【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明(請求項1)においては、
灯室内に、
光源である発光素子と、前記発光素子を搭載したプリント配線基板と、前記発光素子の発光を灯室前方に向けて反射するリフレクターとをそれぞれ備えた複数の灯具ユニットが車幅方向一列に配置された車両用灯具において、
前記各灯具ユニットを構成する各リフレクターをリフレクターユニットとして一体化するとともに、前記各リフレクターには、その表面に光拡散処理を施したエクステンションをそれぞれ一体的に形成した。
【0011】
(作用)複数の灯具ユニットがリフレクターユニットを介して一体化されることで、従来、各リフレクターを固定支持するために不可欠であった金属製ブラケットが省かれる分、各灯具ユニットの構成が簡潔となるとともに、灯室内における灯具ユニットの収容スペースが小さくなる。
【0012】
また、各リフレクターに形成されているエクステンションが灯具ユニットと前面カバーとの隙間を隠すべく作用する。
【0013】
さらには、エクステンションの表面には光拡散処理が施されているので、エクステンションで反射される光は、拡散光となる。
【0014】
請求項2においては、請求項1記載の車両用灯具において、
前記リフレクターユニットに、前記プリント配線基板に密着するプレート状に形成されたシェード構成部材を取着し、該シェード構成部材の側縁部には、前記リフレクターに向って突出するシェード本体を設けるように構成した。
【0015】
(作用)発光素子の発光がリフレクターの有効反射面で灯室前方に反射されることで所定の配光が形成される。そして、シェード本体は、発光素子の発光のうち、リフレクターの有効反射面以外に向かう光を遮光して、グレアの発生を防止する。
【0016】
また、発光素子は、点灯の際に大量の熱を発生するが、この発熱により電気から光への変換効率が下がり、さらに熱を発生させるという悪循環に陥ることで、輝度が低下するなどその寿命が低下するおそれがある。
【0017】
一方、プリント配線基板に設けられた導電パターン(銅等の導電率に優れた金属層)には、発光素子の点灯を制御する制御回路を構成する種々の電子部品が搭載されているが、導電パターンが熱伝達性に優れるため、プリント配線基板自体に灯室空間への放熱作用がある。このため、発光素子点灯の際に発生する熱は、プリント配線基板および該プリント配線基板に密着するシェード構成部材を介して灯室空間に放熱されることで、発光素子は点灯の際に発生する熱の影響を受けることはない。なお、プリント配線基板の放熱作用を促進するには、プリント配線基板を複数の灯具ユニット間に跨る1枚のプレート状に形成することが、望ましい。
【0018】
請求項3においては、請求項2に記載の車両用灯具において、
前記シェード構成部材を、前記複数の灯具ユニット間に跨る1枚のプレート状に形成した。
【0019】
(作用)灯具ユニット毎にシェード構成部材を設ける場合は、複数のシェード構成部材が必要となるが、複数の灯具ユニット間に跨るように1枚のプレート状のシェード構成部材を設けたので、各灯具ユニットの構成が簡潔となるとともに、灯室内における灯具ユニットの収容スペースも小さくなる。
【0020】
また、シェード構成部材は、プリント配線基板と協働して、発光素子点灯の際に発生する熱を灯室空間に放熱する作用があるが、シェード構成部材の表面積が大きい分、放熱作用が促進される。
【0021】
請求項4においては、請求項2または3に記載の車両用灯具において、
前記シェード構成部材を、熱伝達性に優れた金属で構成した。
【0022】
(作用)シェード構成部材は、熱伝達性に優れる分、シェード構成部材の放熱作用が促進される。即ち、シェード構成部材がヒートシンクとして積極的に機能する。
【0023】
請求項5においては、請求項1〜4のいずれかに記載の車両用灯具において、
前記リフレクターユニットを介して一体化された前記複数の灯具ユニットは、共通のエイミング機構によって支持されて、前記複数の灯具ユニットの共通の光軸を(上下方向に)傾動調整できるように構成した。
【0024】
(作用)単一のエイミング機構によって複数の灯具ユニットの共通の光軸を調整できるので、車両用灯具の光軸調整が容易である。
【0025】
請求項6においては、請求項1〜5のいずれかに記載の車両用灯具において、
前記複数の灯具ユニットを、ロービーム形成用の灯具ユニットとハイビーム形成用の灯具ユニットで構成した。
【0026】
(作用)ロービーム形成用の灯具ユニットが形成する配光パターンと、ハイビーム形成用の灯具ユニットが形成する配光パターンが適宜合成することで、ロービームの配光とハイビームの配光を形成できる。
【0027】
請求項7においては、請求項1〜6のいずれかに記載の車両用灯具において、
前記各リフレクターの有効反射面の前縁を円弧形状に形成した。
【0028】
(作用)各リフレクターが容器状になることで、各リフレクターの剛性強度が上がる分、リフレクターおよびリフレクターユニットの耐久性が改善される。
【0029】
請求項8においては、請求項7に記載の車両用灯具において、
前記シェード本体の先端を、対応する前記リフレクターの有効反射面の前縁の円弧形状に倣う円弧形状に形成した。
(作用)リフレクターの有効反射面の前縁までの領域が、灯具ユニットの所定の配光の形成に寄与するので、リフレクターの有効反射面を無駄なく有効に利用できる。