(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吹き付けられる液体冷却剤の流量を制御するステップは、前記未硬化繊維パックの測定厚さが目標厚さよりも大きい場合、前記液体冷却剤の流量を減少させるステップを含む、請求項1に記載の繊維製品を製造する方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、鉱物繊維断熱製品の製造にあたって成形フード領域中に導入される水分の量をモニタすると共に制御して製品が向上した特性を有するようにする装置、システム及び方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の観点では、本発明は、繊維製品を製造する方法であって、
縦方向に動いているコンベヤと関連した複数個の繊維化ユニットのところで溶融材料を細くして繊維の状態にし、該繊維をコンベヤの方へ差し向けて繊維パックを形成するステップを含み、
繊維に気化可能な液体冷却剤及びオプションとして結合剤希釈液と混合された硬化可能な結合剤の分散液を吹き付けるステップと、
パック中の結合剤を硬化させるステップとを含み、
吹き付けられる気化可能な液体冷却剤は、オプションとしての結合剤希釈液を含む全吹き付け液体の量の百分率として、組み合わせた繊維化ユニットの全てについて平均で約35%〜約80%である、方法に関する。
【0012】
第2の観点では、本発明は、繊維製品の製造の際にランプ高さとランプ水分の比を向上させる方法であって、この方法は、
縦方向に動いているコンベヤと関連した複数個の繊維化ユニットのところで溶融材料を細くして繊維の状態にし、かかる繊維をコンベヤの方へ差し向けて繊維パックを形成するステップを含み、
繊維に気化可能な液体冷却剤及びオプションとして結合剤希釈液と混合された硬化可能な結合剤の分散液を吹き付けるステップと、
パック中の結合剤を硬化させるステップとを含み、
ランプ高さとランプ水分の比は、結合剤分散液と比較して液体冷却剤又は結合剤希釈液を優先して犠牲的に吹き付けることによって増大する、方法に関する。
【0013】
上述の本発明の両方の観点において、吹き付けられる気化可能な液体冷却剤は、オプションとしての結合剤希釈液を含む全吹き付け液体の量の百分率として、組み合わせた繊維化ユニットの全てについて平均で少なくとも35%、一般に約35%〜約80%である。幾つかの実施形態では、液体冷却剤は、全液体量の百分率として、平均で約40%〜約80%であり、更に別の実施形態では、液体冷却剤は、全液体量の百分率として、平均で約45%〜約60%である。全水量に対する冷却剤としての水のこの比較的高い割合は、冷却剤としての水の「犠牲的」又は「優先的」使用と呼ばれる場合がある。というのは、冷却剤としての水の使用は、繊維のベール及び周囲環境を冷却する手段として、結合剤としての水と比較して優先して使用されるからである。
【0014】
液体冷却剤の流量は、全ての繊維化ユニットのところで実質的に一定であるのが良く、かかる流量は、依然としてこの高い「犠牲」割合を含む。変形例として、液体冷却剤の流量は、後に位置するユニットのところよりも最初のあたりの繊維化ユニットのところの方が50%、75%又は100%高くても良い。流量は又、繊維化ユニット全体にわたってプロファイリングされても良く又は可変であっても良い。例えば、液体冷却剤の流量は、最初のあたりの繊維化ユニットと最後のあたりの繊維化ユニットのところで25%又は50%高くても良く、中間のあたりの繊維化ユニットのところでは低くても良く、それにより計画された流量に「スマイル(smile )」が生じる。他の実施形態では、液体冷却剤の流量は、最初のあたりの繊維化ユニットのところでは10%以上低い場合があり、次にその後のユニットのところでは実質的に一定である場合がある。
【0015】
多くの実施形態では、繊維に送り出される液体のうちの少なくとも1つは、噴霧化ノズル、例えば空気噴霧化又はLP噴霧化ノズルを通って送り出される。かかる場合、液体冷却剤の噴霧化度は、1つの繊維化ユニットと少なくとも1つの他の繊維化ユニットとの間ではばらつきを生じる場合があり、噴霧化度は、噴霧化用ガスの流量若しくは圧力を変えることにより又は液体冷却剤の流量又は圧力を変えることにより変更可能である。
【0016】
別の観点では、本発明は、繊維スピナから押し出されている繊維鉱物材料のベール中に液体を小出しする装置であって、第1のアレイ状に配置された複数個の上側スプレーノズルを含み、上側スプレーノズルは、液体源に流体結合され、上側ノズルは、液体をベール中に小出しするオリフィスを有し、第2のアレイ状に配置された複数個の下側スプレーノズルを含み、下側ノズルは、液体源に流体結合され、下側ノズルは、液体をベール中に小出しするオリフィスを有し、第1のアレイと第2のアレイは、ベール軸線に沿って互いに間隔を置いて配置され、各アレイに属するノズルは、ベールに向かって内方に差し向けられていることを特徴とする装置を提供する。
【0017】
上側及び下側アレイのうちの一方又はこれら両方は、円形又は環状リングであるのが良く、ノズルがこのリング上に設けられる。このスプレーノズルは、同一形式のものであっても良く或いは別の形式のものであっても良く、例えば、狭角「パンチ」スプレー又は広角分散スプレーであって良い。さらに、ノズルは、同一又は異なる角度でベール中に差し向け可能であり、例えば、上側ノズルは、水平に対し(又はベール軸線に対し)下側ノズルの角度よりも小さい角度(又は大きい角度)をなして配置されるのが良い。上側及び下側ノズルから小出しされた液体を他の流体と混合するのが良い。例えば、上側及び下側アレイのうちのいずれか一方又は両方のノズルを圧縮ガス源に連結するのが良く、圧縮ガス源は、液滴がベール中に小出しされているときに液滴を噴霧化することができる。
【0018】
一実施形態では、スプレー装置は、互いに間隔を置いて設けられた2つの実質的に同軸の管状リングを有し、リングの各々は、入口を介して液体源に連結されると共に出口を介して液体をベール中に小出しするオリフィスを備えた複数個のノズルに連結された内部を有する。幾つかの実施形態では、ノズルのうちの少なくとも幾つか、代表的にはノズル全ては、下方に差し向けられたスプレー軌道を提供するようノズルが取り付けられているリングによって定められた平面に対して下方に角度をなして設けられている。ただし、一リング上のノズルの下向き角度は、第2のリング上のノズルの角度とは異なっていても良い。加うるに、ノズルの中には狭角又は「パンチ」スプレーとして構成されるのが良いものがあれば広角スプレーであるのが良いものがある。幾つかの実施形態では、最初の2つのリングから小出しされた液体を噴霧化するために圧縮流体、例えば空気を供給するために第3のリングを用いるのが良い。リングは、一般に、互いに間隔を置いて配置されると共に繊維ベールを包囲するほぼ平行な平面内に配置される。
【0019】
さらに別の観点では、本発明は、繊維製品を製造する方法であって、
縦方向に動いているコンベヤと関連した複数個の繊維化ユニットのところで溶融材料を細くして繊維の状態にし、かかる繊維をコンベヤの方へ差し向けて繊維パックを形成するステップを含み、
繊維に硬化可能な結合剤の分散液を吹き付けるステップを含み、結合剤分散液は、少なくとも1つの繊維化ユニットへの吹き付けを実施する前に結合剤濃縮物を希釈することにより結合剤希釈液と混合され、
パック中の結合剤を硬化させるステップを含むことを特徴とする方法に関する。
【0020】
この観点では、結合剤濃縮物は、1つの繊維化ユニットのところで第1の希釈濃度に希釈可能であり、そして第2の別の繊維化ユニットのところで第1の希釈濃度には等しくない第2の希釈濃度に希釈可能である。結合剤濃縮物は、第3の又は次の繊維化ユニットのところで第1又は第2の希釈濃度に等しくない第3の(又は次の)希釈濃度に希釈可能である。換言すると、希釈プロフィールは、任意の1つの繊維化ユニットと任意他の繊維化ユニットとでは異なっている場合がある。プロフィールは、目的に応じて希釈の増大、希釈の減少又は希釈の増大と減少の両方を行うことができ、即ち、第1の希釈濃度は、第2の希釈濃度よりも希釈度が小さい場合があり又はその逆の関係が成り立つ。希釈プロフィールは、次第に変化しても良く、或いは段階的に迅速に変化しても良い。希釈プロフィールは、各繊維化ユニットのところで提供される希釈液の量にのみ影響を及ぼすことができ、結合剤固形物の量には影響を及ぼさない。かくして、各繊維化ユニットに送り出される結合剤化学物質の量は、依然として実質的に等しいと言え、或いは、これを異なるようにしても良い。幾つかの実施形態では、結合剤希釈液の流量は、最初の方の繊維化ユニットのところでは次の繊維化ユニットのところよりも100%以上高く、幾つかの実施形態では、結合剤希釈液の流量は、最初の方の及び最後の方の繊維化ユニットのところでは50%以上高く、中間の繊維化ユニットのところでは低く、更に別の実施形態では、結合剤希釈液の流量は、最初の方の繊維化ユニットのところでは20%低く、次に、その後のユニットのところでは実質的に一定である。幾つかの実施形態では、結合剤分散液は、液体を噴霧化することにより或いは任意の個々の繊維化装置のところで空気噴霧化を行うことによって吹き付けられる。
【0021】
さらに別の観点では、本発明は、繊維製品を製造するのに有用な流体制御システムであって、
縦方向に動くことができるコンベヤと関連した複数個の繊維化ユニットを含み、各繊維化ユニットは、(a)溶融材料源から繊維を形成するようになった繊維化装置、(b)繊維パックを形成するために繊維をコンベヤの方へ差し向けるブロワ及び(c)液体源に連結されていて、繊維に液体を吹き付ける液体小出システムを含み、
1つの繊維化ユニットの液体小出システムにより別の繊維化ユニットの液体小出システムに送り出される液体の流量とは別個独立に送り出される液体の流量を設定する複数個の制御弁を含み、
少なくとも1つの液体小出システムは、液体冷却剤を送り出すシステム、結合剤分散液を送り出すシステム、結合剤希釈液を送り出すシステム又はこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする流体制御システムに関する。
【0022】
本発明の流体制御システムは、第1及び第2の液体源にそれぞれ連結されていて、繊維に液体を吹き付ける少なくとも第1及び第2の液体小出システムを含むのが良く、各液体小出システムは、1つの繊維化ユニットの液体小出システムにより別の繊維化ユニットの液体小出システムに送り出される液体の流量とは別個独立に送り出される液体の流量を設定する別個の組をなす複数個の制御弁を有する。第1及び第2の液体小出システムは、例えば、液体冷却剤及び結合剤分散液のための小出システムであるのが良い。変形例として、第1及び第2の液体は、結合剤希釈液及び結合剤濃縮物分散液であるのが良い。各装置は、2個〜約15個の繊維化ユニットを有するのが良く、各繊維化ユニットは、複数個の制御弁を介して別々の流体制御システムに連結された少なくとも第1及び第2の液体小出システムを有する。幾つかの実施形態では、装置は、繊維化ユニットの各々への各液体の流量をモニタする計器を更に有する。幾つかの実施形態では、装置は、各繊維化ユニットのところに設けられていて、液体を繊維上に小出しする複数個のノズルを更に有する。かかるノズルは、オプションとして、液体が小出しされているときに液体それ自体か第2の噴霧用流体、例えば空気を用いて噴霧化するようになっているのが良い。
【0023】
さらに別の観点では、本発明は、繊維製品を製造する方法であって、
縦方向に動いているコンベヤと関連した複数個の繊維化ユニットのところで溶融材料を細くして繊維の状態にし、かかる繊維をコンベヤの方へ差し向けて繊維パックを形成するステップを含み、
繊維にホルムアルデヒドの入っていない硬化可能な結合剤の分散液を吹き付けるステップを含み、結合剤送り出し量は、一繊維化ユニットと別の繊維化ユニットでは異なっており、
パック中の結合剤を硬化させるステップを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0024】
さらに別の観点では、本発明は、ガラス繊維断熱製品の剛性(剛さ又はスチフネス)、縦方向重量分布又は表面品質を向上させる方法であって、
縦方向に動いているコンベヤ上に直列に配置された複数個の成形ユニットのところで溶融ガラスを細くして繊維の状態にし、これら繊維をコンベヤの方へ差し向けて繊維パックを形成するステップを含み、
繊維にホルムアルデヒドの入っていない硬化可能な結合剤の分散液を吹き付けるステップを含み、結合剤送り出し量は、一繊維化ユニットと別の繊維化ユニットでは異なっており、
パック中の結合剤を硬化させるステップを含み、ガラス繊維断熱製品は、結合剤送り出し量が全ての繊維化ユニットのところで一定であるプロセスで製造されたガラス繊維断熱製品と比較して向上した剛性、縦方向重量分布又は表面品質から選択された少なくとも1つの特性を有することを特徴とする方法を提供する。
【0025】
後の2つの観点の実施形態では、第1の繊維化ユニットのところの結合剤の送り出し量は、第2の異なる繊維化ユニットのところの結合剤の送り出し量とは異なっているのが良く、この場合、2つの繊維化ユニットのところで送り出される液体の全量は変わらない。結合剤(先の観点における結合剤希釈液とは対照的に)の送り出し量は、複数個の繊維化ユニットを横切って次第に変化していても良く、それにより最初の繊維化ユニットから最後の繊維化ユニットまで結合剤送り出し量を次第に変化させ又は結合剤の送り出し量を複数個の繊維化ユニットを横切って小刻みに変化させても良く、それにより最初の繊維化ユニットから最後の繊維化ユニットまで結合剤送り出し量の段階的変化を生じさせる。いずれの観点においても、最初の繊維化ユニットのところの結合剤の送り出し量を最後の繊維化ユニットの結合剤送り出し量に対して減少させるのが良く、或いは、結合剤送り出し量は、最初の繊維化ユニットのところよりも最後の繊維化ユニットのところのほうが高くても良い。幾つかの実施形態では、結合剤の送り出し量は、中間繊維化ユニットのところよりも最後の繊維化ユニットのところの方が高く、しかも最初の繊維化ユニットのところよりも中間繊維化ユニットのところのほうが高い。第2の上述の観点では、結合剤の送り出し量は、一般に、最初の繊維化ユニットから次の繊維化ユニットまで結合剤送り出し量を増大させるよう変化しているが、増大は、漸次であっても段階的であっても良い。
