(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検査対象基板に形成された電気回路が正常に機能し得る状態であるか否かを検査する機能検査処理に際して、前記電気回路に信号供給部から機能検査用信号を供給する信号供給処理、および前記電気回路から出力される電気信号の電気的パラメータを測定部によって測定する測定処理を少なくとも実行した後に、前記電気回路を除電する除電処理、および前記測定部によって測定された前記電気的パラメータに基づく前記電気回路の良否判別処理を実行可能に構成された基板検査装置に当該機能検査処理を実行させるための検査手順データを生成するデータ生成処理を実行する処理部を備えた検査手順データ生成装置であって、
前記処理部は、前記データ生成処理において、予め規定された検査手順データ生成手順に従い、前記機能検査処理の最後に前記除電処理を実行するとの規定を、操作部の操作による指示に基づくことなく自動的に行い、当該除電処理を実行するとの規定を行った後に前記操作部の操作によって指定された条件に従い、前記信号供給処理の処理条件および前記測定処理の処理条件をそれぞれ規定して前記検査手順データを生成する検査手順データ生成装置。
前記処理部は、前記データ生成処理において、前記除電処理の実行が指示されたときに、当該指示に従って当該除電処理の実行を規定することなく、当該除電処理の実行が既に規定されている旨を報知する第1の報知処理を実行する請求項1記載の検査手順データ生成装置。
前記処理部は、前記データ生成処理において、複数の前記電気回路が形成された前記検査対象基板を検査可能に前記信号供給部および前記測定部と当該各電気回路との接断を接断切替え部によって切り替える切替え処理を実行可能に構成された前記基板検査装置に前記機能検査処理を実行させるための前記検査手順データを生成するときに、前記検査手順データ生成手順に従い、前記機能検査処理において最初に実行する処理として前記切替え処理を規定する請求項1または2記載の検査手順データ生成装置。
前記処理部は、前記データ生成処理において、前記切替え処理の実行が指示されたときに、当該指示に従って当該切替え処理の実行を規定することなく、当該切替え処理の実行が既に規定されている旨を報知する第2の報知処理を実行する請求項3記載の検査手順データ生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の基板検査装置による検査対象基板の検査処理には、以下の解決すべき問題点が存在する。すなわち、従来の基板検査装置では、制御部がテストプログラムに従って各テスト機能部を制御して各テストを実行せることで検査対象基板の良否を検査する構成が採用されている。この場合、この種の検査装置において実行されるファクションテスト(機能検査)では、検査対象の電気回路に機能検査用信号を供給した状態において電気回路から出力される電気信号の電気的パラメータを測定することにより、その電気回路が正常に機能する状態であるか否かが検査される。したがって、電気回路の構成によっては、機能検査用信号の供給に起因して、ファクションテストの終了時に電気回路内に電荷がチャージされた状態となることがある。この結果、この電荷の存在に起因して、次に実行する検査処理時(他の検査項目の実行時)に測定値に誤差が生じたり、検査対象基板や基板検査装置の破損を招いたりするおそれがある。
【0006】
このため、この種の検査装置において使用する検査手順データ(上記の基板検査装置におけるテストプログラム)の生成に際しては、ファンクションテストの処理手順に関し、機能検査用信号を供給するステップや、電気回路から出力される電気信号の電気的パラメータを測定するステップなどを記述するだけでなく、電気回路にチャージされた電荷を除電する(ディスチャージする)ステップを記述する必要がある。しかしながら、この種の検査手順データ(テストプログラム)の生成作業に不慣れな作業者は、機能検査用信号を供給するステップや電気的パラメータを測定するステップなどの記述を完了した時点において、ファンクションテストの処理手順に関する記述を完了したと思い込み、除電のステップを記述し忘れてしまうことがある。