特許第6143304号(P6143304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6143304タイヤによって支持されたRFIDマーカとリムによって支持されたセンサとの間でデータを管理する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143304
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】タイヤによって支持されたRFIDマーカとリムによって支持されたセンサとの間でデータを管理する方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   B60C23/04 N
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-504377(P2014-504377)
(86)(22)【出願日】2012年4月12日
(65)【公表番号】特表2014-513002(P2014-513002A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】FR2012050795
(87)【国際公開番号】WO2012140367
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2015年3月18日
(31)【優先権主張番号】1153191
(32)【優先日】2011年4月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(73)【特許権者】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ハンマー マルク
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−322828(JP,A)
【文献】 特開2006−282091(JP,A)
【文献】 特開2002−225518(JP,A)
【文献】 特開2006−044541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/02、23/04、25/00−25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(12)及びリム(14)を含む組立体(10)に関するデータを管理する方法であって、前記タイヤは、RFIDマーカを支持し、前記組立体は、少なくとも1つのセンサ(P,T)を含むホイールモジュール(22)を支持し、前記組立体(10)は、種々の状態でいることができ、自動車に取り付けられるようになった、特に、ホイールと呼ばれる取付け型組立体(10)を形成するよう前記タイヤ(12)が前記リム(14)に取り付けられた取付け状態でいることができ、
‐前記取付け型組立体(10)及び前記自動車とは別体であってデータ伝送手段(42,50,52,54)を含む中間ユニット(28)を介してデータを前記RFIDマーカ(16)と前記ホイールモジュール(22)との間で伝送し、
‐RFIDデータと呼ばれる前記データを前記ホイールモジュール(22)内に記憶させる、方法において、
前記センサ(P,T)は、前記タイヤの圧力センサ(P)であり、前記圧力センサ(P)によって検出された圧力が所定の圧力しきい値以下である場合、前記ホイールモジュール(22)内に記憶された前記RFIDデータを消去する、方法。
【請求項2】
前記タイヤ(12)及び前記リム(14)を含む前記組立体(10)が所定の状態にあるとき、例えば、取付け中の状態、取付け後の状態、前記タイヤ(12)がインフレートされた取付け状態又は前記タイヤ(12)がデフレートされた取付け状態にあるときに、データを前記RFIDマーカ(16)と前記ホイールモジュール(22)との間で伝送し、この伝送はオペレータの要求又は前記ホイールモジュールの自動要求に応じて前記中間ユニットを介して行われる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記RFIDマーカ(16)から前記ホイールモジュール(22)に向かう前記データの前記伝送は、
‐前記タイヤ(12)及び前記リム(14)を含む前記組立体(10)が、前記タイヤがリムに取り付けられた状態である所定の取付け状態にある場合、及び
‐前記ホイールモジュール(22)内に記憶されているRFIDデータが存在しない場合に前記ホイールモジュールにより要求される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