【0026】
後の2つの観点では、結合剤分散液は、空気噴霧化スプレー若しくは液体噴霧化スプレー又はこれら両方によって送り出し可能である。幾つかの実施形態では、結合剤分散液は、結合剤希釈液で希釈された結合剤濃縮物として送り出し可能であり、この場合、結合剤は、水の全送り出し量を変えないで分布状態の量で送り出し可能である。
【0027】
さらに別の観点では、本発明は、繊維製品を製造する方法であって、
縦方向に動いているコンベヤと関連した複数個の繊維化ユニットのところで溶融ガラスを細くして繊維の状態にし、かかる繊維をコンベヤの方へ差し向けて繊維パックを形成するステップを含み、
繊維にホルムアルデヒドの入っていない硬化可能な結合剤分散液の噴霧化流を吹き付けるステップを含み、噴霧化は、結合剤流を液滴の状態にばらばらにし、液滴の平均サイズは、一繊維化ユニットと別の繊維化ユニットでは異なっており、
パック中の結合剤を硬化させるステップを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0028】
さらに別の観点では、繊維製品を製造する製造プロセスの下流側空気コンポーネントの腐食を減少させる方法に関し、製造プロセスは、縦方向に動いているコンベヤと関連した複数個の繊維化ユニットのところで溶融材料を細くして繊維の状態にし、吸引ファンを含む下流側空気コンポーネントにより生じた負圧を用いて繊維をコンベヤ上に差し向けて繊維パックを形成するステップと、繊維にホルムアルデヒドの入っていない硬化可能な結合剤分散液の噴霧化流を吹き付けるステップと、パック中の結合剤を硬化させるステップとを含み、本発明の方法は、一繊維化ユニットのところで結合剤分散液の流れを別の繊維化ユニットのところで噴霧化された平均液滴サイズとは異なる平均液滴サイズに噴霧化するステップを含む。
【0029】
上述の後の2つの観点では、結合剤分散液の流量又は圧力のうちの少なくとも一方を変化させることにより若しくは結合剤分散液に差し向けられた噴霧化ガスの流量又は圧力のうちの少なくとも一方を変化させることにより或いはこれら4つの技術の組み合わせを用いることによって結合剤分散液の平均液滴サイズを変化させることができる。いくつかの実施形態では、平均液滴サイズは、最初の繊維化ユニットのところの方が次の繊維化ユニットのところよりも大きい。繊維化ユニットの個数は、一製造ラインと別の製造ラインとでは大幅に異なっていても良いが、最初の方の繊維化ユニットは、少なくとも1つ〜2つのユニット、オプションとして1つ〜4つのユニットを含むのが良い。多くの実施形態では、ホルムアルデヒドの入っていない硬化可能な結合剤は、酸性結合剤、例えば、炭水化物及び酸性架橋剤を含むポリアクリル酸結合剤又は天然若しくは「バイオ」結合剤である。
【0030】
さらに別の観点では、本発明は、繊維製品を製造する方法であって、(a)周囲温度及び(b)周囲湿度のうちの少なくとも一方を測定してモデル入力測定値を得るステップと、
縦方向に動いているコンベヤ上に直列に配置された複数個の成形ユニットのところで溶融ガラスを細くして繊維の状態にし、これら繊維をコンベヤの方へ差し向けて繊維パックを形成するステップを含み、
繊維に気化可能な液体冷却剤、結合剤希釈液、硬化可能な結合剤の分散液及びこれらの混合物から選択された少なくとも1つの液体を吹き付けるステップを含み、繊維に吹き付けられる少なくとも1つの液体の流量は、モデル入力測定値に応答して制御され、
パック中の結合剤を硬化させるステップを含むことを特徴とする方法に関する。
【0031】
この方法では、少なくとも1つの液体の流量を制御するステップは、液体冷却剤の流量、結合剤希釈液の流量、結合剤分散液の流量又はこれらの任意の組み合わせを調節するステップを含むのが良い。上述したように、モデル入力測定は、周囲温度若しくは周囲湿度又はこれら両方を測定するステップを含むのが良い。温度を測定する場合、少なくとも1つの液体の流量を制御するステップは、(a)高い周囲温度を信号で知らせるモデル入力に応答して液体の流量を増大させるステップ及び(b)低い周囲温度を信号で知らせるモデル入力に応答して液体の流量を減少させるステップのうちの一方又は両方を含むのが良い。湿度を測定する場合、少なくとも1つの液体の流量を制御するステップは、(a)低い周囲湿度を信号で知らせるモデル入力に応答して液体の流量を増大させるステップ及び(b)高い周囲湿度を信号で知らせるモデル入力に応答して液体の流量を減少させるステップのうちの一方又は両方を含むのが良い。
【0032】
さらに別の観点では、本発明は、上述の方法を利用した繊維製品を製造する製造システムであって、
縦方向に動くことができるコンベヤと関連した複数個の繊維化ユニットを含み、各繊維化ユニットは、(a)溶融材料源から繊維を形成するようになった繊維化装置、(b)繊維パックを形成するために繊維をコンベヤの方へ差し向けるブロワ及び(c)繊維に液体冷却剤、結合剤希釈液、硬化可能な結合剤の分散液及びこれらの混合物から選択された液体を吹き付ける液体小出システムを含み、
(a)周囲温度及び(b)周囲湿度のうちの少なくとも一方を測定してモデル入力測定値を得るためのセンサを含み、モデル入力測定値に相関した信号に応答して、少なくとも1つの繊維化ユニットのところで送り出された少なくとも1つの液体の流量を変化させる流体制御システムを含み、繊維化ユニットから見て下流側に配置されていて、パック中の結合剤を硬化させるオーブンを含むことを特徴とする製造システムに関する。
【0033】
製造システムは、モデル入力測定値を記憶された目標値と比較し、比較結果に応答して信号を発生させる比較器又はプロセッサ、例えばコンピュータを更に含むのが良い。例えば、比較器は、目標値からの逸脱の大きさ及び方向を伝える信号を発生させるのが良く、かくしてプロセスの制御のための良好な指針が提供される。このシステムの幾つかの実施形態では、流体制御システムは、繊維化ユニットの各々の冷却剤小出システムに送り出された液体冷却剤の流量を別個独立に設定する複数個の制御弁を更に含む。このシステムは、複数個の繊維化ユニットの各々への液体冷却剤の別個独立の流量をモニタする複数個の計器を更に含むのが良い。また、結合剤分散液、結合剤希釈液の流量を別個独立に設定し、空気若しくは他の流体又は上述の流体のうちの任意のもの若しくは全てを噴霧化する同様な計器及び制御弁が設けられるのが良い。
【0034】
本発明の種々の観点は、添付の図面に照らして好ましい実施形態についての以下の詳細な説明を読むと当業者には明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0036】
別段の規定がなければ、本明細書で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本発明に関する当業者によって一般に理解されているのと同一の意味を有する。本明細書において説明する方法及び材料と同様又は均等な方法及び材料を本発明の実施又は検査に用いることができるが、本明細書においては好ましい方法及び材料について説明する。本明細書において言及する文献(特許文献及び非特許文献)を全て引用し、これらの各々の記載内容全体を本明細書の一部とし、かかる文献としては、本、雑誌、公開された米国又は外国特許出願公開明細書、発行された米国又は外国特許明細書及び任意他の文献が挙げられ、上述の記載内容全体は、引用された文献に提供されている全てのデータ、表、図及びテキストを含む。
【0037】
図中、線、層及び領域の厚さは、分かりやすくするために誇張されている場合がある。
【0038】
別段の指定がなければ、大きさの範囲を表すあらゆる数値、例えば角度、成分の量、特性、例えば分子量、反応条件、本明細書及び特許請求の範囲に用いられているその他の数値は、あらゆる場合において「約」という用語で修飾されたものとして理解されるべきである。したがって、別段の指定がなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された数値に関する特性は、本明細書の実施形態で得られるべき所望の特性に応じてばらつきがあって良い近似値である。本発明の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載された数値は、できるだけ正確に報告されている。しかしながら、全ての数値は、これらのそれぞれの測定値に見出される誤差に起因して必然的に生じる或る特定の誤差を本来的に含む。全ての数値範囲は、当該範囲の外側の境界内の考えられる全ての小刻みな小範囲を含むものと理解されるべきである。かくして、30度〜90度の範囲は、例えば、35度〜50度、45度〜85度及び40度〜80度等を開示している。
【0039】
「鉱物繊維」は、繊維の状態に引き出すことができ又は細くすることができる溶融鉱物を形成するよう溶解させることができる鉱物材料を意味している。ガラスは、繊維断熱目的向きの最も一般的に用いられている鉱物繊維であり、以下の説明は、主として、ガラス繊維に関するが、他の有用な鉱物繊維としては、岩石、スラグ及び玄武岩が挙げられる。
【0040】
「製品特性」は、断熱バットが備える一連の試験可能な物理的特性を意味している。これら製品特性としては、少なくとも以下の一般的な特性を含む場合がある。
・「回復」‐これは、バット又はブランケットが包装又は貯蔵中、圧縮からの解除に続き元の又は設計された厚さを再び取る能力である。これは、既知の又は意図された公称厚さの生成物の圧縮後高さを測定することによって又は他の適当な手段によって試験可能である。
・「剛性(剛さ)」又は「垂れ下がり」‐これは、バット又はブランケットが剛性のまま又は腰のある状態であってその線形形状を保持することができる能力を意味している。これは、一定長さ区分をてこの上に垂らし掛け、撓みの角度的広がり又は垂れ下がりを測定することによって測定される。低い値は、より剛性であり且つより望ましい製品特性であることを意味している。他の手段を用いることができる。
・「引張り強度」‐これは、繊維製品を2つに引き裂くのに必要な力を意味している。これは、典型的には、縦方向(MD)と幅又は横方向(“CD”又は「XMD」)の両方に測定される。
・「横方向重量分布」(LWD又は「クロスウェイト」)‐これは、製品のその幅全体を通じた相対一様性又は均質性である。これは、製品の密度の一様性と考えることも可能であり、これは、製品を長手方向に幅(及びサイズ)の等しいバンドの状態に切断してバンドを計量することにより、核密度計により又は他の適当な手段によって測定可能である。
・「縦方向重量分布」(VWD)‐これは、製品のその厚さ全体を通じた相対一様性又は均質性である。これは、製品の密度の一様性と考えることも可能であり、これは、製品を水平方向に厚さ(及びサイズ)の等しい層の状態に切断して層を計量することにより、核密度計により又は他の適当な手段によって測定可能である。
当然のことながら、最終製品の評価において他の製品特性をも使用できるが、上述の製品特性は、断熱製品の消費者にとって重要であることが分かっている特性である。
【0041】
別段の指定がなければ、「蒸気」と「水蒸気」は、気相の状態の冷却剤又は結合剤希釈液、代表的には水を意味するよう区別なく用いられる。
【0043】
図1は、フォアハース10、成形フードコンポーネント又は区分12、ランプ(傾斜路)コンベヤ区分14及び硬化オーブン16を含むガラス繊維断熱製品製造ラインを示している。炉(図示せず)からの溶融ガラスを流路又はチャネル18に通して複数個の繊維化ステーション又はユニット20に導き、これら繊維化ステーション又はユニットは、
図1に矢印19で示されているように縦方向に直列に配置されている。各繊維化ステーションのところではフローチャネル18に設けられた穴22により、溶融ガラスの流れ24がスピナ26中に流れることができ、スピナ26は、オプションとして、バーナ(図示せず)によって加熱されるのが良い。繊維化スピナ26は、高速でモータ30によってシャフト28回りに回転し、その結果、溶融ガラスがスピナ26の円周方向側壁に設けられた細かい穴を通過して一次繊維を形成するようになる。この実施形態ではスピナ26が繊維化ユニットとして示されているが、他形式の繊維化ユニットを本発明で用いることができるということは理解されよう。
【0044】
ブロワ32がガス流、代表的には空気を実質的に下向きの方向に差し向けてこれを繊維に当て、繊維を下方に方向転換し、そしてこれら繊維を細くして二次繊維にし、これら二次繊維は、下方に押し下げられるベール60を形成する。繊維は、機械式又は空気式「ラッパ(lapper)」(図示せず)によって幅方向に分布して配置され、最終的に多孔質コンベヤ64上に繊維層62が形成される。層62は、直列繊維化ユニットからの追加の繊維の堆積により質量を増し(そして典型的には厚さを増し)、かくして層が成形領域46を通って縦方向19に移動しているときに繊維「パック」66になる。
【0045】