このため、従来の基板検査装置による検査対象基板の検査処理では、ファンクションテストの終了時に電気回路にチャージされている電荷が除電されずに、前述したように、次の検査処理時に測定値に誤差が生じて検査結果を誤ったり、検査対象基板や基板検査装置の破損を招いたりするおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、検査結果の誤り、および検査対象基板や基板検査装置の破損を回避可能な検査手順データを生成し得る検査手順データ生成装置および検査手順データ生成プログラムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の検査手順データ生成装置は、検査対象基板に形成された電気回路が正常に機能し得る状態であるか否かを検査する機能検査処理に際して、前記電気回路に信号供給部から機能検査用信号を供給する信号供給処理、および前記電気回路から出力される電気信号の電気的パラメータを測定部によって測定する測定処理を少なくとも実行した後に、前記電気回路を除電する除電処理、および前記測定部によって測定された前記電気的パラメータに基づく前記電気回路の良否判別処理を実行可能に構成された基板検査装置に当該機能検査処理を実行させるための検査手順データを生成するデータ生成処理を実行する処理部を備えた検査手順データ生成装置であって、前記処理部は、前記データ生成処理において、予め規定された検査手順データ生成手順に従い、
前記機能検査処理の最後に前記除電処理を実行するとの規定を、操作部の操作による指示に基づくことなく自動的に行い、当該除電処理を実行するとの規定を行った後に前記操作部の操作によって指定された条件に従い、前記信号供給処理の処理条件および前記測定処理の処理条件をそれぞれ規定して前記検査手順データを生成する。
【0009】
また、請求項2記載の検査手順データ生成装置は、請求項1記載の検査手順データ生成装置において、前記処理部は、前記データ生成処理において、前記除電処理の実行が指示されたときに、当該指示に従って当該除電処理の実行を規定することなく、当該除電処理の実行が既に規定されている旨を報知する第1の報知処理を実行する。
【0010】
さらに、請求項3記載の検査手順データ生成装置は、請求項1または2記載の検査手順データ生成装置において、前記処理部は、前記データ生成処理において、複数の前記電気回路が形成された前記検査対象基板を検査可能に前記信号供給部および前記測定部と当該各電気回路との接断を接断切替え部によって切り替える切替え処理を実行可能に構成された前記基板検査装置に前記機能検査処理を実行させるための前記検査手順データを生成するときに、前記検査手順データ生成手順に従い、前記機能検査処理において最初に実行する処理として前記切替え処理を規定する。
【0011】
また、請求項4記載の検査手順データ生成装置は、請求項3記載の検査手順データ生成装置において、前記処理部は、前記データ生成処理において、前記切替え処理の実行が指示されたときに、当該指示に従って当該切替え処理の実行を規定することなく、当該切替え処理の実行が既に規定されている旨を報知する第2の報知処理を実行する。
【0012】
また、請求項5記載の検査手順データ生成プログラムは、請求項1から4のいずれかに記載の検査手順データ生成装置における前記処理部に前記データ生成処理を実行させ
る。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の検査手順データ生成装置によれば、検査手順データを生成するデータ生成処理において、検査手順データ生成手順に従い、
機能検査処理の最後に除電処理を実行するとの規定を、操作部の操作による指示に基づくことなく自動的に行い、除電処理を実行するとの規定を行った後に操作部の操作によって指定された条件に従って信号供給処理の処理条件および測定処理の処理条件をそれぞれ規定して検査手順データを生成することにより、例えば、検査手順データの生成作業に不慣れな作業者が除電処理の実行を指示し忘れたとしても、除電処理が実行されずに機能検査処理の終了する検査手順データが生成される事態が回避される。したがって、この検査手順データに従って検査対象基板を検査することにより、各機能検査処理の最終ステップにおいて除電処理が確実に実行されるため、検査結果の誤り、および検査対象基板や基板検査装置の破損を確実に回避することができる。
【0014】
また、請求項2記載の検査手順データ生成装置によれば、除電処理の実行が指示されたときに、その指示に従って除電処理の実行を規定することなく、除電処理の実行が既に規定されている旨を報知する第1の報知処理を実行することにより、1回の機能検査処理において除電処理を複数回実行する検査手順データが生成される事態を回避することができるため、不要な除電処理の実行を回避して、検査対象基板をスムーズに検査することができる。
【0015】
