特許第6143312号(P6143312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143312
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】開閉弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20170529BHJP
   F16K 31/60 20060101ALI20170529BHJP
   F16K 5/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   F16K27/00 B
   F16K31/60 A
   F16K5/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-115547(P2016-115547)
(22)【出願日】2016年6月9日
(65)【公開番号】特開2017-36828(P2017-36828A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-157839(P2015-157839)
(32)【優先日】2015年8月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591068218
【氏名又は名称】麓技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095289
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 涼平
(72)【発明者】
【氏名】山本 悠歩
(72)【発明者】
【氏名】山本 直行
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭51−45809(JP,B1)
【文献】 実開昭55−119486(JP,U)
【文献】 特開2002−106731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00−27/12
F16K 5/00
F16K 31/60
F16L 27/00−27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内の弁収容部に収容され、開放位置と閉鎖位置とに切り替え可能な弁体と、
前記弁体を開放位置と閉鎖位置とに切り替え操作する操作手段と、
一端が前記本体の弁室に連通し、他端が排出口に連通する排出路と、
容器の排出口に螺合する接続部を先端側に有する締着部材と、
前記本体に設けられ、前記締着部材が回動自在に貫通する収容部と、
一端が前記本体の弁室に連通し、他端が前記収容部に連通する流通路とを備え、
開放位置においては、前記排出口と前記流通路との間の流通が可能となり、閉鎖位置においては前記排出口と前記流通路との間の流通が遮断される開閉弁であって、
前記締着部材は、
容器排出口接続状態で、一端が容器内に連通し、他端が前記流通路に連通する連通路と、
前記収容部の外側に突出して前記収容部の外側から前記本体を容器排出口へ締着する締着部とを有し、
容器排出口接続状態において、前記締着部材により本体を締着することによって、前記収容部を液密状態として前記本体を容器排出口に固定することを特徴とする開閉弁。
【請求項2】
本体内の弁収容部に収容され、開放位置と閉鎖位置とに切り替え可能な弁体と、
前記弁体を開放位置と閉鎖位置とに切り替え操作する操作手段と、
一端が前記本体の弁室に連通し、他端が排出口に連通する排出路と、
容器の排出口に螺合する接続部を先端側に有する締着部材と、
前記本体に設けられ、前記締着部材が回動自在に貫通する収容部と、
一端が前記本体の弁室に連通し、他端が前記収容部に連通する流通路とを備え、
開放位置においては、前記排出口と前記流通路との間の流通が可能となり、閉鎖位置においては前記排出口と前記流通路との間の流通が遮断される開閉弁であって、
前記締着部材は、
容器排出口接続状態で、一端が容器内に連通し、他端が前記流通路に連通する連通路と、
前記収容部の外側に突出して前記収容部の外側から前記本体を容器排出口へ締着する締着部と、
前記収容部内に位置する前記締着部材の外周面と前記収容部内壁の間において、前記流通路を挟んで配置された一対のパッキンとを有することを特徴とする開閉弁。
【請求項3】
前記締着部材の諦着部には、締め付け操作するための工具を接続する嵌合穴が、中心部に形成されている請求項1又は2に記載の開閉弁。