データを前記RFIDマーカ(16)から前記ホイールモジュール(22)に向かって伝送し、前記中間ユニット(28)によって供給される補足的データ、例えば前記タイヤ(12)に対して行われた保守作業に関するデータを前記データ伝送中に前記RFIDデータに追加する、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項5】
前記中間ユニット(28)は、
‐前記中間ユニット(28)と前記RFIDマーカ(16)との間及び前記中間ユニット(28)と前記ホイールモジュール(22)との間にワイヤレス通信ネットワークを構築する手段(42,50)と、
‐マイクロコントローラ(38,46)を備えた手段と、
‐ユーザインターフェース(36,44)を備えた手段とを有する、請求項1〜4のうち何れか一に記載の方法。
【請求項6】
前記中間ユニット(28)は、
‐前記ホイールモジュール(22)及び前記RFIDマーカ(16)とそれぞれ関連した第1のユニット(32)及び第2のユニット(34)と、
‐前記第1のユニット(32)と前記第2のユニット(34)との間に通信ネットワークを構築する手段(52〜56)と、
‐前記ワイヤレスネットワーク構築手段は、前記第1のユニット(32)内に配置されていて、前記ホイールモジュール(22)と通信するようになった第1のワイヤレスネットワークモジュール(42)と、前記第2のユニット(34)内に配置されていて、前記RFIDマーカ(16)と通信するようになった第2のワイヤレスネットワークモジュール(50)とを含み、
‐前記マイクロコントローラを形成する手段は、前記第1のユニット(32)及び前記第2のユニット(34)内にそれぞれ配置された第1のマイクロコントローラ(38)及び第2のマイクロコントローラ(34)を含み、
‐前記ユーザインターフェースを形成する手段は、前記第1のユニット(32)及び前記第2のユニット(34)内にそれぞれ配置された第1のインターフェース(36)及び第2のインターフェース(44)を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第1のユニット(32)と前記第2のユニット(34)との間に通信ネットワークを構築する前記手段(56)は、シリアルワイヤード形式のものである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記中間ユニット(28)は、携帯可能である、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方においてタイヤに結合されたRFID(無線認証)内に入れられると共に他方においてタイヤが取り付けられるリムに結合された少なくとも1つのセンサを含むホイールモジュール内に入れられたデータの管理分野に関する。
【背景技術】
【0002】
リムに取り付けられたタイヤは、一般にホイール(又は車輪)と呼ばれる取付け型組立体を形成する。ホイールは、自動車に取り付けられるようになっている。
【0003】
TPMS(Tyre Pressure Monitoring System:内圧警報装置)と呼ばれる技術を利用した手段の助けにより取付け型組立体の圧力をモニタする公知の手法が存在する。この技術では、リムは、1つ又は2つ以上のセンサを有するホイールモジュールを支持し、かかるセンサは、一般に、タイヤ圧力センサ及びタイヤに入っている空気の温度のセンサを含む。ホイールモジュールは、データ格納又は記憶装置を備えたマイクロコントローラを更に有し、マイクロコントローラは、特に、センサにより供給されるデータを処理することができる。
【0004】
ホイールモジュールは、無線周波数によりTPMSユニットと通信するようになっており、TPMSユニットは、一般に、取付け型組立体やこの組立体が取り付けられている自動車とは別体である。TPMSユニットは、ユーザインターフェース及びマイクロコントローラを含む。
【0005】
また、例えばタイヤを硬化させた後にパッチを結合することによってホイールモジュールをタイヤの表面に取り付ける公知のやり方が存在する。また、タイヤの製造中、パウチを提供し、ホイールモジュールを硬化後にこのパウチ内に挿入することが可能である。
【0006】
ホイールモジュール及びTPMSユニットは各々、これらが無線周波数により互いに通信することができるようワイヤレスネットワークモジュールを有する。一般に、TPMSユニットからホイールモジュールに向かう方向における通信は、低周波、例えば125kHzで行われ、ホイールモジュールからTPMSユニットへの方向における通信は、超高周波、例えば315MHz、433MHz又は868MHzで行われる。
【0007】
TPMSユニットは、一般に携帯可能であり、このTPMSユニットを用いるとホイールモジュールをパラメータ表示することができ、必要ならば、このホイールモジュールのセンサに由来する測定値を集めることができる。
【0008】
通常、ホイールモジュールは又、ホイールが取り付けられている車両に搭載された受信機と通信することができる。