さらに、請求項3記載の検査手順データ生成装置によれば、検査手順データ生成手順に従い、機能検査処理において最初に実行する処理として切替え処理を規定することにより、例えば、検査手順データの生成作業に不慣れな作業者が切替え処理の実行を指示し忘れたとしても、切替え処理が実行されずに機能検査処理の他の処理が実行される検査手順データが生成される事態が回避される。したがって、この検査手順データに従って検査対象基板を検査することにより、各機能検査処理の他の処理に先立って切替え処理が確実に実行されるため、信号供給部や測定部が検査対象基板のいずれの部位にも接続されていない状態で信号供給処理、測定処理および良否判別処理が実行されて、正常な電気回路が異常と誤って判別される事態を確実に回避することができる。
【0016】
また、請求項4記載の検査手順データ生成装置によれば、切替え処理の実行が指示されたときに、その指示に従って切替え処理の実行を規定することなく、切替え処理の実行が既に規定されている旨を報知する第2の報知処理を実行することにより、1回の機能検査処理において切替え処理を複数回実行する検査手順データが生成される事態を回避することができるため、不要な切替え処理の実行を回避して、検査対象基板を一層スムーズに検査することができる。
【0017】
また、請求項5記載の検査手順データ生成プログラムによれば、検査手順データ生成装置における処理部にデータ生成処理を実行させ
ることにより、検査結果の誤り、および検査対象基板や基板検査装置の破損を回避可能な検査手順データを確実に生成させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る検査手順データ生成装置および検査手順データ生成プログラムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0020】
図1に示す基板検査装置1は、「検査手順データ生成装置」および「基板検査装置」が一体的に構成された装置の一例であって、テストヘッド2、移動機構3、電源部4、測定部5、接断切替え部6、操作部7、表示部8、制御部9および記憶部10を備え、後述するように、「検査手順データ生成プログラム」の一例である検査手順データ生成プログラムDpの記述内容(「予め規定された検査手順データ生成手順」の一例)に従って「検査手順データ」の一例である検査手順データD1を生成可能に構成されると共に、生成した検査手順データD1に従って検査対象基板Pを検査可能に構成されている。この場合、検査対象基板Pは、「検査対象基板」の一例であって、複数の導体パターンおよび複数の電子部品によって複数の電気回路(図示せず)が形成されて構成されている。
【0021】
一方、テストヘッド(ピンボード)2は、検査対象基板P上の各電気回路を構成する導体パターンの位置に応じて複数の検査用プローブ2aが植設されて構成されている。この場合、このテストヘッド2は、移動機構3に取り付けられており、後述するように、移動機構3によって検査対象基板Pに向けて移動させられることによって各検査用プローブ2aが検査対象基板Pに接触(プロービング)させられる。なお、テストヘッド2(検査用プローブ2a)を介して基板検査装置1に検査対象基板Pを接続する構成に代えて(または、そのような構成に加えて)、「検査対象基板」に設けられた図示しない接続用コネクタに接続可能な接続用コネクタ(図示せず)を備え、この接続用コネクタを介して基板検査装置1に「検査対象基板」を接続する構成を採用することもできる。
【0022】
移動機構3は、制御部9の制御に従い、検査対象基板Pに向けてテストヘッド2を移動させることによって各検査用プローブ2aを検査対象基板Pの導体パターン(電気回路)にそれぞれ接続させる。なお、テストヘッド2(検査用プローブ2a)を介して基板検査装置1に検査対象基板Pを接続する構成においては、移動機構3によってテストヘッド2を検査対象基板Pに向けて移動させる構成だけでなく、所定の位置に固定したテストヘッド2に向けて検査対象基板Pを移動させる構成や、検査対象基板Pに向けてテストヘッド2を移動させつつ、テストヘッド2に向けて検査対象基板Pを移動させる構成を採用することもできる。
【0023】
電源部4は、「信号供給部」の一例であって、制御部9の制御に従い、テストヘッド2の検査用プローブ2aを介して検査対象基板Pに機能検査用の電気信号(「機能検査用信号」の一例)を供給する信号供給処理を実行する。測定部5は、「測定部」の一例であって、制御部9の制御に従い、検査対象基板Pの電気回路から出力される電気信号の電気的パラメータ(電圧値、電流値、抵抗値、電力値および位相等)を測定して測定結果データD2を生成し、生成した測定結果データD2を制御部9に出力する測定処理を実行する。接断切替え部6は、「接断切替え部」の一例であって、制御部9の制御に従い、電源部4および測定部5に対する各検査用プローブ2aの接断、すなわち、各検査用プローブ2aが接続されている導体パターンと電源部4および測定部5との接断を切り替える切替え処理を実行する。
