【実施例】
【0017】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、乗り物として電車に用いられるシートシステムを例示する。
【0018】
(1)シートシステムの構成
本実施例に係るシートシステム1は、
図1及び
図2に示すように、以下に述べるシート装置2及び表示装置3を備えている。このシート装置2は、第1シートS1及び第2シートS2が横に並ぶように連結されてなされている。また、シート装置2の横方向には、通路4を介して単独シートS3が配されている。これらシート装置2及び単独シートS3からなるシート列は、縦方向に複数設けられている。
【0019】
上記シート装置2及び単独シートS3のそれぞれは、
図6及び
図7に示すように、電車の進行方向F1、F2に応じて、第1状態P1と、第1状態P1から前後反転した第2状態P2と、の間で回動可能とされている。これらシート装置2及び単独シートS3のそれぞれの左右両側には、シート装置2及び単独シートS3が第1状態P1となったときにオンされて第1状態P1を検出する第1リミットスイッチ6と、シート装置2及び単独シートS3が第2状態P2となったときにオンされて第2状態P2を検出する第2リミットスイッチ7と、が備えられている。
【0020】
上記各シートS1〜S3は、
図3に示すように、シート本体11と、このシート本体11をその後方及び側方を覆うように収容するシェル12と、を備えている。また、シート本体11は、座席となるクッション部13と、クッション部13の前端側に連なり足のせとなるオットマン部14と、クッション部13の後端側に連なり背もたれとなるバック部15と、を備えている。これらクッション部13、オットマン部14及びバック部15のそれぞれは、モータ(図示省略)の駆動により傾動可能とされている。このモータ駆動は、各シートS1〜S3のアームレストの先端側に設けられるスイッチ操作部17を操作することで、後述する制御装置の制御により実行される。
【0021】
上記各シートS1〜S3には、
図3に示すように、アテンダントコールに係る表示制御等を司る制御装置5(ECU(Electronic Control Unit)とも称される。)が搭載されている。また、各シートS1〜S3には、制御装置5と電気的に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18及びアテンダント灯19が備えられている。このスイッチ18は、上記スイッチ操作部17に設けられている。また、アテンダント灯19は、発光ダイオード等の光源(図示省略)を備え、スイッチ18がオン操作されてからアテンダントコールがキャンセルされるまで点灯可能とされている。
【0022】
上記表示装置3は、
図2に示すように、各シートS1〜S3の配置を表すように、第1表示部21、第2表示部22及び第3表示部23が設けられている。これら第1〜第3表示部21〜23は、各シートS1〜S3の横方向の配置に対応して横方向に並べられているとともに、各シートS1〜S3の縦方向の配置に対応して縦方向に並べられている。また、第1〜第3表示部21〜23のそれぞれには、発光ダイオード等からなる光源(図示省略)が設けられている。そして、第1〜第3表示部21〜23を点灯又は消灯させることで、各シートS1〜S3の状態(すなわち、アテンダントコールの有無の状態)が表示される。
【0023】
具体的には、上記表示装置3は、各シートS1〜S3に搭載された制御装置5に電気的に接続されるシーケンス回路(図示省略)を備えている。このシーケンス回路を介して、第1表示部21は、第1シートS1に搭載された制御装置5と電気的に接続され、その制御装置5から出力される表示信号によりオン表示(すなわち、点灯)可能とされている。また、第2表示部22は、第2シートS2に搭載された制御装置5と電気的に接続され、その制御装置5から出力される表示信号によりオン表示可能とされている。さらに、第3表示部23は、単独シートS3に搭載された制御装置5と電気的に接続され、その制御装置5から出力される表示信号によりオン表示可能とされている。
【0024】
なお、上記第1〜第3表示部21〜23と各シートS1〜S3の制御装置5との接続関係は、シート装置2及び単独シートS3の第1状態P1及び第2状態P2にかかわらず維持される。
【0025】
上記制御装置5は、
図4に示すように、CPU25(Central Processing Unit)と、図示しないメモリ(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等)と、を備えている。また、制御装置5は、アテンダントコール用のスイッチ18からの操作信号を入力するための入力回路26と、第1及び第2リミットスイッチ6、7からの検出信号を入力するための入力回路27と、アテンダント灯19に点灯信号を出力するための出力回路28と、表示装置3に対して通信信号を入出力するための入出力回路29と、他の制御装置5に対して通信信号を入出力するための入出力回路31と、を備えている。
【0026】
ここで、