【請求項4】
前記排出路の排出側に基端が接続され、先端が排出管に接続される排出アダプタを有する請求項1〜3のいずれか1に記載の開閉弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体の流通を開閉操作する開閉弁に係り、詳しくは取付方向を任意の位置に設定可能な開閉弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来出願人は、液体容器の排出口に取り付けられる開閉弁を提案している。この開閉弁は、特許文献1に記載されているように、容器内液体の流入口を有する基端部と、開閉操作する操作レバーと、操作レバーの回動操作によって開閉させられる弁体と、開放時に流入口に連通する排出口を備えている。そして、基端に流入口が形成された基端部には、容器の排出口に形成されている雌ネジに螺号する雄ネジが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平05−083560号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器の排出口に従来の開閉弁を装着した場合、内周面に形成されている雌ネジの切込み位置や、基端部に形成されている雄ネジの切込み位置によって、ネジ込まれた開閉弁の向きが変化し、所望の向きで開閉弁を固定させることができないといった欠点があった。例えば、図13に示されているように、容器Tの排出口に開閉弁VBをねじ込むと、開閉操作レバーVB4の取付部分VB2が上側に位置せずに、左横に寝た状態で固定されてしまう。
【0005】
また、排出口T1の大きさや、雌ネジのピッチが異なる場合、排出口の各大きさや、各ピッチに合わせた形状基端部を有する開閉弁を作成する必要があり、大量の在庫をストックする必要が生じるといった問題もあった。
【0006】
このような場合、従来では、図14図13に示されているように、排出口T1と、開閉弁VBの基端部との間にアダプターADを介挿する手段が採られていた。アダプターADは、排出口T1に螺号する基端接続部AD1と、開閉弁VBの基端部が接続される先端接続部AD2を有し、基端接続部AD1と先端接続部AD2は連通した構成となっており、排出液が流通する。このようなアダプターADを介在させることによって、開閉弁VBの向きを所望の向きに接続することができるとともに、開閉弁VBの基端接続部の径やピッチの種類を少なくすることが可能となる。しかしながら、アダプターADを設けることで、開閉弁全体が占める容積が増加するため、取付スペースが小さい部位では、取り付けが困難となるといった問題があった。
【0007】
この発明は、取り付け状態における開閉弁の向きを任意に設定可能とし、かつ多数の種類の接続口に対応できる構造を安価に提供できる開閉弁を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような問題を解決する本発明は以下の構成を備える。
(1)本体内の弁収容部に収容され、開放位置と閉鎖位置とに切り替え可能な弁体と、
前記弁体を開放位置と閉鎖位置とに切り替え操作する操作手段と、
一端が前記本体の弁室に連通し、他端が排出口に連通する排出路と、
容器の排出口に螺合する接続部を先端側に有する締着部材と、
前記本体に設けられ、前記締着部材が回動自在に貫通する収容部と、
一端が前記本体の弁室に連通し、他端が前記収容部に連通する流通路とを備え、
開放位置においては、前記排出口と前記流通路との間の流通が可能となり、閉鎖位置においては前記排出口と前記流通路との間の流通が遮断される開閉弁であって、
前記締着部材は、
容器排出口接続状態で、一端が容器内に連通し、他端が前記流通路に連通する連通路と、
前記収容部の外側に突出して前記収容部の外側から前記本体を容器排出口へ締着する締着部とを有し、
容器排出口接続状態において、前記締着部材により本体を締着することによって、前記収容部を液密状態として前記本体を容器排出口に固定することを特徴とする開閉弁。
【0009】
(2)本体内の弁収容部に収容され、開放位置と閉鎖位置とに切り替え可能な弁体と、
前記弁体を開放位置と閉鎖位置とに切り替え操作する操作手段と、
一端が前記本体の弁室に連通し、他端が排出口に連通する排出路と、
容器の排出口に螺合する接続部を先端側に有する締着部材と、
前記本体に設けられ、前記締着部材が回動自在に貫通する収容部と、
一端が前記本体の弁室に連通し、他端が前記収容部に連通する流通路とを備え、
開放位置においては、前記排出口と前記流通路との間の流通が可能となり、閉鎖位置においては前記排出口と前記流通路との間の流通が遮断される開閉弁であって、