1つ又は2つ以上の冷却リング34が液体冷却剤、例えば水をベール60に吹き付けてベール内の繊維を冷却する。当然のことながら、他の形態の冷却剤スプレーヤ又は吹き付け装置の使用が可能であるが、リングは、液体冷却剤を多数の方向及び角度からベール60全体にわたって繊維に送り出すという利点を有する。結合剤小出システムは、結合剤をベール60の繊維に吹き付ける結合剤スプレーヤ36を含む。例示の冷却剤スプレーリング及び結合剤スプレーリングがクーパー(Cooper)名義の米国特許出願公開第2008‐0156041(A1)号明細書に開示されている。かくして、各繊維化ユニット20は、スピナ26、ブロワ32、1つ又は2つ以上の冷却用液体スプレーヤ34及び1つ又は2つ以上の結合剤スプレーヤ36を有する。
図1は、3つのかかる繊維化ユニット20を示しているが、任意の数を使用することができる。断熱製品の場合、代表的には、1つのラインについて1つの成形フードコンポーネントに2個〜約15個のユニットが用いられる場合がある。
【0046】
上述の成形フードコンポーネントに加えて、「上流側空気コンポーネント」は、ブロワ32によって成形領域46に注入された空気を引き込むためにチェーン又はコンベヤ64に下に負圧を作ってこれを維持する主要な目的を有する。かくして、「下流側空気コンポーネント」は、コンベヤ64から見て下流側に位置していて、コンベヤ64それ自体を含む空気取り扱いシステムを含む。本明細書で用いられる「下流側」は、縦方向19ではなく空気流の方向を意味することに注目されたい。コンベヤ64は、多孔質であり、コンベヤ64は、2つのスクレーパ(又はスクレーパ)64A,64Bを更に含むのが良い。上側スクレーパ64Aは、縦方向19に走行し、1つ又は2つ以上のローラ68周りに旋回してスクレーパ64Bを下降させ、スクレーパ64Bは、別のローラ68周りに旋回し、それによりベルトが構成される。他の下流側空気コンポーネントがコンベヤチェーン64の上側スクレーパ64Aの下に見受けられる。この場合、1つ又は2つ以上の吸引ボックス70がダクト72を介してドロップアウトボックス74(
図5を参照)に連結されている。ドロップアウトボックス74は、粒子が空気流から落下してこれから分離することができるようにするよう空気流を減速させる粒子分離器の一形式であるに過ぎない。他の粒子分離器としては、サイクロン分離器、デミスタ等が挙げられる。さらに下流側において、成形ファンブロワ76及びそのハウジングは、最終的に、吸引ボックス70内に負圧を生じさせ、この負圧は、成形領域46に入った空気を除去するのを助け、それにより乱流が減少する。下流側空気コンポーネントは、別の管路、例えばファン又はブロワ(図示せず)、ドロップアウトボックス、分離器及び最終的な排出煙突に通じるダクト72を更に含む。
【0047】
コンベヤチェーン64がそのローラ68の周りに回転しているとき、未硬化パック66は、出口ローラ80の下から成形区分12を出て、下方に差し向けられる空気流及び負圧(オプションとして、図示していないパックリフトファンによって支援される)が存在していないので、パックは、その自然な非圧縮状態の高さ又は厚さを再び取ることができる。次の支持コンベヤ又は「ランプ」82が繊維パックをオーブン16に向かって且つ別の組の多孔質圧縮コンベヤ84相互間に導き、かかる多孔質圧縮コンベヤは、パックをオーブン16内での硬化のために所望の厚さに付形する。硬化したパック又は「ブランケット」(図示せず)は、オーブン16から出ると、切断及び包装ステップのために下流側に運ばれる。幾つかの製品に関し、ブランケットは、長手方向に多数のレーンに分割され、次に「バット」と呼ばれている短いセグメントに細断される。これらは、包装のために束にされ又は巻かれるのが良い。
【0048】
成形フード区分又はコンポーネント12は、少なくとも1つのフード壁40及びコンベヤチェーン64の互いに反対側に設けられた通常2つのかかるフード壁により更に画定され、それにより成形チャンバ又は領域46が構成されている。分かりやすくするために、
図1では、フード壁40は、一方の側にのみ(コンベヤチェーン64の後に)示され、左側端部の壁40の一部分は、ローラ46が見えるように除かれている。一般に、フード壁40の各々は、内方に差し向けられたスクレーパ及び外側スクレーパを有するループ又はベルトの形態をしている。内向きのスクレーパは、成形領域46の側壁を構成し、垂直ローラ42回りに回転することによって成形領域を通って動き、これに対し、外側スクレーパは、成形領域46の外側でループを閉じる。同様なベルト構造の端壁48(成形領域46の右側の端部のところに示された端壁)は、内方に向いたスクレーパ48A及び外方の戻りスクレーパ48Bで成形領域46を更に包囲している。しかしながら、
図1及び
図2に示されているように、端壁48のためのローラ50,80は、ローラ42と比較して横方向に差し向けられても良い。同様な端壁(図示せず)が成形領域46の左側端部に設けられていても良い。「成形フード壁」、「フード壁」及び「フードウォール」は、成形領域46を画定すると共に包囲する壁を意味するものとして本明細書では区別なく使用されている場合がある。
【0050】
結合剤の塗布に先立ってガラスベールを冷却する冷却水スプレーの使用が過去に記載され(これについては、例えば、ヘルビング(Helbing)に付与された米国特許第5,601,629号明細書を参照されたい)と共に成形作業プロセスにフィードバック機構を提供するランプ水分センサの使用も又記載されている(これについては、例えば、フリーマン等(Freeman et al.)に付与された米国特許第7,435,444号明細書を参照されたい)が、変数全て相互間の関係の厳密な分析が必要とされている状態のままである。
図2の一部分は、質量及びエネルギー収支モデル300を示しており、これは、繊維断熱材の製造において成形及び硬化作業に影響を及ぼす重要な変数又は要因のうちの幾つかを示している。
【0051】
ブロック310は、成形フード領域46及び成形作業のための幾つかの重要な入力及び出力を示している。上述したように、溶融ガラスは、繊維化ユニット20から入り、繊維化ユニットがこれら自体、繊維化装置冷却液により内部が冷却される。スピナ26を出た1次繊維は、代表的には残留酸素含有量によりモニタされ、必要に応じて調節される燃料‐リーン混合比で空気と混合された燃焼ガス燃料で加熱される。次に、これら1次繊維を細くしてブロワ32からの空気によって実質的に下方に差し向けられる。別の潜在的な空気流源は、上述の空気圧ラッパである。しかしながら、最も重要な空気流源(何オーダーかの違いで)は、吸引ボックス70により成形フード中に引き込まれる必須の同伴又は誘引周囲空気である。成形フード中に導入される全ての空気源は、関連温度及び湿度特性をもたらすが、この影響は、誘引周囲空気に関して最大である。成形フード領域46は又、スプレーヤ34から液体冷却剤の流れを受け入れると共にスプレーヤ36から結合剤を受け入れ、これは全て、成形領域のサイズ及びライン速度で決まる滞留時間の間に起こる。ブロック310の要因は、製造業者がこれら要因を制御することができる能力をほぼ表す群をなして列記されている。例えば、結合剤流量及び冷却剤流量を制御することは、滞留時間を制御することよりも容易であり、滞留時間を制御することは、燃焼パラメータ、ガラス又は空気流を制御することよりも容易であり、燃焼パラメータを制御することは、周囲温度及び湿度を制御することよりも容易である。
【0052】
結果として、未硬化繊維パック(
図2に符号312で示されている)は、ガラス繊維、結合剤、幾分かの空気スペース及び水分を含む。これら要因は、ブロック314で表された「ランプ高さ」、即ち未硬化パックが成形領域を出る際の未硬化パックの厚さ並びにランプ上のパックの水分特性を規定する。
【0053】
パックは、ブロック316で示されている硬化オーブンに入り、ライン速度及びオーブン長さで決まる滞留時間の間ここに留まり、高い温度の空気流を受け、それによりパック中の結合剤が硬化する。オーブンを出た最終製品又は「ブランケット」(
図2に符号318で示されている)は、本質的に水分を全く含んでおらず、ガラス、硬化結合剤及び空気から成る。ブランケットは、或る特定の測定可能な特徴を備え、これらのうちの幾つかがブロック324に列記されており、かかる特徴としては、厚さ又は「機械高さ」、硬化状態及びロフト回復、剛性/垂れ下がり及び縦方向重量密度(VWD)及び横方向重量密度(LWD)を含む密度一様性が挙げられ、これらについては全て上記において説明している。かくして、成形領域46に入った水分は、5つの潜在的な源から生じる。第1に、水は、以下に説明するように第1の水性分散液又は結合剤濃縮物を作るために用いられる。
結合剤濃縮物を水性「希釈液」で希釈したときに第2の水源が潜在的に入り、これについても以下において説明する。別個の液体冷却剤を吹き付けて繊維及びベール環境を冷却させるときに第3の水源が入る。第4の水分源が特に誘引空気の湿及び温度の局所条件から生じ、かかる局所条件は、天候パターン及び条件、付近の洗浄水並びに他の局所周囲パラメータで決まる場合がある。最後に、成形領域内の第4の水分源は、燃焼の生成物として生じた水である。パック中には幾分かの水分が必要であり、かかる水分は、成形フードを出た際にそのロフトを回復させることができる。しかしながら、繊維パック310を成形する際に用いられる水分が多ければ多いほど、乾燥・硬化オーブン316内でこれを除去するのに必要なエネルギーがそれだけ一層多くなり、従って、成形フード内の過剰な水分の使用は、一般に回避されている。
【0054】
周囲湿度に関し、湿度を測定するのには多くの手法があり、かかる測定手法の中には、絶対湿度又は比湿度を測定するものがあれば湿度比又は相対湿度を測定するものもある。加うるに、周知の湿り空気線図が利用可能であり、かかる湿り空気線図は、他の要因、例えば乾球温度、湿球温度、露点温度、エンタルピー、飽和温度及び比体積に基づいて湿度尺度(絶対か相対かのいずれか)を生じさせることができる。これら要因のうちの任意の2つが既知である状態で、モデルで有用な湿度尺度を決定することができる。「相対」又は「比」であると特定していない場合、モデル入力として本明細書で用いられる「周囲湿度」という用語は、上述の湿り空気要因のうちの任意のものを含む一般的な用語である。
【0055】
これら水分源のうちの幾つか又はそれどころかほとんどは、高温ガラス及び燃焼ガスによって成形フード中に持ち込まれた熱エネルギーをバランスさせ又は相殺するのに空気流量と共に利用されるのが良い。これは、結合剤粘度が十分に低いままでいるようにするうえで望ましく、これは、主として、その熱エネルギーを水又は水分の気化熱に転換することによって達成される。周囲条件(主として温度及び湿度)は、制御するのが困難な場合があるが、モデルの示唆するところによれば、周囲条件に関する情報を補償プロセス(
図2に矢印320で表されている)に用いることができる。他の要因が等しい場合、成形領域内の周囲湿度の増大又は周囲温度の減少は、蒸気圧を減少させ、それ故に蒸発のための駆動力を減少させ、それにより補償として必要な冷却剤湿分が少なくなる。これとは逆に、周囲湿度の減少又は周囲温度の増大は、蒸気圧を増大させ、それ故に蒸発のための駆動力を増大させ、それにより補償として必要な冷却剤水分が多くなる。上述したように、周囲水分及び燃焼水分とは別に、調節すべき他の3つの潜在的に制御可能な水分源(結合剤、結合剤希釈液及び冷却剤)が存在するが、以下に説明するように、液体冷却剤/水が最も効果的である。これら制御可能な水分源のうちの任意のものの初期レベルは、周囲条件の変化を補償するために設定可能であり又は調節可能である。
【0056】
依然として
図2を参照すると、繊維パック312の要因は、ランプ高さ314を規定する。この情報は、以下に更に説明するように成形フード46中に入力される水分を微調整するためのフィードバック情報(ライン322)として有用である。同様に、ブランケットのフィードバック尺度(ボックス324、例えば厚さ又は「機械高さ」、硬化状態及び/又は物理的性質)は、成形領域46及び/又はオーブン316に(フィードバック情報ライン328を経て)フィードバック情報(ライン326)を提供することができる。成形フード310の場合と同様、オーブン316の要因は、ほぼ逆の制御性順序で提供されており、即ち、オーブン温度及び空気流量は、ライン速度及びオーブン長さがいったん定められると、滞留時間よりも制御するのが容易である。最後に、最終製品フィードバック尺度、例えば「硬化不足」の硬化状態がオーブン温度又は空気流量の増大を示唆するフィードバック328を送るが、これらが既に最大容量の状態に拘束されている場合、オーブンは、フィードバック(ライン330)を成形フード領域に送って水分入力又は他のプロセス変化を減少させるのが良い。
【0057】
上述のモデルは、周囲条件からきたエネルギーを含む到来熱エネルギーを液体冷却剤への蒸発熱伝達によって相殺するのにどれほど多くの液体冷却剤が必要であるかを推定するために利用できる。液体冷却剤の大部分は、この目的のために用いられ、ほんの僅かなフラクションがパックが成形フード領域を出る際にパック中の水分として残る。理想的には、液体冷却剤からの水分は、結合剤分散液中に見受けられる水分と比較して優先的に蒸発する。これは、本明細書で説明するようにそれぞれのスプレーヤの位置決め及び液体冷却剤と液体結合剤の相対量によって達成される。
【0059】