図2に示すように、上記第1シートS1に搭載された制御装置5(ECU2)と第2シートS2に搭載された制御装置5(ECU3)とは電気的に接続されている。また、前後方向に隣り合う各シートS1〜S3に搭載された制御装置5は、必要に応じて互いに電気的に接続されている。さらに、単独シートS3に搭載される制御装置5(ECU1)では、自身の備える出力端子a及び入力端子b同士が電線eで接続されている。そして、制御装置5(ECU1)は、単独シートS3の第2状態P2において、制御装置5(ECU1)に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18がオンされたときに、外部に出力した所定信号を自身で入力するように構成されている。
【0027】
上記制御装置5は、以下に述べるアテンダントコールに係る表示制御処理を実行する。この表示制御処理では、
図5に示すように、第2リミットスイッチ7からの検出信号が入力されていないかを判定する(ステップS1)。その結果、その検出信号が入力されていない場合(ステップS1のYES判定)には、シート装置2が第1状態P1であると認識する。次に、第1シートS1の制御装置5(ECU2)に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると(ステップS2)、第1シートS1の制御装置5(ECU2)に接続されたアテンダント灯19を点灯するとともに、表示装置3へ表示信号を出力し(ステップS3)、表示装置3の第1表示部21を点灯する(ステップS4)。
【0028】
一方、第2リミットスイッチ7からの検出信号が入力されている場合(ステップS1のNO判定)には、シート装置2が第2状態P2であると認識する。次に、第1シートS1の制御装置5(ECU2)に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると(ステップS5)、第1シートS1の制御装置5(ECU2)に接続されたアテンダント灯19を点灯するとともに、第2シートS2の制御装置5(ECU3)へアテンダントコールに係る所定信号を出力する(ステップS6)。そして、第2シートS2の制御装置5(ECU3)は、表示装置3へ表示信号を出力し(ステップS7)、表示装置3の第2表示部22を点灯する(ステップS8)。
【0029】
なお、上記制御装置5による制御処理は、ハードウェア、ソフトウェアのいずれによって実現されてもよく、好適にはCPU、メモリ(ROM、RAM等)、入出力回路等を備えるマイクロコントローラ(マイクロコンピュータ)を中心に、入出力インターフェース等周辺回路を備えることにより構成することができる。
【0030】
(2)シートシステムの作用
次に、上記構成のシートシステム1の作用について説明する。なお、本実施例では、先頭列から最後列までのシート装置2及び単独シートS3の作用は略同じであるため、シート装置2及び単独シートS3の第1状態P1では、電車の進行方向F1に対する先頭列のシート装置2及び単独シートS3の作用について以下に詳説するとともに、シート装置2及び単独シートS3の第2状態P2では、電車の進行方向F2に対する最後列のシート装置2及び単独シートS3の作用について以下に詳説する。
【0031】
上記シート装置2及び単独シートS3の第1状態P1では、
図6に示すように、第1シートS1のアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、第1シートS1の制御装置5(ECU2)により第1シートS1のアテンダント灯19が点灯されるとともに、第1シートS1の制御装置5(ECU2)が表示装置3へ表示信号を送信して第1表示部21(B1)がオン表示される。
【0032】
また、第2シートS2のアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、第2シートS2の制御装置5(ECU3)により第2シートS2のアテンダント灯19が点灯されるとともに、第2シートS2の制御装置5(ECU3)が表示装置3へ表示信号を送信して第2表示部22(C1)がオン表示される。
【0033】
さらに、単独シートS3のアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、単独シートS3の制御装置5(ECU1)により単独シートS3のアテンダント灯19が点灯されるとともに、単独シートS3の制御装置5(ECU1)が表示装置3へ表示信号を送信して第3表示部23(A1)がオン表示される。
【0034】
一方、電車の進行方向F1が反対の進行方向F2に変更される際には、
図6中に2点鎖線で示すように、シート装置2及び単独シートS3のそれぞれを回動させて第1状態P1から第2状態P2とする。このとき、第2リミットスイッチ7(
図7参照)がオンされることで、第1及び第2シートS1、S2の制御装置5(ECU2、ECU3)は、シート装置2が第2状態P2になったことを把握するとともに、単独シートS3の制御装置5(ECU1)は、単独シートS3が第2状態P2になったことを把握する。
【0035】
上記シート装置2及び単独シートS3の第2状態P2では、