【0009】
また、タイヤに関する識別データをタイヤに結合されたRFIDマーカに記憶させる公知の手法が存在する。このマーカは、一般に、識別データ及び必要ならば他のデータを記憶する記憶装置を備えているマイクロコントローラを形成するチップを含む。
【0010】
特に特開2006‐282091号公報に開示されているようにRFIDマーカとホイールモジュールを互いに通信させる公知のやり方が存在する。この目的のため、ホイールモジュールは、RFIDマーカに記憶されたデータを読み取る手段を備える。
【0011】
RFIDマーカを読み取る手段により、特にタイヤの識別に関するデータをホイールモジュールの記憶装置にダウンロードすることができる。かくして、ホイールモジュールは、このモジュールのセンサの測定値に関するデータをTPMSユニット又は車両に搭載されている受信機に伝送することができ、他方、これらデータをタイヤの識別データに関連させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006‐282091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、各ホイールモジュール及びかくして自動車の各ホイールにRFIDマーカを読み取る手段を装備することは比較的コストがかかる。これは、幾つかの車両、特に重量物運搬車両が非常に多くのホイールを有し、従って、非常に多くのホイールモジュールを有するからである。したがって、この種の車両では、ホイールモジュールに組み込まれた補足的機器、特にRFIDマーカ読取り機器が車両のホイールの本数だけ増える。RFIDマーカ読取り機器が増えることにより、車両のホイールの組と関連したコストが増大する。
【0014】
本発明の目的は、特に、ホイールモジュールがタイヤの識別と関連したデータと関連してこのモジュールのセンサの測定値に関するデータを伝送することができるようにすることにあり、タイヤの識別に関するデータは、当初、RFIDマーカに入れられ、この場合、RFIDマーカ読取り手段をモジュールに組み込む必要はない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的のため、本発明は、特に、タイヤ及びリムを含む組立体に関するデータを管理する方法であって、タイヤは、RFIDマーカを支持し、組立体は、少なくとも1つのセンサを含むホイールモジュールを支持し、組立体は、種々の状態でいることができ、特に、自動車に取り付けられるようになったホイールと呼ばれる取付け型組立体を形成するようタイヤがリムに取り付けられた取付け状態でいることができ、
‐取付け型組立体及び自動車とは別個であってデータ伝送手段を含む中間ユニットを介してデータをRFIDマーカとホイールモジュールとの間で伝送し、
‐RFIDデータと呼ばれるデータをホイールモジュール内に記憶させる、方法において、
センサは、タイヤの圧力センサであり、圧力センサによって検出された圧力が所定の圧力しきい値以下である場合、ホイールモジュール内に記憶されたRFIDデータを消去することを特徴とする方法を提案する。
【0016】
本発明の結果として、取付け型組立体やこの取付け型組立体を支持した自動車とは別体の単一の中間ユニットを用いて1台又は2台以上の車両のホイールに関し、RFIDマーカとホイールに取り付けられたホイールモジュールとの間におけるデータ伝送を管理することができる。
【0017】
単一中間ユニットは、TPMSユニット及びRFIDマーカ読取り装置に通常見受けられる機能の全てを備えることができる。かくして、中間ユニットは、RFIDマーカ読取り手段を各ホイールモジュールに組み込む必要なく、データをRFIDマーカとホイールモジュールとの間で伝送することができる。
【0018】
また、本発明の結果として、ホイールモジュールは、モジュールセンサの測定値に関するデータをホイールモジュールに記憶されているRFIDデータに関連付ける1組のデータを適当な受信機に向かって伝送することができる。
【0019】
一般に、取付け型組立体は、取付け型組立体内の圧力が所定のしきい値を下回り、例えばゼロレベルに達したとき、保守作業、例えばタイヤ交換が行われるようになっている。ホイールモジュール内に記憶されているRFIDデータを消去することによって、ホイールから取り外されたタイヤに対応した期限切れRFIDデータをこのモジュール内に保持するのを回避することが可能である。
【0020】
データを管理するこの方法の他のオプションとしての特徴を以下に示す。
【0021】
タイヤ及びリムを含む組立体が所定の状態にあるとき、例えば、取付け中の状態、取付け後の状態、タイヤがインフレートされた取付け状態又はタイヤがデフレートされた取付け状態にあるときに、データをRFIDマーカとホイールモジュールとの間で伝送する。