「結合剤(バインダー)」は、ガラス繊維を圧縮可能であるが圧縮が除かれるとそのロフトを再び得る3次元構造体の状態に互いにくっつけるために用いられる熱硬化性有機作用剤又は化学物質、多くの場合ポリマー樹脂を意味するものとして当業界では周知である。フェノール系及びホルムアルデヒド系結合剤が従来用いられたが、環境上の懸念と関連していた。製造業者の中には、ホルムアルデヒドの入っていない結合剤系の使用により有毒エミッションを管理しようとするものがあった。かかるホルムアルデヒドの入っていない結合剤系は、ポリカルボン酸及びポリヒドロキシル化合物を含む酸性結合剤を採用している。ホルムアルデヒドの入っていない結合剤組成物の一例は、チェン等(Chen, et al.)に付与された米国特許第6,884,849号明細書及び同第6,699,945号明細書に記載されているポリアクリル酸にマレイン酸を加えた(PTA/MA)結合剤系である。ポリアクリル結合剤系の中には、ポリヒドロキシル化合物としてグリセロール(PAG)又はトリエタノールアミン(PAT)を利用しているものがある。ホルムアルデヒドの入っていない樹脂に対する他のアプローチとしては、天然デンプン(又はデキストリン、マルトデキストリン又は漸変長さの他の多糖類)及びクエン酸のような多官能価カルボン酸(MD/CA)で作られた結合剤、例えば2010年10月20日に出願された共通所有の米国特許出願第12/900,540号明細書に開示されている結合剤が挙げられる。なお、これら特許文献の全てを参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。しかしながら、これらカルボン酸を主成分とする結合剤系は、低いpHで、例えば約pH3未満で最も良く採用される。0.3という小さなpHのばらつきの結果として、結合剤組成物の硬化が貧弱になる場合がある。この結果、硬化時に貧弱な性能を示すガラス繊維製品が生じる。
【0060】
「酸性結合剤」又は「低pH結合剤」と言った場合、これら用語は、水性分散体では、pHが7未満、一般的には約6以下、より一般的には約4以下であるような解離定数(Ka)を有する結合剤であることを意味している。
【0061】
「結合剤送り出し量」は、ガラス繊維に送り出される「結合剤化学物質」、例えば「結合剤固体」の質量又は重量を意味する。これは、典型的には、当該技術分野においては「強熱減量(loss on ignition)」即ち“LOI”により測定され、これは、繊維状鉱物を燃え尽きさせる有機材料の尺度である。繊維パックを計量し、次にこれに極めて高い熱を及ぼして有機結合剤化学物質を燃え尽きさせ、次に再計量する。重量差を初期重量で除算して得られた値(×100)は、%LOIである。
【0062】
結合剤送り出し量は、質量/時間ユニット、例えばグラム/分で固形物として適正に考慮される。しかしながら、結合剤は、代表的には、結合剤化学物質の水性分散体として送り出され、これは、水中に溶けていても良く溶けていなくても良い。かくして、「結合剤分散体」は、媒体又はビークル中の結合剤化学物質の混合物を意味し、実際問題として、結合剤「分散体」の送り出しは、分散体の体積/時間、例えばリットル/分、即ちLPM(liters/minuteの略)の流量で与えられる。これら2つの送り出しに関する表現は、単位体積当たりの結合剤の質量、即ち結合剤分散体の濃度によって互いに相関が取られる。かくして、毎分Zリットルの送り出し量で流れる1l当たりXグラムの結合剤化学物質を含む結合剤分散体は、結合剤化学物質のX・Zグラム/分を送り出す。結合剤の溶解性及び粒径に応じて、分散液は、真の意味での溶液並びにコロイド、乳濁液又は懸濁液を含む場合がある。
【0063】
特定の一形式の結合剤分散体(「結合剤濃縮物」と呼ばれる)は、比較的高い一定濃度の、例えば20%〜40%の結合剤固形物を含む原分散体であり、かかる原分散体を次に、低い濃度、例えば10%の結合剤を含む希釈「結合剤分散体」を生じさせるよう結合剤「希釈剤」(代表的には、水)で希釈されるのが良い。この希釈された「最終的な」結合剤分散体をガラス繊維上に吹き付け又は小出しする。結合剤化学物質の一定送り出し量(グラム/分)を依然として、高い流量の希釈度の高い結合剤分散体によって達成するのが良い。「結合剤分散体」という用語は、最終的な希釈形態と濃縮原液形態の両方について総称的な用語である。25〜30%固形分の結合剤分散体を幾つかの市販製品に用いることができ、5〜15%固形分の結合剤分散体を他の製品、例えば家庭用品に用いることができる。成形フード内の結合剤粘着性及び粘度は、製品特性に影響を及ぼす重要な特性であり、しかも濃度(%固形分)、特定の結合剤化学的性質及び温度で決まる。
【0065】
流体小出システムは、第1のアレイ状に配置された複数個の上側スプレーノズルを含み、上側スプレーノズルは、液体源に流体結合され、上側ノズルは、液体をベール中に小出しするオリフィスを有し、第2のアレイ状に配置された複数個の下側スプレーノズルを含み、下側ノズルは、液体源に流体結合され、下側ノズルは、液体をベール中に小出しするオリフィスを有し、第1のアレイと第2のアレイは、ベール軸線に沿って互いに間隔を置いて配置され、各アレイに属するノズルは、ベールに向かって内方に差し向けられている。ノズルは又、オプションとして、以下に説明する噴霧化のために圧縮ガス源に連結されるのが良い。幾つかの実施形態では、ノズル軸線は、以下に説明するように下方に差し向けられる。これらアレイを支持して液体及び/又は圧縮ガスをノズルに送り出す構造体の性状は、これがベールの流れを妨げないことを条件として重要ではない。本明細書において、特定の実施形態について詳細に説明する。
【0066】
今
図3及び
図4を参照すると、特定の結合剤又は冷却剤リングシステム100が示されている。1つ又は2つ以上の管状リング102がリング入口108を経て液体源106と流体連通状態にある環状内部104を画定した状態で形成されている。説明を簡単にするために、リングは、管状であるが、任意断面領域が使用可能である。リング102は、一般に、代表的には、ガラス繊維の下方に流れているベール60の軸線に垂直に差し向けられたリング平面を定めるが、「平面」及び「垂直」という用語は、近似的にそのようであるに過ぎないものとして理解されるべきである。リング102は、リング内部と流体連通状態にあって液体をガラスベール上に内方に吹き付ける複数個のジェット又はノズル110を有する。吹き付けられる液体は、代表的には、例えば水のような液体冷却剤若しくは水性結合剤分散液又はこれら両方である。
【0067】
図4は、液体小出システム100の一実施形態を示しており、この液体小出システムは、結合剤分散液及び/又は液体冷却剤のために用いられるのが良い。ここでは、冷却剤としての水が例示の液体として記載される。システム100は、同軸に配置されているが互いに間隔を置いて配置されている3つの管状リング102A,102B,102Cから成る装置を含む。リングは、各々、約1〜約6インチ(約2.54〜約15.24cm)、より代表的には約2〜約5インチ(約5.08〜約20.32cm)の距離を置いて互いに間隔を置いて配置されている。管状断面の中心は、3つの互いにほぼ平行な平面を定め、リング平面に平行であるが、管の周囲のところに位置した平面が
図4においてP1,P2,P3で示されている。各管状リングは、環状内部空間104を画定している。3つの同軸リングのうちの中間リング102Bは、入口120(概略的に示されている)を介して圧縮ガス、代表的には圧縮空気の源122に連結されている。上側及び下側リング(102A,102C)は、入口124(概略的に示されている)を介して液体冷却剤、例えば水の源106に連結されている。
【0068】
複数個の支持ブロック126が上側リング102A及び中間リング102Bを橋渡ししており、リングの軸線に向かって内方に差し向けられたノズル又はオリフィス軸線を備えた第1の又は上側のノズル110A(1つ示されている)が支持ブロック126に取り付けられている。複数個の支持ブロック128が中間リング102B及び下側リング102Cを橋渡ししており、リングの軸線に向かって内方に差し向けられたオリフィス又はノズル軸線を備えた第2の又は下側のノズル110B(1つ示されている)が支持ブロック128に取り付けられている。支持ブロック126,128は、リングの周りに環状に延びても良く或いはノズルの配置場所のところにのみ存在してリングの周りのどこか他の場所では不連続であっても良い。事実、本発明の最も広い形態では、リングは、全く不要であり、即ち、リングは、流体を支持してこれら流体を上側及び下側ノズルのアレイに送り出す便宜的手段であるに過ぎない。
【0069】
図示の実施形態では、中間リング102Bの直径は、上側リング102Aの直径よりも僅かに大きく、それにより支持ブロック126及び第1のノズル110Aは、第1のノズルオリフィス軸線と平面P2とのなす角度A2がほぼ10°であるように下方に角度をなしている。この角度A2は、約0°から20°まで又は約5°から約15°まで様々であって良い。同様に、下側リング102Cの直径は、中間リング102Bの直径よりも僅かに大きく、それにより支持ブロック128及び第2のノズル110Bは、第2のノズルオリフィス軸線と平面P3とのなす角度A3がほぼ25°であるように下方に角度をなしている。この角度A3は、約15°から40°まで又は約15°から約30°まで様々であって良い。理解されるべきこととして、リング102の直径を変えることは、ノズル110A,110Bの軸線に関して下方傾斜を達成する一手法に過ぎず、他の手段が採用可能である。例えば、リング102は、全て同一直径のものであって良く、取り付けブロック126,128は、ノズル110が収納される傾斜したフェースを有しても良い。しかしながら、一般的に言えば、上側リングノズル110Aは、下側リングノズル110Bよりも幾分小さい角度をなして下方に反れた状態で向いている。
【0070】
上側リング102Aと関連した第1のノズル110A及び支持ブロック126の数は、約3個から約12個まで、より代表的には約6個から約10個まで様々であって良い。第1のノズル110Aのスプレーパターンは、空気キャップ114及びノズル形態の選択によって定められるように、全て同一であっても良く又は互いに異なっていても良い。下側リング102Cと関連した第2のノズル110B及び支持ブロック128の数は、約3個から約12個まで、より代表的には約6個から約10個まで様々であって良い。第2のノズル110Bのスプレーパターンは、空気キャップ114及びノズル形態の選択によって定められるように、全て同一であっても良く又は互いに異なっていても良い。幾つかの実施形態では、第1のノズル110Aのうちの少なくとも幾つかのスプレーパターンは、第2のノズル110Bのうちの少なくとも幾つかのスプレーパターンと異なっているであろう。例えば、第1又は上側のノズル110Aは、ベール60中の外側繊維を迅速に冷却するのに好適な広い角度又は平坦なスプレーを有するのが良く、第2又は下側のノズルは、ベール60の内部環境を冷却するのに好適な狭い角度又はパンチスプレーを有するのが良い。
【0071】
かかるノズルの1つの作用について以下に詳細に説明し、理解されるように、各ノズルの作用は、本質的に同一である。冷却剤としての水(又は変形例として結合剤分散液)を源106からラインにより上側及び下側リング102A,102Cの入口124に加圧状態で送り又は圧送し、入口124は、リングの内部104に開口しており、その結果、液体は、上側及び下側リング全体にわたって分布されるようになる。支持ブロック126,128は、上側及び下側リングの環状内部104に開口していて、矢印125で概略的に示されているようにノズルの中央オリフィス及びノズル出口112に通じる内部液体ボア又は通路を有している。圧縮ガス(空気)を源122からラインにより中間リング102Bの入口120に送り、入口120は、リングの環状内部に開口しており、その結果、空気は、中間リング全体にわたって分布されるようになる。支持ブロック126,128は、中間リング102Bの内部に開口していて、ノズルボア(図示していないが、矢印123で概略的に示されている)を経てノズル110の中央オリフィスの出口112の近くで空気キャップ114に設けられている環状空間に通じる内部空気通路を有する。この場合、圧縮空気は、第1のノズル110A及び第2のノズル110Bの各々のところで冷却剤としての水と混合するようになり、それにより水を小さな液滴又は粒子に噴霧化する。支持ブロック126,128の内部空気通路と内部液体通路は、別々であり、その結果、空気と冷却剤としての水は、支持ブロック内で互いに混じり合うことがないようになっている。空気と液体は、選択したノズルの形式に応じて、ノズル内で(「内部混合」)又は液体がノズルオリフィスを出た後に(「外部混合」)互いに混合することができる。液体冷却剤は、ノズルを出ると、小さな粒子又は液滴の状態でガラスベール60内に小出しされ、ガラスベール60は、同心リングシステム100内に設けられている。
【0072】
空気噴霧化外部混合ノズルが本発明に従って液体を繊維に吹き付けるのに適していることが判明した。これらノズルは、送り出されるべき液体を通す中央オリフィス及び出口112を有すると共に液体出口112の周りで空気キャップ114内の環状空間に通じるボアを有する。空気と液体は、液体がノズルオリフィスを出るまでは互いに混合せず、それにより液滴のサイズに対して良好な制御が行われる。空気キャップ114は、液体の分布状態、例えば狭い角度のパンチスプレー、広い角度のスプレー、平坦なスプレー等を形作るよう選択されるのが良い。かかるノズルは当業者には周知である。
【0073】
上述の小出システムを液体冷却剤のために用いる場合、第2の小出システム(同一であっても良く異なっていても良い)が結合剤分散液のために用いられる。代表的には、冷却剤小出システムは、結合剤分散液の塗布に先立って成形フード環境の冷却を最大にするよう結合剤小出システムの上方に配置される。これは、結合剤粘度が温度に敏感であり、製品特性が結合剤粘度に敏感であるので望ましい。
【0075】