図7に示すように、第1シートS1のアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、第1シートS1の制御装置5(ECU2)により第1シートS1のアテンダント灯19が点灯されるとともに、第1シートS1の制御装置5(ECU2)が第2シートS2の制御装置5(ECU3)へ所定信号を送信する。そして、所定信号を受信した第2シートS2の制御装置5(ECU3)が表示装置3へ表示信号を送信して第2表示部22(C1)がオン表示される。
【0036】
また、第2シートS2のアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、第2シートS2の制御装置5(ECU3)により第2シートS1のアテンダント灯19が点灯されるとともに、第2シートS2の制御装置5(ECU3)が第1シートS1の制御装置5(ECU2)へ所定信号を送信する。そして、所定信号を受信した第1シートS1の制御装置5(ECU2)が表示装置3へ表示信号を送信して第1表示部21(B1)がオン表示される。
【0037】
さらに、単独シートS3のアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、単独シートS3の制御装置5(ECU1)により単独シートS1のアテンダント灯19が点灯されるとともに、単独シートS3の制御装置5(ECU1)は、自身が送信した所定信号を自身で受信することで、表示装置3へ表示信号を送信して第3表示部23(A1)がオン表示される。
【0038】
(4)実施例の効果
以上より、本実施例のシートシステム1によると、シート装置2は、第1状態P1と、第1状態P1から前後反転した第2状態P2と、の間で回動可能とされており、第1及び第2シートS1、S2のそれぞれには、互いに電気的に接続された制御装置5が備えられているとともに、制御装置5と電気的に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18が備えられている。そして、表示装置3には、第1及び第2シートS1、S2の配置を表すように第1及び第2表示部21、22が設けられ、第1表示部21は、第1シートS1の制御装置5と電気的に接続されてその制御装置5によりオン表示可能とされ、第2表示部22は、第2シートS2の制御装置5と電気的に接続されてその制御装置5によりオン表示可能とされている。そして、シート装置2の第1状態P1では、第1シートS1の制御装置5に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、第1シートS1の制御装置5が第1表示部21をオン表示にするとともに、第2シートS2の制御装置5に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、第2シートS2の制御装置5が第2表示部22をオン表示にする。さらに、シート装置2の第2状態P2では、第1シートS1の制御装置5に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、第1シートS1の制御装置5から第2シートS2の制御装置5に対して所定信号が送信されて、第2シートS2の制御装置5が第2表示部22をオン表示にするとともに、第2シートS2の制御装置5に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、第2シートS2の制御装置5から第1シートS1の制御装置5に対して所定信号が送信されて、第1シートS1の制御装置5が第1表示部21をオン表示にする。これにより、シート装置2の複数のシートS1、S2で共通の制御装置5を使用できるとともに、シート装置2の向きによらず表示装置3でシートS1、S2の配置に対応した適正な表示部21、22をオン表示にすることができる。さらに、制御装置5を共通化することで、設計・評価の効率化及びコストダウンを図ることができる。
【0039】
また、本実施例では、制御装置5は、第1信号出力手段(
図5のステップS3)と、第2信号出力手段(
図5のステップS6)と、第3信号出力手段(
図5のステップS7)と、を備える。よって、第1信号出力手段により、シート装置2の第1状態P1において、制御装置5に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18がオンされたときに、表示装置3に対して表示部21、22をオン表示にする表示信号が出力される。また、第2信号出力手段により、シート装置2の第2状態P2において、制御装置5に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18がオンされたときに、他の制御装置5を含む外部に対して所定信号が出力される。さらに、第3信号出力手段により、シート装置2の第2状態P2において、他の制御装置5を含む外部から所定信号が入力されたときに、表示装置3に対して表示部21、22をオン表示にする表示信号が出力される。
【0040】
