(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143301
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】駆血治療装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/135 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
A61B17/135
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-52861(P2014-52861)
(22)【出願日】2014年3月16日
(65)【公開番号】特開2014-204969(P2014-204969A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年4月17日
(31)【優先権主張番号】特願2013-54448(P2013-54448)
(32)【優先日】2013年3月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】595032428
【氏名又は名称】福田 博司
(73)【特許権者】
【識別番号】510132842
【氏名又は名称】山崎 由久
(74)【代理人】
【識別番号】100099254
【弁理士】
【氏名又は名称】役 昌明
(74)【代理人】
【識別番号】100108729
【弁理士】
【氏名又は名称】林 紘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139675
【弁理士】
【氏名又は名称】役 学
(72)【発明者】
【氏名】福田 博司
(72)【発明者】
【氏名】山崎 由久
【審査官】
後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−210360(JP,A)
【文献】
特開2011−056200(JP,A)
【文献】
特開2012−210359(JP,A)
【文献】
特表2007−519464(JP,A)
【文献】
特表2008−534088(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/127341(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/132−17/135
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四肢の患部より心臓に近い側に巻き付けて、駆血する駆血用カフと、該駆血用カフより
も患部側に巻き付けて駆血状態を検知する脈動検知用カフと、空気タンクと、制御装置と
を具備し、上記制御装置は、
上記空気タンクより一定圧力に調圧された空気を上記脈動検知用カフに送る第1の通気
用電磁弁および脈動検知用カフの空気を排気する第1の排気用電磁弁と、上記脈動検知用
カフで発生する脈動に基づく振動を電気信号に変換する脈動検知器と、上記空気タンクよ
り上記駆血用カフに空気を送る第2の通気用電磁弁および駆血用カフの空気を排気する第
2の排気用電磁弁とを備え、
上記脈動検知用カフを加圧後に、上記脈動検知器により脈動を検知している期間中、上
記第2の通気用電磁弁を開いて、上記脈動検知器が脈動を検知しなくなる駆血状態に到達
するまでの昇圧時間が10数秒以内になる圧力で上記駆血用カフを加圧し、駆血状態が一
定時間経過後に、上記第1および第2の排気用電磁弁を開いて上記脈動検知用カフおよび
上記駆血用カフを排気して休息時間を設ける制御を複数回繰り返すことを特徴とする駆血
治療装置。
【請求項2】
四肢の患部より心臓に近い側に巻き付けて、駆血する駆血用カフと、該駆血用カフより
も患部側に巻き付けて駆血状態を検知する脈動検知用カフと、空気タンクと、マイクロコ
ンピュータを有する制御装置とを具備し、上記制御装置は、
上記空気タンクより一定圧力に調圧された空気を上記脈動検知用カフに送る第1の通気
用電磁弁および脈動検知用カフの空気を排気する第1の排気用電磁弁と、上記脈動検知用
カフで発生する脈動に基づく振動を電気信号に変換する脈動検知器と、
上記空気タンクより上記駆血用カフに空気を送る第2の通気用電磁弁および駆血用カフ
の空気を排気する第2の排気用電磁弁と、
上記駆血用カフの圧力を電気信号に変換して出力する圧力計測手段と、
上記脈動検知用カフの出力および上記圧力計測手段の出力が印加され、上記各電磁弁を