前記締着部材は、
容器排出口接続状態で、一端が容器内に連通し、他端が前記流通路に連通する連通路と、
前記収容部の外側に突出して前記収容部の外側から前記本体を容器排出口へ締着する締着部と、
前記収容部内に位置する前記締着部材の外周面と前記収容部内壁の間において、前記流通路を挟んで配置された一対のパッキンとを有することを特徴とする開閉弁。
【0010】
(3)前記締着部材の諦着部には、締め付け操作するための工具を接続する嵌合穴が、中心部に形成されている上記(1)又は(2)に記載の開閉弁。
【0011】
(4)前記排出路の排出側に基端が接続され、先端が排出管に接続される排出アダプタを有する上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の開閉弁。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明によれば、容器排出口に締着部材の接続部を挿入し緩く締めた状態では、本体は締着部材を中心として回動可能となる。この状態で、本体の取付姿勢を決め、さらに締着部材を容器排出口に締めこむことで、本体は容器排出口に締着固定される。このような作用によって、本体の取付姿勢は任意の姿勢に設定できるといった効果を発揮する。また、締着部材の接続部のネジピッチや径を容器排出口のピッチや径に応じて多数種類作成することで、開閉弁本体の大きさや形状を複数の種類用意することが不要となる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、締着部材と収容部との間にパッキンが配置されているので、開閉弁装着後においても、本体の姿勢を液漏れすることなく変更させることが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、締着部材の締着部に形成された工具接続部分は、中心部の穴であるので、開閉弁の周囲にスパナ等の工具を接続する余裕が少ない場合に、工具を容易に接続させることができ、取り付け作業が容易となる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、先端に排出アダプタを接続することによって、排出用管を使って容器内の液体を容易に他の容器に移し替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の開閉弁の断面平面図である。
図2】本発明の開閉弁の断面正面図である。
図3】本発明の開閉弁の平面図である。
図4】本発明の開閉弁の側面図である。
図5】本発明の開閉弁の正面図である。
図6】本発明の開閉弁の背面図である。
図7】本発明の取付状態を示す斜視図である。
図8】本発明の開閉弁の他の構成例における正面図である。
図9】本発明の開閉弁の他の構成例における操作レバーの基端部平面図である。
図10】本発明の開閉弁の排出路の他の構成例を示す部分断面正面図である。
図11】本発明の開閉弁の他の構成例を示す部分断面平面図である。
図12】本発明の開閉弁の他の構成例を示す全体斜視図である。
図13】従来の開閉弁の取付姿勢を示す斜視図である。
図14】従来の開閉弁に使用されるアダプタの構成を示す斜視図である。
図15】従来の開閉弁において、アダプタを使用した際の取付姿勢を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適実施形態について、添付図面に基づいて詳説する。図1は、本発明の開閉弁の断面平面図、図2は同じく断面正面図である。開閉弁1は、本体2と、締着部材3と、蓋体4とを備えている。本体2は、弁体5を収納する弁体収納部21と、締着部材3を収容する収容部22と、弁体5を開閉操作するための機構が収納されている操作収納部23とを有している。
【0018】
弁体収納部21内には弁体5を内側に収納する弁室211が設けられ、弁室211の最奥部には、後述する収容部22に連通する流通路212が設けられており、流通路212の反対側には、開口部213が形成され、内周面には雌ネジが形成されている。流通路212、弁室211、開口部213は、それぞれ横断面形状が円形であって、同一軸線上に配置され、これらを繋ぐ軸線に対して、直交する方向に軸線が位置するように形成されているのが、収容部22と、操作収納部23である。
【0019】