【0024】
操作部7は、基板検査装置1の動作条件(検査条件:各検査処理の処理手順)を設定するためのキーボードやポインティングデバイス(マウスおよびタッチパネル等)を備え、入力操作に応じた操作信号を制御部9に出力する。表示部8は、制御部9の制御下で、基板検査装置1の動作条件(検査条件)を設定するための動作条件設定画面(後述する検査手順データD1の設定画面等)や、検査対象基板Pについての検査結果を報知する検査結果報知画面などの各種表示画面(いずれも図示せず)を表示する。
【0025】
制御部9は、基板検査装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部9は、「処理部」に相当し、検査対象基板Pの検査に先立ち、記憶部10に記憶されている検査手順データ生成プログラムDpに従って検査手順データD1を生成するデータ生成処理を実行し、生成した検査手順データD1を記憶部10に記憶させる。また、制御部9は、記憶部10に記憶させた検査手順データD1に従い、検査対象基板Pに形成されている各電気回路が正常に機能する状態であるか否かを検査する機能検査処理を実行する。
【0026】
具体的には、制御部9は、検査手順データD1に従い、移動機構3を制御してテストヘッド2を移動させることで各検査用プローブ2aを検査対象基板Pにプロービングさせると共に、接断切替え部6を制御して切替え処理を実行させることで電源部4および測定部5と検査用プローブ2a(検査対象基板Pの導体パターン)との接断を切り替えさせる。また、制御部9は、電源部4を制御して信号供給処理を実行させ、かつ、測定部5を制御して測定処理を実行させて、測定部5から出力される測定結果データD2を記憶部10に順次記憶させる。さらに、制御部9は、記憶部10に記憶させた測定結果データD2に基づき、検査対象基板Pの電気回路が正常に機能する状態であるか否かを判別し、その判別結果を検査結果データD3として記憶部10に記憶させる良否判別処理を実行する。また、制御部9は、一例として、接断切替え部6を制御することにより、テストヘッド2を介して基板検査装置1に接続されている所定の導体パターンをグランド電位に接続させることで、検査対象基板Pの電気回路にチャージされている電荷を除電する(ディスチャージする)除電処理を実行する。
【0027】
この場合、本例では、接断切替え部6による切替え処理、電源部4による信号供給処理、測定部5による測定処理、制御部9による良否判別処理、および制御部9による除電処理からなる一連の処理が「機能検査処理」に相当する。なお、この基板検査装置1は、検査対象基板Pの一対の導体パターン間の導通状態や絶縁状態が正常であるか否かを検査する「導通絶縁検査処理」や、検査対象基板Pに搭載されている電子部品の品違いや実装方向の誤りが存在するか否かを検査する「部品検査処理」などの各種検査処理を実行可能に構成されているが、基板検査装置1による検査手順データD1の生成処理に関する理解を容易とするために、機能検査処理以外の各検査処理に関する説明を省略する。
【0028】
記憶部10は、検査手順データ生成プログラムDp、検査手順データD1、測定結果データD2および検査結果データD3などを記憶する。この場合、検査手順データ生成プログラムDpは、一例として、基板検査装置1の製造者によってプログラミングされて基板検査装置1の出荷時点において記憶部10に記憶されている(基板検査装置1にインストールされている)。なお、出荷時点において検査手順データ生成プログラムDpを記憶部10に記憶させておく構成に代えて、基板検査装置1の利用者が、記憶媒体(光ディスクやリムーバブルメモリ等)から検査手順データ生成プログラムDpを読み出させて記憶部10に記憶させたり、各種通信網を介して検査手順データ生成プログラムDpを取得して記憶部10に記憶させたりする構成を採用することもできる。
【0029】
この基板検査装置1による検査対象基板Pの検査に際しては、まず、検査対象基板Pの仕様に応じて、その検査対象基板Pを対象として実行すべき検査項目を決定し、決定した内容に従って検査手順データD1を生成して記憶部10に記憶させる。なお、検査手順データD1の生成処理については、後に詳細に説明する。次いで、検査対象基板Pを所定の検査位置にセットした後に、操作部7の図示しないスタートスイッチを操作することにより、
図2に示す基板検査処理20を開始させる。この基板検査処理20では、制御部9は、検査手順データD1に従い、まず、移動機構3を制御して検査対象基板Pに向けてテストヘッド2を移動させることにより、テストヘッド2の各検査用プローブ2aを検査対象基板Pの導体パターン(電気回路)にそれぞれプロービング(接続)させる(ステップ21)。
