデアも公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3124500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のようにマグネットを使用しても、余程全面的にマグネットを使用しない限りボディーカバーのバタつきは防止することが難しく、またそのようにしてしまうと着脱が極めて困難となってしまい実用的でない。
【0008】
そこで本発明は、こういった問題点を解決するべくなされたものであって、安価な汎用ボディーカバーを使用した場合でも、確実にバタつきを抑えることができ、更に車種が変わっても繰り返し使用することができるボディーカバーシステムを提供する事をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するべく、本願発明は、車両に装着したボディーカバーの上に重ねるように前記車両の少なくとも一部を覆う伸縮ネットと、前記車両に備わる4つのタイヤまたはホイールに当接させて位置決めされる4つのブロック体と、前記4つのブロック体に通され、縛り上げることによって当該4つのブロック体を前記タイヤまたはホイールに対して押さえ付ける締結ベルトと、前記4つのブロック体と前記伸縮ネットとを繋ぐ係止ベルトと、を備えることを特徴とする。
【0010】
発明者は、汎用ボディーカバーであっても、その上から伸縮ネットを更に被せることによって完全にボディーカバーのバタつきが防止できることを発見したのである。伸縮ネットは自身の有する伸縮性によって、車両の形状に沿って伸び縮みするため、ボディーカバーとボディとの隙間の発生を効果的に抑えることができる。隙間が生じなければバタ付きも発生しないし、その隙間に砂埃等が侵入することもない。更に、車両のタイヤ又はホイールに締結ベルトによって固定されるブロック体から係止ベルトによって繋がれているので、伸縮ネットが風等によって剥がれてしまうこともない。更に、ボディーカバーも汎用品を使用できることに加えて伸縮ネットの伸縮性により、車を買い換えてもそのまま使用し続けることも可能であり非常に経済的である。また、視覚的にもインパクトがあり防犯的な効果も併せ持つ。
【0011】
また、前記係止ベルトは、各ブロック体に対して2本ずつ備わっており、一本が車両横面に係止され、他の一本が車両の前後面に係止されるよう構成するのが望ましい。
【0012】
このように構成すれば、最もバタつきの生じやすい車両サイド部分の伸縮ネットをより確実に車両に沿わせることが出来ると共に、車両によって形状にもっとも変化のある車両前後バンパー部分にいても、伸縮ネットをより車両に沿わせることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明を適用することで、安価な汎用ボディーカバーを使用した場合でも、確実にバタつきを抑えることができ、更に車種が変わっても繰り返し使用することができるボディーカバーシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態の一例であるボディーカバーシステムを装着する前の状態を示した概略図である。
【
図2】本発明の実施形態の一例であるボディーカバーシステムを装着した状態を示した概略図である。
【
図3】タイヤとブロック体の位置関係を平面的に示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例である自動車ボディーカバーシステム1について説明を加える。なお、図面理解容易の為、各部の大きさや寸法を誇張して表現している部分があり、実際の製品と必ずしも一致しない部分があることを付記しておく。また各図面は符号の向きに見るものとし、当該向きを基本に上下左右、手前、奥と表現する。
【0016】
〈自動車ボディーカバーシステムの構成〉
図1に示しているように、本発明の実施形態の一例として示したボディーカバーシステム1は、伸縮ネット110と、4つのブロック体122、124、126、128を主たる構成要素として成り立っている。ボディーカバー100自体は、既に所有しているボディーカバーを使用してもよいし、当該ボディーカバーシステム1の一構成部品とされていてもよい。
【0017】
ボディーカバー100、特に素材は限定されないが、ボディーカバーとして十分な柔軟性を有すると共に水分をある程度弾き、紫外線を反射できる素材であることが望ましい。但し、使用する車種専用設計のようなものではなく、汎用品として構成されるものであっても十分である。
【0018】
伸縮ネット110は、例えばネット自体が伸縮性のあるゴム材によって構成されており、車両全体をすっぽり覆うことが出来るサイズが望ましい。但し、全体を覆うことが必須の構成要素ではない。また、車両を包み込めるような袋状に構成されていればより望ましいが、広げると単に縦横のシート状に構成されている伸縮ネットで十分である。
【0019】
4つのブロック体122、124、126、128は車両の各タイヤに対応する。当該ブロック体122、124、126、128は例えば樹脂によって構成されており、軽量且つ、接触してもタイヤやホイールに傷を付けない仕様とされている。
【0020】
本実施形態においては、ブロック体122、124、126、128は平面視「コ字」乃至「凹」形状に構成されており、側方から凹部をタイヤ側に向けて嵌め込むことが可能に構成される。ブロック体122、124、126、128の凹部は、タイヤの最大径よりも小さくなるように構成されており、タイヤの下方(地面側)では嵌合できるが、タイヤ中心位置では嵌合出来ない構成とされている。
【0021】
各ブロック体122、124、126、128にはそれぞれ2本のベルトとその先端にフックが取り付けられている。一方がボディサイド部係止ベルト122a、124a、126a、128aであり、他方がボディ前後部係止ベルト122b、124b、126b、128bである。
【0022】
また、4つのブロック体122、124、126、128には一本のブロック体締結ベルト140が順次通されており、締め付け調整部142によって締め付けを調整することが可能とされている。即ち、4つのブロック体122、124、126、128を各タイヤに配置した上で、ブロック体締結ベルト140を締め込むと、当該ブロック体締結ベルト140によって4つのブロック体122、124、126、128が各タイヤ側に押さえ付けられる構成とされている。なお、ブロック体締結ベルト140は各ブロック体122、124、126、128の中を挿通しているだけであり、ブロック体自体に固定されているものではない。