【0022】
タイヤ及びリムを含む組立体の幾つかの状態、例えば、取付け中の状態又はタイヤをデフレートさせた取付け状態は、この組立体が組立体の取付け又は保守のための所定の場所に配置されることを示唆している。データをRFIDマーカとこの場所に存在するホイールモジュールとの間でデータを伝送する中間ユニットを提供することが有用であり、従って、タイヤ及びリムを含む組立体が中間ユニットを備えた所定の場所へのその存在に対応した所定の状態にあるときにRFIDデータを伝送するのが適切である。
【0023】
ホイールモジュールがタイヤの少なくとも1つの圧力センサを有すると仮定すると、RFIDマーカのデータは、
‐タイヤ及びリムを含む組立体が所定の取付け状態にある場合、及び
‐ホイールモジュール内に記憶されているRFIDデータが存在しない場合にホイールモジュールに向かって伝送されるべきである。
【0024】
データ伝送要求は、ホイールモジュールセンサにより供給されるデータをRFIDデータとできるだけ早く関連付けることができるようにするようオペレータによるか自動的によるかのいずれかによって行われるのが良い。
【0025】
データをRFIDマーカからホイールモジュールに向かって伝送し、中間ユニットによって供給される補足的データ、例えばタイヤに対して行われた保守作業に関するデータをデータ伝送中にこれらRFIDデータに追加する。
【0026】
タイヤ及びリムを含む組立体が保守作業のための所定の場所にある状態でデータがRFIDマーカからホイールモジュールに向かって伝送される可能性が多分にあるので、保守作業に関連した補足的データ、例えばタイヤ脱型作業の実行の指標を伝送するようこのデータ伝送を利用することが適切である。
【0027】
本発明は又、データ送信ユニットにおいて、データ送信ユニットは、本発明の方法によるデータ送信のための中間ユニットを形成していることを特徴とするデータ伝送ユニットを提案する。
【0028】
データ伝送ユニットの他のオプションとしての特徴によれば、
‐ユニットは、
‐中間ユニットとRFIDマーカとの間及び中間ユニットとホイールモジュールとの間にワイヤレス通信ネットワークを構築する手段と、
‐マイクロコントローラを形成する手段と、
‐ユーザインターフェースを形成する手段とを有し、
‐ユニットは、
‐ホイールモジュール及びRFIDマーカとそれぞれ関連した第1のユニット及び第2のユニットと、
‐第1のユニットと第2のユニットとの間に通信ネットワークを構築する手段と、
‐ワイヤレスネットワーク構築手段は、第1のユニット内に配置されていて、ホイールモジュールと通信するようになった第1のワイヤレスネットワークモジュールと、第2のユニット内に配置されていて、RFIDマーカと通信するようになった第2のワイヤレスネットワークモジュールとを含み、
‐マイクロコントローラを形成する手段は、第1のユニット及び第2のユニット内にそれぞれ配置された第1のマイクロコントローラ及び第2のマイクロコントローラを含み、
‐ユーザインターフェースを形成する手段は、第1のユニット及び第2のユニット内にそれぞれ配置された第1のインターフェース及び第2のインターフェースを含み、
‐第1のユニットと第2のユニットとの間に通信ネットワークを構築する手段は、シリアルワイヤード形式のものであり、
‐ユニットは、携帯可能な組立体を形成する。
データ伝送ユニット。
【0029】
本発明は又、タイヤをリムに取り付ける装置において、この装置は、本発明のデータ伝送ユニットを支持していることを特徴とする装置を提案する。
【0030】
タイヤ及びリムを含む組立体が取付け中の状態又は取付け直後の状態にあるときにデータがRFIDマーカからホイールモジュールに向かって伝送される可能性が多分にあるので、データ伝送手段を含む中間ユニットをリムへのタイヤの取付け装置内に組み込むことが適切な場合がある。この場合、中間ユニットは、固定ユニットになる。
【0031】
本発明は、特に、自家用車、SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)、二輪車(特にモーターサイクル)、航空機及びバン、重車両(即ち、軽軌道車両、バス、路上運搬車両、例えばローリ、トラクタ、トレーラ)及びオフロード車、例えば農業車両又は土木車両並びに他の輸送車両又は保守車両に関する。
【0032】
本発明は、例示として提供されているに過ぎず、図面を参照して行われる以下の説明から明確に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明のデータ管理方法を利用することができる本発明のデータ伝送ユニットを含む1組のデータ管理手段の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