弁室211には球状の弁体5が収容されており、弁体5の中央には軸線に沿って形成された通路51が形成され、該通路51の軸線に対して直交する軸線上には、係合凹部52が形成されている。また、通路51の両端に形成された孔の周囲には、リング状のパッキン531、532がそれぞれ配置されており、弁室211の内壁と弁体5の外周面の間に介挿されている。弁体5は、パッキン531、532に挟まれた状態で、回動自在に保持されている。そして、通路51の両端開口部が流通路212と、開口部213に臨む位置が開放位置、開放位置における通路51の軸線に対して、通路51の軸線が直角の角度をなす位置が閉鎖位置とのなっており、開放位置と閉鎖位置との間で、回動角度90度の範囲で回動する構成となっている。弁体5の回動は、通路51の軸線に対して直角に交差する軸線を有する回動軸6の回動によって実現される。
【0020】
筒状に形成された操作収納部23は、内側に回動軸6やスプリング9を収容する収容空間231を有し、この収容空間231下端部は弁室211に連通している。図3に示されているとおり、収容空間231の上端部の開口232には、スプリング受けとしての蓋部材81が嵌合されており、更にその上側には、蓋部材81を押さえるCリング82が開口232の内周に嵌め込まれている。
【0021】
収容空間231の軸線に沿って配置されている回動軸6は、前記弁体5の係合凹部52に係合する係合凸部61を有し、軸部62を介して、レバー接続部63を有している。係合凸部61と係合凹部52の係合によって、回動軸6と弁体5は一体として回動する。
レバー接続部63には、操作レバー7が接続される。操作レバー7は、収容空間231内においてレバー接続部63に接続される接続孔71と、収容空間231から外側に延出した操作部72とを有する。接続孔71は、多角形状を有し、この形状と同じ多角形状の横断面を有するレバー接続部63が、接続孔71に嵌め込まれる。このような嵌め合いによって、操作レバー7を揺動操作することによって、回動軸6が一体として回動し、最終的に弁体5を開閉操作することができる。
操作レバー7の接続孔71が設けられている基端部と、蓋部材81との間には圧縮スプリング9が介挿されており、操作レバー7を常時弁体5の方向ヘ付勢している。
【0022】
図4及び図5に示されているように、操作レバー7は、操作収納部23の外周に形成された規制孔である規制スリット233、234内を挿通しており、この規制スリット233、234の範囲内で揺動する。そして、操作レバー7が規制スリット233内に位置する際に、弁体5が開放位置となり、規制スリット234内に位置する際に弁体5は閉鎖位置となる。開放位置に対応する規制スリット233と、閉鎖位置に対応する規制スリット234の間には段部に形成され、規制スリット234が弁体側に凹んだ構成となっている。つまり、規制スリット234内の操作レバー7は、常時弁体5の方向に付勢されているので、規制スリット234内に移動した操作レバー7は、スプリング9によって規制スリット234内に押し付けられ、段部によって容易に規制スリット233側に移動しない構成となっている。このような構成によって、閉鎖状態の開閉弁1が、不可抗力によって開放状態に移動させられない。規制スリット233、234によって、操作レバー7の回動範囲を規制する回動範囲規制手段が構成され、閉鎖位置で操作レバー7を位置決めする位置決め手段が、規制スリット234で構成される。
【0023】
このような弁体5の開放位置・閉鎖位置と、操作レバー7との位置関係は、開閉弁1が取り付けられる位置に応じて変更することもできる。例えば、自動車などの移動する機械の下側に本発明の開閉弁1を取り付ける場合、移動時に操作レバー7が地面の障害物に接触する恐れがあり、その際操作レバー7が開放位置に移動してしまう可能性もある。このような場合には、操作レバー7が、排出経路に平行な向きにセットされた場合に弁体5は閉鎖位置となり、排出経路に交差する向きにセットされた場合に開放位置となるように、操作レバー7の向きを設定してもよい。
【0024】
図1及び図2に示されているように、開口部213には蓋体4が接続されている。蓋体4は、開口部213に接続される蓋体接続部42、蓋体接続部42の基端側に位置するボルト部41、ボルト部41の先端側に形成された排出具接続部43と、蓋体接続部42の基端と排出具接続部43の先端とに、それぞれ端部開口部を有する排出路44とを有している。蓋体接続部42の外周には、開口部213の内側に形成された雌ネジに螺号する雄ネジが形成されている。
【0025】
蓋体4を開口部213に接続することによって、弁室211が完成し、弁体5は、弁室211内に収容保持されることとなる。蓋体接続42の内側には、既述のパッキン531が嵌め込まれ、蓋体接続部42をねじ込むことによって、パッキン531とパッキン532が、弁体5の外周に適度に押圧され、液密効果が発揮させる。