繊維を迅速に冷却させること、即ち、繊維形成から結合剤塗布まで極めて急な温度勾配曲線を作ることが有利である。結合剤が良好に挙動する(蒸発が少なく且つ粘度変化が小さい)だけでなくパックを通ってコンベヤ上にひかれている空気は、より一様な温度のものであり、かかる空気が生じさせるウェットスポットは少なく且つ重量分布が均一である。形成時における繊維の温度は、1600〜2000°F(871.1〜1093.3℃)という高いものである場合があり、この温度は、これら繊維が下流側のブロワにより引き出される時間によって約50%低下する場合がある。これは、結合剤用途にとって依然として極めて高く、従って、冷却剤としての水を利用して繊維のベール(内側と外側の両方)及び周囲空気環境を結合剤用途にとって好ましい温度のために約300〜600°F(148.9〜315.5℃)又は約400〜約550°F(204.4〜287.7℃)まで迅速に冷却する。この大幅な温度低下は、12インチ(30.48cm)という短い場合のある距離にわたって起こり、その結果極めて急な勾配が得られる。
【0076】
溶融繊維及び成形フード環境から除去できる熱の総量は、液体冷却剤の気化熱と成形フード中に導入される質量の関数である。しかしながら、この熱除去反応速度、即ちその効率は、少なくとも部分的に、高温繊維又は空気分子と衝突するのに役立つ冷却用液滴の全表面積の関数である。かくして、冷却剤液滴の表面積/質量比を増大させることは、冷却剤質量を少なくした状態の同等な蒸発による冷却を達成する一手法である。換言すると、これにより、蒸発冷却反応が促進される。これとは逆に、冷却剤液滴の表面積/質量比を減少させると、蒸発による冷却効率が減少する。
【0077】
液体冷却剤流量は、可能な全熱伝達量(単位時間当たり)を制御するよう維持される(又は変えられる)のが良い。しかしながら、液滴サイズを1つのノズルから別のノズルに又は1つの繊維化ユニットから別の繊維化ユニットに変えることにより、表面積/質量比の制御が可能であり、それにより種々のノズル/繊維化ユニットのところでの蒸発による熱伝達効率が制御される。これは、蒸発による熱伝達を最初の方の繊維化ユニットのところでより迅速に生じさせて結合剤が気化され、あらかじめ硬化され又は粘性が高くなってエミッションの問題又は下流側におけるコンポーネントの問題若しくは製品特性に関する問題を生じさせている恐れを減少させることが望ましい場合があるので重要である。変形例として、全水入力を最小限に抑えるために蒸発による熱伝達を犠牲にしないで次の繊維化ユニットのところでの冷却剤流量を減少させることが望ましい場合がある。いずれの場合も、液滴サイズの互いに異なる制御を可能にする本発明により可能である。液滴サイズは、空気による噴霧化の差若しくは液体流圧力差又はこれら両方により制御可能である。
【0078】
幾つかの実施形態では、液体を送り出すノズル110は、小さな液滴を送り出す噴霧化ノズルである。「噴霧化」及び「噴霧化する」という表現は、力、代表的な流体圧力を利用して液体流を小さなサイズの液滴又は「粒子」の状態にばらばらにする方法を意味している。圧力を及ぼす流体は、液体それ自体であるのが良く、この場合、このプロセスは、「液体圧力噴霧化」又は「LP噴霧化」であり、液滴又は粒子の平均直径は、代表的には、水に関して約50〜約300ミクロンである。LP噴霧化された結合剤分散液の場合、液滴サイズは、約100〜約600ミクロンまで様々であり、より好ましくは約150〜約400ミクロンまで様々であって良い。変形例として、別個の流体/ガス、代表的には空気によって流体圧力を供給しても良く、この場合、このプロセスは、「空気噴霧化」であり、液滴又は粒子の平均直径は、水に関して約5〜約100ミクロンである。噴霧化された結合剤分散液の場合、液滴サイズは、約10〜約300ミクロンまで様々であり、より好ましくは約30〜約150ミクロンまで様々であって良い。
【0079】
噴霧化された液滴サイズは、幾つかの要因、即ち、(1)ノズルそれ自体の寸法形状、(2)液体粘度及び表面張力、(3)流体流量(液体流と噴霧化用流体/ガスの両方)及び(4)流体圧力(液体流と噴霧化用流体/ガスの両方)で決まる。流体流量及び圧力は、他の要因がいったん決められ又は固定されると、優先的な制御手段である。理解されるべきこととして、噴霧化は、一般に、液滴サイズの広い分布状態を生じさせ、液滴の直径の正確な測定は困難である。「液滴サイズ」の2つの一般的に用いられている定義は、厳密な意味では、平均直径ではなく、これとは異なり、例えば表面積と体積の比によって定められた寸法(「サウタ平均粒径」)又は液滴体積の分布状態の平均である液滴直径(「体積平均粒径」)である。これら2つは変化する場合が多いが、体積平均粒径は、一般に、サウタ平均粒径を超える。このような問題が存在するものとして、当該技術分野においては、流体流量及び圧力範囲の特定の条件下において特定のノズルにより得られる平均液滴直径の推定値を得るためにノズル製造業者の独自のデータを利用することが慣例である。本明細書で用いられる「平均液滴サイズ」は、中心傾向のこれら代表的な尺度のうちの任意のものを含む。
【0080】
重要なこととして、液滴サイズの選択にはトレードオフの関係が生じる。所与の初期速度の場合、大きな液滴は、質量が大きく、従って運動量が大きいが、表面積/質量比が小さいという欠点がある。これとは対照的に、小さな液滴は、質量及び運動量が小さいが、表面積/質量比が大きい。幾つかの状況では、例えば最初の方の繊維化ユニットのところでの結合剤分散に関し及びベール侵入の場合、大きな液滴が好適な場合があり、他の状況では、例えば、迅速な熱伝達の場合、小さな液滴の広い表面積が適当であると言える。溶融繊維及び周りの環境を適切に冷却するために十分な量の水が追加されるべきであるが、追加する水の量が多すぎると、次の乾燥・硬化オーブン内でのエネルギーの無駄が生じると共に洗浄水の無駄も又生じる。微小サイズの液滴は、非常に効率的に冷却し、同等の冷却を達成するためには大きな液滴よりも冷却剤の必要使用量が少ない。しかしながら、かかる微小サイズの液滴は、ベール内部にまで侵入するのに十分な運動量を備えていない場合がある。多量の同伴空気を冷却しなければならない(溶融材料と共に)ので、硬度の噴霧化により、同一程度まで冷却するのに用いられる水の量を少なくすることができ、冷却剤システムの効率が高まる。
【0081】
これとは逆に、大きな液滴は、微小液滴よりも蒸発による冷却のための表面積が小さい(質量が等しい場合)。このために、同等の蒸発による冷却を行うためには多くの量が必要になる場合があり、大きな液滴は、決して完全には蒸発しない場合があり、それどころかパック中に追加の水分をもたらす一因となる。しかしながら、これは、或る幾つかの繊維化ユニットには望ましい場合があり、圧縮空気の使用量が少ないというコスト上の利点を有する。上述したように、大きな液滴サイズは、成形フード内の最初の方の繊維化ユニット、例えば最初の1つ〜4つ又は最初の1つ〜2つのユニットのところでは酸性結合剤塗布に有用な場合がある。それどころか、液滴は、重力により液滴が落下して空気流から出るが、これらが腐食を生じさせる恐れのある下流側空気コンポーネントまでは運ばれないようになるのに十分な質量を有するようLP噴霧化によって達成されるサイズのものであるのが良い。
【0083】
図5は、成形フード内の水又は水分の量をモニタすると共に制御する制御システム200を示している。圧縮ガスとして空気を用いると共に液体冷却剤として水を用いてこのシステムを説明するが、理解されるべきこととして、他の圧縮ガス又は液体冷却剤をこれらに代えて用いても良い。一連の冷却剤スプレーリング202が繊維化ユニットの一部として概略的に示されており、これら冷却剤スプレーリングは、オプションとして、
図3及び
図4の装置のように構成されても良い。冷却剤としての水の源106がライン204を経て各繊維化ユニットの冷却剤リング202の入口206に導かれている。3つの繊維化ユニットが示されているが、第1の繊維化ユニットについてのみ詳細に説明し、第2及びその次の繊維化ユニットは、同様に構成されて同様に作動することは言うまでもない。かかる冷却剤リング全てへの水の流れは、マスター可変制御弁208及びマスター計器210のところで全体として制御されると共にモニタされる。加うるに、個々の繊維化ユニットリングへの各々への水の流れは、個々の可変制御弁212及び計器214によって制御されると共にモニタされても良く、これら制御弁及び計器の各々は、次の繊維化ユニットの冷却剤リングに至るライン中に挿入される。
【0084】
圧縮空気源122が空気を提供し、この圧縮空気源は、ライン216を経て繊維化ユニットの各々のところの冷却剤リング202と関連した空気リングに設けられた入口218に導かれており、この空気は、上述したようにベール中に吹き込まれる液体冷却剤を噴霧化するために使用されるのが良い。かかる冷却剤リング全てへの空気の流れは、マスター可変制御弁220及びマスター計器222のところで全体として制御されると共にモニタされる。加うるに、個々の弁211及びオプションとしての計器213は、各冷却剤リングシステム202に通じるライン216内に設けられている。これらにより、先のセクションで説明した種々の繊維化ユニットの冷却剤ノズルに対する制御差が可能である。
【0085】
結合剤分散源224、代表的には結合剤濃縮物がライン226を経て最終的に、各繊維化ユニットの結合剤リング230の入口228に導かれる。この場合も又、3つの繊維化ユニットが示されているが、第2の繊維化ユニットについてのみ詳細に説明し、第1及び他の繊維化ユニットは、同様に構成されていて同様に作動することは言うまでもない。結合剤リングは、2つ又は3つのリングから成るのが良く、これら結合剤リングは、オプションとして、上述した
図3及び
図4の装置のように構成されても良い。かる冷却剤リング全てへの結合剤の流れは、マスター可変制御弁232及びマスター計器234のところで全体として制御されると共にモニタされる。個々の繊維化ユニットの各々のところ(例えば、第2の繊維化ユニットのところ)では、結合剤濃縮物ライン226は、まず最初に、個別化された可変制御弁242及び関連の計器244に至り、次に静的ミキサ246に至り、その後、結合剤リング230の入口228に達する。さらに又、水の源106がライン236を経て結合剤濃縮物の潜在的な希釈液として各繊維化ユニットの結合剤リング230に導かれている。かる冷却剤リング全てへの希釈液の流れは、マスター可変制御弁238及びマスター計器240のところで全体として制御されると共にモニタされ、個々の繊維化ユニットの各々への流れは、個別化された可変制御弁248及びマスター計器250によって制御されその後、静的ミキサ246に至り、そして結合剤リング230の入口228に達する。静的ミキサ246を出た流れは、「配合流」であり、この配合流の流量は、計器244,250のところで測定された流量の合計である。必要ならば、この配合流量を記録するために計器(図示せず)を用いるのが良い。従前通り、圧縮空気源122がライン216を経て繊維化ユニットの各々のところの結合剤リング230と関連した空気リングの入口252に導かれており、この空気は、ベール中に吹き込まれる結合剤分散液を噴霧化するために使用できる。個々の弁215及びオプションとしての計器217は、空気源122と個々の冷却剤リングシステム230の各々との間でライン216内に設けられている。これら弁215により、種々の繊維化ユニットの結合剤希釈液ノズルに対する制御差が可能である。
【0086】
上述の流体制御システムの一利点は、かかる流体制御システムが何らかの理由で、例えば保守のため又は別の製品への作業の変更によって必要とされる別の繊維化装置形態のために作動を停止される(又は、作動停止後に再始動される)必要のある繊維化ユニットに容易に合うことにある。酸性又は他の腐食性の結合剤分散液の場合、ライン、弁、計器、リング及びノズルの構成材料の選択は、これら結合剤分散液の腐食性を考慮に入れるべきである。
【0087】
全ての可変制御弁の場合、流量を非流れ状態から流体システムで知られているようにラインの断面積及び初期圧力で決まる最大流れ状態に変えるために簡単な手動ノブを用いるのが良い。可変制御弁は又、必要ならばより複雑精巧な電子制御弁システムを含んでも良い。用いられる計器は、各場所での圧力及び/又は流量を測定するのが良い。適当な流量計としては、デュワイヤー(Dwyer)社製の計器、例えばRotameterブランド並びに他の供給業者製の計器が挙げられる。任意適当な弁又は計器を採用することができ、これらは当業者には周知である。
【0089】
流体制御システム200は、他の繊維化ユニットとは別個独立に各繊維化ユニット20のところの流体送り出し量を制御し又は「プロファイリング(profiling )」するよう作動することができ、かくして、成形フード内の主要な水分源、即ち、冷却剤としての水、結合剤希釈液及び結合剤分散液に対する制御性を高めることができる。上述したように、冷却剤としての水は、弁208によって全体的に制御され、結合剤希釈液は、弁238によって全体的に制御される。より重要なこととして、冷却剤としての水の導入は、一連の弁212によって個々の繊維化ユニット20の各々のところでより正確に制御され、弁212は、各冷却剤リング202に提供される冷却剤としての水の量を調節するよう別個独立に使用できる。冷却剤としての液体の流量制御の結果として、流れプロフィールが実質的に平坦であり又は全ての繊維化ユニットに対して一定になる場合があり(例えば、任意の2つのユニット相互間においてばらつきが10%以下である)又は流れプロフィールは、少なくとも2つのユニット相互間で実質的に変化する。同様に、結合剤希釈液としての水(及び/又は結合剤分散液)の導入は、一連の弁248によって個々の繊維化ユニット20の各々のところでより正確に制御され、弁248は、各結合剤リング230に提供される結合剤希釈液としての水の量を異なった状態に調節するよう使用できる。弁212,248のいずれも、製品特性を向上させるために各繊維化ユニットのところで送り出される水の量を変更し又は「プロファイリング」するよう調節できる。
【0090】