【0030】
次いで、制御部9は、検査手順データD1に従い、検査対象基板Pを対象とする複数の「機能検査処理」のうちの最初の「機能検査処理」を開始する。具体的には、制御部9は、検査手順データD1に従って接断切替え部6を制御することにより、検査対象基板Pにおける検査対象の各電気回路のうちの1つに接続された検査用プローブ2aを電源部4および測定部5にそれぞれ接続させる(「切替え処理」の一例:ステップ22)。より具体的には、制御部9は、一例として、検査対象の電気回路における電源入力用パターンおよびグランドパターンにそれぞれ接続された一対の検査用プローブ2aと電源部4とを相互に接続させると共に、検査対象の電気回路における信号出力用パターンおよびグランドパターンに接続された一対の検査用プローブ2aと測定部5とを相互に接続させる。次いで、制御部9は、電源部4を制御して機能検査用の電気信号の供給を開始させる(「信号供給処理」の一例:ステップ23)。
【0031】
また、制御部9は、電気信号を供給させた状態を維持しつつ、測定部5を制御して、信号出力用パターンおよびグランドパターンの間の電圧値を測定させる(「電気的パラメータ」の一例である電圧値を測定する「測定処理」の一例:ステップ24)。この際に、測定部5は、測定結果に基づいて測定結果データD2を生成し、制御部9は、測定部5から出力された測定結果データD2を記憶部10に記憶させる。次いで、制御部9は、記憶部10に記憶させた測定結果データD2の値(この例では、電圧値)と検査手順データD1に記述された検査用基準値とに基づき、電気回路が正常に機能し得る状態であるか否かを判別する(「良否判別処理」の一例:ステップ25)。
【0032】
具体的には、制御部9は、測定結果データD2の値と検査用基準値を比較することにより、検査対象の電気回路から正常動作時に出力されるべき信号が出力されているか否かを判別する。この際に、検査対象の電気回路が正常動作し得る状態のときには、上記の信号出力用パターンから所定の信号が正常に出力される。また、検査対象の電気回路に何らかの不良が生じているときには、上記の信号出力用パターンから所定の信号とは相異する信号が出力されたり、信号が出力されなかったりする。したがって、制御部9は、正常動作時に出力されるべき信号が出力されているか否かに基づき、検査対象の電気回路が正常動作し得る状態であるか否かを判別する。また、制御部9は、上記のステップ25における判別結果に基づいて検査結果データD3を生成して記憶部10に記憶させると共に、その判別結果(電気回路の良否)を表示部8に表示させる。
【0033】
続いて、制御部9は、検査手順データD1に基づき、電源部4を制御して機能検査用の電気信号の供給を停止させると共に、接断切替え部6を制御して信号出力用パターンをグランド電位に接続させることで、電気回路にチャージされている電荷を除電する(「除電処理」の一例:ステップ26)。これにより、検査対象の複数の電気回路のうちの1つを対象とする「機能検査処理」が完了する。
【0034】
次いで、制御部9は、検査手順データD1に従い、検査対象基板Pを対象とする複数の「機能検査処理」のうちの2番目の「機能検査処理」を開始する。具体的には、制御部9は、移動機構3によってテストヘッド2(検査用プローブ2a)を検査対象基板Pにプロービングさせた状態を維持しつつ、検査手順データD1に従い、接断切替え部6を制御して検査対象の各電気回路のうちの他の1つに接続されている検査用プローブ2aを電源部4および測定部5をそれぞれ接続させる(「切替え処理」の他の一例:ステップ27)。続いて、制御部9は、電源部4を制御して機能検査用の電気信号の供給を開始させる(「信号供給処理」の他の一例:ステップ28)。また、制御部9は、電気信号を供給させた状態を維持しつつ、測定部5を制御して、信号出力用パターンおよびグランドパターンの間の電圧値を測定させる(「測定処理」の他の一例:ステップ29)。これにより、測定部5から測定結果データD2が出力されて記憶部10に記憶される。
【0035】
この際に、この基板検査処理20では、前述したステップ23の「信号供給処理」によって検査対象基板P上の電気回路に電荷がチャージされた状態となったとしても、その後に実行されるステップ26の「除電処理」によってこの電荷が除電される。このため、この基板検査処理20では、ステップ29の「測定処理」において測定される電圧値が検査対象基板Pにチャージされた電荷の影響を受けて本来的な値とは相異する値となる事態が回避される。
【0036】