制御するマイクロコンピュータとを備え、
初回に、上記脈動検知用カフを加圧後に、上記脈動検知器により脈動を検知している期
間中、上記第2の通気用電磁弁を開いて、上記脈動検知器が脈動を検知しなくなる駆血状
態に到達するまでの昇圧時間が10数秒以内になる圧力で上記駆血用カフを加圧し、上記
脈動検知器による脈動を検知しなくなった状態における上記圧力計測手段で得た圧力値を
上記マイクロコンピュータのメモリに記憶させ、一定時間経過後に、上記第1および第2
の排気用電磁弁を開いて上記脈動検知用カフおよび上記駆血用カフを排気して休息期間を
設ける制御を行い、
2回目以降には、上記第2の通気用電磁弁を開いて、上記メモリに記憶された圧力まで
、昇圧時間が10数秒以内になる圧力で上記駆血用カフを加圧し、一定時間経過後に第2
の排気用電磁弁を開いて上記駆血用カフを排気して休息時間を設ける制御を複数回繰り返
すことを特徴とする駆血治療装置。
【請求項3】
四肢の患部より心臓に近い側に巻き付けて、駆血する駆血用カフと、該駆血用カフより
も患部側に巻き付けて駆血状態を検知する脈動検知用カフと、空気タンクと、マイクロコ
ンピュータを有する制御装置とを具備し、上記制御装置は、
上記空気タンクより一定圧力に調圧された空気を上記脈動検知用カフに送る第1の通気
用電磁弁および脈動検知用カフの空気を排気する第1の排気用電磁弁と、上記脈動検知用
カフで発生する脈動に基づく振動を電気信号に変換する脈動検知器と、
上記空気タンクより上記駆血用カフに空気を送る第2の通気用電磁弁および駆血用カフ
の空気を排気する第2の排気用電磁弁と、
上記駆血用カフの圧力を電気信号に変換して出力する圧力計測手段と、
上記脈動検知用カフの出力および上記圧力計測手段の出力が印加され、上記各電磁弁を
制御するマイクロコンピュータとを備え、
初回に、上記脈動検知用カフを加圧後に、上記第2の通気用電磁弁を開いて上記駆血用
カフを予想駆血圧を超えるまで昇圧時間が10数秒以内になる圧力で急速に加圧したのち
、徐々に排気して上記脈動検知器により脈動を検知し始めた状態における上記圧力計測手
段で得た圧力値を上記マイクロコンピュータのメモリに記憶させ、一定時間経過後に、上
記第1および第2の排気用電磁弁を開いて上記脈動検知用カフおよび上記駆血用カフを排
気して休息期間を設ける制御を行い、
2回目以降には、上記第2の通気用電磁弁を開いて、上記メモリに記憶された圧力まで
昇圧時間が10数秒以内になる圧力で上記駆血用カフを加圧し、一定時間経過後に第2の
排気用電磁弁を開いて上記駆血用カフを排気して休息時間を設ける制御を複数回繰り返す
ことを特徴とする駆血治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、四肢の外傷や手術後における痛み、炎症、腫脹および浮腫の程度を軽くし、治療期間を短縮できる駆血治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
四肢の外傷や手術後に、四肢の患部血流の上流側に巻き付けた駆血用カフにより10数
秒以内に駆血状態まで昇圧する圧力を加えて駆血し、この駆血状態を2分間以内の時間、保持して、その後、駆血用カフの圧力を開放して数分間経過した後、再度、駆血状態および開放状態にする操作を5〜6
回繰り返す処置を施すと、炎症、痛み、機能低下および浮
腫の程度を軽くし、治療期間を短縮できること
を、本発明者が、多数の臨床例から得ている。
【0003】
この効果に関する医学的証明は、なされてないが、血流制限によりサイトカインが分泌されるということが発表されている(下記非特許文献1参照)。サイトカインは細胞が産生するタンパクの一種で、それに対するレセプターを持つ細胞が働き、細胞の増殖、分化、機能発現が行われると言われている。
【0004】
サイトカインは、細胞増殖、分化、抑制と云った生体の恒常性維持に重要な役割を果たす物質であることが証明されている。
【0005】
駆血治療装置による駆血状態および開放状態の繰り返しによる臨床的治療効果は、浮腫を軽減し、血流循環が促進される上に、サイトカイン分泌があるためと推論できる。
【0006】
カフまたはベルトで上腕や下肢の基部を締め付けて駆血状態にし、数分経過後、カフまたはベルトを開放すると、血液が下流側の血管内に一気に流れて、正常で活発な血流循環を促すことが、下記非特許文献1において開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ウィキペディア フリー百科事典[平成25年3月13日検索](URL:http://ja.wikipedia org/wiki/サイトカイン)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