タイヤ12及びリム14を含む組立体10が単一の図である図1に示されている。
【0035】
組立体10は、種々の状態でいることができ、特に、図示のように取付け状態でいることができる。この状態では、タイヤ12は、ホイール(又は車輪)とも呼ばれている取付け型組立体を形成するようリム14に取り付けられている。取付け型組立体は、自動車に取り付けられるようになっている。
【0036】
組立体10は、公知の仕方でタイヤ12に結合されたRFIDマーカ16を更に含む。このマーカ16は、記憶装置20を備えたマイクロコントローラを形成するチップ18を含む。この記憶装置20は、タイヤ12に関する識別データ及び必要ならば問題のタイヤ12に関連した他のデータを含むRFIDデータと呼ばれるデータを記憶するようになっている。
【0037】
リムは、1つ又は2つ以上のセンサを有するホイールモジュール22を支持し、例えば、図示のように、ホイールモジュールは、タイヤの圧力センサP及びタイヤ内の加圧空気の温度のセンサTを有する。
【0038】
ホイールモジュール22は、データ記憶装置26を備えたマイクロコントローラ24を更に有する。
【0039】
また、中間ユニット28が図示されており、この中間ユニットは、取付け型組立体10やこの組立体10を支持するようになった自動車とは別体であり、この中間ユニットは、データ伝送手段を含む。
【0040】
図示の例では、中間ユニット28は、タイヤ12をリム14に取り付ける従来型装置30によって支持されている。
【0041】
変形例では、中間ユニット28は、携帯可能な組立体を形成しても良い。
【0042】
中間ユニット28は、図示の例では、ホイールモジュール22及びRFIDマーカ16とそれぞれ関連した第1のユニット32及び第2のユニット34を含む。
【0043】
第1のユニット32は、ユーザインターフェース36及びマイクロコントローラ38を含むTPMSユニットである。TPMSユニット32は、無線周波数によりホイールモジュール22と通信するようになっている。この目的のため、ホイールモジュール22は、ワイヤレスネットワークモジュール40を有する。同様に、TPMSユニットは、ワイヤレスネットワークモジュール42を含む。一般に、ホイールモジュール22とTPMSユニット32との間の通信は、通信方向に応じて種々の周波数で行われる。かくして、一般に、TPMSユニット32からホイールモジュール22に向かう方向における通信は、低周波、例えば125kHzで行われ、ホイールモジュール22からTPMSユニットへの方向における通信は、超高周波、例えば315MHz、433MHz又は868MHzで行われる。
【0044】
第2のユニット34は、ユーザインターフェース44及びマイクロコントローラ46を含むRFIDユニットを形成する。RFIDユニットは、PDA(携帯情報端末)を含むのが良い。
【0045】
RFIDマーカ16及びRFIDユニット34は、無線周波数により互いに通信するようになっている。この目的のため、RFIDマーカ16は、ワイヤレスネットワークモジュール48を含む。同様に、RFIDユニット34は、ワイヤレスネットワークモジュール50を含む。
【0046】
一般に、RFIDマーカ16とRFIDユニット34との間の通信は、超高周波で行われる。
【0047】
かくして、ワイヤレスネットワークモジュール40,42,48,50は、一方において中間ユニット28とRFIDマーカ16との間及び他方において中間ユニット28とホイールモジュール22との間におけるワイヤレス通信のための手段を形成している。
【0048】
加うるに、マイクロコントローラ38,46は、組合せ状態で、中間ユニット28のマイクロコントローラを形成する手段となり、ユーザインターフェース36,44は、組合せ状態で、中間ユニット28のユーザインターフェースを形成する手段となっている。
【0049】
かくして、変形例では、ワイヤレス通信ネットワークを形成する手段、マイクロコントローラを形成する手段及び中間ユニット28のユーザインターフェースを形成する手段を図示の実施例の場合のようにTPMSユニット32とRFIDユニット34との間に分散して配置するのではなく、対立ユニットの状態に組み合わせても良い。
【0050】
中間ユニット28は、TPMSユニット32とRFIDユニット34との間の通信ネットワークを形成する手段を更に含む。図示の実施例では、これら手段は、TPMSユニット28内に配置されたワイヤードネットワークモジュール52及びRFIDユニット34内に配置されたワイヤードネットワークモジュール54を含む。ネットワークモジュール52,54は、シリアル接続手段56、例えばUSB(ユニバーサル・シリアス・バス)又はRS232接続手段によって総合接続されている。変形例では、TPMSユニット32とRFIDユニット34との間の通信ネットワークを形成する手段は、ワイヤレスタイプのものであっても良い。