さらに、制御部9は、記憶部10に記憶させた測定結果データD2の値と検査手順データD1に記述された検査用基準値とに基づき、電気回路が正常に機能し得る状態であるか否かを判別すると共に(「良否判別処理」の他の一例:ステップ30)、判別結果に基づいて検査結果データD3を生成して記憶部10に記憶させ、かつ判別結果を表示部8に表示させる。次いで、制御部9は、電源部4を制御して機能検査用の電気信号の供給を停止させると共に、接断切替え部6を制御して信号出力用パターンをグランド電位に接続させることで、電気回路にチャージされている電荷を除電する(「除電処理」の他の一例:ステップ31)。これにより、検査対象の複数の電気回路のうちの他の1つを対象とする「機能検査処理(2番目の「機能検査処理」)」が完了する。
【0037】
この後、制御部9は、検査手順データD1に従い、検査対象基板Pにおける検査対象の他の電気回路に関して、上記のステップ22〜26の各処理や、ステップ27〜31の各処理と同様にして、切替え処理、信号供給処理、測定処理、電気回路の良否判別、および除電処理の一連の処理をこの順で実行する(3番目以降の「機能検査処理」の例)。また、検査すべきすべての電気回路について上記の一連の検査処理を完了したときに、制御部9は、この基板検査処理20を終了する。以上により、検査手順データD1に基づく検査対象基板Pの検査が完了する。
【0038】
一方、前述したように、上記の基板検査処理20において使用した検査手順データD1は、検査開始に先立って基板検査装置1において生成される。なお、「基板検査装置」によって実行される「検査処理」の内容は、上記の基板検査処理20の内容に限定されるものではないが、検査手順データD1の生成に関する理解を容易とするために、一例として、上記の基板検査処理20を基板検査装置1に実行させるための検査手順データD1の生成について以下に説明する。
【0039】
具体的には、検査手順データD1の生成に際しては、まず、操作部7を制御することによって検査手順データ生成プログラムDpを起動させる。この際に、制御部9は、検査手順データ生成プログラムDpの記述に従って「データ生成処理」を開始する。具体的には、制御部9は、検査手順データ生成プログラムDpに従い、まず、上記の基板検査処理20におけるステップ21の処理(検査対象基板Pに対するテストヘッド2のプロービング)を実行すると規定すると共に、検査対象基板Pを対象とする検査処理(機能検査処理)の処理条件を指定させるための処理条件指定用画面(処理手順の設定画面:図示せず)を表示部8に表示させる。この状態において、一例として、検査対象基板Pの設計データ(仕様書)を参照しつつ、操作部7を操作することにより、検査対象基板Pに形成されている各電気回路のうちの任意の1つについての機能検査処理を実行する旨を指定する(検査項目の新規追加)。
【0040】
この際に、制御部9は、検査手順データ生成プログラムDp(検査手順データ生成プログラムDpに記述された「検査手順データ生成手順」)に従い、まず、前述した基板検査処理20におけるステップ22の処理(切替え処理)、およびステップ26の処理(除電処理)の2つを実行すると自動的に規定する(「機能検査処理の実行を指示された時点」において、「機能検査処理において最初に実行する処理」として「切替え処理」を規定すると共に、「除電処理の実行後に機能検査処理を終了する」と規定する例)。具体的には、制御部9は、機能検査処理の最初のステップにおいて「切替え処理(ステップ22の処理)」を実行し、かつ、その機能検査処理の最後のステップにおいて「除電処理(ステップ26の処理)」を実行するように自動的に規定する。さらに、制御部9は、実行する旨を規定した上記の2つの処理名を表示部8に表示させる。これにより、機能検査処理の実行を指示した作業者は、「切替え処理」および「除電処理」の2つの実行が自動的に規定されたことを認識する。
【0041】
次いで、操作部7を操作することにより、制御部9によって自動的に規定された「切替え処理」の処理条件を指定する(いずれの検査用プローブ2aと電源部4および測定部5等とを接続するかの指定)。続いて、操作部7を操作することにより、基板検査処理20におけるステップ23の処理(信号供給処理)、ステップ24の処理(測定処理)、およびステップ25の処理(電気回路の良否判別)をこの順で実行するように指示する(処理条件の指定)。この際に、制御部9は、指示された条件に従い、既に規定している「切替え処理」に続いて、「信号供給処理」、「測定処理」および「良否判別処理」をこの順で実行すると規定して、規定した処理の処理名を表示部8に表示させる。これにより、検査対象基板Pに形成されている複数の電気回路のうちの1つを対象とする機能検査処理についての検査手順の指示が完了する。
【0042】