四肢の外傷や手術後において、患部血流の上流側に巻き付けた駆血用カフにより、自動的に患部を2分間以内の時間、駆血状態に保持して、その後、駆血状態を解除して数分間経過した後、再度、駆血状態および解除状態を5〜6繰り返す駆血治療行為を施すことにより、四肢の外傷や手術後における痛み、炎症、腫脹および浮腫の程度を軽くする適当な装置が存在しなかった。
【0009】
そこで、この発明は、このような駆血治療行為を施す治療装置を提供することを目的として考えられたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の駆血治療装置は、四肢の患部より心臓に近い側に巻き付けて、駆血する駆血
用カフと、この駆血用カフよりも患部側に巻き付けて駆血状態を検知する脈動検知用カフ
と、空気タンクと、制御装置とを具備し、この制御装置は、上記空気タンクより一定圧力
に調圧された空気を上記脈動検知用カフに送る第1の通気用電磁弁および脈動検知用カフ
の空気を排気する第1の排気用電磁弁と、上記脈動検知用カフで発生する脈動に基づく振
動を電気信号に変換する脈動検知器と、上記空気タンクより上記駆血用カフに空気を送る
第2の通気用電磁弁および駆血用カフの空気を排気する第2の排気用電磁弁とを備え、上
記脈動検知用カフを加圧後に、上記脈動検知器により脈動を検知している時間中、上記第
2の通気用電磁弁を開いて、上記脈動検知器が脈動を検知しなくなる
駆血状態に到達する
までの昇圧時間が10数秒以内になる圧力で上記駆血用カフを加圧し、駆血状態が一定時
間経過後に、上記第1および第2の排気用電磁弁を開いて上記脈動検知用カフおよび上記
駆血用カフを排気して休息時間を設ける制御を複数回繰り返す装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明の駆血治療装置を使用して治療すると、骨折や患部の除去手術後における浮腫の程度を軽くし、治療時間を短縮できる。また、駆血用カフから分離した脈動検知用カフにより駆血状態を検知しているので、駆血用カフによる過剰な締め付けを行うことがなく、患者の痛み軽減できる。さらに、駆血時間、解放時間および繰り返し行う治療の回数を機械的に設定しておくことにより治療のミスを発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の駆血治療装置の使用状態を示す概要図、
【
図2】この発明の駆血治療装置で使用する制御装置を示す第1の実施形態のブロック図、
【
図3】この発明の駆血治療装置の第1の実施形態を用いた治療行為の態様を示すタイム・チャート、
【
図4】この発明の駆血治療装置で使用する制御装置を示す第2の実施形態のブロック図、
【
図5】この発明の駆血治療装置の第2の実施形態を用いた治療行為の態様を示すタイム・チャートである。
【
図6】この発明の駆血治療装置で使用する制御装置を示す第3の実施形態のブロック図、
【
図7】この発明の駆血治療装置の第3の実施形態を用いた治療行為の態様を示すタイム・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
この発明の駆血治療装置は、
図1に患者に治療中の状態を示すように、四肢の患部より心臓に近い側に巻き付けて、駆血する駆血用カフ5と、この駆血用カフ5よりも患部側に巻き付けて駆血状態を検知する脈動検知用カフ4と、制御装置1とにより構成される。
【0014】
駆血用カフ5は、空気圧作動により締付状態を調節するものであって、ベルト状の緊締具の内側にゴム製チューブを設けた構造であり、緊締具を患部より心臓に近い側に巻き付けて、マジックテープ(登録商標)などの固定手段によって固定してループを形成したのち、ゴム製チューブに空気を送り込んで加圧することにより四肢に締付力を作用させて患部の血流を駆血状態とするものである。
【0015】
脈動検知用カフ4は、血圧計と同様に脈動を検知して、駆血状態を把握するものであり、1周期の治療開始から終了するまでの間、この脈動検知用カフ4は100mmHg程度の圧力に加圧される。
【0016】
さらに、
図2に示すように、モータ31により駆動される空気圧縮機32と、圧縮された空気を貯える空気タンク3とを備えている。
【0017】