【0023】
〈自動車ボディーカバーシステムの作用・機能〉
当該ボディーカバーシステム1を使用する際は、先ず、ボディーカバー100を車両に被せる。
【0024】
続いて、そのボディーカバー100の上から、伸縮ネット110を更に被せる。
【0025】
続いて、4つの固定ブロック122、124、126、128をそれぞれタイヤ位置に合わせるように配置する。更に、ブロック締結ベルト140を締め込んで締め付け調整部142により締め付け調整し固定する。これにより各ブロック体122、124、126、128がタイヤ側に押しつけられて強固に固定される。
【0026】
最後に、ボディサイド部係止ベルト122a、124a、126a、128aをボディサイドで交差するようにして伸縮ネット110に引っ掛ける。引っ掛け位置は特に限定されないが、前輪側に配置されるブロック体から伸びるボディサイド部係止ベルトの先端はCピラー近傍に、後輪側に配置されるブロック体から伸びるボディサイド部係止ベルトの先端はAピラー近傍に引っ掛けるのが望ましい。
【0027】
同様に、ボディ前後部係止ベルト122b、124b、126b、128bをボディ前後(前後バンパー付近)の位置で伸縮ネット110に引っ掛ける。
【0028】
このような簡単な作業で取り付け作業が完了する。取り外す際はこの逆の手順により取り外せばよい。
【0029】
上記説明した通り、本願発明を適用した自動車ボディーカバーシステム1は、車両に装着したボディーカバー100の上に重ねるように車両の少なくとも一部を覆う伸縮ネット110と、車両に備わる4つのタイヤまたはホイールに当接させて位置決めされる4つのブロック体122、124、126、128と、前記4つのブロック体122、124、126、128に通され、縛り上げることによって当該4つのブロック体をタイヤまたはホイールに対して押さえ付ける締結ベルト140と、前記4つのブロック体122、124、126、128と前記伸縮ネットとを繋ぐ係止ベルト122a、124a、126a、128a、122b、124b、126b、128bとを備えていた。
【0030】
伸縮ネット110は自身の有する伸縮性によって、車両の形状に沿って伸び縮みするため、ボディーカバー100とボディとの隙間の発生を効果的に抑えることができる。隙間が生じなければバタ付きも発生しないし、その隙間に埃等が侵入することもない。更に、車両のタイヤ又はホイールに締結ベルト140によって固定されるブロック体122、124、126、128から係止ベルト122a、124a、126a、128a、122b、124b、126b、128bによって繋がれているので、伸縮ネット110が風等によって剥がれてしまうこともない。更に、ボディーカバー100も汎用品を使用できることに加えて伸縮ネット110の伸縮性により、車を買い換えてもそのまま使用し続けることも可能であり非常に経済的である。また、視覚的にもインパクトがあり防犯的な効果も併せ持つという特徴を有する。
【0031】
また、係止ベルト122a、124a、126a、128a、122b、124b、126b、128bは、各ブロック体122、124、126、128に対して2本ずつ備わっており、一本が車両横面に係止され、他の一本が車両の前後面に係止されるよう構成されていた。
【0032】
このように構成したことによって、最もバタつきの生じやすい車両サイド部分の伸縮ネット110をより確実に車両に沿わせることが出来ると共に、車両によって形状にもっとも変化のある車両前後バンパー部分にいても、伸縮ネット110をより車両に沿わせることができるようになっている。
【0033】
〈その他の構成例〉
上記では、ブロック体をコ字型乃至凹字型に形成しているが、この形状に限定されるものではない。例えば、L字型に形成してもよい。L字型とすれば、タイヤのサイズ(インチ数)に関わらずより幅広いタイヤに対応できるという利点がある。
【0034】
また、上記では、ブロック体の締結ベルトがブロック体内を挿通するよう構成として図示説明しているが、この構成に限定されるものではない。例えば、ブロック体の外側に締結ベルトを挿通されるための挿通部(例えば輪状部材)が備わっており、これを利用して締結ベルトを通してもよい。
【0035】
また、上記では、ボディサイド部係止ベルト及びボディ前後部係止ベルトを伸縮ネットに引っ掛けるに際して鉤状のフックを例に図示説明しているが、この構成に限定されるものではない。例えば、面ファスナ等を使用して固定する構成を採用することもできる。
【0036】
また、上記では、伸縮ネットが車両全体を覆っていたが、場合によっては車両の一部を覆う伸縮ネットであってもよい。
【0037】
また、上記では、ブロック体がタイヤに固定されている例として図示説明しているが、場合によってはホイールによって位置決め固定される構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1・・・自動車ボディーカバーシステム
100・・・ボディーカバー
110・・・伸縮ネット
122、124、126、128・・・ブロック体
122a、124a、126a、128a・・・ボディサイド部係止ベルト
122b、124b、126b、128b・・・ボディ前後部係止ベルト
140・・・ブロック体締結ベルト
142・・・締め付け調整部
【要約】
【課題】
仮に安価な汎用ボディーカバーを使用した場合でも、確実にバタつきを抑えることができ、更に車種が変わっても繰り返し使用することができるボディーカバーシステムを提供する。
【解決手段】
車両に装着したボディーカバー100の上に重ねるように車両の少なくとも一部を覆う伸縮ネット110と、車両に備わる4つのタイヤに当接させて位置決めされる4つのブロック体122、124、126、128と、この4つのブロック体122、124、126、128に通され、縛り上げることによって当該4つのブロック体122、124、126、128をタイヤに対して押さえ付ける締結ベルト140と、4つのブロック体122、124、126、128と伸縮ネット110とを繋ぐ係止ベルト122a、124a、126a、128a、122b、124b、126b、128bを備えて構成する。
【選択図】
図2