注目されるべきこととして、結合剤化学物質の送り出し量を変えて又は変えないでも結合剤希釈液を変更することができる。例えば、20%結合剤濃縮物の3.5LPMの流量は、10%濃度まで希釈された分散液の7リットル/分(APM)と同量の結合剤化学物質を送り出すが、これのほぼ半分の量の水を結合剤リングに送り出す。各繊維化ユニットのところでの希釈の程度を変化させることにより、実施例に示されているように、各繊維化ユニット20のところでの結合剤化学物質の送り出し量に影響を及ぼさないで(又は影響を及ぼして)各繊維化ユニット20のところの水入力を「プロファイリング」することができる。
【0091】
「プロファイリング」は、一繊維化ユニットのところで吹き付けられた成分、多くの場合冷却剤としての水であるが、オプションとして結合剤分散液又は結合剤希釈液の量を別の繊維化ユニットのところで吹き付けられた量から変更することを意味する。かかる変更は、量の増大、量の減少又はこれら両方を反映する場合があり、かかる変更は、性質的に次第に漸次増分型であっても良く、或いは急勾配であっても良い。さらに、繊維化ユニットは、2つ又は3つ以上の組にグループ分けされる場合があり、「プロファイリング」は、1つの組から別の組への増大又は減少を含む場合がある。各組は、1〜約10個のユニット、代表的には1〜約4個のユニットを含むのが良い。実施例1及び以下の表1に示されているように、とりわけ、セットポイント1,5,7,9が「プロファイリング」の例示である。セットポイント1,9では、冷却剤としての水は、最初の2〜3個の繊維化ユニットに関しては約7リットル/分(LPM)で流れ、次に10番目のユニットのところでは約1LPMまで次第に減少する。セットポイント5,7では、結合剤希釈液は、最初の数個の繊維化ユニットに関しては約5LPMであり、ユニット8,9,10に関しては1又は1.5LPMまで減少する。結合剤希釈液又は結合剤化学物質それ自体の送り出しは、所望ならば同様にプロファイリングされるのが良い。
【0092】
プロファイリングは、各液体について別々に制御可能であり、かかるプロファイリングは、多くのパターンをなして起こることができ、かかるパターンとしては、次の特徴を有するパターンが挙げられるがこれには限定されない。
・繊維化ユニット#1,#2相互間の僅かな増大又は減少、次に安定、流量レベルの増大又は減少、
・ほぼ全てのユニット全体にわたって実質的に一定レベル、
・初期値を有する最初の方のユニットから初期値の0〜70%、より代表的には初期値の15〜50%の最終値を有する最後の方のユニットへの漸次テーパ、
・最後の組をなすユニットまでテーパ、最後の組をなすユニットのところの流量は、減少レベルで一定に保持される、
・中間又は最後の方のユニットのところの流量よりも最大100%高い最初の方のユニットのところの高い流量、及び
・最初の方のユニットから中間のユニットまでの減少、次に最後の方のユニットまでの増大、この場合、最初の方及び最後の方のユニットは、互いにほぼ同じ流量を有し、中間ユニットは、代表的には1〜50%低く、より代表的には5〜20%低い流量を有する。
【0093】
「ノズルプロファイリング」は、本明細書において説明したプロファイリングを意味するが、個々のノズルのレベルではそうではなく、即ち、同一の繊維化ユニット内において1つのノズルからの少なくとも1つの流体の流量を別のノズルからの少なくとも1つの流体の流量に異なるように制御することを意味する。ノズルプロファイリングを例えば、(1)広い角度のノズルに対して狭い角度のノズル、(2)上側アレイのノズルに対して下側アレイのノズル、(3)内方に角度がつけられたノズルに対して内方にそれほど角度がつけられていないノズル、(4)下方に角度がつけられたノズルに対して下方にはそれほど角度がつけられていないノズル、(5)アレイの一方の側に位置するノズルに対してアレイの他方の側に位置するノズル―(縦方向と横方向の両方において)及び(6)これらの任意の組み合わせ相互間で流量を異なるように制御するものとして表すことができる。
【0094】
繊維化ユニットの説明との関係において、「第1」、「第2」、「1つ」、及び「別の」繊維化ユニットと言った場合、これは、一ユニットの任意他のユニットのから区別するに役立っているに過ぎず、特定の順番を位置する位置、例えば「次の」を意味するわけではなく、特定のユニット又は位置#1,#2に明示的に限定されるものではない。「最初の」、「中間の」、「最終の」、「最後の」、「後の」又は「次の」ユニットと言った場合、これは、順序に関して相対的な場所を意味しているに過ぎず、特定のユニット又は位置を意味しているわけではない。特定の繊維化ユニットを意図した場合、「位置#」又は「ユニット#」という用語が用いられ、#Nは、一連の順序中における位置#1から最も遠くに離れた位置を示している。しかしながら、コンベヤ64の上方に位置する繊維化ユニットの直列の向きは、重要であり、ユニット#1は、これが形成領域に入るときの裸のコンベヤ60上のユニットであり、パック66は、コンベヤ64がユニット#2,#3,#4等の下を動いて最後の繊維化ユニット#Nまで動いているときに次第に成長する。繊維化ユニットの直立向きは、縦方向と一致しているのが良いが、スプリット成形の場合のようにこれである必要はない。
【0095】
流量を各繊維化ユニットのところでより正確に制御することができるようにすることに加えて、全液体流量に対する冷却剤流量の著しく高い比率が、高いランプ高さ及び向上した製品特性を生じさせるのに可能であって望ましいことも又判明した。実施例1及び実施例5に示されているように、先行技術の生産ラインは、一般に、全ての繊維化ユニット全体にわたる平均で、冷却剤としての水が成形領域内において全液体の約15%〜約30%を占めるような割合で冷却剤としての水及び他の液体を用いていた。本出願人の発見したところによれば、全液体の約35%〜約80%、より代表的には約40%〜約60%の冷却剤としての液体のかなり高い平均レベルを用いると、有益な結果が得られる。表1及び
図6Aは、この現象を示しており、この現象は又、成形フードの目的上、結合剤としての水と比較して冷却剤としての水を「優先的に」且つ「犠牲的に」用いることとして説明できる。
【0096】
幾分驚くべきこととして、全液体に対する冷却剤としての水のこの高い割合により、ランプ水分に対応して大きな増大なくランプ高さが高くなった。実施例4及び
図6Dは、このことを示している。したがって、上述した弁システムを利用する別の方法は、ランプ高さ/ランプ水分比を向上させることである。
【0097】
関連した観点において、一様性及び製品特性の向上に最適なレベルの液体流量(代表的には、冷却水としての水の流量)が存在することが発見された。適当な硬化能力が与えられた場合、一様性及び製品特性は、パックがオーブン内にできるだけ厚い状態で進んだときに一般的に最善である。また、一般に、パック厚さ又はランプ高さは、より多くの水を成形プロセスにおいて用いた場合に増大するが、一点までであるに過ぎない。これは、
図7に示されており、
図7では、ランプ高さが冷却剤としての水の流量に対して従属変数としてプロットされている。これは、シグモイド又はS字形曲線A,B,Cを生じさせることが判明しており、かかるS字形曲線は、製造中の製品の厚さ及び性状に応じて場所及び形状が様々であり、各種の断熱製品の各形式について実験的にも求められなければならない。例えば、曲線は、R‐20又はR‐31断熱材よりの場合よりもR‐12断熱材の方が浅い場合があり、高密度の市販断熱製品は、家庭用断熱材とは異なる曲線を生じさせる。しかしながら、曲線の全体としてシグモイド性状は、各形式の断熱材に当てはまる。
さらに、S字形曲線Bは、液体(水)流量の最適レベルを各製品について求めることができるということを表している。曲線の急峻に立ち上がる部分が減速して横ばいになり始めると、より多くの冷却剤としての水の追加により、収穫逓減点に達する。S字形曲線のこの領域中の冷却剤流量は、液体流量の「最適」レベルと呼ばれる。各S字形曲線の正確なパラメータは、実験的に求められるが、最適流量範囲を導関数で説明することができる。例えば、シグモイド曲線は、立ち上り部分の中間の近くで変曲点402を有し、この変曲点のところでは、1次導関数は、最大値に達し、2次導関数は、ゼロである。最適流量範囲404は、この変曲点の上に位置し、この場合、1次導関数は、その最大値から下行している。さらに、2次導関数は、この最適領域では常時負であるが、2次導関数は、次の変曲点406のところで最小点(負の最大値)に達し、この変曲点406のところでは、3次導関数は、ゼロである。好ましい実施形態では、好ましい最適流量範囲408は、2次導関数がその最小値に達するこの点よりも十分上方に位置する。この点406から1次及び2次導関数がゼロに近づく点410までの冷却剤の流量レベルが好ましい最適流量レベル408であると考えられる。
【0098】
本発明の流体制御システムにより可能になる別の方法は、製造ラインの下流側空気コンポーネントの腐食を制限することができるということにある。多くの結合剤分散液は、酸性であり(例えば、熱硬化剤、例えばポリアクリル酸、ポリカルボン酸等又はpH調整のための鉱物酸に起因して)、これら酸性結合剤は、金属に対して極めて腐食性である場合がある。これら酸性結合剤分散液が部分的に繊維パックから逃げ出してコンベヤを通ってドロップアウトボックス、管路、成形ファン及び他の下流側空気コンポーネント中に吸い込まれた場合に重大な腐食の問題が生じる。これは、繊維パックが結合剤を捕捉するのに大きな質量を依然として得ていなかった最初の繊維化ユニットのところで生じる恐れが最も高い。結合剤分散液それ自体か結合剤分散液に利用される噴霧化ガスかのいずれかについて流量又は圧力制御を利用することによって、最初の繊維化ユニットのところでの液滴の平均サイズを次の繊維化ユニットのところの液滴サイズとは別個独立に調節することができる。例えばLP噴霧化によって達成できる液滴サイズが大きいと、これらがコンベヤを通過する場合、下流側空気コンポーネントに分散する空気流中に同伴されるのではなく、吸引ボックス領域内の壁及びドレン上に付着して集まる傾向があることが判明した。これは、これらの質量及び運動量の関数であると考えられるが、この理論は、本発明にとって重要ではない。酸性結合剤を例えばクライン等(Cline et al.)に付与された米国特許第7,754,020号明細書において教示されているように吸引ボックスドレンから洗い落とすことができ、かくして過度の腐食から下流側空気コンポーネントが守られる。
【0099】
一様なVWDを得るための別の調整方法
【0100】
縦方向重量分布(“VWD”)のような製品特性を向上させる多くの変形例が採用可能である。例えば、繊維直径を増大させることが挙げられる。太い繊維を含むパックは、ガラスの全量が同一であるとした場合、細い繊維を含むパックよりも成形チェーン上でこれを通る空気流に対する抵抗が小さい。このことは、太い繊維を含むパックの圧縮度が細い繊維を含むパックの圧縮度よりも小さく、太い繊維を含むパックは、成形フードから出る高いロフト回復性を有する傾向があることを意味している。太い繊維は又、細い繊維よりも強固であり、従って、太い繊維は、細い繊維よりも粘性結合剤分散液に対して良好に回復することができ、これにより、この場合も又、成形フードから出る高いロフト回復が得られる。
【0101】
VWDを向上させる別の変形手段は、成形吸引力を変えること又は空気をパック及びチェーンから引くことである。成形吸引力は、パック回復に際して競合する役割を果たす。一方において、吸引力が高いことは、より多くの周囲空気を成形フード及びパックを通して引いてこれらの冷却/乾燥を行い、かくして結合剤分散液からの蒸発量の減少を行うことを意味する。これは、周囲条件によって定まり、即ち、高温の乾燥した日々では、高い吸引力は、フード内に追加の蒸発作用を促進し、他方、低温の湿度の高い日々では、高い吸引力は、フード内の蒸発作用を減少させる傾向がある。他方において、高い吸引力は、パックを一層圧縮し、この空気力学的圧縮は、パック中の重量分布に非線形的に影響を及ぼす傾向があり、その結果、より多くの繊維がパックの底部に向かって動かされ、それによりVWDが悪化する。
【0102】
VWDを向上させる別の考えられる手段は、成形フードに入る周囲同伴空気を変えることである。繊維化装置内の繊維を細くすると共に冷却するために用いられるブロワ空気ジェットにより、成形フード内に同伴される代表的にはプラント内からの取るに足りないとは言えないほどの量の周囲空気が存在する。この空気は、主として、吸引ファンを通って引き出された空気である。この空気の冷却度及び加湿度が高ければ高いほど、成形フード内における結合剤分散液の蒸発のための駆動力がそれだけ一層小さくなる。これを行うための種々の仕組みが存在し、これら仕組みの全ては、ベールへの冷却剤の直接的塗布の場合よりも複雑であり、かかる仕組みにより、オペレータが繊維化装置及び成形フードに接近してこれを維持するのが困難になる。さらに、これら方法の全ては、ベールへの冷却剤の直接的塗布と同じほどエネルギー効率が良くなく或いは容易には制御できない。一方法は、プラントの外部から直接取り込んだ空気を成形フード内に管を使って導くことである。とうのは、プラント内の高温プロセスは、一般に、外部空気を成形フードに提供する前にこれを加熱するからである。これには、成形フードの大規模な管路系統の構築及び成形フードの大規模な改造が必要である。別の方法は、空気調和装置と同様、成形フードの入口の近くに冷却剤コイルを使用することである。これにより、成形フードの周りに追加の流通妨害部が生じる。成形フードの入口の近くの水ミストスプレーは、別のオプションであり、同伴空気を状態調節するための最も実用的な実施形態であると考えられるが、ベール上への直接的な冷却剤スプレーとしては依然として容易には制御できない。
【0103】