【0026】
図4図5図6に示されているように、蓋体4のボルト部41は、6角ボルト形状であって、このボルト部41にスパナ等の工具を嵌め込み回転させることによって、蓋体接続部42を開口部213にねじ込む。排出具接続部43は、基端部に対して直径が大きい先端部431を有し、先端部431の中心部に排出路44の先端開口部が形成されている。先端部431は、排出具10の取り外しが容易となるように、丸みを帯びた形状となっている。
【0027】
図7に示されているように、排出具接続部43には、排出アダプタである排出具10が接続される。排出具10は、屈曲した管状部材であり、排出具接続部43に接続される基端接続部101と、先端に設けられ、ホース等の排出管が接続される排出管接続部102を有している。排出管接続部102は、排出管が接続し易いように、先端に向けて縮径しており、外周には、凹凸103が形成されている。この凹凸103は、断面が山形の凸部が連続して軸方向に配置され、凸部の断面形状は、先端側の傾斜が緩く、基端側の傾斜がきつくなるように構成され、排出管を接続する際の摩擦抵抗は小さく、抜き取る際の摩擦抵抗が大きくなるように構成されている。排出具10は樹脂製であり、安価かつ容易に任意の形状に形成することができる。つまり、排出具10の形状は、屈曲形状に限らず、直線形状、らせん形状、クランク形状、円弧形状など、取り付け位置の周囲の状況に応じて任意の形状とすることができる。
【0028】
次に、収容部22と、締着部材3について説明する。本体2に形成された収容部22は、横断面形状が円形の孔であって、内側に締着部材3が収納される。収容部22内には、流通路212が開口する。収容部22の軸線は、流通路212、弁室211、開口部213を繋ぐ軸線に対して、直角となるように設定されている。収容部22の内径は、締着部材3が挿入される挿入口から順に、大径部221a、中径部221b、小径部221cが設けられており、締着部材3は、これらの径と略同径を有する円管状の部材である。締着部材3は、収容部22の軸線方向に沿って挿入される。
【0029】
締着部材3は、先端の排出口接続部33と、締着部材本体32と、基端の締着部31とを有している。排出口接続部33の外周には、容器排出口OPSの内側に形成された雌ネジに螺合する雄ネジ331が形成されており、排出口接続部33の基端部の外径は、収容部22の小径部221cの内径に略一致する。締着部材本体32は、先端側の外径が、収容部22の中径部221bの内径に略一致した中径部、基端側の外径が、収容部22の大径部221aの内径に略一致する大径部となっている。図1及び図2に示されているように、大径部には、外周に溝321が周方向に形成されており、該溝321の底部には、連通孔341、341、341、341が形成されている。各連通孔連通孔341、341、341、341は、締着部材3の内側において、排出口接続部33の先端から締着部材本体32に至るまで形成されている連通路34の基端部に連通している。溝321は、収容部22内に締着部材3を収容した状態で、流通路212に対向する位置に設けられている。溝32を挟んだ両側には、Oリング状のパッキン361、362が埋設されており、締着部材3と収容部22との間を液密に維持し、溝32からの液漏れを抑制する。
【0030】
締着部材本体32の基端側に締着部31が設けられている。締着部31は、収容部22の大径部221aの内径よりも大きい外径を有し、6角形のボルトヘッドを構成している。締着部31の中央には穴311が形成されている。この締着部31のボルトヘッド部分にスパナ等の工具を接続して締着部材3を、排出口OPSに対してねじ込むことによって、本体2の収容部22は、締着部31と排出口OPSとの間で締め付けられ、容器OP側に締着される。この際、排出口OPSと収容部22の端面との間にパッキン35を介挿することによって、排出液の漏れを防止することができる。パッキン35を介挿した場合、Oリング状のパッキン361は必ずしも必要ない。同様に、図示されていないが、締着部31と収容部22の端面との間に、パッキンを介挿した場合にも、Oリング状のパッキン362は必ずしも必要ない。Oリング状のパッキン361、362を用いた場合には、本発明の開閉弁1を装着して、容器OP内の液体の排出作業をした後であっても、締着部材3を緩めて開閉弁1の向きを変える作業をしても、液体の漏れを抑制できる。
【0031】
Oリング状のパッキン361、362を用いず、収容部22の両端面にパッキンを介挿する構成とした場合には、Oリング状のパッキン361、362を埋設する構成が不要となるので、イニシャルコストの低減を図ることが可能となる。