なお、上記の例とは相異するが、いずれかの電気回路を対象とする機能検査処理の実行を指定することで自動的に規定される「切替え処理」および「除電処理」以外の処理(「切替え処理」と「除電処理」との間において実行する処理)については、「信号供給処理」、「測定処理」および「良否判別処理」の3つだけに限定されず、検査すべき事項に応じて任意に規定することができる。一方、本例の基板検査装置1(検査手順データ生成プログラムDp)では、例えば、操作を誤り、自動的に規定された「切替え処理」と「除電処理」との間に、「切替え処理」または「除電処理」を実行するように指示したときに、警告メッセージが表示される。
【0043】
具体的には、例えば、上記の基板検査処理20におけるステップ22とステップ26との間に「切替え処理」を実行するように誤って指示したときに、制御部9は、検査手順データ生成プログラムDpに従い、作業者の指示に従って「切替え処理」を実行するように規定せずに、一例として「指示された処理の実行は既に規定されています」とのメッセージを表示部8に表示させる(「第2の報知処理」の一例)。これにより、「切替え処理」の実行を指示した作業者は、「切替え処理」の実行が既に規定されていることを認識する。また、上記の基板検査処理20におけるステップ22とステップ26との間に「除電処理」を実行するように誤って指示したときに、制御部9は、検査手順データ生成プログラムDpに従い、作業者の指示に従って「除電処理」を実行するように規定せずに、一例として「指示された処理の実行は既に規定されています」とのメッセージを表示部8に表示させる(「第1の報知処理」の一例)。これにより、「除電処理」の実行を指示した作業者は、「除電処理」の実行が既に規定されていることを認識する。
【0044】
次いで、他の電気回路についての機能検査処理を実行する旨を指定する(検査項目の追加)。これに応じて、制御部9は、検査手順データ生成プログラムDpに従い、まず、前述した基板検査処理20におけるステップ27の処理(切替え処理)、およびステップ31の処理(除電処理)の2つを実行すると自動的に規定する(「機能検査処理の実行を指示された時点」において、「機能検査処理において最初に実行する処理」として「切替え処理」を規定すると共に、「除電処理の実行後に機能検査処理を終了する」と規定する他の例)。また、制御部9は、実行する旨を規定した上記の2つの処理名を表示部8に表示させる。続いて、操作部7を操作することにより、「切替え処理」の処理条件を指定した後に、基板検査処理20におけるステップ28〜30の各処理をこの順で実行するように指示する(処理条件の指定)。この際に、制御部9は、指示された条件に従い、既に規定している「切替え処理」に続いて、「信号供給処理」、「測定処理」および「良否判別処理」をこの順で実行すると規定して、規定した処理の処理名を表示部8に表示させる。これにより、検査対象基板Pに形成されている複数の電気回路のうちの他の1つを対象とする機能検査処理についての検査手順の指示が完了する。
【0045】
この後、基板検査処理20におけるステップ31に続いて実行すべき各機能検査処理についても、上記の例と同様に指示することにより、基板検査処理20の各ステップを実行可能な処理手順の指定が完了する。この状態において、指定した手順を保存する操作を行うことにより、制御部9は、検査手順データ生成プログラムDpに従い、上記の規定した内容に基づいて検査手順データD1を生成し、生成した検査手順データD1を記憶部10に記憶させて、「データ生成処理」を終了する。これにより、検査対象基板Pの検査準備が完了し、生成された検査手順データD1に基づいて検査対象基板Pを検査することで、前述した基板検査処理20が実行される。
【0046】
このように、この基板検査装置1によれば、検査手順データD1を生成する「データ生成処理」において、検査手順データ生成プログラムDpの記述に従い、「除電処理」の実行後に「機能検査処理」を終了すると規定すると共に、指定された条件に従って「信号供給処理」の処理条件および「測定処理」の処理条件をそれぞれ規定して検査手順データD1を生成することにより、例えば、検査手順データD1の生成作業に不慣れな作業者が「除電処理」の実行を指示し忘れたとしても、「除電処理」が実行されずに「機能検査処理」の終了する検査手順データD1が生成される事態が回避される。したがって、この検査手順データD1に従って検査対象基板Pを検査することにより、各機能検査処理の最終ステップにおいて「除電処理」が確実に実行されるため、検査結果の誤り、および検査対象基板や基板検査装置の破損を確実に回避することができる。
【0047】