制御装置1には、空気タンク3に結合されて一定圧力(例えば、100mmHg)の空気を発生する調圧弁41を備えており、調圧弁41は、第1の通気用電磁弁42およびチューブ45を介して脈動検知用カフ4に接続されている。チューブ45の後端は分岐されて、脈動に基づく振動を電気信号に変換するストレインゲージやマイクロフォンなどの脈動検知器2に接続されるとともに、第1の排気用電磁弁43にも結合されている。
【0018】
さらに、空気タンク3には、流量調整弁51および第2の通気用電磁弁52が結合されており、この第2の通気用電磁弁52は、チューブ55を介して駆血用カフ5に接続される。さらに、駆血用カフ5へ通じるチューブ55から分岐して第2の排気用電磁弁53が結合されている。
【0019】
制御装置1には、マイクロコンピュータ10を備えており、このマイクロコンピュータ10には、脈動検知器2から出力される脈動の電気信号が印加され、この脈動の電気信号に基づいて駆血用カフ5に連通する第2の通気用電磁弁52を制御する。
【0020】
次に、マイクロコンピュータ10によって、通気用電磁弁42、52および排気用電磁弁43、53を制御して行う駆血治療行為の第1の態様を
図3のタイム・チャートに基づいて説明する。
【0021】
ステップ1:タイム・チャート(a)に示すように、第1の通気用電磁弁42を開くと、タイム・チャート(b)に示すように、脈動検知用カフ4は、調圧された一定圧力(100mmHg)の空気により加圧される。
【0022】
ステップ2:脈動検知用カフ4の加圧により、脈動検知器2が脈動の振動を検知して、タイム・チャート(c)に示すように、パルス状の電気信号を発生し始める。
【0023】
ステップ3:このパルス状の電気信号の発生を検知すると、タイム・チャート(d)に示すように、第2の通気用電磁弁52を開いて、駆血用カフ5に空気を送り、タイム・チャート(e)に示すように、加圧を開始する。
【0024】
ステップ4:この駆血用カフ5の加圧により四肢が締め付けられて血流が止まると、タイム・チャート(c)に示すように、脈動検知器2が脈動を検知しなくなり、パルス状の電気信号が停止する。
【0025】
ステップ5:このように脈動検知器2から発生していたパルス状の電気信号が停止すると、駆血された状態に当たるから、タイム・チャート(d)に示すように、第2の通気用電磁弁52を閉じて加圧を停止し、タイム・チャート(e)に示すように、一定の空気圧pで締め付けた状態を維持する。
【0026】
ステップ6:この駆血状態が一定時間T
1(2分以内)経過すると、タイム・チャート(f)に示すように、2つの排気用電磁弁43、53を一定時間開いて、駆血用カフ5および脈動検知用カフ4の空気を排気して休息時間T
2(30秒〜2分間)となる。
【0027】
この休息時間T
2が終わると、ステップ1〜ステップ6の操作を複数回(例えば、5回)繰り返し行う。
【0028】
このような駆血時間T
1、休息時間T
2および繰り返し行う治療の回数は、患者の容態に応じて適宜設定されるものである。
【0029】
(第2の実施形態)
この発明の駆血治療装置の第1の実施形態においては、駆血用カフ5に空気を送って加圧するごとに、脈動検知用カフ4に結合されたマイクロフォンなどの脈動検知器2により脈動の検知を行っているが、第2の実施形態においては、初回だけ脈動検知器2による脈動の検知を行って、脈動を検知しなくなったときの駆血用カフ5の圧力を圧力計6により計測し、駆血用圧力pとしてマイクロコンピュータ10のメモリに記憶させる。
【0030】
2回目から駆血用カフ4の圧力が、マイクロコンピュータ10のメモリに記憶した駆血用圧力pまで加圧するように構成したものである。
【0031】
図4に示すように、駆血用カフ5に通じるチューブ55から分岐して圧力計6が結合されている。この圧力計6は、駆血用カフ5の圧力を電気信号に変換してマイクロコンピュータ10に印加するものである。
【0032】
次に、マイクロコンピュータ10によって、通気用電磁弁42、52および排気用電磁弁43、53を制御して行う駆血治療行為の第2の態様を
図5のタイム・チャートに基づいて説明する。
【0033】
ステップ1:タイム・チャート(a)に示すように、第1の通気用電磁弁42を開くと、タイム・チャート(b)に示すように、脈動検知用カフ4は、調圧された一定圧力(100mmHg)の空気により加圧される。
【0034】
ステップ2:脈動検知用カフ4の加圧により、脈動検知器2が脈動の振動を検知して、タイム・チャート(c)に示すように、パルス状の電気信号を発生し始める。
【0035】
ステップ3:このパルス状の電気信号の発生を検知すると、タイム・チャート(d)に示すように、第2の通気用電磁弁52を開いて、駆血用カフ5に空気を送り、タイム・チャート(e)に示すように、加圧を開始する。