【0051】
図面は又、車両に搭載されても良く又は車両とは別体であっても良い端末装置58を示している。端末装置58は、好ましくは、データベース60を備えている。
【0052】
ホイールモジュール22は、例えば車両に搭載された中間端末装置62を介して端末装置58と通信するようになっている。この中間端末装置62は、必要ならば、車両の互いに異なるホイールにより支持された複数個のホイールモジュールからデータを受け取ることができる。
【0053】
中間端末装置62は、例えば、RCU(レシーバ・コントロール・ユニット)タイプのものである。
【0054】
かくして、ホイールモジュール22のネットワークモジュール40は、無線周波数により中間端末装置62と通信するようになっている。図示の例では、中間端末装置62は、シリアルワイヤードネットワーク、例えばCAN(コントローラ・エリア・ネットワーク)バス64によって端末装置58及び特にデータベース60と通信するようになっている。
【0055】
変形例では、中間端末装置62と端末装置58、具体的に言えばデータベース60との間の通信は、GPRS(汎用パケット無線サービス)タイプのワイヤレスネットワークにより行われても良い。
【0056】
ホイールモジュール22と端末装置58との間のデータ交換は、定期的に行われても良く又は1回限りの要求に応答して行われても良い。
【0057】
中間ユニット28を用いると、以下の管理方法に従ってRFIDマーカ16を支持したタイヤ12及びホイールモジュール22を支持したリム14を含む組立体10に関するデータを管理することができる。本発明に関連したこの方法のステップを以下に示す。
【0058】
この方法によれば、中間ユニット28を介してデータをRFIDマーカ16とホイールモジュール22との間で伝送する。
【0059】
好ましくは、RFIDマーカ16とホイールモジュール22との間のこのデータ伝送は、組立体10が所定の状態、例えば取付け中の状態、取付け後(特に、最初の取付け後)の状態、タイヤをインフレートさせた取付け状態又はタイヤをデフレートさせた取付け状態にあるときに行われる。
【0060】
また、好ましくは、
‐組立体10が所定の取付け状態にある場合、及び
‐ホイールモジュール22内に記憶されているRFIDデータが存在しない場合にRFIDマーカからホイールモジュールに向かうデータの伝送を要求する措置が取られる。
【0061】
かくして、好ましい手順は、次の通りである。
【0062】
まず最初に、オペレータは、タイヤ12をリム14に取り付けてタイヤをインフレートさせる。すると、組立体10は、タイヤをインフレートさせた取付け状態にある。
【0063】
その後、組立体10のこの状態で、例えば、端末装置58を介するオペレータの要求時又はホイールモジュール22の記憶装置26内に記憶されたRFIDデータが存在しないということを検出したホイールモジュール22の自動要求に応答して、RFIDユニット34は、RFIDマーカ16の記憶装置20内に記憶されているデータを読み取り、次に、かかるデータをTPMSユニット32に伝送する。次に、このユニット32は、RFIDデータをホイールモジュール22に伝送してこれらRFIDデータをこのモジュール22の記憶装置26内に記憶させる。
【0064】
かくして、RFIDマーカ16からホイールモジュール22に向かって伝送されたデータは、ホイールモジュール22内に又はより具体的に言えばこのモジュールの記憶装置26内に記憶される。
【0065】
必要ならば、TPMSユニット32がRFIDデータをホイールモジュール22に向かって伝送するとき、TPMSユニット32は、TPMSユニット32又はRFIDユニット34により供給される補足的データ、例えばタイヤ12をリム14に取り付ける前にタイヤ12について実施された保守作業に関するデータをこれらRFIDデータに追加する。
【0066】
RFIDデータをホイールモジュールの記憶装置26内に記憶させた後、組立体10を例えば端末装置58及び中間端末装置62を搭載した車両に取り付けるのが良い。すると、ホイール組立体22は、センサP,Tに関するデータを記憶装置26内に記憶されているRFIDデータに関連付ける1組のデータを中間端末装置62及び端末装置58に向かって伝送することができる。かくして、データベース60は、センサの測定値を、タイヤ12を識別することができるRFIDデータに関連付けることができる。
【0067】
圧力センサPにより検出された圧力が所定のしきい値、一般に、ゼロ圧力に近いしきい値以下である場合、ホイールモジュール22内に記憶されているRFIDデータを例えば自動的に消去する。かくして、タイヤ12を交換する際、交換後のタイヤを必然的にデフレートさせ、従って、組立体10から除去されたタイヤに関するRFIDデータは、ホイールモジュール22の記憶装置26内には記憶されていない。
図1