同様に、空気ラッパからの空気ジェットは、VWDを向上させるのを助けるために使用できる。これら装置内の空気は、蒸発量を減少させるよう冷却可能である。空気が高温/乾燥状態である場合に空気流量を減少させるのが良く、或いは、空気が低温/多湿状態である場合に空気流量を増加させるのが良い。一般に、空気ラッパは、全体的熱収支に対して僅かな影響しか及ぼさず、これら空気ラッパをなしで済ますことができ又は横方向重量分布の別の手段を採用することができる。
【0104】
VWDを向上させる別の考えられる手段は、成形フードに沿うガラス引張り力を、繊維をチェーン上に載せる第1のユニットのところでの最も低い引張り力から繊維をチェーン上に載せる最後のユニットのところの最も高い引張り力にプロファイリングすることである(最初のパックを形成するために1つの成形チェーンが存在しているにせよ多数の成形チェーンが存在しているにせよいずれにせよ)。この場合、目的は、成形フード内におけるパックの滞留時間を最小限に抑えて下流側繊維化装置の蒸発硬化を受ける上流側ユニットからのガラス(及び結合剤分散液)が少ないようにすることにある。この場合におけるパックのバルクも又、フードを出る前に吸引力に起因する短い期間の最大空気力学的圧縮を受ける。明らかなこととして、極端な場合、引張り力は、フードを出る前の最後のユニットのみが繊維化するようにプロファイリングされるのが良い。これは、成形フードを作動させる最も望ましい手段ではない。というのは、これは、一般に、特にパック特性を得る最も好ましい方法の場合のように直接的な冷却剤スプレーと結合されたフード全体にわたる一様な引張り力と比較して、全体的スループットを制限するからである。また、各繊維化装置が互いに異なる引張り力で働いている状態では、フードの制御がより複雑になる。
【0106】
依然として
図5を参照すると、周囲センサ260及びパック状態センサ262が制御プロセッサ264に接続された状態で示されている。周囲センサ260は、局所状態、例えば周囲温度若しくは周囲湿度又はこれら両方を検出することができ、そして周囲状態を表す少なくとも1つの出力信号266を出力し、この出力信号266は、制御プロセッサ264の入力として送られる。周囲温度センサの例としては、温度計及びディジタル温度プローブが挙げられる。周囲湿度センサの例としては、湿度計又は乾湿球湿度計が挙げられる。
【0107】
加うるに、パック状態センサ262は、成形フード12とオーブン16との間のランプ82上の又は変形例としてオーブン16を出た際のパックの状態を検出することができる。センサがモニタする有用なパック状態としては、(a)未硬化状態のパックの厚さ(「ランプ高さ」)、(b)未硬化状態のパックの厚さの一様性、(c)硬化状態のパックの厚さ(「機械高さ」)、(d)硬化状態のパック厚さの一様性、(e)未硬化状態のパック中の水分分布の一様性、(f)未硬化状態のパック中の垂直パック密度の一様性、(g)硬化状態のパック中の垂直パック密度の一様性及び(h)硬化状態のパック中の硬化度が挙げられる。
【0108】
これらパック状態―及び特にランプ高さ―は、最終断熱製品の或る特定の所望の特性と相関していることが判明した。センサは、パック状態を表すフィードバック出力信号268を出力し、このフィードバック出力信号268は、制御プロセッサ264の入力として送られる。ランプ高さセンサの例としては、目によって観察される簡単な平定規で、レーザビーム又は種々の高さにある光ビームが挙げられる。連続測定又は観察は、履歴データ及びパック厚さの一様性を評価する能力を提供する、ランプ水分センサの例としては、オンライン測定のためのマイクロ波及び赤外線センサ又はパックの重み付け湿潤及び乾燥サンプルを採取して差によって水分を求める仕方が挙げられる。パックの幅又は高さ全体にわたって位置する多数の場所のところでの測定又は観察により、複合データ及びパック水分及び/又は密度の一様性の状態を判定する能力が提供される。
【0109】
追加のパック状態尺度(又は「ブランケット状態」尺度)は、硬化状態の「ブランケット」製品がオーブン16から出た後の硬化状態の「ブランケット」製品に対してパック状態の尺度と類似した仕方で採用されるのが良い。
図2と関連して上述したように、ブランケット厚さの尺度、即ち、「機械高さ」は又、ランプ高さ信号に類似した仕方で水分制御プロセッサ264にフィードバックとして使用されるのが良い。また、硬化度(又は硬化状態)の尺度を得ることができ、そしてこれを液体入力の調節のために制御プロセッサ264に送ることができる。例えば、製品が硬化不足状態であることが検出されると、成形領域への液体入力を制限することが望ましい場合がある。
【0110】
周囲及びパックセンサ260,262からの出力は、成形フード中に入る種々の液体の流量を制御するために可変制御弁を設定し又は再設定するためのフィードバックとして用いられる。この目的のため、制御プロセッサ264は、冷却剤リング202を介して水を導入する役割を果たす可変制御弁208,212を制御する第1の出力270及び結合剤リング230を介して水を導入する役割を果たす可変制御弁232,238,242,248を制御する第2の出力272を有する。分かりやすくするために、各流体小出システムについて出力ライン270,272が1つしか示されていないが、実際には、複数本の信号ラインが望ましく、即ち、制御されるべき各弁について1本ずつ望まれる。かくして、制御プロセッサ264は、全ての繊維化位置の端から端まで全体にわたるか(弁208,238,232を介して)1つ又は2つ以上の個々の繊維化ユニットのところで個々にかのいずれかで上述の流体のうちの任意のものを調節するために使用できる。フィードバック信号及びかかるフィードバックに応答して行われる調節は、プロセスの融通性の許容度に応じて、連続的に又は所定の時間増分で提供されるのが良い。
【0111】
制御信号270,272は、特定の液体のプロファイリングされた流れ又は条件が許す限り一様な流れを作るために使用できる。例えば、パック状態センサ262によりランプ高さが所望の目標高さよりも低いことが分かると、プロセッサ264は、弁208又は或る特定の弁212の開放を要求して成形領域12内への冷却剤としての水を増量させる。別の例として、オペレータが許容可能なランプ高さを備えているが「板状底部」を備えた断熱パック66を観察した場合、オペレータは、2つの潜在的な行為、即ち、(a)オペレータが最初の弁212を経て最初の繊維化ユニットへの冷却剤としての水の流量を増大させる一方で次の弁212のところの流量を維持し又は減少させる行為又は(b)オペレータが弁242を介して最初の繊維化ユニットへの結合剤の流量を減少させると共に次の繊維化ユニットの弁242のところの結合剤流量を維持し又は増大させる行為かのいずれかを取ることができる。別の例として、水分一様性フィードバックによりパックの頂部層がこれよりも下の層に対して高い水分を含んでいることが分かると、無理のないフィードバック制御により成形フードの下流側端部の近くに位置決めされた(縦方向において)繊維化ユニットのところの水(冷却剤又は結合剤希釈液)流量を減少させる。
【0112】
幾つかの実施形態では、制御プロセッサ264は、オーブン274からのフィードバック(
図2のライン328)を受け入れ又は目標若しくは所定のセットポイント276のエントリーのための別の入力を有する。オーブンフィードバック328は、能力が制限された状態、例えば最大空気流量、温度又はファン速度を表すのが良い。最後に、オーブン274の能力を超えた場合、結果としては、製品が完全には硬化されない恐れがある。かかる状態では、オペレータは、1つ又は2つ以上の繊維化ユニットのところの液体の流量を戻し、1つ又は2つ以上のユニットを完全になくし、或いはスループット(滞留時間)を減少させて全水分をオーブンの能力の範囲内にするのが良い。目標276は、プロセッサにあらかじめプログラムされても良く又は入力手段(図示せず)、例えばキーボード又はタッチスクリーンを介して現場で入力されても良い。すると、プロセッサ264は、センサ出力266,268を所定の目標276と比較してこれが出力270,272を介して指示するのがどの応答であるかを判定する。ランプ高さ(パック厚さ)に関する目標値は、製造中の特定の製品及びその意図したR値で決まるであろう。一様性目標は、プロセス制御限度のように設定されても良く、それにより目標の上下の許容可能な範囲(例えば、±或る特定のパーセント)を定めることができる。水分に関する目標値は、下端部上の回復/厚さの損失によって制限される許容可能な成分範囲及び上端部上のオーブンの乾燥/硬化能力によって決定できる。
【0113】
上述のフィードバック制御のうちのいずれもオペレータがフィードバックにより要求される調整を行うために関与した状態で手動で実施できる。変形例として、例えば周囲温度、周囲湿度、ランプ高さ若しくは機械高さその他について試験又は測定を連続的にオンラインで実施できる場合、論理回路によってフィードバックを自動化すると共に制御することができ、論理回路は、湿分プロセッサ264内に位置するのが良い。
【0115】
実施例1
様々な量の水を10個の繊維化ユニットの各々に送り出すことによって試験を実施した。10個のセットポイント又は実施例を以下の表1に従って設計した。液体は、結合剤分散液として、結合剤分散液のための希釈液として又は冷却剤である水として成形フードに入り、各々のレベルは、表1に示されているように変化が加えられ又は一定に保持されている。セットポイント1,9は、漸減又はプロファイリングされた希釈液及び冷却剤としての水が技術の現状を表すよう低平均レベルにある状態のコントロールとして設計した。他のセットポイントは、高い平均レベルで種々の水源を一定に又は平坦に保持し、他の設定点を1つのユニットから次のユニットに変化させ又はプロファイリングした。流量は、毎分のリットル(LPM)の単位で与えられている。
【0116】
表1:液体コントロール(
**として示されている)に関する流量
*セットポイント
*パーセント計算以外に、上述の表中に与えられている流量は、毎分のリットル又はLPMである
**実際に実施されたセットポイント試験は全てではない
【0117】
全水量のパーセントとして冷却剤としての水のフラクションを表すグラフ図が
図6Aに示されている。コントロールセットポイント1,9は、最初の繊維化ユニット(主として、エミッション制御のため)のところに高いレベルの水を用い、そしてこの水を後の方のユニットのところでテーパして過度の水分及び乾燥時間を回避する技術の現状のやり方を示している。これとは対照的に、実験セットポイント2〜8及び10は全て、冷却剤としての液体が全液体のパーセントとして繊維化ユニットから後の方の繊維化ユニットまでどのように単調に増大しているかを示している。「単調増加」は、レベルが決して減少せず、レベルが連続的に上昇し又は少なくとも安定状態を保つことを意味している。数学的に言えば、1次導関数が正又はゼロであるが、決して負ではない。
【0118】
表1及び
図6Aのデータからの次の観察結果として、2つのコントロールセットポイント(セットポイント1,9)が全液体に対して29%という平均パーセント冷却剤を有する。これは、成形領域内の全てのユニット全体にわたる冷却剤としての水の平均百分率が約25〜35%、任意の1つのユニットのところで稀に40%を超える先行技術の使用と一致している。これとは対照的に、実験セットポイントでは、冷却剤としての水のパーセントは、任意の一ユニットのところで稀に40%未満であり、全ての実験的セットポイントの平均値は、約44%〜約60%であり、技術の現状のレベルよりもはるかに高い。重要なこととして、冷却剤としての水は、絶対的に且つ結合剤希釈液/結合剤分散液及び冷却剤からの全液体のパーセントとして従来よりも多量に用いられている。
【0119】
セットポイントのうちの幾つかに関して測定されたランプ及びライン終端(“EOL”)製品特性が以下の表2に記載されている。
【0120】
表2:選択されたランプ及びEOL測定値
【0122】
表2に記載されている変数のうちの幾つかの間には重要な関係のあることが判明した。例えば、縦方向密度分布とも理解される縦方向重量密度(VWD)の製品特性、回復量測定値及び剛性測定値は全て、パックが成形領域を出てその非圧縮状態、即ち「ランプ高さ」を再び取るときにパックの厚さの増大に連れて劇的に向上していることが発見された。
【0123】
R12及びR20のR値を備えた断熱バットを標準の商業的操作で調製した。品質管理データをこれら製造作業から吟味して種々の操業時間でEOL回復量及び剛性/垂れ下がりに関する値を得た。製造データを調べてランプ高さを得、これらランプ高さを各選択された操業時間に関してそれぞれの製品特性と対にした。回復量と剛性/垂れ下がりの両方がR12バットとR20バットの両方についてランプ高さに対する相関を示すことが判明した。
図6B及び
図6Cは、この関係を示している。回復厚さの平均値は、R12について約98mm、R20について約160mmであった。ランプ高さが増大すると、R値の両方のロフト回復量も又増大した(
図6B)。これとは対照的に、ランプ高さが増大すると、垂れ下がり偏向速度がR値の両方のバットについて(
図6C)減少した(より剛性のバットを示している)。
【0124】
特定の理論に束縛されるわけではないが、オーブン内での硬化のためのブリッジ高さへの再圧縮時に、最初の密度のばらつきは、薄いランプ高さの場合よりも厚いランプ高さの場合に容易に最小限に抑えられる。「板状」底部、即ち、非一様な密度の分布の特定の形態も又、ランプ高さの増大に連れて減少し又はなくなる。
【0126】