【0032】
以上のような構成の本発明の開閉弁1においては、例えば、バイクのオイルパンOPの下側の排出口OPSに取り付けられて使用される。バイクのオイルパンOPは、バイク車体の下側に露出しており、この底部に排出口OPSが設けられている。オイルパンOPには、バイク運転中に路上の障害物との接触から排出口OPSを守るために排出口OPS周りにガードリブOPPが設けられている。
【0033】
開閉弁1を排出口OPSに取り付ける場合には、このガードリブOPPを避けて、排出路44の向きが設定される必要がある。そこで、排出路44がガードリブOPPの位置に重ならない向きに、本体2の向きを設定したのち、締着部材3を排出口OPSにねじ込む。締着部材3は、本体2に対してフリー回転できるため、締着部材3の締め付けに関わらず本体2の向きは、所望の向きに固定させることができる。そして、締着部材3の締め付けによって、本体2の収容部22は、締着部31と排出口OPSとの間に締着固定される。
【0034】
図7に示されている操作レバー7の位置は、弁体5と閉鎖位置とする位置である。開閉弁1を排出口OPSに装着後、操作レバー7を開放位置へ揺動させると、弁体5は、開放位置に移動し、図1および図2に示されているように、流通路212と排出路44とが、通路51を介して連通する。これにより、容器OP内の液体は、連通路34、連通孔341、341、341、341、溝321を通って、流通路212に達し、更に弁体5の通路51を通って排出路44から外部に排出される。溝321は、周方向に形成されているので、締着部材3に対して本体2がどの様な角度に位置していても、連通路34から流通路212への接続は確保され、液体の排出は滞りなく行われる。
【0035】
図7に示されるような、開閉弁1の取付位置では、周囲にガードリブOPPが設けられているが、このガードリブOPPの高さがより高くなり、締着部31がガードリブOPPに隠れるような形状である場合には、締着部31の周囲のボルト部分に、スパナなどの工具を嵌め込む余地がすくなくなる。このような場合には、図8に示されているように、締着部31の中央に形成されている嵌合穴311Aの形状を6角形等の多角形状として、6角棒レンチなどの棒状の工具を用いて、締着できるように構成するとよい。
【0036】
また、既述の通り、操作レバー7Aの向きが、排出路が開口する蓋体4の向きに向いている場合には、閉鎖状態となり、締着部材3に平行となる向きにある場合には開放状態となるように構成してもよい。その場合、図8に示されているように、下側に凹んだ規制スリット234が、蓋体4側に位置し、規制スリット233が側面側に位置する構成となる。さらに、操作レバー7Aにおいて、操作収納部23から外側に突出した操作部72Aの形状を、クランク状に屈曲した形状とすることもできる。規制スリット234と規制スリット233の間に形成された段部は、操作レバー7Aの基端部73Aの圧さと、等しくあるいは基端部の圧とより大きく構成されており、操作レバー7Aが閉鎖位置に位置している場合には、基端部73Aは、収容空間231内に隙間なく嵌まり込む構成となっている。また、基端部73Aは、スプリング9によって、規制スリット234の底部に密着させられているので、基端部73Aの周端と規制スリット234との間に隙間が生じることが抑制される。
【0037】
図9は、操作レバー7Aの基端部の形状を示す部分平面図である。操作レバー7Aの基端部73Aは、操作収納部23の収容空間231の横断面形状に合致した形状(図中では、円形状)に形成されており、閉鎖位置では、基端部73Aが蓋としての作用を有し、操作レバー7Aから弁室211側に、外部の埃や土などの入り込みが抑制される構成となっている。このような蓋構造は、例えば自動2輪車のオイル容器に取り付ける場合のように、常時外気にさらされ、雨、泥、埃等がかぶる環境で使用される場合には、弁体5等の内部機構の故障を抑制できるといった利点がある。
【0038】
基端部73Aには、レバー接続部63が挿通する接続孔71Aが形成されている。接続孔71Aは長孔であって、その長孔の長辺の向きが、操作部72A(軸線)の向きに合致しており、長孔である接続孔71Aとレバー接続部63との間の隙間が、操作部72Aを上下に揺動させることを可能とする。
【0039】