【0036】
ステップ4:この駆血用カフ5の加圧により四肢が締め付けられて血流が止まると、タイム・チャート(c)に示すように、脈動検知器2が脈動を検知しなくなり、パルス状の電気信号が停止する。ここまでのステップ1〜4は、第1の実施形態と同じである。
【0037】
ステップ5:このように脈動検知器2から発生していたパルス状の電気信号が停止すると、駆血された状態に当たるから、タイム・チャート(d)に示すように、第2の通気用電磁弁52を閉じて加圧を停止し、タイム・チャート(e)に示すように、一定の空気圧pで締め付けた状態を維持する。そして、この空気圧pを駆血用空気圧としてマイクロコンピュータ10のメモリに記憶させる。
【0038】
ステップ6:この駆血状態が一定時間T
1(2分以内)経過すると、タイム・チャート(f)に示すように、2つの排気用電磁弁43、53を一定時間開いて、駆血用カフ5および脈動検知用カフ4の空気を排気して休息時間T
2(30秒〜2分間)となる。
【0039】
ステップ7:この休息時間T
2が終わると、2回目以降の治療行為においては、第1の通気用電磁弁42を開くことなく、第2の通気用電磁弁52を開いて、駆血用カフ5に空気を送り、先に測定した駆血用空気圧pまで加圧して締め付けた状態を維持する。この駆血時間T
3は、最初の駆血時間T
1とほぼ同じである。
【0040】
このように、2回目以降の治療行為における駆血状態および休息状態の操作を複数回(例えば、5回)繰り返し行う。
【0041】
(第3の実施形態)
この発明の駆血治療装置の第2の実施形態においては、駆血用空気圧pを得る際に、駆血用カフ5に空気を送って圧力を上昇させながら、脈動検知用カフ4に結合されたマイクロフォンなどの脈動検知器2により脈動の検知を行っているが、第3の実施形態においては、
図6のブロック図に示すように、駆血用カフ5に通じるチューブ55から分岐して圧力計6の他にリーク弁56が結合されている。
【0042】
次に、この第3の実施形態における駆血治療行為の第3の態様を
図7のタイム・チャートに基づいて説明する。
【0043】
ステップ1:タイム・チャート(a)に示すように、第1の通気用電磁弁42を開くと、タイム・チャート(b)に示すように、脈動検知用カフ4は、調圧された一定圧力(100mmHg)の空気により加圧される。
【0044】
ステップ2:脈動検知用カフ4の加圧により、脈動検知器2が脈動の振動を検知して、タイム・チャート(c)に示すように、パルス状の電気信号を発生し始める。
【0045】
ステップ3:このパルス状の電気信号の発生を検知すると、タイム・チャート(d)に示すように、第2の通気用電磁弁52を全開して、駆血用カフ5に空気を送り、タイム・チャート(e)に示すように、予想駆血圧を超える圧力Pまで急速に加圧すると、脈動検知器2が脈動を検知しなくなる。
【0046】
ステップ4:リーク弁56を開き、駆血用カフ5の空気を徐々に排気する。駆血用カフ5の圧力がp’まで低下すると、タイム・チャート(c)に示すように、パルス状の電気信号gを発生するので脈動検知器2で検知されるとリーク弁56を閉じる。そして、この空気圧p’に一定の圧力s(例えば、10mmHg程度)を加算して、駆血用空気圧pとしてマイクロコンピュータ10のメモリに記憶させる。
【0047】
これ以下の駆血治療行為の態様は、
図7に示すように、第2の実施形態のステップ6以下の態様と同じである。
【0048】
(その他の実施形態)
駆血用カフとして、ベルト状の緊締具の内側に複数本に分岐したゴム製チューブを並列に配置した構造とすることにより、締付力を分散させることができて、駆血状態における痛みを軽減することができる。
【0049】
また、締付力を分散させる他の手段として、1本のベルト状の緊締具およびゴム製チューブを長くして、螺旋状に巻き付けるように構成しておくと、締付力を分散させることができて、駆血状態における痛みを軽減することができる。
【0050】
この発明の駆血治療装置においては、駆血用カフとは別に脈動検知用カフを設けているので、駆血用カフの種類が異なっても、脈動検知用カフにより駆血状態を正確に検知することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 制御装置
2 脈動検知器
3 空気タンク
4 脈動検知用カフ
5 駆血用カフ
6 圧力計
10 マイクロコンピュータ
41 調圧弁
42、52 電磁弁
43、53 排気用電磁弁
45、55 チューブ
51 流量制限弁
56 リーク弁