また、結合剤の流れと冷却剤の水の流れの相対的な量の影響を判定するための試験を行った。セットポイントは、4、5及び6LPMの結合剤流量を必要とし、結合剤濃度は、結合剤化学物質の同量の送り出しを行うために調節された(同一固形物/同一LOI含有量)。冷却剤としての水の流量を変化させ、ランプ高さをモニタした。各結合剤流量レベル(4、5又は6LPM)の場合、最小ランプ厚さ及び最大ランプ厚さは、ほぼ同一であり、最小値についてほぼ250mm、最大値について450mmであった。しかしながら、互いに異なる結合剤流量(4、5又は6LPM)の各々に関し、これは、同一のランプ高さレベルを達成するために互いに異なるレベルの冷却剤流量を必要とした。予想されるように、結合剤の流量が減少すると、冷却剤流量レベルは、同等のランプ高さを達成するために増大させる必要があった。かくして、ランプ高さは、成形フードに提供される全水に関係づけられる。
【0128】
実施例3から注目されるように、成形フード内の多量の水分により、高いランプ高さが得られた。しかしながら、驚くべきこととして、これは、ランプ水分の対応の増大を伴わないということが判明した。表2の最後の欄は、このことを実証している。ランプ高さ(mm)と水分含有量(%)の比を計算することによってランプ高さを水分に対して標準化した。これにより、高い百分率の冷却剤としての水が水分を甚だしくは増大させないでランプ高さを増大させたことがわかる。
図6Dは、このデータをグラフ図としてプロットしている。冷却剤の水の百分率が増大すると、ランプ水分の量が所与の場合、ランプ高さも又増大する。
【0130】
高レベルの水分が用いられる度合いを説明するため、本出願人は、製造データを調べて以下の表2のデータを作成した。R値及び結合剤組成が漸変する製品に識別番号を与えた。個々の先行技術の製品(PUF及びPA)に関する冷却剤としての水/全水百分率は、約13%から約30%まで様々であり、グループの平均値は、20%であった。これとは対照的に、本発明の個々の製品(NS)に関する冷却剤水/全水百分率は、約44%〜約51%まで様々であり、グループの平均値は、49%であった。一貫して、冷却剤としての水の高い平均レベルがほぼ平らなプロフィールで用いられている。
【0131】
表3‐全体の%としての平均冷却剤水レベル
記号:NS=天然デンプン、PA=ポリアクリル酸、
PUF=フェノール/ホルムアルデヒド、nr=記録なし
【0132】
増量した冷却剤としての水の使用は、向上したランプ高さ及び望ましい特性を生じさせているが、最終的には、オーブン乾燥能力を超える場合のある十分なランプ水分が導入される。しかしながら、冷却剤としての水のレベルが低すぎるレベルに設定された場合、製品は、「板状底部」並びに剛性及び回復量の減少を含む密度分布に関する問題を生じる。これらの限度内において、許容可能な水入力範囲が存在し、その上限の近くには、最も高いランプ高さ及び最善の製品特性を生じさせる最適水レベル404(又は好ましくは範囲408)が存在する。この最適レベルを超える追加の冷却剤としての水は、ランプ高さをそれ以上には向上させていない。
図7は、同様なデータを示すS字形曲線400を示している。
【0134】
周囲条件―特に温度及び湿度―は又、成形フード内に入れられた誘引又は同伴空気の量が多いことによりランプ高さに影響を及ぼし、その結果製品特性に影響を及ぼしたということが教示された。パック成形プロセスのための質量及びエネルギー収支モデルは、周囲条件の変化に体する冷却剤流量の感度を分析するために用いられる。蒸発量を増大させる周囲条件の変化(例えば、温度上昇又は湿度減少)は、ランプ高さ及び水分を減少させる傾向があり、成形フード内への液体流量を調節することによって周囲条件を変化させる影響を補償することが可能である。さらに、この補償関係を定量化することが可能であった。例えば、繊維化ユニット1つ当たりの冷却剤流量は、周囲温度の1度当たり約+0.05〜約+0.3LPMの変化によって調節でき、周囲比湿度の0.001当たり約−0.05〜約−0.25LPM(kg水分/kg乾燥空気)の変化によって調節でき、符号(+/−)は、周囲変化の方向に対する調節方向を表している。熱収支により定められる感度は、本明細書において説明したようなランプ高さその他のようなフィードバック測定値に基づいて製造の改善を条件として、水分制御の開始点として使用できる。
【0135】
加うるに、
図5及び
図7のS字形曲線Bは、周囲条件の変化により右側又は左側にずれることが判明した。説明を簡単にするために、他の周囲条件が一定のままであると仮定する。周囲温度の増大は、曲線を右側にシフトさせ(曲線Bから曲線Cへ)、その結果、液体冷却剤の同量の流れが乾燥/蒸発の増大に起因して低いランプ高さを生じさせる。これとは逆に、周囲湿度の増大は、曲線を左側にシフトさせ(曲線Bから曲線Aへ)、その結果、液体冷却剤の同量の流れが高いランプ高さを生じさせる。明らかなこととして、曲線がBからAに又はBからCにシフトすると、最適冷却剤流量変化404,408も又シフトする。上述した関係及びかかる関係が周囲条件によってどのように影響を受けるかということを知ることにより、繊維化プロセスの細かい制御が可能であり、それにより向上した製品特性を有する一様な製品が作られる。
【0136】
本発明の原理及び作用モードをその好ましい実施形態に関して説明すると共に図示した。しかしながら、本発明は、その精神又は範囲から逸脱することなく、具体的に説明すると共に図示した形態以外の形態で実施できることは理解されなければならない。
【0137】
本発明は、以下のような態様であっても良い。
[1]
繊維製品を製造する製造システムであって、
縦方向に動くことができるコンベヤと関連した複数個の繊維化機器を含み、各繊維化機器は、
溶融材料源から繊維を形成するよう構成された繊維化装置と、
前記繊維を前記繊維化装置から前記コンベヤに向かって差し向けるよう構成されたブロワと、
前記繊維に液体冷却剤を吹き付けて前記繊維を冷却させるよう構成された流体冷却剤ディスペンサと、
結合剤分散液を噴霧化し、冷却された繊維に該噴霧化された結合剤分散液を吹き付けるよう構成された複数の結合剤ディスペンサと、
少なくとも1つの他の結合剤ディスペンサにより供給された噴霧化された結合剤分散液流の液滴とは異なるサイズの噴霧化された結合剤分散液流の液滴を供給する少なくとも1つの前記結合剤ディスペンサへの流量を調節するようにプログラムされたコントローラとを有する、繊維製品を製造する製造システム。
【0138】
[2]
前記コントローラは、第1の結合剤ディスペンサの下流側の少なくとも1つの他の結合剤ディスペンサにより供給された噴霧化された結合剤分散液流の液滴よりも大きい噴霧化された結合剤分散液の液滴を供給する前記第1の結合剤ディスペンサへの流量を定めるようにプログラムされている、上記[1]記載の製造システム。
【0139】
[3]
前記液体冷却剤は、水である、上記[1]記載の製造システム。
【0140】
[4]
前記コントローラは、前記吹き付けられる液体冷却剤の流量を、前記液体冷却剤が前記繊維に塗布される全液体の44%〜60%に維持されるよう制御するようにプログラムされている、上記[1]記載の製造システム。
【0141】
[5]
更に、前記繊維に吹き付けられた前記結合剤を硬化させるオーブンを含む、上記[1]記載の製造システム。
【0142】
[6]
各繊維化機器の前記結合剤ディスペンサは、複数個の結合剤スプレーを有する、上記[1]記載の製造システム。
【0143】
[7]
各繊維化機器の前記流体冷却剤ディスペンサは、複数個の冷却剤スプレーリングを有し、前記コントローラは、流体冷却剤を互いに異なる流量で吹き付ける前記流体冷却剤スプレーリングのうちの2つ以上への流量を定めるようにプログラムされている、上記[1]記載の製造システム。
【0144】
[8]
繊維製品を製造する製造システムであって、
縦方向に動くことができるコンベヤと関連した複数個の繊維化機器を含み、各繊維化機器は、
溶融材料源から繊維を形成するよう構成された繊維化装置と、
前記繊維を前記繊維化装置から前記コンベヤに向かって差し向けるよう構成されたブロワと、
流体冷却剤を噴霧化し、前記繊維に該噴霧化された流体冷却剤を吹き付けて前記繊維を冷却させるよう構成された複数の流体冷却剤ディスペンサと、
前記冷却された繊維に結合剤分散液を吹き付けるよう構成された結合剤ディスペンサと、
少なくとも1つの他の流体冷却剤ディスペンサにより供給された噴霧化された流体冷却剤の液滴とは異なるサイズの噴霧化された流体冷却剤の液滴を供給する少なくとも1つの前記流体冷却剤ディスペンサへの流量を調節するようにプログラムされたコントローラとを有する、繊維製品を製造する製造システム。
【0145】
[9]
前記コントローラは、第1の流体冷却剤ディスペンサの下流側の少なくとも1つの他の流体冷却剤ディスペンサにより供給された噴霧化された流体冷却剤の液滴よりも大きい噴霧化された流体冷却剤の液滴を供給する前記第1の流体冷却剤ディスペンサへの流量を定めるようにプログラムされている、上記[8]記載の製造システム。
【0146】
[10]
前記液体冷却剤は、水である、上記[8]記載の製造システム。
【0147】
[11]
前記コントローラは、前記吹き付けられる液体冷却剤の流量を、前記液体冷却剤が前記繊維に塗布される全液体の44%〜60%に維持されるよう制御する、上記[10]記載の製造システム。
【0148】
[12]
更に、前記繊維に吹き付けられた前記結合剤を硬化させるオーブンを含む、上記[8]記載の製造システム。
【0149】
[13]
各繊維化機器の前記結合剤ディスペンサは、複数個の結合剤スプレーリングを有し、前記コントローラは、結合剤を互いに異なる流量で吹き付ける前記結合剤スプレーリングのうちの2つ以上への流量を定めるようにプログラムされている、上記[8]記載の製造システム。
【0150】
[14]
各繊維化機器の前記流体冷却剤ディスペンサは、複数個の冷却剤スプレーリングを有する、上記[8]記載の製造システム。
【0151】
[15]
繊維製品を製造する製造システムであって、
縦方向に動くことができるコンベヤと関連した複数個の繊維化機器を含み、各繊維化機器は、
溶融材料源から繊維を形成するよう構成された繊維化装置と、
前記繊維を前記繊維化装置から前記コンベヤに向かって差し向けるよう構成されたブロワと、
第1の流体冷却剤小出リングと、
流体冷却剤を噴霧化して第1のサイズの流体冷却材の液滴を形成し、前記繊維に該噴霧化された第1のサイズの流体冷却剤の液滴を吹き付けて前記繊維を冷却させる前記第1の流体冷却剤小出リングへの流量を調節するようにプログラムされたコントローラと、
第2の流体冷却剤小出リングとを有し、
前記コントローラは、流体冷却剤を噴霧化して前記第1のサイズとは異なる第2のサイズの流体冷却材の液滴を形成し、前記繊維に該噴霧化された第2のサイズの流体冷却剤の液滴を吹き付けて前記繊維を冷却させる前記第2の流体冷却剤小出リングへの流量を調節するようにプログラムされており、
更に、前記冷却された繊維に結合剤分散液を吹き付けるよう構成された結合剤ディスペンサを有する、
繊維製品を製造する製造システム。
【0152】
[16]
前記コントローラは、前記結合剤ディスペンサを制御して、前記結合剤分散液の流量を制御する、上記[15]記載の製造システム。
【0153】
[17]
前記液体冷却剤は、水である、上記[15]記載の製造システム。
【0154】
[18]
前記コントローラは、前記吹き付けられる液体冷却剤の流量を、前記液体冷却剤が前記繊維に塗布される全液体の44%〜60%に維持されるよう制御する、上記[17]記載の製造システム。
【0155】
[19]
更に、前記繊維に吹き付けられた前記結合剤を硬化させるオーブンを含む、上記[15]記載の製造システム。
【0156】
[20]
各繊維化機器の前記結合剤ディスペンサは、複数個の結合剤スプレーリングを有し、前記コントローラは、結合剤を互いに異なる流量で吹き付ける前記結合剤スプレーリングのうちの2つ以上への流量を定めるようにプログラムされている、上記[15]記載の製造システム。
【0157】
[21]
前記第1の流体冷却剤小出リングは、流体冷却剤を前記第2の流体冷却剤小出リングとは異なる流量で吹き付けるように、前記コントローラによって制御される、上記[15]記載の製造システム。
【0158】
[22]
繊維製品を製造する製造システムであって、
縦方向に動くことができるコンベヤと関連した複数個の繊維化機器を含み、各繊維化機器は、
溶融材料源から繊維を形成するよう構成された繊維化装置と、
前記繊維を前記繊維化装置から前記コンベヤに向かって差し向けるよう構成されたブロワと、
前記繊維に冷却剤を吹き付けて前記繊維を冷却させるよう構成された流体冷却剤ディスペンサと、
第1の結合剤小出リングと、
結合剤分散液を噴霧化して第1のサイズの結合剤分散液の液滴を形成し、前記繊維に該噴霧化された第1のサイズの結合剤分散液の液滴を吹き付ける前記第1の結合剤小出リングへの流れを調節するようプログラムされたコントローラと、
第2の結合剤小出リングとを有し、
前記コントローラは、結合剤分散液を噴霧化して前記第1のサイズとは異なる第2のサイズの結合剤分散液の液滴を形成し、前記繊維に該噴霧化された第2のサイズの結合剤分散液の液滴を吹き付ける前記第2の結合剤小出リングへの流量を調節するようにプログラムされている、
繊維製品を製造する製造システム。
【0159】
[23]
前記コントローラは、前記流体冷却剤ディスペンサを制御して、前記吹き付けられる液体冷却剤の流量を制御する、上記[22]記載の製造システム。
【0160】
[24]
前記液体冷却剤は、水である、上記[22]記載の製造システム。
【0161】
[25]
前記コントローラは、前記吹き付けられる液体冷却剤の流量を、前記液体冷却剤が前記繊維に塗布される全液体の44%〜60%に維持されるよう制御する、上記[24]記載の製造システム。
【0162】
[26]
更に、前記繊維に吹き付けられた前記結合剤を硬化させるオーブンを含む、上記[22]記載の製造システム。