図10は、上記実施形態における蓋体4の他の構成例を示す断面図である。蓋体4Aには、蓋体本体4Aに対して回動可能に接続されたL字状の回動接続部材45Aが接続されている。蓋体本体4Aは、開口部213に接続される基端接続部を有し、中心に排出路44Aが形成されている。先端側の開口部40Aには、回動接続部材45Aの基端部が回動自在に接続されている。回動接続部材45Aは、基端部に対して屈曲した向きに形成された先端部を有し、基端部から先端部にかけて屈曲した経路を有する流通経路451Aを有しており、先端は、流出口451Cが形成されている。このような構成によれば、回動接続部材45Aが回動自在に接続されているので、流出口451Cを任意の方向に向けることができる。
【0040】
図11及び図12は、図9に示されている操作レバー7Aを用いて構成された他の構成例を示す部分断面平面図と全体斜視図である。図11に示されている通り、締着部材3Aは、先端の排出口接続部33Aと、締着部材本体32Aと、基端の締着部31Aとを有している。排出口接続部33Aの外周には、容器排出口OPSの内側に形成された雌ネジに螺合する雄ネジ331Aが形成されている。締着部材本体32Aは、先端の排出口接続部33Aから基端の締着部31Aまで、外径が同じであり、締着部31Aとの接続部分において大径部335が形成されている。排出口接続部33Aの基端部の外径は、収容部22の小径部221cの内径に略一致する。締着部材本体32は、基端の大径部335の外径が、収容部22の大径部221aの内径に略一致する大きさとなっており、大径部335と大径部221aとの間には、シール部材であるパッキン362が介挿されている。
【0041】
締着部31Aは、収容部22の大径部221aの内径よりも大きい外径を有し、6角形のボルトヘッドを構成している。締着部31Aの中央には穴312Aが形成されている。穴312Aは、多角形(図示の例では、6角形)に形成され、工具を挿入することによって、ボルトヘッドの外側に嵌め込まれる工具以外の工具で締着操作をすることもできる。締着部材3Aにおける連通路34A、連通孔341Aの構成は、締着部材3と同様であるので説明を省略する。
【0042】
収容部22において、小径部221cの外側には、容器排出口OPS周囲の端面に対向する位置に、環状の収容溝223が形成され、該収容溝223にはシール部材であるOリング224が収容されている。このOリングによって、容器排出口OPSにおいて、収容部22との間からの液漏れが抑制される。
【0043】
図11及び図12において、閉鎖状態における操作レバー7Aの位置が示されている。操作レバー7Aは、閉鎖位置において、弁本体2の軸線M1に対してレバー軸線M2が平行となる位置(CL)にあり、開放状態では、軸線M1に対して直交する位置(図12において、想像線で示される位置OP)に回動する。
【0044】
通常、開閉弁1を容器排出口OPSに取り付ける場合には、開閉弁1を閉鎖状態として取り付けるのであるから、閉鎖状態で操作レバー7Aが軸線M1に対して平行な位置にあると、締着部31Aにスパナ等の工具を取り付けて回動操作する際に、工具に操作レバー7Aが干渉することがなく、作業の妨げとならないといった利点がある。また、本発明の開閉弁1は、締着部材3Aに対して、弁本体2の位置を任意の位置に回動させることができる構造であるから、締着部材3Aを緩めて、弁本体2の向きを変更する場合にも、操作レバー7Aが工具に干渉することなく、弁本体2の向きを容易に変更操作することができる。
【0045】
さらに、図11に示されているように、操作レバー7Aの軸線M2は、閉鎖位置において、弁本体2の軸線M1に対して所定距離W離れた位置となっている。つまり、操作レバー7Aは、排出路44に重なっていないので、閉鎖位置(CL)にある操作レバー7Aに指を掛けて回す際に、排出路44に接続されている排出管や回動接続部材45A等が指に引っ掛かることが少なく、操作が容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように本発明の開閉弁は、バイクのオイルパンに取り付けて使用する場合の他、他のエンジンに設けられたオイルパンのオイル排出口に取り付けることもでき、オイルパンに限らず、他の液体の容器の排出口に取り付けて使用することもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 開閉弁
2 本体
21 弁収納部
211 弁室
212 流通路
22 収納部
23 操作収納部
3 締着部材
31 締着部
32 締着部材本体
33 排出接続部
34 連通路
361、362 パッキン
4 蓋体
431 先端部
44 排出路
5 弁体
6 回動軸
7 操作レバー
10 排出具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15