さらに、本実施例では、シート装置2の横に通路4を介して配される単独シートS3を備え、単独シートS3は、第1状態P1と、第1状態P1から前後反転した第2状態P2と、の間で回動可能とされており、単独シートS3には、制御装置5が備えられているとともに、制御装置5と電気的に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18が備えられており、表示装置3には、複数のシートS1、S2及び単独シートS3の配置を表すように第1〜第3表示部21〜23が設けられ、第3表示部23は、単独シートS3の制御装置5と電気的に接続されてその制御装置5によりオン表示可能とされている。そして、単独シートS3の第1状態P1では、単独シートS3の制御装置5に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、単独シートS1の制御装置5が第3表示部23をオン表示にする。一方、単独シートS3の第2状態P2では、単独シートS3の制御装置5に接続されたアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、単独シートS3の制御装置5から出力された所定信号が自身に入力されて、単独シートS3の制御装置5が第3表示部23をオン表示にする。これにより、連結シートや単独シート等の様々な仕様違いのシートS1〜S3で共通の制御装置5を使用できる。
【0041】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、2つのシートS1、S2が横に並ぶように連結されたシート装置2を例示したが、これに限定されず、例えば、3以上のシートが横に並ぶように連結されたシート装置としてもよい。
【0042】
例えば、
図8に示すように、第1シートS1’と第2シートS2’との間に中間シートS3’を挟んで連結したシート装置2’を採用することができる。この場合、第1シートS1’の制御装置5と第2シートS2’の制御装置5とは電気的に接続されている。また、表示装置3’は、第1シートS1’の制御装置5によりオン表示可能とされる第1表示部21’と、第2シートS2’の制御装置5によりオン表示可能とされる第2表示部22’と、中間シートS3’の制御装置5によりオン表示可能とされる第3表示部23’と、を備える。なお、上記実施例と略同じ構成部位には、同じ符号を付けるものとする。
【0043】
そして、上記シート装置2’の第1状態P1では、
図8(a)に示すように、第1及び第2シートS1’、S2’のうちの一方のシートのアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、一方のシートの制御装置5(ECU1又はECU2)が第1表示部21’又は第2表示部22’をオン表示にする。一方、上記シート装置2’の第2状態P2では、
図8(b)に示すように、第1及び第2シートS1’、S2’のうちの一方のシートのアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、一方のシートの制御装置5(ECU1又はECU2)から他方のシートの制御装置5に対して所定信号が送信されて、他方のシートの制御装置5が第1表示部21’又は第2表示部22’をオン表示にする。
【0044】
なお、上記シート装置2’の第2状態P2では、第3シートS3’のアテンダントコール用のスイッチ18がオンされると、第3シートS3’の制御装置5(ECU3)は、自身が送信した所定信号を自身で受信することで又は直接的に、第3表示部23’をオン表示にする。
【0045】
また、上記実施例では、単独シートS3の第2状態P2でスイッチ18がオンされると、単独シートS3の制御装置5(ECU1)は、自身が送信した所定信号を自身で受信することで、表示装置3へ表示信号を送信して第3表示部23をオン表示するようにしたが、これに限定されず、例えば、単独シートS3の第2状態P2でスイッチ18がオンされると、単独シートS3の制御装置5(ECU1)は、直接的に表示装置3へ表示信号を送信して第3表示部23をオン表示するようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施例では、上記第1〜第3表示部21〜23を、各シートS1〜S3の横方向の配置に対応して横方向に並べるとともに、各シートS1〜S3の縦方向の配置に対応して縦方向(上下方向)に並べるようにしたが、これに限定されず、例えば、上記第1〜第3表示部21〜23を、各シートS1〜S3の横方向の配置に対応して縦方向(上下方向)に並べるとともに、各シートS1〜S3の縦方向の配置に対応して横方向に並べるようにしてもよい。
【0047】
さらに、上記実施例では、表示装置3の表示部21〜23を点灯させてオン表示するようにしたが、これに限定されず、例えば、表示装置3の表示部21〜23を点滅させてオン表示したり、通常時点灯している表示部21〜23を消灯又は点滅させてオン表示したりしてもよい。
【0048】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0049】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。