また、この基板検査装置1によれば、「除電処理」の実行を指示されたときに、その指示に従って「除電処理」の実行を規定することなく、「除電処理」の実行が既に規定されている旨を報知する「第1の報知処理」を実行することにより、1回の機能検査処理において「除電処理」を複数回実行する検査手順データD1が生成される事態を回避することができるため、不要な「除電処理」の実行を回避して、検査対象基板Pをスムーズに検査することができる。
【0048】
さらに、この基板検査装置1によれば、検査手順データ生成プログラムDpの記述に従い、「機能検査処理」において最初に実行する処理として「切替え処理」を規定することにより、例えば、検査手順データD1の生成作業に不慣れな作業者が「切替え処理」の実行を指示し忘れたとしても、「切替え処理」が実行されずに「機能検査処理」の他の処理が実行される検査手順データD1が生成される事態が回避される。したがって、この検査手順データD1に従って検査対象基板Pを検査することにより、各機能検査処理の他の処理に先立って(最初のステップにおいて)「切替え処理」が確実に実行されるため、電源部4や測定部5が検査対象基板Pのいずれの部位にも接続されていない状態で「信号供給処理」、「測定処理」および「良否判別処理」が実行されて、正常な電気回路が異常と誤って判別される事態を確実に回避することができる。
【0049】
また、この基板検査装置1によれば、「切替え処理」の実行が指示されたときに、その指示に従って「切替え処理」の実行を規定することなく、「切替え処理」の実行が既に規定されている旨を報知する「第2の報知処理」を実行することにより、1回の機能検査処理において「切替え処理」を複数回実行する検査手順データD1が生成される事態を回避することができるため、不要な「切替え処理」の実行を回避して、検査対象基板Pを一層スムーズに検査することができる。
【0050】
また、この検査手順データ生成プログラムDpによれば、基板検査装置1における制御部9に「データ生成処理」を実行させるための手順を記録したことにより、検査結果の誤り、および検査対象基板や基板検査装置の破損を回避可能な検査手順データD1を確実に生成させることができる。
【0051】
なお、「検査手順データ生成装置」の構成や、「検査手順データ生成プログラム」の記述内容(検査手順データD1の生成手順)は、上記の基板検査装置1の構成や、検査手順データ生成プログラムDpの記述内容の例に限定されない。例えば、検査手順データD1を生成する「データ生成処理」に際して、いずれかの電気回路を対象とする機能検査処理の実行が指示されたときに、その機能検査処理の最初の処理として「切替え処理」を実行し、かつ、「除電処理」の実行後にその機能検査処理が終了するように自動的に規定する構成(生成手順)について説明したが、「切替え処理」や「除電処理」の実行を自動的に規定するタイミングについては、「機能検査処理を実行するように指示されたとき」に限定されない。
【0052】
具体的には、一例として、「機能検査処理」の実行が指示された後に、「信号供給処理」、「測定処理」および「電気回路の良否判別」のうちのいずれかを実行するように指示されたときに「切替え処理」や「除電処理」の実行を自動的に規定する構成(プログラム)や、いずれかの電気回路を対象とする機能検査処理に関する処理手順の指定が完了したとき(上記の例における「信号供給処理」、「測定処理」および「電気回路の良否判別」に関する規定が完了したとき)に「切替え処理」や「除電処理」の実行を自動的に規定する構成(プログラム)などを採用することができる。このような構成(プログラム)を採用した場合においても、上記の例と同様にして、「切替え処理」や「除電処理」の実行が規定されていない検査手順データD1が生成される事態を好適に回避することができる。
【0053】
また、制御部9が検査手順データ生成プログラムDpに従って「切替え処理」および「除電処理」の双方を自動的に規定する構成(プログラム)を例に挙げて説明したが、「除電処理」だけを自動的に規定すると共に、「切替え処理」については、作業者の指示に従って規定する構成(プログラム)を採用することもできる。さらに、「第1の報知処理」および「第2の報知処理」として、予め規定されたメッセージを表示部8に表示させる構成(プログラム)について説明したが、このような構成(プログラム)に代えて(または、このような構成(プログラム)に加えて)、作業者が指示した処理が実行されるように規定されていることを警告音の出力やインジケータの点滅(点灯)によって報知する報知処理を実行する構成(プログラム)を採用することもできる。加えて、「検査手順データ生成装置」および「基板検査装置」が一体的に構成された基板検査装置1を例に挙げて説明したが、「検査手順データ生成装置」および「基板検査装置」を別個独立した装置で構成することもできる。